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理科教育実習施設30年の歩み

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Academic year: 2021

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(1)理科教育実習施設30年の歩み 斎 1.設. 立. の. 歩. 藤. み. 施設周辺の自然環境 教育学部附属理科教育実習施設は,相模湾の西岸真鶴町に位置し,真鶴半島を右に,湘 南海岸と三浦半島を正面一望のうちにおさめる眺望絶可の高台にある。背後に箱根を,西 方に伊豆の連山を擁し,その環境は自然研究の場としてまことにふさわしい。前面の海域 には黒潮の分流が入りこみ,気候は穏やかで四季を通じて凌ぎよい。 相模湾は海洋生物の豊かなことで知られているが,とくに真鶴・吉浜から伊東・網代・ 初島にいたる海域の動物相は多彩である。また付近の岩礁海岸は箱根苗期外輪山の溶岩流 で構成され,海産動物を多産する。とくに当施設付近の海岸には400種をこえる海産動物 が生息し,複雑な徴地形とあいまって,優れた観察,実験の場を提供している。海藻類も 豊富で,約130種が知られている。また岬の周辺は黒潮の分流が打ち寄せるため,相模湾 内でも有数のプランクトンの豊富な海域となっている。 設立の経緯 実習施設の前身である理科教育岩実験所は,大学発足当時,同窓団体の友松会と教友会 が共同発起した学芸学部後援会によって県下の諸団休を対象とした募金がおこなわれ,こ れが基礎になって昭和29年に創設された。昭和28年には,その成果を学部と分校の図書等 の充実に充て,再度設立趣意書にもとづく集中的な遊説がおこなわれた。この活動は友松 恒教授,事務長西村徳次郎氏を中心にして進められたが,地元有 会長小林梅茂氏,酒井 志遠藤暗礁氏の尽力も忘れることはできない。寄付行為の出発点となったのは地元岩村か らの村有地の無償提供と岩漁業組合からの寄付金であった。これらが出発点となって県下 各市町村,県下各漁業協同組合,神奈川県PTA連合会,公立学校職員,私立学校,友松 会の寄付が加わり,県議会ならびに文部省からも多大の配慮を得て設立の運びとなった。 趣意書にうたわれた実験所の設立目的は,海洋生物が世界的に豊富な相模湾西岸の未調 査の空白地帯を埋めるもので,海洋生物学を中心として,海洋気象,天文学の研究をおこ なうとともに,水産資源の開発に貢献し,また箱根・天城地区の岩石・地質・鉱物学,お よび陸上動植物の研究をおこなうとしている。またこれらの研究を基盤とし,県下におけ る理科教育の研究指導をおこなうとともに,学生生徒児童に対して,おもに海洋生物を対 象とした理科教育実地研修の施設を提供するよううたわれている。きらに県会より,本県 公立学校職員の施設利用とともに理科教育研究のために便宜を供与し協力することが要請 きれ,嘱託教員1名が派遣きれた。また文部省からは,広く関東甲信越地域の小・申・高 校教員の臨海実習への協力を強く要請された。. 施設は約1,600坪の敷地に,木造平屋建95坪の研究棟と,木造平屋建105坪の宿泊療を擁.

(2) 2. 設. 立. 当. 時. の. 研. 設立に尽力された万々. 究. 棟. 左より西村徳次郎氏(学部事務長) 内山岩太郎氏(神奈川県知事) 恒教授(所長) ,酒井. し,. 2ヾトン, 13ノットの快速採集艇「ゾェア」と5トン,. ,. 8ノットの採集船「なぎしお」. が酉己置きれ,50名の宿泊研究が可能であった。. 2.設立以後の経緯 第一期(昭和29-48年) 実験所は学芸学部長酒井. 恒教授を初代所長とし,県より嘱託教員蒲生重男氏が常駐職. 員として派遣され,これに遠藤雄三事務官と滞留武智用務員を配属して田発したo設立準 備の中心として活動した酒井恒教授は,海洋動物学とくに甲殻類を中心とした分類学的研 究を精力的に展開したが,実験所の整備と教育活動は,学芸学部生物学教室の教官および 岩佐正夫講師(非常助)の尽力もあり,充実の途を歩んだ。昭和32年には事務定員の1名.

