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左小脳橋角部腫瘍にともなう二次性正常圧水頭症の 1 例 長山成美 1 羽柴奈穂美 1 中多充世 1 権藤雄一郎 1 垣内無一 1 中西恵美 1 田中惠子 1 松井 真 1 岡本一也 2 飯塚秀明 2 1) 金沢医科大学神経内科学 2) 同脳神経外科学 症例は 76 歳 女性 200(X-1) 年 3

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MRI

MRI

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MRI 拡散強調画像

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クリプトコッカス

クリプトコッカス

クリプトコッカス髄膜炎

髄膜炎

髄膜炎

髄膜炎による

による

による

による

正常圧水頭症

正常圧水頭症

正常圧水頭症

正常圧水頭症の

の 1

11

1 例

熱海千尋、清水高弘、徳山承明、水上平祐、今井健、佐々木央我、柳澤俊之、秋山久尚、平山俊 和、長谷川泰弘 聖マリアンナ医科大学神経内科 症例は77歳女性、既往歴に自己免疫性肝炎に対するステロイド内服歴があるが、数年前よりステ ロイドは中止されていた。2009年11月某日、出血性胃潰瘍にて近医に入院。入院後、絶食管理、 点滴加療により出血性胃潰瘍は軽快したが、その頃より38度台の発熱が出現した。抗生物質が無 効であり、自己免疫性疾患の関与が疑われ、ステロイド治療が開始された。ステロイド治療開始 後、解熱を認め、経口摂取も可能となり自宅退院となった。しかし退院時のADLは自力で立位不 能なレベルまで低下しており、その後も徐々に活動性が低下、2010年2月頃には傾眠状態となり、 再び経口摂取が困難となったため前医へ再入院となった。同院で施行された頭部CT、MRI検査に て、びまん性大脳白質病変を認めたため、精査目的にて3月に当院へ転院となった。当院転院時 現症;体温37.6度、神経学的所見;開眼しているが発語はほとんど認めず寡黙、寡動状態。四肢 に鉛管様固縮あり、前頭葉症状(Gegenhaltenおよび把握反射)を認めた。四肢筋力低下(廃様 性筋力低下および関節拘縮によりMMT3レベル)、項部硬直あり。検査所見;白血球数 7200 /μL、 CRP 0.07 mg/dL、赤沈 12 mm/hr、前医で施行された脳脊髄液検査:細胞数 18(単核球 14、分 葉核球 4)、蛋白 274 mg/dL、当院での脳脊髄液検査:無色透明、初圧 7 cm/H2O、細胞数 3(単 核球 3)、蛋白 205 mg/dL、Glu 51 mg/dLであった。頭部MRI拡散強調画像にて両側大脳実質およ び脳溝・髄膜に沿った高信号域を散在性に認めた。FLAIRおよびT2強調画像で両側大脳白質に広 範な不定形の高信号域を認め、両側シルビウス裂拡大、側脳室および第3脳室の拡大、高位円蓋 部脳溝の狭小化を認めた。矢状断にて中脳水道~第4脳室に明らかな閉塞を認めなかった。Evans Index 0.3以上の脳室拡大を認め、髄液圧が正常範囲内であったことから、正常圧水頭症の病態 を疑った。一方、髄液墨汁染色にてクリプトコッカス感染が疑われ、血清および髄液中のクリプ トコッカス抗原価が1024倍と高値であったため、クリプトコッカス髄膜炎と診断、クリプトコッ カス髄膜炎に続発した正常圧水頭症と診断した。同日より、amphotericin B(0.7mg/kg/day)およ びflucytosine(100mg/kg/day)投与を開始した。 本症例のようにクリプトコッカス髄膜炎では、くも膜下腔での線維性物質の貯留や炎症細胞浸 潤を反映し、頭部MRI拡散強調画像で高信号を認めることがある。この線維性物質の貯留により 髄液の吸収低下や膜様物による閉塞が原因となり髄液還流障害を起こし、正常圧水頭症を続発す ることがあるが、その発症頻度は少ないと考え、報告する。

(2)

左小脳橋角部腫瘍にともなう二次性正常圧水頭症の 1 例

長山成美1、羽柴奈穂美1、中多充世1、権藤雄一郎1、垣内無一1、中西恵美1、田中惠子1、松井 真1、岡本一也、飯塚秀明2 1)金沢医科大学 神経内科学、2) 同脳神経外科学 症例は 76 歳、女性。200(X-1)年 3 月に右放線冠部と右前大脳動脈-中大脳動脈分水嶺梗塞・両 側中大脳動脈狭窄症の既往がある。200X 年 7 月下旬より歩行時の足の出にくさを自覚、同時期 より日時の間違い・活気の低下を認めるようになった。9 月上旬より歩行困難・体動困難が進行、 自力でのベッドから起き上がれなくなりトイレにも間に合わないようになった。9 月下旬、精査 目的で当科入院。

長谷川式簡易痴呆スケール 15 点、Mini-mental state examination(MMSE) 22 点、Frontal assessment battery(FAB) 7 点と認知能力低下あり、3m Up & Go test 40~60 秒と歩行障害を認 めた。頭部 MRI では側脳室拡大(Evans Index=0.38)を認めるが高位円蓋部の狭小化は目立たず、 左小脳橋角部に最大径 17mm の腫瘤性病変を認めた。脳槽シンチにて 48 時間後まで側脳室の描出 を認めた。髄液初圧=9cmH2O、細胞数=1 だが蛋白 64mg/dl と上昇を認めた。

Tap test(髄液 30ml 排出)にて MMSE=24 点・FAB=11 点と改善。3m Up & Go test は 20~25 秒まで改善した。

左小脳橋角部腫瘍にともなう二次性正常圧水頭症と診断。腰部クモ膜下腔-腹腔シャント術お よび腫瘍に対する放射線照射療法を施行、歩行状態は改善した。

小脳橋角部腫瘍にともなう二次性正常圧水頭症およびその管理について文献的考察を加えて 報告する。

(3)

水頭症に対するシャント手術後、剖検にて癌の脳転移が確認された一例

三野正樹み の ま さ き1、吉田昌弘1、加藤昌昭2、佐藤峰成2、西嶌泰生1、坂元和宏3 1)大崎市民病院脳神経外科、2)同神経内科、3)同病理部 特発性正常圧水頭症の診断でシャント手術を施行後、剖検にて癌の脳転移が確認された一例を 経験したので報告する。 症例は 69 才女性。2008 年 9 月より徐々に自発性の低下あり、歩行障害も出現、徐々に意識障害 も出現したため、当院を受診した。入院時 JCS 10、頭部 CT で全脳室系の拡大と、高位円蓋部で 脳溝の狭小化がみられた。脳動脈瘤は認められず、髄液排除試験で反応性の向上あり。髄液検 査で髄膜炎や癌の髄腔播種を疑う所見もなく、特発性正常圧水頭症と考えて脳室−腹腔シャント を施行した。これにより画像上水頭症の所見は改善し、臨床的にも術後数日で意識はほぼ清明 となった。 手術から 4 ヶ月後、再び意識障害の進行あり。画像上、脳室の大きさに変化はなかったが、MRI で軟髄膜の造影効果が顕著に認められ、髄液検査で数個の異型細胞が認められた。癌性髄膜炎 と考え CT および PET による全身検索を行ったが、原発巣は確認できなかった。その後も意識障 害は増悪し最終的に植物状態となり、手術から 1 年後、呼吸不全を呈して死亡した。 剖検で、右肺に径 2cm の腺癌が確認され、組織学的に脳表直下の大脳皮質を中心に、腺癌の転 移が広範囲に散在性に認められた。シャント術後であったが、腹腔内への播種は認められなか った。Retrospective にみると、シャント術前の MRI でも軟髄膜の増強効果が正常より強く認め られており、肺腺癌が軟膜転移を来たして水頭症を惹起し、シャント手術で一旦症状軽快した 後、最終的に癌腫の進展により意識障害・呼吸不全を呈したものと考えられた。 原因不明の水頭症において、悪性腫瘍は当然鑑別に挙げるべき疾患であるが、明らかな腫瘤を 形成しない癌性髄膜炎は診断が困難な場合もあり、術前診断にあたっては細心の注意を払うべ きと考えられた。

(4)

