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マウス受精卵の発生能に及ぼす    生薬抽出物の影響

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Academic year: 2021

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マウス受精卵の発生能に及ぼす    生薬抽出物の影響

Effect of crude drugs on the developmental potency

       of mouse embryos

  杉本 貴章・辻 優大・加藤容子・角田幸雄

Takaaki S UGIMOTO,Yuta TSU皿,Yoko KATO,Yukio TSUNODA

     近畿大学農学部動物発生工学教室

Laboratory of Animal Reproduction, College of Agriculture, Kinki

      University

【目的】

 哺乳類の初期胚を体外で培養する技術は,発生工学 研究のために開発されてきた,核移植あるいはICSI などを行う上で必要不可欠な基礎的技術である.しか

し,体外で培養した初期胚には,体内で発育した胚と 比較すると,細胞数の減少や発生遅延が見られ,胚を 以上雌へ移植した後の産子率も低い.一方,体外で操 作する核移植やICSIで得られた胚は,体外培養で発 生した受精卵よりもさらに細胞数が少なく,産子率が 低いことが知られている.このことから,細胞数とそ の後の発生能には相関性があり,胚盤胞期の細胞数を 算定する.ことは,体外発生能を評価する1つの指標と 考えられる.そこで本研究では,胚盤胞の細胞数を指 標に,体外培養培地の改善を行った.

 これまでに体外培養培地に添加することで,発生能 向上に有効な天然物の存在が確認されている.本実験 では,さまざまな薬理作用を示す天然物由来成分に注 目し,生薬抽出物を体外培養培地に添加することで,

マウス受精卵の発生能に及ぼす影響について検討した.

【方法】

 生薬抽出法

 「一般用漢方210処方」に記載されている生薬を中 心に実験に用いた.生薬は粉砕後,50ml蒸留水に10 g加えて,蒸留水が10m1になるまで煎じて成分を抽出

した。ついで上澄みを採取し,900gで5分間,4℃で 遠心した.上精は凍結乾燥し,使用するまで4℃の冷 蔵庫に保管した.

 受精卵の回収

 過剰排卵処理を施したBDFI雌マウスを, ICR系雄 マウスと交配させ,hCG投与後20時間後に,受精卵 の回収を行い,以下の実験に使用した.

[実験1]生薬のスクリーニング

発生促進作用の期待できる生薬をスクリーニングし

た.生薬無添加のKSOMaa培地を対照区とし,各生薬 をO.Ol mg/ml濃度でKSOMaaに添加した培地を実験:区 とした.培養開始後5日目(hCG投与後114時問目)に 得られた胚盤胞は,蛍光二重染色法により内部細胞塊

(ICM)と栄養外胚葉(TE)に染め分けて計測を行った,

 [実験2]濃度検討

 実験1で発生促進効果が期待できた生薬の濃度検 討を行い,再現性の確認と,その生薬効果の最適な 濃度を検討した.実験:区として,0(対照区),0.Ol,

0.001,0.0001mg/ml濃度の4区を設けた.

 [実験3]体内発生能の検討

 実験:2の結果より,効果の再現性が確認された生薬 を添加した培地で発生した胚盤胞を,受配雌へ胚移植 を行うことで,生薬の効果が体内での発生能に及ぼす 影響について検討した.胚盤胞は,偽妊娠1.0日齢の ICR系雌マウスの卵管へ移植した.胚移植後,35-6.5 日齢の偽妊娠雌マウスへhCG(101U/50 ul)を投与した

(Tsuji et al., Cell Reprogram,2010,12:183-9.).開腹

検査は18.5日齢に行い,着床率,産仔率を調べた.

【結果】

 [実験1]107種類の生薬をスクリーニングした結果,

生薬No.186,216,305は,対照区と比較して,胚盤胞 への体外発生率には差がなく(それぞれ100%vs lOO%,

93%vs 88%,90%vs 100%),ICM細胞数が有意に向 上していた(13.4 vs16.2,15.7vs18.6,13.Ovs16.9;

P〈O.05) .

 [実験2]次に,これらの生薬の濃度検討を行った結 果,対照区と比較して,0.001mg/ml濃度において,生 薬No.216の総細胞数が有意に増加した(58.O・vs・65、7;

P>O.05) .

 [実!験3]0.001mg/ml濃度の生薬No.216を添加した 体外培養培地で発生した胚盤胞を,平筆雌へ胚移植し

た結果対照区と比較して,有意な差はなかったものの,

着床率(45%vs 52%),産仔率(38%vs 44%)において,

増加傾向がみられた.このことから,体外培養時に生 薬を添加することで,胚移植後の体内発生能向上も認

められた.

【考察】

 未知なる成分を含んでいる生薬には,さまざまな薬 理作用があり,体外培養培地に添加することで,胚の 体外発生能向上に有効な効果が期待できる.本実験で は,マウス受精卵の発生能に有効な生薬が存在するこ とが示唆された.現在,効果の見られた生薬No.216 において,マウス体細胞核移植卵の発生能に及ぼす影 響を検討中である.

一S77一

Presented by Medical*Online

参照

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