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用いたマウス卵子および初期胚のガラス化保存)

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 獣 医 学 ) バ ウテ イ ス タ ホ セ ア ル セ オ ナ ウ イ

    

学位論文題名

Vitrification‑ of mouse oocytes and embryos using ethylene glycol as the sole cryoprotective agent     

(エチレングリコールを単独の凍害防止剤として

    

用いたマウス卵子および初期胚のガラス化保存)

学位論文内容の要旨

  卵子および初期胚の低温保存は、動物繁殖の分野では実用性を持っている。ガ ラス化はあらゆる動物種の卵子および初期胚の低温保存法として、簡易的、実用 的かつ経済的な方法である。数種の凍害防止剤を用いた卵子および初期胚のガラ ス化保存に関する研究が報告されているが、一種類の凍害防止剤のみを含む溶液 によるガラス化保存に関する研究は報告されていない。本研究では、エチレング リコ―ルを単独の凍害防止剤として用いたマウス卵子および初期胚のガラス化保 存法の有用性を証明するために、以下の実験を行った。

  研究1では、エチレングリコールが単独の凍害防止剤としてマウス8細胞期胚 のガラス化に使用できるかどうかを検討するとともに、胚のガラス化前のエチレ ングリコールヘの暴露時の温度が融解後の8細胞期胚の生存性に与える影響につ いて調ぺた。実験1においては、ガラス化に必要なエチレングリコールの最低濃 度は7Mであることが示された。実験2では、8細胞期胚は2Mのエチレングリコー ル を加 えた10%子牛血清を含むりン酸緩衝液(PBS)に、2、5あるいは10分間 暴露した後、さらに7Mのエチレングリコールを加えたPBSに2あるいは5分間暴 露した。その後、胚はガラス化せずに1Mのショ糖溶液に5分間暴露し、胚内のエ チレングリコールを希釈除去した。エチレングリコ―ルに暴露した胚は無処理の 対照群と同様の胚盤胞への発育率を示した。実験3および4では、8細胞期胚を18

(2)

〜22℃ あるいは2430℃で、2および7Mのエチレングリコールに実験Zと同じ ように各種の時間暴露した後、ガラス化した。高室温下(24〜30℃)でエチレ ングリコ―ルヘ暴露すると胚盤胞への発育率は低かった。一方、18〜22℃で7M のエチレングリコールに2分間暴露した胚の発育率は、無処理の対照群と同等の 高 い 値で あ った 。 しか し 、5分 間暴 露した胚 は有意に低 い発育率を 示した (p<0.00 01)。これらの実験結果から、マウス8細胞期胚は、18〜22℃で最初 に2Mのエチレングリコールに2〜10分間の暴露した後、7Mのエチレングリコー ル中での2分間の平衡を行うことにより、ガラス化保存できることが示された。

さらに、24℃以上でのエチレングリコールヘの暴露が、胚の発育に有害であるこ とが明らかになった。

  研究2では、マウス1細胞期胚を7Mのエチレングリコ―ル中で効果的にガラス 化できるかどうか、また、ガラス化・融解胚の体外での発育を培養液交換によっ て改善できるかどうかについて検討した。実験1では、工チレングリコールへの 暴露時間とガラス化が胚の発育に与える影響について、培養液交換を行わずに検 討した。1細胞期胚は7Mのエチレングリコールを加えた修正リン酸緩衝液(PB1) 中に12あるいは5分間、18〜20℃で暴露し、その後ガラス化を行った場合と 行わなかった場合について比較検討した。その結果、エチレングリコール暴露だ けでは胚の発育に影響はないが、ガラス化により胚の発育に有害な影響が現れた。

