博 士 ( 農 学 ) ア ブ サ デ ク ェ エ ム デ セ リ ム
学位論文題名
Development of molecular methods for the detection of Lac めbacillus ther7notolera7zs ,athermotolerant lactic acid bacterla , lnChiCkeninteStine
( 分 子 生 態 学 的 手 法 に よ る 鶏 腸 管 内 に お け る 耐熱性乳酸菌 Lactobacillus thermotolerans 検出方法の開発)
学位論文内容の要旨
本論文は6章から構成され、表5、図19、引用文献118編を含む93頁の英文論文であり、
別に2編の参考論文が添えられている。
本 研 究 は 、 タ イ 国 で 飼 養 さ れ て い る 鶏 糞 便 か ら 分 離 さ れ た 新 規 耐 熱 性 乳 酸 菌 Lactobacillus thermotoleransを家禽用プロバイオティクス(腸内環境制御に資する生菌 剤)候補と位置づけ、本菌の特異的検出方法の開発とその応用を介して、鶏腸管内での分 布動態を精査しようとしたものである。とくに検出方法は本菌の有するDNA情報を活用し、
特異性を高めたもので、定量的およぴ視覚的に優れたものを提示しようとしたものである。
得られた成果は、次のように要約される。
第1章では、 乳酸菌とプロバイオティクスに関する研究動向の整理と問題点の指摘を行っ た。とくに鶏糞便から新規に分離されたLacto.ぬcjロ船舶e―tD|釘卸sの特性や家禽用プ ロバイオティクス候補として選択した理由、本菌の利用にあたっての評価に関する課題な どを指摘した。プロバイオティクスとしての利用にあたりひとつの評価基準となるのが腸 管内での対象菌の分布と密度であるが、これらを査定する有効な手法が欠如している問題 点をあげ、それらの開発の重要性を強調した。
第2章ではムcオ〇ぬcn|ロs舶e′嬲オ甜emカざの検出法として螢光インサイチュハイブリダ イゼーション(FISH)を新たに開発し、その特異性および検出結果について考察した。分 子系統上近縁の乳酸菌19種の中から本菌 だけを分別検出できるような螢光標識DNAプロー ブの設計を、16SrDNA配列の特異領域を利用することで可能にした。その後、10羽の初生 ヒナから定期的に採取した新鮮糞便や、それらをと殺した時の盲腸内容物標本をFISHに供 し、ムctDぬガ||恥舶e閲〇と甜em″sと他の菌との分別・視覚化が可能であること、すなわ ち鶏糞便および盲腸内容物中に存在する本菌を明確に認識・計数できることを明らかにし た。
Ea口オDぬロjロ船舶B′加tD´em々sの動態を精査するのに必要な、感度および精度が高いり アルタイムPCR定量系確立について記述したのが第3章である。確立した定量系は16SrDNA −l091―
特異 領域から設計したPCRプライマーを利用したもので、Lactobacillus thermotolerans を最 少2細胞から定量できるほどの高い感度を有するものであった。さらに糞便に既知量 添加した純菌の定量値もよく添加量を反映し、本定量系が極めて精度の高いものであるこ とを 明示し、 た。ま た10羽のヒ ナを糞便ソースとし、本定量系を用いて、ヒナ糞便中の Lactobacillus thermotoleransを定量することで本菌の分布密度を査定した。本法で定量 されたLacto.6ac´w船舶田加tD|e朋ロぎは、最小でl04/g、最大でl07/g糞便のレベルで存在 し、ヒナ腸内フローラの常在メンバーの一員であることを初めて明らかにした。本定量系 は、これまでの煩雑な培地作成、培養分離をへた計数法に比し、簡便、迅速であるととも に、特異性、感度、精度のいずれにおいても秀でたものであり、本定量系の確立は今後の プロバイオティクス候補菌株の選択に際し、ひとつのモデル評価系を示したともいえる。
第4章では、実際の鶏腸管上皮のムc¢Dぬd朋船舶甜伽fD|甜鋤sをさらに高解像度で、
かつ3次元的な視覚化を可能にすべく、上述のFISHと共焦点レーザー頭微鏡を組み合わせ た新しい検出法(FISHlCSLM)を確立し、その応用性について検討した。その結果、本菌は 盲腸腸管上皮および上皮襞に集落化して成鶏でも永統的に生存していることが明らかにな った。この結果は前述したように、本菌が鶏腸管フローラの常在構成員であることを強く 裏付けるものである。また腸管上皮で集落形成するということは腸管定着に促進的に働く 可能性が高いという点で、ムcfDぬガH恥めB′脚tD|甜翻ぎがプロバイオティクス候補とし て非常に有利な特性をもっていることが判明した。
総合考察(第5章)では、分子生態学的手法が腸内環境の解析に重要なツールであること、
とくに培養法では追跡できない近縁菌の多い乳酸菌ではこういった解析法が必須なことを 要約 した。本研究で確立したFISH法、リアルタイムPCR法、FISH−CSLM法を駆使すること で腸 内フローラの解析や理解が格段に深まる可能性があることなどを論じた。終章(第6 章)では一連の結果を要約し、深まった知見と課題を整理した。
以上のように、本研究では鶏腸管由来新規乳酸菌の動態解析に有用な検出方法を開発し、
それらを応用することで本菌の腸管内分布やその密度を、量的、視覚的に追跡することに 初めて成功した。対象の乳酸菌である伽c£Dぬcju恥舶甜加fD|8…ぎは家禽用のプロバイ オティクス候補として期待されており、応用面での貢献も期待される。加えてこれらの検 出法は、感度、精度、迅速性いずれにおいても秀でたものであり、後発研究にとって基準 となりうるものと考えられる。
