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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 )    平    智 幸

学 位 論 文 題 名

  Effect of structural defeCtSinHeuSleralloyC02MnGe thinnlmSOnSpin ‐ dependenttunnelingCharaCteriStiCSOf   magnetiCtunneljunCtionSWithC02MnGeeleCtrodeS

(C02MnGe 電極を用いた強磁性トンネル接合のスピン依存トンネル特性に      対 す る ホ イ ス ラ ー 合 金 C02MnGe 薄 膜 の 構 造 欠 陥 の 影 響 )

学位論文内容の要旨

  近年,電子の電荷に加えて,電子の持つスピンの自由度を活用することで,従来にをい機能と性能 を有するデ バイスを創出しよう とするスピントロニクスの研究が活発に行われている.ハ―フメタ ル強磁性体 は一方のスピン方向 に対してフェルミレベルにおいてエネルギーギャップを有すること を特徴とす る強磁性体であり, このため,フェルミレベルにおいて100%のスピン偏極率を有する.

このように フェルミレベルにお いて100%のスピン 偏極率を有するた めに.ハーフメタル強磁性体 はスピント ロニクスデバイスの 強磁性電極材料として非常に重要な位置づけにある.これらの中で も,C02YZ (Yは通常,遷移金属,Zは主族元素)の組成を有するCo基ホイスラー合金は,その多くが ハ―フメタル特性を示すことが理論的に指摘されており,かつ,室温よりも十分に高い強磁性転移温 度 を 有 す る こ と か ら , 近 年 , ハ ーフ メタ ル 材料 の中 で も最 も活 発 に研 究が な され てい る ,   本 研 究 で は ホ イ ス ラ ー 合 金C02YZの 中 で も ,C02MnGe (CMG)に 着目 し た,CMGは 理論 的 に ハーフメタ ル特性が指摘されて おり。また強磁性 転移温度も905Kと 室温より十分に高い値を有す る .さ らに ,CMGとMg0と の格 子ミ ス マッ チは(OOl) 面内で45゜回転した関係 で‑3.6%で ある.

こ の格 子ミ スマッチは ,例えばC02MnSiとMg0との間の―5.1ワ。の格子 ミスマッチと比較 して小 さ く,CMG/Mg0エピタキシャルヘ テロ構造を用いた 強磁性トンネル接合 あるいは半導体へ のスピ ン注入源の 実現に有利と考えら れる.従来,北海 道大学の袴田等により.報告されているCMG薄膜 を 下部 電極 に ,CosoFeso (CoFe)を 上部 電 極に 用い たCMG/MgO/CoFe MTJは 室 温において83%の ト ンネ ル磁 気抵抗比(TMR)比(4.2Kにおいて185%) を示した.しかし, 従来の報告ではど のよう を 要 因 がCMG/Mg0ヘ テ ロ 構 造 を 用い たMTJの スピ ン依 存 トン ネル 特 性を 決め て いる のか 十 分 に解明され ていをかった.

  本研究の 大きを目的は,ハ― フメタル系ホイス ラ―合金,特に,CMGを強磁性電極として用いた MTJにおいてっホイス ラ―合金の本質的 に高いスピン偏極率 を十分に活用する ために,CMG電極を 用 い たMTJの ス ピ ン 依 存 ト ン ネ ル 特 性 を 決 め て い る 主 要 因 を 明 ら か に す る こ と で あ る .   本研 究の 具 体的 を目 的 はニ っあ り,その第ーは 。CMG/Mg0ヘテロ構造を用い たMTJのス ピン依 存 トン ネル 特性を決め ている要因のーつと して,MTJ三層構造の界面電 子構造の影響を明 らかに す るこ とで あ る, この た めに ,CMG/MgO/CoFe MTI層構造作製後のアニ ールのスピン依存 トンネ ル特性に対する影響を,アニール温度をパラメータとして系統的に調べた,さらに,この依存性が,

