北 海 道 の雪 氷 No 22(2003)
電気伝導度式氷厚計の開発
舘 山一孝
,自
澤邦男,石
川正雄,高
塚徹,大
坊孝春 (北大低温研),新
井浩成 (道工 試),鈴
木克典,榎
本浩之,小
嶋真輔 (北見工大),洞
口克彦 (D却町 ジヤバ ン)1.は
じめに海氷の厚 さは温暖化な どの環境変動の指標 としてだけでな く人間生活 に深 く関わる重 要な情報であるが
,現
状の技術では自動連続観測は困難である現在行われている海氷の 厚 さ観測は
,限
られた場所および期間,または試験段階ではあるが,
ドリルによる掘削,原子力潜水艦の音響 ソナーやIcc Profdlng Sonarに よる水面下の海氷キール部の観測や
,航
空機や船舶 に搭載 した レーザー高度計による海氷マス ト部 (氷高
)の
測定,及
び レーザー 距離計と電磁誘導 を組み合わせた船舶 によるEMI(Elcctomagnctic lllductancc)法 による氷 厚観測が行われているこれ らの手法は導入 。運用 コス トが非常に高 く
,現
段階では民間レベルでの利用や リアルタイムモニタリングという用途 には用い られていない
氷 と海水の電気伝導度の違 いが大きく
,電
気的に結氷を判断できることに着 日し,北
海 道工業試験場 と共同で安価な電気伝導度式氷厚測定装置 を開発 した本研究 はこの新型氷 厚計を用 いて北見工大 と共同で行 った低温室実験 とサ ロマ湖湖氷上で行 った現場実験の結 果について報告する
2.測
定方法本研究で開発 した氷厚計測 システムは
,測
定精度 をlcIIIl程度の高精度,日変動を把握す ることができるために1時間に1回の自動計測が可能で,携
帯電話を利用 した リアルタイ ムモニタ リングを行 えるように設定 した図
1
電気伝導度式氷厚セ ンサーの(a)概念図と(b)実機の写真lb)
‑11‑
北 海道 の雪氷 No 22(2003)
電気伝 導度式氷厚セ ンサー は
,セ
ンサーの電極 間 に電圧 を印加 し,物
質 のイ オ ン濃度 に 対応 した電 流値 を測定す る電 気伝導度法 を用 いて いる.これ は海氷が生成過程で電 流が流 れ難 い純粋な氷 の結晶部分 と結晶の間に閉 じこめ られた濃 い塩水の「プライ ン」に分かれ,成長 とともにブ ライ ンの体積が減 少す る ことを利用 して
,電
流が流れや す い海 水 と流れ に くい氷 の判別お よび氷 中のプライ ンの量 を測定 して いる.セ ンサー は全長95cmで 79cmの電極部分 と16cmの配線 部分 か ら成 って いる。 コ ン ピュ ー タ等 の基板 と同 じ材質 のガラスエポキシプ リン ト基板 に 15nlm間 隔で54極の電極 を配置 し た。電極部分はメッキ処理を施 しているが,その他 には特に防水防錆処理はしていない.
これ らの電極か らのデータを1時間毎に計測・記録 し
,RS232C出
力か ら携帯電話端末「Do―pa」を用いてe―mailで計測データを送信する手法を用 いた。
3.結
果(1)低
温 室 内実験結果低温室では水槽 の深 さが浅いため,全長
10cm,電
極 間隔lcm,全 lochの 短尺セ ンサー を使 用 した.最上部のch.1から最下部の ch.loま で順 に氷 に取 り込まれていく様子が装置の出力 電圧の変化 とな って表れ るよ うにした。塩水は塩分濃度 32‰ のNaCI水溶液 を使用 し,低温室 の温度設定は̲20℃である。3.0
̲2̲5 >
語 :』
ギミ1̲0
・ ヨ
0̲5 0̲0
1.3(V)
0.5(つ
1 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
.
.
