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学 位 論 文 審 査 の要 旨

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Academic year: 2021

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博士(医学)デラワーノレシャノくザデー

学 位 論 文 題 名

酵母 で発現 させたり コンビナントロ―フェトプロテインを 用いた エストロゲン結合能の解析

学位論文内容の要旨

(要旨)胎児期の主要な血清タンパクであり,また肝癌などの腫瘍マーカーであるロ―フェトプロ テイン(AFP)は,化学構造やりガンド結合能でアルブミンと高い相同性を持っために胎児期におぃ てアルプミンと同様の機能を果たしているのではないかと考えられているが,その生理的役割につ いては不明な点が多い.AFPに特徴的なこととして,エストロゲンをりガンドとして結合し得る.

ただしこの活性は齧歯類由来のAFPに限られ,ヒトをはじめとする他の動物種では認められない.

従って,AFPのエストロゲン結合能は,動物一般にとっては必ずしも必須な生理活性ではないが,

齧歯類においては必須な,あるいは特徴的なある生理的役割を担っていることが示唆される.エス ト口ゲンはある種の乳ガンに対して増殖促進的に働くことが報告されている.この系におぃて.エ ストロゲン結合能をもつAFPはエストロゲン依存性の腫瘍増殖を有意に抑制することから,AFPの 抗ガン剤としての臨床応用の可能性に注目が集まっている.当研究室の西等はこの種属間のエスト ロゲン結合性の違いを利用しラットAFPのエストロゲン結合部位を同定した.すなわち.リコンピ ナントヒト―ラットキメラAFP分子を酵母で産生させ,ラットAFPのエストロゲン結合部位がアミ ノ酸配列423‑506に限局していることを明らかにした.さらにわれわれは領域423‑506中で,ラット

―ヒト間の置換アミノ酸15ケを含む領域426‑467が重要であることを明らかにした(未発表).本研 究ではこの15アミノ酸のどれがエストロゲン結合に直接関与しているかを知るためにヒト→ラット のアミノ酸置換を導入した16の変異ヒトAFPを作製し,エストロゲン結合型の変異ヒトAFPを得た.

また,これらのエストロゲン結合性の変化からエストロゲン結合に必要なアミノ酸残基を同定する ことがてきた.

材料 と方法 リコンピナントAFPの発現には酵母20812KR16と分泌型発現プラスミドpNW033を用 い た .こ のプ ラスミド にヒト ならびに ラットAFP cDNAを挿入し ,それ ぞれpNWHAFPおよぴ pNWRAFPとした.AFPにアミノ酸残基の変異を入れるためにPCR法を用いた重複伸長一点特異的 変異導入法を行い,変異cDNA断片を作製してそれらを発現プラスミドのAFP cDNAの相当する部 分に制限酵素部位を利用して挿入した.最終的には,アミノ酸置換を入れたプライマーを用いて27 のPCR実験を行い,野生型を含む20のAFP発現プラスミドを作製した.これらプラスミドの塩基配 列を決定し,これらが目的の構造を有することを確認したのち酵母を形質転換した.酵母の形質転 換体の培地に分泌されたAFPをラジオイム丿アッセイで測定しりコンピナントAFPの産生を確認し た.酵母の培養液の上清を80qr0飽和硫酸アンモニウムとして塩析し,生じた沈殿を回収した.っぎ にPhenyl‑Sepharoseカラムを用いた疎水性クロマトグラフイーを行い,さらに抗AFPモノク口ナル抗 体(MAb) AFY‑6を固相化したイムノアフイニテイカラムで精製した.得られたAFPの8%SDS‑ポリ アクリルアミドゲル電気泳動を行った.AFPの定量はおもに固相法ラジオイムノアッセイで行った・

エストロゲン結合アッセイでは,固相化した抗AFPモ丿クロナ少抗体とりコンピナントAFPを結合 さ せ ,さ ら に [3H]エ スト ロ ゲ ンと を 反 応さ せ て 固相 に 結 合し た放 射活性を 測定し た.

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  結 果 と 考 察Phenyl‑Sepharoseに よ る 疎 水 性 ク ロ マ ト グ ラ フイ ー は 培 地 中の タ ン パ ク を 硫酸 ア ン モ ニ ウ ム で 沈 殿 さ せ た 後 透 析 な し で 直 接 カ ラ ム に か け る こ と , また 溶 出 物 を 引き 続 き 直 接 イ ムノ ア フ イ ニ テ イ ク ロ マ ト グ ラ フ イ ー に か け る こ と が で き , 目 的 の タ ンパ ク の 回 収 も良 好 で あ っ た ので , こ の 実 験 に 大 変 有 用 で あ っ た . 計22種 類 の 野 生 型 , 及 び 変 異 型 ヒ ト 及 ぴ ラ ットAFPを 精製 し ,SDS‑ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド 電 気 泳 動 を 行 っ た と こ ろ , い ず れ も が そ れ ぞ れ の 天 然 型AFPと 同 様 の泳 動 パ タ ー ン と 移 動 度 を 持 っ て い る こ と が 確 認 さ れ た . こ れ ら 精 製 し た につ い て エ ス トロ ゲ ン 結 合 ア ッセ イ を お こ な っ た . 主 な 変 異 体 に お け る 置 換 ア ミ ノ 酸 と そ の ア ッ セ イ 結 果 を 下 の 表 に 示 す .