MTJ層 構 造 の界 面電 子 構造 のア ニ ール によ る 変化 に由 来 する こと を 定性 的に 明 らか にし た ,   本研 究の 第二の目的 は,CMG薄 膜の化学量論的組 成からのずれに伴う 構造欠陥がハーフ メタル 特 性に 及ぼ す影響を実 験的に明らかにする ことである.従来 の研究ではCMG電極の組成は 化学量 論的組成か らMn不足側にずれた ものであった.こ の薄膜組成の化学 量論的組成からのずれによっ

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(2)

て薄膜中に構造欠陥が生じることは避けられをい, Picozzi等は第一原理計算により,Co原子がMn サイトに入るCoM。アンチサイトは,ハーフメタルギャップ中のフウルミレベル近傍に状態を生じ させるために.ハーフメタル特性が失われ,スピン偏極率が低下すると指摘している,よって,スピン 依存トンネル特性に対するホイスラー合金薄膜中の欠陥の影響を実験的に明らかにすることは,ホ イスラー合金薄膜をスピントロニクスデバイスヘ応用していく上で重要である,このために,CMG 薄 膜 を下 部 , 上 部 電極 に 用 い る と とも に ,Mg0バ リ ア を 用い たCMG/MgO/CMG MTJを ,CMG電 極のMn組成を パラ メータ として ,Mn不 足からMn過剰ま で変 えて作 製し,そのスピン依存トンネ ル特 性を実 験的に 調べ た,こ れによ ってCMG薄膜のハーフメタル特性に対する構造欠陥の影響を 実験的に明らかにした,

  本 論 文 は , 全4章 か ら 構 成 さ れ て い る . 各 章 の 要 旨 は 以 下 の と お り で あ る , 第1章で は . 本 研 究の 歴 史 的 背 景, お よ び , 研 究の 目 的 と 各 章の 概 要 が 述 べら れ て いる , 第2章で は 。CMG[MgO/CoFe MTJの スピ ン 依存 トンネ ル特性 に対し て上 部電極CoFe電極 堆積後 のア ニール 温度が 与え る影響について述べられている.上部電極堆積後に500°C以上のアニール を 行 うこ と に よ りCMG/MgO/CoFe MTJのTMR比は 不連続 的かつ 大幅 に増大 するこ とを見 出し , 室温 で160% (4.2Kで3760/0)まで の比較 的高いTMR比 を実 証した ,また,上記のアニール温度を 境に して,MTJの 磁化平 行お よび反 平行の 場合の微分コンダクタンス特性(dl/dV ‑レ特性)が不 連続 的に変 化する こと を見出 した, このTMR比および微分コンダクタンス特性の不連続な変化は CMG下 部 電 極 とMg0バ リア の界面 での界 面電子 状態の 変化 によっ て定性 的に説 明で きるこ とが 示された.

  第3章 で はCMG/MgO/CMG MTJに おけ る ス ピ ン 依存 ト ン ネ ル 特性 の薄膜 組成依 存性に 関す る 実験 結果に ついて 述べ られて いる. トンネ ル磁気 抵抗 比がCMG薄膜 中のMn組成に 強く依 存する こ と を 明 ら か に し .CoとMnの 組 成 比 がCo:Mn=2:1より もMnが 過剰 なCMG薄 膜 を 用 い る こ とで高いTMR比が得られることが示された.この薄膜組成依存性を理解するために,薄膜中の種々 の構 造欠陥 に対す る生 成エネ ルギー を考慮 したCMGの化学的を組成モデルを提案した.このモデ ルによって.Mn組成を増大させると共に,ハーフヌタル特性を劣化させるCoMハアンチサイトの割 合が低下しっよって,スピン偏極率が増大することを示すことができる.すなわち,このモデルによっ て.Mn組成の増大と共にTMR比が増大する実験結果を定性的に説明できることを示した.以上,薄 膜組成の適切な制御により,特にMn過剰の薄膜組成とすることにより,ハーフヌタル特性を劣化さ せる 構造欠 陥であ るCoMわア ンチサ イトを 抑制できることを明らかにした,また,CMG/MgO/CoFe MTJの 微 分 コ ン ダク タ ン ス 特 性に 見 ら れ た 特徴 的 な ピ ー ク構 造 がCMG/MgO/CMG MTJの 微分 コ ンダクタンス特性にも現われ,その起源が同じであること考えるのが妥当であり,それらのピーク構 造が下部CMG[Mg0界面領域に由来することが示唆された.

