• 検索結果がありません。

首都圏公共交通における 適切なバス運行

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "首都圏公共交通における 適切なバス運行"

Copied!
64
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻 修士論文

首都圏公共交通における 適切なバス運行

Appropriate Bus Services in the Public Transportation Network in Tokyo Metropolitan Area

秋本 大地

Daichi AKIMOTO

学籍番号 14N8100001B

指導教員 田口 東 教授

2016

年 3 月

(2)

概要

首都圏の鉄道交通網はより密なものとなり,利便性が向上している.特に鉄道に関して は顕著である.しかし,鉄道とは対照的に,バスの利用は盛んであるとは言えず,運行本 数も削減されている.特に郊外においては,乗車率も低く,路線の整理とダイヤの合理化 が必要である.一方で,高齢化社会における生活交通の確保は重要な課題であるので,運 行コストの縮小に利便性の低下が伴ってはならない.

本研究では,路線バスのICカードデータを用いて路線バスの利用実態の分析・調査を行 い,首都圏における路線バスの役割を明らかにする.その上で課題を踏まえた路線網の構 築を提案する.

キーワード:路線バス,ICカード,時空間ネットワーク,スケールフリーネットワーク

(3)

目次

第1章 序論 ... 1

1.1 研究背景 ... 1

1.2 研究目的 ... 2

1.3 本論文の構成 ... 2

第2章 バスICカードデータ ... 3

2.1 データ概要 ... 3

2.2 バス停間個別データ ... 3

2.3 移動履歴データ ... 4

2.4 停留所情報データ ... 5

第3章 時空間ネットワーク ... 6

3.1 時空間ネットワーク概要 ... 6

3.2 時空間ネットワークの構成要素 ... 7

3.2.1 ノードとリンクの定義 ... 7

3.2.2 ノード ... 7

3.2.3 リンク ... 8

走行リンク ... 8

停車リンク ... 8

待ちリンク ... 9

乗換リンク ... 10

3.3 首都圏バス運行の時空間ネットワーク ... 11

3.4 個人の利用に関する時空間ネットワーク ... 12

第4章 ICカード利用者のバス利用実態の分析 ... 14

4.1 運行本数と乗降車人数の分布 ... 14

4.2 利用回数の分布 ... 15

第5章 バス運行の分類 ... 18

5.1 スケールフリーネットワーク ... 18

5.2 次数分布 ... 19

5.3 累積次数分布 ... 20

5.4 比較 ... 22

5.5 分類 ... 27

第6章 バス路線の分析 ... 28

6.1 分散型ネットワーク ... 28

6.1.1 分散型ネットワークの分析 ... 28

6.1.2 距離と所要時間の関係 ... 29

(4)

6.1.3 OD間での迂回 ... 29

6.1.4 迂回 ... 31

6.1.5 領域面積を基準とした停留所の削減と評価 ... 32

6.2 集中型バス路線 ... 38

6.2.1 集中型バス路線の分析 ... 38

6.2.2 領域面積を基準とした停留所の評価 ... 38

加法的重み付きボロノイ図 ... 39

6.2.3 路線網構築... 41

時間枠付き巡回セールスマン問題 ... 41

経路数と終着駅の設定 ... 42

結果 ... 44

6.2.4 基点を出発する時刻の決定 ... 46

利用者人数分布から需要の決定 ... 46

動的計画法 ... 48

結果 ... 49

第7章 結論 ... 53

7.1 まとめ ... 53

7.2 今後の課題 ... 53

謝辞 ... 55

参考文献 ... 56

関連発表 ... 57

(5)

図目次

図 1.1 経常収支の推移 ... 1

図 3.1 首都圏バスの交通ネットワーク ... 6

図 3.2 出発ノードと到着ノード ... 7

図 3.3 走行リンク ... 8

図 3.4 停車リンク ... 9

図 3.5 待ちリンク ... 9

図 3.6 乗換リンク ... 10

図 3.7 首都圏バス運行の時空間ネットワーク ... 11

図 3.8 個人の利用に関する時空間ネットワーク1 ... 12

図 3.9 個人の利用に関する時空間ネットワーク2 ... 12

図 3.10 個人の利用に関する時空間ネットワーク3 ... 13

図 4.1 運行本数と乗降車人数分布 ... 14

図 4.2 バス利用回数の人数分布 ... 15

図 4.3 バスの往復路利用回数の人数分布 ... 16

図 4.4 バスの単体利用回数の人数分布 ... 17

図 5.1 スケールフリーネットワーク ... 18

図 5.2 スケールフリーネットワークの次数分布 ... 19

図 5.3 バス事業者別次数分布 ... 19

図 5.4 バス事業者別累積次数分布 ... 20

図 5.5 立川バスのネットワーク ... 22

図 5.6 立川バスの次数分布 ... 22

図 5.7 船橋新京成バスのネットワーク ... 23

図 5.8 船橋新京成バスの次数分布 ... 23

図 5.9 東急バスのネットワーク ... 24

図 5.10 東急バスの次数分布 ... 24

図 5.11 西東京バスのネットワーク ... 25

図 5.12 西東京バスの次数分布 ... 25

図 5.13 次数分布の地域性 ... 26

図 6.1 東急バスのネットワーク(2012年4月2日) ... 28

図 6.2 直線的でない経路のイメージ ... 30

図 6.3 𝑇𝑂𝐷と𝑇̂𝑂𝐷の関係 ... 30

図 6.4 𝑇𝑂𝐷と𝑇𝑂𝐷 の関係 ... 30

図 6.5 東急バスのネットワークの迂回地域 ... 31

図 6.6 右上部の詳細 ... 31

(6)

図 6.7 枝の張り直し(次数が1の場合) ... 32

図 6.8 枝の貼り直し(次数が2の場合) ... 32

図 6.9 枝の張り直し(次数が3以上の場合) ... 33

図 6.10 東急バス ボロノイ図 ... 33

図 6.11 東急バス ボロノイ図(100駅削減) ... 34

図 6.12 東急バス ボロノイ図(200駅削減) ... 34

図 6.13 東急バス ボロノイ図(300駅削減) ... 35

図 6.14 領域面積の分布 ... 36

図 6.15 領域面積(1500まで) ... 36

図 6.16 停留所の削減と運行コストの関係 ... 37

図 6.17 西東京バスのネットワーク(2012年4月2日) ... 38

図 6.18 加法的重み付きボロノイ図の境界線 ... 39

図 6.19 時間的選択性 ... 40

図 6.20 西東京バスのAWV(基点:JR八王子駅北口) ... 40

図 6.21 西東京バスのAWV(基点:JR八王子駅北口) 拡大図 ... 41

図 6.22 終着駅について ... 43

図 6.23 ネットワークの基点 ... 44

図 6.24 構築したネットワーク ... 44

図 6.25 構築したネットワーク 拡大図 ... 45

図 6.26 構築したネットワークとの経路コストの比較 ... 45

図 6.27 連なる停留所の両端の選択について ... 46

図 6.28 𝐴𝐼𝐶の推移と最小値 ... 47

図 6.29 JR八王子駅北口の ... 47

図 6.30 武蔵五日市駅の ... 47

図 6.31 途中駅の需要分布 ... 48

図 6.32 経路1 ... 50

図 6.33 経路1の運行と需要分布1-1 ... 50

図 6.34 経路1の運行と需要分布1-2 ... 50

図 6.35 経路1の運行と需要分布2-1 ... 50

図 6.36 経路1の運行と需要分布2-2 ... 50

図 6.37 経路1の運行と需要分布3-1 ... 51

図 6.38 経路1の運行と需要分布3-2 ... 51

図 6.39 経路2 ... 51

図 6.40 経路2の運行と需要分布1 ... 51

図 6.41 経路2の運行と需要分布2 ... 52

図 6.42 経路2の運行と需要分布3 ... 52

(7)

表目次

表 2.1 バス停間個別データ収録内容 ... 3

表 2.2 移動履歴データ収録内容 ... 4

表 2.3 停留所情報データ収録内容 ... 5

表 3.1 時空間ネットワークの構成要素数 ... 11

表 4.1 バス利用回数の代表値 ... 15

表 5.1 累積次数分布曲線の右下部面積 ... 21

表 6.1 コスト値 ... 49

(8)

第 1 章 序論

1.1 研究背景

公共交通機関として,路線バスは鉄道と並び一般に広く利用されている.通勤・通学の 手段として利用されるほか,停留所の間隔が狭いため,自宅から病院や商業施設等への直 接的なアクセスが可能であり,交通弱者である高齢者の生活交通の役割を担っている.非 軌道系であることから,災害時に柔軟なネットワークを構築できることも期待されている [1].

