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Vol. 26 No. 1 総説 CAKUT congenital anomalies of the kidney and urinary tract VCUG 要旨 CAKUT e.g. e.g. e.g. VUR e.g. PUV CAKUT VCU

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Key words:CAKUT / 排尿時膀胱尿道造影(VCUG) / DMSA腎シンチグラム / MAG3 レノグラム

要   旨

 CAKUT は尿路における先天異常の総称で腎臓(e.g. 腎 低形成,腎異形成),腎盂尿管(e.g. 水腎症,巨大尿管 症),膀胱(e.g. 尿管瘤,膀胱尿管逆流(VUR)),尿道(e.g. 後部尿道弁(PUV))などの疾患を含む。胎児期に発見され る CAKUT は中枢神経系の異常に次いで多く,全出生の 0.3∼0.6%にのぼる。出生後早期に VCUG を行った方が 良い病態は,1.膀胱の変形,壁の肥厚・巨大膀胱,PUV などの閉塞性疾患,2.水腎水尿管を認める症例,3.両 側性の上部尿路拡張症例,などである。  99mTc DMSA腎シンチグラムは主に VUR に対する分腎 能や腎瘢痕の評価に適している。99mTc MAG3を用いた レノグラムは主に水腎症などの閉塞性尿路疾患に対して 行われ,分腎機能と尿流通過状態を評価するために用い られる。  本稿では具体例を挙げながら,CAKUT に対する VCUG と核医学検査について概説する。

序   言

 Congenital anomalies of the kidney and urinary tract (CAKUT)は尿路における先天異常の総称で腎臓(e.g. 腎 低形成,腎異形成),腎盂尿管(e.g. 水腎症,巨大尿管 症),膀胱(e.g. 尿管瘤,膀胱尿管逆流(VUR)),尿道(e.g. 後部尿道弁(PUV))などの疾患を含む。胎児エコーが普及 した現在では,胎児期に発見される CAKUT は中枢神経 系の異常に次いで多く,最近のコホートスタディでは約 500出生に 1 人の割合で発見される1)。多くの場合には妊 娠継続に問題はないが,胎児治療や早期誘発分娩が考慮 されることもある。  出生後検査の主体は超音波検査に加え,排尿時膀胱尿 道造影(VCUG)とシンチグラムである。以前は尿路精査 のために IVP をとることがスタンダードな時代もあった が,現在はその解像度の低さや造影剤を使用するといっ た理由でほとんど行われていない。より複雑な CAKUT の場合,むしろ MR Urography の方が,解像度が高く被 曝もないので有用である。本稿では出生後の CAKUT に 対する VCUG と核医学検査について,具体例を挙げなが ら解説する。

CAKUT に対する VCUG

 出生後早期に VCUG を行った方が良い病態は, 1. 膀胱の変形(特に壁の肥厚)・巨大膀胱,超音波におけ る Keyhole sign など後部尿道弁などの閉塞性疾患が疑 われる症例, 2. 水腎症のみならず,尿管拡張を認める症例, 3. 両側性の水腎・水尿管など上部尿路拡張を認める症 例,単腎症例での水腎症, などである。  我々の施設では grade 3 以上の水腎症に対しても,比較 的早期に VCUG を行っているが,一側性の水腎症で対側 腎が正常にみえ,総腎機能が安定しているとき VCUG を 含む侵襲的な検査は急ぐ必要はない。出生後の 48∼72 時 間は生理的脱水状態にあるので,この時期に水腎の程度 や尿路の閉塞状況を判断してはいけない。  一方,grade 2 以下の胎児水腎症に対しては,無症候性 に発見される VUR は臨床的に大きな問題を生じること は少ないと考え,我々の施設では症状を伴わない限り VCUGを行っていない。 神奈川県立こども医療センター泌尿器科 (〒 232-8555 横浜市南区六ツ川 2-138-4)

