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土壌の物理性 第 143 号 令和元年 11 月 20 日発行(年 3 回発行) 昭和 45 年 7 月 31 日 学術刊行物承認 ISSN 0387-6012
土壌の物理性 第 2019 143 年 号 11 月
Journal of the Japanese Society of Soil Physics
土壌物理学会
Japanese Society of Soil Physics
土壌の物理性
第
143
号2019
年11
月目 次
巻頭言
江口定夫. . . 1
寒冷地 · 凍土特集 総 説
北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から 飯島慈裕
. . . 5 論 文
帯鋼補強土壁の交換への地盤凍結工法の適用
長田友里恵
·
相馬 啓·
青木信哉·
渡辺晋生. . . 17 資 料
「古典を読む」への誘い 長谷川周一
. . . 25
日本学術会議公開シンポジウム「土と持続可能な開発目標(SDGs
)—
アフリカの土·
市街地の土—
」開催概要南條正巳
·
犬伏和之·
山本洋子. . . 29
International Seminar and Congress of Indonesian Soil Science Society
(ISCO-ISS 2019)
参加報告 足立泰久. . . 33
JpGU 報告
小島悠揮. . . 35
資 料
A-GE28 Subsurface mass transport, material cycle, and environmental
assessment
開催報告 小島悠揮·
濱本昌一郎·
斎藤広隆·
森 也寸志. . . 37
A-GE30 Conservation and restoration of soil environment
at terrestrial surface
開催報告 森 也寸志. . . 39
A-GE31 New roles of soil science for extraterrestrials
開催報告登尾浩助
·
溝口 勝. . . 41
A-HW22 Materials transport and nutrient cycles in watersheds; from
headwaters to coastal seas
開催報告 小林政広·
吉川省子. . . 45
H-CG34 Education and research for rehabilitation of agriculture against
harmful rumors in nuclear disaster areas
開催報告 溝口 勝·
登尾浩助. . . 49
書評
腐植物質分析ハンドブック
—
標準試料を例にして—
第2
版 橋本洋平. . . 51 土粒子
バイロイト大学での研究を振り返って 山口敦史
. . . 53
会務報告
. . . . 57
編集後記
. . . . 63
(左)タイガ(カラマツ林)下のクリオタベーションを受けた永久凍土地域の表層土壌(撮影場所:ロシ ア連邦サハ共和国ヴィリュイ地域,撮影日:2012年7月19日,撮影者:飯島慈裕氏).詳しくは今号掲 載の「北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から」をご参照ください.(右上)地盤凍結工 法を適用した実証実験後、人工的に造成した凍土を掘り出しているところ.今号掲載の「帯鋼補強土壁 の交換への地盤凍結工法の適用」をご参照ください.(右中)土壌物理学会は2013年に福島で学会大会 を開催して以降,継続的に福島の復興問題に取り組んでいる.土壌物理学会が協賛した日本地球惑星科 学連合(JpGU)2019年大会「地球人間圏科学複合領域」セッションでは,飯舘村復興対策課の杉岡 誠 氏にご講演頂いた.詳しくは今号掲載の「JpGU2019 H-CG34 Education and research for rehabilitation of agriculture against harmful rumors in nuclear disaster areas開催報告」をご参照ください.(右下)土壌物理 学会が協賛した日本学術会議公開シンポジウムでは,第35回日本国際賞を受賞したラタン·ラル博士
(写真手前)をお招きし,「土は持続可能な開発目標(SDGs)にどのように役立つか」について理解を深 めた.撮影者:犬伏和之氏.詳しくは今号掲載の「日本学術会議公開シンポジウム「土と持続可能な開 発目標(SDGs)—アフリカの土·市街地の土—」開催概要」をご参照ください.
第 17 回( 2019 年度)土壌物理学会(論文賞)選考結果
土壌物理学会 学会賞選考委員会 委員長 石黒宗秀 学会賞選考委員会として下記の論文を論文賞としてふさわしいと決定しました.
1 .著者
Ca Thi NGUYEN
Shoichiro HAMAMOTO Taku NISHIMURA
(Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo)
2 .対象論文
Effects of soil amendments on pH and aggregate stability of saline sodic soil and acid sulfate soil in Mekong delta, Viet Nam, 第 141 号 , p.3 – 18.
3 .推薦理由
ベトナムのメコンデルタ地域における特徴的な硫酸酸性土壌,塩性ソーダ質土壌,沖 積土壌を対象とし,その地域から排出される卵殻と鶏ふん堆肥(以下鶏ふん)を用いて 土壌物理化学性を改良することを目的とした論文である.実験により,次のことを明 らかにしている.鶏ふん施用では,塩性ソーダ質土壌 · 沖積土壌の pH 改善効果および 団粒安定効果が認められた.しかし,硫酸酸性土壌の pH 改善効果は,鶏ふん施用単独 では認められず,卵殻を混合することで pH 改善効果が進み,団粒構造も安定した.ま た,鶏ふんの分解促進による効果を CO
2発生量から検討している.本論文は,卵殻と 鶏ふんを有効利用する土壌改良法について,化学性 · 物理性 · 微生物活動の視点から評 価した有意義な論文である.
以上の理由により,対象論文は第 17 回土壌物理学会賞(論文賞)に値するものと認 め,ここに推薦する次第である.
本結果は 2019 年 10 月 25 日に開催された評議員会にて承認され, 2019 年 10 月 26 日に開催さ
れた総会で授賞式がおこなわれました.
土壌物理学会 学会賞選考委員会 委員長 石黒宗秀 開催日: 2019 年 10 月 26 日
会 場: 2019 年度土壌物理学会大会ポスターセッション会場
(つくば市:筑波産学連携支援センター)
以下の発表が会員および学会賞選考委員会の投票によりポスター賞に選ばれました.
⃝ 業 績:手取川の水辺に住むハンミョウ幼虫たちのサバイバルテクニック 著 者:水田陽斗 · 百瀬年彦 · 上田哲行
⃝ 業 績:砂粒の蛍光現象( IRSL )を利用した養浜効果の評価 著 者:蜜澤 岳 · 雁沢好博 · 百瀬年彦
⃝ 業 績:機械学習を利用した裸地表面における水収支の予測 著 者:牧 貴広 · 宮本英揮
⃝ 業 績:多価イオンの存在下でのヘテロ凝集の臨界凝集濃度 著 者:杉本卓也 · 小林幹佳
⃝ 業 績: 1G 下および微小重力下における多孔質体中の浸潤速度
著 者:佐藤直人 · 丸尾裕一 · 長沼菜摘 · 野川健人 · 登尾浩助
登録メールアドレスの確認について
土壌物理学会事務局
このたび事務局では,会員の皆様へ円滑に情報提供するため,電子メールによる情報配信を 試験的に運用することと致しました.その作業の一環として,学会入会時に登録されたメール アドレスへ「 【土壌物理学会事務局】登録メールアドレスのご確認」と題したメールを 2019 年 8 月 28 日にお送り致しました.
ご返信されていない方は,お手数ですが該当メールの内容にしたがって,事務局までご連絡 くださいますよう,お願い申し上げます.