︵E ε 趾
※
0 15 30鰐
「
I音負
ROursf°75 90
図
2(a)低
温室の結氷実験か ら得 られた海氷成長 に伴 う出力電圧の変化. (b)式(1)によつて出力電圧の変化を氷厚に換算 した結果.[+ffi (hours)
‑12‑
IHn=‑0.625Vn+1.125
北 海道 の雪 氷 No 22(2003)
実験 は氷厚が10cIIlになるまで行 い,センサーか らの出力電圧のデータを記録 し
,一
時間毎 に 氷厚 を実測 したその結果 を図2(a)に示す
これ らのデータか ら,結氷前の電圧 を
18V
結氷 後 をo5Vとそれぞれ閾値を設定 し,氷厚 と電圧の関係の式 を求めた結果,次式が得 られたHn=‑0 625Vn+1125 (1)
ここで
,Hnは
Ch nで 検知 した氷厚 (≦lcm),Vnは chnの電圧であるこの式か ら図2(2)で示 すよ うに出力電圧の変化 を氷厚 に換算す る ことができた
(2)サ
ロマ湖実験結果図3に示すサ ロマ湖栄浦付近 の氷上 に厚 さ約
40cmの
湖 氷 に 5∝m四
方 の プール を作成 し,2003年
2月 7日か ら 3月 6日 まで の約4週間,95clll型 の氷厚 計セ ンサー と制御 。通信ユ ニ ッ トを設置 したプール には氷厚 計の他 に検 証用 として深 さ5cmおき にサ ー ミス タ温度計 を設置 した
ch 14を
水 面 に合わせ,そ
れ よ りも下 は下方成長,上
は上方成長 を測定す るよ うに設 置 した図
3
氷厚計設置位置とセンサーの設置風景観測期間の気温は ‑15℃ 以下
,特
に 2月 中旬か ら下旬にかけて ‑25℃ にも達する寒い 日 が続 いたこの時期は制御部分の装置が夜間になると低温のため毎回停止 して しまった 降雪は少なかったが
,氷
上は遮蔽物が無いため ドリフ トによってプール上の積雪は211cm程 度 になっていた測定終了時には
,海
水債1に 16 5cmの 下方成長,地
上側 に7 5clllの上方成長が見 られ,計
24cmの厚 さになっていた積雪は15cmで
,海
氷表面か ら6cmの高さまでは海水の染み上 が りによる塩分を含んだ濡れ雪層が見 られた図
4に
下方成長部分 (ch 14よ り下側)の
測定結果 を示す 2月 中旬か ら下旬にかけて夜間のデータが取れなかったので,欠測部分は 前後のデータか ら補完 してある
また
,矢
印で示 している個所よ り以前は,ソー ラーパネ ルの結線 ミスでパ ッテ リーが充電 されず,電
力が無 くなって しまい 5日 間ほど停止 してデ ータが欠測する トラブルがあった‑13‑
町曇 1.
u: =.
与 ■ ヨ¨ `6‐
ヽ オ■―ククロ
北海道 の雪氷 No.22(2003)
この実験 で は結氷 の閾値 は電気伝導度 で200mS/cm以下 とい う結果が得 られ,
さ16cm)まで の結氷状態 を確認で き
,実
測 (16.5cm)と 良い一致が見 られ た。ch.24 (深
図
4
サ ロマ湖氷上プール実験 における2003年
2月 7日か ら 3月 6日まで の下方成長部分の 測定デ ータ.低 温 のため欠測 した部分のデ ータは前後 のデータか ら補完 して示 して いる. 矢 印 は電源 トラブルのためデータが5日間欠測 した期間を示す。図
5に
上方成長部分 の測定結果 を示す 。上方成長 は海氷上の積雪 に海水 が染み上が り,凍結 して snOw i∝ と呼 ばれ る粒 子状結 晶の海氷が形成 され る ことで起 こる。この実験か ら,
上方成長 の結氷 の閾値 は100‐ 300mS/cmと下方成長 よ りも高 い値が得 られた。 これ は表面 プ ライ ンの存在 のために薄氷で は海氷下部 よ りも上部 の方が高塩分で ある とい う過去 の研 究結果 と良 く一致 して いる
.ch.10(高
さ5cm)まで の結氷が確認で き,実
測 (7.5cm)よ りも低 い値 を示 したが,これ はセ ンサーが 日射 を吸収 して発熱 し,ch.9付近 は氷 が え ぐれ て い た ことが原 因で ある と考 え られ る。
図
5
図 4と 同じ場所 。時期の上方成長部分の測定データ.4.今
後の課題電気伝導度式による氷厚の測定は有効であることがわかったが
,今
回の実験では制御部 が低温 に弱かった こと,セ
ンサーが緑色であるため 日射を吸収 して発熱す ることな どの間 題点があった。今後は ‑40℃ までの低温対策 と省電力化な どの改善を加え,将
来的にブイ 型氷厚計測 システムの開発を目指 している。2004年
1月 に結氷前のサ ロマ湖において筏 を プラッ トフォームにした氷厚の自動連続観測実験 を行 う予定である。8︒︒ 700 6︒0 詢 輌 鰤 勧 切 0
︻EOの二悩彎単収
翻 瑚 佃 鰤 知 切 0
冒
︐ミ 撻こ 絆 薇
‑14‑
^ヘ 一CH0
・ CHl CHl CHl
A 4
Jl l AII
1 1ノ
タlR
A3 ti vng´ ̀ ガ 11面 畑lJj7: