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平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 

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平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 

「先進的IC技術を活用した住民密着型のシステム開発に関する調査研究」 

 

 

   

                           

財団法人ニューメディア開発協会   

   

(2)

           

はじめに   

自転車は経済的で、手軽で、環境にも負荷を与えず、健康的な乗り物として評価される一 方で、放置自転車問題、自転車の盗難、自転車事故の増加、利用者のマナー低下といった 課題が山積している。これらの問題に対して、これまで、各自治体ではさまざまな対応策を検 討し、実施してきたが、抜本的な解決には至っていないのが現状である。 

今回の調査は、これまでに行われたさまざまな自転車関連の調査・分析結果をもとに実現 できなかった自転車関連問題の解決策となる糸口を見いだし、今後、計画されている管理シ ステムの構築、実証実験の円滑な導入を図るために行うものである。 

先端技術を駆使して自転車の個体管理を行うことによりもたらされる放置自転車問題のソリ ューションの実現に向け、具体的には所有者を明確化し、防犯登録(盗難防止)、駐輪場管 理、違法駐輪防止等の課題を解決すると同時に、これまで実現できなかった各種の利用者 サービスを付加する可能性を追求し、地域の活性化に寄与できるシステムを構築するための 調査・研究を目指したい。 

                                 

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はじめに   

第1章 自転車を取り巻く周辺環境  1. わが国の自転車環境の現状  2. 自転車利用の課題の整理 

3. 自転車に関する海外各国の取り組み事例   

第2章 放置自転車問題への対応  1. 自転車利用と駐輪場整備 

2. 地域自治体の財政を圧迫する放置自転車対策費  3. 放置自転車削減の施策 

 

第3章 放置自転車問題への取り組み 

「放置」削減へ循環利用としての共有自転車の普及 

1.  自転車の総数・乗り入れ台数の削減策「保有」から「使用」へ  2.  潜在需要多い共有自転車 

3.  自転車に対する意識の多様化  4.  地域自治体の取り組み・報告 

レンタルサイクル(共用自転車)の導入に向けた調査報告書(浦安市)より  放置自転車問題への取り組み事例(福岡市) 

 

第4章 自転車の個体管理について  1. 防犯登録の現状と課題  2. 個体管理を実現する技術     レーザー刻印(中国) 

   ICタグによる個体管理(オランダ) 

 

第5章 利用者の責務の明確化と教育・啓発  1. 「自転車免許証」という考え方 

2. 米英では訓練・教育が利用の前提  3. 自転車先進国の取り組み 

4. 利用者のモラルを向上させるために     

第6章 まとめ  自転車の個体管理と住民サービス   

参考資料   

           

(4)

第 1 章 自転車を取り巻く周辺環境   

 1.わが国の自転車環境の現状 

2004 年、わが国における自転車保有台数は 8,632 万台、約 1.5 人に1台を保有している。(自 転車産業振興協会資料より)また、自転車産業振興協会の自転車の消費者ニーズ調査報告書

(2001年10月)によると、1世帯に2台以上の自転車を保有する家庭は、実に 65.3%にも達して いる。これに加え、近年は年間約 1,000 万台が新規に流通して、保有台数だけをみれば、わが 国は「自転車先進国」 と言ってよいかもしれない。本章では、最初に、日本における自転車を 取り巻く環境を確認してみたい。 

 

1.−(1)自転車保有台数等 

自転車保有台数は、自転車産業振興協会の「自転車統計要覧(第39版)」によれば2005年で は約8,664万台、ここ5年では2001年に8,481万台に達し、毎年数十万台づつ増え続けている。 

自転車の国内生産台数は、1990年の796万台をピークに逐年減少し、2000年には468万台と500 万台を割り、2004年には245万台となっている。 

一方、輸入台数は、1990年の66万台から増え続け、2004年には913万台である。中国からの輸 入が急増し、輸入車の94.1%を中国製の自転車が占めている。輸入車の平均単価は2004年に は1台当たり約6,000円である。それに伴い国内での自転車の低価格化が著しく進行した。自転 車が安く購入できるのは消費者=利用者にとって良いことであるが、自転車価格の低下が使い 捨て感覚で自転車を利用するといったモラルの低下を招くひとつの要因となっている。 

 

1.−(2)走行空間と自転車事故 

自転車事故死傷者数はここ2004年859人、交通事故による死者数(7,358人)に占める割合は 11.6%に及ぶ。交通事故が年々減少している現状を考えると自転車の死亡事故は減少してい るとは言えない。海外の自転車先進国と比べると死亡事故が多いと分かる。さまざまな原因があ ると考えられるが自転車の走行する空間と密接な関係があると考えられる。 

 

1.−(3)放置自転車 

内閣府は、2年毎に駅周辺における放置自転車等の実態調査を行っている。2002年の調査によ れば、放置自転車の撤去を実施していつ市区町村は570、放置自転車の撤去台数は261.7万 台に及ぶ。放置台数は2002年には43.7万台となっている。駐輪場の整備とともに減少傾向にあ るものの、依然40万台以上の多くの自転車が放置されていることになる。 

これらの撤去された放置自転車は129万台が返還され、115万台が廃棄されている。街地・駅周 辺における放置自転車は、深刻な問題である。放置自転車が及ぼす影響としては 

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① 歩行者や緊急時に救急車等の通行の障害となること 

② 乱雑な放置により街の景観が害されること 

③ 自転車盗難が増加することの3点が指摘されている。 

また放置自転車の撤去費用などの放置自転車対策費の増大に伴い、最近では自治体の財政 を圧迫する一因ともなっている。 

 

1.−(4)自転車の盗難 

古いデータであるが、警察白書によると1997年の自転車の盗難件数は届出が出されているも のだけで427,232件にも及ぶ、実際に盗難にあっても届出をしない人もいるので、実際の被害 件数はこれより遙かに多いと推測される。別の視点で見ると、少年の初発型非行として、万引き・

オートバイ盗・自転車盗・占有離脱物横領の4罪種があげられている。自転車盗の検挙人員は、

6割強が少年(2003年は、16,316人で64.1%) で、占有離脱物横領(2003年で30,902人) の多く が自転車関係であることを併せ考えると、少年非行問題として大きな課題でもある。自転車の盗 難は、経済的価値等の観点から軽微な犯罪とされており、またさらに自転車関係犯罪の多くが放 置自転車を対象とすることから、放置自転車問題と密接に絡む問題点となる。 

 