内視鏡的第三脳室底開窓術により症状改善を得た成人正常圧水頭症の一例

岡田真樹1、久松芳夫1、畠山哲宗1、四宮あや1、新堂敦1、川西正彦1、三宅啓介1、河井信行1 田宮隆1、十河彩子2、坂東正記2、川崎未来2、山田英司2

1)香川大学医学部 脳神経外科

2)香川大学医学部附属病院 リハビリテーション部

【はじめに】Persistent Blake's pouch cyst(BPC)は後頭蓋窩嚢胞性病変の一つであり、主に乳 幼児期に問題となる先天性病変であるが、稀に成人水頭症の原因として見出されることがある。 今回我々は、persistent BPC によると考えられた成人正常圧水頭症の一例を経験したので報告 する。 【症例】68 歳女性。歩行障害・認知症の進行あり、近医受診した。脳室拡大を指摘され、特発 性正常圧水頭症の疑いにて当院紹介となった。 【神経学的所見】小刻み・失調性歩行・歩行開始困難・突進現象を認め、認知機能低下(MMSE 21 点)を認めた。 【画像所見】頭部 CT では側脳室・第 3 脳室ならびに第 4 脳室を含めた全脳室系の強い拡張がみ られた。頭部 MRI では特発性正常圧水頭症に見られるような DESH (disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus)の所見は認められなかった。中脳水道の狭窄も認めなかっ た。MRI では第 4 脳室出口に膜様構造と考えられる構造物を認めた。上記の所見から、persistent BPC による正常圧水頭症を疑った。 【経過】特発性正常圧水頭症に準じてタップテストを施行したが、陰性であった。内視鏡的第三 脳室底開窓術を施行した。術後 6 ヶ月目には歩行障害の改善・突進現象の消失ならびに認知機能 の改善(MMSE 27 点)が得られ、脳室拡大にかんしても若干の改善がみられた。 【考察・結語】BPC に伴う成人水頭症は稀な病態であると考えられる。特発性正常圧水頭症に類 似する神経学的所見が見られたが、その治療法および病態生理を異にすると考えられた。成人に おける正常圧水頭症の診療に当たっては、神経学的所見にあわせ、画像所見の検討と水頭症の病 態生理への考察が重要であると考えられた。

Keyword; persistent Blake's pouch cyst, normal pressure hydrocephalus, endoscopic third ventriculostomy

(5)

内視鏡的第

内視鏡的第

内視鏡的第

内視鏡的第 3

33

3 脳室底開窓術

脳室底開窓術

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った

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Persistent Blake’s Pouch Cyst

Persistent Blake’s Pouch Cyst

Persistent Blake’s Pouch Cyst

Persistent Blake’s Pouch Cyst の

の 3

33

3 例

喜多大輔1、林康彦、古田拓也、濱田潤一郎、山崎法明、宇野英一2,、橋本正明 1) 金沢大学脳神経外科、2)福井県済生会病院脳神経外科、3)公立能登総合病院脳神経外科

【序論】Persistent Blake’s Pouch Cyst (PBPC)は胎生 8-10 週に Magendie 孔が正常に開口さ れず遺残した後頭蓋窩嚢胞であり、Dandy-WalkerSyndrome やくも膜嚢胞との鑑別を要する(図 上段)。当科にて内視鏡的に治療を行った PBPC 症例について報告する。

【症例 1】6 歳女性。妊娠、分娩に異常なし。出生時の頭囲拡大なし。3 才頃より、週 1 回程度 頭痛を訴え、嘔吐することも時々あった。うっ血乳頭なし、発達障害なし。頭囲拡大(57.0cm, +2.4SD)を指摘され MRI にて全脳室系の拡大(Evans index 0.35、第 3 脳室底 ballooning、中脳 水道拡大)を指摘された(図下段)。内視鏡的第 3 脳室底開窓術(ETV)を行い、頭痛は消失した。 【症例 2】27 歳女性。2 ヶ月前より頭痛、めまい、嘔気を自覚。うっ血乳頭はなく、頭痛以外の 神経症状を認めなかった。MRI にて症例 1 と同様の所見を認め(Evans index 0.30)、PBPC と診断 した。ETV を行い、ballooning の消失、頭痛の軽快が得られた。

【症例 3】37 歳女性。鎮痛剤無効の頭痛を訴え近医受診。症例 1、2 と同様、MRI にて全脳室系 の拡大(Evans index 0.30、第 3 脳室底 ballooning)、小脳下方の嚢胞構造があり PBPC と診断し た。RI-cisternography では、嚢胞内に RI の停滞が認められた。ETV にて頭痛は軽快した。 【考察】頭囲拡大のある症例 1 を除き、頭痛以外に症状は認めなかった。しかし、全例で ETV 後に頭痛と第 3 脳室底 Ballooning の軽快を認めている。将来的に水頭症徴候を呈すると考えら れることから、積極的に治療を行っても良いと思われた。 上:後頭蓋窩嚢胞の鑑別 Neuroradiology(2006) 48: 595-605 より引用 下: 6 歳女児(症例 1) PBPC による全脳室系、 Magendi 孔の拡大

(6)
(7)

テント上に多発髄膜腫を伴った高齢者の正常圧水頭症に対して、

タップテストを行わずにシャント術を行い良好な結果を得た 1 例について

高木 清 1, 2 1)千葉・柏たなか病院正常圧水頭症センター 2) 藤田保健衛生大学医学部脳神経外科 【はじめに】高齢者にテント上髄膜腫が偶然発見されることは希ではない。このような症例が正 常圧水頭症(NPH)に特有な症状と画像所見を呈した場合の治療方針は明確にされていない。筆 者は高齢でテント上に多発髄膜腫が見つかり、しかも NPH に特有な症状を呈した 1 例に対し、タ ップテストを行わずに脳室心房短絡(VA shunt)を行い、良好な結果を得たので報告する。 【症例】症例は 83 歳女性で 80 歳頃から歩行障害が出現し、約 3 年の経過で徐々に認知症、尿失 禁を呈するに至った。83 歳の時他院で頭部CTをとり、giant aneurysm を伴う NPH と診断され たが、高齢のために積極的治療はなされなかった。2008 年 5 月に当院を受診。画像上は明らか に水頭症であり、症状も 3 徴候が揃っていたが、テント上に大きな髄膜腫があるため腰椎穿刺で 髄液排除をすることは危険と考えられた。iNPH score は 7、MMSE は 20 点であった。家族の希望 もあり、2008 年 6 月に圧可変式バルブを用いて VA shunt を行った。バルブの初期圧は 150mm 水 柱にセットした。術後 1 週間で歩行は改善した。バルブ圧を徐々に下げ、2 年後には 70mm 水柱 で iNPH score 1、MMSE は 29 点である。

【考察】テント上に大きな髄膜腫があり、水頭症の所見を呈したので、頭蓋内圧亢進の可能性が 考えられたが、シャントバルブの圧設定からは正常圧である可能性が考えられた。

【結論】テント上に大きな髄膜腫を合併した NPH に対して、病歴と症状、および画像所見のみか ら、タップテストなしで VA shunt を行うことは安全で有効である可能性が高い。

(8)

歩行障害のない

probable iNPH

と思われる

1

喜多也寸志、佐治直樹、多々野誠、清水洋孝、瓦井俊孝 県立姫路循環器病センター神経内科 【症例】76 歳男性【主訴】頻尿、物忘れ【既往歴】60 歳頃〜:ナルコレプシーにて当科外来加 療中。73 歳〜:糖尿病・脂質異常症にて近医内服加療中。【現病歴】2〜3 年前から頻尿・尿意 切迫、同じ頃より物忘れに気づかれ、2010 年 7 月:精査加療目的で当科入院。【内科学的所見】 身長 159cm、体重 58kg、生命徴候・胸腹部に異常なし。【神経学的所見】1) 振動覚は下肢で中 等度低下、Romberg(-) 2) 歩行・継ぎ足歩行正常、四肢運動失調(-)、錐体外路症候・眼球運動 障害(-) 3) 深部腱反射:上肢・PTR 減弱、ATR 消失、病的反射(-) 4) 頻尿、尿意切迫、残尿 230mL。 【神経心理検査】1) MMSE:25/30 点、RCPM:16/36 点 2) 三宅式記銘力検査:有関係:6-8-9、 無関係:1-2-5。Benton 視覚記銘検査(10 秒呈示後再生):正確数 4、誤謬数 8。【血液・尿所見】 FPG154mg/dl 、 HbA1c7.0% 、 LDL93mg/dl 、 HDL48mg/dl 、 TG155mg/dl 、 Na138mEq/l 、 WBC6200 、 CRP0.1mg/dl、尿一般正常、甲状腺機能正常、橋本病・バセドウ病関連抗体(-)、血清自己抗体: すべて陰性、ビタミン欠乏(-)、血清腫瘍マーカー:正常域。【髄液】初圧 130mm 水柱、細胞数 0.7/μl、蛋白 45mg/dl、糖 89mg/dl、Alb30mg/dl、IgG3.6mg/dl、IgG index0.33、ACE<1.0、 sIL-2R<50.0、細胞診陰性。【頭部 MRI】軽度の大脳萎縮、軽度〜中等度の脳室拡大、Evans index 0.41、中脳水道 flow void sign(-)、大脳高位円蓋部クモ膜下腔狭小化(前頭部優位)、左視床・ 左被殻・右前頭葉深部白質に無症候性小梗塞。【頭頚部 MRA】WNL。【脳 IMP-SPECT】両側前頭側 頭頭頂部にごく軽度取り込み低下、左基底核に軽度取り込み低下。【経過】髄液排液は 15mL で 血性となり中止、tap 数日後より頻尿・尿意切迫が改善し効果は減じたものの現在も持続中。神 経心理検査は tap 後もほぼ同様。