実験2においては、培養24時間目に培養液交換を行い、実験1と同様の暴露時間 でのエチレングリコールヘの暴露とガラス化が胚の発育に与える影響を検討した。

1あるいは2分間エチレングリコ―ルヘ暴露した胚は高い胚盤胞への発育率を示し た。しかし、5分間暴露したガラス化胚の発育率は著しく低下した(p幻.05)。

実験3では、7Mのエチレングリコールに2分間暴露した胚の生存性と細胞数につ いて無処理胚と比較検討した。培養24時間目に培養液交換を行った場合、ガラス 化・融解胚は無処理胚と差異のない高い胚盤胞への発育率を示した。研究2の実 験から、マウス1細胞期胚は7Mのエチレングリコールを含むPB1中に1あるいは 2分間暴露することによルガラス化保存が可能であり、本実験条件下では、培養

(3)

24時間目に培養液を交換することによってガラス化胚の発育率の改善されること が示された。

  研究3では、7Mのエチレングリコールを含むPB1への―段階あるいは二段階暴 露によるガラス化法が、マウス卵子の低温保存に適用できるかどうか検討した。

また、融解卵子に対する1Mのショ糖溶液中でのエチレングリコールの希釈時間

(5あるいは10分間)の影響およびガラス化溶液へのショ糖の添加効果について も検討した。まず、実験1ではガラス化を行わずに7Mのエチレングリコ―ルを含 むPB1への暴露が卵子の発育能に及ぼす影響について検討した。すなわち卵子は、

―段階で7Mのエチレングリコールを含むPB1に2分間、あるいは2および7Mのエ チレングリコ―ルを含むPB1にそれぞれ2分間ずつ二段階で暴露した。その結果、

どちらの暴露方法を用いても、7Mのエチレングリコールヘの暴露は、卵子の発 育に対して有害であることが示された。実験2においては、ガラス化卵子の発育 に対するエチレングリコ―ルヘの暴露方法およびガラス化・融解後のエチレング リコールの希釈時間の影響について検討した。実験1と同様に一段階あるいは二 段階にエチレングリコールに暴露した後、卵子を液体窒素中でガラス化した。融 解後、エチレングリコールの希釈を5あるいは10分間行い、全ての卵子を体外授 精して胚盤胞への発育率を調べた。その結果、希釈時間が5分間の場合、二段階 でエチレングリコールに暴露した方が一段階の暴露よりも卵子の胚盤胞への発育 率は高かった(p幻.01)。希釈時間を10分間に延長した場合、一段階および二 段階暴露の間に有意な差は認められなかった。次に、0.5Mのショ糖添加および無 添加の7Mのエチレングリコ―ルを含むPB1を用いて卵子を一段階暴露した後ガ ラス化し、融解卵子は10分間エチレングリコール希釈した。ショ糖のガラス化保 存液への添加はガラス化卵子の発育能を大きく改善しなかった。研究3では、マ ウス卵子は7Mのエチレングリコ―ルによってガラス化保存が可能であり、一段 階でのエチレングリコール暴露後の卵子の生存性は、希釈時間を10分間に延長す ることによって改善されることが示された。しかし、7Mのエチレングリコ―ル に0.5Mの シ ョ 糖 を 添 加 し て も 、 卵 子 の 発 育 能 は 改 善 さ れ な か っ た 。

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  以上の結果から、エチレングリコールが単独の凍害防止剤としてマウス8細胞 期胚、1細胞期胚および未受精卵子のガラス化保存に有用であることが明らかに なった。また、エチレングリコ―ルによるマウス卵子および初期胚を効果的にガ ラス化するためには、以下の点が重要であることが分かった。1)ガラス化保存 するためのりン酸緩衝液中のエチレングリコ―ルの最低濃度は7Mである。2) 7Mエチレングリコール暴露時の温度は重要であり、卵子や初期胚は18〜22℃で 暴露することにより高い生存性が得られる。3)ガラス化・融解した1細胞期胚の 生存性は、培養24時間目に培養液を交換することによって改善される。4)ガラ ス化卵子の生存性は、1Mショ糖溶液に10分間暴露してエチレングリコールを希 釈することによって改善される。

(5)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助教授

金 川 弘 司 斉 藤 昌 之 渡 邊 智 正 高 橋 芳 幸

    

