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無電解めっき法による導電性微粒子の作製に関する研究12

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Academic year: 2021

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無電解めっき法による導電性微粒子の作製に関する研究

1 2

御幡弘明 田中知樹

Research on the Preparation of Conductive Particles by Using Electroless Plating

Hiroaki Obata and Tomoki Tanaka

無電解めっき法により樹脂微粒子上にめっき皮膜を形成させた導電性微粒子が電子部品実装分野で利用されているが,

めっき処理工程が複雑で,製造コストも高く検討すべき課題も多く残されている。そこで本研究では樹脂とめっき皮膜 との密着性向上のための樹脂エッチング処理や無電解めっき反応開始のための触媒化前処理を必要とせず,簡便な方法 で,密着性に優れためっき皮膜を形成する方法を検討したので報告する。

1 はじめに

近年,電気・電子及び電波等を利用した数多くの電 気・電子機器が普及しており,それらの機器から発生 する電磁波により人体や他の医療機器などに重大な影 響を及ぼすことが問題となっている。そのため,電気

・電子機器メーカーや医療機関などではこの対策とし て電磁波シールド材を使用して電磁波の影響を防止す る対策を行っている。電磁波シールド材としては金属 板,導電不織布,導電テープや金属微粒子をフィラー とした導電性塗料等が利用されている。導電性塗料の 場合は導電性塗料に電磁波が当たると,塗膜中に渦電 流が生じ,電磁波を反射してシールドするが,高い電 界強度に耐え得る金属並みの電気特性及び体積固有抵 抗率:10 Ω・cm以下の良伝導性が要求される 。導電-3 1) 性塗料中の導電性フィラーとして金属粉を用いる場合 には,塗料成分との比重差が大きくなるため,金属粉 が沈降し塗膜中に不均一に存在しやすく,導電性不良 の原因となる。そこで,金属粉の代わりに樹脂微粉表 面にめっき処理を施した導電性微粒子 を使用すれば,2) 塗料成分との比重差が小さくなり,上述のような問題 を解消することが可能と考えられる。

一方,一般に樹脂等の非導電体表面に金属皮膜を形 成させる方法として無電解めっき法が適用されている。

無電解めっき法では素材樹脂とめっき皮膜の密着性を 得るための素材エッチング処理及び無電解めっき反応

開始のための触媒化前処理が必須となっている。しか しエッチング処理では環境への負荷の大きいクロム酸 や有機溶媒を使用しており,また触媒化前処理では高 価なパラジウムを使用するためにめっき処理コストが 高く,検討すべき課題も多く残されている。

本研究ではエッチング処理や触媒化前処理を必要と しない簡便な方法により樹脂微粉上に密着性に優れた 金属導電膜を作製する方法 を検討したので報告する。3)

2 実験方法

2-1 樹脂微粉の調整

めっき担体樹脂としてダウケミカル製の陽イオン交 換樹脂(平均粒径500μm,真比重1.28,以後樹脂球体 と呼ぶ)及びその機械粉砕品(平均粒径30μm,以後 粉砕微粉と呼ぶ)を用いた。

2-2 樹脂球体へのめっき処理

硫酸銅5水和物

2.5g/100ml

の水溶液を調製し,樹 脂球体

0.2g

を投入後,室温で15分間撹拌処理を行い,

イオン交換処理を行った。その後,水溶液を濾過除去 し,銅イオン置換樹脂球体を回収した。次いで,この

0.

銅イオン置換樹脂球体を,水素化ホウ素ナトリウム の水溶液に投入後,室温で15分間撹拌処理

095g/50ml

を行い,置換した銅イオンの還元処理を行った。次い で,十分に水洗した後,濾過回収,乾燥し銅めっき樹 脂球体を得た。

2-3 粉砕微粉へのめっき処理

硫酸銅5水和物

2.5g/100ml

の水溶液を調製し,粉 砕微粉

0.2g

を投入後,室温で15分間撹拌処理を行い,

*1 機械電子研究所

*2 室町ケミカル(株)

(2)

イオン交換処理を行った。その後,水溶液を濾過除去 し,銅イオン置換粉砕微粉を回収した。次いで,この 銅イオン置換粉砕微粉を,水素化ホウ素ナトリウム0.

