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「物流効率化による経営改善と 環境負荷の低減」

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(1)

中小事業経営層向けセミナー

「物流効率化による経営改善と 環境負荷の低減」

テキスト

平成24年5月

東京都 環境局

(2)

目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

~中小企業の経営者の皆さんへ~

第1章 東京の物流に関わる環境面での課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

~すべての事業者の皆様の取組がカギです~

第2章 都市物流を効率化するための主な手法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5

第3章 物流効率化は環境負荷低減と経営改善をもたらす ・・・・6 3-1 物流効率化と環境負荷低減及び経営改善との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 3-2 物流の効率化による環境負荷低減が与える経営上のメリット・・・・・・・・・8

第4章 環境負荷低減効果のある物流効率化のメニュー ・・・・・11 4-1 物流効率化策実施の際の荷主への提案プロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 4-2 小売店など“受け取り側”における物流効率化策への理解・・・・・・・・・13

第5章 コアとなる人材の育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

第6章 東京都の施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

~物流分野での環境対策の推進に向けて~

6-1 「東京都環境基本計画」の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 6-2 「自動車環境管理計画書制度」及び「地球温暖化対策計画書制度」

の概要・・・19

6-3 東京都における物流効率化に関する主な支援メニュー・・・・・・・・・・・・・24

(3)

はじめに

~中小企業の経営者の皆さんへ~

■都内の物流ではトラックからの環境負荷低減が課題です。

物流は、産業活動や市民生活を支える上で不可欠なものです。

しかし、環境面では、輸送に伴いトラック等から排出されるCOなどの削減が課 題となっています。

特に都市内の物流では、輸送手段のほとんどをトラックに依存しており、輸配送の 無駄な走行やCO2の排出を削減することが求められています。

■各事業者の工夫で、様々な取組が行われています。

物流からの環境対策は、トラック運送業や倉庫業など、いわゆる物流事業者のみの 問題ではなく、製造業や卸売業など物品の製造~販売~消費に携わるすべての事業者 にかかわる問題です。

製造業や卸売業など荷主サイドでも、大手の事業者などにより環境対策が行われて きていますが、物流に関わる事業者のほとんどは中小企業であることから、事業者の 皆さんすべての取組が、持続可能な物流を実現するカギとなっています。

物流の社会的意義 物流が社会に与える影響

■中小事業者にも取り組みやすい事例を紹介しています。

このテキストでは、中小事業者にとっても取組のヒントやきっかけとなるよう、「大 きな投資や専門の組織が必要」など大手事業者でないとなかなか取り組めないような 内容ではなく、これまで「環境対策に手を回す余裕がなかった」というような小規模 な事業者でも直ちに取り組める内容を中心に紹介しています。

■物流効率化による環境対策は、経営改善につながります。

トラック輸送にかかわる環境対策には、ムリ・ムラ・ムダを省くことでコスト削減を もたらすものが多くあります。また、物流対策・環境対策を行うことで、社員の「仕 事の質の向上」や「新規顧客の獲得」など思わぬ効果が現れた事例もあります。この ように物流効率化による環境対策は同時に経営面でも大きなメリットを生み出します。

物流対策は、商品管理や営業推進、財務管理や労務管理などと密接に結びついており、

経営判断そのものです。取組の開始を決定するのは、経営者であるあなたです。

さあ、是非、あなたの会社でも、今日から取組を進めていきましょう。

(4)

第1章 東京の物流に関わる環境面での課題

~すべての事業者の皆様の取組がカギです~

■貨物車からのCO

の排出は大きな環境負荷を生じています。

■都内では、約5割のトラックが自家用車(白ナンバー)による輸送で、営業用車 に比べ輸送効率が低く環境負荷も高くなっています。

■環境負荷を低減するためには、営業用・自家用を合わせた総合的な取組が必要で、

関連する荷主や物流事業者の幅広い協力が不可欠です。

■都内のCO

排出量に占める自動車及び貨物車の割合

 都内のCO排出量のうち、全体の約4分の1が運輸部門からの排出です。

 さらに、運輸部門の約3分の1は貨物車が占めています。

〔部門別CO

排出量構成比〕

〔車種別自動車CO

排出量構成比〕

乗用車 55%

乗用LPG車 7%

軽乗用車 普通貨物車 3%

17%

小型貨物車 13%

軽貨物車 3%バス

2% 2005 年度 総量

1,333 万トン-CO 約3分の1

が貨物車

図1 都内におけるCO

2

排出量

家庭部門 25.8%

業務部門 36.8%

運輸部門 26.2%

産業部門 9.3%

その他 1.8%

2006年度

5,588万トン

(5)

■東京都における貨物車の種類

資料:登録台数:市区町村別 自動車保有車両数 No.35((財)自動車検査登録情報協会 輸送台数:平成 15 年第4回東京都市圏物資流動調査(東京都市圏交通計画協議会)より

注:事業所から搬出する際の貨物車の種類

図2 都内の登録台数と輸送台数の営業用・自家用比率

■貨物車の自営別積載効率(東京都)

【積載効率】 【トンキロ当たり CO2排出量】

資料:自動車輸送統計年報(H20) 国土交通省 注:数値は、東京都のもの

積載効率=輸送トンキロ/能力トンキロ

図3 都内の登録台数と輸送台数の営業用・自家用比率

営業用 53%

営業用 22%

自家用 47%

自家用 78%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

輸送台数 登録台数

 都内の貨物車の約8割は自家用貨物車であり、実際に輸送している台数も約 半数を自家用貨物車が占めています。

 自家用貨物車は、営業用貨物車に比べ積載効率が低く、効率化の余地が高く なっています。

 営業用貨物車は低公害・低燃費車への切換の計画的な推進やドライバーと事務 部門が連携した燃費管理(エコドライブ)など、運行管理をきめ細かく行って いる事業者も多く環境負荷の低減において優れた取組が多くなっています。

