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№ 74
2016.6
海外漁業協力
モロッコ王国は北部は地中海、西部は大西洋に面して約 3,500㌔㍍の海岸線を持ち、約 100 万平 方㌔㍍の排他的経済水域(EEZ)を有している(出典:http://comhafat.org/en/)。大西洋岸は海 流のぶつかる海域でもあることから、魚種の豊富な好漁場であり、イカ、タコは日本、EU( 南欧 ) に も輸出されている。 イムスワン漁港はその大西洋岸にあり、観光都市アガティールの北部約 100㌔㍍に位置する。同 国の水産業は北アフリカの中では最大の規模であるが、拠点の 1 つである同港のような沿岸小規模 漁業の生産量は多くはない。イムスワン漁港は、1995 年頃からの日本の水産無償資金協力で、消波堤、 倉庫、スリップウエイなどの漁港施設の整備を行い、多少の荒天時にも出漁できるようになった。ま た日本政府は漁業協同組合の設立を支援し、同港の運営管理能力を向上させ、生産力を上げることに も貢献した。 通常、漁船には 3 - 4 人の漁師が乗船し、底はえ縄漁を主体とした漁業を行っており、ヨーロッ パオオアナゴ、エイ、カレイなどを漁獲している。また、三枚網による底刺し網漁も行われており、 メルルーサ、イカ、シタビラメなどが漁獲され、夏季には、かご漁でオマールエビ漁を行っている。 漁獲物は仲買人によって競り落とされ、アガディールの魚市場で販売される。 当財団は、我が国漁業者等が海外の地域で、沿岸漁業等 の開発振興、国際的な資源管理の推進、現地合弁法人の設 立等の海外漁業協力事業を行う場合、これらの漁業者等に 対してその事業に必要な資金について融資を行っています。 貸付対象、資金の種類等は次のとおりです。 1.貸付対象となる事業 実施する海外漁業協力事業が次に該当することが必要です。 (1)我が国海外漁場の確保との関係において行われるも のであること。 (2)我が国政府の支持のもとに行われるものであること。 (3)水産関係団体の支持態勢がととのっていること。 2.貸付対象者 本邦法人、本邦人、本邦法人等の出資に係る現地法人、国際機関 3.資金の種類等 (1)無利子融資[手数料 年 0.5 %以内、償還期限 30 年 以内(うち据置期間5年以内)] ① 海外の地域の沿岸漁業開発及び国際的な資源管理 の推進等に寄与するための協力事業で、 (ア)海外の地域の政府、現地法人等に施設等を譲渡 するために必要な資金 (イ)海外の地域で行う事業に必要な資金で相手国政 府、現地法人等に貸付けるために必要な資金 (ウ)海外の地域で行う開発可能性調査その他の技術 協力に必要な資金 (エ)入漁との関連で相手国に支払う漁業協力金等 ② 現地法人の設立等海外投資により行う事業で、そ の効果が主として周辺の住民生活向上に寄与すると 認められる事業に必要な資金等 (2)低利融資[利率は市場実勢に応じて、円貨の場合は 年1.0%以上、外貨(米ドル)の場合は年3.0%以上、 償還期限20年以内(うち据置き期間5年以内)] 海外の地域において現地法人等の設立等海外投資に より行う協力事業で、 ① 現地法人等に出資し、又はその株式を取得するた めに必要な資金 ② 本邦法人等の出資に係る現地法人等に貸付けるた めに必要な資金で、設備資金その他長期資金に充て られるもの ③ 本邦法人等の出資に係る現地法人等に出資しよう とする海外の地域の政府、現地法人等に対して、こ れに要する資金を貸付け又は施設等を譲渡するため に必要な資金等 4.融資割合 原則として海外漁業協力事業の実施のために必要な資 金の70%相当額 5.担 保 銀行保証、その他物的担保等 公益財団法人 海外漁業協力財団 融資部 審査課 電話:03-6895-5382 Fax:03-6895-5388 漁船とスリップウエイ 漁船の浜揚げ
海外漁業協力 第74号
発行人 粂 知文 編集人 内田 和久 発行所 公益財団法人 海外漁業協力財団 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目2番2号 虎ノ門30森ビル (TEL) 総務部 (03) 6895-5381 融資部 (03) 6895-5382 事業部 (03) 6895-5383 (FAX) (03) 6895-5388 (URL) http://www.ofcf.or.jp/ 印刷所 松本印刷株式会社 空から見たイムスワン漁港 底はえ縄漁船漁獲対象はヨーロッパオオアナゴ 裏表紙の写真:モロッコ 「マサガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル様式市街」城壁と海 発刊日:2016年6月世界の漁港 モロッコ イムスワン漁港 水産ニュース 評議員会及び理事会報告……… 1 海外漁業協力検討ワーキングチーム会合の結果について……… 2 COMHAFAT/ ATLAFCO特集 大西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議……… 5 ベナブー事務局長へのインタビュー……… 8 COMHAFATの活動事例紹介 ………11 連載 キリバス共和国離島訪問記(第1回) ………15 財団ニュース インドネシア・まぐろ類培養研究 プロジェクトの現在 ………17 第26回日中韓研究者協議会開催 ………19 水研OBの新人が見た財団(OFCF) ………24 水産指導者養成持続的利用コースでの岩手・宮城現地視察 ………28 海外漁業協力財団のインターンシップを終えて ………33 マーシャル諸島から見た日本、そして海外漁業協力財団 ………35 主な動き ………37 外国要人等の招請 ………39 国際会議等支援 ………39 専門家派遣等 ………39 海外派遣専門家リスト ………40 政府ベースの漁業協力 ご案内 求人のご案内 海外漁業協力事業のための賛助会員・寄附の募集 水産無償………41 専門家の派遣………41 調査団の派遣………41 漁業交渉・国際会議………41
目
次
6 月14日(火)、平成28年度第 1 回評議員会が 開催され、平成27年度の事業報告と決算が承認さ れました。また、評議員及び理事並びに監事につ いては任期満了に伴う改選が行われ、同日に開催 された第 2 回理事会で代表理事及び業務執行理事 を選定し、引き続き竹中理事長、粂専務理事、高 橋常務理事の体制となりました。 竹中理事長は、今回の改選により 2 期目の就任 となります。財団がこれまで実施してきた事業の 他、今年度から新たに実施する事業も含め多様な 協力を通じて、従来にも増して積極的に人づくり、 仲間づくりを進め、役職員一丸となって海外漁場 の確保と水産物の安定供給に貢献するため全力を 尽くす所存であると決意を新たにされているとこ ろです。 評議員会の冒頭、竹中理事長は、土井全二郎評 議員が 5 月23日に急逝されたことに触れ、長年、 財団の外部有識者評価委員も務められた土井評議 員のこれまでのご功績とご厚情に敬意を表すると ともに、哀悼の意を表しました。 平成27年度決算は、長引く低金利の影響などに より収入が伸び悩み、11百万円の赤字決算となり ました。平成27年度事業については、財団が南太 平洋で長年実施してきている水産関連施設の修 理・修復事業、いわゆるFDAPIN事業や、2010年 から実施しているキリバスへの「漁業アドバイザ ー派遣」、2010年からソロモンで実施している「ナ マコ資源管理プロジェクト」、2013年からパプア・ ニューギニアで実施している「定置網漁業に関す る基礎調査プロジェクト」、また、2014年からパ ラオで実施している「シャコガイ種苗生産振興プ ロジェクト」などに代表される事業は、それぞれ の政府の評価も高く、我が国まき網漁業者のVD (隻日数)の確保やはえ縄漁業者の入漁に関する 漁業交渉に側面から貢献できているものと考えて います。 平成28年度においては、水産庁の補助事業であ る国際漁業振興協力事業を引き続き実施すること となり、補助金予算は492百万円で前年度比 5 % の増額となりました。今年は、 3 年ぶりにワシン トン条約締約国会議が、また、 2 年ぶりに国際捕 鯨委員会総会が開催されるなど水産資源の持続的 利用に関して重要な会議が予定されており、財団 としては、関係国との仲間づくりを強化するため 新規事業にも取り組んでいるところです。新規事 業の一つは、海外からの研修生受入事業で、従来 の 4 コースに加え持続的利用コースを新設し、 5 月に関係国政府の管理職クラス11名を日本に招 き水産資源の持続的利用に関する講義や漁協、魚 市場の現地視察等を行いました。また、水産資源 の持続的利用に関する会議も開催する予定です。 先般、自民党で開催された、海外漁業協力検討 ワーキングチームでは、今後の海外漁業協力につ いて、水産資源の持続的利用の推進及び海外漁場 の確保に向け、関係省庁や団体が緊密に連携して、 水産無償や技術協力などODAを戦略的に活用し ていくべしとの提言がまとめられました。財団も、 協力事業の効果が発揮できるよう水産庁及び関係 業界、関係団体と連携し、これまで長年にわたり 築いてきた関係沿岸国との信頼関係を更に強化す ることとしています。 引き続き皆様のご支援、ご協力をお願いいたし ます。