しかし,郊外や非都市部における軽自動車を主とした自家用車の普及や,鉄道網の稠密 化により,バス利用は減少している.さらに,バス利用者の減少と運行本数の減少は負の 連鎖となっている[2].保有車両数30両以上の事業者を対象に行った調査[3]では,平成25 年から大都市部において経常収支が100%を超えている(図1.1).しかし,大都市部の事業 者すべてが黒字ではない.また,事業者が黒字であっても,事業者の所有する一部路線は 赤字運行である.郊外においては乗車率も低く,路線の整理とダイヤの合理化が必要であ る.

図 1.1 経常収支の推移

大都市部におけるここ数年の経常収支の大幅な向上も,人件費の削減が一端を担ってい る.しかし,現状では多くの事業者は運転手不足[4]であり,安易に人件費削減を採用でき ない状況にある.

85%

90%

95%

100%

11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

経常収支(%)

年度(平成)

大都市部 その他 合計

(9)

路線バス事業の運営の健全化を目指すための合理化は,従来行われてきた不採算路線の 廃止・短縮や運行本数の削減も視野の範囲内であるが,上記の負の連鎖も踏まえ,路線の 整備より利便性が低下してはいけない.

1.2 研究目的

本研究では路線バスのICカードデータ[5]を用いて路線バスの利用実態を分析し,1.1節 で述べた課題を踏まえた上で,運行の合理化のための適切なバス運行の構築を目的とする.

まず,首都圏の路線バス事業者の運行実績データを基に時空間ネットワークを構築し,

路線バスの運行を数理的に表現する.

次に,バスの個人利用に関する移動履歴データを用いて利用実態を把握する.利用回数 や利用停留所から利用傾向を把握する.

他の公共交通機関や停留所の周辺施設,上記の分析を併せ,事業者単位で路線網の分類 を行う.分類に対し,それぞれのバス運行の合理化を目的とした分析・調査を行う.

最後に,現状の運行実態と比較を行うことで合理化の評価・考察をする.

1.3 本論文の構成

まず,2章において本研究で用いるバスICカードデータの概要について述べる.

3章では時空間ネットワークの概要と構成要素について述べる.そして,時空間ネットワ ークをモデルとして利用し,首都圏バス運行と個人の利用を表現する.

4章ではICカードデータの集計を行い,バスの運行や利用に関する調査を行う.

5 章では,バスの運行に関するデータを用いてバス事業者ごとにネットワークを構築し,

スケールフリー性の観点からネットワークの分析・比較を行う.その結果からバス路線を 大きく2つに分類できることを示す.

6章では,5章で述べた2つの分類それぞれに対し分析を行い,ネットワークの特徴から 改善すべき課題を見つける.また,その解決のための手法を示し,実施と評価を行う.

最後に,7章で本研究のまとめと今後の課題について述べる.

(10)

第 2 章 バス IC カードデータ

本章では,本研究で用いるバスICカードデータについて説明する.

2.1 データ概要

本研究で使用するバスICカードデータは,首都圏で運行する路線バス事業者のうちPAS MOによる運賃精算に対応している40社に対して収集されたものである.概要は以下の通 りである.

1. 対象 対象期間中のPASMOによる乗降車記録 2. 対象期間 2007年 3月 18日 から 2013年 3月 31日 3. 事業者数 40社

2.2 バス停間個別データ

バス停間個別データは,バス運行ごとに停留所の通過日時や停留所間の所要時間,乗降 車人数などの運行実績を集計したデータである.1つのデータごとに表2.1に示す項目が記 されている.

表 2.1 バス停間個別データ収録内容

項番 項目 項番 項目

01 事業者ID 13 下流停留所ID 02 事業者系統ID 14 下流停留所通過日 03 往復路フラグ 15 下流停留所通過時刻 04 車両番号 16 下流通過情報フラグ 05 バス停間番号 17 停留所間距離 06 上流停留所ID 18 道路所要時間 07 上流停留所通過日 19 運行所要時間 08 上流停留所通過時刻 20 乗車人員 09 上流通過情報フラグ 21 総乗車人員 10 上流停留所停車時間 22 バス種別フラグ 11 上流停留所乗車人員 23 運行遅れ時間 12 上流停留所降車人員

(11)

項目9と16の通過情報フラグとは,通過時刻が推定値であるか実測値であるかを判別す る情報であり,推定値である場合,項目8あるいは項目15は当該停留所の前後の停留所の 通過時刻と停留所間距離によって時刻が推定される.項目 12 の降車人数は,

均一制運賃 の

場合,ゼロとなる.項目18の道路所要時間と項目19の運行所要時間の間には,(運行所 要時間)=(上流停留所停車時間)+(道路所要時間)の関係がある.当データ数は

775,578,592である.

2.3 移動履歴データ

移動履歴データは,PASMOによる路線バスの乗車記録および降車記録を集計したデータ である.表2.2に示す項目が含まれている.

表 2.2 移動履歴データ収録内容 項番

項目

01 カードID

02 日付

03 時刻

04 事業者ID 05 事業者系統ID 06 往路復路フラグ 07 乗降フラグ 08 停留所ID

項目1のカードIDは,1枚のカードに対して対象期間内で一意に決まった値が与えられ ている.そのため,同一IDによる移動履歴データは同一人物による移動履歴であり,同一 の IDのデータを抽出することにより,IC カード利用者のバス利用について知ることがで きる.

カード再発行等ではカードIDが異なってしまうため,異なるIDではあるが,同一人物 による利用履歴であることが考えられる.しかし,本データではそのようなデータの照合 はできないため,別人物として扱う.また,対象期間内において1度しか出現しないIDに ついては1つにまとめて扱うこととする.ID数は40,555,087である

(12)

2.4 停留所情報データ

停留所情報データには,表2.3に示す項目が含まれている.

表 2.3 停留所情報データ収録内容 項番

項目

01 停留所ID

02 停留所名

03 緯度

04 経度

05 開始日

06

終了日

バス停間個別データや移動履歴データに記載されている停留所IDは,項目1の停留所ID と対応しており,バス運行やバス利用の位置情報を得ることができる.当データ数は29,910 である.

本研究では,2 点間の直線距離を計算するため,緯度・経度を平面直角座標[6]に変換し て用いることとする.

(13)

第 3 章 時空間ネットワーク

本章では時空間ネットワークの概要と構成要素について説明し,2章で述べたデータに対 し時空間ネットワークを構築する.

3.1 時空間ネットワーク概要

公共交通機関を利用する人の移動を数理的に表す代表的な方法は,ノードリンクで構成 されるネットワークを用いる手法である.一般に,駅や停留所をノード,その間を結ぶ路 線をリンクとして定義する.交通ネットワーク上における旅客流動を表現する場合,時間 によって変化する動的なフローとなる.しかし,大規模ネットワークにおいてネットワー クフローを動的に扱うためには工夫が必要である.

