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非定常電気泳動法を用いた養生の相違による塩分浸透の評価

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Academic year: 2021

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非定常電気泳動法を用いた養生の相違による塩分浸透の評価

芝浦工業大学 黒田 伸吾 芝浦工業大学 伊代田 岳史

1.研究背景・目的

塩害は RC 構造物の鉄筋を腐食させ,その腐食生 成物による膨張圧でコンクリートのひび割れ,かぶ りの剥落などを起こす.塩害の進行には使用材料や 配合,環境条件,施工上の要因が複雑に影響してい る.塩害の進行を把握する上で,コンクリート中の 塩化物イオン浸透の把握は重要である.青山

1

らは 異なった養生を施したコンクリートに海水環境を模 擬した塩水浸漬試験により塩分浸透深さの把握を行 った.結果として長期において水中養生したものに 比べ,気中養生したものの塩分浸透深さが大きくな り,養生方法の違いを明確にできなかった.これは 試験期間が長期間に及ぶため未水和セメントが塩水 と反応して再水和した可能性が考えられる.そこで 本研究では未水和セメントの再水和の影響をできる だけ排除すべく,塩分浸透速度を速める方法として 非定常状態での電気泳動試験に着目し,養生条件の 違い及び養生期間の相違による塩分浸透について評 価した.

2.実験概要

2.1 使用材料及び配合

従来の電気泳動試験に用いられる供試体は円柱供 試体の両端面から 25mm の部分を除いた 1 体ないし 2 体の供試体を用いる.しかしながら,本研究におい ては養生ないしは乾燥の影響を一様に受ける必要が ある.コンクリートが乾燥の影響を受けるのは表層 50mm と想定されているため一様に乾燥させること ができない.そこで養生条件の違いを考慮するため,

図 -1 に 示 す 塩 化 ビ ニ ル 管 の 型 枠 で 作 製 し た 100×50mm 円盤状の供試体を電気泳動試験に用いた.

使用したセメント種類は普通ポルトランドセメント (N)と N に高炉スラグ微粉末(BFS)を 50%置換した 高炉セメント B 種(BB)の 2 種類とし, W/C は養生に よる影響を受けやすいと想定される W/C60%と乾燥

の影響が受けにくいと想定される W/C30%とした.

図-1 塩化ビニル管で作製した型枠 表-1 コンクリートの計画配合とフレッシュ性状

W OPC BFS S G スランプ

(cm)

空気量

(%)

練上温度

(℃)

N 550 804 838 8.5 4.5 25.2

BB 275 275 794 828 11.5 3.8 23.2

N 292 897 935 9.5 4.8 25.5

BB 146 146 892 930 11 4.9 25.8

30 50

165

60 175

単位量(kg/m

3

) フレッシュ性状 セメント

種類 W/C

(%)

s/a

(%)

計画配合及びフレッシュ性状は表-1 に示す.

2.2 養生方法及び養生期間

養生条件は打込み翌日に脱型して水中で養生する

水中養生 W,型枠存置する封緘養生 S28,翌日に脱

型して乾燥の影響を受ける気中養生(D1)とした.

水中養生の環境は水温 20℃一定とし,気中養生の環 境は恒温室(室温 20℃,RH60%)とした.一方,養生 期間の相違は封緘養生を,3 日(S3) ,5 日(S5) ,7 日(S7) ,28 日(S28)養生として乾燥の影響を受ける 時期を変動させ,養生後は脱型をして材齢 28 日目ま で恒温室で養生した.

2.3 電気泳動試験(非定常状態)の概要

電気泳動試験を実施する前処理として飽和水酸化 カルシウム水溶液を用いて真空飽和処理を行った.

セル内溶液は陰極側に 0.5N の塩化ナトリウム水溶液,

陽極側に 0.3N の水酸化ナトリウム水溶液を使用し,

印加電圧は 30V とした.塩分浸透深さは通電後に供

試体を割裂し,割裂面に硝酸銀(AgNO

3

)0.1N を噴

霧することで白色に呈色した領域を塩分浸透領域と

して測定した.深さの測定は NTBUILD492 に準拠し

て 7 点の深さの平均から算出した.