 自家用貨物車から営業用貨物車への転換が進むことにより、貨物車両全体の 環境負荷が低減されていくことが期待できます。自家用車両で運ぶ必要があ る場合にも営業用車両での取組なども参考にしながら効率化を進めていく 必要があります。

 営業用トラックのトンキロあたりの CO2排出量は自家用トラックの約 7 分 の1です。

出典:国土交通省資料 44

19

0 20 40 60

営 業 用

自 家 用 積

載 効 率(

%)

980

145

38 22

0 200 400 600 800 1000 1200

自 家 用 貨 物 車

営 業 用 貨 物 車

船 舶

鉄 道

-CO2/ト(2007年度)

(6)

エコドライブコンテストの優秀事例発表など、企業におけるエコドライブ活動の普 及促進のため開催

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/sgw/ecodrive/index.html

■エコドライブセミナー (主催:独立行政法人環境再生保全機構)

〔関連する取組〕

■グリーン・エコプロジェクト

(社団法人東京都トラック協会(東ト協))

東京都トラック協会では、新規事業として地球温暖 化防止対策の対応を図るため、東京都トラック協会独 自のCO

等削減対策を盛り込んだ「グリーン・エコ プロジェクト」を立ち上げており、プロジェクトに参 加する会員企業向けに、「エコドライブ活動に必要な ツールの提供」、「燃費データベースの作成代行業務」

「具体的かつ実践的なセミナーの開催」などが実施さ れています。

http://www.tta-gep.jp/

【コラム1】:営業用車両の環境対策への取組事例

(7)

第2章 都市物流を効率化するための主な手法

 都市物流は、メーカーや消費者、小売店など荷主の経済・消費活動により発生 します。都市物流において貨物自動車からのCO排出を削減するためには、

荷主も含めた以下の3つの対策などがあると考えられます。

 一つ目は、貨物自動車の走行に対する取り組みです。「排出ガスの少ない車両」

を利用したり、「排出ガスの少ない走行」などにより、排出量の原単位が小さく なり、同じ距離の走行であってもCO排出量を減らすことができます。

 二つ目は、貨物自動車の走行を効率的に実施する取り組みです。走行時間の短 縮や経済速度で走れるようにする「混雑区間・時間の回避」、走行ルートの変更 や施設配置の変更による「走行距離の短縮」、1台の自動車にできる限り多く積 載して輸送に使用する台数を減らす「積載効率の向上」などがあります。

 三つ目は、そもそもの物流の発生源である“荷主からの輸送指示”の見直しで す。輸送サービスの改善の取組みのなかで「輸送回数の削減」などがあります。

 具体的には、次のような手法があり、それぞれ積載率の向上、総走行距離の削 減、燃費の向上などにより、CO排出の削減につながります。

積載効率の向上

輸送回数の削減 サ ー ビ ス の 見

直し

混雑区間・時間の回避

走行距離の短縮 荷物の運び方

排出ガスの少ない車両 に変更

排出ガスの少ない(燃費 の良い)走行

車の使い方 ・低公害・低燃費車の導入

・エコドライブ

・混雑道路の回避(ルート変更)

・混雑時間の回避(時間変更)

・配送ルートの変更(最短経路への変更)

・在庫ポイントの変更

(距離が短くなる場所への新設・移転)

・混載化・共同化

・積み着け方法の改善

・帰り荷の確保

・自営転換

・過剰サービスの見直し

(輸送頻度の削減)

・在庫管理の見直し

(輸送頻度の削減)

図4 物流におけるCO

等削減の主な手法

(8)

第3章 物流効率化による環境負荷低減と経営改善の両立

3-1 物流効率化と環境及び経営との関係

■物流効率化には、経営面と環境面で両立できるものが多くあります。

■物流効率化策の多くが、実は環境負荷低減策でもあることにお気づきですか?

(1)荷主の場合

 荷主が、物流効率化策として自家用貨物車両から営業貨物車両への委託に切り 替える「自営転換」を行った場合を例に見てみましょう。

 物流面では、運送のプロに委託することで、輸送品質の向上や輸送途上の“見 える化”など、顧客への質の高いサービスの提供につながります。

 環境面では、運送事業者がまとめて運ぶことで、積載率の向上によりトラック の走行量が減り、CO削減などの効果があります。

 さらに、経営面からみると、燃料代・車両代・人件費などの物流経費の削減とと もに、物流に関する業務負担が軽減されることで、社員の効率的配置による営 業活動の向上など本業に経営資源を集中できます。

 また、顧客に対しては、物流面や環境面での成果が伝わることで、会社の信頼 アップを通じて新たな事業展開に結びつくケースもあります。

図5 物流効率化と環境負荷低減及び経営改善の関係

〔荷主:自営転換の場合〕

物流効率化策 例:自営転換

CO 削減 大気汚染物質の削減

NOx:窒素酸化物 SOx:硫黄酸化物 PM :粒子状物質

〔物流サービスレベル〕

受発注の効率化 運送のプロに委託することで、

物流サービスレベルの向上

(輸送品質の向上等)

と効率化

(業務の効率化、時間短縮等)

環境面の効果

物流面での直接的な成果

〔対顧客〕 〔社内〕

物流経費の削減

(燃料代・車両 ・人件費)

会社の信頼アップ

新事業展開

経営資源の集中

社員の効率的配置・能力向上 経営上のメリット

(9)

(2)運送事業者の場合

 運送事業者による物流効率化策の代表的なものはエコドライブで、燃費の向上 により、燃料代のコストダウンがはかれるだけでなく、CO削減など環境面 での効果があります。