1.−(5)自転車の利用状況 

自転車の利用状況については、総務庁交通安全対策室(当時) のアンケート調査結果(平成11 年6月10日) を見てみると 

① 自転車の利用頻度は、ほとんど毎日が47.2%を占め、週に2〜3回を合わせると60.8% 

② 利用目的は、買物が85.2%、通勤が35.1%、通院が27.4%、レジャー・健康が20.4% 

③ 利用の理由は、自由度が高いが66.8%、短時間で目的地に到着できるが61.0%、コストがか からないが31.2%、健康に良いが30.9%、他の交通手段が不便であるが19.5%、自転車そのもの が楽しいが12.9%、環境にやさしいが10.6%などとなっている。利用に影響を与える要因は、①  走行する空間の使いやすさが45.0%、② 駐輪場の使いやすさが39.9%、③ 公共交通機関の 使いやすさが39.2%などとなっているともに、地形が30.6%、気候が20.6%となっている。自転車 の社会的問題点としては、放置自転車が45.2%、走行マナーが23.1%、盗難が18.3%、交通事 故が5.0%などとなっている。ルールの認知度は、信号機に従うこと、夜間点灯、車道では左側通 行などについては、80%近くの人が知っているのに対して、歩道通行については44.6%が知ら ないとしており、歩道通行の問題点が浮き彫りになっている。自転車をほとんど利用しない人のう ち、利用環境が整備されれば利用したいとする回答者は32%であり、その要因として、① 自転 車通行可能な十分な広さの歩道の整備が71.8%、② 便利な駐輪場の整備が61.9%、③ 自転 車専用の通行帯の整備が52.4%となっている。また、国土交通省道路局の『21世紀の自転車利 用環境の実現を目指して』(平成15年6月) は、「5km 程度の短距離の移動において、自転車は、

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鉄道や自動車を始めとしたどの交通手段よりも移動時間が短く、都市内交通として最も効率的 な移動手段である。」と分析している。 

 

1.−(6)自転車のイメージ 

自転車のプラス・イメージとしては、 

① スピードが適度であること 

② 移動の自由度が高いこと 

③ エネルギー効率がよいこと(環境にやさしい乗り物) 

④ 必要空間が少ないこと(走行道路面積が少なく、駐輪面積が少ないこと) 

⑤ 利用コスト(購入・維持費用) が安いこと 

⑥ 利用距離が意外に長いこと 

⑦ 健康的な乗り物であること 

⑧ ふれあいの乗り物であること 

⑨ クルマと同じく「ドア・ツー・ドア」で使えることなどである。 

これに対して、マイナス・イメージは、 

① 雨・風・寒さに弱い 

② 坂道に弱い 

③ 自動車に比べて、距離的体力的に制約される 

④ 消費財的な乗り物である 

⑤ 大きな荷物を運べない 

⑥ 放置自転車により交通障害や都市景観の悪化がもたらされる 

⑦ 走行空間が不十分であることと利用ルールが徹底していないことから安全上支障がある   

自転車産業振興協会の自転車の消費者ニーズ調査報告書(平成13年) では、消費者の考える 自転車の利用イメージで多くの人が持つイメージとして 

① 環境にやさしい乗り物(94%) 

② 免許もいらず、どこにでも止められる手軽な乗り物(91%) 

③ 健康づくりにとてもよい(85.6%)   というプラスイメージがある一方で 

① 放置自転車など、歩行者にとって迷惑な存在だ(70.9%) 

② 交通ルールを守らない利用者が多い危険な乗り物(65.0%) となっている。 

 

1.−(7)自転車利用のメリット 

自転車交通は、このように、① 放置自転車、② 自転車事故、③ 自転車盗難の問題を引き起こ

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している反面、① 走行空間の節約、② 消費エネルギーの節約、③ 健康増進に寄与等のメリッ トがある。 

 

2.自転車利用の課題の整理 

自転車活用推進研究会の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2003』では冒頭 で以下の 4 点を克服するべき重点課題として提起している。 

(1) 走行空間がない 

「軽車両」ゆえ、本来は車道を走行すべきなのに、路上違法駐車と路上荷捌きにより車道走行 ができない。一部、歩道通行可(全国で延べ約6万㎞)だが、歩行者とのトラブルが絶えない。歩 行者は自転車を危険視すらしている。 

(2) 機能が発揮されない 

本来、時速 18 ㎞のスピードは可能だが、歩道走行では徐行を余儀なくされている。ちなみに東 京 23 区内のクルマの平均時速は約 18 ㎞である。 

(3)「放置」が減らない 

鉄道駅周辺を中心に撤去された放置自転車は約 260 万 9 千台(2000 年)。撤去費用を1台あた り 5,000 円(東京・台東区の場合)とすると、約 130 億 5 千万円が自治体の負担となっている。利 用者のモラルの問題だが、放置の誘因者である鉄道事業者や大規模店舗などが応分の責任 を果たすことが求められる。 

(4) 自転車総合政策がない 

現在の自転車行政は交通安全対策と放置自転車対策のみで、「活用推進」の視点が欠落した 貧弱な行政である。自転車を優れた「交通手段」として位置づけ、生活環境全体を向上させる 都市交通環境整備の「切り札」として活用すべきである。 

以上 

また、国土技術研究センターの「JICE REPORT vol.4/03.11」では、自転車利用環境の課題と して 

(1)不十分な自転車走行空間 

日本における自転車が安全で快適に走行できる空間はごく僅かであり、自転車施策の先進国 と比較すればその差が歴然としている。 

 

(2)交通事故の増大 

自転車は車(軽車両)であり、道路交通法において、車道の左側端を通行することとされていが、

戦後の急速なモータリゼーションにより、自動車と自転車の接触事故が増加することとなった。こ の対策として、昭和45年には道路構造令が改正され、自転車道、自転車歩行者道等が定義さ れ、自転車と車を分離させる対策が始められた。その後、道路交通法が改正され、法律上も自

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転車が歩道上を通行できる選択肢が生じたが(昭和53年に歩道における自転車通行可の規制 を導入)、この結果、自転車という交通手段に対する認識が、歩行者に近いものとなっているほ か、近年では、歩道上における自転車と歩行者の接触事故の増加を引き起こしている。 

 

(3)放置自転車の問題 

自転車に関するもう一つの課題に、都市部の鉄道駅等を中心に発生している放置自転車があ る。放置自転車は、歩道の有効幅員を侵し歩行者の通行の支障となっている。また、無秩序に 放置されたその風景は、都市景観上もマイナス要因となっており、その対応に、多くの尽力と費 用が費やされている。 

以上   

自転車利用の課題を整理すると 

①わが国には自転車に関する国レベルの総合政策がない 

②放置自転車が社会問題となっていて抜本的な解決策がない 

③自転車が安全に快適に走行できる空間が少ない 

ということになる。この他、利用者のモラル、マナー、交通ルールの遵守といった利用者サイドの 問題、さらには地域の立地条件等により各種の問題が上げられている。本調査・研究では前出 の各調査報告でも上げられていて、かつ利用者、住民の身近な課題であり、社会問題化してい る放置自転車問題をテーマに取り上げ、地域社会の活性化に寄与できる可能性のある活動や 政策を調査していきたい。 

わが国において自転車政策がないという点で海外における国家レベルの政策を見ていきた い。米国というと自動車大国と言われていて、なかなか自転車というイメージがわかない国であ るが、国家として連邦政府が取り組んだ総合的な自転車政策事例である。 

 

3.自転車に関する海外各国の取り組み事例 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2003』では「自転車が主役」の米国自 転車安全向上国家戦略と題し以下の報告がまとめられている。 

 

「自転車が主役」の米国自転車安全向上国家戦略 

自転車とクルマが道路を共用することで、自転車の安全な走行空間の確保を推進してきた米国 で、 2001 年 6 月に官 学 民共同 で「自転車 安 全向上 国 家戦略 (National Strategies   For  Advancing Bicycle Safety)」が打ち出された。この戦略の特徴は従来からの道路の共用を一歩 進めて、道路上は自転車優先とし、クルマは道路を共用させてもらうという発想の転換を求めて いる点にある。つまり、車道では自転車が主役で、クルマは脇役という考え方だ。 