メールが届いていない方は,学会名簿に登録されているメールアドレスが古く,未達の可能
性がございます.学会ホームページトップの赤いアイコン「お問い合わせ」ボタンから事務局
へお知らせください.
企画準備委員会委員長 長 裕幸
先の土壌物理学会総会( 10 月 26 日)にて企画準備委員会の設置が承認されました.
企画準備委員会では土壌物理学会の設立 60 周年に際し,学会活動の更なる活性化を期し,下 記の要領で会員の皆様より出版企画を公募いたします.採用された企画に対しては,出版時に 学会より 50 万円(最大)の助成を行います.応募を希望される場合は下記要領に従い,出版 企画書を学会事務局へ提出ください.
1. 出版企画の条件
〇 土壌物理学に関係するもの(教科書,解説書,啓蒙書,あるいは学会誌に掲載された特 集,古典を読むなどの記事を書籍としてまとめたもの)であること.
〇 土壌物理学会編を謳うこと(編著者,著者は別途定めて良い).
〇 著者は学会員であること.
2. 出版企画書(形式自由,以下の内容を記載してください)
2.1 タイトル
2.2 著者(出版責任者)(分担執筆者がいる場合は執筆陣全員)
2.3 出版物の概要,内容,分量など 2.4 出版の意義
2.5 出版スケジュール
2.6 見積もり(出版社との打ち合わせにもとづいて発行すること) (退職記念などの予算を 充当する場合はいわゆるマッチングファンドを考慮することができる)
2.7 締め切り 2020 年 2 月 29 日 2.8 提出先 土壌物理学会事務局
3. その他
3.1 助成金は出版時に支出します.
3.2 出版の体裁については企画準備委員会と調整させていただくことがあります.
3.3 採用予定件数 1 ∼ 2 件 (応募状況等を考慮しながら次年度以降の予定を決めます) . 尚,提出された出版企画書については企画準備委員会(委員長 佐賀大学 長裕幸,委員 は未定)および評議委員会にて審議を行い,採否を決定いたします.
3.4 本件についてのご質問は企画準備委員会(土壌物理学会事務局)あてメールでご質問 願います.
企画準備委員会では,この他,出版以外の企画等についても広く公募いたしますので,アイ
デアをお持ちの方は企画準備委員会(土壌物理学会事務局)に是非ご一報下さい.
J. Jpn. Soc. Soil Phys.
土壌の物理性 No. 143, p.1∼3 (2019)
会員数と論文数のこれまでとこれから
江口定夫
1つくば市で10月26日に開催された2019年度大会は,参加者数は108名(うち学生49名),ポスター発表数 は過去最多の61件と盛況で,成功裡に終わったと思う.一方,大会前日に開催された評議員会では,減少が続く 会員数の将来予測が必要であること,大会と並行して行われた編集委員会(メール会議)では,論文投稿数が少 なく雑誌として危機的状態にあることが指摘されていた.会員数が減る中で,本会の会計収支は今後どうなるの か,論文数を確保するにはどうすれば良いかなど,具体的な議論を進めるためには,会員数や論文数の定量的な 情報が欠かせない.本会事務局が管理する会員データを参照させて頂いたところ,現在,生年月が登録(任意)
されている正会員のうち,20,30,40,50歳代及び60歳以上の割合は,それぞれ,6 %,15 %,38 %,27 %及び 14 %であった.本稿では,この現状データを活用しつつ,会員数と論文数の過去と未来について,過去のデータ 整理とやや土壌物理的なアプローチに基づく解析を行った結果を紹介する.
土壌物理学会という土壌断面(鉛直一次元土壌カラム)を想定し,深さ方向を正会員の年齢とする.1990年春 頃,23歳の筆者がこの土壌カラムの上端から入会(浸入)した.このとき,他の正会員は全て年上であり(入会 時,筆者は学生会員だったが,単純化のため,正会員だったと仮定する),年下はゼロだったと近似できる.な お,定年(一般に,60歳以上)後の正会員の多くはカラム下端から退会する(またはシニア会員となる)が,こ の際の年齢を,今の61歳以上の正会員の平均年齢(65歳)とし,誰でも一定と仮定する.当時の土壌中の保水 量(546人)を筆者が流出するまでの移動時間(42年)で割った値は,平均体積含水率(13人/年)とみなせる.
定常状態ならば,退会者と同数の若い正会員がカラム上端から入会し,土壌全体の保水量はほぼ一定に保たれる.
土壌としても学会としても,この状態は理想的だろう.本誌の会務報告を過去に遡って会員数の動向を調べると
(Fig. 1上,記載が無い号は直線補間した),筆者の入会から約10年間,正会員数はほぼ一定で,見かけ上はこの
理想的な状態に近かった.この頃,筆者が属する研究機関(農環研)でも毎年,若手の採用があった.ピストン 流を仮定すると,筆者より年上の正会員数は,Fig. 1上の破線(ピストン流)で表される.
ところが1990年代後半,所謂「ポスドク1万人計画」が実施され,その直後,国研は独立行政法人となり,人 件費が抑制されるようになった.その結果,非常勤ポストのポスドクの採用が増えた一方,農環研でも若手常勤 職員の採用がぱったりと途絶え(ゼロではないが),何年経っても最年少,という同僚がどの職場でも普通に見ら れるようになった.本会の正会員数も,2000年頃から急激に減少し始めた(Fig. 1上).注目すべきは,長期的に 見るとほぼ直線的に減少していること,その傾き(過去20年間の平均:−13.7人/年)が破線(ピストン流)の 傾きとおよそ一致することである.即ち,見かけ上,土壌保水量の減少はカラム下端からの流出水量に等しく,
カラム上端からの浸入水量は実質ゼロ,2000年頃の入会者はいつまで経っても最年少のまま,となる.
しかし実際には,土壌カラムの途中で入会·退会する正会員がいる.実態として長期的には,退会者数の方が 多い.この正味の途中退会者数を土壌中の根による吸水とみなし,筆者より年上の正会員について,どの年齢で も同等の割合で吸水が生じること,その割合を吸水率x(=1年当たりの年上の退会者数/年上の正会員数)で表 し,計算の簡略化のため(実態とは異なるが),定数とする.即ちxは一定だが,体積含水率の減少に伴い,1年 当たりの吸水量やカラム下端からの流出水量は減少する.会員データによれば,今,筆者より年上の正会員の割 合は33 %であるため,この実測値を再現するように,xの値を調節した.その結果,x=0.028という値が得ら れた.即ち毎年,筆者より年上の正会員の2.8 %がカラム途中で(正味として)退会していたことになる.これ を表したのが,Fig. 1上の非定常流(吸水あり)の点線である.