【考察】本例は頭部画像所見上 iNPH が疑われ、髄液 tap test で排尿障害が改善したこと(糖尿 病性低緊張性膀胱の関与も否定できない)より probable iNPH と診断したが、三徴候中最も高頻 度の歩行障害を認めなかった点が特異であり、文献的考察を加え報告する。

(9)

AVIM 患者の経過観察における歩行の評価

青山雄一1、西澤茂2、宮岡亮2、戸上英憲3、中瀬浩之4、大田信介1、榊三郎1 1)白庭病院脳神経外科 2)産業医科大学脳神経外科、3)同生情報分析センター 4)奈良県立医科大学脳神経外科 【目的】正常圧水頭症(NPH)に関連し脳室拡大を認めるが NPH 症状が認めない AVIM のケースが近 年多く指摘されている。経過中に AVIM 例が NPH となるケースが見られるが、AVIM、NPH ともに 高齢者に多く、アルツハイマー型老年認知症など他疾患の合併が多く、容態の変化が NPH 発症を 示すかの判断は困難である。我々は画像的に脳室拡大を認めるが NPH 症状がなく AVIM と判断し た 4 例を歩行解析を行いつつ経過を観察した。今回、AVIM 症例の経過観察における歩行解析の 有効性を検討した。 【方法/結果】対象はものわすれ外来を受診し MRI で AVIM を疑われた患者である。神経学的評価、 FAB および MMSE など高次脳機能評価と歩行解析として Kine analyzer を用いた歩容の 3 次元解 析と床反力の力学的解析を行った。全例で自覚的な歩行障害の訴えはなく、また歩行解析を行い えた 3 例では、我々が報告してきた NPH に特徴的な力学的にふみこみが障害されたすり足歩行で はなく正常に近い歩容であった。そのため侵襲的である髄液排除テストはこれら 3 例には施行せ ず、外来にて定期的な経過観察を行った。1 例は経過中症状の変化を認めなかった。2 例につい ては画像上では明らかな変化を認めなかったが認知症症状の進行などの訴えが出現した。うち 1 例であわせて軽度の歩行障害を訴えた。しかし再度の歩行解析では 2 例とも NPH 様の歩容ではな かった。そのため軽度の歩行障害を訴えた例においても髄液排除テストを行わずリハビリを行っ たところ歩行の訴えは消失した。最後の 1 例は当初、著明な認知症のため歩行解析を行えなかっ たが、画像的に脳室拡大の進行と歩行障害が出現したため NPH と判断、髄液排除テストでも陽性 反応を得たため現在シャント術を検討中である。 【結論】AVIM の経過観察中、画像変化を伴わない場合、患者の自覚的な訴えでは NPH をきたし ているかの判断は困難であるが、歩容の変化を客観的に評価しうる歩行解析が NPH 発症の判断に 有用であった。

(10)

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症と

とレビー

レビー

レビー小体型認知症

レビー

小体型認知症

小体型認知症

小体型認知症における

における

における

における

遂行機能

遂行機能

遂行機能

遂行機能・

・歩行

歩行

歩行

歩行・

・apathy

apathy の

apathy

apathy

の重症度評価

重症度評価

重症度評価

重症度評価

山越聖子、菅野重範、斉藤 真、西尾慶之、菊池大一、飯塚 統、森悦朗 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学 【目的】 特発性正常圧水頭症 (iNPH)における臨床症候の特徴とされる遂行機能障害、歩行障害、 apathy の重症度評価が、Lewy 小体型認知症 (DLB)との鑑別に有用であるか検討する。 【方法】

年齢、MMSE、歩行検査 (10m 歩行検査)の成績に有意差のない iNPH 患者 9 名 (Definite iNPH 患者 5 名、Probable iNPH 患者 4 名)と Probable DLB 患者 9 名が参加した。全患者に対し、遂 行機能検査として Frontal Assessment Battery (FAB)、Trail Making Test (TMT-A)、語列挙 (語頭音、動物)、歩行検査として 10m 歩行検査を施行した。また apathy の重症度評価として Lille Apathy Rating Scale-caregiver version- (LARS-i)を採用し、全患者の介護者に対し て施行した。

iNPH 患者と DLB 患者の各検査の成績を比較するために Mann-Whitney’s U test

(p<0.05)を施行した。更にどの検査が最も iNPH 患者と DLB 患者を鑑別し得るか評価するため に判別分析を施行した (Stepwise method, Mahalanobis distance, p<0.05)。

【結果】 iNPH 患者群と DLB 患者群の間で、いずれの検査においても検査成績に有意な差は認められ なかった。また判別分析においても、鑑別診断において有効な検査が認められなかった。 【考察】 iNPH 患者に認められる遂行機能障害、歩行障害、apathy の評価は、先行研究においてアル ツハイマー病との鑑別に有用であると報告されているが、DLB 患者においては iNPH 患者と同 様に上記症候が認められ、鑑別に有用な因子とはならないと考えられる。iNPH の診断過程に おいて、幻視、妄想を伴わない DLB 患者との鑑別は非常に困難であると予想され、MIBG 心筋 シンチや脳血流シンチなどの画像検査や、DLB の特徴とされる視覚認知障害の評価が望まれる。

(11)

正 常 圧 水 頭 症 の 歩 行 障 害 と 頭 部 画 像 所 見 と の 関 連 に 関 す る 検 討

澤浦宏明1、大塚俊宏1、柴田晃一1、竹内優2、服部高明2、森朋子2、湯浅龍彦2、田宮亜堂3 佐伯直勝3 1)鎌ヶ谷総合病院脳神経外科 2)鎌ヶ谷総合病院難病脳内科・神経内科 3)千葉大学医学研究院脳神経外科 【目的】 正常圧水頭症における歩行障害の原因病巣は、明らかにされていない。今回、歩行障害と頭部画 像所見における関連病変がないかどうか検討を行い、若干の知見を得たので報告する。 【症例・方法】 対象症例は 2008 年 11 月から 2010 年 11 月までに当院で経験した正常圧水頭症患者 17 例の連続 症例である(definite 14 例,probable 3 例)。年齢は 67 歳から 82 歳(平均 75.6 歳)で、男性 10 例、女性 7 例であった。これらの症例につき、Tap test 前の 3m up & go test(UGT)時間と頭 部画像所見(Evans index、第 3 脳室後半部横径、シルビウス裂開大部の前後径、大脳正中部 sulcus tightness)との関連に関して検討を行った。

【結果】

Tap test 前 3m UGT は 9.86-21.81 秒(平均 14.46 秒)であった。Evans Index は 29.5-44.6% (平均 35.7%)、第 3 脳室後半部横径は 9.45-18.05mm(平均 13.7mm)、シルビウス裂開大部の前 後径 9.3-26.8mm(平均 16.3mm)を示した。High convexity tightness(HCT)は軽度の狭小化を 1、中等度の狭小化を 2、sulcus が閉塞しているものを 3 として分類し、1 が 4 例、2 が 8 例、3 が 5 例であった。

3m UGT と画像検査所見における相関係数は、Evans index:-0.308、第 3 脳室:-0.184、シ ルビウス裂:0.785、HCT:-0.009 となり、シルビウス裂開大部の前後径のみ有意な相関関係を 認めた(P<0.001)。各画像所見間には有意な相関関係は認めなかった。

【結論】

(12)