評議員会及び理事会報告
総務課長 坂田 重登 1 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 2自由民主党水産部会は、本年 2 月に「海外漁業 協力検討ワーキングチーム」(以下「漁業協力W T」という。)を立ち上げ、 2 月17日、 3 月14日、 5 月12日の三回にわたり会合を開催しました。漁 業協力WTは、これらの会合での議論をとりまと め、 5 月18日に開催された水産部会に報告し、水 産部会はこれを承認しました。 当財団も海外漁業協力の実施機関として同会合 への参加を求められ、漁業協力WTでの議論に直 に接する機会を得たので、その概要につき報告し ます。 第 1 回会合では、水産庁と外務省が海外漁業協 力の現状、推移について説明し、これに基づいて 質疑応答と議論が行われました。第 2 回会合では 業界団体(日本かつお・まぐろ漁業協同組合、 (一社)日本トロール底魚協会)が海外漁業協力 に関する意見・要望を説明し、業界からの要望を 踏まえた議論が行われました。 第 3 回会合においては、長峯座長がこれまでの 議論をもとに論点を整理し、提言とりまとめ私案 を配布しました。これに対し皆内容に賛同しつつ、 ハイレベル外交には議員外交も加えるべき等の提 案があり、とりまとめの修正は座長に一任の上、 5 月18日の水産部会で報告されることとなりまし た。 海外漁業協力検討ワーキングチームのメンバーと開催日程 メンバー 座長:長峯誠(参、宮崎) 幹事:武部新(衆、北海道12区)、井林辰憲(衆、静岡 2 区)、小林鷹之(衆、千葉 2 区)、大野 敬太郎(衆、香川 3 区)、國場幸之助(衆、比例九州)、宮崎政久(衆、比例九州)、宮路拓 馬(衆、比例九州)、古賀友一郎(参、長崎)、高野光二郎(参、高知)、滝沢求(参、青 森)、島村大(参、神奈川)、吉川ゆうみ(参、三重) 顧問:小野寺五典(衆、宮城 6 区)、鈴木俊一(衆、岩手 2 区)、浜田靖一(衆、千葉12区)、山 本公一(衆、愛媛 4 区)、金子原二郎(参、長崎)、牧野たかお(参、静岡) 開催日程 第 1 回会合( 2 月17日13:00~14:00 於:自民党本部ブロック第 5 会議室) 第 2 回会合( 3 月14日15:00~16:00 於:自民党本部706会議室) 第 3 回会合( 5 月12日16:30~17:30 於:自民党本部706会議室)
海外漁業協力検討ワーキングチーム(自民党水産部会)会合の結果について
総務部長 首藤 剛水産部会( 5 月18日08:30~09:00 於:自民党本部704会議室) 長峯座長から以下に掲げる「海外漁業協力検討 WTとりまとめ」が報告されました。外務省は 「水産庁と連携しながらODAをより積極的に活 用したい」、水産庁は「ODAを入漁交渉や国際 会議の仲間作りに積極的に活用したい。また、水 産部会において折々に無償資金協力のパフォーマ ンスをレビューしていきたい。」と述べ、 4 か月 間にわたり開催された漁業協力WTは終了となり ました。 平成28年 5 月12日 海外漁業協力検討ワーキングチーム 海外漁業協力検討WTとりまとめ 1 .はじめに 海外漁業協力検討WTでは、海外漁場の確保と海洋生物資源の持続可能な利用の促進を図るため、 28年 2 月から平成28年 5 月まで、 3 回にわたって会合をもち、外務省、水産庁、独立行政法人国際 協力機構(JICA)及び公益財団法人海外漁業協力財団から海外漁業協力の現状把握並びに漁業団体か らのヒアリングを実施し、議論を行った。 以下に、これまでの議論を踏まえて今後の政策展開について提言する。 2 .今後の海外漁業協力に関する政策展開 ( 1 )基本的考え方 遠洋漁業の維持・発展を図るためには、国際競争力のある経営体の育成に向けた漁業経営の体質 強化を進めるとともに、科学的根拠に基づく海洋生物資源の持続可能な利用に向けた国際的な協力 体制の構築、外国排他的経済水域及び公海域における漁場の確保をしていく必要がある。 このため、ハイレベル外交などの働きかけを積極的に行うとともに、水産無償以外の海外漁業協 力施策も含め、関連施策の充実・強化を図り、関係省庁・団体の連携の下、戦略的に各種施策を展 開すべきである。 ( 2 )充実・強化すべき事項 ア 強力な水産外交の推進 ① 国際会議や二国間の漁業交渉の日程を踏まえ、ハイレベル外交において、水産無償以外の ODAも活用した働きかけを積極的に行うべき。 ② 各在外公館において、漁業交渉等における働きかけ及びハイレベル外交のフォローアップ を一層積極的に行うべき。 ③ 議員外交の機会も活用し、働きかけを行うべき。 イ 海外漁業協力の戦略的実施 ① 国際的な協力体制の構築及び漁場の確保に対し、海外漁業協力がどのように効果があった か評価し、今後の海外漁業協力について検討すべき。 3 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 4
② 国際会議や漁業交渉等を我が国に有利に進めるため、海外漁業協力の実施に当たっては、 関係省庁・団体間での連携を強化すべき。 ③ 相手国のニーズを踏まえ、漁港や市場などの従来の水産無償に加え、必要に応じ、取締船 の燃油供与などの機材供与等も活用し,迅速かつ柔軟に海外漁業協力を展開。なお、取締 船の燃油などについては、相手国の実情を把握の上、毎年実施ができるようにすべき。 ④ 必要な水産無償資金協力ができるよう、ODA全体として予算の増額を図るべき。 ウ 人的ネットワークの構築 ① 相互理解・信頼関係構築、援助ニーズの把握等のため、相手国政府や国際機関・地域漁業 管理機関への行政アドバイザー等(専門家)の派遣を一層促進すべき。特に、行政アドバイ ザーについては、主要な入漁国・協力国全てカバーできるよう、戦略的に配置すべき。 ② 相手国の資源管理能力向力を図るよう、必要な協力を実施すべき。 ③ 日本への深い理解を醸成し、親しみをもつ相手国政府職員を育てていくため、日本での研 修や留学などを積極的に実施すべき。 漁業協力WTとりまとめを受けて 今回の議論では、水産庁の予算・ツールだけで は海外漁場確保も仲間作りも極めて困難という問 題意識から、外務省・JICAの無償資金協力や ODA、バックアップ体制等が俎上に載りました。 このため、当財団が実施している事業についての 具体的な意見や提案はありませんでしたが、「関 係省庁・団体の連携の下、戦略的に各種施策を実 施する。」上で、当財団の果たすべき役割はいろ いろあるのではないかと考えています。 水産外交を当事者として進めていくのは水産庁 /外務省を中心とする日本政府ですが、水産OD Aは日本政府の描く長期・戦略的な外交方針の中 に不可欠な要素として組み込まれており、財団は その実施を担っています。 このため、財団が、オールジャパンの漁業協力 において「呼び水」や「ショートリリーフ」とい った役割を果たすこと、あるいは政府ベースでは カバーできない分野やスピードでの現地ニーズへ の対応等の財団の特性を活かすことが「漁業協力 の戦略的実施」に大いに貢献し、更に「行政アド バイザー(専門家)の派遣」が人的ネットワーク 構築のための重要なツールと認識されていますの で、専門家派遣の強化が財団事業の当面の課題と なると考えています。 改めて「海外漁業協力」を御議論いただいた漁 業協力WTメンバー各位に感謝申し上げるととも に、関係の皆様から「財団はよくやっている」と お褒めにあずかることができるよう、役職員一同 業務に邁進する所存です。
