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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 2779 号 小川 貴正

論文審査担当者

主査 教授 馬場 一美 副査 教授 宮﨑 隆

副査 教授 中村 雅典

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Relationship between retention forces and stress at the distal border in maxillary complete dentures : Measurement of retention forces and finite-element analysis in individual subjects」について、上記の主査 1 名、副査 2 名が個別に審査を行 った。

上顎全部床義歯の維持力測定を行った研究は数多くあるが、これらの装置を用いても上顎全 部床義歯の維持力発生に関する生体力学的要件は明確化することができ ない。そこで、本研究 では上顎全部床義歯の維持力発生に関する生体力学的要件を解明することを最終目的とし、三 次元有限要素解析を用い、上顎全部床義歯の維持力の推定が可能であるかを検証することを目 的とした。被験者 12 名の上顎全部床義歯のレプリカ義歯を エックス線不透過性レジンを用い て製作し、レプリカ義歯をコーンビームエックス線 CT で撮影した後、三次元有限要素解析ソ フトを用いて三次元有限要素モデルを構築した。構築した三次元有限要素モデルを用いて解析 した応力値と口腔内実験で測定された維持力を比較・検討した。その結果、維持力が低い測定 部位は最大主応力が高く計測されることが示された。また口腔内実験で維持力間に相関関係の 認められた測定部位に関して、最大主応力間においても同様に強い相関関係が認められた。以 上の結果より、本解析法を用いた義歯維持力測定は有効である可能性が示された。

本論文の審査において、副査の宮﨑委員および中村委員から多くの質問があり、その一部と それらに対する回答を以下に示す。

宮﨑委員の質問とそれに対する回答:

1. 研究目的と臨床的な意義は何か

本 研 究 は 三 次 元 有 限 要 素 法 を 用 い た 上 顎 義 歯 維 持 力 の 推 定 が 可 能 で あ る か 検 証 す る こ と を 目的とした。先行研究で測定された義歯維持力と同荷重条件で発生した応力を比較・検討し た。

今後、粘膜性状やリリーフ量などの条件設定を追加し、より臨床に則した解析を行えるよう発 展させていきたい。シミュレーションにて義歯維持力推定が可能となれば、より維持力の高い

(主査が記載)

(2)

上顎全部床義歯製作に貢献できると考えている。

2. 義歯維持力発生メカニズムと本研究との関連はあるのか

義歯床維持力に関与する因子は物理的、生物学的、機械的因子の関与が多くの研究において 述べられているが、それらの因子がどのように義歯に作用し、維持力を発現しているかを視覚 的な応力値として表している研究は少ない。本研究は義歯維持力に関与する因子がそれぞれど のように作用しているか項目ごとに検証し、総合的に義歯維持力を応力解析を用いて視覚化 、 数値化できるようにすることを最終目的としている。

中村委員の質問とそれに対する回答:

1. 唾液分泌量,唾液性状の相違による影響はないのか

本研究では義歯内面と粘膜とを接着条件と設定しているため、液相となる唾液の影響を考慮 できていない。角田研究において、測定毎に人工唾液を義歯内面に噴霧し 、患者ごとの唾液に よる影響が排除できたと考え、本設定を採用した。唾液性状の相違に関しては、粘膜と義歯内 面の境界条件を整えることで各モ デル間での比較が可能となると考えられる。

2. 粘膜の性状による相違はないのか

本研究では粘膜を均一の弾性体と設定しており、粘膜厚さは各被験者同一で 2 ㎜と設定し ている。したがって被験者間での顎堤粘膜の高さ、形を除く粘膜厚さ、弾性率などの性状によ る相違は考慮できていない。当科の研究において、粘膜厚さは被験者により異なり、粘膜の弾 性率は粘膜性状の重要なパラメータであるとしているため、今後被験者の粘膜性状を考慮した モデル構築が必要であると考えられる。

両副査は、上記を含めた質問に対する回答が、いずれも満足のいくもので あることを確認し た。

主査 馬場委員の質問とそれに対する回答:

1. ポストダムの影響は考慮しなかったのか

本研究において粘膜と義歯床内面の境界は全面で接着条件としている。義歯維持力を粘膜 と義歯床内面の接着で表現しているため、辺縁封鎖、ポストダムの影響は本研究においては考 慮できていない。今回は、全体の傾向を把握するために、細部の条件を簡略化した「大まかな

解析(First order analysis)」の考えを取り入れた。今後、粘膜性状、リリーフ量、ポストダ

ムの想定などの細かい条件を取り入れて解析を行 う必要があると考えられる 。

主査の馬場委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主張 をさらに確認するために上記の質問をしたところ、明確かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

参照

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