学位論文題名

Vitrification of mouse oocytes and embryos using ethylene glycol as the sole cryoprotective agent     

(エチレングリコールを単独の凍害防止剤として

    

用いたマウス卵子および初期胚のガラス化保存)

  卵 子 や 初 期 胚 の 低 温 保 存 技 術 の 簡 易 化 に は 、 単 独 の 凍 害 防 止 剤 を 用 い た ガ ラ ス 化 溶 液 の 開 発 と ガ ラ ス 化 し た 卵 子 お よ び 初 期 胚 の 生 存 性 に 関 与 す る 因 子 の 解 明 が 必 要 で あ る 。

  申 請 者 は 、 エ チ レ ン グ リ コ ー ル を 単 独 の 凍 害 防 止 剤 と し て 用 い た マ ウ ス の 卵 子 お よ び 初 期 胚 の ガ ラ ス 化 保 存 法 に つ い て 検 討 し た 。 ガ ラ ス 化 に 必 要 な エ チ レ ン グ リ コ ― ル の 最 低 濃 度 は7Mで あ る こ と を 確 認 し た 後 、 マ ウ ス8細 胞 期 胚 の エ チ レ ン グ リ コ ー ル へ の 暴 露 時 の 温 度 が 胚 の 生 存 性 に 与 え る 影 響 を 検 討 し た 。1822 2Mの エ チ レ ン グ リ コ ー ル に210分 間 、 さ ら に7Mの エ チ レ ン グ リ コ ー ル に2 間 暴 露 し て ガ ラ ス 化 す る と90% 以 上 の 胚 が 胚 盤 胞 ヘ 発 育 す る が 、24℃ 以 上 で 同 様 の 処 理 を し た 場 合 、 胚 の 発 育 率 が 低 下 す る こ と を 明 ら か に し た 。 次 に 、 マ ウ ス 1細 胞 期 胚 の ガ ラ ス 化 に お け る1段 階 暴 露 法 に つ い て 検 討 し た 。7Mの エ チ レ ン グ リ コ ー ル に1あ る い は2分 間 暴 露 し た 後 ガ ラ ス 化 す る と 胚 盤 胞 へ の 発 育 率 は 高 く 、 発 生 培 地 を 途 中 で 交 換 す る と 約90% の 発 育 率 の 得 ら れ る こ と を 示 し た 。 さ ら に 、 7Mの エ チ レ ン グ リ コ ー ル を 用 い た マ ウ ス 卵 子 の ガ ラ ス 化 保 存 に お け る 段 階 的 暴 露 と 融 解 後 の エ チ レ ン グ リ コ ー ル 希 釈 方 法 を 検 討 し た 。1段 階 暴 露 し た 卵 子 は 、5 分 間 の 希 釈 で は 低 い 生 存 率 で あ っ た が 、 希 釈 時 間 を10分 間 に す る と2段 階 暴 露 の 卵 子 と 同 等 の 高 い 生 存 率 が 得 ら れ た 。 ま た 、 ガ ラ ス 化 溶 液 ヘ シ ョ 糖 を 添 加 し た が、

ガ ラ ス 化 卵 子 の 体 外 受 精 後 の 発 育 能 は 向 上 し な か っ た 。

  以 上 の よ う に 申 請 者 は 、 マ ウ ス 卵 子 お よ び 初 期 胚 の ガ ラ ス 化 保 存 に お い て エ チ レ ン グ リ コ ― ル が 単 独 の 凍 害 防 止 剤 と し て 有 効 で あ る こ と を 示 し た 。 さ ら に 、 エ チ レ ン グ リ コ ー ル を 用 い た ガ ラ ス 化 保 存 に お け る 卵 子 お よ び 胚 の 生 存 性 を 左 右 す

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る要因を明らかにし、高い生存率を得ることに成功した。よって、審査員一同は、

申 請 者 が 博 士 ( 獣 医 学 ) の 学 位 を 受 け る 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

参照

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