Identification of expression signal of endothelial HLA and drug exploration
〔Abstract〕 The production of donor HLA-specific antibody (DSA), especially HLA class II antibody, have been recognized to cause refractory graft failure. Since there are few effective treatment, we considered the reduction of HLA-class II on endothelial cells would prevent DSA-mediated rejection. We found that Everolimus (EVR), Prednisolone (PRD) and Fluvastatin (FLU) have the suppressive effect on IFNγ induced-HLA class II-DR of ECs. EVR-mediated suppression was involved in post-translational modification through the reduction of tetraspanin proteins CD63 and CD82 which were involved in the HLA proteasome degradation. Although further investigation is required, the usage EVR/PRD/FLU could prevent DSA-mediated graft injury, and the development of new drug targeting tetraspanin would prevent DSA-mediated rejection in organ transplantation.
key words; HLA class II, Everolimus, Prednisolone, Fluvastatin, Tetraspanin
(HLA class II、エベロリムス、プレドニゾロン、フルバスタチン、Tetraspanin)
Kenta Iwasaki1)*, Akihiro Maenaka2)*, Takaaki Kobayashi3)*
近年の腎臓移植は、移植前の抗体検査法の進 歩や、脱感作療法、また良質な免疫抑制剤を背 景 に5 年・10 年 生 着 率 が そ れ ぞ れ 95 %、90 % と良好な成績を保ってきた1)
。加えて、mTOR (mammalian Target of Rapamycin)阻害剤である Everolimus が免疫抑制剤として使用できるよう になり、更なる成績向上が期待されているが2)、 維持期における大きな成績向上は見られないのが 現状である。
個々の薬剤はTDM(Therapeutic Drug Monitoring) の対象薬剤であり、血中濃度を指標とした投与 量の調節が行われている。TDM を基本とした厳 密な濃度調整をすることで、多剤併用療法が可 能となり、移植後早期の拒絶反応は大幅に軽減 背景 受付:2018 年 3 月 23 日、受理:2018 年 5 月 11 日
Department of Kidney Disease and Transplant Immunology, Aichi Medical University School of Medicine 愛知医科大学腎疾 患・移植免疫学寄附講座
Department of Pharmacy, Aichi Medical University School of Medicine 愛知医科大学薬剤部
Department of Kidney Disease and Transplant Immunology, Aichi Medical University School of Medicine 愛知医科大学腎移 植外科
岩﨑研太
1)・前仲亮宏
2)・小林孝彰
3) REVIEW ARTICLE内皮細胞
HLA の発現抑制シグナルの
同定と薬剤探索
1) 2) 3) されてきた。現在、長期の成績向上を阻む要因 は、Donor HLA Specific Antibody (DSA)、 特 にde novo DSA による慢性抗体関連型拒絶反応であ る。 慢性抗体関連型拒絶反応の抑制は、臓器の長期 生着およびそれに伴う患者Quality of Life の向上 のために重要になってくる。臓器移植においては 抗ABO 抗体と DSA が抗体関連型拒絶反応の原因 となる。中でもHLA class I (A, B)、 class II (DR) のミスマッチは以前からリスクが高いとされて いる3)。HLA class I と class II のミスマッチに対 する予後の比較ではHLA class II のミスマッチの 方が不良であるという報告もある4)。さらにde
novo DSA による抗体関連型拒絶反応は度々治療 困難となり、移植臓器の廃絶となる。通常、抗体 関連型拒絶反応の治療においては免疫抑制剤の強 化、もしくはRituximab や Bortezomib (BOR) と いったB 細胞を標的とした治療、もしくは血漿 交換による抗体除去療法が取られる。しかしなが ら、移植後慢性期においては現在これらの治療効 果は限定的であり5, 6)、de novo
岩﨑研太
1)・前仲亮宏
2)・小林孝彰
3) REVIEW ARTICLE内皮細胞
HLA の発現抑制シグナルの
同定と薬剤探索