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戦略の基本目標は 

①クルマのドライバーに道路を共用させる 

②自転車利用者に安全運転をさせる 

③自転車利用者にヘルメットを着用させる 

④法制度により自転車安全運転をサポートする 

⑤自転車利用者に安全な道路や通路を供給する  となっている。 

「国家戦略」と銘打っているものの、米国の公式な施策ではないが、官学民の幅広い参加により、

実現性を一段と高めようという観点が貫かれていて、文書を刊行したのも国の機関である。5本 柱のうち、ヘルメットの着用に関しては「個人の自由」という見解もあり、合意にいたっていないと いう。 

この戦略は基本的には自転車走行の安全確保が目的だが、結果的には交通手段として不可 欠な自転車の速度を確保するため、クルマとの車道共用によって自転車の車道走行を一段と 拡充することに結びつけようとしている。自転車専用道路の確保というハード面の実現には時間 を要するから、現実的な対応として、現に存在する車道を自転車の走行空間にするという発想 に基づく。自転車専用道路の確保はこれと並行して取り組めばよいという考え方だ。この発想は、

自転車の車道走行は危険だから歩道に 上げる という日本の措置とは、180 度異なる。 

米国では 1990 年ごろから自転車運転者の交通事故死亡者数が減少をたどり、2000 年には 690 人(ピークは 1987 年の 948 人)にとどまったが、国家戦略はこれをさらに減少させようというもの である(ちなみに日本は 2000 年で 1,273 人=30 日間死亡、交通事故死者数の 12.2%、米国は 同 1.7%)。こうした自転車運転者の死亡者数の減少には、米国の自転車政策の劇的とも言うべ き転換が寄与した。それは Intermodal Surface Transportation Efficiency Act of 1991(ISTEA)と 呼ばれる法律の制定である。1990 年に連邦ハイウェイ庁のある高官は自転車と徒歩を「忘れら れた交通手段」と表現したが、実際、通勤手段としての自転車と徒歩は合わせて、1980 年の 6.7%から 1990 年には 4.4%にまで落ち込んでいた。この年、連邦交通省は「自転車の利用を 促進するとともに、計画策定者や技術者に都市や郊外地域のための自転車・歩行者用の交通 施策計画に対する需要に対応するよう督促する」という新たな交通政策を打ち出した。こうした 背景で、ISTEA 法が制定されたのである。ISTEA 法の目的は①経済的な効率性②環境的に健 全な(大気汚染公害のない)交通システム③世界的な経済協力の醸成④省エネルギー的な生 活スタイルや物的あり方の追求とされている。 

 

各州に自転車歩行者総括官設置 

この ISTEA 法 1088 条は各州政府の交通省に自転車歩行者総括官(bicycle andpedestrian  coordinator)という組織を設けるよう求めている。これとは別に、米国には連邦法典(US Code)と

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いう法律群があるが、第 217 条には「各州は、連邦資金からの配分を、州の交通省の中に置く 州自転車歩行者総括官のために充てなければならない」とあり、専任の場合、連邦政府の費用 負担は必要経費の 80%に達している。ちなみに、同条には「自転車利用者と歩行者に対して は、総合交通計画において正当な配慮がなされなければならない。また、道路の新設改築に 当たっては、自転車歩行者の通行が禁止される場合を除き、すべての道路の適切な位置に自 転車及び歩行者施設が考慮されなければならない」という項目もある。専任の自転車歩行者統 括官は現在全米 32 州に配置されているが、その職務として 14 項目が掲げられている。 

その主なものを拾うと、 

(1)非自動車にかかわる施設、安全、教育材料、規制手段、通行空間、レクリエーションの各分 野での新たな事業の計画と管理を行うこと 

(2)州や大都市圏計画機関の自転車歩行者施設計画の策定を支援すること 

(3)州の総合自転車歩行者交通計画の策定、(必要に応じて)見直しおよび改定を行うこと  (4)予算や予算の必要額の統括および管理を行うこと 

などとなっている。 

そして、総括官として成功するための資質として、 

(1)非自動車交通手段に取り組み、自転車歩行者の分野に興味があり、個人的にもこれらを支 持していること 

(2)技術的な経験(非自動車移動手段の利用に関する技術面・計画面での技術的知識、技術 情報の準備収集能力、問題解決能力、機関内部での政策決定過程と行政過程の双方での業 務遂行能力)などが挙げられている。加えて、管理能力、文書作成技術、創造力、効用につい ての認識なども求められる。 

一方、連邦交通省には 1999 年現在、自転車歩行者担当の専任スタッフが 10 人配置され、併 任スタッフが 10 人、さらに日常的にこの問題に取り組む 12 人以上のスタッフが存在している。こ れらの担当者は毎月1回、大統領秘書室、連邦ハイウェイ局、連邦運輸局、国家交通安全局、

連邦鉄道局と会合を開いているという。 

ISTEA 法は 1997 年までの時限法だが、1998 年に制定された TEA-21st 法(Transportation  Efficiency Act For 21st Century)にその内容が強化され、引き継がれた。 

TEA-21st 法(期限は 2003 年まで)の目的は 

①経済的な繁栄の一層の向上 

②生活の質的改善(交通渋滞の解消、40 億ドルの損失) 

③交通安全の推進(140 億ドルの損失) 

④環境の質的向上、環境負荷、地球温暖化の防止 

⑤国防、災害その他の危機に際しての安全保障  とされている。 

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こうした施策の展開は自転車関連の予算の増額にもみられ、1991 年の 17.1 百万ドルが 2001 年には 19.8 倍の 339.1 百万ドルに膨れあがった。また、自転車のトリップ数も 1990 年の 170 万 トリップが 95 年には 300 万トリップへと 89%増加するという効果をもたらしたのである。 

以上   

 米国以外では、自転車先進国と言われる欧州諸国では都市周辺部で、自動車の乗り入れを 制限して、それに代わる自転車、歩行、バスなどの公共交通機関を利用しての移動を優遇する 政策が採られている都市も多い。その効果としては交通渋滞の緩和、交通事故の削減、環境の 保全がもたらされるとともに、中心市街地に活気が生まれ、地域の活性化も図られている。 

 

第2章 放置自転車問題について   

1.自転車利用と駐輪場の整備 

内閣府が隔年で行っている調査によると、2002 年に全国で撤去された放置自転車は 261 万 1千台。このなかの 129 万 2 千台(49.3%)が所有者に返還され、115 万 4 千台(44.0%)が廃棄処分 され、残りはリサイクル利用、もしくは保管されているもである。一方、鉄道駅周辺の放置自転車 は 2003 年で 43 万 7 千台。駅周辺の放置自転車はここ数年、駐輪場の整備や自治体の対策に より減少傾向にあるものの、40 万台以上という数字は深刻な問題である。 

先の自転車消費者ニーズ調査によると、70.9%の人が「放置自転車など、歩行者にとって迷 惑な存在だ」と回答しており、社会問題となっている。 

自転車法では放置自転車を「自転車等駐車場以外の場所に置かれている自転車等であって、

当該自転車等の利用者が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態にあるも のをいう」と定義付けている。放置自転車が多い理由はひとつには、駐輪を認められていない 場所に利用者がカギを掛けたまま置いてしまうためである。それに加えて適切に駐輪する駐輪 場や駐輪スペースが少ない、その場所がわからないということを物語っている。 