(3) 3. が実験所勤務の教官(助教授)に振替えとなり,加藤. 宙講師が着任し, 33年学部助手に 採用きれた蒲生氏のあとに村岡健作氏が着任するとともに,昭和37年には地元より青木克 郎技官氏が着任した。また加藤宙講師の出向にともない昭和38年には鈴木. 博助手が着任. した。. 初代所長. 酒井. 恒教授. 第二代所長. 北川政夫教授. 従来親しまれてきた「岩実験所」の名称は,昭和41年「真鶴理科教育実験所」と改称された。 開設以来所長として海洋生物の研究を続けた酒井. 恒教授は昭和44年の退官に至るまで. 学生と教員を対象とした教育活動を精力的に継続したが,研究面では海産無脊椎動物の分 類学,形態学の研究を続け,工学部造船科との共同による船底塗料の試験研究などもおこ なわれている.教育活動としては,動物学臨海実験,一般生物学実験の他に,動物発生学 実験と動物生理学実験の一部がおこなわれ,植物形態学実験と生態学実験の一部もおこな われた。県内の教員と児童生徒の臨海研修については,夏季休暇中施設を開放してこれに 充て,また土・日曜日を利用して文部省主催の科学教育研究室が昭和30年より実験所に設 置きれ,修了者は昭和44年には200名に達した。 昭和44年には北川政夫教授が第2代所長として着任し,施設の研究・教育活動は所長を 中心とし,学部教官の援助を得て,鈴木博助手と渡部. 孟嘱託によって着実に継続され. たo. この頃実験所前面の海岸に公団道路を建設する問題が起こり,昭和45年2月建設省で 認可きれ,設計と補償の問題について協議が重ねられた。昭和46年には道路設計図が完成 し,困年6月公団東京支社長より大学-意見照会があった。大学としては,前面の磯の消 失は実験所の活動に重大な支障となるが,高速採集船の設置と飼育棟,栽培飼育設備の充 実により,飼育生物による実験を重視することとして,. 47年2月,学長より「真鶴理科教 育実験所の現状と公団道路建設に伴う今後の方針について」と超する文書を回答し,設立.

(4) 4. 趣旨を生かすため,機能補償を要求した。折衝は1ケ年に及んだが,公団の深い配慮によ り,昭和48年1月協定書が締結きれた。その間同窓団体友松会の主唱による県および横浜 市・川崎市の小学校・中学校・高等学校校長会轟,市および町村教育長会長,私学団体連 合会委員長による「真鶴道路建設に関する要望」. ・と題する陳上善が提出きれた。. 昭和49年3月には252niの鉄筋の飼育棟が完成し,道路公団より大学に引き渡された. 第二期(昭和49年-. ). 真鶴理科教育実験所は昭和29年の設立以来,活発な研究活動と教育活動を展開してきた が,昭和49年4月,教育学部の附属施設として標記の名称で官制が認められた。このこと は同実験所が設立の趣旨を'生かし,海洋と沿岸の研究と平行して,県内のみならず,広く 関東甲信越地区の小・中・高校の児童生徒および理科担当教員の臨海実習に開放する教育 活動をおこなう努力を重ねてきたことが認められたものと思われる。相模湾西岸の未開拓 な宝庫を開き,奥深い自然を理科教育に生かすことが,発足当初からの目的であった。さ いわい酒井恒初代所長と北川政夫第二代所長を申)bとした長年の実績と,歴代事務長を中 心とした事務当局の協力によって,官制が認められ,発展-の礎石が築かれたということ 実教摂が施設長に併任され,現在に至っている. ができようo施設の発足とともに斎藤 発足当時就任した鈴木. 博講師は,助教授を経て昭和56年に教授に昇進し,施設長を助け. て施設の実質的な運営に当たっている。 宿泊棟と研究棟の改築について 昭和29年の設立以年間3,000名を越える利用者を受け入れてきた研究棟と宿泊棟も最近. 改. 築. さ. れ. た. 研. 究. 棟.