 低公害車の導入は、CO削減など環境面での効果があるだけでなく、環境に やさしい事業者であるとの企業イメージアップにも大きく寄与します。

 また、荷主の協力が得られれば、多くの物流効率化策の実施が可能になります。

たとえば、混雑時間を回避して効率的な配送を実施する取組には、配送時間の 変更等が必要となるため、荷主の協力が不可欠です。

 荷主の協力を得るためには、現状を説明し、効率化による効果を具体的に示す ことです。荷主は無駄なコストはかけたくない一方、輸送品質を確保し、環境 にも配慮したいと考えています。

 経営面からみると、環境や物流効率化への真摯な取り組みは、ムダな経費の削 減だけではなく、事故率低下をはじめとした仕事の質の向上に結びつきます。

 これらは顧客への質の高い物流サービスの提供となることに加え、環境面での 成果が伝わることで、従来荷主からの信頼アップや取引の拡大、新規顧客の獲 得など売上増に結びついているケースもあります。

図6 物流効率化と環境負荷低減及び経営改善の関係

〔運送事業者の場合〕

環境面の効果 CO削減

大気汚染物質の削減 NOx:窒素酸化物 SOx:硫黄酸化物 PM :粒子状物質

〔物流サービスレベル〕

経営上のメリット

〔対顧客〕

荷主からの信頼アップ 取引の拡大(売上増) 新規顧客の獲得(売上増)

〔社内〕

ムダな経費の削減

(燃料代・人件費)

仕事の質の向上

物流面での直接的な成果 物流効率化策

・荷主と物流事業者のパート ナーシップによる取組

・物流事業者の取組

〔効率化〕

積載率の向上 走行距離の短縮 燃費の向上 定時性確保

リードタイム短縮

〔サービスレベル〕

(事故率低下等)

(10)

3-2 物流の効率化による経営上のメリット

各項目にある「事例」は、別冊の事例集を参照してください。

(1)コストの縮減

・エコドライブの実施では、無駄な急加速や空ぶかしが無くなるため、ムダな燃 料を使わなくなります(燃費の向上)。

(事例

11、12、13)

・多頻度小口輸送の回数を減らすことなど過剰な輸送サービスを止めることによ り、経営を圧迫する要因を取り除くことができます。

(事例4、7、8)

・顧客の実態に応じた配送方法の工夫により、持ち戻り輸送や配送ルートの見直 しなど貨物車のムダな走行を減らすことができます。

(事例3、14、15)

・梱包方法の工夫や車両の共同利用(共同配送)により、1回当たりの輸送量が 増加し、車両を効率的に使用することができます。

(事例4、5、9)

図7 物流効率化の取組内容とコストの縮減に関する経営上のメリット

(2)売上げの増加

■物流の効率化を行うと、過剰サービスの削減や走行距離の短縮などの不必要な活 動の抑制につながり、結果的にコスト縮減が達成されます。

○物流の効率化を行うと、リードタイム等の短縮等が可能となる。さらに、環境負 荷低減についても、環境対策をCSRなどで経営戦略と位置付けている企業も多 いことから、顧客評価を向上させることが可能となり、結果的に売上げ増につな がることがあります。

取組 経営上のメリット

排出ガスの少ない 走行 輸送回数の削減

走行距離の短縮

積載効率の向上 エコドライブ

輸送の回数を減らす

持ち戻り輸送、配送ルートの見直し

梱包の工夫、共同配送

燃費の向上

ムダの削減

使用機材の効率化

輸送コストの削減 移動時間の短縮

・環境対策への取組が評価され、新しい顧客の獲得など、売上げ増につながるケ ースもあります。

(事例10)

・混載輸送の促進等の物流効率化策は、支払い物流コストの上昇など取引先が抱 えている課題の解決にもつながり、取組が評価され取引量が増加するケースも あります。

(事例8、15、16、17)

・エコドライブを実施するために行う勉強会や社員教育の充実による丁寧な運転、

業務知識の向上等のエコドライブ活動は、コミュニケーション能力の向上、き

(11)

め細かい業務遂行能力を養うとともに、意識改革を促進し、ドライバーの顧客 対応の改善にもつながります。その結果、顧客の評価も上がって、継続的な契 約や新しい顧客の獲得など売上げ増に結びつくケースもあります。

(事例11、

12、13)

図8 物流効率化の取組内容と売上げの増加に関する経営上のメリット

(3)機材や人材の有効活用

・自営転換により、営業要員が納品等に追われることなく、営業活動に専念でき るようになるなど、限られた人材を有効に使えるようになります。

(事例1)

・夜間配送や渋滞回避ルートへの変更により、配送時間が短縮され、車両の効率 的運用や人員配置の効率化が可能となります。

(事例2、4、6、14、15)

・環境負荷低減に取り組むことにより、運転が丁寧になり、交通事故や交通違反 の発生が抑えられ、アクシデントによる離職や交通事故等の事務処理の省力化 が図られ、車両や人材を有効活用できます。事故発生を抑えて割引率を高める ことにより保険料のコストダウンにもつながります(事例11、12、14)

・現場の労働環境を改善し、社員の定着率を上げることで、技術を持ったスタッ フを継続的に雇用することが可能となります。

(事例11、17)

取組

■物流の効率化を行うと、より少ない資産で効果的な事業活動が可能となり、限ら れた機材や人材を有効活用することが可能となります。

低公害車の導入

エコドライブ

物流ニーズ への対応

企業イメージの向上

荷主からの 信頼アップ

取引の拡大 ドライバーの丁寧な運

転・顧客対応の改善 きめ細かい業務遂行能力 を育成・意識改革の促進

顧客満足度の 維持・向上

新規顧客の 獲得

施 策 経営上のメリット

排気ガスの少ない車両 に変更

配送ルートの変更 在庫ポイントの変更 夜間配送、渋滞回避

人材確保 交通違反・交通事故の減少

社員の効率的配置 経営資源の集中

エコドライブ カーナビの導入、代車運行

夜間配送、渋滞回避 自営転換

丁寧な運転、意識の向上 現場の労働環境の改善

走行時間の短縮 業務の専任

経営上のメリット

図9 物流効率化の取組内容と機材や人材の有効活用に関する経営上のメリット

(12)