この非定常流(吸水あり)の方法を,今の30,40,50及び60歳の正会員に適用したところ,それぞれ,Fig. 1 下の点線,破線,一点鎖線及び二点鎖線が得られ,xの値は,それぞれ,1.9 %,2.0 %,2.5 %及び2.6 %であっ た.吸水率xの値が年齢と共に上昇し,特に今の40歳と50歳の間の差が大きいのは,各世代が辿ってきた時代 の特徴というよりは,正会員の正味の途中退会数が40∼50歳以上で増える傾向を表すように思える.中堅以降 の年代は,複数学会への所属について取捨選択を考える時期なのかもしれない.2030年までの正会員数は,過去
1国立研究開発法人農業·食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
160
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లਟ
Fig. 1 会員数の長期変遷と将来予測(詳細は本文を参照).
3年間の傾き(−8.6人/年)を外挿し,総会員数は,学生会員数が正会員数に比例すること,定年後退会者の3 割がシニア会員になること,団体会員(賛助会員,購読会員)数は変化しないことを仮定して将来予測した(Fig.
1下).年代別に見ると,今の40歳代の正会員が現在及び今後の学会を中心的に担う世代であることがよく分か り,その多くは,1990年代のほぼ定常状態及びその直後の時期に入会した正会員であることが示唆される.
次に,この土壌で生産される収穫物としての「研究論文」の長期変遷を調べてみた(Fig. 2上).研究論文の定 義は,ここでは,本誌に掲載された論文,報文,研究ノート,論説,総説,解説,講座,研究紹介,資料(但し,
学会開催·参加報告等は除く)とした(いずれも,シンポジウム特集を含む).本誌1号当たりの研究論文数は,
50号の土壌物理研究レビューを除き,およそ5∼10本で推移してきたが,2010年代半ば以降,2∼4本の号が増 えている.一方,正会員1人当たりの研究論文数を算出すると(Fig. 1下),近年は最低でも0.01本/号/人程度 であり,1960年代半ばから1980年代前半までと比べればむしろ高い.正会員が700人前後いた頃は,70人のう ち1人が1年に1回研究論文を出せば,5本/号の雑誌(年2回発行)が成り立っていた.当時は自主投稿の研 究論文数が多かったが,それは,正会員が多かった要因が大きい.今の正会員(230人)が同じことをしても,1 本/号(年3回発行)に過ぎない.2000年以降,正会員数の減少とは反対に研究論文数が増えたのは,当時の編 集委員会が中心となって特集や講座を組み,会員だけでなく会員外への依頼原稿を掲載した部分が大きいと思わ れる.今後,もし5本/号を目標として,年間15本の研究論文全てを正会員の執筆で賄おうとすると,2030年 には正会員10人に1人が1年に1回研究論文を出しても足りない計算になる.年3号発行が難しいならば,当
巻頭言 3
0 5 10 15 20
1960 1969 1980 1989 2000 2009 2020 2029
◊✲ㄽᩥᩘ
0 15 30 45 60
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0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05
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1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030
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లਟ
Fig. 2 本誌掲載の研究論文数及び大会ポスター数の長期変遷と研究論文数の将来予測(詳細は本文を参照).
初の年2号発行に戻す方法もあるのかもしれない.
筆者が65歳で退会する頃,正会員は115人となり,体積含水率は2.7人/年となる.しかし乾燥した土壌に は,それに適した作物生産の技術と収穫物がある筈であり,今の筆者には全く想像できない形で,本会·本誌は 活性化していくのかもしれない.筆者が今思いつくこととしては,例えば,1999年度の大会から始まったポス ター発表(土壌物理研究の最前線)がある.発表数が多いだけでなく,内容はバラエティーに富み,とても活気 があり,面白い.学生を中心に若い方々の発表がとても多く,話を聞くにはプログラムの2時間では全く足りな い.筆者にとって,土壌物理の研究手法は色々な場面で有効であり,様々なニーズがあり,そして何より面白い,
ということを感じることが出来る,とても貴重な機会となっている.しかしポスター発表数は,研究論文数とは ほとんどリンクしていない(Fig. 2上).論文発表の場は本誌ではなく,他誌にあるためと思われるが,これらの 10分の1でも,研究論文として本誌に掲載できれば,情報交換や研究交流の場としての役割を果たせるのではな いかと思う.特に大会ポスター賞を受賞した人(約5名/大会)には,本誌への投稿を強力に呼びかけるなど,
積極的な取り組みがあっても良いかもしれない.また,若い正会員の確保について,世界で最も少子高齢化が進 む日本では,今後さらに留学生の重要性が増すと考えられる.その対応策の一つとして,本会ホームページの英 文表記(特に投稿要領や大会参加案内)など,早急に進める必要があるだろう.さらに,正会員:シニア会員の 人数の比は,現在10 : 1だが,10年後には4 : 1になると予測される.これまで本会を引っ張って来て下さったシ ニア会員の皆様には,是非,研究論文投稿や大会参加など,引き続き,本会への積極的な関与をお願いしたい.
以上,会員数と論文数に関する実績データ及び推測データを紹介した.数は重要だが,単に増やすことだけが 目的にならないように,本会·本誌を今後どうしていくのが一番良いのか,皆で考えるための基礎データの一つ として活用いただければ幸いである(編集事務局ファイルとして引き継ぐ予定).最後に,会員数及び論文数の調 査とデータ整理に多大なご協力をいただきました農環研の郷原弘美さんに深く感謝いたします.
データロガー FTJr (エフティージュニア)
『ワンタイム測定機能』搭載で、フィールドを移動しながら多点測定
低価格ながら、各種のセンサと直接接続でき、様々な計測に利用で きるとご好評をいただいているFTJrには、設定したインターバ ルによる一般的なデータロガーとしての機能のほか、ボタン操作時 の測定値を記録する『ワンタイム測定機能』が搭載されています。
電源・測定スイッチを【SET】にして、【ENTER】キーを長押 しするだけの簡単記録。
ワンタイム測定機能を利用することで、従来のインターバルによる 計測はもちろんのこと、フィールドを移動しながらの多点測定にご 活用いただけます。
記録機能を持たない表示器を利用している場合など、表示された値 を野帳に手書きするなどの作業が不要になり、手間の低減と転記時 の誤記入の防止を実現します。
例えば土壌水分計測では、標準のアルカリ乾電池4本利用時において、IMKO社TRIME-PICOの場合で約1,100回、
Delta-T社SM150Tで約1,400回、A・R・P社WD-3シリーズで約800回の測定が可能です。
※ 内蔵電池での測定回数は、1回の測定及び表示時間を1分間としたときの計算上の回数です。
動作間隔、周囲温度などにより測定回数は大きく変動しますので目安としてください。
ワンタイム測定機能は、土壌水分計測に限った機能ではなく、他のセンサとの組み合わせにおいても利用できます。
また、SDI-12出力タイプのMETER社5TE(旧Decagon Devices社)やA・R・P社WD5など、RS232C、RS485、SDI-12のシリ アル出力タイプのデジタルセンサに対応する FTJr-Digital (エフティージュニア デジタル)にもワンタイム測定 機能が搭載されています。
お手持ちのセンサとの接続の可否など、お気軽にお問い合わせください。
詳しくは FTJr ワンタイム で 検索
〒060-0063 札幌市中央区南3条西8丁目7番地4 遠藤ビル5F
TEL011-596-0201 FAX 011-596-0234 E-mail [email protected] URL http://www.mcs-fs.com
【ワンタイム測定機能】
● 本体のボタン操作で測定実行、測定値をメモリに記録
● 測定値以外に日付、時刻、測定番号も記録
● 直前の測定値をキャンセルできるので、不要データの取り消しが簡単
● 記録データはUSBメモリで簡単回収(データファイルはCSV形式)