免疫抑制剤による内皮細胞上のHLA class II DR(HLA-DR) への影響 ン(PRD)、フルバスタチン (FLU) を本研究では 用いた。内皮細胞におけるHLA-DR は炎症状態 によりサイトカインの作用を受けて発現する誘 導性のものである8)。そのため、ヒト臍帯静脈内 皮細胞由来細胞(EA.hy 926) を、各薬剤存在下で Interferon-γ (IFNγ) を添加し、細胞膜上の HLA-DR の発現をフローサイトで解析した。その結果、 CSA、TAC、MPA で は、IFNγ に て 誘 導 さ れ た HLA-DR の抑制効果は見られなかったが、EVR、 PRD、FLU の 3 剤では抑制効果を示した(図 1)。 当研究室ではEVR にて内皮細胞上の HLA-DR の 発現が抑制されることを明らかにしている9)。本 結果では、EVR に加えて PRD と FLU にも同様 の効果がある可能性が示された。 EVR とステロイドは移植後の免疫抑制療法に 使用される薬剤であるが、FLU は HMG-CoA(3-Hydroxy-3-methyl-glutaryl-CoA) 還 元 酵 素 阻 害 剤 の一種としてとして、脂質異常症に使用される。 心血管イベントを抑制するためにもスタチンの投 与による脂質異常症のコントロールは重要であ り、移植後に合併するものも例外ではない。その ため、移植後の患者でも使用頻度の高い薬剤であ図1. EA.hy 926 に各薬剤を投与し、30 分後に IFNγ にて刺激を行った。刺激後 48 時間後に HLA-DR の発現をフローサイトメトリー
で解析したところ、CSA, TAC, MPAではHLA-DRに対して影響を及ぼさなかったが、EVR, FLU, PRDでは誘導性のHLA-DRを抑制した。
通常移植後に使用される薬剤、シクロスポリ ン(CSA)、タクロリムス (TAC)、ミコフェノール 酸(MPA)、エベロリムス (EVR)、プレドニゾロ にドナーHLA class II に対する抗体産生は移植腎 機能不全と強い相関がある7)。 HLA class II は一般的には抗原提示能を有する B 細胞やマクロファージ、樹状細胞といった細胞 に発現を認める。内皮細胞においては定常状態で は発現レベルは低く、炎症など活性化された状態 で誘導されることがわかっている。抗体関連型拒 絶反応は、抗体―抗原反応を機に発生することを 考えると、その治療法においては、抗体除去と同 様、抗原除去もその一助となり得ると考える。事 実、異種移植における主要な標的抗原であった αGal 抗原の除去が、異種移植を現実のものへと 希望を与えた。 そこで現在、我々の研究室では移植後に使用さ れる薬剤の中で、内皮細胞上の誘導性HLA class II へ影響を与える薬剤の探索を行っている。
転写への影響 HLA class II は主に 3 つのプロモーターを使用し てその発現が制御されている。恒常的な発現の際 に使用されるプロモーターと、炎症因子によって 制御されるプロモーターは異なる。内皮細胞で は炎症時のサイトカインの作用を受けたときの み、その発現は高値となる。そのため、IFNγ に よるJAK/STAT シグナル経路を介した、Class II transactivator (CIITA) の発現増強が大事となる。 CIITA により HLA class II の転写が促進される ことで、HLA class II が細胞膜上へ発現する(図 2 左)。これら一連の発現メカニズムにおいて、 翻訳後修飾への影響 次に、EVR が持つ HLA-DR の発現抑制効果に ついて検討した。HLA-DR は翻訳後調節を受けて その発現が制御される。恒常的にMHC II が発現 している樹状細胞において、そのタンパク質発現 はユビキチン化によって制御されることが報告さ れている12)。HLA class II の翻訳後修飾に関わる タンパク質の一種として、Tetraspanin family と呼
図2. ( 左図 )HLA class II は IFNγ で刺激を受けると、まず JAK/STAT シグナル経路から CIITA の発現が増強する。続いて HLA class II の転写が促進されることでタンパク質として作
られ、それが細胞内にてTetraspanin family との会合により安定化されて細胞膜上へ発現する。
( 右図 ) 細胞膜上の HLA class II はユビキチン化を受けてプロテアソームにて分解を受ける。
その際のユビキチン化にもTetraspanin family は影響を与えているとされている。
図3. EA.hy 926 に HLA-DR の発現抑制効果がみられた各薬剤を投与し、30 分後に IFNγ に
て刺激を行った。刺激後24 時間後に mRNA を回収し、qRT-PCR にて CIITA と HLA-DR の
mRNA 発現を測定した。( 左図 )CIITA の mRNA では PRD で抑制傾向を示した。EVR,FLU は影響を与えなかった。( 右図 )HLA-DR の mRNA では PRD,FLU にて抑制傾向を示した。 EVR は影響を与えなかった。 る。また、スタチンがIFNγ 誘導性の MHC class II の発現を抑制するという報告は以前にもされて おり、免疫調節を可能にする薬剤として期待でき るものであると考える10), 11)。 HLA-DR の 抑 制 効 果 を 示 し た EVR、PRD、FLU の3 剤の作用機序について検討した。 IFNγ 刺激後 24 時間のサンプルより RNA を抽 出し、CIITA と HLA-DR の mRNA を qRT-PCR に て 測 定 し た。 そ の 結 果、PRD は CIITA と HLA-DR の mRNA、FLU は HLA-HLA-DR の mRNA を 抑 制 していた。一方、EVR はいずれの mRNA も抑制 しないことが明らかとなった(図3)。