(4)企業価値の向上

○環境負荷低減に取り組むことは、企業の社会的責任(CSR)を果たすことにな します。また、環境負荷の低減への取組は、従業員の意識改革にもつながり、結 果的に定時性のアップ、荷傷みの防止等の物流品質の向上や、安全・安心など、

企業価値を向上させ、事業の成長発展につながります。

・最短経路探索等の物流効率化策は、走行量の抑制を通じて環境負荷を低減でき るとともに、重要な顧客ニーズである時間指定の遵守を可能とし、これによっ て取引先からの信頼を得ることで企業価値が向上します。

(事例2、3、6、

14、15)

・環境への取組は、従業員の意識改革を促し、安全運転や交通ルール・マナーの 遵守の徹底や交通事故の減少などコンプライアンス(法令遵守)及び安全・安 心面の信頼性が高まり、企業価値が向上します。

(事例11、12、13)

信頼アップ 荷主からの 従業員の質の

向上

経営上のメリット

低公害車の導入 エコドライブ

混雑道路の回避

配送ルートの変更 ニーズへの

対応 在庫ポイントの変更

顧客の物流 環境への取組

取組

図 10 物流効率化の取組内容と企業価値向上に関する経営上のメリット

(13)

第4章 環境負荷低減効果のある物流効率化のメニュー

 環境負荷低減効果のある物流効率化のメニューには、次ページに示すようなも のがあり、すぐにでも取り組めるメニューもあります。

 事例欄に示す事例は、別冊の「事例集」に、具体的な取組の内容やプロセスな どについて詳しく紹介していますので、取組のヒントとして御活用ください。

 ここでは、代表メニューごとに、取組の主体や、物流の改善で期待できる効果、

経営改善の面で期待できるメリット、着手のしやすさといった視点から整理し ています。

 そのため、例えば、「荷物の運び方→輸送回数の削減」といった取組の内容から 該当する事例を探すことも可能です。

 また、経営面で問題認識を持たれている項目があれば、その項目に○がついて いる事例を探すこともできます。

物流センター

新設の物流センター

物流センター

新設の物流センター

ちょっと 待って もうできません!!

(14)

4-1 物流効率化策実施の際の荷主への提案プロセス

荷主の協力を得て物流効率化策を実施し、業務のコストダウンを実現した運送事 業者は、どのように荷主に提案を行っていったのか、そのプロセスの一例を紹介し ます。

■困っていることを見つける

■部分的でも成果を見せる

■ふだんから頻繁に訪問し、提案等をしやすい環境をつくる

(1)困っていることを見つける

・荷主が困っていることを見つけ、これを解決する方法を提案することは、荷主 にとっても大いに歓迎されることです。

・運送事業者にとって、非効率に感じることや、改善したいと思っていることは、

荷主が困っていることと同じ場合があります。日常業務のなかで、常に無駄が ないか、改善の余地がないかを考えてみることで、荷主と自社、双方にとって の問題点を発見できる可能性があります。

(2)部分的でも成果を見せる

・信頼関係ができる前に大きな改善を提案しても、受け入れられるのは困難です。

荷主としても失敗はこわいのです。

・小さな工夫や改善を行い、実績を上げていくことが、荷主からの信頼を高めま す。これにより、荷主は大きな改善策に取り組む気持ちになるものです。

・自社で実施した工夫や改善により、どんなことがどのように改善されたのか、

具体的に、データも活用して示せるようにすることが、荷主に対する説得力を 高めます。

(3)ふだんから提案しやすい関係をつくる

・本来、「品質を高め、トータルコストを安くしてくれる運送事業者=良い運送 事業者」であると考えられますが、「自社の都合に合わせてくれる運送事業者

=良い運送事業者」と捉えている荷主も少なくありません。このように考えて いる荷主に対し、運送事業者側からの提案を受け入れてもらうためには、まず コミュニケーションの素地をつくることが必要です。

・頻繁に訪問したり、訪問するたびに何らかの改善提案を行ったり、自社で実施 した小さな工夫や改善の報告をしたりすることで、“荷主にメリットをもたら す運送事業者”というイメージをつくっていきましょう。

事例集(事例 7、事例 8、事例 15)を参照してください。

(15)

4-2 小売店などにおける物流効率化策の効果

都市物流は、メーカーや小売店、消費者など荷主の経済・消費活動により発生し ます。小売店などの場合、納品物流などに着目して、メーカーや物流事業者などと の連携により物流効率化を図ることで、仕入れ値などを安くすることが考えられま す。納品回数の見直しと合わせて、店舗での商品注文・受入体制や品出し作業の見 直しを行うことで、作業を効率化したり、より魅力的な店頭をつくることを可能に した例もあります。

(16)

表1 環境負荷低減効果のある物流効率化の代表的メニュー

取組主体

着手のしやすさ

メニュー

荷主 運送事業 者

自社単位で実施できるか、取引先等の協力が必要か

初期投 資

○:特に取り組みやすいメニュー 排 出 ガ ス

の 少 な い 車 両 に 変 更

低 公 害 ・ 低 燃 費 車 の

導入 ○ ○

単独で可

大 ・車両の購入のための初期投資が確保 できれば、着手可能

エコドライブ

(アイドリング・ストッ プの徹底、空ぶかし、

急発進、急加速運転等 の削減等)

○ ○

単独で可

小 ○

・コストをかけずにすぐできる。

・給油の度に消費燃料と走行距離を記 録することからはじめられる

・機器購入でも燃費向上により1年程 度で初期費用が回収できる。

車の 使い 方

排 出 ガ ス の 少 な い

(燃費の良 い)走行

自営転換

(アウトソーシング)

