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停留所密度及び天気から見た首都圏公共バス交通の 遅れの傾向

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卒業研究論文

停留所密度及び天気から見た首都圏公共バス交通の 遅れの傾向

09D8104028G

大谷 瑛佑

中央大学理工学部情報工学科 田口研究室

2016

3

(2)

あらまし

本研究ではバスICカードのデータを元にバスの運行ルートの時空間ネットワークを

MicroAVSで描画する.そして、停留所間に生じる遅れの原因を停留所間の密度や天気、地

域、時間帯に注目して傾向を調べる.

キーワード: バス遅延,ICデータ,時空間ネットワーク,MicroAVS.

(3)

目次

第1章 はじめに……….……….1

第2章 使用するデータの概要……….……….2

2.1 バスICデータ………..2

2.1.1 バス停間個別データ……….……….2

2.1.2 停留所情報データ………..3

2.1.3 使用するデータの年月日……….……….3

3章 遅れ時間……….………..……….4

3.1 運行遅れ時間の算出方法..…….……….……….4

3.2 外れ値の変更方法……….……….…….…………..4

3.2.1 起点を含まないバス停間における停車時間の外れ値の検出….….………5

3.2.2 上流停留所停車時間を考慮しない遅れ時間の算出…..………5

4章 時空間ネットワーク……….………..………….6

4.1 時空間ネットワークの構築………...………..6

4.2 各天気の時空間ネットワーク………...……….…….7

4.3 考察………...………...……..13

5章 停留所間の密度と遅れの特徴………..……….…………..14

5.1 密度Aと密度Bの算出方法……….14

5.1.1 他の停留所との直線距離から算出する密度A………….…………..……….14

5.2.2 バスの運行ルートから算出する密度B………14

5.2 ネットワークから見た密度………..……….16

5.3 平均の遅れ時間との比較………..……….18

5.4 密度と遅れ時間の散布図………..……….22

5.5 遅れ時間が大きい停留所間の特徴………..……….25

5.6 考察………..……….29

6章 結論……….………30

6.1 まとめ……….………..30

6.2 今後の課題……….………..30

謝辞……….………31

参考文献……….………32

(4)

第1章 はじめに

バスは道路の交通状況や停留所での停車時間などによって目的地までの所要時間が変わ ってしまい,他の公共交通機関と比べて時刻表通りの運行が難しい.

本研究では首都圏のバスのICカードのデータを用いてバスの遅れの傾向と原因について 考察する.まず,首都圏のバスの1日の運行ルートを時空間ネットワークで表し,バスの 遅れの大まかな特徴を分析する.そしてバスの運行ルートの停留所間の密度と遅れ時間の 関係や,天気,時間帯,地域ごとの遅れ時間の特徴をまとめて遅れの傾向や原因について 分析していきたい.時空間ネットワークを描画するさいには,描画ソフトウェアの MicroAVSを使用する.

(5)

2

使用するデータ概要

2.1

バス

IC

データ

本研究では,2012年のバスICカードのデータを用いる.この首都圏のバスICデータで は一般路線バスの通常のバスと,深夜バスが対象となっており,提供データからバス停間 個別データ,停留所情報データを利用する.

2.1.1

バス停間個別データ

バス運行ルート毎に停留所間単位で,通過時刻,所要時間,乗車人員を示したものであ る.毎日,各バス事業者に対してデータが存在する.

05:00:00~22:59:59以外に走行しているバスはデータ提供対象外とされ,5時より前に始 点を発車したバスは,5時を過ぎた時に位置する停留所のデータから提供対象となっている.

使用したデータは以下の通りである.

・事業者ID ・事業者系統ID

・バス停間番号 ・上流停留所ID(停留所情報データの停留所IDと対応している)

・上流停留所通過時刻 ・上流停留所停車時間

・下流停留所通過時刻 ・下流停留所ID(停留所情報データの停留所IDと対応している)

・運行遅れ時間

データ提供元のバス事業者は以下の通り

・京成バス ・船橋新京成バス

・習志野新京成バス ・松戸新京成バス

・千葉中央バス ・東京ベイシティ交通

・千葉海浜交通 ・千葉内陸バス

・ちばレインボーバス ・ちばグリーンバス

・ちばシティバス ・平和交通

・あすか交通 ・東京都交通局

・東急バス ・京王電鉄バス

・関東バス ・京王電鉄バス

・関東バス ・西武バス

(6)

・国際興業 ・小田急バス

・東武バスセントラル ・立川バス

・西東京バス ・フジエクスプレス

・ジェイアールバス関東・日立自動車交通

・京成タウンバス ・京浜急行バス

・横浜市交通局 ・神奈川中央交通

・川崎鶴見臨港バス ・箱根登山バス

・伊勢箱根バス ・江の島バス横浜

・川崎市交通局 ・相鉄バス

2.1.2

停留所情報データ

バスICデータ内のすべての事業者で共通してバス停を定めており,各バス停の緯度経度 情報が記載されている.バス停は往路側のみ定義され復路側の経度緯度は往路側と同一と している.データを扱う際には緯度経度を直交座標に変換して使用する.

