• 検索結果がありません。

停留所密度及び天気から見た首都圏公共バス交通の遅れの傾向

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "停留所密度及び天気から見た首都圏公共バス交通の遅れの傾向"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

停留所密度及び天気から見た首都圏公共バス交通の遅れの傾向 09D8104028G 大谷 瑛佑

中央大学理工学部情報工学科 田口研究室 2016 年 3 月

あらまし:本研究ではバス IC カードのデータを元 に遅れの原因を調べ、停留所間の密度や天気、地域、

時間帯に注目して傾向を調べる.

1 はじめに

バスは道路の交通状況や、停留所での停車時間な どによって目的地までの所要時間が変わる.本研究 では首都圏のバスの遅れの原因について考察する.

首都圏のバスの運行ルートを時空間ネットワークで 表し、バスの遅れの大まかな特徴を把握し、停留所 間の密度との関係や天気、時間帯、地域ごとの遅れ の特徴をまとめて遅れの傾向や原因を整理する.

2 使用するデータの概要 2.1 バス IC データ

本研究では、2012 年の首都圏のバス IC データを 用いる.このバス IC データでは、一般路線の通常バ スと深夜バスが対象となっており、提供データから バス停間個別データ、停留所情報データを利用する.

2.1.1 バス停間個別データ

バスの運行毎に停留所間単位で、通過時間、所要 時間、乗車人員を示したものである.各日、各バス 事業者に対してデータが存在する.

使用するデータは以下の通りである.

・事業者 ID ・事業者系統 ID

・上流停留所通過時刻 ・上流停留所停車時間

・下流停留所通過時刻 ・運行遅れ時間 2.1.2 停留情報データ

バス IC データ内すべての事業者で共通してバス 停を定めており、各バス停の緯度経度情報が記載さ れている.データを扱う際には経度緯度を直交座標 に変換して使用する

2.1.3 使用するデータの年月日

2012 年のものを使用した.月日は平日で、首都圏で 晴れ、曇り、雨だった月日を 10 日ずつ選択した.

3 遅れ時間

3.1 運行遅れ時間の算出方法

遅れ時間の計算式は以下の通りである.

想定所要時間-(道路所要時間+上流停留所停車時 間 ) = -運行遅れ時間

3.2 外れ値の変更方法

バス停間個別データの遅れ時間には外れ値が存在 しており、遅れの分析に影響が出るため値を変更し たい.起点における停車時間が原因となっているこ とが多く、この場合停車時間を含めない遅れ時間に

変更する.

3.2.1 起点を含まないバス停間における停車時間 の外れ値の検出

起点を含まないバス停間の上流停留所停車時間か ら標準偏差を計算し、停車時間が標準偏差の 2 倍よ り大きい場合外れ値とする.

3.2.2 上流停留所停車時間を考慮しない遅れ時間 の算出方法

遅れ時間を変更するために以下のように新しく遅れ 間を定義する.

想定所要時間-道路所要時間 = 停車時間-遅 れ時間 = -遅れ時間(新)

4 時空間ネットワーク

4.1 時空間ネットワークの構築

ノードは起点に対してだけ時間を上流停留所通過 時刻とし、第一停留所以降の時間は下流停留所通過 時刻とする.すなわち、起点では発車時刻、それ以 外の停留所では到着時刻を縦軸方向の位置とする.

4.2 各天気の時空間ネットワーク

晴れ、曇り、雨の各天気から1日ずつ選択して時 空間ネットワークを作成する.リンクの色分け基準 は遅れ時間 60 秒以下が青、60~180 秒が緑、180~

240 秒が黄色、240 秒以上が赤とする.

図 2 4 月 12 日(晴れ)の時空間ネットワーク どの日にちも共通した運行ルートで 1 日を通し て遅れが発生している箇所が存在した.東京都、神 奈川県周辺で遅れが目立ち、埼玉県周辺は遅れが目 立たないように見える.

5 停留所間の密度と遅れの特徴

特定の停留所について、停留所周辺の密度を数値

化する.

