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―電極形状が熱伝達率に及ぼす影響について―

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Academic year: 2022

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プラズマアクチュエータを用いた加熱平板の伝熱促進に関する実験的研究

―電極形状が熱伝達率に及ぼす影響について―

荒 賀 浩 一

横 田 健 二

**

村 田 圭 治

Experimental study on heat transfer Enhancement of heating plate using plasma actuator

- the effect of PA electrode shape on heat transfer coefficient-

Koichi ARAGA

, Kenji YOKOTA

**

and Keiji MURATA

An experimental study on heat transfer Enhancement using a DBD plasma actuator (PA) was conducted. In the experiment, a flow velocity measurement by PIV and a heat transfer coefficient measurement were performed in a separated-flow field around a heating plate. Two types of electrode shapes were used for the plasma actuator, a straight type and a W type. As a result of the visualization and PIV measurement, it was possible to control the separated flow by the PA used in this experiment. However, the increase in momentum of the flow field was limited in this experiment. In addition, as a result of heat transfer experiments using two types of PA electrodes, linear type and W type, it was found that the linear type has a slightly better heat transfer promoting effect.

Keyword DBD plasma actuator, flow visualization, heat transfer enhancement, PIV

1.緒 言

省エネルギ利用技術の一例として、誘電体バリア放電 (Dielectric Barrier Discharge: DBD)を利用するプラズマアク チュエータ(以下PAと表記)を用いた流体制御技術が近 年注目されている 1)。PA は比較的単純な構造であり3次 元曲面といった複雑な面にも設置でき、従来の能動的装置 では難しかった壁面近傍の流れのみを選択的に加速する ことによって、より少ないエネルギで翼面の剥離抑制や流 動抵抗の低減ができるのではないかと流体力学の分野で は活発に研究が行われている。しかし、PA による壁面近 傍の流体への運動エネルギの付与は、流体と壁面間の熱移

動に関してもポジティブな効果があると考えられるもの の、PA を用いた伝熱制御・伝熱促進に関する研究事例は ほとんど見られない。そこで、本研究はPAを用いた伝熱 促進に関する基礎的技術の開発を行うことを最終的な目 標とし、まずは、基礎実験として既報2)に引き続き、剥離 を伴う加熱平板周りの流れ場におけるPAの影響を粒子画 像流速測定法(PIV)を用いて調べるとともに、形状の異 なる2種類のPA電極を用いて加熱平板の伝熱実験を行う ことで、PA 電極の形状の差異による伝熱促進効果への影 響について調べた実験結果を報告する。

2.実験装置および方法

本実験で使用する装置の概略図を図1(a)に示す。実験装 置は可視化風洞①、PA用高電圧電源②、超音波加湿器③、

レーザーシート光源④、PA 付き伝熱実験装置⑤から構成 されている。可視化部の寸法は全高150mm×全幅150mm

*近畿大学工業高等専門学校

総合システム工学科 機械システムコース

**近畿大学工業高等専門学校専攻科 生産システム工学専攻 機械工学

1

(2)

-2-

-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-2 0 2 4 6 8

um/s

PA OFF 2mm X cm PA ON 2mm PA OFF 10mm PA ON 10mm

×全長300mmである。⑤の伝熱試験体の概略図を図1(b)

に示す。伝熱実験装置は伝熱試験体およびPA用高電圧電 源装置(PSI-PG1040F)などから構成される。試験体は 70× 70×30mmのアクリルブロックで作られており、切削加工 したアクリルブロックの上面にシリコンラバーヒータ④ および熱流束センサ③を埋め込み、最上部に50×70mmの 銅板(伝熱面)②が設置されている。銅板裏面にはシース 熱電対を3本設置し、流れ方向に温度を測定するものとす る。PAは高電圧電源⑤、電極(銅箔)および誘電体(カプ トンテープ)①から構成されており3)、図1(b)に示すよう に電極および誘電体は試験体上面すなわち加熱銅板の上 流側のアクリル面上に設置した。PA に印加する電圧は

2.5kV~6.5kV、周波数は10kHzとした。次に、本実験に用 いたPA電極の概略図を図1(c)に示す。電極は流れ方向と 垂直な向きに直線的に設置した直線型を基本として実験 を行うが、より効果的に伝熱促進を行うために、伝熱面近 傍の流れ場を2次元的に変化させることを目的にPA電極 を流れ方向に対して角度を持たせてW型に設置したもの についても実験を行った。

試験体周囲の速度分布測定は超音波加湿器による水蒸 気とグリーンレーザーシート光で流れ場を可視化し、高速 度カメラを用いて撮影した映像(フレームレート 800fps、 シャッター速度1/2000秒)をPIV解析(Flow Expert,カ トウ光研株式会社)することで行った。

伝熱実験は、まず、シリコンラバーヒータにより銅板を 加熱させ、温度が安定した後にPAを高圧電源装置によっ て作動させた。実験時の加熱条件としてヒータ電圧は 40~80V(熱流束q=430W/m2~2000W/m2に相当)に変化さ せて実験を行った。その後、熱流束センサと熱電対から測 定される起電圧・温度データを基に、加熱銅板の熱伝達率 を算出した。

3.実験結果および考察

はじめに、試験体周囲の流れ場について可視化画像より

図2 PA作動時の伝熱試験体周囲の速度分布の例

図3 主流方向速度の流れ方向変化

①Wind tunnel,②Power supply for PA,③Atomiser

④Laser Sheet ,⑤Heat transfer experimental device

(a) 実験装置

①PA,②Copper plate,③Heat flux sensor

④Rubber heater ,⑤Power supply for PA,⑥Slidac

⑦Data logger,⑧PC

(b) 伝熱試験体

Straight Type W Type (c) PA電極 図1 実験装置概略図

X Y

Top electonode Dielectric

Bottom electonode

Top electonode Dielectric

Bottom electonode

2

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-3- PIV解析を行った結果について、直線型PA作動時の流れ 場の速度分布の一例を図2に示す。流れは図中、左から右 へと流れている。試験体近傍の速度分布の変化に注目する と、本実験では、全体的に速度の変動が認められるものの 基本的には流れは試験体先端部で流れは剥離し、その直後 に設置されたPAによって壁面近傍に再付着している様子 が分かる。ここで、伝熱試験体上面から2mm、10mmの位 置における主流方向速度uの流れ方向(x方向)変化を図 3に示す。横軸は試験体上端面の位置を0とした流れ方向 距離、縦軸は主流方向速度uを示す。また、図中の黒線は PA非作動時、赤線はPA作動時の結果である。図のように 伝熱試験体上流側では、PA 作動時、非作動時ともあまり 大きな変化は認められず、流速は u=0.7m/s でほぼ一定で あるのが分かる。伝熱試験体通過後、PA 非作動時は流れ が剥離するため、2mm の位置における速度はほぼ0もし くはマイナスとなっており壁面近傍が剥離を伴う極めて 流れの遅い領域であることが分かる。一方、PA 作動時に は速度はPA通過後に急激にu=0.9m/sまで増加しており、

PA によって壁面近傍の運動量が増加しているのが分かる。

一方で、PA によって壁面近傍の速度は増加するものの、

流速自体は主流速度u=0.7m/sに比べてわずかに大きい程 度であり、流れ場全体としては顕著な増加は認められなか った。したがって、PAによって流れ場、とくに剥離現象を 制御することは十分可能であるが、PA のみで流れ場全体 の運動量を劇的に増加することは、本実験装置においては 難しいものと思われる。なお、本実験では断面全体に均一 なシーディングを散布することが難しく、試験体より離れ た位置での速度が十分には測定できていない。この点につ いては今後の研究にて対応するものとしたい。

次に、加熱平板の伝熱実験の結果について、直線型 PA 電極およびW型電極を用いて印可電圧5kVの条件のもと でPAを作動させた場合の実験結果の一例を図4に示す。

実験時の風洞内主流速度は U=0.35 m/s とした。図中には PA 非作動の結果についても併記している。図4の横軸は

平均熱流束qを示し、縦軸は伝熱試験体上部の銅板と空気 との温度差より算出した平均熱伝達率hを示す。図より、

PA 非作動時と作動時の熱伝達率を比較すると、いずれの 条件においてもPA作動によって熱伝達率が増加しており、

伝熱促進効果が認められるのが分かる。例えば q=1200W/

㎡付近の平均熱伝達率を比較すると直線型電極ではおよ そ40%、W型電極においてもおよそ25%向上しているこ とがわかる。すなわち、PA によって剥離を伴う流れ場に 設置した加熱銅板の熱伝達率は向上するが、その効果は PAの形状に依存しており、本実験においてはW型電極に 比べて直線型電極のほうがわずかに高い伝熱促進効果が 得られるのがわかる。当初の実験計画においては W型電 極を用いたほうが、壁面近傍の流れ場の2次元性が強くな り、それによって、壁面近傍の伝熱も促進されることが期 待されたが、本実験においては逆に伝熱効果が抑制される 結果が得られた。この結果に関しては、現時点では W型 電極の流れ場に関する PIV 計測を行うことができなかっ たため流れ場の詳細については不明ではあるが、目視観察 による流れ場の様子を勘案すると、W型にすることにより 壁面付近の乱れは増加した可能性はあるものの主流方向 速度自体が減少しているものと考えられ、今回はその主流 方向速度の減少が伝熱促進効果の低下につながったもの ではないかと推察される。また、本実験においては、電極 形状によらず熱流束とともに熱伝達率が増加する傾向が 認めら、とくにPA作動時において顕著に表れているのが わかる。これは自然対流やPAへの電圧印可の影響なども 考えられるが、この原因については今後の検討課題とした い。いずれにせよ、本実験結果から剥離を伴う加熱平板周 りの流れ場においては、その形状によらず、PA は伝熱促 進効果を有するといえる。一方で、伝熱促進において効率 的なPA電極形状については今後さらに検討する必要があ る。

4.まとめ

剥離を伴う加熱平板周りの流れ場におけるPAの影響を 粒子画像流速測定法(PIV)を用いて調べるとともに、加 熱平板の伝熱特性に及ぼすPAの影響を調べた。実験の結 果、本実験に用いたPAによって、剥離流れの制御は可能 であるが、本実験に用いてPAでは流れ場全体としての運 動量の増加は限定的であった。また、直線型、W型2種類 のPA電極を用いて実験を行った結果、剥離を伴う加熱平 板周りの流れ場においては、その形状によらず、PA は伝 熱促進効果を有するが、本実験においては直線型のほうが W 型に比べてわずかに優れた伝熱促進効果が得られるこ とが分かった。

図4 平均熱伝達率の変化

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-4- 参考文献

1) 野々村拓,はじめに,小特集プラズマアクチュエータの 動向,プラズマ・核融合学会,Vol.91,No.10(2015),pp.

648-649.

2) 荒賀浩一,加熱平板の強制対流熱伝達に及ぼすプラズ マアクチュエータの影響,近畿大学工業高等専門学校 研究紀要,No.12(2018), pp. 1-3.

3) 西田浩之,DBDプラズマアクチュエータの作動原理と 基本特性,小特集プラズマアクチュエータの動向,プ ラズマ・核融合学会,Vol.91,No.10 (2015),p. 651.

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参照

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