使用したデータの項目は以下の通り

・停留所ID ・経度(世界測地系に従った座標系) ・緯度

2.1.3

使用するデータの年月日

バス停間個別データと停留所情報データ共に2012年のものを使用した.月日は天気によ る差を比較するため2012年の平日の首都圏で1日中晴れ,曇り,雨だった月日を10日ず つ選択した.

選択した月日

・晴れ 44 412 57 516 1016 1022 1029 111 112 1113

・曇り 514 521 524 65 67 615 620 627 628 926

・雨 32 38 39 411 423 52 522 612 103 116

(7)

3

章 遅れ時間

本章では遅延時間について述べる

バスの遅延を分析する上で何をもって遅れとするかは重要であり,本研究で用いるバス 停間個別データでは各停留所時間に設定された時間から実際の運行時間がどれだけずれた かを遅れ時間としている.

3.1

運行遅れ時間の算出法

運行実績と想定運行より遅れを算出する.運行実績とはバス停間個別データの項目であ り上流停留所停車時間と道路所要時間を指す.想定運行とは系統運行情報データの項目で あり基本時間として定義される.起点発車時間帯別に各停留所間を運行するのにかかると 予想される時間が記載されている.

遅れ時間の計算式

想定所要時間-(道路所要時間+上流停留所停車時間)=-運行遅れ時間 想定運行 運行実績

想定所要時間300秒 想定所要時間120 想定時間

停車時間0秒 停車時間0

道路所要時間600秒 道路所要時間50 運行実績

運行遅れ時間300秒 運行遅れ時間-70 3.1 遅れ時間のイメージ

3.2 外れ値の変更方法

バス停間個別データに記載された遅れ時間の値には一つのバス停間で10分以上の遅れが 発生している,外れ値になっている停留所間が稀に存在している.外れ値をそのままにし ておくと遅れの分析に影響が出るため値を変更したい.

外れ値の多くが起点から次の停留所の間に存在し,同時に上流停留所停車時間の値も外 れ値になっていることが多い.そのため,起点での停車時間が原因であると考えられる.

3.1節で述べたように,上流停留所の停車時間を用いて遅れ時間は算出される.バス停間

(8)

個別データには起点での停車時間が記載されているが,そもそも起点は駅などのバスが発 車待ちできる場所であり,乗客の乗り降りにかかる時間が外れ値となる程大きく運行に影 響を与えることはあまり考えられないことから,起点が上流停留所になっているバス停間 では遅れ時間の値を上流停留所停車時間を考慮しないものに変更する.

また,バスの系統によっては起点だけではなく路線の途中にある駅や病院などの停留所 で発車時刻を待つこともあり得るため,そのようなバス停間についても同様に遅れ時間の 値を変更する.

3.2.1 起点含まないバス停間における停車時間の外れ値の検出

起点を含まないバス停間の上流停留所停車時間の標準偏差を計算し,停車時間が標準偏差 2倍より大きい場合外れ値とする.

標準偏差算出には201242日データ内の全事業者ファイルを使用する.

計算の結果,標準偏差の2倍は29.8(秒)となり以降の章で外れ値を検出する際にはすべ てこの値を使用する.

3.2.2 上流停留所停車時間を考慮しない遅れ時間の算出方法

3.1節よりバスICデータに記載されている遅れ時間の定義は以下の通りである.

想定所要時間-(道路所要時間+停車時間) = -遅れ時間

これを停車時間を無視して想定所要時間と道路所要時間だけで遅れを定義したものにし たい.停車時間を右辺に移項し以下のように新しく遅れ時間を定義する.

想定所要時間-道路所要時間 = 停車時間-遅れ時間 = -遅れ時間(新)

この式から,起点を含む,または停車時間が外れ値として検出された停留所間の遅れ時 間,遅れ時間から停車時間を引いた値に変更する.