(2)

5.1 蜜度 A と密度 B の算出方法

5.1.1 他の停留所との直線距離から算出する密度 A

密度 A を求めたい停留所と他の停留所との直線 距離を、ヒュベニの公式に代入して求める.距離が 750 メートル以内ならバス停をカウントする 5.1.2 運行ルートが存在しているかに関する密度 B

密度 B を求めたい特定の停留所の 750 メートル 以内にバスの運行ルートが通過する場合、運行ルー トをカウントする

5.2 ネットワークから見た密度

時空間ネットワークを元に平面のネットワークを 作成し、各リンクの密度の平均をノード上に棒グラ フで立てる.

図 3 ネットワークにおける密度 A

密度 A から停留所が集中している地域、密度 B からバス系統が多い地域がわかる.

5.3 平均の遅れ時間との比較

5.2 節で構築した平面のネットワークについて、

棒グラフを停留所間の遅れの時間に置き換え、密度 との関係を考察する.

図 4 4 月 12 日(晴れ)の平均遅れ時間 密度 A で高いグラフが多い東京都はどの天気に おいても遅れが目立つことがわかる.また、雨の日 は高い棒グラフが多くなっているので遅れが多くな っていると考えられる.

5.4 密度と遅れ時間の散布図

遅れ時間と密度 A、密度 B の関係を散布図で比較 する.

図 4 4 月 12 日(晴れ)の遅れ時間と密度 A の 散布図

100 秒~200 秒付近はデータが集中してみづらい が、密度は遅れ時間に影響を与えている様子は見ら れない.

5.5 遅れ時間が大きい停留所間の特徴

図 5 全時間帯の各地域の遅れ時間の平均値

どの地域や時間帯においても、雨の日は遅れ時間 と標準偏差が大きくなり、運行が不安定になってい ることがわかる.また、停留所名に駅が付く停留所 や東京都周辺は他の地域より遅延が大きくなってい る.逆に雨の日以外の千葉県周辺や夜の時間帯は遅 れや標準偏差が若干小さくなっていた.

6 結論

本研究ではバスの IC カードのデータを用い、時 空間ネットワークを構築し、停留所の密度を算出し た.そして天気、地域、時間帯ごとの遅れの時間に ついて調べた.その結果、停留所間の密度は遅れに 大きく影響は及ぼさず、乗車人員や人口の多さから 雨の日や朝の時間帯と東京都周辺では遅れが大きく なると考えられた.逆に雨の日以外での千葉県周辺 や夜の時間帯では交通量の少なさ等から遅れ時間が 小さくなると考えられた.

参考文献

[1] 箕輪 真輝人、バスの交通 IC データを用いた

首都圏道路の交通混雑の分析、中央大学理工学部情 報工学科卒業論文、2014.

[2]日本気象協会、過去の天気、関東甲信越 2012

年, (オンライン),

<http://www.tenki.jp/past/2012/02/?map_area_id=

3&selected_type=weather>,(参照日 2012 年 1 月 6 日).

0 10 20 30 40 50

0 200 400 600 800

02 46 108 12

東京雨 東京晴れ 東京曇り 千葉雨 千葉晴れ 千葉曇り 埼玉雨 埼玉晴れ 埼玉曇り 神奈川雨 神奈川… 神奈川…

参照

関連したドキュメント

〔問4〕通勤経路が二以上ある場合

そこで本研究ではまず、乗合バス市場の変遷や事業者の経営状況などを考察し、運転手不

■さらに、バス等が運行できない 広く点在する箇所等は、その他 小型の乗合い交通、タクシー 等で補完。 (デマンド型等). 鉄道

(1)原則として第3フィールドからのアクセス道路を利用してください。ただし、夜間

度が採用されている︒ の三都市は都市州である︒また︑ ロンドン及びパリも特別の制

「PTA聖書を学ぶ会」の通常例会の出席者数の平均は 2011 年度は 43 名、2012 年度は 61 名、そして 2013 年度は 79

今年度は 2015

通常のターボチャージャーでは排気ガスの量とエンタルピーの積の増加に従