● ワンタイム測定データと通常の測定データは回収後に識別可能 設置中の土壌水分計 ENTERボタンを押すだけで簡単記録
SAMPLE ACCESS
COPY
CANCEL ENTER
▲
▼ MEAS SET OFF
SAMPLE ACCESS
COPY
CANCEL ENTER
▲
▼ MEAS SET OFF
圃場を移動しながら、土壌水分の多点計測を行う場合の例
J. Jpn. Soc. Soil Phys.
土壌の物理性
No. 143 p.5∼16 (2019)
北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から
飯島慈裕
1Present situation of research on permafrost in Arctic region:
View point of terrestrial environmental changes
Yoshihiro IIJIMA1
1. はじめに
北極をとりまく陸域は「周北極(circumpolar)」と いう言葉があるように,ちょうど北極点を中心として 同心円状に広がっていく空間分布を想起させる.しか し,北極域での地表面を構成する植生·土壌,さらに は地下の永久凍土の分布には同一視できない地域性が ある(松浦, 2014).永久凍土の分布に着目すると,基 本的に現在の気候条件で年平均の地表面温度が氷点下 以下である地域であることに加え,最終氷期以降の気 候環境の履歴が反映されている(Fig. 1).例えば北東 ユーラシアの東シベリア地域に深さ数百mに達する永 久凍土が広域に形成されているのは,ここが最終氷期 に氷床に覆われず,氷期の間に強烈な冷却にさらされ たことが影響している(石川, 2014).一方,スカンジ ナビア半島では氷床に厚く覆われていたために,氷床 下の地温の低下が抑えられ,結果として永久凍土の分 布は点在的で高山地域にのみ限られることとなった.
このような永久凍土の分布の非対称性は,最終氷期以 降から現在にいたる植生·土壌の発達にも大きな影響 を与えている.北欧から北米地域では連続的な永久凍 土の分布はほぼツンドラ帯に対応している.それに対 して,不連続または点在的な永久凍土は内陸部で島状 に分布する北方林の直下など,生態系との共生関係で 維持されている.一方で,北東ユーラシアでは連続的 な永久凍土が分布し,その上には広域にわたりカラマ ツ(Larix cajanderi,L. gmelinii,L. sibericaなど)を主体 とする北方林が成立している.
近年は,北極の温暖化増幅(Arctic Amplification)
として知られるように(Serreze and Barry, 2011),北 極域は地球温暖化の影響を最も強く受けると同時に,
凍土層–活動層(表層土壌)–植生を介した生物·物理双
1Graduate School of Bioresources, Mie University, 1577 Kurima- machiya-cho, Tsu, Mie, Japan. Corresponding author: 飯島慈裕,三 重大学大学院 生物資源学研究科.
2018年6月15日受稿 2019年4月20日受理
方の諸過程を経たフィードバックでさらに温暖化に寄 与する可能性が指摘されている.特に,永久凍土帯の 土壌では,温度上昇が年間の凍結融解層(活動層)の 深化をもたらし,それはさらに含氷率が高い永久凍土 層の融解につながる.これは,氷期–間氷期の時間ス ケールでは不可逆的な地形変化となり,周辺の自然環 境を大きく変えると考えられている(Streletskiy et al.,
2015).加えて,活動層ならびに表層の永久凍土層には
多量の炭素が貯留されている.その推定量は近年の推 定精度の向上から大幅に上方修正されており(Tarnocai et al., 2009; Hugelius et al., 2014),二酸化炭素,メタン などの温室効果気体の放出において,その存在と今 後の変化過程は無視できない.しかしながら,人類に とって永久凍土環境の変化がもたらす気候·環境変動 への影響の大きさはいまだ未知の部分が多く,近年で はさらに世界的に関心が高まりつつある研究対象と なっている.
これらを解明するには,北極域全体で継続的に実施 されている凍土の現状ならびに変化の観測と,それら の事実に基づいて諸過程が改良された数値モデルを用
Fig. 1 北極域の永久凍土分布(国際永久凍土学会が編集
した環北極域永久凍土·地下氷分布図(Brown et al., 2001) を基に作成).
いた将来予測との連携が欠かせない.北極の温暖化増 幅が指摘され始めた2000年代以降は,観測−モデルの 連携が意識された国際的な北極域の研究プロジェクト が実施されてきた.永久凍土の構造とその長期的な変 化や,地表面―活動層を介した大気との間の熱·水循 環について,流域規模から全球規模までのモデルを用 いた凍土分布のこれまでの研究については石川·斉藤
(2006),石川(2014),斉藤ら(2014)のレビューに詳 しい.国際的には,北極評議会(Arctic Council)の作業 部会の一つである北極圏監視評価プログラム作業部会
(AMAP: Arctic Monitoring and Assessment Programme) が 2011年と 2017年に公開した北極域の気候変動に 関する総合監視レポート(SWIPA: Snow Water Ice and Permafrost in Arctic)において,最新の研究成果を知る ことができる(AMAP, 2011; 2017).
本稿では,北極域の気候変動との相互作用が注目さ れている永久凍土帯を対象とした研究の現状と今後の 課題について,以下のように論を進める.まず,永久 凍土観測研究の展開を第2章で述べる.第3章では,
日本の研究貢献が大きい東シベリア域の成果を中心 に,永久凍土の物理的環境(熱と水)の変化を対象と して,理解の現状と今後の課題を示す.続く第4章で は,観測−モデル研究の最近10年程度の発展とその 理解の現状をまとめるとともに,さらに明らかにすべ き対象について今後の展望を述べる.
2. 北極域永久凍土帯の観測網の展開
2.1国際協働による凍土観測
北極域の永久凍土帯では,凍土に関する温度変化の 時空間変動の把握が基本的かつ本質的な重要性を持 つ.地温観測網の展開は国際的な協働で実施されてお り,その歴史は石川(2014)に詳しい.ここではその 内容を紹介しつつ,最近の動向についてまとめる.