ここでは,通常の交通ネットワークを時間軸方向に拡張し,3次元の静的なネットワーク を構築する.この3 次元ネットワークを時空間ネットワークと呼ぶ[7].時空間ネットワー クは,通常のネットワークに比べてノードとリンクは膨大な量となってしまうが,ネット ワークフローを静的に扱うことができる.

本研究では,バス停間個別データに対して時空間ネットワークを構築する.対象範囲の2 次元のネットワークを図3.1に示す.

図 3.1 首都圏バスの交通ネットワーク

(14)

3.2 時空間ネットワークの構成要素 3.2.1 ノードとリンクの定義

バスの運行と利用者の行動を再現するための時空間ネットワークにおいて,ノードを停留 所におけるバスの発と着,リンクをバスと利用者の行動によって定義する.

3.2.2 ノード

ノードは,時空間ネットワークにおいて,停留所におけるバスの発着それぞれに対応し ている.

 出発ノード : バスの停留所からの出発を表すノード

 到着ノード : バスの停留所への到着を表すノード

出発ノードはバス停間個別データにおける出発時間と停留所の位置情報で決定され,到 着ノードは到着時間と位置情報から決定される.路線の始発停留所では到着ノードは定義 されず,終着停留所では出発ノードが定義されない.

同一の停留所での出発ノードと到着ノードをまとめるために,停留所ノードを考える.

しかし,これは便宜的なものであって,時空間ネットワーク上には表れない.

図 3.2 出発ノードと到着ノード

(15)

3.2.3 リンク

バスの運行において,バスは停留所間を走行するだけでなく,停留所で停車する.この ため,時空間ネットワークでは停車を表現する必要がある.

利用者は,バスの発着とは異なる時刻に停留所に辿り着くことができる.利用者の停留 所への到着時刻は詳細に表す必要はないが,停留所でバスを待っていることを表すリンク を定義する.また,路線の乗換についても同様である.

上記から以下のように分類される.

 走行リンク : バスの停留所間の走行を表すリンク

 停車リンク : バスの停留所での停車を表すリンク

 待ちリンク : 利用者の停留所での待機を表すリンク

 乗換リンク : 利用者の停留所から別路線の停留所への乗換を表すリンク

走行リンク

走行リンクは,バスの停留所間の走行を表すリンクである.出発ノードを始点とし,到 着ノードを終点とする.走行リンクの時間軸のベクトル成分は停留所間の運行所要時間と なる.

図 3.3 走行リンク

停車リンク

停車リンクは,バスの停留所での停車を表すリンクである.到着ノードを始点とし,同 停留所の次の出発ノードが終点となる.

(16)

図 3.4 停車リンク

待ちリンク

待ちリンクは,利用者の停留所での待機を表すリンクである.出発ノードを始点とし,

同停留所の次の出発ノードが終点となる.

図 3.5 待ちリンク

(17)

乗換リンク

乗換リンクは,利用者の停留所から別路線の停留所への乗換を表すリンクである.到着 ノードを始点とし,出発ノードを終点とする.本研究で用いるデータには,乗換可能であ る停留所対について記されていないので,徒歩で乗換可能な距離内にある停留所対は乗換 可能であるとする.本研究では,乗換可能な距離は 200m とする.また,乗換可能な停留 所対の一方の到着ノードから他方の出発ノードへ乗換リンクを張るとき,時間軸方向の許 容範囲は,到着ノードの時刻𝑡1,発着ノードの時刻𝑡2,停留所間の距離𝑑,徒歩速度𝑠より

𝑡1+ 𝑑/𝑠 ≤ 𝑡2

となる.歩行速度は分速60mとし,乗換リンクは上記式を満たす最早なものにのみ貼られ る.

図 3.6 乗換リンク

(18)

3.3 首都圏バス運行の時空間ネットワーク

2章で述べたデータに対し時空間ネットワークを構築する.本研究では2012年4月2日 の1日に対して行う.

構築した時空間ネットワークを図3.7に示す.時空間ネットワークは3.2節で記した4種 類のリンクに色分けされている.構成要素の数については表3.1の通りである.

図 3.7 首都圏バス運行の時空間ネットワーク

表 3.1 時空間ネットワークの構成要素数 総ノード 5,984,452 総リンク 9,646,348 走行リンク 2,992,226 停車リンク 582,761 待ちリンク 2,965,869 乗換リンク 3,105,492

(19)

3.4 個人の利用に関する時空間ネットワーク

移動履歴データから同一のIDで集計し,時空間ネットワークを構築する.その中で,利 用に特徴があるものを図3.8から図3.10に示す.図内の𝑥𝑦平面を位置情報とし,𝑧軸を時間 軸とする.日付は考慮せずに時刻のみで𝑧軸の値を決める.また,OD 間の途中駅は補間し ない.

図 3.8 個人の利用に関する時空間ネットワーク1

図 3.9 個人の利用に関する時空間ネットワーク2

(20)

図 3.10 個人の利用に関する時空間ネットワーク3

図3.8を見ると,よく利用する停留所があることが確認できる.最頻で利用する停留所に 注目すると,経路が異なるが最終的なODは同一であるような利用が窺える.

図3.9を見ると,図3.8と同様な傾向が窺えるが,利用している停留所数がより多い.左 上部にある停留所は,𝑧方向の両端に厚くなっており,昼間では利用しないことがわかる.

このことから居住地等の生活拠点であると推測できる.とりわけ図中右の停留所と併せて 利用していることがわかる.

図3.10を見ると,上記2つに比べて傾向が見えない.営業等で複数地点を不特定の経路 で利用していると考えられる.

(21)

第 4 章 IC カード利用者のバス利用実態の分析

本章では,バス停間個別データについて集計を行い,利用実態について大まかな傾向を 分析する.移動履歴データについては,全体での集計と併せて,IDごとに出現回数の集計 を行う.

4.1 運行本数と乗降車人数の分布

バス停間個別データを用いて運行に関する調査を行う.図4.1に運行本数と乗降車人数を 平日と休日に区別して,1 分ごとに集計した分布を示す.

均一制運賃の

バスは降車のデー タが存在しないため,乗車に関するデータ数と降車に関するデータ数は異なる.

図 4.1 運行本数と乗降車人数分布

乗降車人数は 8 時頃が最も多く,運行本数も同様である.通勤・通学を目的とした利用 者が多いと推測される.また,17時頃から20時頃までも,前後の時間帯に比べて高くなっ ており,帰宅を目的とした利用者が多いと推測される.通勤・通学に対して帰宅は時間的な 分散があることも見受けられる.通勤・通学に対して帰宅は人によってばらつくためである と考えられる

休日は平日に比べ,乗降車人数も運行本数も少ない.また,極端なピーク時間も確認で きない.その中で,6 時頃から乗降車人数が増え始め,8 時頃から一定となり,17 時頃から

(22)

18時頃まで緩やかに増加しながらピークを迎え,以降は減少し続けている.

平日の出発本数と乗車人数を比べてみると,朝のピーク帯に対する昼間の分布の比率が 大きく異なることがわかる.乗車人数に対して,出発本数はピークを過ぎても極端な減少 が起きていない.このことから,昼間は朝夕のピーク帯に比べて乗車率が低いことが窺え る.

4.2 利用回数の分布

図4.2に,移動履歴データを対象として,カードIDごとに集計したバスの利用回数の分 布を示す.データ数が多く,右に裾が長い分布であるため,図は上限 100 回までのもので ある.表4.1に集計結果に対する代表値を示す.

図 4.2 バス利用回数の人数分布

表 4.1 バス利用回数の代表値 代表値 値

最高値 12863

最頻値 2

平均値 106.13

分散 7717.28

中央値 20

(23)

図4.2より,利用回数が2回の人が最も多く,回数が増えるごとに人数が減少する分布と なっている.