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VCUG 検査の基本

 VCUG 撮像のための尿道カテーテルは細径の栄養 チ ュ ー ブ を 用 い る。 筆 者 ら は 5 歳 ま で の 年 少 児 で は 5Fr,新生児では 4Fr を用いている。造影剤はコンレイ 30%注®を用いている。造影剤の注入は,50∼60 cm の高 さからの自然滴下を基本とする。造影剤注入の際には, 陰影欠損の原因となるため,空気が入らないように注意 する。注入量は予想最大膀胱容量で調節する。乳児で体 重(kg)×7 mℓ,小児で[年齢(year)+1]×30 mℓである2)3) ・撮影のタイミング  撮影の際には照射野を絞り被曝量を最小限にする。初 回検査では,①正面単純撮影(KUB),②膀胱充満時,③ 排尿時,④排尿後の 4 枚を必ず撮る。さらに注入途中で スポット透視を行い,尿管瘤などの膀胱陰影欠損を特徴 とする疾患では注入開始直後でないと確認できないた め,これを見逃さずに撮影する。VUR では撮像のタイミ ングにより程度が変化し実際よりも過少評価されること があるため,透視下によく観察する必要がある。 ・撮影時の体位  撮影時の体位は,造影剤注入時は仰臥位で行う。トイ レットトレーニング終了前の乳幼児での撮影は排尿時も 臥位のままで行う。ただし男児は後部尿道の評価のた め,排尿時の撮影は必ず斜位で行う。乳幼児では撮影中 に排尿を中断することが珍しくなく,尿道全長の写真が 撮れない場合がある。この場合はためらわずに再注入 し,後部尿道を含めた尿道全長の写真を撮影する。その ためトイレットトレーニング終了前の乳幼児では,検査 が終了するまでカテーテルは留置したままが望ましい4)  トイレットトレーニング終了後の患児では,男児は立 位斜位,女児は便座付き撮影台を用いて座位正面で排尿 させる。 ・検査時の鎮静,抑制  小児においても鎮静は通常行わない。そのため,患児 の不安やストレスを軽減させるための工夫が必要であ り,当院では音楽を聞かせたり DVD を見せたりしてい る。協力が得られない小児では介助が必要となるが,抑 制台を用いると,少人数でも検査可能である(図 1)。  我々は反復する急性腎盂腎炎の既往のある患者や VUR を認めた患者では VCUG の検査時に 2 日間の抗菌薬を予 防的に投与しているが,予防投与が検査後の有熱性尿路 感染を予防するという明らかなエビデンスは残念ながら ない5)  次に CAKUT における VCUG の画像を供覧する。

VUR

 従来,乳幼児の有熱性尿路感染症(fUTI)後は VUR の 有無を確認するために,VCUG を行うことがスタンダー ドと考えられてきた。しかし,2011 年,アメリカ小児科 学会(AAP)から出されたガイドライン6)では,初回の fUTIで腎膀胱のエコー所見が正常であれば VCUG は推 奨されていない。また,不要な VCUG を減らすことを目 的として,まず腎シンチグラムで腎瘢痕を評価してから 所見のある患児のみに VCUG を行う Top-Down アプロー チも提唱されている7)8)。しかしこれらのガイドライン, アプローチに関しては反論もあり,その有用性は確立し ていない。現時点では,VUR の診断に VCUG は大変有 用であり,適切なタイミングと方法で検査することはと ても重要である。

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Vに分類する9)。分類の詳細はここでは示さないが, grade判定は主観的側面もあり,特に中等度の VUR では 検者間で判定が異なることもある10)  VUR が蓄尿時にはみられず,排尿時のみ出現すること も珍しくない。同時に排尿時の画像を必ず撮ることは, 尿道病変や残尿の有無を知ることもできる。乳幼児,小 児の VCUG では,排尿時の撮影が時として難しいことが あるが,必ず排尿時の撮像を撮るようにしたい。図 2 は 8か月の男児症例で,蓄尿時には右 III 度の逆流のみみえ るが,排尿時には両側の高度逆流が出現している。尿道 は狭窄病変がなく正常であることが確認できる。図 3 は 6か月の男児症例で,尿道にリング状の狭窄病変を認め る。この症例は逆流防止手術時に内視鏡下尿道切開も 行った。排尿時の撮像に関しては乳児よりもトイレット トレーニングが終了した幼児の方が手強い。図 4 は 4 歳 の女児で,30 分以上排尿をがまんしていた。いったん蓄 尿後,検査室の外に出て休憩した後に排尿時撮像を行っ た。排尿終末時になって,左の VUR が出現した。VCUG は身体的,精神的にとても侵襲の高い検査である。手術 前になって,尿道病変の確認のために VCUG を繰り返さ 図 2 8 か月男児の VCUG