永久凍土帯の温度変化を対象とする際には,主に2 つの視点がある.第一に,永久凍土層そのものの温度 変化である.永久凍土の温度変化を捉えるには,地温 が年変化の影響を受けない永久凍土層の深層部での 計測が必要となるため,地下10 m程度の地温鉛直分 布の連続観測を設定することになる.国際永久凍土学 会(IPA: International Permafrost Association)の作業グ ループの一つとして組織された全球永久凍土観測網
(GTN-P: Global Terrestrial Network-Permafrost)は,永 久凍土帯でのボアホール(borehole)による地温鉛直分 布観測を行っている研究者によって登録されている観 測ネットワークである(Biskaborn et al., 2015).2018 年8 月時点で,26カ国の研究者が参画し,南北両半 球合わせて計1,357地点でのボアホールが登録されて いる(https://gtnp.arcticportal.org/;最終閲覧日2018年 8月31日).公開情報としては,ボアホールの位置· 標高·掘削年·観測深度·管理者などのメタ情報の他,
約500地点での最近までの年平均地温がある.新規に
登録されたボアホールは地球温暖化ならびに北極の気 候変動への関心が高まった2000年代以降に急速に増 加しており,中でも2007∼2008年の国際極年(IPY:
International Polar Year)に合わせてIPAがボアホール 観測網の世界的な展開を促したTSP(Thermal State of Permafrost)プロジェクトを実施したことが効いてい る.現在,2016∼2020年の戦略的実施計画が上げら れており(Streletskiy et al., 2017),データ管理と運営 の改良に加えて,観測手法のプロトコルの策定や可視 化システムの導入などが計画されている.
第2の視点は,永久凍土帯の地表面付近(活動層)の温 度変化である.活動層は年周期の凍結融解サイクルが 卓越するため,凍土の層構造の変化は活動層厚という 深さの情報で提供される.活動層厚は1 haから1 km2 の広さのグリッドを設定して,その分布を測定するプ ロトコルが設定されている,CALM(Circumpolar Active Layer Monitoring Program)という国際的な観測ネット ワークがあり,GTN-Pと同様にデータが共有されてい る.この観測プログラムは1991年の国際ツンドラ計 画(ITEX: International Tundra Experiment)に合わせて 提案され,現在までに北極域の15カ国で250カ所の 観測サイトのメタ情報が登録され,約100地点の観測 データが公開されている(https://www2.gwu.edu/calm/; 最終閲覧日2018年8月31日).土壌の融解深の測定 は,融解した土壌に凍土面まで鉄棒を差す計測法の他,
ボアホールに土壌凍結深計(フロストチューブ)を埋 めて計測時に取り出し計測する方法,地温プロファイ ルの測定から内挿する方法などが併用されている.
2.2北極域での凍土環境研究
北極域の国際的な共同観測研究体制は,東西冷戦終 結以降の1990年代から本格的に始まったといえる.
日本はいち早くロシア連邦の東シベリア(サハ共和国)
において,北海道大学低温科学研究所が中心となっ た1970年代の木下らの共同研究を嚆矢として(木下
·鈴木, 1973),その後1990年代から永久凍土とその 上に成立する自然環境に関する共同観測研究が推進さ れた(Shibuya et al., 1999など).以降20年を超えて,
北東ユーラシアからアラスカにかけての領域を中心と して,様々な観測研究プロジェクトが実施されてきて いる.
この期間は奇しくも北極域の温暖化傾向の端緒とな る現象が見え始めた時期であることもあり,観測実績 に基づいて北極気候変動に関係する多様な研究成果が 得られてきた(飯島·佐藤, 2014).当初は大陸スケー ルの水·熱循環過程の主要部として永久凍土の役割が 総合的に観測され,北方林·ツンドラという異なる植生 における相互作用が観測事実として明らかにされた.
その後,2000年代に入り北極海の夏季の海氷面積の減 少や,北極流入河川の流量増加などの変化に対応して,
永久凍土帯における様々な変化現象が観測されるよう になった.2011∼2015年にかけて実施されたグリー ン·ネットワーク·オブ·エクセレンス(GRENE)事
総説:北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から 7
Fig. 2 北極域における永久凍土温度(地表から9∼26 m深の年平均地温)の長
期変化(AMAP, 2017のFigure 4.2を基に作成).
業北極気候変動分野「急変する北極気候システム及び その全球的な影響の総合的解明」(GRENE-Arctic)は,
日本の北極研究に関わる大学·研究機関が結集して北 極域の気候·環境変動に関する4つの戦略研究目標の 達成を目的として実施された.この第1目標「北極域 における温暖化増幅メカニズムの解明」中の「環北極 陸域システムの変動と気候への影響」において,凍土 帯の環境変化を中心として観測とモデルの融合的研究 が促進され,凍土融解,植生変化,温室効果気体の動 態に関する共同研究が進んだ(例えばMiyazaki et al., 2015; Takata et al., 2017).
また,欧米各国においても,主に温室効果気体の起 源としての永久凍土の現状と諸過程の詳細な解明と そのモデル化を目指す,という同様な目的の国際共同 研究が実施されてきた.欧州の研究コンソーシアムと して2011∼2015年に実施されたPAGE21(Changing Permafrost in the Arctic and its Global Effects in the 21st Century)や,アメリカ合衆国の北極環境変動の総合 研究プログラムSEARCH(Study of Environmental Arc- tic Change)の下で2011年から実施されているPCN
(Permafrost Carbon Network)がある.日本のGRENE-
Arcticを含めて,ほぼ同時期に凍土帯での環境変化の
影響に関して問題意識や対象が共通する研究が多地域 で実施されたことによって,観測地域の共有や補完,
メタ解析やモデル相互比較実験など,様々な国際共同 研究の意思疎通が図られたことで,北極域永久凍土の
諸過程の重要性がさらに脚光を浴びる状況となって いる.
3. 北極域の永久凍土環境変動
3.1永久凍土層の温度変化
永久凍土層の温度変化の解析では,地温が年変化し なくなる深さ(ZAA: Zero Annual Amplitude)以深の観 測データが用いられる.その深さは地表面からの伝導 熱量の大きさと熱拡散係数との関係から地域的に大き く変わる.それは,土壌や含氷率の分布と対応し,よ り温度が高く氷の多い(融解の潜熱による緩衝がある)
地域では数m程度であり,寒冷で基盤岩にあたる(熱 伝導率が高い)地域では20 m程度と幅がある.これ らの凍土深部の温度変化について,アラスカ,カナダ,
北欧を中心として,10∼30年におよぶ観測データが蓄 積されてきた.長期にわたり計測された地温観測デー タの結果から,現在の北極域での永久凍土の温度変化 には,凍土層の構造や温度状態に応じた地域的な傾向 があることが明らかになってきた.
2010年代までのアラスカの南北横断道路(Dalton Highway)沿いや,極北カナダの島嶼沿いに南北に展 開された地温観測網の結果から(Fig. 2: Romanovsky et al., 2017),寒冷な永久凍土ほど温暖化が顕著に進行す る傾向がある.かつては凍土深部の温度は10年周期 の変動が見られたため,太陽の黒点周期による日射量
Fig. 3 CALMによる北極域6地域の活動層厚の長期変動(AMAP, 2017のFigure 4.6を基に作 成)数値は各地域の長期平均からの客年観測値の偏差.