○ -

単独

不要

・自社配送の必要性が低い商品、自社社員 が配送する理由がなければ着手可能 混雑道路の回避

(ルート変更) ○ ○ 重要

小~中

○ ・インターネットの無料サイトの利用も可能。

・携帯電話や無線等を用いた簡易な方法か ら、ATIS・VICSやGPS等を用 いた高度な方法まで様々な方法がある。

混雑区間・

時 間 の 回 避

混雑時間の回避 (夜間配送等への時間変更)

○ ○

重要 不要

・深夜・早朝に営業している届け先やチェー ン店であれば実施の可能性が高い。

配送ルートの変更 (最短経路への変更、

ムダな走行の回避)

○ ○ 重要 小 ○

・現場の道路状況等に詳しいドライバ ーと配車係との協力で高い精度のル ート設定が可能

・カーナビやインターネットの無料サ イトの利用も可能

走 行 距 離 の短縮

在庫ポイントの変更 (距離が短くなる場所 への新設・移転)

○ ○

必須

大 ・物流センターの設置には初期投資がかかるが 様々な補助・融資制度を利用したり、取引先等 のスペースを間借りしたりすることも可能 輸送頻度の削減

(過剰サービスの見直し) ○ - 必 須

不要 ・売上げや納品データの分析により物 流を把握して交渉することで配送頻 度を減 らすことが 可能な場合 もあ る。

輸 送 回 数 の削減

輸送頻度の削減 (在庫管理の見直しによる。)

○ - 必 須

不要 ・在庫と出荷データの分析により適切 な在庫管理を実施し、それによって 配送頻度を減らすことが可能 混載化・共同化

○ ○ 必須

不要~大

・荷主に対してメリットを示すことができれば、

一般運送貨物事業でも複数荷主の混載は可能

・共同配送では、主力製品分野が少しだけ異なっ ている同業者間で実施しやすい。

積み着け方法の改善

○ ○

単独で可

・形状が特殊なものでも梱包方法等に より定型化できれば、多くの荷物を 積み込むことが可能

・容器の工夫により多温度帯のものも 台で輸送可能

荷物の 運 び 方

積 載 効 率 の向上

帰り荷の確保 - ○

で可 単独

大 ○ ・既にインターネット上のシステムと

して提供されており、低価格で活用

が可能

(17)

物流面での直接的な効果 経営上のメリット 環境面の効果

事例

※「事例」は別冊事例集参照

積載率の 向 上 総走 行距離の 削減 燃費の 向 上

コ ス ト 縮 減 の 効 果

売上 げ 増 の 効 果 機材・ 人 材の 有効活用 企業価値の 向上 C O 2 の 削 減 効 果

大気汚染物質の 削 減 効 果

事例 1~9::荷主の事例

事例 10~17:運送事業者の事例

- - ○ ○ ○ ○

事例 10:貨物運送業

- - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

事例 11:貨物運送業 事例 12:貨物運送業 事例 13:貨物運送業

○ ○ ○ ○ ○ ○ 事例 1:卸売業

- - ○ ○ ○ ○ ○

事例 14:貨物運送業

○ - ○ ○ ○ ○ ○ 事例 6:卸売業 7 社と貨物運送業 事例 4:飲食料品卸売業

- ○ - ○ ○ ○ ○ ○ ○

事例 2:生活関連サービス業 事例 11:貨物運送業

事例 14:貨物運送業 事例 15:貨物運送業

- ○ - ○ ○ ○ ○

事例 3:精密機械器具製造業 事例 6:卸売業 7 社と貨物運送業

○ ○ - ○ ○ ○

事例 4:飲食料品卸売業 事例 7:飲食料品卸売業

○ ○ - ○ ○ ○ ○

事例 8:卸売業

○ ○ - ○ ○ ○ ○

事例 16:貨物運送業

事例 9:電気機械器具卸売業

○ ○ - ○ ○ ○

事例 4:飲食料品卸売業 事例 5:園芸等サービス業

○ ○ - ○ ○ ○ ○

事例 17:貨物運送業

重要:取引先の協力があると成果を上げやすい取組.必須:取引先の協力がないと実施できない取組

(18)

第5章 コアとなる人材の育成

「環境に配慮した物流の効率化」の実現には、企業の社会的責任を認識した上で、

自社の経営と物流の見直し等の経営方針を決定することが重要です。中小企業者にお いては、経営層が物流の効率化の意義やノウハウを理解するなど経営層自らの意識改 革が出発点となります。

各社での取組を進めるに当たっては、経営層自らが「環境に配慮した物流効率化」

に取り組むという方針を従業員に示すなどリーダーシップを発揮しながら、各社の実 情に応じて、コアとなる人材を育成し、その人材が社内での取組を進められるよう権 限を与えたり、各部署の役割を決めるなど、社内の推進体制を整える必要があります。

また従業員にも「環境に配慮した物流効率化」の考え方を浸透させ、必要な知識や 技術の習得に努めさせる等の取組が不可欠です。

従業員に「環境に配慮した物流効率化」に対する知識や技術を習得させ、コアとな る人材を育成するために、次のような方策などが有効と考えられます。

① 社外講習会等への派遣

② 社内研修会の実施

③ 社員相互が議論したり、社に対して提案できる場や機会の確保

④ 人事考課での考慮

(19)

経営層の「環境に配慮した物流効率化」への理解

手法・進め方の取得 経営実態に合せた物流効率化等の

担当部署・担当者の明確化 具体的な手法・進め方の習得

(社外講習会の受講、社内研修など)

への理解、意識の形成

従業員 [環境に配慮した物流効率化]