(5) 5. になって老朽化が目立ち,不便を感じる面が多くなったので,昭和54年度には,教育学部 長見上敬三教授をはじめ,大学当局の努力によって昭和54年度宿泊棟が鉄筋二匝酌割こ改築 きれ,翌55年度には研究棟が同じく鉄筋二階建に改築された。新宿泊棟は海に面した高台 に建築きれ,右手には海岸の断崖に接して松の樹叢が配置され,樹間に明るい海面を望む ことができる。宿泊棟は35-40名の実習生を,児童生徒では50名を収容することができ, 一階が男子用,二階が女子用になっている。宿泊室は5室設けられ,教官室と管理室およ び食堂と浴室が用意きれている。研究棟は鉄筋二階建てで,一階には実習室,暗室,標本 室の各室がある。実習室は40名が同時に実習できるよう席が設けられ,海産動物の一時的 な飼育と観察ができるように配慮きれている。二階には施設長室,教官研究室,教材研究 塞,図書室,事務室の各室がある。 3.現. 状. 施設のあらまし. 実習施設は前面の海岸への公団道路の建設と,飼育棟の建設および研究棟と宿泊棟の改 築によって,当初の施設とは多少様相が変わったが,海岸生物の研究と実習を*'Chとした 機能面については,設立の趣旨を忠実に継承するとともに,近代化と機能面での充実が図 られている.公団道路の建設によって崖下の土地を譲渡したため,現有の敷地面積は 3,257mBと減少したが,研究棟と宿泊棟の2階化にともなって,周辺の空間に余裕を生じ, 環境整備によって落ちついたたたずまいをもつに至っている。 設備備品数は昭和58年3月現在次のようになっている。. 図. 書. 和. 書. 和雑誌. 点点冊巻巻. 具. 520504040. 器. 洋雑誌 標. 本. 飼育動物. 海産動物標本 液浸標本. 2, 000点. 乾燥標本. 500点. 海藻膳葉標本. 200枚 約150個体. 採集船としてのttたちばな'':船体は強化プラスチック製で5トン,. 10ノットの性能を. もち.,ドレッジ及び採泥装置の他に音響測深器を具えているo 研究活動. 海洋と沿岸の科学的研究と,それらの理科教育への展開をはかるため,学部教官の協力 を得て次に示すような研究態勢のもとに総合的研究を進めている。課題は相模湾と沿岸域 の自然研究で,従来の研究態勢を尊重して海洋生物の分類と生態に関する研究が中軸とな.