A:蓄尿時には右 III 度の VUR を認める。B:排尿時には左側にも VURが出現,両側の高度 VUR を認める。

図 4 4 歳女児の VCUG

蓄尿時(A),排尿初期(B)では VUR を認めない。排尿終末に左 III 度の VUR が出現した。

図 3 6 か月男児の VCUG 両側高度の逆流症と尿道のリング状狭窄を 認める(○)。後部尿道の拡張所見はない。

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ないためにも,忍耐強く排尿時撮影を行うようにしたい。

VUR に伴う合併病変

 図 5 は 9 歳の女児。右 III 度の逆流と両側の尿管口周 囲の憩室(ハッチの憩室)を認める。尿道の拡張と外尿道 括約筋部が狭く見えるいわゆる“spinning-top”の所見を認 め,dysfunctional voiding の存在が示唆される。  図 6 は 6 か月男児。両側の高度逆流と左腎実質への intrarenal refluxを認める。Intrarenal reflux は腎瘢痕形成の リスクファクターの一つと考えられている。

尿管瘤

 尿管瘤は尿管の下端が囊状に拡張した状態である。い くつかの分類法が存在するが,膀胱内尿管瘤(単一尿管に 多い)と尿管瘤の下縁が膀胱頸部や尿道に及ぶ異所生尿管 瘤(重複尿管に多い)に分類するのがわかりやすい。  胎児エコーで発見され,上部尿路の拡張が強い症例は 比較的早期に VCUG を行う。膀胱の形態,排尿の状態, 尿道病変の有無,姉妹尿管や対側尿管への逆流の有無を 確認する。図 7 は 4 か月男児の単一尿管に合併した膀胱 内尿管瘤である。カテーテル挿入後,1∼2 mℓの造影剤 を注入し撮像する。尿管瘤が小さい場合,少量の造影剤 で撮像しないと瘤を見逃すことがある。図 8 は 0 か月女 児の重複尿管に合併した異所性尿管瘤である。瘤が大き い場合でも造影剤を少量注入した時点で撮像したほう が,より典型的な像を得られる。VCUG では排尿時まで 必ず撮像し,対側尿管や下位腎所属尿管への逆流も見逃 さないようにする。

膀胱憩室

 膀胱憩室は膀胱粘膜が排尿筋の脆弱部から膀胱外にヘ ルニアした状態である。小児の膀胱憩室はメンケス病, プルンベリー症候群,VUR(ハッチの憩室)などに伴う先 天性のものと,後部尿道弁や神経因性膀胱に合併する後 天 性 の も の が あ る。 図 9 は 1 歳 の メ ン ケ ス 病 男 児 の VCUGである。多発する膀胱憩室を認める。排尿筋の収 縮はスムーズだが,尿は有効排尿されず憩室内へ流入し ている。正面像,斜位像,側面像および排尿終了時の所 見が重要である。

尿道病変

 先天性の尿道狭窄病変は排尿圧を上昇させ,二次性の VURや膀胱機能不全を惹起する。両側上部尿路への影響 も大きく,大変重要な病変である。診断に VCUG は不可 欠であり,特に男児の場合には尿道を斜位像でしっかり と撮影することが求められる。  後部尿道弁は形態上 I∼III 型に分類されるが,臨床上 重要なのは I 型で,VCUG における三徴は 1.後部尿道 弁部におけるスリット状の陰影欠損像,2.後部尿道の著 明な拡張,3.膀胱頸部の肥厚である(図 10)。高度の症 例では膀胱の肉柱形成,膀胱憩室,VUR や水腎水尿管な どの変化を合併し,前部尿道は細くみえる。 図 6 6 か月男児の VCUG 両側の高度逆流(A)と左腎実質への intrarenal reflux(B)を認める。 図 5 9 歳女児の VCUG