内閣府の調査では 2003 年時点で駅周辺にある駐輪場の収容能力は 374 万 9 千台分となっ ているが、これは駐輪施設の収容能力であり、利用者が実際に利用している平均稼働率は 70%程度と言われる。駐輪場のなかには駅から 500m 以上離れているものもある。こうした駅から 遠い「周辺」の駐輪場の稼働率は 48.8%。ところが、駅から 100m 以内にある約 6,500 カ所の駐 輪場の稼働率も 74.4%にとどまっている。駅に隣接した便利な駐輪場が整備してあっても、わ ずかな時間と手間、そして料金負担を惜しんで放置する利用者は多数いることも事実である。

自分の自転車を止めておく場所に料金を支払うという認識がない利用者がいることを表わして いる。 

 放置自転車の自転車が多い場所を視察してみると、放置禁止区域を示す立て看板や表示板

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はよく目に付いたが、駐輪場の場所や情報について判りやすく案内してあるところはあまりみら れない。自動車用駐車場については、都市部において比較的容易に発見できるよう表示され ているのに対して、どのように利用できる駐輪場があるのか利用者には分からないケースも多く、

放置する利用者がどこに置けばいいのか分からないことも事実である。ここ数年の間に、自転車 用コインパーキング施設が登場し、駐輪場経営に乗り出す民間企業も増えつつある。徹底した 取り締まり、好立地のスペース、利用者への周知といった条件がそろえば、駐輪場経営は産業 として自立する可能性も高いと考えられる。一部の自転車利用者のために税金を投入しなけれ ばならない実態を考えれば、受益者負担で運用することのできるシステム等を積極的に導入す ることの方が価値があるのではないかと考える。 

自転車の利用と駐輪は切り離すことができない関係であり、駐輪場の確保は今後も推進され なければならない。自転車の利用者が増えれば、それに応じて駐輪場も必要となってくる。大 量の資金と準備に時間のかかる大容量駐輪場の整備に躊躇する前に、現状、可能な安価に設 置できるコイン式の駐輪ラックなどを設置することにより、放置はある程度削減できる。こうした取 り組みも必要であると考える。 

 

2.自治体の財政を圧迫する放置自転車対策費 

東京・豊島区が 2002 年に池袋駅前で自転車を放置した人を対象に実施した調査では、約7 割が「鉄道利用目的」と答えた。鉄道事業者はこの事実を確認しなければならない。駅前に放 置自転車が多く存在したなら、その大半は鉄道事業者の収入を支える顧客の行為であることは 明白と言えよう。しかし、この放置誘因者である鉄道事業者はほとんど対策を講じることなく、負 担を自治体に押しつけている。顧客に駅まで自転車を利用することを禁止できないのであるな らば、鉄道事業者は自ら顧客のために駅前に駐輪場を整備する責任が生じる。自治体の放置 対策への積極的な協力が求められているのである。 

鉄道事業者は、全国 2,587 カ所で計 94 万 5,600 ㎡分の駐輪場用地の有償・無償の提供、276 カ所、10 万 5,000 ㎡分の自社経営駐輪場設置など、それなりの努力を強調している。しかし、実 は切迫した需要地においては、「提供できる土地が不足している」、「地代が高く損をしてまで駐 輪場にできない」、「本体の経営が苦しく整備費用の負担ができない」といった留保をつけて対 応していない。比較的条件が揃っている駅においては整備が進んでいることは事実であっても、

自治体と周辺商店街などと一体となり、当事者の一人として真剣に検討する姿勢が見られない 地域で、厳しい批判にさらされていることは周知の事実である。 

 東京・豊島区が鉄道事業者を対象に撤去1台につき 3,000 円の放置自転車対策税(仮称)を 課税する構想を打ち出した背景には、それなりの経緯があることを認識すべきだろう。自転車法 第5条第2項には「鉄道事業者は、鉄道の駅の周辺における自転車等駐車場の設置が円滑に 行われるように、地方公共団体又は道路管理者との協力体制の整備に努めるとともに、地方公

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共団体又は道路管理者から自転車等駐車場の設置に協力を求められたときは、その事業との 調整に努め、鉄道用地の譲渡、貸し付けその他の措置を講ずることにより、当該自転車等駐車 場の設置に積極的に協力しなければならない」とある。 

しかし、全国自転車問題自治体連絡協議会(全自連)が 2001 年に実施したアンケート調査によ ると、鉄道事業者の自治体への協力はほとんど見られず、上記条文が死文化していることがわ かる(2002 年3月の当研究会報告書参照)。また、自転車法には、国と地方公共団体、自転車利 用者、自転車製造業者の「責務」は掲げられているものの、「鉄道事業者の責務」はどこにも見 当たらない。 

これに反し、百貨店、スーパーマーケット、銀行、遊技場など「大量の駐車需要を生じさせる施 設」(同法第5条3,4項)には、駐輪場の設置を求めているが、鉄道駅は除外されている。50 万 台という駅周辺の放置自転車は、まさに「大量の駐輪需要」そのものではないか。このことは明ら かに実態を無視していると言わねばならない。 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2003』より   

第3章放置自転車問題への取り組み 

このように放置自転車の対策としては駐輪場の整備が中心となり各自治体で取り組んでいる。

放置自転車の対策には駐輪場の整備以外にもさまざまな考え方があり、そのひとつとして地域 の自転車の総台数を削減する目的で導入されるレンタルサイクル(共用自転車)が上げられる。 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2003』では共用自転車について以下 報告がなされている。 

 

「放置」削減をめざす循環利用としての共有自転車の普及  1.「保有」から「使用」へ 

自転車産業振興協会の自転車の消費者ニーズ調査報告書(2001 年 12 月)によると、第 1 章で 触れたように、1世帯で2台以上の自転車を保有する家庭は、実に 65.3%にも達する(1台は 23.3%、5台以上 7.3%)。これが国民 1.5 人につき1台の保有の内実である。保有台数からみれ ば、日本は中国、米国に次いで第3位、国土面積と対比すると、日本の 自転車密度 はきわめ て高い。 

一方、自転車利用者が実際に走行している時間は、一般に1回当たり平均 10 分から 15 分と言 われる。残りの時間は自転車としての機能を発揮しないまま、どこかに置かれている。自宅や駐 輪場に置かれているものを除き、その大半が放置自転車として、路上を占拠しているのが実情 だ。自転車を資源として有効に活用し、その価値を十分に生かすという観点から、自転車を利 用者が共有し、「所有」から「使用」に力点を移そうという動きが各地で広がっている。結果的に 自転車の総量を抑制し、放置を削減するという発想もこの中に含まれている。EU などで浸透し

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つつあるカーシェアリングの自転車版ということができよう。 

共有自転車は自転車を「公共財」として位置づけ、地域住民が登録したうえ、自由に使い回す ことを主眼にしている。この方式が普及すれば、個人が自転車を所有する必要もなく、駐輪場 利用料金も負担しないで済む。多数の人が循環利用するから、利用効率があがり、結果として、