2015年12月 7 日~ 8 日の 2 日 間、海外漁業協力財団(以下 「財団」という。)は、大西洋沿 岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会 議(英略称:ATLAFCO、仏 略称:COMHAFAT以下「COMHAFAT」とい う。)とのプロモーションファンドにかかる合同 委員会を初めて日本で開催した。 以下、COMHAFATの概要と、今次合同委員 会の結果について紹介する。 1 COMHAFAT について (ア)設立 COMHAFATの設立は1989年。 1980年代に入り漁業資源の乱獲が著しく進 んだ大西洋沿岸のアフリカ諸国が、漁業資源 の管理と漁業開発の両立を目指し、地域圏規 模で協力するためにまず話し合うことが必要 だという認識を共有した。モロッコの主導に より、1989年に第 1 回閣僚会議(於:ラバト) が開催され、参加国は地域全体の能力強化の ための制度的枠組みを構築することとし、 「ラバト宣言」を採択、COMHAFATが設立 された。 その後、1991年に第 2 回閣僚会議(於:ダ カール)が開催され、組織の法的基礎となる 条約を採択し、1995年に発効、FAO(Food andAgricultureOrganization-国連食糧農 業機関)の第13条機関(条約寄託先である事 務局長が協力を承認した機関)として正式に スタートした。 (イ)事務局 モロッコ王国ラバト (ウ)メンバー国及びその概要 アフリカ大西洋沿岸の以下22か国で構成さ れる。 アンゴラ、ベナン、カメルーン、カーボベ ルデ、コンゴ、コートジボアール、ガボン、 ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニア・ビサオ、 モロッコ、赤道ギニア、リベリア、モーリタ ニア、ナミビア、ナイジェリア、サントメ・ プリンシペ、セネガル、シエラレオーネ、ト ーゴ、コンゴ民主共和国 メンバー22か国の一般事情 (http://comhafat.org/en/より) ・人口計:約 4 億 4 千万人 ・海岸線:延べ約14,000㌔㍍ ・EEZ面積:約450万平方㌔㍍ ・IWC加盟国13か国、ICCAT加盟国15か国、 CITES加盟国21か国
太西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議
(COMHAFAT/ ATLAFCO)
融資部調査役(現フィジー事務所長) 細川 明快 5 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 6(エ)COMHAFAT メンバー国と日本の入漁関係 COMHAFAT メンバー国の存するアフリ カ大西洋岸は、かつお・まぐろ資源の好漁場 であり、日本といくつかのCOMHAFAT メ ンバー国との間には安定的な入漁関係がある。 (オ)その他 日本とCOMHAFAT メンバー国は、科学 的根拠に基づく水産資源の持続的利用・管理 の推進という基本原則を共有し、多くの国際 会議等で共闘している。このような観点から、 日本にとってCOMHAFATメンバー国は重 要なパートナーであり、両者間の協力関係の 維持・強化が重要となっている。 2 COMHAFAT との合同委員会について (ア)プロモーションファンドについて ① 目的 プロモーションファンドは、COMHAFAT がメンバー国夫々の経済水域における漁業管 理、開発を通じて、経済発展と安定的な食料 供給を可能とすること、また水産資源の持続 的利用、管理推進を図るために必要とされる 能力向上等のための各種プログラムを10年間 にわたり実施するため、財団との合意に基づ き設立した協力の枠組みである。 ② 合意覚書締結 財団とCOMHAFAT 間の合意覚書 (MOU)は、2009年10月29日にモロッコ王国 ラバトにて締結された。 ③ プログラム概要 プロモーションファンドの目的は次の 3 つの柱に集約される。 COMHAFATメンバー国関係一覧(2015年10月) 加盟国 (万人)人口 (km)海岸線 (平方km)EEZ面積 日本との漁業協定締結国 (民間含む) ※国際会議加盟国 IWC (13カ国)(15カ国)ICCAT (21カ国)CITES モロッコ王国 3 ,252 3 ,500 1 ,000,000 ○ ○ ○ ○ モーリタニア・イスラム共和国 388 720 234,000 ○ ○ ○ ○ セネガル共和国 1 ,413 531 158,861 ○ ○ ○ ○ ガンビア共和国 200 80 23,112 ○ ○ ○ カーボベルデ共和国 52. 7 965 800,561 ○ ○ ○ ギニアビザウ共和国 166 350 123,725 ○ ○ ○ ギニア共和国 1 ,170 320 59,426 ○ ○ ○ ○ シエラレオネ共和国 610 402 215,611 ○ ○ ○ リベリア共和国 430 579 186,322 ○ ○ コートジボアール共和国 2 ,060 515 176,254 ○ ○ ○ ○ ガーナ共和国 2 ,590 539 235,349 ○ ○ ○ トーゴ共和国 630 56 12,045 ○ ○ ベナン共和国 1 ,060 125 27,000 ○ ○ ナイジェリア連邦共和国 17,850 853 217,313 ○ ○ カメルーン共和国 2 ,225 402 16,547 ○ ○ 赤道ギニア共和国 76 410 314,000 ○ ○ ○ サントメプリンシペ民主共和国 17 209 160,000 ○ ○ ○ ガボン共和国 170 885 265,000 ○ ○ ○ ○ コンゴ共和国 420 170 60,000 ○ ○ コンゴ民主共和国 6 ,780 37 1 ,606 ○ アンゴラ共和国 2 ,147 1600 518,433 ○ ナミビア共和国 230. 3 1 ,572 564,748 ○ ○ ※IWC:国際捕鯨委員会 ICCAT:大西洋まぐろ類保存国際委員会 CITES:ワシントン条約会議 EEZ:排他的経済水域 出典元:人口 外務省資料(2012-2014世銀等) 海岸線・EEZ http://comhafat.org/en/
・自国水産業発展のための能力強化 ・漁業を管理するための能力強化 ・ 地域漁業機関の管理措置を含む国際的な義 務の実施 2015年度に、プロモーションファンドにより 実施されたプログラムは、大枠として次のジャ ンルに分類される。 ・漁業資源の保護と持続的利用 ・漁業セクターのパフォーマンス向上 ・水産物の域内貿易促進 ・ 国際漁業機関に於けるCOMHAFATグル ープの能力向上 2015年にはエボラ出血熱がアフリカで蔓延し たことにより、大手航空会社が運航をストップ した関係で、事業実施に大きな影響を受けた。 2016年 1 月現在、多くの国でエボラ出血熱の鎮 静化を宣言しており、このまま落ち着くことも 予想されるが、こうした衛生上の問題は、国境 をまたぐプログラムを実施する国際機関にとっ て大きな脅威となっている。 (イ)合同委員会結果概略 合同委員会では、COMHAFAT より2015 年のプログラム実施状況に加え、決算見込み が報告された。また、2016年のプログラム実 施計画が発表され、双方とも承認された。 2015年は東京で合同委員会が行われたが、 2016年はモロッコ王国にて行うことが合意さ れた。 3 その他 ラバトのCOMHAFAT 事務局は、お国柄か、 窓の大きい自然採光を取り入れた明るい事務所 となっている。事務所前面には青々とした芝生、 周辺にはレモン、グレープフルーツなどの果樹 が植えられている。街並みもアフリカというよ りはヨーロッパに近い雰囲気を感じさせる。こ うした開放感のある事務所で、期限付き雇用を 含め11名(日本人専門家 1 名を含む)の職員 が働いている。 アフリカ大西洋沿岸における日本漁船の優良 な漁場としての重要性、加えて、水産資源の持 続的利用の観点、そのためにも国際場裡に強固 な関係を維持するという観点から、日本とこれ まで密接な結びつきを持つCOMHAFATメンバ ー国とは、今後とも良い関係を維持することが 重要な課題となっている。地理的には遠くとも 緊密な連携を持って水産関係の問題に当たるこ とが必要であり、合同委員会での議論を今後の 活動に活かしていきたいと感じた。関係者のこ れまでの努力に敬意を表すると共に、今後の発 展と活躍を祈りたい。 COMHAFAT事務局(ラバト) 7 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 8