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症における

における

における

における

視空間性機能障害

視空間性機能障害

視空間性機能障害

視空間性機能障害と

と前頭頭頂

前頭頭頂

前頭頭頂皮質下

前頭頭頂

皮質下白質障害

皮質下

皮質下

白質障害

白質障害

白質障害との

との

との

との関連

関連

関連

関連

齋藤真1、菅野重範1、西尾慶之1、高木正仁1、菊池大一1 、飯塚統1、山﨑浩1、下村辰雄2 森悦朗1 1)東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学 2)秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 【目的】特発性正常圧水頭症(iNPH)の視空間性機能障害と大脳白質の障害との関連を検討する。 【方法】東北大学病院高次脳機能障害科、および秋田県立リハビリテーション・精神医療センタ ーリハビリ科に入院し、definite iNPH の診断基準を満たした 33 名 (75.7±4.4 歳;教育歴 10.8 ±3.5 年;女性 14 名、男性 19 名)、および年齢、Mini Mental State Examination の点数等を揃 えたアルツハイマー病 (AD)患者 17 名 (75.3±6.4 歳;教育歴 10.0±2.5 年;女性 11 名、男性 6 名)を対象とした。視空間性機能の評価には、視覚計数課題を用いた。脳 MRI 拡散テンソル画像 より得られた各患者の Fractional Anisotropy (FA)値について、iNPH 群と AD 群の群間比較、お よび iNPH 群内における相関解析を行った。相関解析では共変量として年齢、性別および iNPH Grading Scale の合計点を用いた。画像解析には FSL4.1 の拡散テンソル解析用ツールとして提 供されている Tract-Based Spatial Statistics を用いた。

【結果】iNPH 群では AD 群に比して視覚計数課題の成績が有意に低かった (p < 0.05)。FA 値の 比較では、iNPH 群は AD 群に比して頭頂葉および前頭葉皮質下白質をはじめとした広範な FA 低 値を示した (p < 0.05 uncorrected)。iNPH 群内における相関解析では、主に左頭頂葉および左 前頭葉内側皮質下における FA 値が有意に低かった(p < 0.005 uncorrected)。 【考察】iNPH では AD に比して視空間性機能障害が重度であり、頭頂葉および前頭葉皮質下白質 をはじめとした広い領域が障害されていた。また iNPH における視空間性機能障害は、前頭葉お よび頭頂葉を結ぶ前頭頭頂ネットワークの障害と関連している可能性が示唆された。

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大脳皮質基底核変性症/進行性核上性麻痺は髄液排泄障害を伴い

特発性正常圧水頭症様の病態を取り得る

森敏1、五影昌弘2、村西学2、川上理3、柘植雄一郎3、山田圭介3 1)滋賀県立大学人間看護学部 2) 松下記念病院神経内科 3) 同脳神経外科 【目的】特発性正常圧水頭症(iNPH)の症候・画像をそなえ、タップテスト陽性 and/or シャント有効の 大脳皮質基底核変性症(CBD)/進行性核上性麻痺(PSP)の 4 例を報告する。 【方法】臨床症候・画像を検討した。 【結果】[症例1]79 男。2008 年小刻み歩行、翌年頻尿。下方視制限、左優位固縮、小刻み歩行、す くみ足、左肢節運動失行。タップテスト陽性。iNPH 所見に加えて、中脳被蓋萎縮、第三脳室拡大、右 下頭頂小葉萎縮、前頭葉萎縮、白質高信号、脳室壁不整。シャント改善なし。 [症例2]60 男。2001 年小刻み歩行。2004 年シャント著効。2006 年転倒傾向。下方視制限、固縮。 2007 年左肢節運動失行。2008 年歩行困難、左手拘縮。同じく、右下頭頂小葉萎縮、脳室の壁不整、前 頭葉白質高信号。 [症例3]79 女。2008 年加速歩行、易転倒性、尿失禁、知的能低下。タップテスト陽性。下方視制限 と頸部固縮。同じく、中脳被蓋萎縮、第三脳室拡大、右下頭頂葉萎縮、びまん性白質病変。 [症例4]60 女。2005 年もの忘れ、2007 年小刻み歩行、易転倒性、尿失禁。2009 年シャントで改善 するもその後悪化。2010 年 4 月、両側ミオクローヌス、頸部固縮、肢節運動失行。同じく、中脳被蓋 軽度萎縮、右下頭頂小葉萎縮、後角周囲白質高信号、脳室壁不整。 【結論】 1.CBD/PSP は髄液排泄障害を伴い iNPH 様の病態を取り得る。 2.鑑別には、下方視制限、頸部固縮、すくみ足、肢節運動失行、ミオクローヌス、画像にて、中脳 被蓋萎縮、下頭頂小葉萎縮、白質病変、脳室壁不整を確認する。

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パーキンソン症候群を併発する特発性正常圧水頭症の治療効果の検討

輪島大介、弘中康雄、朴永銖、中瀬裕之 奈良県立医科大学脳神経外科

【はじめに】パーキンソン症候群は i NPH との鑑別が困難な疾患である。特にパーキンソン症候 群を合併していると考えられる i NPH での治療効果に関する報告は少ない。当科にて i NPH と 診断し、shunt 術を施行した症例で tap test 前後での症状変化についての評価を、特にパーキ ンソン症候群合併の有無に注目して検討したので報告する。 【対象・方法】2007 年 4 月~2010 年 3 月を対象期間とし、当科にて特発性水頭症診療ガイドラ インに基づき probable iNPH と診断し、シャント術を施行された 17 症例を対象とした。安静時 の振戦、筋強剛(筋固縮)、無動・寡動、姿勢保持反射障害の運動症状を主徴とし、認知障害、 自律神経障害の全てまたは一部を合併し、パーキンソン症候群として服薬加療を受けているもの を PS(+)群とした。Tap test での術前評価と術後(3 日、1 か月、6 か月)の状態変化を考察 した retrospective study を行った。JNPHGS での評価とした。 【結果・結語】probable i NPH と診断し shunt 術を行ったものは全例で JNPHGS の改善を認めた。 特に歩行障害の改善は tap test の結果を良好に反映していた。しかし PS(+)群では tap test 直 後もしくはシャント術 3 日後の状態に比べて歩行障害の改善が PS(-)群と比較して乏しい結果で あった。

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進行性核上性麻痺患者に認められた特発性正常圧水頭症の画像所見の検討

渡 邉 暁 博 1 、 野 田 由 香 子 2 、 荒 畑 創 1 、 荒 木 栄 一 3 、 古 谷 博 和 1 、 藤 井 直 樹 1 国 立 病 院 機 構 大 牟 田 病 院 神 経 内 科 、 2) 現 : 中 田 医 院 、 3) 現 : 早 良 病 院 内 科

【 背 景 ・ 目 的 】 神 経 変 性 疾 患 に お い て 脳 画 像 上 、 側 脳 室 の 拡 大 を 呈 す 症 例 を し ば し ば 経 験 す る 。 我 々 は 昨 年 の 本 研 究 会 で tap test 陽 性 の 正 常 圧 水 頭 症 を 呈 し た 進 行 性 核 上 性 麻 痺 (PSP) の 3 症 例 を 報 告 し た 。 近 時 、 iNPH 患 者 の MRI 画 像 の 解 析 よ り 、 iNPH に 特 徴 的 と さ れ る 画 像 所 見 が 提 示 さ れ た 。 我 々 は 自 験 例 の PSP 患 者 に お け る 画 像 所 見 を 解 析 し 、 NPH と の 関 連 に つ き 検 討 し た 。

【 方 法 】 症 例 : 当 院 で 2005 年 以 降 経 験 し た probable PSP 患 者 の う ち 、 発 症 3 年 以 上 経 過 し 、 頭 部 MRI を 冠 状 断 を 含 め 撮 影 し え た 症 例 を 対 象 と し た 。 画 像 評 価 : 画 像 所 見 と し て 、 iNPH に 特 徴 的 な 所 見 と さ れ る ① 側 脳 室 の 拡 大 ( Evans Index 0.3 以 上 )、 ② 脳 梁 角 の 狭 小 化 ( 100 度 以 下 )、 ③ 高 位 円 蓋 部 の 脳 溝 ・ ク モ 膜 下 腔 の 狭 小 化 に つ い て 評 価 し た 。 【 結 果 】 対 象 と な っ た PSP 患 者 は 25 例 で あ っ た 。 こ の う ち ① を 満 た し た 症 例 は 14 例 で あ っ た 。 そ の う ち ② を 満 た し た 症 例 は 7 例 で あ っ た 。 さ ら に ③ を 満 た す 症 例 が 3 例 あ っ た 。 【 考 察 】 PSP の 一 部 の 症 例 で は 、 iNPH に 特 徴 的 と さ れ る MRI 画 像 所 見 を 呈 す も の が あ る こ と を 示 し た 。 そ の 頻 度 は 、 一 般 住 民 高 齢 者 に NPH 的 画 像 を 呈 す る 頻 度 ( 1 ~ 2% ) よ り は は る か に 高 く 、 NPH の 単 な る 合 併 と は 考 え に く い 。 PSP と NPH と は 全 く 異 な る 機 序 に よ り 発 症 す る の で は な く 、 PSP 患 者 の 一 部 で 何 ら か の 要 因 が 付 加 さ れ る こ と に よ り 、 NPH と 同 様 な 病 態 に い た る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。