利用回数が 100 回のときの人数の累積度数が0.8 に近い値となっており,多くの人の年 平均利用回数は15 から20 回程度に収まることがわかる.それに対し,延べ人数の累積度 数は0.2に満たない値となっており,慣習的に利用する人が乗車数全体の多くを占めること がわかる.

人数の分布を見ると,利用回数が偶数のときに人数が多くなるように上下に振動してい る.このことから,バス利用は偶数回利用する人が多いことが分かり,往復路としてバス を利用している人が多いことが推測できる.

上記を踏まえ,往復路の抽出を行う.ある移動履歴の ODに対し,同日内で ODが逆と なっている移動履歴が存在した場合,その2つの移動履歴を 1つの往復路としての利用と する.降車データが存在しないバス区間に対しては,同経路内に存在する 2 つの停留所を 乗車していた場合に往復路とする.図4.3に往復路の利用回数についてカードIDごとに集 計したとき人数分布を示す.図4.4にカードIDごとに集計した移動履歴から,往復路とし ての利用と判定されたものを除いたものの人数分布を示す.

図 4.3 バスの往復路利用回数の人数分布

図4.3より,往復路での利用は1回が最も多く,回数が増えるごとに人数が減少する分布 となっている.累積度数に関して,図4.2では利用回数が100回で0.8に近い値となってお

(24)

り,図4.3では50回で0.8に近い値となっているため,往復路として利用する割合はバス の利用回数には依らないことがわかる.

図 4.4 バスの単体利用回数の人数分布 図4.4より,図4.2と同様な傾向が見られる.

(25)

第 5 章 バス運行の分類

本章では,バス停間個別データを用いてバス事業者ごとにネットワークを構築し,スケ ールフリー性の観点からネットワークの分析・比較を行う.その結果,大きく 2 つに分類 できることを示す.

5.1 スケールフリーネットワーク

次数分布がべき則に従うネットワークをスケールフリーネットワークという[8][9][10].

次数分布がべき則に従うとは,次数𝑘を持つ頂点の割合が𝑘−𝛾に比例することである.

例えば,現実社会の人間関係において,大多数の人の友人は数名であるが,友人の数が 周囲に比べて傑出して多い人物がいる[11].ネットワークとして人をノード,友人関係をリ ンクとした場合,一部のノードが傑出した数のリンクを持つということである.WWW 上 のページとリンクの関係でも同様の傾向が窺える.このようにリンク数が傑出している頂 点をハブと呼び,ネットワーク内で重要な存在となる.

図 5.1 スケールフリーネットワーク

(26)

図 5.2 スケールフリーネットワークの次数分布

スケールフリー性を満たさないグラフとして,完全グラフなどがある.𝑛点の頂点間のす べてに枝が張られているため,すべての頂点の次数は𝑛 − 1であり,スケールフリー性を満 たさないことがわかる.

5.2 次数分布

路線網をスケールフリー性の観点から分析するために,バス停間個別データを用いてネ ットワークを構築し,停留所の次数を調べ,事業者ごとにどのような分布になるか比較を 行う.図5.3に次数分布を示す.停留所の次数は,連結している停留所の数ではなく,停留 所間の運行1つに対して,発着の両方の停留所で次数を数える.ただし,観光用等で特別 に用意されたような路線は,停留所数と運行本数が極端に少ないため,スケールフリー性 を当てはめるためには十分な規模のネットワークを構築していない.

図 5.3 バス事業者別次数分布

(27)

図5.3を見ると,図5.2で示したスケールフリー性を持つような次数分布を示すネットワ ークがあることが確認できる.対照的に,ネットワーク内で次数の格差がほとんどなく,

多くの停留所が最大次数であるようなネットワークも見られる.

5.3 累積次数分布

図5.4に累積次数分布を,表5.1に累積次数分布曲線の右下部面積を示す.右下部面積は,

すべての停留所の次数が同じであれば0.5となり,値が大きい程スケールフリー性があるこ とを意味する.

図 5.4 バス事業者別累積次数分布

(28)

表 5.1 累積次数分布曲線の右下部面積

事業者名 面積 事業者名 面積 千葉内陸バス 0.8988 京浜急行バス 0.7750 東武バスセントラル 0.8784 ちばレインボーバス 0.7745 西東京バス 0.8500 国際興業 0.7698 平和交通 0.8416 東京都交通局 0.7663 船橋新京成バス 0.8262 団地交通 0.7654 関東バス 0.8181 東急バス 0.7648 東京ベイシティ交通 0.8128 ちばグリーンバス 0.7630 箱根登山バス 0.8101 川崎市交通局 0.7602 千葉中央バス 0.8082 相模電鉄 0.7574 富士急山梨バス 0.8057 立川バス 0.7474

西武バス 0.7999 江ノ島電鉄 0.7450

神奈川中央交通 0.7924 日立自動車交通 0.7343 京王電鉄バス 0.7906 習志野新京成バス 0.7306 ちばシティバス 0.7870 京成タウンバス 0.7247 川崎鶴見臨港バス 0.7839 伊豆箱根バス 0.7232 横浜市交通局 0.7824 相鉄バス 0.7163 千葉海浜交通 0.7820 松戸新京成バス 0.6803 小田急バス 0.7816 市川交通自動車 0.6729 京成バス 0.7807 フジエクスプレス 0.6647 多摩バス 0.7755 JRバス関東 0.5391

(29)

5.4 比較

表5.1の値を基にネットワークの比較を行う.値が比較的小さい立川バスのネットワーク を図5.5に,その次数分布を図5.6に示す.また,ネットワークの規模が同程度で,大きい 値を示した船橋新京成バスのネットワークを図5.7に,次数分布を図5.8に示す.

図 5.5 立川バスのネットワーク

図 5.6 立川バスの次数分布

(30)

図 5.7 船橋新京成バスのネットワーク

図 5.8 船橋新京成バスの次数分布

図5.5と図5.7を比較すると,前者は一部で格子状のネットワークを構築しているのがわ かる.また,中央下部ではネットワークがかなり密となり,高次数の停留所が多くあるこ とが窺える.後者は中央に高次数のハブとなる停留所が存在することがわかる.また,単 一の路線が長く,路線の交差が少ない.連結している停留所が 2 つしかないような停留所 が多く存在することがわかる.

次に,上記2つより規模の大きいネットワークについて図5.9と図5.11に示す.また,

それぞれの次数分布を図5.10と図5.12に示す.

(31)

図 5.9 東急バスのネットワーク

図 5.10 東急バスの次数分布

(32)

図 5.11 西東京バスのネットワーク

図 5.12 西東京バスの次数分布

図5.9と図5.11を比較すると,図5.5と図5.7を比較した際の特徴がさらに顕著に見ら れる.前者は首都圏都心部に位置し,右上端には都心部を持ち,かなり大規模なオフィス 街と繁華街がある.また,中央から下側には副都心部が広がっている.後者は,右端に都 心部へのアクセスが可能な鉄道駅があるが,左上に行くに連れて郊外や山岳部となってい る.

最後に累積次数分布曲線の右下部面積を地域性の観点から見る.

(33)

図 5.13 次数分布の地域性

図5.13は,対象データの全事業者を表5.1の順番に基づいて色分けしたものである.色 が黒い程,表5.1の値がより大きいネットワークである.都心部に白い色が分布し,外側に 向かって次第に黒くなっていることがわかる.図5.11の地域と同様に,ハブを持ち,その ハブからさらに郊外に向かうネットワークを形成していることがわかる.