右 III 度の逆流と両側の尿管口周囲 の 憩 室(ハ ッ チ の 憩 室),spinning-topの所見を認める。

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 前部尿道弁(前部尿道憩室)は後部尿道弁とは成因が異 なる,前部尿道の狭窄病変である。憩室部の front lip が弁 状の構造をとり,尿の排出障害の原因となっている。後 部尿道弁と同様に二次性の VUR などを合併する(図 11)。  前立腺小室囊胞(ミュラー管囊胞)(図 12)は胎生期の ミュラー管の遺残囊胞で,開口部は後部尿道や尿生殖隔 膜部である。男性膣ともいう。高度尿道下裂,性分化疾 患などに合併することが多い。カテーテルが膀胱までス ムーズに挿入できれば VCUG で描出されるが,カテーテ ルが前立腺小室に入ってしまい,VCUG ができないこと も少なくない。開口部が狭い場合には VCUG で描出され ないこともある。エコーや MRI が診断に役立つことも多 い。

CAKUT に対する核医学検査

 99mTc DMSA腎 シ ン チ グ ラ ム は 多 囊 胞 性 異 形 成 腎 (MCDK)と水腎症の鑑別,異所開口尿管などに伴う萎縮 腎の同定,VUR 症例に対する分腎能や腎瘢痕の評価に適 している。腎瘢痕の評価には有熱性尿路感染(fUTI)後 4∼6 か月は期間を空け検査を行うことが望ましい。99mTc 図 7 4 か月男児の VCUG 単一尿管に合併した膀胱内尿管瘤。少量(1∼2 mℓ)の造影剤を 注入すると,尿管瘤が陰影欠損として描出される(A)。造影剤を ある程度以上入れると,尿管瘤は描出されない。B は排尿時。 図 8 0 か月女児の VCUG 重複尿管に合併した異所性尿管瘤。A:膀胱超音波所見。B: 造 影剤少量注入時。C: 蓄尿末期では尿管瘤部が憩室様に外反して いる。 図 9 1 歳メンケス病男児の VCUG A:多発する膀胱憩室を認める。B:排尿筋の収縮はスムーズ。C:膀胱本体は完全に収縮する。D:排尿終了直後の残尿。

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MAG3を用いたレノグラムは主に水腎症などの閉塞性尿 路疾患に対して行われ,分腎機能と尿流通過状態を評価 するために用いられる。尿流状態を評価することに対し ては批判的な意見も多いが,検査条件を厳密にして繰り 返し washout pattern を比較することで,治療方針の決定 に影響を与えている。  核医学検査の小児に対する核種の投与量や撮像時間な どは,施設や撮影に用いるシンチカメラの機種により異 なる。重要なのは,常に必要最小限の被曝量,抑制,鎮 静を心がけ,こどもに対する侵襲を減らすことを念頭に 検査を行うことである。 99m

Tc DMSA による腎機能・腎瘢痕評価

 VUR の腎障害を評価する場合,現在では99mTc DMSA

腎シンチグラムが gold standard となっている。fUTI 後は 一過性の腎機能低下を起こすことがあるので,腎機能・ 腎瘢痕評価を行う場合には 4∼6 か月空けて検査を行う必 要がある11)12)。一方,前述した Top-Down アプローチは fUTIを発症した患児に対して,VCUG を行うかどうか判 断するツールとして急性期(fUTI 診断後 1 週間以内)の 99mTc DMSA腎シンチグラムを用いている8)  99mTc DMSA腎シンチグラムの腎瘢痕評価の分類は, VURにおける国際分類のようなスタンダードが存在しな いのが実情である。ここでは Smellie らのグループが提 唱する分類13)(図 13)と日本逆流性腎症フォーラムの提唱 する分類14)(図 14)を紹介する。  Smellie らの分類では正常(type 1∼2),片側性瘢痕 (type 3∼6),両側性瘢痕(type 7∼9)に分け,さらにその 中で細分類している。相対腎摂取率は 45%以上を正常, 44%以下を異常としている。対側腎が正常の場合は相対 腎摂取率 25%以下を small kidney と定義しているが,両 腎に病変がある場合には画像的に小さい腎臓を small kidneyと定義している。  一方,日本逆流性腎症フォーラム分類では相対腎摂取 率 50±5%を正常,相対腎摂取率 40∼45%もしくは軽度 腎瘢痕(2 個まで)を認めるものを Group 1,相対腎摂取率 40%以下もしくは高度腎瘢痕(3 個以上)を Group 2,両側 高度腎瘢痕(3 個以上)を Group 3 としている。  DMSA 腎シンチグラムの所見は手術適応やフォローア 図 10 0 歳男児の VCUG I型後部尿道弁を認める。 図 11 3 か月男児の VCUG 右側の高度 VUR(A)と前部尿道憩室(前部尿道弁)(B)を認める。 図 12 0 歳男児の VCUG 高度尿道下裂に合併した前立腺小室を認める(→)。