変動がその変化要因という説明がされた時代もあった
(Osterkamp et al., 1994).今日では,観測の蓄積によっ て,気候変動が永久凍土層の温度と同期していること が明確に示されている.カナダ最北のアラート(Alert)
や,アラスカの北極海沿岸のプルドーベイ(Prudhoe Bay)などの地域では,10 m以深の永久凍土層におい て IPY以降の昇温が0.5◦C/10 year以上に達してい る.これらのツンドラから極砂漠に近い植生が粗な地 域では,地表面との熱交換の緩衝となる植生や土壌有 機物層が薄いために,凍土層の地温は気温変動の影響 を強く受ける.これらの地域は北極域でも気温の温暖 化傾向が顕著に現れており,ZAAの深度において,10 年スケールで温暖化傾向が顕著に現れていることは十 分に確からしいことが指摘されている.アラスカのツ ンドラ域のプルドーベイ地域の観測点であるウェスト ドック(West Dock)やデッドホース(Deadhorse)で は,50 m深の凍土層の温度においても,30年間で約 1◦Cの上昇が観測されており(Fig. 2),その平均的な 地中伝導熱量は0.5 W m−2に相当している.
その一方で,アラスカ南部や北欧,ロシアでは永久 凍土層の温度が0◦Cに近い暖かい地域(不連続永久 凍土帯の地点を含む)であり,昇温傾向は0.2◦C/10 yearを下回る地点が多い(Fig. 2).地温が融点に近い これらの地域では,熱が氷の融解潜熱に費やされ,見 かけ上地温の上昇が抑えられている.また,アラスカ 内陸部では,特徴的に凍土温度が2007年以降は停滞 または低下している地点も存在していた.これらは相 対的に温暖化傾向が抑えられ,また冬季の積雪量が少 なかったことと対応している.これらの点から,暖か い凍土帯は,大気の温暖化に対して見かけの反応は鈍 いといえるが,それは裏を返せば温暖化に抵抗する層 がなんとか凍土の存在を維持しているということでも
ある.
3.2活動層と地表面付近の永久凍土層の変化
永久凍土帯の年間の最大融解深である活動層厚は,
その年の気候変化に応じて,永久凍土層内の地温変化 よりも短い時間スケールで反応する.そのため,活動 層厚は大きな年々変動を示し,冬季の積雪深·積雪期 間や夏季の気温状態(積算温度)を反映する(Smith
et al., 2009).北極域の活動層厚の変化は,CALMな
どで10年以上の観測が行われている(Romanovsky et al., 2017).それらによれば,アラスカや極北カナダで は1998年をピークとしてその後は変動がほとんどな く安定していたが,IPY以降の観測で再び厚くなる傾 向が強まり,2010年以降はさらに厚くなる状態にある
(Fig. 3).ロシアでは,ヨーロッパロシアから極東ロシ
アにかけてほぼ同様に一貫した活動層厚の深化傾向が 続いている.1990年代後半に深化が進んだあと,同様 に2010年代に再び深化傾向が強まっている.
活動層厚の深化は冬季の凍結の遅れとも関係してい る.アラスカ·ツンドラ域での観測地点における活動 層全層の凍結日は1980年代には10月中旬であった のに対し,2010年代では12月中旬まで約2ヶ月の遅 れへと推移している(AMAP, 2017).東シベリアのヤ クーツクでは,活動層全層の凍結が2003年までは10 月下旬であったのに対して,2007年には2月初旬まで 遅れる事態が観測されている(Iijima et al., 2010).こ れらは,地温上昇と活動層厚の深化に活動層内の土壌 水分量の増加が重なり,全体の熱容量が増大しながら 昇温したことで,凍結の潜熱に必要な冷却期間が延び たことが原因と考えられている.
3.3北方林帯の凍土環境変動
北方林(boreal forestまたはtaiga)は,北極域ではや や低緯度のsub-Arcticとされる領域に広がっている.
総説:北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から 9
Fig. 4 東シベリアの各領域における期間ごとの(a)年平均気温(◦C)と,(b)融解指数(◦C·day)の偏 差(Fedorov et al., 2014bのTable 3およびTable 5を元に作成)それぞれ長期平均値からの偏差を示す.
この地域は,永久凍土と共生して熱·水環境を安定化 させる役割を担っている.ここでは日本の研究組織が 継続的な成果を上げてきた,ロシア連邦の東シベリア 地域で得られた知見を中心に紹介する.
東シベリアでは,連続的永久凍土帯が北方林(特に カラマツが優占する)と共生関係にある.レナ川流 域に広がる北方林帯の土壌はロームまたは砂質ロー ムであり,水はけが良く乾燥しやすい.表層付近の土 壌は,凍結融解によって撹乱を受けるクリオタベー ションが発達する.こうした土壌は,USDA(United States Department of Agriculture)の土壌タクソノミー
ではGelisol,または下位区分の土壌目においてはクリ
オタベーションの程度が高ければTurbels,低い場合は
Orthelsに相当する.もう一つ別の重要な特徴として,
永久凍土層内に氷で飽和·過飽和したシルトまたは細 砂層で含氷率が50∼90 %に達する氷の層の堆積があ る.この地下氷が過去の氷期において堆積環境と同時 に形成されたアイスウェッジ等の履歴をもつ場合,そ れをエドマ層(Yedoma)という(エドマ層に関する最 新のレビューは,Schirrmeister et al.(2013),Strauss et al.(2017)などがある).東シベリアのレナ川中流 域は,北極海沿岸の河口域以外で広大なエドマ層の 分布が知られており,その厚さは20∼40 mに達する
(Ulrich et al., 2017).
東シベリアの北方林帯の永久凍土では,森林火災の 頻度が高い場合や,伐採や虫害などの森林撹乱因子が 重なると,凍土融解が進み,その後に森林が再生しな い過程を経ることがある.それは,地表面撹乱による 融解の強化で最大融解深(活動層厚)が永久凍土層中 のエドマ層が現れる深さに達するかどうかが,その決 定的な閾値となる.融解深がその閾値を越えると,エ ドマ層の氷が融け,水分は流出·蒸発散で失われる.
この氷の体積減少は地下のエドマ層の不等な分布に応 じて起きるため,地盤沈下による凹凸な地形が発達す る.この現象をサーモカルスト(thermokarst)という.
地盤の沈下に伴い,サーモカルストの中央部では湖沼 化が始まり,もとの北方林から,草原,水域へと変化 する.レナ川中流域では,最終氷期後の完新世温暖期 に永久凍土融解によるサーモカルストが進行し,最終 的な景観として凹地状の草原地形(アラス(alas))が 分布している.
東シベリアでの近年の凍土融解は,北極域の気候変 動の影響を受けて,活動層内の土壌の熱·水環境の大き な変化が経年的に効いていることが現地の継続的な観 測研究から明らかとなってきた.特に,20世紀の温暖 時期(1935∼1945年,1988∼1995年)と異なり,2005
∼2009年は,東シベリア全域が年平均気温,夏季の融 解指数の増加,冬季の凍結指数の減少が共通して現れ る事態となっている(Fig. 4; Fedorov et al., 2014b).