合同委員会出席のため来日した事務局長のベナ ブー氏及び企画担当ラムリッシュ氏にインタビュ ーを行った。ベナブー氏はモロッコ王国農業・海 洋漁業省の法務・協力局長として過去幾度となく 来日している。COMHAFAT事務局長としては、 2012年10月のアユビ氏に次いで二人目の来日とな る。 財団:本日は合同委員会開催中のお忙しいところ、 インタビューに応じて頂きありがとうございま す。協議は成功裏に終えたと聞いております。 まずは、COMHAFATが特に熱心に取り組んで いる事柄について教えて下さい。 局長:私たちは国際会議に積極的に参加していま すが、その理由はアフリカ諸国の存在と影響力 を高めるためです。アフリカの国々が自分たち の権利を主張し、自分たちの利益を確保して貧 困を減らすことが一番の目的です。 財団:特に重要視している会議は何ですか? 局長:まずはICCATですね。COMHAFAT加盟 国22カ国のうち、15カ国がICCAT加盟国にな っているので特に力を入れています。これらの 国々はICCATの議題に興味を持っています。 ICCATは毎年開催されるので、かける時間は 多いですが、IWCやCITESやCOFI(Committee on Fisheries-FAO水産委員会)などの会議も 大事にしています。その会議に出席することに より自分たちをアピールし、権利を主張するの です。国際会議に出席して各国とパートナーシ ップを組み、win-winの関係を築くように努力 していますが、そのなかでも日本は特別なパー トナーであり、良好な関係の継続を常に心がけ ています。 財団:今までの国際会議での成功事例を教えて下 さい。 局長:ICCATでは、ここ 2 ~ 3 年毎回出席し、 毎回成功していると思っています。現在はガー ナが議長国を務めており、会議では COMHAFATの権利など、伝えたいことはちゃ んと主張できたと思います。2010年の第15回 CITES(於ドーハ)では日本と共同で大西洋ク ロマグロの付属書提案に対して影響を与えるこ とができました。でも、第16回のバンコックの ことは触れないでください(笑)。残念ながら 毎回成功するとは限りませんね。ICCATの決 定はコンセンサスを目指しますが、至らない場 合は投票となります。ICCAT加盟国50カ国の うち、15カ国がCOMHAFAT加盟国であり、 我々は影響力を持っています。 財団:次に問題解決における成功事例を教えて下 さい。 局長:先ずは、ガーナの例を挙げたいと思います。
ガーナがIUU(Illegal Unreported Unregulated -違法・無報告・無規制)漁業問題に対して十 分な対応をしていないとして、EUが、イエロ
ベナブー事務局長へのインタビュー
ーカードを出したため、同国は漁獲物をEUに 輸出できなくなり、またEUと共同の事業がで きなくなりました。これに関し、前回ICCAT 総会(於ケープタウン)でCOMHAFATは二者 の協議をサポートし、ガーナとEUの関係が少 し改善されました。ガーナは現在IUUに関し対 策を講じているところです。COMHAFATはサ ポートはしましたが、もちろんこの成果はガー ナ自身が努力して勝ち取ったものです。 次に資源の保護を挙げたいと思います。 COMHAFAT加盟国が共同で管理している資源 については、小規模な地域内で統一した資源保 護改善法を作るようにしています。これらに対 応する小地域機関としてCPCO(Le Comité des Pêches pour le Centre-Ouest du Golfe de Guinée- 中西部ギニア湾漁業委員会)やCSRP (La Commission Sous-Régionale des Pêches
-西アフリカ地域漁業委員会)等があります。 COMHAFATは全体的なイニシアチブをとり、 支援はしますが、その後は各関係国が自分たち で対応することとなります。COMHAFATは各 国政府への支援や提案はしますが、強制的に何 かをさせることはできないのです。 財団:日本を特権的パートナーと呼んでくださっ ていますが。 局長:日本を特権的パートナーと呼んでいるのは、 私が言い始めたのではなく、COMHAFAT事務 局長になる前からですから、日本とモロッコの 関係から構築されてきているとも言えますね。 私がモロッコ漁業省にいる時から、日本は特別 な立場でした。 財団:日本の漁業者へのメッセージをお願いしま す。 局長:私がモロッコ漁業省にいる頃から日本かつ おまぐろ漁業協同組合とは付き合いがあり、日 本は大切なパートナーです。アフリカ諸国は日 本の漁業者に大いに来て頂きたいと思っていま す。もう一つ、アフリカの漁業資源を利用する だけではなく、持続的な資源管理の良い例をぜ ひ示して頂きたいと思います。さらにお願いし たいこととしては、沿岸国への漁業支援を実施 して頂けないかと思います。一例としては、日 本漁船が沿岸国内EEZで操業する場合、沿岸国 の漁民も船に乗せたり、現地の漁民に、どのよ うな漁具を使い、どのように魚を獲るのか教え るといった技術的な支援です。 また、直に日本側と接する私たちのような者に は問題ありませんが、一般的に日本側にはコミ ュニケーションに問題があると言わざるを得ま せん。日本はこれだけ水産資源の持続的利用に 気を配っているのにアピール下手というか、ア フリカではそれが知られていないのです。アフ リカ諸国としっかりコミュニケーションが取れ ていないのが大きな問題ですね。一般的な日本 のイメージは単に資源を利用するだけ、魚を獲 ってそれ以後は無関心、特に環境問題、資源の 管理にも無関心とのイメージがとても強いので す。私は、決してそれが事実ではないことを良 く分かっていますが、日本側のコミュニケーシ ョンが足りていないことが誤ったイメージが拡 がっている原因ではないでしょうか? 財団:今のお話は日本政府ではなく、漁業者のこ とでしょうか? 局長:日本の漁業者も資源や環境に関心を持ち、 しっかり対応されていると思いますが、それが 表に出てこないのは非常に残念で仕方がないで すね。 日本がこれからもアフリカ諸国に入漁したり、 投資したりすることを私たちは待っていますの で、ぜひコミュニケーション問題をクリアーし て、たくさんの日本の方々に来て頂きたいと願 っております。 (インタビュー:2015年12月 8 日) 9 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 10
前列左から エラルーシ(Mr.Mohammed Yassine EL AROUSSI) COMHAFAT事務局(二国間協力課長:モロッ コ )、 ベ ナ ブ ー(Mr.Abdelouahed BENABBOU) 事 務 局 長(COMHAFAT)、 竹 中 理 事 長、 メ イ テ(Dr.Meite Zoumana ANLYOU) COMHAFAT議長国(動物・水産資源省官房長:コートジボワール)、マタール(Mr.Matarr BAH) COMHAFAT書記国(漁業局長:ガンビア)、後列左から 水産庁国際課諸貫漁業交渉官、手代木融資部長、ラ ムリッシュ(Mr.Abdennaji LAAMRICH)企画担当(COMHAFAT)、ハダッド(Mr. Mohammed HADDAD)会計 担当(COMHAFAT)、粂専務理事、高橋常務理事、Ms.Hayat ASSARA事務局長秘書(COMHAFAT)、水産庁海外 漁業協力室槇課長補佐、細川融資部調査役(当時)