(9)

4

章 時空間ネットワーク

バスの1日の遅延状況を把握するためにバスの運行ルートの時空間ネットワークを構築 する.

時空間ネットワークはバスの路線を表したネットワークを時間方向に拡張した図で2.1.1 のバス停間個別データと2.1.2節の停留所情報データを用いる.リンクはバスの通過ごとに 定義し,その遅れ時間によって色分けされる.また,節点の座標は停留所の位置情報とバ スの発着時刻によって定義されている.

4.1

時空間ネットワークの構築

バス停間個別データには停留所間の通過ごとに上流停留所通過時刻と下流停留所通過時 刻が記載されており,時刻を午前 0 時を基準として秒数に直した値を使用する.ノードは 起点に対してだけ時間を上流停留所通過時刻で定義し,第 1 停留所以降の時間は下流停留 所通過時刻で定義する.すなわち,起点では発車時刻,それ以外の停留所では到着時刻に よって縦方向の位置を定義し,停留所での停車時間はリンクの長さに含む.

下流停留所通過時刻 時間

下流停留所通過時刻 上流停留所通過時刻

2停留所 位置

起点 第1停留所

4.1 時空間ネットワーク構築のイメージ

(10)

4.2

各天気の時空間ネットワーク

晴れ,曇り,雨の天気から1日ずつ選択して時空間ネットワークを構築し遅れ時間が発 生している地域の特徴を見つける.

遅れ時間はバス停間個別データの遅れ時間を,3章の遅れ時間の変更方法に基づいて修正 した値を用いる.

リンクの色分けの基準は,遅れ時間が60秒以下の地点は青,60~180秒の地域は緑,180

~240秒の地域は黄色,240秒以上の地域は赤とする.

4.2 時空間ネットワークの地域の振り分け

4.1は時空間ネットワークを真上から見た図であり,青色の円が千葉県周辺,オレンジ 色の円が埼玉県周辺,赤色の円が東京都周辺,緑色の円が神奈川県周辺である.

(11)

4.3 412日(晴れ)の時空間ネットワークを真上から見た図

4.4 514日(曇り)の時空間ネットワークを真上から見た図

(12)

4.5 423日(雨)の時空間ネットワークを真上から見た図

(13)

4.6 412日(晴れ)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川)

4.7 514日(曇り)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川) 千葉県周辺

東京都周辺 神奈川県周辺

埼玉県周辺

(14)

4.8 423日(雨)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川)

(15)

4.9 412日(晴れ)の時空間ネットワーク(手前が埼玉)

4.10 514日(曇り)の時空間ネットワーク(手前が埼玉)

埼玉県周辺 千葉県周辺

神奈川県周辺 東京都周辺

(16)

4.11 423日(雨)の時空間ネットワーク(手前が埼玉)

4.3 考察

どの日にちにおいても共通した運行ルートで1日を通して遅れが発生している箇所が存在し ていることがわかる.全体的に東京都周辺や神奈川県周辺で遅れが目立ち,埼玉県周辺は比較的 遅れが目立たないように見える.

(17)

5

章 停留所間の密度と遅れ時間の特徴

ある特定の停留所の一定の範囲内にどれだけ他の停留所が存在するかとその停留所の一 定の範囲内にどれだけバスが通過しているかについて,その特定の停留所周辺における密 度として数値化する.前者を密度A,後者を密度Bと定義する.

5.1 密度 A

と密度

B

の算出方法

5.1.1 他の停留所との直線距離から算出する密度 A

2.1.2節の停留所情報データより算出する.密度Aを求めたい特定の停留所を停留所a し,停留所aと他の停留所の経度と緯度をヒュベニの公式に代入し,停留所間の直線距離 を求める.

密度Aの初期値は0とし,停留所間の直線距離が一定の範囲内であれば密度Aの値を1 増加させる.これを停留所aと他のすべての停留所とで行い,最終的な値を停留所aの密 Aとする.

密度Aを増加させる一定の範囲内は,停留所aから歩いて行くには遠くバスを利用した くなる距離の最短を推定し750メートルとする.