少ない台数で利用頻度を高めることができる。 

こうした共有自転車の方式は借りた場所に戻すレンタ・サイクル・システム(RCS)と複数のサイク ルポートに乗り捨てることができるコミュニティ・サイクル・システム(CCS)に大別される。東京・練 馬区の RCS「ねりまタウンサイクル」に関しては、2002 年3月の報告書に詳述したので、2002 年 11 月に行われた東京・台東区での CCS 社会実験(国交省)を例に、共有自転車の方向を考えて みたい。 

 

2.潜在需要多い共有自転車 

この社会実験は 2002 年 11 月から1カ月間、台東区内の一定のエリア(面積1㎢)で実施されたも ので、同エリア内に在住、在勤、通学するモニター284 人が参加、130 台のリサイクル自転車を 使って行われた。モニターには 12 カ所設けたサイクルポートに設置されたキーボックスを開ける ことができる磁気カードがあらかじめ渡され、モニターはカードでカギ(すべて同一)を取り出し、

ポートに置かれた自転車を借り出す。サイクルポートは 24 時間利用可能だが、モニターは 12 カ 所のポートのどこかに自転車を戻さなければならない。このカードにより誰が、どこで自転車を借 り、どこへ戻したかというデータが得られる。これを集計した結果、1カ月間ほぼ毎日利用した人 は 4%、10〜19 回が 13%、5〜9 回が 24%、1〜4 回が 21%、1日平均では約 100 人が利用し たということがわかった。利用率はかならずしも高いと言えないが、これは対象エリアが狭く、サイ クルポート数も少なかったためとみられる。 

一方、このデータから利用者総数に対し、その半分の台数の自転車でまかなえることも判明し た。つまり、共有自転車に置き換えれば、2人で1台の自転車があればよいということを意味する。

規模を拡大すれば、1台当たりの利用者数はさらに増えることも推測される。また、自転車の走 行時間は1回につき「10 分以内」と答えた人が 62%を占めた。また、CCS を本格導入した場合 の効果についてモニターに聞いたところ、 

①自転車の盗難・損害の心配が減る 

②自転車に乗る機会が増える 

③自転車に対するマナー・モラルが向上する  という回答が多かった。 

今回は実験だったので無料だが、本格導入した場合の利用者の負担額を尋ねたところ、今回と 同様のサービスレベルなら平均で月額 676 円、サービスレベルが今回より向上(サイクルポート の配置の改善、対象エリアの拡大など)した場合は同 952 円という水準になった。つまり、ある程

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度の利便性とサービスが提供されれば、月額 1,000 円程度の負担で共有自転車を利用したい という層がかなり存在することを物語る。 

このほか、モニターの意識の変化をみると、実験前と実験後では、「決められた場所に必ず停め るべきだと思う」「歩道上に自転車を放置することをやめようと思う」「他人の放置が気になる」「自 転車走行ルールを守ろうと思う」という回答が実験後、相当数増えたことがわかった。ここには、

公共自転車を利用しているという意識が自分の私有自転車に乗っている場合と異なるという側 面も伺える。 

高松市では 2001 年5月から2カ所のサイクルポートで RCS 事業を開始したが、2002 年5月から ポートを2カ所増やし、400 台の自転車で対応している。利用者は当初の2カ所だけで1カ月あた り約 8,010 人(2001 年度)に達したという。利用料金は1カ月 2,000 円、3カ月 5,500 円だが、ここで は1日利用(100 円)が多い。共有自転車を利用する以前の交通手段について利用者に聞くと、

徒歩が 52%と最も多いが、次いでバス・鉄道 21%、タクシー13%と公共交通からのシフトも目立 つ。さらに自分の自転車も 11%あり、約1割は自分の自転車からの乗り換えであることもわかっ た。 

こうした自治体の RCS、CCS 事業に刺激されてか、JR 西日本、阪急電鉄、泉北鉄道など関西の 鉄道事業者がビジネスとしての RSC 事業に乗り出した。いずれも将来、CCS への移行を視野に 入れているようだ。自治体の事業同様、鉄道事業者の試みもかなりの需要があり、自転車が足り ない状況もまま見られる。この実態は公共自転車に対する潜在需要がかなり高いことを裏付け るものと言えよう。 

 

3.自転車に対する意識の多様化 

こうした傾向は自転車に対する意識の多様化の反映、と言ってもよい。自転車の利用方法を大 別すると、 

①自分の気に入った比較的高価な自転車を楽しみながら乗り回す層(私有優先) 

②比較的安価な自転車を自宅に置き、必要に応じて利用する層(従来型) 

③駐輪場料金を負担せず、必要な場所でそのつど借りる層(レンタル)  に分類できる。 

②が圧倒的多数派で、①、③はまだ少数派だが、②のグループが①や③のタイプに分化  していく流れが最近見られるようになった。 

この趨勢を見定めるならば、公共(共有)自転車のあり方について、国はより意欲的に取り組むべ きではないか。自転車の利用促進とは保有台数を拡大することではなく、使用(利用)の頻度を 高め、その距離を延ばすことである。各地で行われている共有自転車の試みはその潜在需要 の多さにもかかわらず、ポート用地の確保、システム開発の費用などネックに足を取られがちで ある。 

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政府の「循環型社会の形成の状況に関する年次報告」(平成 13 年度)には、自転車の廃棄(放 置を含む)の実態とその再利用、再資源化の実績が記されている。確かに、これも循環利用と言 うことができるが、放置自転車の再生利用を含む共有自転車、および多数の人間が1台の自転 車を共同で使用する共有自転車も、循環利用と位置づけられてしかるべきである。 

また、同報告は個人向けリース・レンタサービスの一例として、家電製品を取り上げているが、当 然、不特定多数(登録者)が循環利用する共有自転車もこの範ちゅうに入れても何ら支障はない と思われる。共有自転車は循環型社会の形成に向けた象徴的システムと言うこともできるので はないか。 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書2003』より   

   

4.地域自治体の取り組み・報告 

レンタル自転車の導入については、ここ数年、自治体でも盛んに取り組まれてきている。浦安 市では 2003 年 3 月に新浦安駅レンタサイクルレポート利用需要調査報告書を作成している。

以下はその内容の要約及び一部抜粋である。 

 

4−(1)浦安市の「新浦安駅レンタルポート利用需要調査」報告書  調査の概要-調査の背景、目的 

浦安市は平坦な地形と16.9平方キロメートルと比較的狭溢な市域で自宅から最寄の駅まで は自転車を利用すると 15 分以内で結ばれる距離であることから、通勤通学等の交通手段として 自転車利用が多い都市である。 

 特に JR 京葉線新浦安駅周辺の新町地区(日の出、明海、高洲地区)は近年住宅開発が急速 に進み、人口が増加するに伴い、新浦安駅周辺には自転車が多く集中することとなった。その 結果新浦安駅前では放置自転車などが大きな問題となっているが、今後住宅開発が進むこと により、更に自転車が集中することが予想される。 

そのために、市では放置自転車対策の一環としてレンタルサイクル(共用自転車)の実証実験 を検討中であり、このアンケート調査は、レンタルサイクル(共用自転車)に対する利用者の意向 を調査するとともに、実証実験の可能性を調査するために行ったものである。なお、アンケート 調査の結果をもとに需要の推計を試み、さらにレンタルサイクルの基本的な方針案とうについて の検討も合せて行った。 