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水頭症

水頭症

水頭症

水頭症における

における血管造影用

における

における

血管造影用

血管造影用

血管造影用ピールオフシース

ピールオフシース

ピールオフシースを

ピールオフシース

を用

用いた

いた

いた

いた

経皮的内頸静脈穿刺法

経皮的内頸静脈穿刺法

経皮的内頸静脈穿刺法

経皮的内頸静脈穿刺法による

による

によるVA

による

VA

VA

VAシャント

シャント

シャント術

シャント

松平哲史、小林望、岡田健、遠藤乙音、清水清元、西堀正洋、山本直人 愛知県厚生連海南病院脳神経外科 【はじめに】水頭症に対する治療法として広く用いられているシャント手術の中で脳神経外科医 がより多く用いる方法として脳室-腹腔短絡術(以下 VP シャント)や腰椎-腹腔短絡術(以下 LP シャント)がある。しかし時に胃瘻(以下 PEG)造設患者や腹部手術歴のある患者など腹側の トラブルによるシャント機能不全や感染といったリスクも報告されており、その後の水頭症加療 に難渋することもある。それに対し脳室-心房短絡術(以下 VA シャント)は腹部を起因とした シャントトラブルを回避するには有用であるが、心房側のチューブ挿入やチューブ位置の決定に おいてやや侵襲的で困難な点が存在する為、前2者よりあまり用いられてはいない。今回我々は 血管造影用ピールオフシースを用いた経皮的内頚静脈穿刺法を用いることでより簡便かつ安全 に VA シャントを行う方法を検討した。当院の症例3症例を参考にこの方法について紹介する。 【症例】当院では6例施行しており、その内の3例を紹介する。6例とも心房側はほぼ予定位置 に挿入できていた。手術時間も 60 分以内の症例もあり迅速であった。 【方法】脳室側のチューブ挿入に関しては VP シャントとやり方は同じである。脳室側の処置を 終了させた後に心房側を施行する。 まず①使用するシースのガイドワイヤーの長さを測っておく。②内頚静脈を穿刺する。③ガイド ワイヤーを挿入し、X 線透視下にてその先端部を本チューブの先端部の予定位置と同じ場所にあ わせる。④ その位置にて①の長さから穿刺部より外に出ているガイドワイヤーの長さを引く。 その長さが穿刺部から心房側へ入れるチューブの長さである。⑤チューブを穿刺部まで通した後、 そこから設定した長さに切る。⑥ガイドワイヤーからピールオフシースを挿入する。⑦本チュー ブをシースから挿入しながらシースをさいていく(ピールオフ)。 以上で終了となる。穿刺手技 は通常の中心静脈カテーテルを入れる時と同じである。 【考察】この方法の利点は、出血が少ない、頚部の創部も小さくなる、手術時間の短縮がはかれ 患者の侵襲も減らせる他に、心房側チューブの位置決定が容易に行える事もある。この方法を用 いてからは経食道心エコーは一切用いていない。今後はさらに全身麻酔から皮下麻酔+軽度静脈 麻酔下でこの方法ができないか検討中である。 【結語】血管造影用ピールオフシースを用いた経皮的内頚静脈穿刺法でより簡便かつ安全に VA シャントを行う事が可能であった。脳神経外科医であればすぐに習熟可能な手技であり、VA シ ャントを行う症例に対してはこの方法の今後の普及を期待したい。

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当院における腰椎腹腔短絡術(LP シャント)の工夫

村上太郎、川本行彦、吉岡宏幸、米澤公器、岡村朗健 広島市立安佐市民病院脳神経外科 交通性水頭症に対する恒久的な外科的治療として、当院では近年まで、脳室腹腔短絡術を第 一選択としていた。しかし、我々は 2010 年 9 月から、交通性水頭症に対する外科的治療として、 より低侵襲性を考慮し、腰椎腹腔短絡術(LP シャント)を導入した。今回、当院における、LP シ ャントの工夫について報告する。 手術は、全身麻酔下で側臥位にて持続腰椎ドレナージ法に準じて、腰椎側チューブを挿入し、 その後に仰臥位へと体位変換を行う。側臥位のまま腹部操作を行う方法もあるが、側臥位のま までの腹腔内確保の操作はある程度の経験を要し、そのため操作が困難となることがある。当 院では、皮下トンネル用パサーを半円弧状に型どり、中継点を設けることなく、腹腔操作へ移 行することを可能とし、腹部操作も慣れた仰臥位で行うこととしている。 そのほかシャントチューブとコネクターの連結方法、腹腔側チューブの留置の仕方、体位変 更に伴う麻酔管理などに対して、動画を供覧しながら、当院での手術方法について報告する。

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当院における腰椎腹腔短絡術

笹口修男1、栗原秀行、本徳浩二、金井光康2 1)独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター脳神経外科、2)同神経内科 当院においては特発性正常圧水頭症(iNPH)は神経内科医の診断の後、当科に紹介となり、加療を行ってい る。当院では iNPH の手術は腰椎腹腔短絡術(LPshunt)を第一選択としている。これは脳実質を損傷する可 能性がなく行える手技であることが大きな理由となっている。 平成 19 年 1 月以後、平成 22 年 11 月 30 日までの間に対象疾患にかかわらず、当院で施行された水頭症手術 は全体で 48 例であった。脳室腹腔短絡術(VPshunt)は 19 例、LPshunt は 29 例であった。最近の傾向とし ては VPshunt は減少し、平成 21 年 4 月から 1 年では VPshunt5例、LPshunt7 例であった。平成 22 年 4 月か ら 11 月までの間には LPshunt10 例であり、平成 22 年 1 月から 11 月までの例にいたっては VPshunt 0 例、 LPshunt 13 例であった。これは最近では閉塞性水頭症以外の水頭症について第一選択として LPshunt を施 行しているためであり、また最近の特発性正常圧水頭症手術の増加も反映していると考えられた。なお、平 成 18 年以前の手術は全例 VPshunt であった。 今回 LPshunt について当院で行われている手技を動画にて報告する。 シャントシステムはコッドマンハキム圧可変式バルブサイフォンガード付を使用。バルブは腰背部に設置。 術中の体位は側臥位のまま施行しているが、これまでに、操作困難で体位を変更した症例はない。可変式バ ルブを腰背部に設置する理由としては内腔の細い腰椎管の長さを極力短くする事と圧変更の際の操作、確認 の容易さを理由としている。また、腹腔内への挿入は腹壁の脂肪が非常に厚い症例もあるが、腹直筋の前鞘、 後鞘、腹膜を吊り上げつつ行うことで、対処している。以上につき、報告する。

(19)

正常圧水頭症におけるシャント治療の有効性と課題について:

腰椎腹腔シャント術と脳室腹腔シャント術の比較から

小野成紀、石田穣治、伊達 勲 岡山大学大学院脳神経外科 【はじめに】 正常圧水頭症(NPH)に対する治療法として、多くの施設で脳室腹腔シャント(VP シャント)が 標準的に行われており、信頼性の高い治療方法として確立している。その一方で、高齢化社会を むかえた現在、高齢の NPH 患者に対し脳実質を穿刺することのデメリットや、頭部に傷や凹凸が できるなどといった整容的観点から、腰椎腹腔シャント(LP シャント)を施行する施設も次第 に増加しているものと考えられる。このような背景の中、今回、当科における NPH 患者に対する LP シャントの有効性、課題などについて、VP シャントと比較分析を行ったので報告する。 【方法と結果】 対象は、2006 年から 2010 年までの 5 年間における NPH 患者のうちシャント治療を行った 56 名。 これらにおいて、原疾患、シャント術式、合併症、予後などについて LP シャントと VP シャント 症例を比較検討した。LP シャント症例は計 18 例、平均年齢 65.6 歳、男:女=1:1.57、原疾患、 くも膜下出血後:38.9%、腫瘍関連水頭症:11.1%、感染後:22.2%、iNPH:27.8%であった。 合併症は 3 例でシャント閉塞 1 例、シャント腹壁への脱落 1 例、硬膜下血腫 1 例であった。VP シャント症例は計 38 例の検討で、平均年齢 54.5 歳、男:女=1:0.88、原疾患、くも膜下出血 後:10.5%、腫瘍関連水頭症:39.5%、脳内出血後:7.9%、iNPH:29%、その他:13.2%であっ た。合併症は 3 例で、シャント閉塞 1 例、シャント感染 1 例、硬膜下水腫 1 例であった。LP シ ャントは SAH 症例で多い傾向にあり、VP シャントは脳腫瘍に関連した NPH に多く施行されてい た。NPH 全体に対しては高齢者で特に LP シャントが多く行われる傾向にあったが、iNPH では VP、 LP ほぼ同等の施行率となっていた。合併症に関しては VP より LP で頻度は高く、iNPH ではさら に高頻度の合併症を認めた。 【考察と結語】 近年高齢者等に多く用いられるようになった LP シャントであるが、原疾患等を考慮したうえで 慎重に施行することでより良い成績が得られるようになった。その一方で、病態により生じる合 併症にも十分留意する必要があると考えられた。

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当院におけるくも膜下出血後続発性水頭症に対する L-P shunt の治療成績

—L-P shunt が有効でなかった症例の検討—

山城重雄1、等泰之、吉田顕正、倉津純一2 1)熊本労災病院脳神経外科、2)熊本大学脳神経外科

【背景】熊本県は歴史的に L-P shunt の普及が早く、当院でも 1995 年よりくも膜下出血後水頭 症に対して L-P shunt が開始されている。今回特に成績不良群の検討を行い、L-P shunt first の方針が正当かどうか検討した。

【対象と方法】1989 年より 2009 年までの 621 例のくも膜下出血症例のうち、髄液シャント術は 142 例に行われていた。このうち L-P shunt は 76 例で、意図的に L-P shunt first の方針とし た 2002 年以降は 59 例であった。この 59 例を対象にシャントの効果と無効例の調査を行った。 シャントの効果は術前の Japan Coma Scale (JCS)が 3 段階以上改善した例を著効、1-3 段階の 改善を有効、改善なしを不変と定義した。 【結果】全 59 例の成績は、著効が 13 例(22%)、有効が 38 例(64%)、不変が 6 例(10%)、効果不 明が 2 例(4%)という結果であった。周術期合併症はシャント機能不全が 6 例、感染が2例、腹 腔内仮性嚢胞嚢胞嚢胞嚢胞が 1 例にみられた。6 例のシャント無効例のうち、4 例は脳血管攣縮に水頭症を伴 い術前より意識障害が遷延し活動性が低かった。これらではシャントシステムの開通はあるも のの、可変圧バルブ圧を最低の段階に下げても脳室の縮小がみられなかった。1 例で V-P shunt に変更したところ、脳室の縮小と JCS の若干の改善がみられた。 【結論】くも膜下出血後の続発性水頭症にはおおむね L-P shunt が有効であるが、無効例が一 部にみられる。特に脳血管攣縮を併発し意識障害が強い例では、L-P shunt よりも V-P shunt が 良好な結果を得られる可能性がある。現在 L-P shunt first の方針を見直し、V-P shunt の適応 につき再検討している途中である。

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当院での LP シャント機能不全症例の検討

川上理1、山田圭介、柘植雄一郎、田中鉄兵、五影昌弘、村西学、森敏3 1)松下記念病院脳神経外科、2)同神経内科、3)滋賀県立大学人間看護学部 【目的】現在、水頭症に対して VP シャントと LP シャントが広く行われている。今回当院でシャ ント術を実施後に、機能不全を来たした症例につき検討をおこなった。 【対象】当院で 2007 年から 2010 年に施行したシャント手術症例 17 例を対象とした。疾患の診 断は当院の神経内科で行われ、神経内科が指定した術式で施行した。疾患の内訳は、特発性正常 圧水頭症 14 例、二次性水頭症 3 例であり、手術の内訳は LP シャント 7 例、VP シャント 10 例で あった。シャントシステムは全例 Codman-Hakim programmable valve(サイフォンガード付)を 使用した。 【結果】 【LP シャント症例】7 症例のうち 4 例で機能不全を認めた。この 4 例はすべて特発性正常圧 水頭症症例であった。このうち 3 例は腹腔側チューブの逸脱(逸脱した時期は 2 例は手術後約 1 ヶ月、もう 1 例は手術後 1 年半後であった。)、1 例は腰椎側チューブの断裂(手術後 1 年半後) であった。腹腔側チューブの逸脱を認めた 3 症例はいずれもいわゆる肥満体型であり、機能不全 のない症例は痩せ型が多かった。機能不全を認めた 4 例とも再手術(3 例は VP シャント術、1 例は LP シャント再建術)を行い、症状の改善を確認した。 【VP シャント症例】機能不全を認めなかった。 【考察】シャント機能不全を来たすと再手術を要し、患者にとって侵襲が多くなる。LP シャン トは脳の穿刺を伴わないという利点があるが、肥満体型の患者では体動により腹腔側チューブが 逸脱する可能性があり、術式の選択は慎重に判断しなければならないと考えられる。

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腹腔シャントカテーテルの右心系心臓内迷入の1例

中野渡智、吉田俊、小島昭雄、竹本安範 平塚共済病院脳神経外科 脳室腹腔シャントの合併症として、腹腔カテーテルの様々な部位への迷入が知られているが血 管内迷入という事例は稀である。今回我々は、腹腔シャントカテーテルが術後早期に右心系心 臓内に迷入していた1例を経験した。 症例は68歳女性で、右聴神経腫瘍に対するγナイフ後の遅発性水頭症に対して左脳室腹腔シ ャント施行。術直後のXrayで腹腔カテーテルの走行に問題なかった。約1ヵ月経過し、動悸・ 息切れなど胸部症状を自覚。Xrayで腹腔カテーテルの右心系心臓内迷入が判明した。 CTで、迷入は左内頸静脈より始まり上大静脈から右心房心室を通って先端部は肺動脈内末梢部 に存在していた。RIシンチで、シャントカテーテルは機能しており髄液の自然流出が保たれて いた。胸部症状遷延のため、腹腔カテーテル抜去し、その後腹腔内へ再建した。抜去の際は、 術前に充分ヘパリン化し術中Xray透視下で安全に施行し肺血栓塞栓症の発生はなかった。術後 は症状軽快し、水頭症の増悪や腹腔カテーテルの再迷入は認めていない。 まず、腹腔カテーテル先端部が肺動脈内に存在していたにもかかわらずシャントが機能してい たのは、楔入部にまで迷入していたため左房内圧下にあったためと思われる。また迷入の時期 や機序としては、術後の癒着が強固になる前の比較的早期に患者の活動度が上がり中心静脈の 静水圧が下がったため静脈内に引き込まれた結果と思われる。結果的には、脳室心房内シャン トとなっていた訳であるが、胸部症状があった事や線溶系が亢進していた事から臨床的に経過 観察は困難であったと考える。予防策は、とにかく皮下ルート作成時に深くなり過ぎないこと、 内側に寄り過ぎない事に尽きると思う。但し、この際も外頸静脈の損傷には充分注意が必要で ある。 腹腔カテーテルの心臓内迷入という稀な事例を経験したので、他の報告など含め文献的考察を 加えて報告する。

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LPシャント術後に腰椎後方成分によりシャントチューブ断裂を来した一例