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プスケジュールの決定に有用である。DMSA 腎シンチグ ラムに異常を認める 2 歳以下の VUR 患児では,有意に 有熱性尿路感染の再発率が高い15)ので,高度 VUR に DMSA腎シンチグラムの異常所見を合併している患児に は積極的に手術治療を勧めている。また,Smellie らは小 児期に高血圧を呈した VUR 症例は全例 IVU にて瘢痕を 認めると報告している16)。IVU と DMSA 腎シンチグラム の違いはあるが,我々の施設では DMSA 腎シンチグラム に異常所見を有する患児は,VUR 手術後や VUR 自然消 失後も,血圧やタンパク尿の有無を中心にフォローアッ プしている。  図 15 は 4 歳男児,左 IV 度,右 I 度の逆流を認める。 DMSA腎シンチグラムでは左腎の中央部外側と右腎の上 極に瘢痕を認め Smellie の分類 type 7,RN フォーラム分 類 Group 1b となる。  DMSA 腎シンチグラムはエコーなどで描出の難しい異 所開口尿管に伴う萎縮腎の検出にも有用である。図 16 は持続性尿失禁を主訴とする 4 歳の女児。超音波検査で 左腎欠損の診断を受けている。DMSA 腎シンチグラムで は左の萎縮腎に集積を認め,左尿管異所開口の診断で腹 腔鏡下に左腎摘出を行い,尿失禁の改善が得られた。手 術に当たり,CT,MRI などの追加検査は必要としなかっ た。  図 17 は 0 歳女児。左重複腎盂尿管に異所性尿管瘤を 合併している。DMSA 腎シンチグラムでは尿管瘤を合併 した左上腎にも約 9%の集積を認めた。内視鏡下に尿管 瘤を切開,減圧した後,尿管径の縮小を期待して 6 か月 ほど経過観察の後,尿管瘤切除と左尿管の新吻合術を行 い左上腎も温存した。 図 13 Smellie らの腎瘢痕分類 (文献 13 より抜粋) 図 14 日本逆流性腎症フォーラムの提唱する腎瘢痕分類 (文献 14 より抜粋) 図 15  4 歳男児,左 IV 度,右 I 度の逆流を認める(A)。DMSA 腎シンチグラムでは左腎の中央部外側と右腎の上極に瘢 痕を認める(B)。

(8)

99m

Tc MAG3 利尿レノグラムによる

腎機能と尿路閉塞の評価

 小児の先天性水腎症は,腹痛,有熱性尿路感染症,呼 吸障害や哺乳障害など症状を伴う症候性水腎症にくわ え,周産期超音波検査の普及により,60∼70%が無症候 性に発見されるようになった17)。症候性水腎症は手術治 療による閉塞の解除が行うことが一般的である。一方, 無症候性の先天性水腎症は尿路の狭窄部が成長に伴って 自然改善する症例があり,超音波検査と利尿レノグラム を定期的に行いながら手術適応を判断する待機的治療が 標準になっている。待機治療による経過観察では,腎機 能を落とさず,的確に手術適応症例と手術時期を判断す ることが重要であり,腎機能と尿路閉塞の評価として MAG3利尿レノグラムが最も有用な検査方法のひとつで ある。我々の施設では,出生後初診時の超音波検査で G3,G4 の胎児水腎症に対して,VCUG と MAG3 レノグ ラムを行っている。待機的治療とした場合,レノグラム の再検査は 6 か月∼1 年後,その後は年 1 回のレノグラ ムを行いフォローしている。水腎症の形態に変化がな く,5∼10%以上の分腎能低下を認める際には手術の適応 と し て い る。MAG3 利 尿 レ ノ グ ラ ム の 方 法 は,Well Temperedの方法18)に準じて行っている。10 歳以下の小 児には尿道カテーテルを留置し,3 歳以下の幼児は鎮静 下に検査を行っている。  水腎症における MAG3 利尿レノグラムではおもに,分 腎比と利尿剤投与後の半減時間(dT1/2)を参考にしてい る。我々の施設では,分腎比は核種投与 1 分後からの 60 秒間,左右腎皮質におけるトータルカウントから求めて いる。排泄パターンは図 18A が正常パターン,図 18B 図 16 4 歳女児の DMSA 腎シンチグラム 左腎に一致した部位に萎縮腎の集積を認める。 図 17  0 歳女児の DMSA(A),左腎超音波(B)および VCUG(C) 左重複腎盂尿管に伴う異所性尿管瘤。左上位腎は約 9%の集積 を認める。 図 18 利尿レノグラムの排泄パターン (A)が正常パターン,(B)は拡張腎盂への核種貯留のため利尿剤 投与までは排泄がみられないが,利尿剤投与にて速やかに排泄 がみられる非閉塞パターン,(C)は利尿剤に反応しない,閉塞パ ターン。