加えて,この期間は東シベリアで湿潤な気候偏差が 強まった時期に相当していた.2004年の冬以降,冬季 の積雪深と引き続く夏季後半の降水量が同時に平年を 大きく上回る年が2008年まで続き,地表面および活 動層内に極めて過湿な環境が形成された.その結果,
活動層内の土壌水分量はほぼ飽和∼湛水に近い状況と なり,土壌の熱伝導率,比熱が増大して,活動層厚の 深化が進んだ(Iijima et al., 2010).地表面の熱·水·炭 素フラックス観測の主要観測点として知られるヤクー ツク市近郊のスパスカヤパッド研究林では,2004年の 土壌湿潤化以降,以前は1.2 m以下であった活動層厚 が2009年には2 m以上に達する状況となった.簡易 貫入計を利用した詳細な活動層分布を測定した結果,
2009年時点で活動層厚が1.5 m∼2.0 mに達したのは,
地形が緩やかに傾斜した谷状の場所に現れていた.そ
Fig. 5 東シベリア·チュラプチャの草原における活動層土壌断面調査結果
(Iijima et al., 2016のFigure 3を基に作成)
左図線:簡易貫入試験器によるNc値,左図点:土壌水分量体積含水率,
右図線:地温,右図点:熱伝導率計(KD2Pro)による土壌比熱
PL:Plastic Limit とLL:Liquid Limitは永久凍土研究所の報告書の値に基 づく.
れは水の集まりやすい形状として,地下の永久凍土面 の分布とも対応しており,その一帯の活動層下部に土 壌水分が滞留していた(Iijima et al., 2014).
さらに,その直上に立地するカラマツは,葉が枯れ て枯死に至る個体が現れた.活動層の深化と合わせ て生じた過剰な土壌水分は,カラマツの根系が主に
50 cmよりも浅い土壌に分布していることもあり,蒸
発散過程で利用されにくく,経年的に滞留することが 活動層の深化に拍車をかけることになったと考えられ る.レナ川中流域のカラマツ林や草原において,2011
∼2014年にかけて実施された土壌断面調査においても
(Fig. 5),1 m以深の活動層下部には土壌水分が飽和に 近い湿潤層が滞留していた.土壌表層40 cmの比熱は 約1.5 MJ m−3K−1であったのに対して,1 m以深では 約2.0 MJ m−3K−1となっているなど,活動層内土壌の 熱·水環境の変化が多年にまたがる影響を持ち続けて いる様子が明らかとなった(Iijima et al., 2016).
先述の通り,活動層の深化がエドマ層にまで達する と,地下氷の融解と消失が起こり,サーモカルストによ る地形変化が進む.東シベリアでは,レナ川と支流の アルダン川にはさまれた地域において,地下約2 m以 深から地下氷の層が分布している.カラマツ林など植 生が健全に保たれている場所では,植生や土壌の有機 物層の効果によって熱伝導が抑えられ,活動層厚は1.0
∼1.5 m程度で安定しているのが平均的な状態であっ
た(Iijima et al., 2010).活動層と地下氷の間は,サーモ カルストが生じないためのいわばバッファーの役割を
果たしており,遮蔽層(shielding layer; Brouchkov et al., 2004)または遷移層(transient layer; Shur et al., 2005)
と呼ばれる.植生状態が農地や森林火災などの影響で 改変され,活動層の昇温と深化が遮蔽層以上に及ぶと,
サーモカルストの引き金となる.一端地形が陥没し始 めると,そこには地下氷の融解水や周囲からの水の流 入によって,湖沼化がはじまり,小面積のサーモカル スト湖が形成されはじめる.1940年代以降の空中写真 を用いた面積変動からは,新たに形成されるサーモカ ルスト湖は,各時期の湿潤·乾燥状態に関わらず,一貫 して拡大を続けていることが明らかとなった(Ulrich et
al., 2017).1990年代から継続して計測されている耕
作放棄地上のサーモカルスト湖の発達によって,1993
∼2008年にかけて,湖沼面積は16倍に,体積は104 倍に拡大し,水収支の解析からその約3分の1の水は 地下氷由来であることが推定されている(Fedorov et al., 2014a).2005∼2008年の湿潤期間では,森林内に 湛水して活動層厚が深くなり,サーモカルストが発達 する箇所が現れ,人為的な改変がなくても気候の温暖 化と湿潤化が重なることで凍土荒廃が進む事例として 注視すべき状況となっている.
一度サーモカルストによる水域の拡大からその後の 乾燥による草原化が進行すると,土壌面からの蒸発が 盛んに起こり,土壌中の塩類が地表面付近に集積する ため,土壌の化学的性質が森林時の状態から森林の再 生には不適な状態に大きく変わる.カラマツ林からア ラス中央部にかけての活動層土壌内の電気伝導度と
総説:北極域の永久凍土研究の現在:陸域環境変化の視点から 11
2004 2014
Fig. 6 東シベリア·ティクシ(ツンドラ域)におけるサーモカルスト湖の拡大(ロシア
科学アカデミー·永久凍土研究所 Alexander Fedorov博士撮影)
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Fig. 7 ツンドラ植生での永久凍土荒廃と地表の変化(Liljedahl et al., 2016 を基に作成).
pHの鉛直分布の測定によると(Lopez et al., 2007),健 全な森林内では,季節を通じて森林内の表層土壌の電 気伝導度は低く,40 cm深までの表面付近は酸性∼中 性を示している.それ以深の活動層の下部に電気伝導 度の相対的に高い層が存在しているが,その層の地表 面付近への移動·集積はほとんど認められない.一方,
アラス草原内では,50∼60 cm深をピークとして,電 気伝導度が高く溶脱した塩類が集積する層が形成さ れ,夏季の盛んな蒸発を経た7∼8月にはより高い状 態になる.またpHは,土壌の表層付近からアルカリ 性を呈するように変化しており,結果として耐塩性の 草本種でないと優占しえない土壌環境へと変わる.
人為改変や森林火災などの地表面変化に,長期的な 気候変動で温暖化や湿潤化などの頻度の増加が重なる ことによって,地表付近の永久凍土の融解を引き起こ す事態が続くと,これまで再生できていた北方林生態 系が不可逆的に草原化する可能性が高まる.その意味 でも,永久凍土と共生している北方林生態系では,撹 乱の強度·頻度と気候変動の重なりに対する生物·物 理的な応答の実態とその変化する過程を,より総合的 に注視していく必要がある.
3.4ツンドラ帯の凍土環境変動
北極域のツンドラ帯では,約3分の2の面積が平坦 地で湿地状の景観を呈する(CAVM Team, 2003).進 行する凍土温度の上昇や活動層厚の深化は,ツンドラ 域の表層の土壌と水域の分布を微地形の変化をともな
いながら変えている.1999∼2014年のLANDSAT画 像をもとにツンドラ·永久凍土域の水域面積変動を検 出した結果によると(Nitze et al., 2017),東シベリアと アラスカのツンドラ帯では,0.5∼2.8 %の水域面積の 減少傾向が示された.これは,サーモカルストによる 新しい水域が拡大する反面,既存のより多くの水域が 崩壊によって流出し乾燥化していることが主な要因で あると考察されている.また,環北極ツンドラ域の各 国の長期的な観測地点(10地点)を対象に空中写真や 高解像度衛星画像による1 m以下のスケールで,より 詳細なサーモカルストの進行と水域変化を検出した結 果がある(Liljedahl et al., 2016).アイスウェッジの融 解によって周囲が陥没したポリゴンの谷地形が網目状 に発達し,初期の段階では小さな割れ目に沿った池が 形成される(Fig. 6;東シベリア·ティクシの例).その 後,それが次第に互いに結びついて流路網へと変わっ て水が流出し,一部乾燥化が進む過程を経ている様子 が明らかとなった.同時に微細な地形を表現した水文 モデルによって,従来は平坦な湿地帯が起伏を持つポ リゴン地形へと変化することで,雪も網目状の谷に再 堆積しやすくなり,ツンドラ域全体の水の流出を加速 させている可能性が示された(Fig. 7).