ばれるものがあり13)、このタンパク質は抗原提示 細胞において、HLA class II の安定化に関与する と言われている(図2)。HLA class II は細胞内に て抗原ペプチドを載せて細胞膜上に出現するが、 Tetraspanin family は細胞内で HLA class II と会合 することで細胞膜上への発現を安定化させる14)。 また細胞膜上では、HLA class II のユビキチン化を 阻害すると言われている。すなわち、HLA class II の細胞内外での発現とHLA-class II が本来所有す る抗原提示能を調節するタンパク質である。 そこで、Tetraspanin family の中でも抗原提示 細胞にて前述のHLA class II のユビキチン化を制 御するとされるCD63 と CD82 に着目し、フロー サイトメトリーにて各薬剤の影響を検討した。 すると、EVR は両者とも大幅に抑制し、FLU は CD63 については有意な抑制を示した。一方で、 PRD は両者とも有意に発現を増強した(図 4)。 すなわちEVR と FLU の HLA class II の発現抑制 効果は、翻訳後修飾への影響も関係しているので はないかと考えられる。
Tetraspanin family が HLA class II の 発 現 と 分 解の両段階に関与しているとするならば、EVR 図4. EA.hy 926 に各薬剤を投与し、30 分後に IFNγ にて刺激を行った。刺激後 48 時間後に CD63 と CD82 の発現をフローサイト メトリーで解析したところ、EVR は両タンパク質とも大幅に抑制しており、FLU は CD63 について抑制がみられた。PRD は両タン パク質とも発現の増強がみられた。 はどちらの段階に作用しているのか検討した。プ ロテアソーム阻害剤であるBOR 存在下で EVR に よるIFNγ の発現制御を、フローサイトメトリー とウェスタンブロッティングにて検討した。EVR が分解の段階に作用するのであれば、BOR をタ ンパク質回収前に投与することで、プロテアソー ムによるHLA-DR の分解は阻害され、細胞膜上 のHLA-DR はいくらか保持された状態になると 考えた。その結果、フローサイトメトリーでは BOR の添加により HLA-DR の発現が増強するこ とはなく、EVR による抑制効果も同程度見られ た。一方で、ウェスタンブロッティングでは、 BOR の添加により HLA-DR のバンドが強く出現 した(データ不掲載)。フローサイトメトリーは 細胞表面上に発現しているタンパク質において、 標識抗体が接着し測定される。それに対してウェ スタンブロッティングでは、細胞内部を含めた 総タンパク質としてのHLA-DR を検出している。 すなわち、BOR のプロテアソーム阻害作用によ り細胞内部でのHLA-DR のタンパク質量は増加 するが、EVR の投与により細胞表面では抑制さ れた状態であることが示唆される。
31(2): 87-95, 2017
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Expression of MHC class II molecules in different cellular and functional compartments is controlled by differential usage of multiple promoters of the transactivator CIITA. EMBO J 16(10): 2851-2860, 1997 9) Iwasaki K, Miwa Y, Uchida K, Kodera Y, Kobayashi
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別刷請求先:岩﨑研太 〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又 1-1 愛知医科大学腎疾患・移植免疫学寄附講座 E-mail:[email protected] 今回、本研究にて、移植後に使用される薬剤 の中で、免疫抑制剤であるEVR、PRD 及びスタ チンの一種であるFLU において、HLA-DR の抑 制効果が見られた。3 剤それぞれの抑制機序は異 なっており、使用タイミングなどの効率的な併用 で内皮細胞膜上の誘導性HLA-DR を制御できる 可能性がある。de novo DSA の発生は、その後の 抗体関連型拒絶反応を引き起こす。移植後に産生 された抗体除去を試みた治療効果は限定的であ り、多くの場合移植臓器は機能不全となる。発 現抑制メカニズム、また実際の腎組織における HLA-class II の発現確認を含めた更なる検討は必 要であるが、本研究はde novo DSA に起因する 抗体関連型拒絶反応を克服するための免疫抑制 薬の選択への一助となるとともに、Tetraspanin family を標的とした新たな薬剤開発へとつながる のではないかと期待している。 文 献
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Everolimus-based calcineurin-inhibitor sparing regimens for kidney transplant recipients: a systematic review and meta-analysis. Int Urol Nephrol 46(10): 2035-2044, 2014 3) Lim WH, Chadban SJ, Clayton P, Budgeon CA, Murray
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