コアとなる人材の育成 社内体制の確立

現場での実践

図 11 「環境に配慮した物流の効率化」の実現するための流れの例

表2 コアとなる人材のイメージ

製造業 卸売業 倉庫業 トラック運送業

物流コスト・環境 負荷を意識し、製 造過程の効率化と 同時に輸配送の効 率化を実現できる 生産・販売計画を 立てられる人

物流コスト・環境 負荷を意識し、在 庫の適正化と同時 に輸配送の効率化 を実現する仕入計 画・マーケティン グが行える人

倉庫内業・入出庫 の効率化を中心に 受発注や輸配送を 含めた物流効率化 を顧客に提案・提 供できる人

輸 配 送 の 効 率 化

な ど 物 流 効 率 化

のために、荷主や

荷 主 顧 客 か ら 納

品 条 件 の 見 直 し

を引き出せる人

(20)

第6章 東京都の施策

~物流分野での環境対策の推進に向けて~

6-1 「東京都環境基本計画」における運輸部門の目標

■東京都では、低環境負荷、高効率、安全・快適な都市を実現するため、

運輸部門では 2020 年までに 2000 年比 40%程度の削減を目指します。

 東京都では、「東京都環境基本計画」(平成 20 年 3 月)において、都民や事業 者が、環境負荷が低く、効率の高い自動車使用を実践し、誰もが安全で快適な 移動環境を享受できる都市を目標に掲げています。

・大気汚染が解消され、低炭素型の自動車使用が実践されている都市(低環 境負荷)

・自動車使用にかかる定時性や速達性、利便性が確保されており、資源やエ ネルギー、都市・道路空間等が高い効率で利用されている都市(高効率)

・自動車や歩行者等の安全で快適な移動環境が確保されている都市(安全・

快適)

 上記の都市像を実現するため、中短期的目標として、以下の削減目標を定めて います。

(部門ごとの排出割合 本テキストp2参照)

☐運輸部門(乗用車、バス等を含む)においては、 2020 年までに 2000 年比 40%程度の削減を目指します。

目標

☐2020 年までに、東京全体の温室効果ガス排出量を 25%削減

(21)

6-2 「自動車環境管理計画書」及び「地球温暖化対策計画書」の概要

■東京都では、運輸部門での目標達成のため、マイカーから公共交通等への転換の 促進などの施策とあわせて、 「自動車環境管理計画書」及び「地球温暖化対策計 画書」などにより、事業者による取組を促進しています。

 自動車環境管理指針

○トラック(製造、卸、倉庫、運輸)、バス、タクシーなど自動車を自ら使用..

する事業者(運ぶ者)への自主的な環境への配慮行動を求めます。

・自動車環境管理指針に基づき対策を計画・実施

 東京都地球温暖化対策指針(自動車部門)

○買主(大規模なビルや商業)など他者の自動車を利用..

する事業者(購入す る者)への合理化

・地球温暖化対策指針(自動車部門)に基づき対策を計画・実施

バス、タクシー など

地球温暖化対策計画書

(平成 22 年度施行)

(本テキストp20 参照)

(自動車を利用

..

する事業者)

例:買主(大規模なビルや商業施設など)

例:トラック(製造、卸、倉庫、運輸など)

(本テキストp18 参照)

(自動車を使用

..

する事業者)

自動車環境管理計画書

(平成 18 年度施行)

(22)

自動車環境管理計画書 の概要 制度のねらい

 東京都では、燃料別・車種別の燃料消費量やCO排出量の報告や、共同輸配送 などの自動車使用の合理化に向けた取組状況の報告を求めることにより、事業 者によるCO削減対策等の計画的な自主行動を促進しています。

 また、事業者の特に優れた取組内容を公表・紹介することなどを通じて、こうし た取組の社会的評価の向上を図り、より積極的な行動を促しています。

制度概要

 この制度は、自動車を使用する事業者に低公害車の導入、自動車使用の合理化 等に関する事項について自主的な環境への配慮行動を求めるもので、都内にお いて

30 台以上の自動車を使用する事業者に対して、5箇年の「自動車環境管 理計画書」の提出及び毎年度の実績報告書の提出を義務付けています。

対 象

 トラック(製造、卸、倉庫、運輸など)、バス、タクシー など

東京都内(島しょを除く)に使用の本拠を有する(都内ナンバー)自動車を

30 台以上使用する事業者

※対象となる自動車の種類は、普通自動車、小型・軽自動車(二輪車を除く) 、大型・小型 特殊自動車(区分:道路運送車両法)です。

※都内に複数の事業所を有する場合は、その全事業所の台数の合計が 30 台以上であれば 対象になります。

※本社が都外にあっても、 都内にある事業所で 30 台以上使用していれば対象になります。

内 容

 自動車を使用する上での環境対策に関する計画書(自動車環境管理計画書)の 作成・提出と、計画書にそった実績報告書の作成・提出

⇒「自動車環境管理指針 別表第2」のメニュー例等を参考

(次ページ 参照)

⇒優良事業者を東京都ホームページで公表

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/sgw/attachement/torikurimato me.pdf

(23)

自動車環境管理計画書 (自動車を使用する事業者)

表3 自動車管理環境管理指針で取組が求められているメニュー例

「自動車環境管理指針 別表第2」より

:貨物車走行に関連するもの

大分類 小分類 内 容

基本方針 自動車使用合理化に関する基本方針の策定 推進組織 推進組織の整備

定量的目標 燃費等に関する定量的目標の設定 ISO14001 認証の取得

グリーン経営認証の取得 環境マネジメン

トシステムの導

入 エコアクション 21 認証の取得 1)推進

体制の 整備

その他 環境報告書の作成 低燃費車の導入

燃費向上のための装置の導入

(外部電源による冷蔵等貨物室の空調管理を可能とする装置、エコタイヤ、エ ア・ヒーター、蓄熱マット、蓄冷式クーラー、エア・ディフレクタ等の導入)

VICS(道路交通情報通信システム)等の導入

ETC(無線通信を利用して有料道路の通行料金支払いを行うシステム)搭載 車の導入

アイドリング・ストップ装置の装着、装置搭載車の導入 キー抜きロープの導入

エコドライブ装置の装着、装置搭載車の導入 省エネルギー機

器等の導入

デジタル式運行記録計の導入

エコドライブの実践(アイドリング・ストップの徹底、空ぶかし、急発進・急 加速運転等の削減等)

エコドライブに関する教育、訓練等の実施(マニュアルの作成・配布、講習会 の実施、講習会への参加促進等)

省エネルギー運 転(適正運転)の 実施

燃費向上に関するドライバーズコンテストの実施、優良ドライバーの表彰等 適正な点検整備による燃費の維持(エア・クリーナー、タイヤ空気圧、燃料噴 射ノズル等の定期的な点検・整備等)

日常点検・整備に関する教育、訓練等の実施 日々の始業時点検・帰社時点検の実施 2)省エネ

運転に 関する 対策

車両の維持管理

運転日報の作成・集計 鉄道輸送の活用

モーダルシフト

の推進 水上輸送の活用

自営転換 自家用貨物自動車による輸送から営業用貨物自動車による輸送への転換 輸配送業務の共同化

共同輸配送の促

進 物資の集荷、仕分等の業務の共同化 物流施設の高度

化、物流拠点の整 備等

荷受け・仕分業務の安全かつ効率化のための施設の整備

(既存施設の機械化・自動化、荷さばき場・駐停車場所・運転手控室の整備等)

商品の標準化(積み合わせを容易にするための商品荷姿の標準化)

車両の大型化 積載効率向上の

工夫

帰り荷の確保(集配ルートの工夫、求車配車システムの利用等)

GPS/AVMシステム(人工衛星利用の車両位置等自動表示システム)によ る配車距離の削減

3)物流に 関する 対策

輸送効率向上の 工夫

検品の効率化(RFID(無線ICチップを利用した商品等の識別・管理シス テム)の導入等)

鉄道、バス等の公共交通機関の利用の促進 自転車・徒歩による移動の推奨

事業用自動車の自宅持ち帰りの抑制 通勤用巡回バスの整備

社員等移動手段 の工夫、公共交通 機関の利用促進

カーシェアリングの導入 荷主企業との協力関係の確立

(過度なジャスト・イン・タイムサービスの廃止、朝夕のラッシュ時・積載効 率の低い曜日等を避けた配送等の協働実施等)

渋滞緩和、交通量 の抑制への貢献

商店街・商業施設等が実施する取組への協力

(タイムシェアリング、納品車両数の削減、荷さばき場の利用等)

運行管理システム等の導入 4)その他

情報化の推進

燃費の記録管理

(24)

地球温暖化対策計画書 (自動車部門)の概要 制度のねらい

 「社会全体として自動車から排出されるCO削減を進めるためには、自動車 交通需要発生の原因となる、自動車を利用して商品の仕入れを行うなど事業活 動において自動車を利用する発荷主や荷受人(売主、買主)等による取組が不 可欠です。このため、物流に大きな影響を与える立場である売主、買主等に自 動車利用合理化の取組を求める」ことを目的としています。

制度概要

 この制度は、自動車を利用する事業者(大規模なビルや商業施設等)から運送 事業者へ環境にやさしい運送を働きかけることにより低公害・低燃費な自動車 の利用促進や高効率な輸送を促すもので、

燃料、熱及び電気の使用量 を原油に 換算した量が、年間(前年度)1,500kl 以上の事業所に対して、 「地球温暖化 対策計画書」の提出を義務付けています。

対 象

 対象:大規模なビルや商業施設等

(例:オフィスビル(テナントビル含む。)、デパート、ホテル、病院 等)

※前年度の燃料、熱及び電気の使用量が、原油換算で年間 1,500kl 以上の事業所

内 容

 自動車を利用する上での環境対策に関する計画書(地球温暖化対策計画書)の 作成・提出

⇒「地球温暖化対策指針 別表第2」のメニュー例等を参考

(次ページ 参照)

 買主に期待される役割

運送事業者を利用する事業者は、運送事業者に対して配送時間や頻度、荷姿な どを指定するなど大きな影響を与える立場にあり、物流サービスの水準は基本 的に委託者側の意向によるところが大きいです。

このようなことから、本制度では、例えば、低公害・低燃費車の使用に関して、

買主が売主と交わす売買契約書への記載、更に売主が運送事業者車と交わす運 送委託契約書への記載により、運送事業者に取組を促しています。

図 12 地球温暖化対策計画書制度での荷主の役割 買 主 環境にやさしく

影響が 大きい 運ぶ・届く

運送 貨物の流れ 売 主

事業者 (契約なし) 運送委託契約

環境にやさ しい運び方 を契約

売買契約 環境にやさしい

運び方を契約

(25)

地球温暖化対策計画書 (自動車を利用する事業者:買主)