ヒュベニの公式の計算式

D=√((M*dP)^2+(Ncos(P)*dR)^2)

M=6334834/√((1-0.006674*sin(P)*sin(P))^3) N=6377397/√(1-0.006674*sin(P)*sin(P))

D: 2点間の距離(m)

P: 2点間の平均緯度 dP: 2点間の緯度差 dR: 2点間の経度差 M: 子午線曲率半径 N: 卯酉線曲率半径

5.1.2 運行ルートが存在しているかに関する密度 B

2.1.1節のバス停間個別データと2.1.2節の停留所情報データより算出する.バス停間個 別データからバスの運行ルートを調べ,その運行ルートが密度Bを求めたい停留所aの一 定範囲内を通過したならば初期値0の密度Bの値を1増加したい.そのためには図5.1

(18)

ように停留所aとバスの運行ルートの全ての停留所との距離を比較し,停留所間が一定範 囲内のものと一定範囲外のものの両方があれば,運行ルートは特定の停留所の一定範囲内 を通過したことになる.

一定の範囲内は5.1.1節と同様に750メートルとし,停留所間の距離も同様にして求める.

バスの運行ルートは,平日中は日によって大きく変化しないと考えられるので,412 日の停留所間個別データを用いた.

密度Bを求めたい停留所a バスの運行ルートの停留所b~

バスの運行ルート 停留所の一定の範囲

b3 b1 b2

a

5.1密度Bのイメージ

5.1では停留所b1,b2は停留所aの一定範囲内にあり,停留所b3は一定範囲外にあるの でこのバスの運行ルートはaの密度B1増加させる.

(19)

5.2 ネットワークから見た密度

4章で構築した時空間ネットワークを元に,時間を考慮しない平面のネットワークを作成 し,数値化した密度をノード上に棒グラフで立てる.棒グラフの表示はMicroAVSの可視 化メソッドバーから3次元棒グラフの機能を用いて行う.

棒グラフは各リンクに立ち,各リンクのノードである上流停留所と下流停留所の密度の 平均を棒グラフの高さとする.

平面のネットワークは412日の停留所情報データを元に構築した.

5.2 平面のネットワーク

時空間ネットワークを上から見た図と同じである.

(20)

5.3 ネットワークにおける密度A

(21)

密度Aから停留所は東京都の東側とその南北や千葉県の幕張付近に集中していることが わかる.密度Bは東京都の西や神奈川の北東と千葉県の北が高くなっており,バスの系統 が多い箇所が多くなったと考えられる.

5.3 平均の遅れ時間との比較

5.2節で構築した平面のネットワークと密度A,Bの棒グラフについて,密度の棒グラフ の代わりに各停留所間の遅れ時間の平均値を棒グラフにしたものを立てて密度A,密度B の棒グラフと比較し遅れ時間の平均時間と密度の関係について考察する.

日にちは天気ごとに2日ずつ選択した.3章での遅れ時間の値変更により停車時間が原因 となっている外れ値は修正することができたが,走行時間が原因となっている外れ値はそ のままになっているので特定の棒グラフが高くなりすぎないように420秒を最大値として 設定している.

5.5 412日(晴れ)の平均遅れ時間

(22)

5.6 57日(晴れ)の平均遅れ時間

(23)

5.8 521日(曇り)の平均遅れ時間

5.9 423日(雨)の平均遅れ時間

(24)

5.10 52日(雨)の平均遅れ時間

密度Aで高いグラフが多い東京都周辺はどの天気においても遅れが目立つことがわかる.

また,雨の日は平面のグラフだと他の天気の日より高い棒グラフが多く遅れが多くなって いると考えられる.

(25)

5.4

密度と遅れ時間の散布図

遅れ時間と密度A,Bについて縦軸を密度,横軸を遅れ時間とした散布図のグラフを作成 して数値を直接比較する.

5.11 412日(晴れ)の遅れ時間と密度Aの散布図

5.12 412日(晴れ)の遅れ時間と密度Bの散布図 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

0 100 200 300 400 500 600 700

0 20 40 60 80 100 120

0 100 200 300 400 500 600 700

(26)

5.13 514日(曇り)の遅れ時間と密度Aの散布図

5.14 514日(曇り)の遅れ時間と密度Bの散布図 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45

0 100 200 300 400 500 600 700

0 20 40 60 80 100 120

0 100 200 300 400 500 600 700

(27)

7 5.15 4月23日(雨)の遅れ時間と密度Aの散布図

5.16 423日(雨)の遅れ時間と密度Bの散布図

遅れ時間が無い停留所間の方がデータの数は圧倒的に多いため,100秒以上遅延している 停留所間の遅れ時間と密度を比較した.

100秒から200秒付近はデータが集中していて見づらいが,遅れ時間に対して密度が影 響を与えている様子は見られない.