  第4章では本論文を総括し、結論が述べられている,

‑ 725

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

  Effect of structural def・ects in Heusler alloy C02R/InGe thin films on spin―dependent tunneling characteristics of   magnetic tunnel junctions with C02IVInGe electrodes

(C02MnGe電極 を用 い た強 磁性 ト ンネ ル接 合 のス ピン 依 存ト ンネ ル 特性 に     対 す るホ イス ラ ー合 金C02MnGe薄 膜の 構造 欠 陥の 影響 )

    本 論 文 は , ホ イ ス ラ ー 合 金C02MnGe薄 膜 とMg0ト ン ネ ル バ リ ア を 用 い た エ ピ タ キ シ ャ ル 強 磁     性 ト ン ネ ル 接 合 に お け る ス ピ ン 依 存 ト ン ネ ル 特 性 に 関 す る 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る ,     近 年 ,電 子の 電 荷に 加え て ,電 子の 持 つス ピン の 自由 度を 活 用す るこ と で, 従来にをい 機能と性能     を 有 する デバ イ スを 創出 し よう とす る スピ ント ロ ニク スの 研 究が 活発 に 行わ れている. ハーフメタ     ル 強 磁性 体は フ ェル ミレ ベ ルに おい て100010の ス ピン 偏極 率 を有 する こ とか ら.スピン トロニクス     デ ′ くイ スの 強磁性電極 材料として非常に 重要な位置づけにあ る. Co基ホイスラ―合金は ,その多く     が ハ ーフ メタ ル 特性 を示 す こと が理 論的に指摘され ており,かつ,室 温よりも十分に高い 強磁性転移     温 度 を有 する こ とか ら, 近 年っ ハー フメタル材料の スピントロニクス 応用の観点から活発 に研究がな     さ れ てい る,

    本 研 究 で は ハ ー フ メ タ ル 特 性 が 理 論 的 に 指 摘 さ れ て お り , か つ ,Co基 ホイ ス ラー 合金 の 中で も     Mg0と の 格 子 不 整 合 の 値 の 比 較 的 小 さ いC02MnGe (CMG)に 着 目 し た , 従 来 , 北 海 道 大 学 の 袴 田     等 に よ り ,CMG/MgO/CosoFeso (CoFe) MTJに お い て , 室 温 で83%のTMR比 が 報 告 さ れ て い る が ,     ど の よ う な 要 因 がCMG/Mg0ヘ テ ロ 構 造 を 用 い たMTJの ス ピ ン 依 存 ト ン ネ ル 特 性 を 決 め て い る     の か 十分 に解 明 され てい 哲 かっ た,

    本 研 究 の 目 的 は , ハ ー フメ タル 系 ホイ スラ ー 合金 の本 質 的に 高い ス ピン 偏極 率 を十 分に 活 用す る     た め に ,CMG電 極 を 用 い たMTJの ス ピ ン 依 存 ト ン ネ ル 特 性 を 決 め て いる 主要 因 を明 らか に する こ     と で ある ,