(34)

5.5 分類

5.4節で挙げたネットワークを代表とし,特徴から以下の2種類に分類する

 分散型 : 東急バスに代表されるようなネットワーク - 比較的密なネットワークを形成している

- 特別区の都心・副都心地域に多く見られる

- 格子状に展開しており,ネットワーク内に複数のハブを持つ

 集中型 : 西東京バスに代表されるようなネットワーク

- 特定の 1 つ,もしくは非常に近い複数の停留所をハブとするようなネッ トワークを構築している

- ハブを都心部方面に持ち,郊外に向かって扇状に展開している - ハブは鉄道駅や商業施設等があり,生活拠点となっていることが多い

(35)

第 6 章 バス路線の分析

本章では,5.5節で分類したバス路線のネットワークに対して,それぞれの特徴に注目し て分析を行う.またネットワークの特徴から課題を見つけ,その解決策を提案して,評価 を行う.

6.1 分散型ネットワーク

6.1.1 分散型ネットワークの分析

分散型ネットワークの代表として東急バスを用い,ネットワークの分析を行う.

バス停間個別データを用いて構築したネットワークを図6.1に示す.対象期間は2012年 の4月2日である.

図 6.1 東急バスのネットワーク(2012年4月2日)

5.4節で述べたように,比較的密で利用に極端な偏りがないネットワークである.しかし,

必要以上に密であることで,停留所間が短すぎる,経路が冗長である可能性がある.

(36)

6.1.2 距離と所要時間の関係

停留所間は必ずしも直線的ではなく,交差点での右左折や蛇行が含まれている.停留所 間の距離が同じであっても,右左折や蛇行が多ければ所要時間も多く必要とする.そこで,

所要時間と停留所間の直線距離に対して線形回帰分析を行い,距離と所要時間の関係を明 らかにする.それにより,停留所間がより直線的であるかを判断することができる.

直線的であるとは,右左折や蛇行が少なく,時間に対して妥当な距離を走行できること を言う.基点からの最短経路木に選ばれた枝を対象とする.基点は連結するネットワーク 内で乗車人数が最多な停留所とする.

停留所𝑖と𝑗の運行所要時間𝑡𝑖𝑗を目的変数,停留所間のユークリッド距離𝑑𝑖𝑗を説明変数する.

回帰式は

𝑡𝑖𝑗 = 𝛼 + 𝛽𝑑𝑖𝑗 となり,回帰分析[12]を行う.その結果,

𝛼 = 25.446 𝛽 = 0.201

となった.𝑡𝑖𝑗の単位が秒,𝑑𝑖𝑗の単位がメートルであることから,𝛽は秒速メートルの逆数と なる.つまり,バスは,停留所間を直線移動に換算して,秒速5メートル(=時速18キロメ ートル)で走り,停留所での減速や停止により25秒程度かかっていることになる.信号機 による停止や右左折,蛇行があるため,実際はこれよりも速い速度で運行は行われている.

6.1.3 OD 間での迂回

次に最短経路の評価を行う.上述した回帰係数は枝のある停留所間についてのものであ った.これをOD間に適用し,OD間での経路の迂回具合を調べる.ネットワーク内におい て,OD間の最短経路上の枝集合を𝐸𝑂𝐷とすると,最短経路時間は

𝑇𝑂𝐷= ∑ 𝑡𝑖𝑗 (𝑖,𝑗)𝜖𝐸𝑂𝐷

となる.𝐸𝑂𝐷の枝すべての所要時間が,回帰直線上にあると仮定すると(これを平均的と呼 ぶ),最短経路時間は

𝑇̂𝑂𝐷= ∑ 𝛼 + 𝛽𝑑𝑖𝑗 (𝑖,𝑗)𝜖𝐸𝑂𝐷

= |𝐸𝑂𝐷|𝛼 + 𝛽 ∑ 𝑑𝑖𝑗

(𝑖,𝑗)𝜖𝐸𝑂𝐷

であり,𝑇𝑂𝐷= 𝑇̂𝑂𝐷のとき,経路は平均的な交通状況であるといえる.また,𝑇𝑂𝐷> 𝑇̂𝑂𝐷のと き,最短経路は平均的ではなく,迂回が多いことを意味する.𝑇𝑂𝐷> 𝑇̂𝑂𝐷である経路のイメ ージを図6.2 示す.図6.3に,すべての停留所における 𝑇𝑂𝐷と𝑇̂𝑂𝐷の関係を示す.図中の赤 線は45度線である.

また,出発駅・目的駅以外の途中駅での停止時間を考慮しない最短経路時間を

(37)

𝑇𝑂𝐷 = 𝛼 + ∑ 𝛽𝑑𝑖𝑗

(𝑖,𝑗)𝜖𝐸𝑂𝐷

とする.𝑇𝑂𝐷と𝑇𝑂𝐷 の関係を図6.4に示す.

図 6.2 直線的でない経路のイメージ

図 6.3 𝑻𝑶𝑫と𝑻̂𝑶𝑫の関係 図 6.4 𝑻𝑶𝑫と𝑻𝑶𝑫 の関係

図 6.3を見ると,45度線に沿って分布している経路が多くある中で,右側に大きくはみ 出している経路がある.またそれらは連続しているように見える.これは,特定の路線に おいて,迂回が多く起こっているためである.

(38)

6.1.4 迂回

上述した極度の迂回が起こっている地域について調査する.平面のネットワークに 𝑇𝑂𝐷 /𝑇𝑂𝐷の値をとった分布を図6.5に示す.

図 6.5 東急バスのネットワークの迂回地域

図6.5を見ると右上部に高い値となっている停留所が密集していることがわかる.また,

左方の停留所でも一部値が高くなっているところが見られる.右上部の詳細を図6.6に示す.

図 6.6 右上部の詳細

図6.6左図の黄色に色付けされた路線は.循環バスであり,また同じ停留所間を2回通る など,複雑な運行をしていた.そのため,迂回度合が高くなったと考えられる.

(39)

6.1.5 領域面積を基準とした停留所の削減と評価

稠密であるネットワークにおいて,停留所間が非常に短いところがある.そのような停 留所は,最寄であるとして選択する利用者が分布する地域が狭く,近接する停留所を代替 としても十分にネットワークが機能する.そのような停留所は,余計な運行コストを生み 出しており,削減することで運行コストを抑えられる.

停留所の削減から運行コストの削減を考える.停留所の領域をボロノイ領域から決定し,

領域面積が最も小さい停留所から順に削減していく.1駅を削減したら枝を張り直し,運行 コストを再計算する.それを300回繰り返して領域面積の分布と運行コストの推移を見る.

枝を張り直しは,削減する停留所の次数によって以下のように行う.

 次数が1の場合

- 停留所とその停留所が持つ枝を削除する

図 6.7 枝の張り直し(次数が1の場合)

 次数が2の場合

- 連結している2つの停留所間に枝を張る

図 6.8 枝の貼り直し(次数が2の場合)

(40)

 次数が3以上の場合

- 連結している停留所の中で最も次数が高い停留所を選ぶ - 選んだ停留所からそれ以外の停留所に対して枝を張る

図 6.9 枝の張り直し(次数が3以上の場合)

張り直しを行った枝のコストは,枝の両端の停留所のユークリッド距離と6.1.2節で述べ た線形回帰係数を用いて計算する.

図6.10に停留所削減前のボロノイ図を,図6.11から図6.13に削減された停留所と再計 算されたボロノイ図を示す.赤が削減された停留所を表す.

図 6.10 東急バス ボロノイ図

(41)

図 6.11 東急バス ボロノイ図(100駅削減)

図 6.12 東急バス ボロノイ図(200駅削減)

(42)

図 6.13 東急バス ボロノイ図(300駅削減)

図6.10から図6.13を見ると,停留所が密集している地域から優先的に削減されているこ とがわかる.また,非常に小さいボロノイ領域が少なくなり,新たに過度に大きくなった ボロノイ領域は確認されない.