COMHAFATは、モロッコからナミビアまでの 大西洋沿岸諸国22カ国で構成されており、その活 動目的は、大きく分けて二つある。一つは、メン バー国の能力強化を支援する活動であり、もう一 つは、国際的義務を実施するための国際会議等へ の参加支援である。 著者は、2015年 3 月にCOMHAFAT事務局に漁 業協力アドバイザーとして着任した。今回は、着 任以降に行われた主な活動について紹介する。 まず、メンバー国の能力強化の活動として2015 年 6 月に「アフリカの水産製品貿易の戦略開発に 関する地域研修」に関するWS(ワークショップ) を開催した。 WSの目的は、メンバー国の水産製品をアフリ カ域内及び国際マーケットへ容易に参入できるよ うにするための情報交換と問題点等について協議 することである。メンバー国からは、11カ国の代 表、パネラーを含め51名が参加した。 テーマは、 3 つあり、 1 .水産製品のグローバ ルな貿易、 2 .潜在能力と制約、 3 .水産製品貿 易における女性の役割と能力強化である。テーマ ごとに、プレゼンテーションと質疑応答が行われ た。特に、関心がもたれたテーマは、西アフリカ
COMHAFAT の活動事例紹介
漁業協力アドバイザー 石川 淳司 各国代表者 会議風景 ガボンの魚の燻製作成 同燻製 11 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 12諸国における女性グループ(個人)による水産加 工品の流通についてであった。彼女達の加工製品 は、ほとんどが熱燻製品である。 これらの製品は、自国内消費及び隣国への輸出 が主体であるが、将来的には、EUを含めた国際 マーケットへの参入を望んでいる。しかし、その 製造過程は、必ずしも衛生的とはいえず、 HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point危害要因分析重要管理点-製品の安全を確 保する衛生管理の手法)等の衛生基準を満たすの は難しいのが現状である。したがって、衛生的な 生産ができる施設の建設支援及び新たな水産加工 製品の開発等の技術指導が求められている。 また、燻製用の窯は、FAOやJICA(国際協力 機構)により改良され、生産効率が向上し燻製用 の木材の使用量が減少した地域があるものの、国 によっては依然として森林破壊の一因となってお り、新たな燻製用熱源の確保も課題となっている。 次に、2015年10月には、「IUU漁業対策のため のWS(ワークショップ)」を開催した。IUU漁業は、 COMHAFATメンバー国のみでなくEUにとって も懸案事項である。特に、大西洋では、IUU漁業 がかつおまぐろ資源に重大な影響を与えているこ とから、EUは、IUU漁業規制に非協力的な国に 対して警告を行っている。改善が見られない国に 対しては、EU市場への輸出禁止措置が取られる。 現在、メンバー国では、ギニアが非協力国として 制裁を受けている。過去には、ガーナ、トーゴも 指定されていたが、IUU漁業対策に改善がみられ たため、現在は、解除されている。WSには、メ ンバー国からは、19カ国の代表、地域漁業委員会、 ICCAT、INFOPECH(アフリカ水産物情報通商 協力サービス政府間団体)、LDAC(The Long Distance Fleet Advisory Council 遠洋船団諮問委 員会)など関連機関、在モ日本国大使館、在モス ペイン大使館等から代表が参加し、水産庁からは、 田中健吾首席漁業調整官が参加した。 WSは、IUU漁業の定義から始まり、具体的な 対策例、大西洋におけるIUU漁業の現状等が紹介 された。メンバー国代表からは、IUU漁業規制の 重要性は理解しているものの、対策には、関連施 設・機材の整備、人材育成、組織運営費等に多額 の費用を必要とするため、メンバー国独自の予算 だけでは、効果的な活動を行うことができないと の発言があった。これに対して、EUの代表からは、 2014年から2020年にかけて、共同漁業政策費とし て約 6 . 9 億ユーロの予算を確保しており、その一 部は、IUU規制対策費として活用できるため、大 西洋地域のIUU対策に力を入れていく方針である との説明があった。COMHAFAT事務局としても、 重要課題と考えており、引き続き支援活動を継続 する予定である。 また、2015年12月には、「コートジボワール、ア ンゴラ、ベナン、ガボン、ガーナ、ギニア、ナミ ビアにおける漁業・養殖産業調査の検討」のWS を開催し、ナミビアを除く各国の代表が参加した。 WSの目的は、調査によって判明した現況とそ の分析に関する協議であり、同時に、国内、域内 及び国際的なレベルにおける開発ポテンシャルの 機会について協議することである。また、漁業・ 養殖産業が直面している現在及び将来の問題点、 IUU対策会議風景 会議風景
制約、解決するための活動についても議論された。 漁業産業に関しては、共同資源(小型浮魚、エ ビ)の管理システムの構築、漁獲物の付加価値化、 IUU対策などについて議論が行われた。それから、 零細漁業者の情報(漁船・漁民登録、漁獲物統 計)を把握することによって、水産統計が正確な ものになり、資源管理の改善につながる点も指摘 された。また、養殖産業については、加盟国の中 では、ナイジェリアとガーナは養殖産業が比較的 発展しているが、その他の国は、まだまだ発展途 上である。問題点としては、養殖技術者の不足、 養殖産業への関心のなさ、安価な中国産冷凍ティ ラピアの存在が挙げられた。今後は、メンバー国 間で養殖技術に関する情報交流を通じて技術者の 育成を図り、養殖資機材の輸入関税の免除等の措 置をすることによって、養殖事業への参入を促進 する。加えて、食の安全の観点から、養殖方法が 不透明な輸入冷凍魚よりも、国内養殖魚が安全で ある点を啓蒙し、消費拡大を促す必要がある。こ のような議論の中で、COMHAFAT事務局は、各 国の情報収集を行い、それをメンバー国にフィー ドバックする機能を強化する必要があるという意 見が出され、事務局も同意した。 次に、メンバー国の国際会議への参加支援にか かる活動である。事務局は、加盟国に対し、可能 な限り各会議への参加支援を行っている。 2015年は、大きな会合としては、ICCATの条 約改正WG(ワーキンググループ)会議及び第24 回ICCAT年次総会、そしてIWC科学委員会が開 催された。 ICCAT条約改正WG会議のための準備会合が、 2015年 4 月にモロッコ・カサブランカで開催され た。 ICCATは、50の加盟国(国際機関を含む)と 協力的非加盟国( 3 カ国)で構成されており、 COMHAFATメンバー国が15カ国あることから、 投票で議決する場合には、非常に大きな影響をも たらす。このことから、事前会合によってメンバ ー国のコンセンサスを得ることは、重要な意味を 持っている。会議には、ガボン、ガーナ、赤道ギ ニア及びナミビアを除く11カ国の代表、ICCAT、 LDAC、OPAGAC(Organizaciòn de Productores Asociados de Grandes Atuneros Congeladores —大型冷凍マグロ漁船生産者協会(連盟))の代 表が参加した。会議では、冒頭、法律専門家の Dr. Anaid PANOSSIAN女史によるICCAT条約の 説明と改正プロセスについてのプレゼンテーショ ンがあり、過去 2 回の条約改正会議で提案された 改正案の概要説明が行われた。 その後、2015年 5 月に米国・マイアミで開催され たICCAT条約改正WG会議で提案したCOMHAFAT メンバー国の意見を取りまとめた。 2015年 5 月にICCAT条約改正WG会議が米国・ マイアミで開催された。会議には、ギニア、赤道 ギニア及びナイジェリアを除く12カ国の代表が参 加した。 本会議の目的は、2015年11月のICCAT年次総 会における条約改正案を取りまとめるためのWG ICCAT準備会合 ICCATマイアミ会議 13 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 14