    本 論 文 は , 全5章 か ら 構 成 さ れ て い る , 各 章 の 要 旨 は 以 下 の と お り で あ る .     第1章 で は , 本 研 究 の 歴 史 的 背 景 , お よ び 。 研 究 の 目 的 と 各 章 の 概 要 が 述 べ ら れ て い る .     第2章 で は ,CMG/MgO/CoFe MTJのCoFe上 部 電 極 堆 積 後 の ア ニ ー ル が , ス ピ ン 依 存 ト ン ネ ル     特 性 に対 して 与 える 影響 に つい て述 べ られ てい る .上 部電 極 堆積 後に500 0C以上の温度 でのアニー     ル を 行 う こ と に よ りCMG/MgO/CoFe MTJのTMR比 が 不 連 続 的 か つ 大 幅 に 増 大 す る こ と , ま た 磁     化 平 行お よび 反 平行 の場 合 の微 分コ ン ダク タン ス 特性 が不 連 続的 に変 化 する ことを見出 し,室温で     160% (4.2Kで376%)ま で の 比 較 的 高 いTMR比 を 実 証 し た . さ ら に , こ のTMR比 お よ び 微 分 コ ン     ダ ク タ ン ス 特 性 の 不 連 続 的 を 変 化 はCMG下 部 電 極 とMg0バ リ ア の 界 面 で の 界 面 電 子 状 態 の 変 化

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史 久

夫 也

眞 和

庸 哲

本 岡

橋 村

山 末

高 植

授 授

授 授

   

   

教 教

教 准

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

によって定性的に説明できることが示された,

  第3章 で はCMG薄 膜 中 の 構 造 欠 陥 がCMG/MgO/CMG MTJの ス ピ ン 依存 ト ン ネ ル 特性 に 与 え る 影 響 に つ いて 述 べ ら れ てい る , TMR比 がCMG薄膜 中のMn組成に 強く依 存する こと が明ら か に さ れ , さ らに ,CoとMnの 組 成 比がCo:Mn= 2:1よ り もMnが 過 剰 なCMG薄膜を 用いる ことで 高 いTMR比が得られることが示された.この薄膜組成依存性を理解するためにっ薄膜中の種々の構 造 欠陥に 対す る生成 エネル ギーを 考慮し たCMGの化学的な組成モデルを提案した.このモデルに よ って,Mn組成を増大させると共に,ハーフメタル特性を劣化させるCoM。アンチサイトの割合が 低下し,よって,スピン偏極率が増大することを示すことができる.すをわち,このモデルによって、

Mn組 成の 増大と 共にTMR比が 増大す る実 験結果 を定性的に説明できることを示した,以上、薄膜 組成の適切な制御により,特にMn過剰の薄膜組成とすることにより,ハーフメタル特性を劣化させ る構造欠陥であるCoMnアンチサイトを抑制できることを明らかにした,

  第4章 で は ,CMG/MgO/CMG MTJの 微 分 コ ン ダ ク タ ン ス 特 性 に つ い て 述 べ ら れ て いる , CMG/MgO/CoFe MTJに 見 ら れ た微 分 コ ン ダ クタ ン ス 特 性 に おけ る 特 徴 的 をピ ー ク 構 造 が,

CMG/MgO/CMG MTJの 微 分 コ ン ダク タ ン ス 特 性に も 現 わ れ るこ と が 示 さ れ ,そ れ ら の ピ ーク 構造が下部CMG/Mg0界面領域に由来することが示唆された.

  第5章では本論文を総括し.結論が述べられている.

  以上を要約すると,本論文は,スピント.ロニクスデバイスの強磁性電極材料としてのC02MnGeの 有用性を示すとともに,薄膜組成の適切を設定によって,ハーフメタル特性に悪影響を及ばす薄膜中 の構造欠陥を抑制出来ることを実験的に明らかにしたものである.以上,本論文はCo基ホイスラー 合 金のス ピン トロニ クスデバイスヘの応用に関して有益を知見を実験的に明らかにしたものであ り,これは電子デバイス工学の進展に寄与するところ大である,

  よ っ て 著 者 は , 北 海 道大 学 博 士 ( 工学 ) の 学 位 を 授与 さ れ る 資 格あ る も の と 認め る .

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