図 6.14に領域面積の分布を示す.領域面積は 50ごとに集計した.凸包にある点は含ま れない.また,凸包に含まれないが,それに近い位置にある停留所はボロノイ領域が広い ため,上限を1500とした分布を図6.15に示す

(43)

図 6.14 領域面積の分布

図 6.15 領域面積(1500まで)

図6.15を見ると,停留所を削減するごとに,領域面積が小さい停留所が減り,領域面積 が300(≒半径270mの円)程度の領域面積の停留所が増えている.削減された停留所の領 域を周囲の停留所に分散させたことがわかる.300駅削減しても極端に利便性が低下するこ とはないことがわかった.

(44)

図6.16に運行コストの推移を示す.運行コストはネットワーク内の枝の総コストとする.

利便性との比較を行うため,停留所を削減する前の領域面積の四分位数(Q1,Q2,Q3 と する)を基準に,その値より大きい領域面積を持つ停留所の割合を示す.

図 6.16 停留所の削減と運行コストの関係

図6.16を見ると,停留所を削減すると運行コストが下がることがわかる.割合(Q1)の推 移が 1 に近づいていき,初期段階で非常に密集していた停留所がかなり少なくなっている ことがわかった.それに対して,割合(Q3)は微増に収まっているため,不便な停留所がそ れほど増大していないことがわかった.停留所の削減は停留所間の距離が長くなるため利 便性が下がる怖れがあるが,運行コストが下がったことで運行頻度を上げることができ,

適切な運行により利便性が低下することはない.

(45)

6.2 集中型バス路線

6.2.1 集中型バス路線の分析

集中型ネットワークの代表として西東京バスを用い,ネットワークの分析を行う.

バス停間個別データを用いて構築したネットワークを図 6.17 に示す.対象期間は 2012 年の4月2日である.

図 6.17 西東京バスのネットワーク(2012年4月2日)

西東京バスのネットワークについて分析を行う.5.4節で述べたように,図中右下部等に ハブとなる停留所があり,そこから扇状にネットワークが展開している様子が見える.

6.2.2 領域面積を基準とした停留所の評価

6.1.3節と同様に,集中型のネットワークに対しても領域面積により停留所の評価を行う.

ハブにおける利用者数が傑出しているという特徴から,下記の手法により評価を行う.

(46)

加法的重み付きボロノイ図

加法的重み付きボロノイ図(Additively Weighted Voronoi diagram : AWV)は,母点に 重みが設定されているボロノイ図である[13][14].

2点𝑝, 𝑝𝑖の距離関数は2点間の距離𝑑(𝑝, 𝑝𝑖)と重み𝑤(𝑖)より 𝑑𝑖 (𝑝) = 𝑑(𝑝, 𝑝𝑖) − 𝑤(𝑖) と定義され,領域は

𝑉(𝑝𝑖 ) = {𝑝 | 𝑑𝑖(𝑝) ≤ 𝑑𝑗(𝑝), 𝑖 ≠ 𝑗 } で決定される.

𝑑𝑖 (𝑝) − 𝑤(𝑖) = 𝑑𝑗 (𝑝) − 𝑤(𝑗) の関係が成り立つため,

𝑑𝑖 (𝑝) − 𝑑𝑗 (𝑝) = 𝑤(𝑖) − 𝑤(𝑗)

となり,2点からの距離は2点の重みに対して一定となり,領域の境界線は2点を焦点とす る双曲線となる.

図 6.18 加法的重み付きボロノイ図の境界線

AWVは通常のボロノイ図と異なり,ネットワーク内の停留所選択において,時間的選択 性を表現できる.利用者が選択する停留所は,出発地からの最寄ではなく,目的地に対す る最短経路上である.

(47)

図 6.19 時間的選択性

図 6.20 に,西東京バスのネットワーク内の最も点数の多い連結グラフの経路コストと AWV を示す.停留所の重みは,基点からの経路コストとする.基点は,JR 八王子駅北口 とする.

図 6.20 西東京バスのAWV(基点:JR八王子駅北口)

図6.21に図6.20の右下部の拡大図を示す.

(48)

図 6.21 西東京バスのAWV(基点:JR八王子駅北口) 拡大図

図6.20と図6.21を見ると,領域面積の大きさは不均一で,領域を持たない停留所がある ことが確認できる.領域を持たない停留所はJR八王子駅北口を目的地とした場合に,最短 経路として選ばれない停留所であることを示す.

6.2.3 路線網構築

時間枠付き巡回セールスマン問題

集中型のネットワークは,ハブをひとつに定め,ハブに接続する枝の本数を定めること により,複数の路線を持つネットワークの構築を時間枠付き巡回セールスマン問題

(Traveling Salesman Problem with Time Window : TSPTW)として定式化する.停留所 の集合𝐴と停留所間の有向枝集合𝑉からなる有向グラフ𝐺 = (𝑉, 𝐴)と,停留所間のコスト𝑐 ∶

A → ℝから最短経路の巡回路を求める.また,停留所𝑖の出発時刻𝑡𝑖は,最早出発時刻𝑒𝑖と最

遅出発時刻𝑙𝑖の間でなければならない.

𝑒𝑖≤ 𝑡𝑖≤ 𝑙𝑖 ∀𝑖 = 1,2, … , 𝑛 基点(𝑖 = 1)において,𝑒𝑖 = 0, 𝑙𝑖 = ∞とする.

停留所𝑗を出発する時刻𝑡𝑗は,直前の停留所𝑖の出発時刻に停留所間のコスト𝑐𝑖𝑗を加えた値 以上でなくてはならない.

𝑡𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑀(1 − 𝑥𝑖𝑗) ≤ 𝑡𝑗 ∀𝑖, 𝑗: 𝑗 ≠ 1, 𝑖 ≠ 𝑗

𝑥𝑖𝑗は停留所間𝑖𝑗の枝が使われたら1,それ以外なら0の0-1変数.𝑀は𝑥𝑖𝑗= 0の時に不等式 を満たせるような十分大きな定数である.しかし,𝑀に適当な値を設定することは,制約式 をできるだけ強くしたい数理計画問題において適しているとは言えない.そこで,時間枠 を用いる.𝑀は𝑥𝑖𝑗 = 0のときに

𝑀 ≥ 𝑡𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑡𝑗

(49)

となる.すべての実行可能解に対して上記式が成立しなければならない.𝑡𝑖≤ 𝑙𝑖かつ𝑡𝑗≥ 𝑒𝑗で あるので,𝑀 ≥ 𝑙𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑒𝑗となり,𝑀 > 0とするので,

𝑡𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− [𝑙𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑡𝑗]+(1 − 𝑥𝑖𝑗) ≤ 𝑡𝑖 ∀𝑖, 𝑗: 𝑗 ≠ 1, 𝑖 ≠ 𝑗 を得る.

最短距離の巡回路だけでなく,各停留所の到着時間も同時に求めるために目的関数に第2 項を追加して以下の定式化を得る.

minimize ∑ 𝑐𝑖𝑗𝑥𝑖𝑗 𝑖≠𝑗

+ 𝛼 ∑ 𝑡𝑖 𝑖

subject to ∑ 𝑥𝑖𝑗

𝑗:𝑗≠𝑖

= 1 ∀𝑖 = 1,2, … , 𝑛

∑ 𝑥𝑗𝑖 𝑗:𝑗≠𝑖

= 1 ∀𝑖 = 1,2, … , 𝑛

𝑡𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− [𝑙𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑡𝑗]+(1 − 𝑥𝑖𝑗) ≤ 𝑡𝑖 ∀𝑖, 𝑗: 𝑗 ≠ 1, 𝑖 ≠ 𝑗

𝑥𝑖𝑗 ∈ {0,1} ∀𝑖, 𝑗: 𝑖 ≠ 𝑗

𝑒𝑖≤ 𝑡𝑖≤ 𝑙𝑖 ∀𝑖 = 1,2, … , 𝑛

目的関数の第2項の係数𝛼は解を一意に定めるためのもので,第1項を邪魔しない程度の 小さい値である.また,ポテンシャル制約と上下限制約は,持ち上げ操作により以下のよ うになる.