これらの水域変化の行き着く先は,ツンドラの乾燥 化なのであろうか? 重力変化を測定できる人工衛星 GRACE(Gravity Recovery and Climate Experiment)に よって,北極域の陸水貯留量変化を推定した結果によ
れば(Suzuki et al., 2018),有意な減少トレンドが東シ ベリアやカナダのツンドラ域に現れていた.その傾向 を支持する要因として,陸面の気象·土壌水分状態の 再解析データからは,夏季の温度上昇による乾燥化の 寄与が大きいことが示されている.しかし,凍土融解
·サーモカルスト湖を解像できる微細なスケールから 導かれた結果と,北極域全体の変動を広域スケールで とらえた結果との間をつなぐ,包括的なツンドラ域凍 土帯の環境変化影響の評価には未だ至っていない.
ツンドラ域の凍土融解と水域の消長との関係は,温 室効果気体の中でも,メタンのフラックスの強度と強 く関係するため,北極域観測研究の主要な対象となっ ている.アイスウェッジの融解したポリゴン状の微地 形は,メタンフラックスの空間変動をもたらす.ツン ドラ植生が維持されている環境は,メタンの吸収が卓 越するのに対し,凍土融解後に地盤が沈下して発達し た水域は,その面積が小さく水深が浅くても,冬季に 水域の底が凍るのに時間がかかるようになり,メタン 生成が活発化し季節的にも長期化する.レナ川河口の 観測例によれば,メタン放出は夏季には78∼100 mg m−2day−1(Sachs et al., 2010),冬季であっても0.01∼ 5.8 mg m−2day−1という値が得られている(Langer et al., 2015).一端水域が形成されると,その水際の側面 で侵食が拡大し,より多くの有機物を取り込みながら 水没していく.こうした新鮮な有機物の供給がさらに メタン発生を助長することとなる.ツンドラ域での凍 土荒廃の初期段階では,地下の古い炭素の寄与がなく てもメタンの生成が活発になると考えられる.
しかし先述の通り,こうした水域の水路化が進んで 流出すると,再び乾いて植生が回復する可能性がある ため,水域形成後のメタンフラックスの経年的な変化 は不確定性が高く,その経過を追った観測事実はほと んどない.ツンドラ域の水域を人工的に排水する実験 を行った事例では(Kittler et al., 2017),その後メタン 放出は減った一方で,好気性の環境に戻ったことで土 壌からの呼吸による二酸化炭素の放出が増加し,逆に 吸収は少なくなるため,全体の収支では温室効果気体 のソースになったことが報告されている.
4. 永久凍土環境変動のモデル化とその方向性
気候変動予測の不確実性を低減させる一環として,
従来の大気大循環モデルは,地球上で気候変動に対す る寄与が大きい物理,生物,化学過程を明示した地球シ ステムモデル(ESM:Earth System Model)へと発展を 続けている.しかし,北極域など寒冷圏の陸域におけ る現象や過程の特異性や重要性については,気候予測 のためのモデル開発の優先順位から見ても海洋や大気 の諸過程の精緻化に比べると,意識はありながらも対 応は遅かった.そのため,気候モデルにおける陸面過 程においても,寒冷圏特有の現象(例えば,積雪層の雪 質の変化や凍土,あるいは厚い有機層·泥炭などの熱
的効果)に関わる過程の導入やその再現性の検討が重 点的に行われるようになったのは,北極の気候変動が 想定以上の速さで進行しつつあると認識されるように なった近年になってからである.また,寒冷圏におけ るモデルの検証·改良·高度化といった作業が行われ るようになったものの,主に観測に基づく知見やデー タの少なさから,以下に見るように現在に至ってもな おそれらが十分に行われているとは言えず,寒冷圏を 対象にするモデル比較も2010年代になって行われる ようになったに過ぎない(Koven et al., 2013; Miyazaki et al., 2015; McGuire et al., 2016).
凍土域では,水の相変化や土壌の物理的性質,炭素 含有量などにより土壌の物性値が大きく変わるため,
断熱効果や透水性に対して地域的な差異があり,同一 地点でも大きな季節性を有する.氷と水の違いによっ て熱伝導率や熱容量が変わるほか,土壌水分量による 透水係数の変化も大きい.また有機層や泥炭層の熱伝 導率や熱容量は乾燥時には鉱物層より低く,水や氷の 含まれ方の季節変化によって大きく変化する.また積 雪もその断熱効果や融雪水を通して大きく影響する.
陸面過程モデルが凍土の諸過程をどの程度考慮し ているかによって,モデルから得られる地温,特に 0◦Cを境にした挙動に大きな違いがみられる.斉藤ら
(2014)の指摘では,例えばゼロカーテン効果(凍結
·融解の潜熱の影響で地温が0◦Cで一定となる期間:
Outcalt et al., 1990)の有無である.北緯60度以北の 1 m深までの土壌表層について観測と複数の地球シス テムモデル,大気海洋大循環モデル(AOGCM) によ る月平均地温統計値の頻度分布を調べた結果では,観 測データはゼロカーテン効果による0◦C付近での頻 度上昇と,不凍水(0◦C以下になっても凍結しない水)
の影響による0◦C以下での緩やかな頻度の上昇を示し た.一方,水の相変化を考慮しないモデルはゼロカー テンを示さず,不凍水を考慮しないモデルでは0◦C付 近のみで頻度が急激に上昇し,相変化と不凍水の両方 を考慮したモデルだけが観測と同様の頻度分布を示し ていた(Koven et al., 2013).
IPCCの第5次評価報告書(IPCC, 2013)によると,
地球システムモデル等により算出される凍土の分布に ついては,観測データの整備の問題もあり,評価できる 段階ではなく,今後の課題であると指摘している.現 在,気候変動予測に用いられている地球システムモデ ル等に組み込まれている陸面過程モデルにおいて,こ れら全ての過程を考慮しているモデルは少ない(Koven
et al., 2013).例えば,世界各国の地球システムモデル
に組み込まれている凍土過程について熱的な遮蔽効果 をまとめると(Table 1; McGuire et al., 2016),多くの モデルで積雪の遮蔽効果や土壌水分の不凍水と相変化 の効果などのプロセスは組み込まれている.その一方 で,特に土壌表層のコケ層や有機層の断熱効果を考慮 したモデルは少ない.これらの効果の欠落は,観測値 に対して活動層厚は過大評価の反面,地温は過小評価