(2)

3.試験結果及び考察

(1)異なる養生方法の塩分浸透性の比較

異なる養生条件における塩分浸透深さを図-2,3 に示す.W/C60%ではいずれのセメント種類におい ても養生を湿潤に保つほど塩分浸透深さが小さい結 果となった.一方で W/C30%の結果では水中養生と 封緘養生の塩分浸透深さに差がみられない.これは 低 W/C の水中養生と封緘養生では水和度が同じであ る

2)

可能性があり,そのため塩分浸透深さもほぼ同 じ結果が得られたと考えられる.

N と BB の水中養生と封緘養生を比較すると N よ り BB の方が塩分浸透深さが小さい.塩化物イオン が浸透しにくいは,BB の水和が進むと N に比べ緻 密になり,さらに塩分の固定化能力が高いためであ ると考えられる.一方で W/C60%の気中養生では N と BB の塩分浸透深さに差がなかった. BB は水和反 応が遅いため,材齢初期に乾燥の影響を受けやすい 可能性があり,養生が湿潤に保たれるほど塩化物イ オンに対する抵抗性が向上すると考えられる.

(2)養生期間ごとの塩分浸透性の比較

通電時間が 6 時間の時の W/C60%における養生期 ごとの塩分浸透深さを図-4 に示す.N は封緘養生の 日数が 3 日以降になっても塩分浸透深さに違いはな かった.一方で BB は封緘養生した期間が長くなる ほど塩化物イオンは浸透しにくい結果となった.N は細孔直径が 3 日以降変化せず, BB は 5 日まで変化 する

3

報告から BB は封緘養生の期間が長いほど空 隙が緻密化した可能性があり,そのため BB は塩化 物イオンに対する抵抗性が向上したと考えられる.

4.まとめ

本研究で得られた知見を以下に示す.

(1) いずれのセメント種類においても養生方法が湿 潤であるほど塩化物イオンに対する抵抗性は向 上する.

(2) 低 W/C のように緻密なコンクリートでは,水中 養生,封緘養生の水和度が同じ可能性があり,養 生による影響は少ない.

(3) 異なる養生期間において N は封緘養生 3 日以降 になると塩化物イオンに対する抵抗性に変化は みられず,BB は養生期間が長いほど塩化物イオ ンに対する抵抗性は向上する.

0 10 20 30 40 50

0 10 20 30

浸透深さ(mm)

通電時間(h)

N60-W N60-D1 N60-S28 BB60-W BB60-D1 BB60-S28

図-2 N60 と BB60 異なる養生の塩分浸透深さ

0 10 20 30 40 50

0 50 100 150 200

浸透深さ(mm)

通電時間(h)

BB30-W BB30-D1 BB30-S28 N30-W N30-D1 N30-S28

図-3 N30 と BB30 異なる養生の塩分浸透深さ

0 10 20 30 40 50

0 7 14 21 28

塩分浸透深さ(mm)

養生日数(日)

D1-N60 S-N60 D1-BB60 S-BB60

図-4 養生期間が塩分浸透に与える影響

5.参考文献

1) 青山和樹,伊代田岳史:養生方法及び期間の相 違が塩分浸透に及ぼす影響,芝浦工業大学卒業 論文,2011

2) 伊代田岳史:若材齢時の乾燥がセメント硬化体 の内部組織構造形式ならびに物理特性に与える 影響,博士論文,2003

3) 檀康弘,伊代田岳史,大塚勇介,佐川康貴,濱 田秀則:高炉スラグ微粉末を混入したコンクリ ートの養生条件と耐久性の関係,土木学会論文 集 E,Vol.65,No.4,431-441,2009.10

通電時間 6h

参照

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