この調査結果のまとめとして 

① レンタルサイクルの需要は顕在的・潜在的に 5 割以上存在している 

アンケート結果ではレンタル自転車を「利用したい」が約 1 割、「条件次第では利用したい」をと

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いう人を含めると 5 割以上に達している。 

②駐輪場は駅の近く、料金は安く、借りる手間が面倒でないこと 

基本的な自転車利用のメリットに加え、駐輪場が駅に近く利用しやすいことや共用自転車として のリーズナブルな利用料金設定、放置自転車対策としての効用などを含めて、レンタルサイク ルならではの明らかメリットを受けられることを利用者は希望している。 

③資源の有効利用や放置自転車対策等の社会的な評価が加味されている 

レンタルサイクルは、自転車という資源を共用していく仕組みや、放置自転車対策、再生自転 車の活用のし方などを含め、これからの地域社会が取り組まなければならない課題や問題意識 に支えられ評価されている。 

④正利用と逆利用の時間差を発生していることが確認できた 

自転車が駅を基点に平均1日1台が1往復以上利用されることが理想であり、調査によりその時 間差があることが確認できた。レンタルサイクルは地域の需要構造に合せた効率的な運用が決 め手となる。 

⑤需要の広がりはバス等を利用している人にもある 

市営駐輪場を利用者以外で、自転車やバスその他の交通手段で新浦安駅を利用している人も、

レンタルサイクルを実施すれば利用したいという意向を持っていることを確かめられた。 

⑥レンタルサイクルはモラルの問題を避けて通れない 

レンタルサイクルの事業を成立させるためには、盗難や放置自転車といった利用に対するモラ ルの問題を避けて通れない。今後の運営や管理の面で対策の必要性や更なる議論の余地も 残されている。 

⑦将来は新浦安駅だけでなく、市内 3 駅にレンタルサイクルを広げていく 

回答者の 5 割以上の人が将来は市内 3 駅に広げていくことを望んでいる。新浦安駅でのレンタ ルサイクルの社会試験の結果が大きなカギを握っている。 

以上の内容を報告している   

さらに「結論」では 

アンケート等調査によってレンタルサイクル(共用自転車)の実証実験を行うに値する結果が得 られたと判断できる。 

として、補足では 

○レンタルサイクルは積極的にモラルに対する問いかけを図り止揚させていく 

放置自転車等の対策は、これまでの長い取締まり経緯にもかかわらず解決できないばかりか、

むしろモラル低下を増幅させている面さえある現状からすれば、モラルの欠如が引き起こす問 題に対して、今後更に高い罰金や処罰を無声も望む声もあるが、法的な圧力だけで強制しきれ るものでないことも事実である。 

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レンタルサイクル(共用自転車)は、むしろ自転車利用に関するモラルとの関わりが極めて鮮明 に問われる事業である。市民をはじめ自転車利用社会全般のモラルに対する問いかけを迫り、

止揚させていく必要がある。 

そしてレンタルサイクル(共用自転車)の試みにより、利用する人が主体的に地域社会に対して その範を示すことで、規制とモラル、その両者のバランスの上に立った解決の糸口を、見出すき っかけとなることが期待される。 

○将来の自転車利用社会づくりを先取りするための実証実験 

レンタルサイクル(共用自転車)を利用したいとする中には、自転車利用者の意識が日常生活 の中で各人の必要性に迫られて利用するという側面から、より豊な住みやすい社会環境を目指 し共に実現したいという領域まで、幅広い意識が同居し混在していることが判明した。 

 レンタルサイクル事業を、いわば実証実験としてスタートさせていくという提案の背景には、先 ず駅前に増大する放置自転車対策等に対する解決策の一環として実験的に取り組んでいくこ とが主眼であるが、また一方で将来の自転車利用社会に対する可能性や新たな発見を試みる ための先見的な実証実験としての側面も併せて持たせたい。 

 レンタルサイクル(共用自転車)の実証実験を展開するにあたっては、その事業がうまく機能し たとか、採算が取れるのかといった次元の結果だけで、この事業の成否を判断し、結論付けるこ とが得策とはいえない。 

 レンタルサイクル(共用自転車)事業の試みは、より慎重に、そしてより広範な事象を対象とし て、5 年、10 年後の自転車利用社会のあり方を見据えた、より深い洞察を加えていくための実験 的な試みとしてとらえ実施していくとともに、大きな意義を見出すことができると思われる。 

以上「浦安市/仮称新浦安駅レンタルサイクルポート利用需要調査報告書」 

 

4−(2)福岡市の取り組み事例 

福岡市では 2001 年に全国放置自転車ワースト1になったのを契機に、市として放置自転車 問題に重点的に取り組んできた。放置サイクルZERO宣言のキャンペーンを実施し、市全域に 渡り駐輪場の整備を行い、駐輪場の情報を利用者に分かりやすく提供するとともに「チャリ・エン ジェルズ」というキャラクターで利用者の理解を呼びかけた。その成果はこの 5 年間で着実に現 れたと言う。駐輪用地の少ない中心部である天神地区には当時としては苦肉の策ではあったが 歩道の空きスペースに駐輪機器を取り付けた。駐輪場の短時間無料開放といった試みも実施 し、駐輪場の利用促進を促した。 

鉄道事業者でもある福岡市は交通局と連携して地下鉄の新線 3 号線には 16 駅全てに駐輪 場を設置、「乗っチャリパス」という地下鉄の定期券と駐輪場の利用定期券が 1 枚になった独自 の利用者サービスを 2001 年より実施している。このサービスは他の地下鉄の駅、私鉄である西 鉄の駅でも数箇所運用されている。(市営地下鉄 22 駅、市営駐輪所 37 カ所で使用)全国では

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じめての試みであるこの共通定期券は①自転車放置防止、②駐輪場利用者の利便性の向上、

③市営地下鉄の利用促進という欲張った目標を掲げて発行に至った。この共通定期券は一ヶ 月定期だと別々に購入するよりも通勤で 900 円、通学で 600 円割引される。西区の姪浜駅では 2002 年のこの共通定期券の収入が約 1,853 万円に達した。 

 また民間活力を活用した指定管理者制度の導入をいち早く決め、各区でそれぞれ指定管理 者を指定している。指定管理者には現在、駅・レンタカー、私鉄の西鉄が指定されている。最初 に指定管理者を指定した南区では指定管理者の駅・レンタカーの提案により、2005 年 9 月より 実験的にリサイクル自転車を再利用したレンタサイクルのサービスを実験導入した。現状では、

告知等の遅れにより利用者数は予想より少ないが、周辺に大学、短大などがあることから新年 度に期待している。導入期間がまだ短いために実験成果を問う段階ではないが、自治体として 出来ることから取り組む積極的な姿勢が窺える。 

南区ではこのほか駐輪場の利用率を向上させるための社会実験も実施した。2 階建ての駐 輪施設の 2 階利用を即すため大幅な利用料の値下げを行った。1 日利用料金を従来 100 円だ ったのを 20 円に割引して利用状況の調査を実施した。2 段式の駐輪ラックを設置している他の 自治体の駐輪場も多いが、女性や老人の方には不人気で利用率を下げているケースもある。

利用されない施設をそのままにしておくよりは利用してもらった方がいいという考えから、通常料 金の2割という思い切った料金設定で利用の促進を図った。その結果若い学生の利用が増え、

同時に放置禁止区域のパトロールも強化したこともあり、駅前の放置自転車はほとんど無くなっ たという。地道な策ではあるが、こうした対策も放置自転車の対策としては効果がある。 

以上 取材レポート   

第4章 自転車の個体管理について 

 利用者が自転車の盗難にあった際に被害者は警察に被害届けを出す。警察では自転車を 探すには、利用者が防犯登録してあるか否かによって見つかる確率は大きく違ってくる。さまざ まな自転車を特定するための唯一の手がかりである。この章では自転車を特定することを可能 とする自転車の個体管理について考えてみたい。 

1.現行防犯登録の現状と課題 

これは自転車法(改正 1994 年)により防犯登録が義務化されたにもかかわらず、その実施率 は約 60%にとどまっているという報告があり、防犯上はもとより、放置された自転車の所有者の 特定に支障をきたしているためだ。また、例え防犯登録されていても、自治体が警察に照会し て情報を入手するまでにかなりの時間を要しており、その間、撤去された自転車は保管所で劣 化を余儀なくされている。このため、自治体、警察の双方が情報を共有できる登録方式に一元 化すべきだ、というのが当研究会の考え方である。 

第 12 条3項 

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 「自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるとこ ろにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録(以下「防犯登録」という。)を受けな ければならない。」 

第6条6項  

「都道府県警察は、市町村から、第一項の条例で定めるところにより撤去した自転車等に関す る資料の提供を求められたときは、速やかに協力するものとする。」 

日本にもかつて、自転車の「車籍登録制度」は存在していた。これは 1872 年(明治5年)に導入 された自転車税に基づくものだが、1958 年(昭和 33 年)に同税が廃止され、これに伴い、自転車 鑑札制度(車籍登録)も消滅した。これに代わって登場したのが防犯登録制度で、それが法律で 義務化されたのが 1994 年である。 

 防犯登録が義務化された 1994 年(平成6年)から貼付率が 57.8%に上がり、98 年(同 10 年)に は 76.1%とピークに達したものの、その後は下降線をたどり、2001 年(同 13 年)には 63.7%(一部 を除く)にまで落ち込んだ。残り 36.3%は未登録ゆえ、住所、氏名が記載されていない限り、放 置されていても所有者を確認することができないことになる。 

防犯登録されていても、そのデータは警察が管理しており、自治体はそのつど警察に照会しな ければならない。その期間は 10 日ないし 20 日間が平均とされ、それ以上を要しているケースも あると言われている。この実態が自転車法の言う「速やか」と解釈できるかどうか疑問だ。 

これらの結果、撤去した放置自転車の保管期間が不必要に長期化するという現象をもたらして いる。保管期間の長期化は保管台数の増加につながり、新たな保管場所の確保を自治体に要 請するとともに、雨ざらしのままの長期保管は自転車の劣化を招き、リユース率を大幅に減殺し てしまう。 

防犯登録の実施率の低下について、東京都自転車商防犯協力会では「自転車専門店では 100%貼付しているが、最近、通販や雑貨店で販売されるものや、パチンコの景品が増えており、

これらの大半は無登録」と言っている。つまり、アウトサイダー経由の自転車が増加していること が無登録車の増大に結びついているという認識だ。 

こうしたルートからの自転車は輸入品がその多くを占め、かつ、国産車に比べ価格も低廉という。

従って、販売・提供する側の意識もさることながら、購入者(利用者)側の商品に対する価値意識 が低く、盗難、放置に対する認識もそれほど高くないという傾向がままみられる。こうした状況に あっては、防犯登録の貼付率の向上には限界があるというべきだろう。 

一方、現行の防犯登録のデータ管理も問題を含んでいる。盗難の追跡は警察の領域としても、

放置対策を担う自治体がいちいち警察に照会しなければデータを入手できないという現状は、

いかにも不効率である。今や、警察データに依存した放置自転車対策は行き詰まっており、新 たな発想の登録制度を打ち出すべき時期に来たと考える。 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書2003』より 

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2.新たな海外の登録制度 

オランダと中国で最近、新たな登録制度が導入された。いずれも盗難対策に主眼を置いいるが、

日本での放置対策にも応用できると考えられる。 

<オランダ> 

自転車大国と言われるオランダは、自転車の盗難件数が多いことでも知られる。オランダ車両 工業会(RAI)によると、2000 年には 77.5 万台が盗難にあったという(同国保有台数は 1650 万台

=1998 年)。このため、RAI は 2002 年から、電子タグ(固有番号を振った電子チップ)を利用した、

新たな自転車登録システムをスタートさせた。このタグは小さな発信器で、警察や中古自転車 販売店が携帯スキャナーで登録者のデータを読み取ることができる(中古店には1台でも盗難 車があると、全ての自転車が没収される)。製造工程中にカギの部分に DPC(盗難防止チップ)を 組み込み、さらに、フレームのよく見える部分に剥がれにくいホログラム製ステッカーを取り付け、

第三者に防犯システムを装着していることを明示。 

製造された自転車には専用の登録カードがついていて、販売店はカギの部分についている DPC ステッカーをカードに貼るとともに、購入者とともにカードに個人情報を記入、登録所へ送 付すると、15 日以内に購入者のもとに登録証明書が届くという仕組みだ。盗難に遭った場合、

盗難届を出すと、データベースに送付され、全国のパトカーが情報を取り出すことができるよう になっている。 

<中国> 

自転車の登録が義務づけられているが、これが徹底せず、無登録の自転車が多数見受けられ、

自転車盗難が多発する原因のひとつとされてきた。北京市では 2002 年7月から市内4区で自転 車用プレートの交換・発行業務を開始、無登録自転車の取り締まりを強化している。別の市内4 区では、これまで発行された自転車用プレートが全体の半分にすぎないため、早急に手続きを するよう呼びかけるとともに、今後は3回注意されても登録を怠った者から自転車を没収すると いう強硬手段を打ち出した。この新たな自転車登録証明書はレーザーで自転車に登録番号を 刻印する方式で、この登録番号は登録プレートの番号および登録証明書の番号と一致してい て、自転車と所有者の情報はパソコンに入力されて管理される。この結果、登録業務が効率化 され、時間も 6〜7 分に短縮されたという。 

上海市でも盗難が多発しているが、不法駐輪も問題になっている、警察は無登録と不法駐輪の 取り締まりを強化、2002 年7月2日の一斉取り締まりで2万台の自転車を押収し、3万人以上に 罰金を課した。押収自転車は 60 日間保管され、引き取り手がないと処分される。販売店、メーカ ーとも新車購入時に登録した場合は盗難保険をサービスしているが、こうした販促活動も手伝 って、2002 年1〜3月の登録台数は約 42 万台と、前年同期の4倍に達したという。 

 

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提言 

①防犯登録を改革し、電子情報として自転車の登録を行う者(非営利団体)を全国的な規模で 整備する 

②登録情報は自治体と警察が共有することを原則とする 

③自転車登録に当たっては、自転車の製造、輸入、販売業者が打刻している製造番号を積極 的に活用する 

④唯一固有の製造番号が流布するまでは、個別の登録番号を付与して電子情報化し、中     長期的には製造番号で所有者を特定するシステムを構築する 

先の『我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書2003』より

 

第5章 利用者の責務の明確化と教育・啓発の徹底 

 放置自転車問題のはどうしても利用者のマナー・モラルと切っても切りはなせない。 

駐輪場に自分の自転車を止めることに料金を払うということに抵抗がある人がまだかなりいる。

利用者を啓発し、受益者としてサービスの対価を支払うことを慣習化することも重要である。 

1.「自転車免許証」という考え方 

自転車法第 21 条(自転車等の利用者の責務)は「自転車を利用するものは、道路交通法その他 の法令を遵守する等により歩行者に危害を及ぼさないようにする等自転車の安全な利用に努 めなければならない」とあり、同2項は「自転車等を利用するものは、自転車等駐車場以外の場 所に自転車を放置することのないように努めなければならない」と定めている。 

警察庁によると、2001 年に全国で起きた自転車と歩行者の衝突事故は 1,681 件で、2000 年の 1,718 件よりやや減少したものの、5年前の3倍と依然高い水準にある。事故を詳細に分析した (財)交通事故総合分析センターによれば、2001 年の自転車衝突事故による歩行者の被害の内 訳は、死者4人、重傷者 167 人、軽傷者 1,405 人となっている。 

これを年齢層別にみると、加害者(自転車)側は 13〜19 歳が 34%(578 件)、一方、被害者(歩行 者)側は 65 歳以上が 37%(616 件)となり、若者と高齢者による事故が多数を占める。 

これらの事故は歩道上が全体の 14%で最も多く、次いで車道上が 13%、横断歩道上が 8%の 順。自転車の歩道走行に問題が横たわっていることは事実だが、若者を中心にした自転車利 用者側にスピードの出し過ぎ、歩行者への配慮の欠如、自転車の整備・点検を怠るなどルール 違反があることは確かだ。とは言え、2001 年に道交法違反で検挙された自転車利用者は 94 件 にすぎない。 

しかし、以上の事故件数は警察に届けられたものだけで、実際には相当数の事故やトラ  ブルが発生していることは想像に難くない。 

東京・荒川区の小学4年生から中学3年生を対象にした「自転車免許証制度」は、先駆的な試

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みとして評価されている。同区は 2002 年度から遠距離通学をする中学生に東京 23 区では初め て自転車通学を認め、対象の生徒に交通安全講習の受講を義務づけた。これを契機にして、

小学4年生以上を対象にして、交通ルールやマナーを習得させ、免許証を発行することにした。

区や PTA 連合会、警察などで構成する推進協議会が講習を行い、筆記試験と実技講習を受 講した児童、生徒に写真入りの免許証を発行している(高校生以上には修了証)。 

これは歩行者ばかりでなく、対クルマによる交通事故の防止も視野に入れた試みで、同区で は今後、成人にもこの制度を拡大する意向だ。講習修了者で構成する「交通安全見守り隊」を 結成して、自転車の安全運転を働きかけるとともに、優良運転者表彰制度を設けることも検討し ている。警視庁ではこの試みについて、「子供の心は純真。自転車免許証を取得すれば、交通 ルールを守ろうという意識が高まるはず。その場限りになりがちな安全教育より効果は大きい」と 言っている。 

2003 年4月に東京・板橋区で自転車利用者を対象にした自転車安全利用条例が施行され た。利用者に走行ルールの遵守を呼びかけるとともに、自転車による事故を防止しようというね らいだが、こうした条例の制定にも表われているように、自転車利用者の義務が厳しく問われて いることを認識しなければならない。 

2.米英では訓練・教習が利用の前提 

英国自転車国家戦略は「自転車に関する子供教育の重要性」という項目で、次のように述べて いる。「子供の時代になされた肉体的活動が大人になって始められたよりは、より大人の生活に おいて継続される可能性があるとすれば、子供たちの自転車の可能性は特に重要である。調 査によれば、子供たちは一般的に自転車になかなか乗せてもらえない。自転車のセキュリティと 交通安全性を再確認するとともに、そのもたらす利益と快適性の認識を確保するための明確な プログラムが必要である」。 

こうした認識に基づき、戦略は学童の自転車利用を奨励し、可能にするという方針を掲げ、交 通管理と通学路の安全対策を改善するとともに、自転車訓練課程を充実させることを求めてい る。そして、自転車通学の児童数を 1996 年時点より倍増させるという目標を掲げた。地方公共 団体が自転車政策を展開する際のチェック項目にも、「学校への安全なルートと、学校での自 転車のセキュリティは確保されているか」「子供の自転車訓練がなされているか」ということが明 記されている。 

一方、米国の TEA-21st 法では、交通省長官に対して、路上教習コースを含んだ「国家自転車 教育カリキュラム」を策定する権限を与え、法施行後1年以内にこのカリキュラムの写しを議会に 報告することを義務づけた。そのための資金として 50 万ドルを認めている(1202 条 e 項)。また 1201 条では歩行者・自転車に対する安全対策や教育活動を交通高度化活動の対象に加えて いる。 

このように、米英両国とも自転車を利用する際には、年齢を問わず訓練や教育を前提にしてい

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ることがわかる。これに対し、日本では乗り始めてから、改めてルールやマナーを身につけさせ るという方策がとられ、それも中途半端な形で実施されているに過ぎない。 

このことは、自転車を交通手段として明確に位置づけていないうえ、利用者に「車両」の認識が ないことに由来するものと考えられる。 

3.提言 

自転車利用者がマナーを身につけ、ルールを守ることで、自転車の安全性と価値と地位は一 段と向上する。そのためには、幼児期からの教育、指導、啓発が欠かせない。交通手段として 位置づけるからには、こうした段階を踏む必要があり、教育現場だけでなく、地域が一体となっ て、自転車利用者の責務を確立していくべきである。 

こうした観点に立って、自転車利用者の教育、啓発に関して、以下のように提言する。 

①制定されるべき自転車新法には、自転車利用者の権利と義務を具体的に明記し、違反者に は行政罰を科すべきである 

②小学校低学年のカリキュラムに、実地を含む自転車教育を加えるべきである 

③自転車購入時に自転車講習修了証の提示を求めるなど、事前のチェックを検討すべきであ る 

④公道上を安全に走行し、適切に駐輪することが自転車を利用する上で最低の責務であること を自覚させ、車両の定期点検・整備など、応分の負担によりルールを守る重要さを徹底させる べきである 

   

第6章 まとめ 自転車の個体管理と住民サービス   

 放置自転車対策の費用はわれわれが納める税金で賄われている。都内 23 区では放置自転 車対策費は 100 億円を超えている。そして現状の放置対策を続けていく限り、その費用は決し て減ることはない。自転車の個体を管理する技術は海外では既に存在している。自転車の悪い イメージを払拭し、自治体等で取り組まれている活動と地域の利用者サービスを結びつけた新 たなサービスを目指し、さまざまな要因が絡み合った放置自転車問題を解決する糸口を見いだ し、本調査・研究をベースに IC タグの機能を活かした利用者サービスを社会実験により実証し たい。 

         

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