𝑡𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− [𝑙𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑡𝑗]+(1 − 𝑥𝑖𝑗) + [𝑙𝑖− 𝑒𝑗+ 𝑚𝑖𝑛{−𝑐𝑖𝑗, 𝑒𝑗− 𝑒𝑖}]+𝑥𝑖𝑗≤ 𝑡𝑖 ∀𝑖, 𝑗: 𝑗 ≠ 1, 𝑖 ≠ 𝑗 𝑒𝑖+ ∑[𝑒𝑗+ 𝑐𝑗𝑖− 𝑒𝑖]+𝑥𝑗𝑖

𝑗≠𝑖

≤ 𝑡𝑖 ∀𝑖 = 2, … , 𝑛

𝑡𝑖≤ 𝑙𝑖+ ∑ [𝑙𝑖+ 𝑐𝑖𝑗− 𝑙𝑗]+𝑥𝑗𝑖 𝑗≠1,𝑖

∀𝑖 = 2, … , 𝑛

経路数と終着駅の設定

上記の定式化は,1つの閉路ですべての停留所を通るネットワークを構築する.基点とな る停留所は存在するが,多くの路線と繋がっている次数の高いハブは存在しない.ハブを 再現するために,上述の定式化を変更し,ハブの次数𝑚を任意に与える.制約式の1つ目と 2つ目は,

(50)

∑ 𝑥1𝑗 𝑗:𝑗≠𝑖

= 𝑚

∑ 𝑥𝑖𝑗 𝑗:𝑗≠𝑖

= 1 ∀𝑖 = 2, … , 𝑛

∑ 𝑥𝑗1 𝑗:𝑗≠𝑖

= 𝑚

∑ 𝑥𝑗𝑖 𝑗:𝑗≠𝑖

= 1 ∀𝑖 = 2, … , 𝑛

となる.

上記の式にて路線網の構築は可能であるが,集中型ネットワークとして,扇状であるこ とが特徴としてある.下り線として扇の先端まで直線的に行き,そこから折り返して上り 線となるような運行をしている(図6.22).そのため,閉路という環状の路線はあてはまら ない.そこで,次数1の停留所を終着駅とし,そこから基点へのコストが0の枝を追加す る.

図 6.22 終着駅について

(51)

結果

図6.23に連結ごとの基点を示す.基点は連結する停留所内で乗車人数と降車人数の和が 最も多い停留所である.バス停間個別データに出現しない停留所と,連結する停留所数が 少ないグラフについてはネットワークの構築を行わない.

図 6.23 ネットワークの基点

構築したネットワークを図6.24と図6.25に示す.終着駅と基点間のコスト0とした枝は 描画していない.

図 6.24 構築したネットワーク

(52)

図 6.25 構築したネットワーク 拡大図

図6.25を見ると,図中左部に,終着駅と基点間の枝が選択され,閉路ではなく折り返し ができるような経路が構築されていることがわかる.

図6.26に,元のネットワークと新たに構築したネットワークで比較する.基点から,各 頂点への最短経路コストの関係を示す.図中の赤線は45度線である.

図 6.26 構築したネットワークとの経路コストの比較

図6.26を見ると,各停留所において経路コストが小さくなっていることがわかる.45度 線と平行して連なって分布している停留所は,元のネットワークにおいても連なっていた 停留所であり,連なりの最初の停留所までの経路が改善されたことがわかる.また,45 度 線に対して直交するように連なって分布している停留所は,図6.27に示すような連なる停 留所の両端どちらを選ぶかによるものであると考えられる.

(53)

図 6.27 連なる停留所の両端の選択について

6.2.4 基点を出発する時刻の決定

6.2.3節で構築したネットワークについて,基点から出発する頻度の決定を行う

利用者人数分布から需要の決定

バスICカードデータは,バスの発着時の乗降車人数が記載されているが,それ以外の時 間における利用者についてのデータは存在しない.そのため,需要は離散時間で発生して いることとなる.需要の発生を連続時間として扱うために利用者人数分布の多項式近似を 行う.

近似にはYule-Walker方程式[15]を用いる.Yule-Walker方程式は,自己回帰モデルのパ

ラメータの推定法で,時系列データ𝑥1, … , 𝑥𝑁は自己回帰モデル 𝑥𝑡= 𝑐 + ∑ 𝑎𝑖𝑥𝑡−𝑖

𝑀

𝑖=1

+ 𝜀𝑡𝜀~𝑁(0, 𝜎2)

に従うとする.

データ発生確率は

𝑝(𝑥𝑡|𝑎𝑖, … , 𝑎𝑀, 𝜎2, 𝑥𝑡−1, … , 𝑥𝑡−𝑀) = 1

√2𝜋𝜎2𝑒𝑥𝑝 [− 1

2𝜎2(𝑥𝑠− ∑ 𝑎𝑖𝑥𝑡−𝑖

𝑀

𝑖=1

)

2

]

となる.𝑥1, … , 𝑥𝑁の発生確率

𝑝(𝑥1, … 𝑥𝑁|𝑎1, … , 𝑎𝑀, 𝜎2) = 𝑝(𝑥1, … 𝑥𝑀|𝑎1, … , 𝑎𝑀, 𝜎2) ∏ 𝑝(𝑥𝑡|𝑎1, … , 𝑎𝑀, 𝜎2)

𝑁

𝑡=𝑀+1

を尤度関数とし,最大化するパラメータ𝑎𝑖, … , 𝑎𝑀, 𝜎2を求める.

上記の近似によるパラメータの評価を行うためにAIC(Akaike's Information Criterion : 赤池情報量規準)[16 ][17]を用いる.AICはモデルの当てはまり度を表す統計量で

(54)

𝐴𝐼𝐶 = −2 log 𝐿 + 2𝑘

で定義される.𝐿は最大尤度,𝑘はパラメータ数である.𝐴𝐼𝐶が小さい程良いモデルであると 言える.回帰分析を行う際,モデルの次数が高ければ高い程,推定値の絶対値は小さくな り,誤差も吸収してしまう恐れがあるため,第 2 項にて次数の上がりすぎを抑制する.図 6.28に次数と𝐴𝐼𝐶の関係を示す.

図 6.28 𝐴𝐼𝐶の推移と最小値

𝐴𝐼𝐶が最小となるようなパラメータによる近似推定値を図6.29と図6.30に示す.

図 6.29 JR八王子駅北口の 需要分布と推定値

図 6.30 武蔵五日市駅の 需要分布と推定値

図6.29を見ると,実測値のノイズが打ち消され,滑らかな分布を描いているのがわかる.

図6.30を見ると,運行間隔が広く,分布が上下していたが,近似により吸収できた.

尤度関数により,近似式を用いても総和の数はほとんど変わらない.負の値については,

全体に対して大きくないのでゼロとする.

次に,近似により得た停留所ごとの利用者の分布について,各経路に沿って集計をする.

(55)

経路の終着駅から基点の駅に向かう場合を考える.

各停留所の始発駅からの経路時間はわかっている.経路上の途中駅は,需要分布を始発 駅からの経路時間分だけ前にずらす.そうすることで,始発駅から終着駅までの経路上の 需要分布が始発駅にいる段階で得ることができる.

図 6.31 途中駅の需要分布

動的計画法

動的計画法を用いて基点を出発する頻度の決定を行う.時刻𝑡 = 1,2, … , 𝑇をステップとし,

停留所で待っている人数𝑛を変数とする.𝑓(𝑡, 𝑛)は,時刻𝑡で停留所に𝑛人が待っていること を初期状態とした部分問題に対して,時刻𝑇まで運行した際に達成できる最小のコストであ る.𝑑(𝑡)を時刻𝑡における需要(人数)とする.これは,データから作成した経路の需要分 布を時間幅(本研究では5分)ごとに集計した値である.また,𝑡 = 𝑇を最終便の出発後の 停留所とし,𝑑(𝑇) = 0とする.