       Positions of amino acid residues substituted    estrogen‑binding 426 429 430 431 433 436 437 438 440 448 450 451 457 461 467    (dpm) Human AFP

Wild‑type  S  M  A  I  R  A  A  T  A  D  L  L  A  I   I      238 Mutant .

HM‑A       A   I   D  L   G  V   S   I  S   E  R   S   L  Y  L   15,510 HM‑I       .   .   .   V   S   I  S   E   R   S   L  Y   .   17,265 HM‑H       .   .   .   v   s   I  S   E   R   S   L   .   .    1,030 HM‑J       .   .   .   V   S   I   *   .   R   S   L  Y   .   12,898 HM‑JH      .   .   .   V   S   I   .   .   R   S   L   .   .    1,927 HM‑K       .   .   .   V   S   I   .   .   .   S   L  Y   .    2,938 HM‑M        .   .   .   I   .   .   R   S   L   Y   .     3,875

野 生 型 ヒ トAFPは[3Hl̲エ ス ト ロ ゲ ン を 結 合 し な か っ た が , ヒ トAFPの 配列426‑467を ラ ット 型 に 置 換 し た キ メ ラ 分 子HM‑Aは , 加 えた [3H]‐ エ ス ト ロ ゲ ン50.OOOdpmのう ち ,15j10dpmを 結 合 し た .他 の 様 々 な 置 換 を 入 れ た16個 の ヒ ト 変 異 体 の う ち ,436A→V,437A→S,438T→I,450L→R,451L→S, 457A→L,4611→Yの 最 少7残 基 置 換 の 変 異 体HM一Jが12,898dpmを結 合 し , こ れ らの い ず れ か をヒ ト 型 に す る と 結 合 活 性 が 大 き く 損 な わ れ た . し た が っ て , こ れ ら7ア ミ 丿 酸残 基 が ラ ッ トAFPの エ スト ロ ゲ ン 結 合 部 位 を 構 成 し て い る と 結 諭 し た . ラ ッ トmヤ の エ ス ト ロ ゲ ン 結合 領 域 内 の436,437,438 の3ケ の ア ミ ノ 酸 残 基 を す べ て ヒ ト 型 に 置 換 し た変 異 体RM一P, お よ ぴ450,451,457,461の4ケ の ア ミ ノ 酸 残 基 を ヒ ト 型 に し た 変 異 体RM‐Rは こ と ご と く 結 合 活 性 が 損 な わ れ , ヒ ト 変 異 体 の 実 験 結 果 が 支 持 さ れ た . 野 生 型 ラ ッ トAFPの エ ス ト ロゲ ン に 対 す る 結合 定 数 は6.3x107M‐1で あり , ヒ ト 変 異 体AFP.m沁Jは4.7xl07M.1で あ っ た . ヒ トAFPは 本 来 エ ス ト ロ ゲ ン を 結 合 しな い が , こ のよ う に し て 作 成 し た エ ス ト ロ ゲ ン 結 合 型 ヒ ト 変 異 体 心 や が エ ス ト ロ ゲ ン 依 存 性 の 腫瘍 に 対 す る 臨 床応 用 を 可 能 せ し め る と 期 待 さ れ る . エ ス ト ロ ゲ ン に 対 す る 親 和 カ は , 置 換 す る ア ミ丿 酸 残 基 を 検 討す る こ と で 向 上 さ せ る こ と が 可 能 と 思 わ れ る . そ の た め に はX線 結 晶 解 析 やNMRな ど に よ る 触 ヤ の 立 体 構 造 の 情 報 が 有 益 で あ ろ う .

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学 位 論 文 審 査 の要 旨

学 位 論 文 題 名

酵 母 で 発 現 さ せ た り コ ン ビ ナ ン ト a 一 フ ェ ト プ ロ テ イ ン を 用 い た コ ス ト ロ ゲ ン 結 合 能 の 解 析