野田公寿茂の だ こ す も、木村輝雄、関俊隆、川崎和凡、宮野真、橋本政明 明生会道東脳神経外科病院 【はじめに】 特発性正常圧水頭症に対するシャント手術として,LPシャントを用いることが増えて来ている.比較的安全な 手術手技である反面,予期せぬ合併症を経験することがある. 今回われわれは,LPシャント術後に腰椎後方成分による慢性的な機械的圧迫により,チューブが断裂したと思 われる症例を経験したので報告する. 【症例】 69才男性.進行性に増悪する認知機能障害および歩行障害を主訴に当院外来を受診.精査の後,特発性水頭症 と診断しLPシャント術を行った.術後の経過は順調であったが,術後一年を経過したころより神経症状の再増 悪を認めた.Head CTで脳室の再拡大を認めたため設定圧を下げたが,脳室の縮小は得られなかった.そのためシャント機能不全 と判断し,入院後にシャント造影を行った.造影検査では腹側のpatencyに問題を認めなかった.シャント造 影後に撮影した腹部CTにおいて,腰椎部分でのチューブの断裂が確認された. 当初,家族から転倒して殿部を強打していたとの情報があり,外傷によるチューブの断裂と判断し,再度LPシ ャントを行った. 再び順調に経過し,外来でフォローを行ったが,4ヵ月後に再度脳室の再増大を認め,腹部CTで腰椎部分での チューブの再断裂が確認された.二度目の断裂の際には,とくに外傷の既往はなく,画像評価からも腰椎後方 成分による圧迫が生じている可能性が疑われたため,三度目の手術ではVPシャントを行った. なお,シャントチューブの切断面に関しては,術中の機械操作による傷はついていないことを確認している. 【考察】 LPシャント術後に腰椎後方成分の慢性的な機械的刺激によりシャントチューブが断裂した症例を経験した.比 較的稀な合併症ではあるが,シャント不全を生じた場合には腰椎部分でのチューブ断裂の可能性も考慮すべき であると思われた.若干の文献的考察を加え,対処方法について検討したい.

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稀な VP シャント合併症の 2 症例

平井収1、松本眞人1、朝日 稔1、角井健太2 1)神鋼病院脳神経外科、2)同泌尿器科 VP シャント(VPS)に関連する合併症は多岐に渡るが、今まで経験したことのない 2 件の病態を 報告する。 【症例 1】74 歳男性。8 年前に SAH 後の水頭症に対し VPS、2 年前に前立腺癌に対し放射線治療 が施行され、今回は進行性胃癌に対する化学療法目的で消化器科入院していた。入院中に脳幹 梗塞を併発し持続尿道カテーテルを留置した 3 日後に肉眼的血尿を認め、泌尿器科で膀胱鏡を 施行した所、膀胱内に腹腔カテーテルを認めた。発熱もありバルブ穿刺をしたところ細胞数が 1044 であったので、同日カテーテルを抜去した。その後血尿・髄膜炎は落ち着き療養目的で転 院した。当時腹腔カテーテルの片端が斜めに cut してあった側を挿入したことと、放射線治療 による膀胱壁の脆弱化が原因と考えられた。 【症例 2】74 歳女性。iNPH の診断で VPS を行い症状改善したが、約 1 ヶ月後より腹部切開創の 発赤腫脹を来たし、37 日後に受診。感染と考え緊急で抜去したところ、透明な髄液が噴出し、 カテーテル先端が完全に皮下に脱出していることを確認した。この症例は 154cm、72kg であり、 立位に伴い分厚い皮下脂肪が下方に移動するためカテーテルが逸脱したものと判断し、再建術 を行い改善した。 当科では VPS 102 例中 19 例(18.6%)、LPS 17 例中 2 例(11.8%)に何らかの再手術が行われて いるが、このような経験は初めてであり、教訓的な意味も含めて報告する。

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Anti-siphon 機構使用により意識障害が遷延した

クモ膜下出血後の正常圧水頭症2症例の検討

齋藤靖、天野慎一郎、山崎友裕 静岡赤十字病院脳神経外科 【はじめに】当院では2009年9月よりクモ膜下出血後の水頭症患者に対し、ADLが高くなると予測 される症例には、anti-siphon機構がついたシャンとシステムを使用している。2010年10月まで に10例使用し(proGAV 5例、StrataⅡ 5例)、2例で流量不足が原因での遷延性意識障害を経験し たので報告する。

【症例1】70歳女性、破裂内頸動脈瘤、Hunt & Kosnick grade2。ネッククリッピング術33日後に V-Pshunt術施行(proGAV 10cmH20で開始)。54日後にリハビリ病院へ転院(GCS E3M6V4 傾眠傾向 で明らかな麻痺を認めないが、歩行不能、食事自力摂取不能、寝たきり)。 外来にて、0cmH20に変更するも、CT、臨床症状ともに改善無く、シャント造影にて閉塞が無い事 も確認された。発症6ヶ月後に固定圧低圧バルブに交換。1週間後には食事自力摂取可能となり、 2週間で独歩退院。その後低髄液圧による頭痛の訴え強く圧可変式バルブに交換し現在一人暮ら しが可能となっている。 【症例2】71歳男性、破裂中大脳動脈瘤,Hunt&Kosnick grade2。 ネッククリッピング術39日後に V-Pshunt術施行(StrataⅡ 1.5で開始)。意識改善無いため術2日後に設定を0.5に変更。術後2 週間で傾眠改善無く(GCS E3M6V4明らかな麻痺無し、食事自力摂取不能、寝たきり)、CT上の脳室 拡大も改善無いため、シャント造影を施行。閉塞が無い事が確認され、シャント術4週後に固定 圧低圧バルブに交換。2日後には歩行可能となるも低髄液圧による頭痛の訴え強く圧可変式バル ブに変換し独歩退院となっている。 【考察】anti-siphon 機構の欠点として、閉塞の率が高まる事と流量不足が挙げられる。今回の 2症例で閉塞は認めなかった。症例1の原因として、重力可変式バルブが体軸と平行に設置され ていない事が確認された。そのため臥位の状態でも重力可変式バルブ圧が 0cmH20 とならず、圧 可変式バルブを 0cmH20 に設定しても流量不足が生じたと考えられた。症例2では、デルタチャ ンバーを圧迫する程の血腫も無く、設置部位もモンロー孔よりやや高い程度のため、4 週間かけ ても流量不足が持続した原因は不明である。debris により閉塞に至らない程度の狭窄があった と考えている。 【結語】anti-siphon 機構を使用した 10 例中2例で明らかな流量不足を経験した。圧可変式バ ルブのみでも殆どの症例で流量過多の症状に対処できる事より、クモ膜下出血後の正常圧水頭症 に対しては、最初は圧可変式バルブのみの選択が良いと思われた。

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LP シャント後に低髄液圧症状のコントロールに苦労した 2 症例

坂田修治、岡本浩昌、緒方敦之 佐賀県立病院好生館脳神経外科 当院では 2002 年から 44 例の特発性正常圧水頭症に対して、脳室腹腔短絡術(VP シャント術) 18 例、腰部くも膜下腔腹腔短絡術(LP シャント術)26 例を行った。最近では Codman Hakim ア ンチサイホン装置付きバルブを腸骨部に設置する LP シャント術を第一選択としている。LP シ ャント後に低髄液圧症状を呈し、そのコントロールに苦労した 2 症例を経験したので、シャン トバルブ圧設定に関して文献的考察を加え報告する。 【症例1】 71 歳の男性で、数年前から歩行障害出現し、頻尿、尿失禁も伴っていた。身長 166cm、体重 60kg で、JNPHGS-R では、歩行障害2,認知障害0,排尿障害2であった。頭部 MRI では Evan's Index0.29、シルビウス裂の拡大、脳溝の局所的拡大、頭頂円蓋部脳槽の狭小化所 見を認めた。タップテスト陽性であったので、Codman Hakim の圧可変式シャントバルブを下腹 部の皮下に留置する LP シャント術を行った。術後、歩行障害、頻尿等の症状は改善したものの、 起立時に悪化する頭痛が出現し、シャントバルブ圧を 20cm 水柱まで上げて経過を見た。頭痛が 持続するので、1年5ヶ月後にバルブの腹腔側にアンチサイホン装置を設置した。現在、バル ブ圧を 20cm 水柱にしているが、体重が減少すると頭痛が出現する。 【症例2】 85 歳の男性で、1 年くらい前から小刻みな歩行となり半年前から杖を使用するよ うになった。同じ頃より頻尿と意欲低下が見られるようになった。身長 168cm,体重 60kg で MMSE は 26 点であった。JNPHGS-R では歩行障害2,認知障害2,排尿障害2であった。頭部 MRI では Evan's Index0.35、シルビウス裂の拡大、脳溝の局所的拡大、頭頂円蓋部脳槽の狭小 化所見を認めた。Codman Hakim のアンチサイホン付き圧可変式シャントバルブを腸骨部の皮下 に留置する LP シャント術を行った。(バルブ圧 16cm 水柱)。術後、歩行障害、頻尿等の症状は 改善したものの、頭痛、項部痛などが出現した。シャントバルブ圧を 20cm 水柱まで上げて、数 ヵ月後には頭痛は消失した。バルブ圧を上げることにより、歩行障害はやや悪化したが、その まま経過を見ている。 圧可変式シャントシステムを使用した LP シャント術は特発性正常圧水頭症の治療には有用 な術式であると思われるが、体形によってはバルブ圧を最高にしても低髄液圧症状が出ること があり、今後の検討を要する。