19

g/50ml

の水溶液に投入後,室温で15分間撹拌処理 を行い,置換した銅イオンの還元処理を行った。次い で,十分に水洗した後,100mlの無電解銅めっき液

(室町ケミカル製MK-421)に投入し,40℃で1時間撹 拌処理を行った。次いで,十分に水洗した後,濾過回 収,乾燥し銅めっき微粉を得た。

2-4 めっき処理球体の断面評価

めっき処理球体を常温硬化型エポキシ樹脂中に埋め込 み,硬化後に切断し,ペーパー研磨,ダイヤモンド研磨 を行い,球体断面評価用試料を作製した。

2-5 めっき皮膜の評価

めっき処理を行った樹脂球体及び粉砕微粉の表面観察 を走査型電子顕微鏡で,めっき処理球体断面の銅元素マ ッピング分析をエネルギー分散型X線分析装置で,めっ き皮膜の構造解析をX線回折装置で行った。

3 結果と考察

3-1 樹脂球体へのめっき処理結果

樹脂球体の銅イオン置換及びその還元処理により作製 した銅めっき球体の表面写真を図-1に示す。樹脂球体表 面に均一かつ平滑に銅めっき皮膜が形成されていること が観察できた。

銅めっき処理球体のX線回折分析結果を図-2に示す。

Cu(111),Cu(200),Cu(220),Cu(311),Cu(222)のピークが観 測され,金属銅皮膜が形成できていることが確認できた。

さらに銅めっき処理後の樹脂球体断面写真及び銅元素の マッピング分析結果を図-3に示す。マッピング写真中の 白色部が銅元素の検出領域を示しており,球体表面にサ ブミクロン程度の銅皮膜が形成されている。さらに,球 体表面から内部に樹枝状模様が観察され,銅元素のマッ ピング分析結果から,これは金属銅であることが明らか となった。これは三次元ミクロポアー構造を有するイオ ン交換樹脂表面及びミクロポアー内部のスルホン基にイ オン交換反応により置換した銅イオンが,化学還元され,

樹脂表面から樹脂内部に金属銅として析出していること を示している。この樹枝状金属銅の形成によって,樹脂 とめっき皮膜間にアンカー効果が発現され,高い密着性 が期待できる。

図-1 銅めっき処理後の樹脂球体表面のSEM写真

図-2 銅めっき処理後の樹脂球体のX線回折結果

図-3 銅めっき処理樹脂球体断面のSEM写真(左)と銅元 素マッピング分析結果(右)

図-4 銅めっき処理後の粉砕微粉表面のSEM写真

3-2 粉砕微粉へのめっき処理結果

μmのイオン交換樹脂粉砕微粉上に銅 平均粒径約30

っき処理を行った後の銅めっき微粉の表面写真を図- め

4に,X線回折分析結果を図-5に示す。Cu(111),Cu(200), Cu(220),Cu(311),Cu(222)のピークが観測され,微粉表面 に平滑に銅めっき皮膜が形成できていることが確認でき た。

Cu K 10μm Cu K

10μm 10μm

界面

10μm

界面

200μm 200μm

200μm 20μm 20μm 20μm

30μm

30μm 10μm10μm

20 30 40 50 60 70 80 90 100

相対強度

Cu (1 11 ) C u ( 2 0 0 ) C u ( 2 2 0 ) C u ( 3 1 1 ) C u ( 2 2 2 )

20 30 40 50 60 70 80 90 100

相対強度

C u ( 1 1 1 ) C u ( 2 0 0 ) C u ( 2 2 0 ) C u ( 3 1 1 ) C u ( 2 2 2 )

(3)

図-5 銅めっき処理後の樹脂微粉のX線回折結果

4 まとめ

イオン交換樹脂のミクロポアー構造及び陽イオン交換 能を利用することにより,エッチング処理及び無電解め っき反応開始のための触媒化前処理を必要とせず,簡便 な方法で密着性に優れためっき皮膜を形成することがで μmの粉砕微粉上へ同様の手法 きた。現在,平均粒径5

でめっき処理を行い導電性微粒子を作製中であり,本 導電性微粒子は導電性接着剤や導電性塗料中の導電性フ ィラーとして利用できる可能性がある。

5 参考文献

1) 板野俊明:表面技術,Vol42,p22-28(1991)

2) 本間英夫:回路実装学会誌,Vol10,p148-152(1995) 3) 御幡弘明:「導電性微粒子とその製造方法」,特願

2002-85079

20 30 40 50 60 70 80 90 100

相対強度

C u ( 1 1 1 ) C u ( 2 0 0 ) C u ( 2 2 0 ) C u ( 3 1 1 ) C u ( 2 2 2 )

20 30 40 50 60 70 80 90 100

相対強度

C u ( 1 1 1 ) C u ( 2 0 0 ) C u ( 2 2 0 ) C u ( 3 1 1 ) C u ( 2 2 2 )

参照

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