による会合であり、いくつかの懸案事項があり、 会合前には日本代表団、EU代表団、米国代表団 と個別に協議が持たれた。COMHAFATメンバー 国は、先に開催した準備会合で取りまとめた改正 案に対する提案を行った。 2015年11月に第24回ICCAT年次総会がマルタ 共和国、セントジュリアンズで開催された。事務 局は、ICCAT加盟15カ国の内、11カ国(モロッコ、 モーリタニア、セネガル、ギニア、リベリア、コ ートジボアール、ガーナ、ナイジェリア、サント メ・プリンシペ、ガボン、アンゴラ)とCSRP (西アフリカ地域漁業委員会-モーリタニア、カー ボベルデ、シェラレオネはICCATメンバー、他 ガンビア、ギニアビサウ、ギニア)の代表の計12 名の参加支援を行った。 カーボベルデ、赤道ギニア、ナミビアの代表は、 自国の費用で参加し、シエラレオネは、不参加で あったため、計14カ国が参加した。会合では、 2016年のクロマグロの漁獲割り当て、資源が悪化 しているメバチマグロの漁獲割り当て、サメ類の ヒレ切り禁止、条約改正等について議論が行われ た。COMHAFATメンバー国によって資源管理に 関する意見の対立はあるものの、提案事項に関し ては、おおむねコンセンサスを得て了承された。 しかし、条約改正に関しては、結論が出ず、引き 続きWGによる議論を継続することとなった。 また、2015年12月には水産庁・外務省共催によ る「水棲生物資源の持続的利用会合」が東京で開 催された。COMHAFATメンバー国のIWC加盟国 (13カ国:ベナン、カメルーン、ガボン、コンゴ、 コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、 ギニア・ビサウ、モーリタニア、モロッコ、セネ ガル、トーゴ)の内、ガボンとセネガルを除く11 カ国の代表が参加した。 IWC関連では、国際司法裁判所の日本の調査捕 鯨に関する判決に対する理解が間違っており、調 査捕鯨自体は正当な活動であることを、海外の一 般大衆に広報する必要性が説明され、参加者の理 解が得られた。ガーナやモーリタニア等、メンバ ー国の代表も活発に発言を行い、COMHAFATの 存在感を高めたように思われる。また、ガーナが IWC65で提案した「食糧安全保障に関する提案」 については、ガーナと事務局が共同で修正案を作 成することが提案され了承された。 CITES関連では、ニホンウナギや宝石サンゴ等、 2016年の会議に向けて懸案事項もあり、 COMHAFAT事務局としては、事前会合を開催し て、メンバー国の意見の統一を図る予定であるが、 参加者が水産担当省関連機関の所属のため、環境 省関係者か代表と参加するCITES本会議で水産専 門家による意見が反映されない場合がある。その ため、第17回締約国会議に向け、環境担当省等の 機関の担当者に対しても、水産資源の持続的利用 に対する理解を促す計画である旨を説明した。 上記の活動以外に、IWC科学委員会への研究者の 参加支援、FAO主催の各種フォーラムへの参加支 援なども実施しており、今後もメンバー国の発展と 日本との協力関係を強固にしていくための計画立 案・実施の支援を行っていきたいと考えている。 ICCAT年次会合 持続的利用会合
太平洋島嶼国であるキリバス共和国は、環礁に 浮かぶ小さな島々が広範に集まって形成されてい る。日本人がなかなか訪れる機会のない、その 島々の訪問記を 4 回に分けてシリーズで紹介する。 バナバ島 キリバス共和国の首都タラワ島から南西に約 380㌔㍍離れたバナバ島を訪ねた。大勢の乗客と 米や小麦粉、生活資材で満載の運搬船で 2 昼夜揺 られて南海の小さな島にたどり着く。島への連絡 は年 3 回のキリバス国会開催時に一人の国会議員 のための政府送迎船がある程度で、最寄りの島は 西方300㌔㍍に位置する外国、ナウル共和国であ る。バナバ島はまさに絶海の孤島と表現するにふ さわしく、島の近況はタラワの一般人にはほとん ど伝わってこない。この島を特徴づけるのはリン 鉱石の採掘で大いに賑わった歴史と、資源枯渇後 に残された鉱山のスクラップ群、更に表土やその 下のリン鉱石を失って石灰岩の骨格だけになって しまった島の残骸ともいうべき現在の姿である。 島のリン鉱石は1900年から80年間採掘され枯渇 した。その間住民はフィジーのランビ島に移住さ せられ、キリバス共和国が誕生した1979年以降住 キリバス共和国地図(左端がバナバ島) 出典:国際機関 太平洋諸島センター(PIC)
シリーズ「キリバス共和国離島訪問記 第1回バナバ島
キリバス漁業開発アドバイザー 高橋 啓三 島には巨大な鉱山遺構が無数にある 15 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 16民の帰島が始まった。島の現人口は約300人であ る。 島の漁業 かつてはタロイモやサトウキビ、パパイアなど 農作物が豊かに実っていたというが、耕地を失っ た現在、農業に見るべきものはなく、コプラ生産 もない。島民が自給できる食糧は漁獲物だけであ る。島の周囲ではハタ類などの底魚やキハダマグ ロ、カツオなどの浮魚がよく漁獲される。無動力 のカヌーを使ってキハダマグロの手釣りをするの がバナバ漁師の伝統の技である。財団の支援で設 置された漁業センターの製氷機は稼働中で、セン ターに集まる約20名の漁業協同組合員が週日は毎 日操業している。ただし市場は島内に限られてい るため販売魚価は安く、キハダ一尾が10豪㌦(約 1 ,000円)程度である。 2015年 9 月の訪問時、組合員20人に対してトロ ーリング漁具の作成指導を行った。漁業関係の講 習会は島初めてとあって講習参加者全員が熱心に 受講した。魚類の島外出荷を実現するために次は 魚の加工方法を教えて欲しいという声も多くあっ た。 孤島に住むということ 周囲300㌔㍍以内に島も大陸もない隔離された 環境の中で人は果たして心安らかに暮らして行け るものだろうか。ましてバナバ島は面積 5 平方㌔ ㍍で全島掘り尽くされ表土を無くした岩だらけの 島である。なにもない島に先祖代々の地というだ けで帰島して住み始めた人々の壮絶な覚悟を思う と、人の故郷への執着がいかに捨てがたいもので あるか改めて知らされる。領土侵略や難民問題で 揺れる昨今の国際情勢を見るにつけても、このこ とは今日的な問題でもある。人にとってただ生ま れた土地で生き、死ぬことがいかに大切で、かつ 多くの場合困難なことであるか。 キリバスの行政府は国の独立に資金面から大い に貢献したこの地と住人に対して何も報いていな いし、今後もたいしたことはできそうにない。柔 らかいつる草が全島のごつごつした岩を覆い、遠 目にはバナバ島は緑に輝いている。去りゆく船の なかから見て少し安堵を覚えた。 財団の支援で完成した漁業センター (前中央 筆者) 熱心に漁具作成を学ぶ地元漁業者達 バナバ港沖から
財団は、インドネシア共和国バリ島において、 2001年 8 月21日から2006年 3 月31日までの間、キ ハダマグロ等まぐろ類の培養研究プロジェクトを 実施した。実施場所のゴンドール海面養殖研究所 は、空港のあるクタから車で約 4 時間の距離にあ り、バリ島北西部の海岸に位置している。プロジ ェクト終了後の活動状況等の把握を目的として、 2015年12月 6 日に訪問した。 ゴンドール海面養殖研究所では、現在、キハダ マグロに加え、ハタ類、ミルクフィッシュ等の養 殖技術開発等を行っている。 今回は滞在時間が限られていたため、マグロ類の 培養研究プロジェクト関連施設に絞って見学した。 当施設では、現在、培養研究プロジェクトを基礎と して、商業ベースの蓄養を目指すべく調査研究が行 われている。プロジェクト終了後から、 6 基のキハ ダ用生簀が沖合に設置され、活発に泳ぐキハダを確 認することができた。 1 つの生簀には120尾のキハ ダが蓄養されており、 1 年目生簀、 2 年目生簀とい うように年齢に応じて区分けされている。これまで、 生簀の数を増やしてきており、さらに今後大規模化 することが見込まれている。 飼育員によると、生簀の大きさは直径50㍍、深 さ12㍍。 1 ㌔㌘のキハダを 3 年で30㌔㌘まで蓄 養しており、数年後には出荷できるレベルの状態 になり、餌料は冷凍イカを使用しているとのこと。 次に財団がプロジェクトで設置した陸上のマグ ロ類培養施設を見学した。当施設は非常に巨大で あり、筆者がこれまで訪れた財団プロジェクト・ サイトのなかでは最大規模の施設、設備であった。 建屋では、水槽内で採卵した卵をふ化させ、稚魚 の段階では、ミルクフィッシュの稚魚を餌料に用
インドネシア・まぐろ類培養研究プロジェクトの現在