表4 地球温暖化対策指針で取組が求められているメニュー例

「地球温暖化対策指針 別表第2」より抜粋

項目 事業者の取組

(1) 貨物等を搬入する際には、低公害・低燃費車を使用して搬入することを、売主等と の売買契約書等に記載すること。

(2) 運送を委託して貨物等を搬入する際には、低公害・低燃費車を使用して搬入するこ とを、運送事業者との運送契約書に記載すること。

(3) 入構許可証の交付時、搬入計画の策定時等に合わせ、低公害・低燃費車の利用状況 を確認すること。

(4) 貨物等を搬入する際には、環境負荷の大きな自動車を使用しないことを、売主等と の売買契約書等に記載すること。

(5) 運送を委託して貨物等を搬入する際には、環境負荷の大きな自動車を使用しないこ とを、運送事業者との運送契約書に記載すること。

(6) 入構許可証の交付時、搬入計画の策定時等に合わせ、環境負荷の大きな自動車の利 用状況を確認すること。

1)低公害・低燃費車等 の利用割合の向上

(7) 環境負荷の大きな自動車を使用しないことを求める掲示物を施設内に設置するこ と

(1) 共同輸配送を推進するため、他者の貨物等と併せて輸配送することを受け入れるこ と。

(2) 過度なジャスト・イン・タイムサービスを廃止する等納品回数を削減すること。

(3) 朝夕のラッシュ時、積載効率の低い曜日等を避けた輸配送を運輸事業者と共同で実 施すること。

(4) 効率的な物流活動が可能となる荷さばきのための駐車施設等関連施設を場内に整 備すること。

(5) 建物内配送を一元化すること。

(6) 貨物等の形状の標準化(既成のパレット・コンテナの使用等)について売主等と協 議し、また館内にパレット・コンテナ集積所などを設けること。

(7) 積載率向上のため、自ら過度の包装等の見直しを行うこと。

(8) 積載率向上のため、包装資材の軽量化等に取り組むよう売主等に対して働きかける こと。

(9) 共同輸配送など効率的輸配送を行う運送事業者を選択するよう売主等に対して働 きかけること。

2)物流効率化の推進 による交通量の抑 制

(10) 適宜、運行指示書等の提示要求、包装資材等の確認等を行い、(8)及び(9)の働き かけの実現状況を確認すること。

(1) エコドライブを実施した輸配送を行うよう売主等に対して働きかけること。

3)エコドライブの推

進 (2) エコドライブの推進を求める掲示物を施設内に掲示すること。

(1) 物流効率化、エコドライブの推進等に係る社員教育を実施すること。

(2) 運送事業者等の取組状況を、適宜、把握するとともに確認できるような体制を整備 すること。

4)体制の整備

(3) 売主、運送事業者等との連携のために協議会を設置する等の取組を行うこと。

(1) 通勤者の自動車使用を抑制するための取組を行うこと。

5)貨物輸送以外の自

動車交通量対策 (2) 来訪者等の自動車使用を抑制するための取組を行うこと。

(26)

6-3 東京都における物流効率化に関する主な支援メニュー

 東京都においては、物流効率化に活用できる様々な支援メニューがあります。

内容の詳細を確認の上、是非御活用ください(平成23 年 3 月1日現在)。

《低公害・低燃費車の普及促進》

■自動車低公害化促進資金

(東京都環境局)

中小企業の方が低公害車等を購入する際、東京都が融資をあっせんし、東京信用保証協会の 信用を得て、取扱金融機関が融資するものです。

融資対象は指定低公害・低燃費車の購入及び最新規制適合車への買換えです。

貸付期間は7年以内で、利率は都受付時の長期プライムレート以内(固定金利、年利)です。

概要は下表のとおりです。

融資対象車両 条件 東京都補助率

指定公害車・低燃費車 購 入

最新期規制適合車 買換え

利子補助 1/2 保証料補助 2/3

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/subsid/index.html

■ハイブリッドトラック導入補助金

(東京都環境局)

都内に事務所又は事業所を有する中小企業及び個人事業者で、以下に該当する方が、ハイブ リッドトラックを購入する際、費用の一部を補助するものです。

(1) 一般貨物自動車運送事業者 (2) 第二種貨物利用運送事業者 (3) 自動車リース事業者

※ただし、自動車リース事業者の場合は、使用者が(1)、(2)に該当する場合のみ対象とな ります。自動車リース事業者の企業規模は問いません。

概要は下表のとおりです。

融資対象車両 補助額 補助限度額

最大積載量4t未満:

164,000円/台 ハイブリッドトラック

※ 国土交通省の「低公害車普及促進対策費補助金 交付要綱」で定める優良ハイブリッドトラック で、都内に使用の本拠を置くもの

通常車両との価格差 から国の補助額を除

いた額の1/2 最大積載量4t以上:

571,000円/台

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/subsid/index.html

■圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)導入補助金

(東京都環境局)

都内に使用の本拠地を置く自動車を所有する中小企業及び個人事業者で、以下に該当する方 が、CNG自動車を購入する際、費用の一部を補助するものです。

※ただし、国又は地方公共団体の出資団体を除きます。

概要は下表のとおりです。

融資対象車両 補助額 補助限度額

車両総重量 3.5t超8t以下:

10 万円/台 CNG自動車

(車両総重量3.5トン以下 の車両を除く)

改造費(CNG自動車への改造に 要する経費)又はCNG自動車の 車両本体価格とこれと同種の最新 の排出ガス規制に適合する自動車 の車両本体価格との差額。

車両総重量8t超:

20 万円/台

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/subsid/index.html

(27)

《その他》

■東京における地区物流効率化認定制度

(東京都都市整備局)

荷さばきスペースの確保など、商店街や運送事業者などが連携して行う、地区の物流の課題 解決に向けた取組を支援することにより、交通渋滞の解消や快適な歩行者交通の確保など、地 域の活性化と良好なまちづくりを促進します。

・本制度による認定を受けるには、商店街や運送事業者など関係者が連携して、物流の課題解 決に向けた計画を作成し、都に申請

・都は、物流の課題解決に効果のある計画を認定し、認定された計画に対して、荷さばきスペ ースの活用や金融面での支援を実施

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/topics/h20/topi014.htm

■財団法人東京都中小企業振興公社による助成制度、総合相談

〔総合相談〕

中小企業からの相談を専門の相談員がワンストップで対応。幅広い分野での経営相談が実施 されており、物流効率化や環境負荷削減対策に関連しても活用可能なものです。

http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/index.html

○総合相談

・総合相談事業

・経営研修等事業

・人材育成計画作成支援事業

・事業可能性評価事業 など

(28)

作 成 : 平成22年10月 修 正 : 平成24年 5月

東京都 環境局 自動車公害対策部 交通量対策課 東京都新宿区西新宿二丁目 8 番 1 号

TEL 03-5321-1111(代表)

03-5388-3525(ダイヤルイン)

中小事業経営層向けセミナー

「物流効率化による経営改善と環境負荷の低減」テキスト

参照

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