(6) 6. り,地域の自然の総合的な解明をめざしている。同時にこれらの研究結果をもとにして, 小・申・高等学校における理科教育-の具体的な展開を図っている。 1.沿岸動物と底生動物の分類と生態に関する研究. 鈴木. 博,蒲生重男. 2.プランクトンと海洋環境に関する研究. 斎藤. 実,並木. 3.海藻類の形態に関する研究. 松田忠男. 4.海岸植物の分類と生態に関する研究. 遠山三樹夫,佐藤嘉彦. 5.沿岸域における地形と地質に関する研究. 見上敬三,小池敏夫. 6.神奈川の気象・気候と相模湾. 谷治正孝. 7.地域自然研究の理科教育への展開. 栗田-良,木谷要治. 博. 教育活動. 学部学生の実習 学部学生の実習としては動物学臨海実験(1週間). ,理科臨海実験(3日間) 察法実習(3日間)の他に一般教育総合科目(模相湾の自然)の臨海実験(2日間)をお. ,野外観. こなっている。そ・の他植物生態学実験,地学巡検等不定期の実習にも利用している。 現職教育 当施設では,自然を対象とした科学教育を推進するという見地から,施設前面の新岬海 岸と,その南方の白磯で海産生物の観察を主軸にした実習・研修を進めるとともに,飼育 生物による発生や生活機構に関する実験も加え,生物に親しんでもらうとともに,研修内 容の充実をはかっている。 施設の受入れは学部・附属学校の他に,ひろく関東甲信越地区の小・中・高等学校を対 象としているが,夏期休暇は,とくに神奈川県の学校を中心にして研修をおなっている。 研修内容については,周辺の自然環境と従来の研修の結果を考慮して,次のようなテー マが用意きれている。. 小・申・高等学校理科担当教員の研修計画 研. 修. テ. ー. マ. l. 研. 修. 内. (1)岩浜に住む動物の多様性と分類 (2)岩浜の自然環境と動物群集. 岩浜に住む動物の形態の多様性と分薪・系統 岩浜の環境勾配と動物の生活型および分布. (3)プランクトンの分類と生態 (4)ドレッジによる底生動物の分類. 浅海性底生動物の分類と生態. 容. プランクトンの形態と分類,分布,季節的消長など. と生態. (5)近海産魚類の分類. 定置網で漁獲される近海魚の分類と形態. (6)動物の生殖と発生 (7)海産生物の生活機構. ウニの生殖と発生,岩浜に住む動物の生殖と発生 飼育生物による生活機構の解析. (8)海藻の分類と生態. 海藻の形態と分類,潮間帯における海藻の分布. (9)海岸植物の分菊と生態. 海岸植物の分類,汀線から内陸にかけての環境勾配と植物群落. 色o)自然保護教育. 海浜の生態系と自然保護教育.

(7) 7. 小・申・高等学校児童生徒の研修計画 研. 修. テ. ー. マ. l. 小・中学校 (1)海転の自然. 研. 修. 内. 容. 常緑広葉樹林(魚付保安林)の観察,海岸植物の観察. (2)沿芹漁業の見学. 漁場と定置網の見学 岩浜での動物観察一動物の分類と体のつくり,岩浜に住む動物. (8)岩さ引こ住む動物とその生態. の生活場所と生活様式. 飼育栽培した動物・準藻類の生長と生活のしくみ. .(4)海産生物の生活 (5)プランクトンの種類と生活. プラタトンの体のつくりと分類,生活のしくみ. (6)海藻の観察. 海藻の分類と体のつくり. (7)海浜の生物と自然保護. 海浜生物の生活と自然保護. 高. 等. 校. 学. (1)岩浜に住む動物とその生態 (2)プランクトンの分類と生態. 岩沢に住む動物の分類,岩浜の環境と動物の分布及び生活型 プランクトンの形態と分類,プランクトンの組成と垂直分布. (8)動物の生殖と発生 (4)海産生物の生活機構. ウニの受精と初期発生 飼育生物の増殖と生活機構. (5)海 藻. 海藻の分類と体のつくり. の. 観. 察. (6)海岸植物の生態. 海岸の環境と植物群落. (7)海浜と自然保護. 海浜の生態系と自然保護. 学部の厚生関係合宿研修への協力 学部の教育活動の一環として,実習活動の比較的少い4月-5月の土・日曜日を提供し て,新入生のための厚生合宿研修をおこなっている。. 員. 職. 室. 実習施設運営委員会委員. 〟.〃. 教 〃 〃. 授. 敏嘉安要. 助. 春重. 授 〝. 実男男博夫彦昭治. 教. 長. 藤津生木池藤田谷. 設. 斎嶋滞鈴小佐前木. 施. 和芳. ・3. 順. 実博彦文. 務. 藤木田倉. 事. 僻 m. 斎鈴岡朝. 長. 授授官. 設. 教教技. 施.

(8) 8. 旧教職員名侍 長(昭和44-50). 講. 師(暗和32-34). 嘱. (昭和34-39). 〝. (昭和43-52) 長(昭和24-56). 技. 官(昭和36-56). 用務員(昭和29-39). 雄克武. 係. 重健. 託(昭和31-33) 〝. 政. 恒夫道男作孟三郎智. 所. 井川藤生岡部藤木留. 長(昭和29-44). 酒北加滞村渡遠青満. 所. i‖川tdU. 死 亡 Eid.

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