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V-P シャント機能不全よりパーキンソニズムを呈した 2 例

清水信行1、川崎隆1、川本裕子3、間中浩1、辛正廣4、坂田勝巳1、川原信隆2 1)横浜市大附属市民総合医療センター脳神経外科、2)横浜市大附属病院脳神経外科、 3)横浜市大附属病院神経内科、4)東京大学脳神経外科 V-P シャント機能不全よりパーキンソニズムを呈した 2 例を経験したので報告する。 【症例 1】49歳男性、2004年10月小脳虫部海綿状血管腫摘出術施行、体幹失調を認めるものの 独歩退院となった。11月に急性水頭症を併発したため、脳室ドレナージ術施行し、最終的にV-P シャント造設した。圧は当初15cmH2Oとしたが、slit like ventricleとなったため、18cmH2O に変更した。12月嘔気、ふらつきが出現、頭部MRIで脳室の軽度拡大およびT2WI、FLAIRともに 第四脳室周囲に高信号を認めたためシャント圧を16cmH2Oへ再設定したところ、動作緩慢、仮 面様顔貌、歯車様固縮などのパーキンソニズムが出現し、L-DOPA、塩酸アマンタジン内服を開始 した。翌年2月には再び脳室拡大を呈したため、2月26日脳室ドレナージ術および3月4日内視鏡下 第三脳室開窓術施行した。その後、徐々にパーキンソニズムは改善し、介助下に歩行可能となっ た。 【症例 2】15歳女性、14歳より歩行障害が出現した。脊髄小脳変性症、水頭症と診断され、V-P シャント造設したが、画像上slit like ventricleおよび両側硬膜下水腫を認め、バルブ圧を20 cmH2Oとし、アンチサイフォンバルブを前胸部に挿入した。しかし水腫はさらに増大するとと もに慢性硬膜下血腫化したため両側穿頭ドレナージおよびソフィーバルブ(15cmH2O)を直列に 接続した。ところが術後、硬膜下血腫は改善したものの、無動、無言、固縮などのパーキンソニ ズムを呈した。血腫の治癒とともにバルブ圧を再び下げることで、パーキンソ二ズムは徐々に軽 快、杖歩行可能となった。

【考察】V-P シャント後にパーキンソニズムを呈する病態は「Sylvian aquaduct syndrome and global rostral midbrain dysfunction」として報告されており、その特徴として、①第三脳室、 側脳室が拡大する閉塞性水頭症に対して V-P シャント施行するも、シャント機能不全の治療に難 渋し、短期間に複数回の再建を行っている。②画像上、脳室は縮小したが、臨床症状は改善せず、 進行性に悪化する。③MRI の T2 で中脳背側に高信号が見られることが挙げられている。今回、2 症例ともシャント造設後のシャント機能不全を契機にパーキンソニズムを呈したが、特に症例1. はシャント不全を繰り返しており、内視鏡下第三脳室開放術が有効であった。

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立位保持困難例に対するシャント手術

岡田隆晴、金子美紀子 東京都保健医療公社多摩北部医療センター脳神経外科 立位保持困難は、INPH の終末期像でシャント効果は通常期待できない。今回、手術効果は僅か であり、立位保持が可能となったことのみであったが、介護者の立場からはかなりの負担軽減を 得た症例を経験した。 【症例】78 才、女性 【主訴】 歩行障害、失禁、認知症 【既往歴】高血圧、高脂血症、胆石術後 【現病歴】 5 年前歩行障害から始まり、次第に3徴候が進行した。他院にて INPH を指摘され たが軽度のため手術は行わず経過観察も中断した。77 才ごろから歩行障害が急速に進行し立位 保持も困難となったため来院した。 【術前所見】(かっこ内術後) INPH スケール:歩行4(4)認知3(3)失禁4(4)、HDSR/MMS: 7/8 (6/13) modified RS:5(5)、介護保険上の日常生活自立度:C1(B2 or C1) 【CT/MRI】高位円蓋部での脳溝圧排を伴う脳室拡大(5年で増悪)。多発性脳梗塞。 【効果判定】無効(INPH スケールによる)、または transient (Black による)

【入院後経過】最重症例で、しかも白質全般に及ぶ脳梗塞を併発しており手術効果はあまり期待 できないと判断した。しかし、典型的な臨床経過と、MRI 上での進行性の脳室拡大から LP シャ ント(圧設定 100)施行に及んだ。術前は立位保持も不可能であったが、術後、僅かな効果では あるが、自立し数歩のつかまり歩行が可能となった(VTR)。術後脳室が縮小したので、歩行機能 改善はリハビリ効果だけではないと判断した。以後は、段階的に圧設定を 30 まで下げて約半年 効果は持続した。この間、家族介護職員から介護の負担がかなり軽減したと説明を受けた。特に、 車椅子移乗、おむつ交換、ベッドメイキングが一人の介助者でできる点が強調された。 【考察】原因疾患によらず、ADL 障害が高度になるほど加速度的に介護量が増加する。したがっ て、重症者では僅かな ADL 改善が介護負担をかなり軽減させる。特に、立位保持可能かどうかは 介護に大きな差異を生じさせると思われる。VTR を閲覧した当院看護師は、上記に加え、清潔操 作の容易さ、患者の精神的な満足、廃用萎縮予防など立位保持を肯定的に評価した。本例は INPH スケールや modified RS では有効と判断されないので、介護負担軽減を目的にした INPH の新た な指標が必要かも知れない。しかし、重症例はシャント効果が乏しく合併症も伴いやすいこと、 また客観的指標に基づかない効果判定は研究のエビデンスを混乱させる可能性があることを記 銘すべきである。

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【結語】最重症例 INPH で、わずかな効果がかなりの介護量軽減をもたらした。介護量を指標と した INPH 基準が必要とも思われる一方、重症例へのシャント手術には慎重な対応が必要である と考えた。

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タップテストで歩行障害の長期改善が得られ、

タップテストを繰り返し施行した間質性肺炎合併特発性正常圧水頭症の 1 例

森 宏1、中川忠1、北澤圭子1、鎌田健一1、小池俊朗2、大野秀子2 1)三之町病院脳神経外科、2)燕労災病院脳神経外科 症例は死亡時 86 才男性。2001 年(79 才)特発性間質性肺炎と診断され、その年めまい発作で 当科に 4 日間入院し、CT にて脳室の軽度拡大を指摘されていた。2002 年物忘れ、頭のもやもや 感、歩行時のふらつき等を訴え当科再診。CT 所見は同様で、内科からプレドニゾロンの処方が 開始されたところ上記の症状は改善傾向を示した。2004 年 12 月末動作緩慢、小刻み歩行、尿失 禁等あり、CT, MRI にて脳室拡大の進行と、特発性正常圧水頭症に特徴的な所見を認め、入院に てタップテストを施行。タップ前 JNPHGS-R G3C3U3 であったが、タップ後は G0C2U1 と著明な改 善が得られた(ビデオ供覧)。内科的には全身麻酔可能とのことであったが、ステロイド内服中 の高齢者間質性肺炎で手術合併症の危険性が高いこと、タップテストで劇的改善が得られたこと、 年末という事情もあって家族がすぐの手術を望まなかったことから、一旦退院して経過を見る方 針とした。ところが正月明けも良い状態が続き、その後も数ヶ月経っても変わりがなかったこと から引き続き経過をみた。以降 2006 年、2007 年、2008 年とほぼ 1 年に 1 回、比較的急激に動作 緩慢、歩行障害、尿失禁等がみられ、その都度支えられるようにして外来受診し、タップテスト を施行すると安静解除の 1 時間後には症状改善し、独歩帰宅した。その後受診が無く、電話にて 問い合わせたところ、2009 年 9 月他院にて多臓器不全で死亡されていた。 通常タップテストの効果は数日で消失するが、歩行障害の長期改善が得られたとする報告も散 見される。本例は症状が比較的急激に悪化し、タップテストで劇的に改善し長期間寛解が得られ る、という経過を繰り返した。文献的考察を加えて報告する。

参照

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