  胎児期 の主要な血清タンパクであり ,また腫瘍マーカーである ローフェトプロテイン(AFP) は ,化 学構造やりガンド結合能 でアルプミンと高い相同性を 持っために胎児期において アル プ ミン と同様の機能を果たして いるのではないかと考えられ ているが,その生理的役割 につ い ては 不明 な 点が 多い .AFPに 特徴的なこととして,エスト ロゲンをりガンドとして結 合し 得 る, ただ し この 活性 は齧 歯類 由来のAFPに限られ,ヒトを はじめとする他の動物種で は認 め られ ない . エス トロ ゲン 結合 能をもつAFPはエスト口ゲン 依存性の腫瘍増殖を有意に 抑制 す るこ とか ら .AFPの 抗ガ ン剤 としての臨床応用の可能性に 注目が集まっている.当研 究室 で はこ の種属間のェストロゲン 結合性の違いを利用し,リコ ンビナントヒトーラットキ メラ AFP分 子を 酵母 で産 生 させ ,ラ ットAFPのエストロゲン結合 部位がアミノ酸配列423‑506に限 局 して いることを明らかにした .今回の研究ではラットーヒ ト間の置換アミ丿酸15ケを 含む 領域4261467が重要であることを明ら かにし,またこの15アミノ酸 のどれがエスト口ゲン結合 に直接関 与しているかを明らかにした .

  リコ ンビ ナ ントAFPの発 現に は酵 母20812KR16と 分泌型発 現プラスミドpNW033を用い た.

こ の プ ラ ス ミ ド に ヒ ト な ら び に ラ ッ トAFP cDNAを 挿 入 し , そ れ ぞ れpNWH」 卿 お よ ぴ pNWR」 `FPと した .AFPに アミ ノ酸 残基 の 変異 を入 れるた めにPCR法を用い変異cDNA断 片を 作 製し てそ れ らを 発現 プラ スミ ド のAFPcDNAの 相当 する 部分 に 制限 酵素 部位 を利用し て挿 入 した .22個 のプ ライ マー を用 い て27のPCR実 験を 行い, 野生型を含む22のAFP発現プ ラス ミ ドを 作製した.これらが目的 の構造を有することを確認し たのち酵母を形質転換した .培 地に分泌された」`FPを精製した.酵母の培養液の上清を80ワ。飽和硫酸アンモニウムとして塩 析し,生 じた沈殿を回収した.っぎにPhenyl.Sephafoseカラムを用いた疎水性クロマトグラフ イ ーを 行い,さらに抗AFPモノク ロナル抗体(MAb)JへFY‐6を固相化したイムノアフイ ニテ イカラム で精製した.得られたAFPの8ゲ。SDS.ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動を行った.

AFPの定量 はおもに固相法ラジオイム ノアッセイで行った.エスト ロゲン結合アッセイでは,

固 相化 した 抗p冊モ ノ ク口 ナル 抗体とりコンビナント触ヤを 結合させ,さらに[3H]エ スト ロゲンと を反応させて固相に結合した 放射活性を測定した.

    Phenyl‐Sepharoseによる疎水性 クロマトグラフイーは培地中 のタンパクを硫酸アンモニ ウ ムで 沈殿させた後透析なしで 直接カラムにかけること,ま た溶出物を引き続き直接イ ムノ ア フイ ニテイクロマトグラフイ ーにかけることができ.目的 のタンパクの回収も良好で あつ た .22種類 の 野生 型, 及び 変異 型 ヒト 及び ラッ トAFPを精 製し,SDS.ポリアクリルア ミド

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三 暹

信  

  輝

   

   

巻 橋

西 葛

授 授

教 教

査 査

主 副

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電 気泳動 を行っ たところ ,いず れもが それぞ れの天 然型AFPと 同様の泳動パターンと移動度 を 持って いるこ とが確認された.これら精製AFPのエスト口ゲン結合アッセイをおこなった.

    野 生型ヒ トAFPは[3H]‐ エストロ ゲンを結合しなかったが,ヒトAFPの配列426467間の 15個 の ア ミ 丿 酸 を ラ ッ ト 型 に 置 換 し たキ メ ラ 分 子HM‑Aは , 加 え た[3Hl̲エ スト ロ ゲ ン 50,OOOdpmのうち,15,510dpmを結合した.他の様々な置換を入れた16個のヒト変異体のうち,

436A→V,437A→S,438T→I,450L→R,451L→S,457A→L,461I→Yの最少7残基置 換の 変 異体HM‑Jが12.898dpmを 結合し ,HM‑Aと同 等の結 合活性 を示した.また436.451,457・ 461、 の置換 を有す る変異 体HM‑Nも弱 いが有 意な活 性を示 した. これらアミ丿酸がエスト口 ゲン結合部位を構成すると結論した.

  口頭 発表に 際し, 葛巻, 石橋, 本間, 小林の各教授よりエスト口ゲン結合部位と脂肪酸結 合部 位との 関連,AFPのエストロゲン依存性腫瘍の増殖抑制機序,結合部位の構造上の特徴,

結合 定数, 結合の 脳の性 分化な どに於け る生理 的意義,変異体の抗原性の変化などについて ご質 問があ りまし たが, 申請者 は概ね妥 当な返 答をいたしました.また,葛巻,石橋両教授 に副 査とし てご審 査いた だき合 格と判定 されま した.

  因 っ て 本 研 究 は 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 授 与 に 値 す る と 判 断 い た し ま し た .

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参照

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