フィジー事務所員 前田盛 暢彦 研究所のメインエントランス 生簀の中のキハダ 沖合から見た生簀数種と培養施設遠景 17 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 18いていた。魚体の大きさに応じて飼育水槽を分け ており、よく管理されている印象を持った。 案内してくれた元研究員からは、「近畿大学、 JICAを含む、他研究機関・ドナーとの共同研究 を模索中である」とのコメントがあった。 所感: 案内の元研究員や飼育員からはプロジェクトに 従事していた北川専門家や中澤専門家の名前が何 度も挙げられ、専門家の技術協力が現地に移管、 今でもその成果が継続していることを実感できた。 当施設は現在、インドネシア人研究者、技術者に よって日々、研究が進められており、いずれは完 全養殖を達成し、同国の培養研究の発展に大きく 貢献すると考えられる。 財団プロジェクトで使用したマグロ類培養施設 生後1ヶ月半の稚魚 屋内18㍍水槽 親魚から採卵を試みている 建屋内 稚魚の大きさ別に数種の水槽がある ふ化用水槽
海外漁業協力財団(以下 「財団」 という。)主 催の第26回「日中韓水産研究者協議会」(以下 「協議会」という。)が、2015年11月 3 日~ 4 日の 両日、中国北京市において開催された。 開会式には、財団の竹中美晴理事長、中国水産 科学研究院 張顕良院長、中国農業部漁業漁政管 理局 崔利鋒副局長、大日本水産会 小林憲理事、 在北京日本国大使館経済部 伊藤優志参事官ほか が出席した。冒頭、主催者を代表して 竹中理事 長が挨拶を行い、引き続き開催国代表の中国水産 科学研究院 張院長、来賓代表の中国農業部漁業 漁政管理局 崔副局長が挨拶し、最後に、日本国 大使館の伊藤優志参事官が中国語で挨拶し協議会 の開催を祝した。 協議会には、日本の国立研究開発法人水産総合 研究センター日本海区水産研究所の檜山義明業務 推進部長を団長とする日本側研究者 7 名、中国 水産科学研究院黄海水産研究所の王俊漁業資源与 生態系統研究室主任を団長とする中国側の研究者 7 名、そして、韓国国立水産科学院東海水産研究 所の李用華資源環境科長を団長とする韓国側研究 者 7 名、及び、オブザーバーとして多数の関係者 が出席した。 協議会では、中国水産科学研究院 鄭志霊副院 長が座長を、財団の時村宗春技術顧問が副座長を 務め、第 1 議題「資源特性を考慮した漁業資源の 管理と利用に関する研究の現状」、第 2 議題「次 期協議会開催の時期、場所及び議題」、第 3 議題 「その他」について協議した。 第 1 議題では、「資源評価及び資源変動予測の 現状と課題」、「資源の持続的利用法及び回復方策 の現状と課題」、及び「海洋生態系の変動に関す る現状と課題」の 3 つのサブテーマの下、まず、 中韓日の順番で 3 か国の団長が、それぞれ「渤海 の漁業資源増殖に関する研究」、「韓国における水 産業と水産資源管理の現状」、「正確な漁獲統計、 環境による資源 変動への対応、 総合的な資源・ 漁業管理の必要 性」について基 調講演を行っ た。 このなかで、韓国の李用華団長が、韓国の水産 業及び資源管理の問題点を率直に紹介されている 姿が協議会ならではという印象であった。 続いて、 3 か国15名の研究者が、以下の 5 セッシ ョンにおいて、計15の調査研究の成果(別紙「発表 論文リスト」参照)を報告し、セッションごとに関 【主催者挨拶】 竹中美晴理事長 開会式会場風景 鄭志鄭志霊座長と時村宗春副座長 【開催国代表・来賓から挨拶】 張顕良院長、崔利鋒副局長、伊藤優志参事官
第26回日中韓水産研究者協議会開催
19 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 20連する質疑と討論を行った。( 1 )生物特性の解明、 ( 2 )資源評価と管理、( 3 )資源変動、( 4 )総合 的な資源管理、( 5 )藻場と流れ藻。 このうち、第 5 セッションは韓国で大きな問題 となっているアカモク(ホンダワラ類)等の大量 漂着というトピックに対応して設定したセッショ ンであり、韓国の伊錫官(ユンソッキョン)博士 の研究発表に対応して、事務局が日本側の状況に 関する情報提供((国研)水産総合研究センターと 連携して対応)を行った。 全体に優れた発表が多く、熱心な質疑が交わさ れたが、とくに漁業現場に密着した発表が関心を 集め、知見の少ない瀬戸内海のハモについて、県 の研究者と連携して、工夫しながら資源評価・資 源管理方策の提言を行った、日本の中央水産研究 所の亘真吾主任研究員の発表、漁業者と膝詰で意 見交換しながら、漁業者が自主的な資源管理方策 を定める取り組みをした、中央水研の牧野光琢グ ループ長の発表に対しては、質問が殺到してなか なか終わらなかった。 「総合討論」では、総括として、「情報共有」に 関して、 3 か国が同じ海の資源を共有しているこ とを再認識し、今後、各国がHPで公表している 漁獲統計などの情報を共有するとともに、研究者 間でE-mailなどによる情報共有を推進することを 確認した。また、「連携」については、中国より サワラの共同研究を 3 か国で進めるために、ワー キンググループを立ち上げたいという提案がなさ れた。この提案に対して副座長から、各国におい て関係する研究者にワークンキンクグループへの 参画を打診することが提案され、中韓両国から同 意するとの回答がなされた。この動きは、協議会 として新しいものであり、日本の水産総合研究セ ンターに長年在籍していた、現中国海洋大学の田 永軍教授が中国代表団として参加したことによる ものである。 第 2 議題である「次期協議会開催の時期、場所 及び議題」について、事務局が、2016年11月初旬 頃、日本において開催することを提案し、 3 か国 の団長より同意を得た。また、議題については、 今回と同じ「資源特性を考慮した漁業資源の管理 と利用に関する研究の現状と今後の方向」をテー マとして、さらに交流を深めようとする事務局提 案を各国が持ち帰って検討し、同2016年12月末ま でに検討結果を事務局に連絡し、それを受けて事 務局が調整することとした。 第 3 議題の「その他」では、韓国側より、例年 11月頃に 3 か国の研究機関長会議が開催されてお り、そちらにも研究者を派遣する必要があること から、協議会のテーマを決める際、研究機関長会 議の結果との摺合わせをして欲しいとの提案がな されたことに対し、事務局から、次年度の協議会 のテーマ設定にあたって2015年11月下旬の研究機 【基調講演】 王俊団長、李用華団長、檜山義明団長 【研究発表】 【研究発表】
関長会議の結果を参考にする旨回答した。 最後に 3 か国の研究者から、これまで25年間に 亘り継続して協議会を主催してきた財団に対して 感謝の意が表された。 協議会終了後の11月 5 日、日韓両国の研究者は、 中国・大連市に移動し、遼寧省海洋水産科学研究 院を訪問した。同科学研究院内の大会議室におい て「沿・近海域における漁業資源の持続的利用と 回復方策」をテーマとした現地研究交流会を開催 した。 日中韓 3 か国の計 4 名の研究者から研究成果発表 が行われ、参加した遼寧省海洋水産科学研究院の職 員を交えて、活発な質疑応答と意見交換が行われた。 なお、研究院では、お湯を入れると、日中韓研究者 交流会ポスターの絵柄が浮き出す記念マグカップを 製作するほどの熱の入れようであった。 11月 6 日、遼寧省大連海洋漁業集団公司(漁港、 魚市場、加工品展示直販店など)、大連天正実業 有限公司(トラフグなど魚類の陸上養殖施設)を 視察し、漁業生産現場の経営者及び技術者との交 流が行われた。 11月 7 日、濃霧のため日韓とも帰国便が飛ばず、 大連で延泊し、11月 8 日、日韓両国の研究者が、 全ての日程を終え、それぞれ無事帰国した。 (2015年11月 協議会事務局) 遼寧省海洋水産科学研究院視察(大連) 現地研究交流会(ミニシンポ)共催 大連海洋漁業集団公司漁港視察 現地研究交流会参加者一同 大連天正実業公司の陸上養殖施設視察 お湯を注ぐ前とその直後の絵柄の変化 21 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 22
第26日中韓水産研究者協議会
発表論文リスト
基調講演
1 . 渤海の漁業資源増殖に関する研究
Study on the enhancement of fisheries resources in the Bohai Sea.