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は拡張腎盂への核種貯留のため利尿剤投与までは排泄が みられないが,利尿剤投与にて速やかに排泄がみられる 非閉塞パターン,図 18C は利尿剤に反応しない,閉塞パ ターンである。dT1/2 が 20 分以上であれば閉塞パターン と判断している。  図 19 は 6 か月男児の無症候性左水腎症 G4 の利尿レノ グラムである。分腎比は左 56%,右 44%で高度水腎を認 める左の方が,分腎比が高くなっている。水腎症におけ る病側の腎機能亢進は,片側水腎症症例の 10∼20%程度 にみられる19)20)。右側は正常排泄パターンで,dT1/2 は 3 分半,左も利尿剤負荷により速やかに排泄が促進され, dT1/2 18分で非閉塞パターンである。排泄パターンをみ るうえで,関心領域の設定は大変重要である。本症例に おいて腎皮質部のみに関心領域を設定すると,左腎にお いても速やかに核種が排泄され,正常パターンの排泄 カーブとなり,排泄相を正確に評価できない。関心領域 を設定する場合は必ず閉塞部位,すなわち腎盂尿管移行 部狭窄症であれば腎盂尿管移行部を,尿管膀胱移行部狭 窄症であれば尿管膀胱移行部を関心領域に含むように設 定しなければならない。本症例は腎エコーでは SFU 分類 G4の水腎症であるが,分腎比が 40%以上あり,利尿剤 にて排泄も促進されるので,待機的治療とした。  「日本小児腎臓病学会の定める基準に基づく利益相反に 関する開示事項はありません。」 文   献

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図 19 6 か月男児の利尿レノグラム

無症候性左水腎症 Grade 4。狭窄部位(腎盂尿管移行部)を含み関 心領域(ROI)を設定した場合(A)と腎皮質のみに ROI を設定した 場合(B)では排泄パターンが変化する。

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Voiding cystourethrography and renal scintigraphy for congenital anomalies of

the kidney and urinary tract

Yoshiyuki Shiroyanagi, Yuichiro Yamazaki

Department of Urology, Kanagawa Childrens Medical Center

Congenital anomalies of the kidney and urinary tract (CAKUTs) comprise a wide range of renal system structural and functional malformations that occur at the level of the kidney (e.g., hypoplasia and dysplasia), collecting system (e.g., hydronephrosis and megaureter), bladder (e.g., ureterocele and vesicoureteral reflux), or urethra (e.g., posterior urethral valves). CAKUTs occur in 3–6 per 1000 live births and they are the second most common anomalies after central nerve anomalies found in fetal period. VCUG at an early postnatal period is recommended for bladder deformity, bladder wall thickness, megacystis syndrome, urethral obstruction including posterior urethral valve, megaureter and bilateral upper urinary tract dilatations. Renal scintigraphy using DMSA is accepted for evaluating renal cortical damage associated with vesicoureteral reflux. Diuretic renography using MAG3 is widely accepted for evaluating differential renal function and/or the shape of the diuretic curve associated with obstructive uropathy. In this article VCUG and renal scintigraphy for CAKUT are outlined with some examples.

図 4 4 歳女児の VCUG
図 19 6 か月男児の利尿レノグラム

参照

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