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

0 100 200 300 400 500 600 700

0 20 40 60 80 100 120

0 100 200 300 400 500 600 700

(28)

5.5 遅れ時間が大きい停留所間の特徴

4.2節や5.3節のグラフから遅れ時間が目立って発生している地域や天気によって少し変 化があることが分かったので,バス停間個別データの天気ごとの10日分のデータをまとめ,

グラフ化して遅れの発生しやすい条件について考察する.

5.17 天気ごとの100秒以上遅れている停留所間の数

遅れ時間が100秒以上遅れている停留所間の数を集計してその平均値を求めた.グラフ からも分かる通り雨の日は遅れ時間が100秒以上の停留所間と標準偏差が増加している.

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

晴れ 曇り

標準偏差

(29)

5.18 天気と時間帯ごとの停留所間の遅れ時間 時間帯を

~10時まで

10時から17時まで 17時以降

とし,停留所間の遅れ時間の平均値を時間帯ごとに求めた.また,停留所名が~駅や~駅 前となっている停留所の遅れが目立っていたので,停留所名に駅を含んだ停留所が存在す る停留所間を選択して遅れ時間の平均値を求めた.

その結果,駅を含む停留所間の遅れ時間の平均値は全体の平均値より大きくなっている ことがわかる.また,天気が雨の日は停留所間全体の遅れ時間と標準偏差が若干大きくな っている.

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

全体

晴れ 曇り 晴れ 曇り

標準偏差 晴れ 標準偏差 曇り標準偏差 標準偏差 晴れ 標準偏差 曇り 標準偏差

(30)

5.19 全時間帯の各地域の遅れ時間の平均値

5.20 朝の各地域の遅れ時間の平均値 0

2 4 6 8 10 12

東京

東京 晴れ

東京 曇り

千葉

千葉 晴れ

千葉 曇り

埼玉

埼玉 晴れ

埼玉 曇り

神奈川

神奈川 晴れ

神奈川 曇り 標準偏差

0 2 4 6 8 10 12

東京

東京 晴れ

東京 曇り

千葉

千葉 晴れ

千葉 曇り

埼玉

埼玉 晴れ

埼玉 曇り

神奈川

神奈川 晴れ

神奈川 曇り 標準偏差

(31)

5.21 昼の各地域の遅れ時間の平均値

5.22 夜の各地域の遅れ時間の平均値

首都圏のネットワークを4.2節のように千葉県,埼玉県,東京都,神奈川県周辺に分けて 各時間帯と天気ごとの停留所間の遅れの時間の平均値を求めた.

どの地域や時間帯においても雨の日に遅れ時間と標準偏差が大きくなっている.東京都 周辺は他の地域よりどの時間帯や天気においても遅れ時間が大きく,千葉県周辺は雨の日 以外は他の地域より遅れが小さい.また,どの地域も朝の時間帯は遅れが大きく,夜の時 間帯は遅れと雨の日の標準偏差が若干小さくなっている.

0 2 4 6 8 10 12

東京

東京 晴れ

東京 曇り

千葉

千葉 晴れ

千葉 曇り

埼玉

埼玉 晴れ

埼玉 曇り

神奈川

神奈川 晴れ

神奈川 曇り 標準偏差

0 2 4 6 8 10 12

東京

東京 晴れ

東京 曇り

千葉

千葉 晴れ

千葉 曇り

埼玉

埼玉 晴れ

埼玉 曇り

神奈川

神奈川 晴れ

神奈川 曇り 標準偏差

(32)

5.6 考察

停留所間の密度を数値化して遅れ時間との比較をした.各地域の停留所間の遅れ時間と 密度がどちらも大きい地域はあったが,影響を与えている様子は見られないことがわかる.

平日での停留所間の遅れ時間の平均値は,天気や時間帯と地域ごとに分けて比較した結 果,遅れ時間に差が生じた.雨の日にはどの地域や時間帯においても遅れ時間が大きくな り,100秒以上遅れ時間が発生している停留所間の数も多く標準偏差も大きいので,雨の日 はバスの運行が不安定になり遅れが発生しやすいことがわかる.東京都周辺は他の地域よ り遅れが大きくなっており,人口や交通量の多さが遅れにつながっていると考えられる.

朝の時間帯や停留所名に駅を含む停留所間の遅れ時間の平均も大きくなっており,東京都 周辺と同じく利用者の多さが原因の一つではないかと考えられる.夜に遅れと標準偏差が 若干小さくなる原因としては,平日の夜は道路の交通量が少なくなりバスの運行が安定す ることが考えられる.