―― 王 俊(Mr.WANG Jun)中国水科院黄海水産研究所漁業資源与生態系統研究室 主任/研究員 (団長)
2 . 韓国における漁業資源管理に関する研究の現状
Status of research project on the fisheries resources management of Korea
―― 李 用華(Mr.LEE Younghaw)国立水産科学院東海水産研究所 漁業資源環境科長 (団長)
3 . 正確な漁獲統計、環境による資源変動への対応、総合的な資源・漁業管理の必要性について
On three important issues, accurate catch statistics, dealing with resource fluctuations by the environment, and comprehensive management of fisheries and resources
―― 檜山 義明(Mr.HIYAMA Yoshiaki)水産総合研究センター日本海区水産研究所 業務推進部長 (団長)
研究発表
中国
1 . ブートストラップ法による体長・体重アロメトリー式における指数bのキグチ産卵期の指標としての利用の試み
Testing of power b in exponent relationship between body length and weight of small yellow croaker as spawning indicator by Bootstrap method
―― 劉 勇(Mr.LIU Yong)中国水産科学研究院東海水産研究所漁業資源実験室 副研究員
2 . 気候変動を背景とした広域回遊魚類資源に対する国際協力と管理 ―― サワラを例として
International collaborations for transboundary assessment and management of highly migratory fish species under changing climate: A case study for Japanese-Spanish mackerel
―― 田 永軍(Mr.TIAN Yongjun)中国海洋大学水産与生命学院 教授
3 . 東シナ海・黄海におけるマサバの生物経済学的モデル及び管理戦略
Bio-economic Model and management strategy evaluation of chub mackerel (Scomber japonicus ) in the East China sea and Yellow sea
―― 李 綱 (Mr.LI Gang)上海海洋大学海洋科学学院 講師
4 . 種の機能の空間構造と漁業資源の保全
Spatial Pattern of Species Function and Fisheries Conservation ―― 康 斌(Mr.KANG Bin)集美大学水産学院 教授
5 . 南シナ海大亜湾岩礁域におけるガラモ場(ホンダワラ類藻場)の再生技術
Restoration techniques for Sargassum beds restoration in rocky intertidal coasts of Daya Bay, Southern China Sea ―― 韓 婷婷(Ms.HAN Tingting) 中国水産科学研究院南海水産研究所漁業生態環境研究室 副研究員
韓国
1 . 韓国南東海域におけるマダラの移動と生活史の特徴に関する研究
Studies on the movement and life history traits of Pacific cod Gadus macrocephalus in the Korean Southeast Sea ―― 李 政勳(Mr.LEE Jeonghoon) 国立水産科学院南東海水産研究所 研究士
2 . 韓国東方海域におけるヒレグロGlyptocephalus stelleri の分布と生態に関する研究
Distribution and fisheries ecology studies of Blackfin Flounder Glyptocephalus stelleri in the Eastern Sea of Korea ―― 梁 裁炯(Mr.Y ANG Jaehoung) 国立水産科学院東海水産研究所 研究士
3 . 東シナ海におけるウチムラサキガイ Saxidomus purpuratus の資源評価と資源回復方策
Fisheries resources assessment and rebuilding research of Saxidomus purpuratus in the East China Sea ―― 金 盈蕙(Ms.KIM Yeonghye)国立水産科学院南西海水産研究所漁業資源環境科 研究官
4 . 韓国西方海域におけるマダラの漁獲量変動と分布特性
Catch variation and distribution of Pacific cod,Gadus macrocephalus in the West sea (Eastern Yellow Sea), Korea ―― 車 炳烈(Mr.CHA Byungyul)国立水産科学院西海水産研究所漁業資源環境科 研究士
5 . 東シナ海・黄海における浮遊海藻の流入状況と生物学的特徴
The occurrence status and biological characteristics of planktonic macro algae in the Yellow Sea and East China Sea ―― 尹 錫賢(Mr.YOUN Seokhyun)国立水産科学院研究企画本部漁業海洋情報科 研究士
日本
1 . 日本海西部におけるカレイ科 2 種(ムシガレイ、ソウハチ)の資源状況
Current status of two righteye flounder (Eopsetta grigorjewi, Hippoglossoides pinetorum) stocks in the western Japan Sea ―― 八木 佑太(Mr.YAGI Yuta) 水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部資源生態グループ研究員
2 . 瀬戸内海のハモを例とした資源評価と資源管理の検討
Stock assessment and fisheries resource management of the daggertooth pike conger in the western Seto Inland Sea ―― 亘 真吾(Mr.WATARI Shingo) 水産総合研究センター中央水産研究所資源管理研究センター 主任研究員
3 . ヒラメの成育場環境と資源の変動
The influence of nursery ground processes on population dynamics of Japanese flounder
―― 上原 伸二(Mr.UEHARA Shinji)水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部 沿岸資源グループ長
4 . 瀬戸内海の小型底曳き網漁業による小魚資源の活用
Use of small fish resources caught by bottom trawl fisheries in Seto Inland Sea,Japan ―― 南 卓志(Mr.MINAMI Takashi) 福山大学生命工学部附属内海生物資源研究所 教授
5 . 漁業管理シナリオの総合的評価
The integrated assessment of fisheries management scenarios
―― 牧野 光琢(Mr.MAKINO Mitsutaku) 水産総合研究センター中央水産研究所経営経済研究センター漁業管理グループ長 現地研究交流会 1 . 遼寧省近岸水域の漁業資源調査と評価 ―― 劉 修澤(Mr.LIU Xiuze)〔中〕遼寧省海洋水産科学研究院漁業資源研究室 副研究員 2 . マダラの資源管理の現況 ―― 李 政勳(Mr.LEE Jeonghoon)〔韓〕国立水産科学院南東海水産研究所 研究士 3 . 漁業管理と種苗放流による沿岸資源の管理 ――ヒラメを例として ―― 上原 伸二(Mr.UEHARA Shinji)〔日〕水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部 沿岸資源グループ長 4 . 中国対蝦(大正エビ)の増殖及びその効果の評定 ―― 王 彬(Mr.WANG Bin)〔中〕遼寧省海洋水産科学研究院漁業資源研究室 副研究員 (計22篇) 23 海外漁業協力 第74号 2016.6 海外漁業協力 第74号 2016.6 24