停留所での利用者の待機コストを𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡,バスを運行するためにかかる運行コストを

𝐶𝑣𝑒ℎ𝑖𝑐𝑙𝑒,最終便に乗れなかった利用者のコストを𝐶𝑚𝑖𝑠𝑠とし,バスの定員を𝐶𝐴𝑃とする.

時刻𝑡において停留所にいる人数は,停留所で待っている人数𝑛と新たに停留所に来る人 数𝑑(𝑡)の和

𝑛 + 𝑑(𝑡)

となる.時刻𝑡 + 1まで停留所に待たされる人数は,バスが出発しない場合は𝑛 + 𝑑(𝑡)であり,

バスが出発する場合はそこから上限𝐶𝐴𝑃だけバスに乗り込む.人数が0を下回ることはない ので,

[𝑛 + 𝑑(𝑡) − 𝐶𝐴𝑃]+ となる.

時刻𝑡において発生するコストは,バスが出発しない場合は (𝑛 + 𝑑(𝑡))𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡

となる.バスが出発する場合は,停留所に待たされる利用者の待機コストに加えて運行コ ストがかかり,

(56)

[𝑛 + 𝑑(𝑡) − 𝐶𝐴𝑃]+𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡+ 𝐶𝑣𝑒ℎ𝑖𝑐𝑙𝑒 となる.時刻𝑇では,最終便に乗れなかった利用者のコスト

𝑛𝐶𝑚𝑖𝑠𝑠 が発生する.

時刻𝑡 = 1,2, … , 𝑇に停留所で待っている人数を𝑛𝑡とし,以下のように定式化する.

minimize 𝐶𝑣𝑒ℎ𝑖𝑐𝑙𝑒∑ 𝑥𝑡

𝑇

𝑡=1

+ ∑ 𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡𝑛𝑡

𝑇

𝑡=1

+ 𝐶𝑚𝑖𝑠𝑠𝑛𝑇

subject to 𝑥𝑡 ∈ {0,1} ∀𝑡 = 1, … , 𝑇

𝑛𝑡= [𝑛𝑡−1+ 𝑑(𝑡) − 𝐶𝐴𝑃𝑥𝑡]+ ∀𝑡 = 2, … , 𝑇

結果

図6.32と図6.39に,対象とした経路を示す.図6.33-6.38と図6.40-6.42には,表6.1 に示したコスト値により動的計画法を用いて作成した基点の出発時刻を,推定した需要分 布と併せて示す.経路1に対しては経路上の停留所の需要分布の最大値をそろえた図を並 べて示す.

表 6.1 コスト値

経路1 経路2

グラフ1 グラフ2 グラフ3 グラフ1 グラフ2 グラフ3

コスト名 コスト値

𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡 10 50 10 10 50 10

𝐶𝑣𝑒ℎ𝑖𝑐𝑙𝑒 500 500 2000 500 500 2000

𝐶𝑚𝑖𝑠𝑠 1000 1000 1000 1000 1000 1000

𝐶𝐴𝑃 40 40 40 32 32 32

(57)

図 6.32 経路1

図 6.33 経路1の運行と需要分布1-1 図 6.34 経路1の運行と需要分布1-2

図 6.35 経路1の運行と需要分布2-1 図 6.36 経路1の運行と需要分布2-2

(58)

図 6.37 経路1の運行と需要分布3-1 図 6.38 経路1の運行と需要分布3-2

図 6.39 経路2

図 6.40 経路2の運行と需要分布1

(59)

図 6.41 経路2の運行と需要分布2

図 6.42 経路2の運行と需要分布3

図6.33と図6.34を比較すると,運行本数は後者の方が多いことがわかる.後者の𝐶𝑤𝑎𝑖𝑡が 前者の5倍となっており,停留所で利用者をできるだけ待たせないような運行となってい

る.図6.35は𝐶𝑣𝑒ℎ𝑖𝑐𝑙𝑒が高くなっており,利用者を多少待たせてでも少ない本数での運行と

なっている.

(60)

第 7 章 結論

7.1 まとめ

本研究では,バスICカードデータを用いて首都圏バス運行の時空間ネットワークを構築 し,バスの運行と旅客流動を再現した.

3章では,時空間ネットワークの概要と構成要素について述べ,バス停間個別データを用 いた 1 日のバス運行を表す時空間ネットワークと,移動履歴データを用いた個人のバス利 用を表す時空間ネットワークを構築した.

4章では,1日におけるバスの運行本数と利用者の分布を示し,時間帯による利用実態の 違いについて分析を行った.また,利用者の利用頻度について調査し,バスを往復路とし て利用する利用者が多いことを示した.

5章では,バス事業者ごとにネットワークを構築し,スケールフリー性の観点から大きく 2つに分類できることを示した.

6章では,5章で分類したネットワークに対して,それぞれの特徴かに注目して分析を行 った.またネットワークの特徴から課題を見つけ,その解決策を提案して評価を行った.

7.2 今後の課題

今後の課題として,以下を挙げる.

1. より多角的なバス運行の分類

2. 地理的条件を加味した運行の分析や路線網の構築 3. 乗換時間等を考慮した出発時間の決定

4. 降車停留所の推定

5. 鉄道駅との関係

図  3.5  待ちリンク
図  3.10  個人の利用に関する時空間ネットワーク 3  図 3.8 を見ると,よく利用する停留所があることが確認できる.最頻で利用する停留所に 注目すると,経路が異なるが最終的な OD は同一であるような利用が窺える.  図 3.9 を見ると,図 3.8 と同様な傾向が窺えるが,利用している停留所数がより多い.左 上部にある停留所は,
図 4.2 より,利用回数が 2 回の人が最も多く,回数が増えるごとに人数が減少する分布と なっている.  利用回数が 100 回のときの人数の累積度数が 0.8 に近い値となっており,多くの人の年 平均利用回数は 15 から 20 回程度に収まることがわかる.それに対し,延べ人数の累積度 数は 0.2 に満たない値となっており,慣習的に利用する人が乗車数全体の多くを占めること がわかる.  人数の分布を見ると,利用回数が偶数のときに人数が多くなるように上下に振動してい る.このことから,バス利用は偶数回利
図  4.4  バスの単体利用回数の人数分布  図 4.4 より,図 4.2 と同様な傾向が見られる.
+7

参照

関連したドキュメント

これまでの推移を見てみると,前回 2005 年の国勢調査 からわずか 29 万人の増加となっており, 2005 ~ 2010 年 は過去最低の増減率 0.2

岡山市の地域拠点 の多くは鉄道 駅近辺 に位置しており、鉄道サービ ス範囲から 外れている地域拠点へはバス の幹線がサ

① 運行所要時間の短縮 @ バス停への鶏藩持爵題寵の正獲さ (容 だんご運転回数の減少 ④

これを過去の道路面積の割合と比較できればどの程度都市の中での道路の占める割合

図表9: フィールド調査の様子 (Aグループ、 B グループ) b

大戸ら [2] によって,モックアップ車両を用い た乗降速度に関する実験が行われている.この実験 によって得られた結果に車内の混雑による影響を

西行路線は千葉駅から秋葉原駅,新宿駅を経由して三鷹駅を結ぶ路線である.西行路線 の乗車人数を図 3.10 に,降車人数を図 3.11 に示す.図 3.10

まず都市財政にとって収入源となる個人市民税 は、納税者の減少に伴い現時点より 減少す ると推定された。一方で、固定資産税の推定結果