(33)

6

章 結論

6.1 まとめ

本研究は公共バス交通の遅延をテーマに扱い,地域,天気や時間帯がバスの運行にどう 影響を与えているか研究した.

遅れ時間は発車時間別に停留所間別に所要時間が設定されており,その所要時間と実際 の運行時間の差がずれた時間とした.また,上流停留所発車前の停車時間が外れ値となっ ている停留所間の遅れ時間は,停車時間から遅れ時間を引いたものを新たな遅れ時間とし た.

4章で全体の地域と時間帯でのバスの遅れの状況を把握するために時空間ネットワーク を天気ごとに構築してどれくらい遅れが出ているのを図に表した.結果,遅れが常に発生 している箇所がいくつか存在し,東京都周辺や神奈川県周辺での遅れが目立っていた.

5章で停留所ごとの密度を密度A,密度B2種類について数値化し停留所間の密度 をグラフ化し,5.3節で天気ごとの停留所間の平均の遅れ時間と比較して5.4節では密度と 遅れ時間とを散布図で比較した.これらの情報を元に差が出そうな各天気や地域ごとの遅 れ時間を比較した.結果,密度Aは東京都の東側とその南北や千葉県の幕張付近の値が大 きくなり,密度Bは東京都の西側や神奈川県の北東,千葉県の北の値が大きくなった.停 留所間の密度が大きい場所と遅れ時間が大きい場所には共通する場所があったが,密度A と密度Bどちらも密度の大きさが遅れの時間に影響を与えている結果にはならなかった.

天気ごとの遅れの時間は,雨の日にはどの地域と時間帯においても遅れの時間と標準偏差 が大きく,100秒以上遅れている停留所間の数も多かった.時間帯ごとの遅れでは,朝の時 間帯はどの地域も遅れが大きくなり,夜の時間帯は若干遅れと標準偏差が小さくなった.

地域ごとの遅れでは,東京都周辺はどの天気においても遅れの時間が他の地域より大きく なり,千葉県周辺は雨の日以外は他の地域より遅れが若干小さかった.また,停留所名に 駅を含む停留所が存在する停留所間の平均遅延時間は,全体の停留所間の遅延時間の平均 より大きくなった.

天気や時間帯ごとに遅れが大きくなる原因は,バスの利用客が多くなることによりバス の乗り降りに時間がかかることが考えられる.また,地域ごとの差はその地域の交通量の 多さや人口の多さが遅れ時間に変化をもたらすと考えられる.

6.2 今後の課題

停留所間の距離や運行ルートから密度を求めたが,交通量や信号機の多さなども考慮す ることによりさらに正確な密度を数値化できると考えられる.また,地域や時間帯もさら に細かく分けることにより正確なデータが得られると考えられる.

(34)

謝辞

本研究を進めるにあたり,多くのご指導とご助言をいただきました田口東教授に心から 感謝いたします.また,多くのご助言をいただきました田口研究室の皆様に感謝の意を表 します.

(35)

参考文献

[1] 日本気象協会,過去の天気,関東・甲信越2012年,(オンライン),

<http://www.tenki.jp/past/2012/02/?map_area_id=3&selected_type=weather>,

(参照2016年1月6日).

[2] 端子録,GPSデータ(GPX)から移動距離を求める,(オンライン)

<http://dtan4.hatenablog.com/entry/2013/06/10/013724>,

(参照201618日)

[3] みんなの知識,ちょっと便利帳,緯度・経度の10進数表記と60進数(度分秒)表記 の変換,(オンライン),<http://www.benricho.org/map_latlng_10-60conv/>,

(参照日201619日)

[4] 箕輪 真輝人,バスの交通ICデータを用いた首都圏道路の交通混雑の分析,中央大学

理工学部情報工学科卒業論文,2014.

[5] 株式会社サイバネットシステム,MicroAVS17.0 HELP.

[6] バスICデータ要件定義書 要件確認書,Appendix,2007.

図 4.3  4 月 12 日(晴れ)の時空間ネットワークを真上から見た図
図 4.5  4 月 23 日(雨)の時空間ネットワークを真上から見た図
図 4.6  4 月 12 日(晴れ)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川)  図 4.7  5 月 14 日(曇り)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川) 千葉県周辺 東京都周辺 神奈川県周辺 埼玉県周辺
図 4.8  4 月 23 日(雨)の時空間ネットワーク(手前が千葉,東京,神奈川)
+7

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度が採用されている︒ の三都市は都市州である︒また︑ ロンドン及びパリも特別の制