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学位論文審査の要旨
学位論文題名
Development of molecular methods for the detection of Lac めbacillus ther7notolerans,athermotolerant lactic acid bacterla , 1nChiCkeninteStine
( 分 子 生 態 学 的 手 法 に よ る 鶏 腸 管 内 に お け る 耐 熱 性 乳 酸 菌Lactobacillus thermotolerans検 出 方 法 の 開 発 )
本論文 は6章から構 成され 、表5、図20、引 用文献118編を含む95頁の英文論文であり、
別に2編の参考論文が添えられている。
本 研 究 は 、 タ イ 国 で 飼 養 さ れ て い る 鶏 糞 便 か ら 分 離 さ れ た 新 規 耐 熱 性 乳 酸 菌 Lactobacillus thermotoleransを家禽用プロバイオティクス(腸内環境制御に資する生菌 剤)候補と位置づけ、本菌の特異的検出方法の開発とその応用を介して鶏腸管内での分布 動態を 精査しようとしたものである。とくに検出方法は本菌の有するDNA情報を活用し特 異性を高めたもので、定量的および視覚的に優れたものを提示しようとしたものである。
成果は次のように要約される。
第1章では、乳酸菌とプロバイオティクスに関する研究動向の整理と問題点の指摘を行つ た。と くに鶏糞便から新規に分離されたムthermo toleransの特性や家禽用プロバイオテ イクス候補として選択した理由などを指摘した。プロバイオティクスとしての利用にあた り評価基準となるのが腸管内での対象菌の分布と密度であるが、有効な査定法が欠如して いる問題点をあげ、それらの開発の重要性を強調した。
第2章では ムthermo toleransの検出法として螢光インサイチュハイブリダイゼーション (FISH)を新 たに開発 し、そ の特異性および検出結果について考察した。分子系統上近縁 の乳酸 菌19種の中から本菌だけを分別検出できるような螢光標識DNAプローブの設計を、
16SrDNA配列の特異領域を利用することで可能にした。その後10羽の初生ヒナから定期的 に 採 取 し た 新 鮮 糞 便 や そ れ ら を と 殺 し た 時 の 盲 腸 内 容 物 標 本 をFISHに 供 し 、 ム thermo tol eransと 他 の 菌 と の分 別 ・ 視覚 化 が 可 能で あ る こと を 明 らか に し た。
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男 司
蔵 篤
泰 誠
行
林
藤
野
田
小
近
浅
横
授
授
授
授
教
教
教
教
査
査
査
査
主
副
副
副
ムtherruo toleransの動 態 を精 査す るの に必要な、 感度およぴ精度が高いりア ルタイムPCR 定 量 系 確 立 に つ い て 記 述 し た の が 第3章 で あ る 。 確 立し た定 量系 は ムthermo tol eransを 最 少2細 胞 か ら 定 量 で き る ほ ど の 高 い 感 度 を 有 す る もの であ った 。 さら に糞 便に 既 知量 添 加 し た 純 菌 の 定 量 値 も よ く 添加 量を 反映 し、 本 定量 系が 極め て精 度 の高 いも ので あ るこ と
, を 明 示 し た 。 ま た10羽 の ヒ ナ を 糞 便 ソ ー ス と し 、 本 定 量 系 を 用 い て ヒ ナ 糞 便 中 の ム thermotol eransを 定 量 す る こ と で 本 菌 の 分 布 密 度 を 査 定 し た 。 本 法 で 定 量 さ れ た 工 , thermo tol eransは最 小でl04/g、 最 大で10r/g糞 便の レベ ルで 存 在し、ヒナ腸内 フローラの 常 在 メ ン バ ー の 一 員 で あ る こと を初 めて 明ら か にし た。 本定 量系 は 、こ れま での 煩 雑な 培 地 作 成 、 培 養 分 離 を へ た 計 数法 に比 し簡 便、 迅 速で ある とと もに 、 特異 性、 感度 、 精度 の い ず れ に お い て も 秀 で た も ので あり 、本 定量 系 の確 立は 今後 のプ ロ バイ オテ ィク ス 候補 菌 株の選 択に際し、ひとつのモデル評 価系を示したともいえる。
第4章 で は 、 実 際 の 鶏 腸 管 上 皮 の ム thermo tol eransをさ らに 高解 像度 で かつ3次 元的 な 視 覚 化 を 可 能 に す べ く 、 上 述のFISHと共 焦点 レ ーザ ー顕 微鏡 を組 み 合わ せた 新し い 検出 法 (FISH一CSLM)を 確 立 し 、 そ の応 用性 につ いて 検 討し た。 その 結果 、 本菌 は盲 腸腸 管 上皮 お よ ぴ 上 皮 襞 に 集 落 化 し て 成 鶏で も永 統的 に生 存 して いる こと が明 ら かに なっ た。 こ の結 果 は 本 菌 が 鶏 腸 管 フ ロ ー ラ の 常在 構成 員で ある こ とを 強く 裏付 ける も ので ある 。ま た 腸管 上 皮で集 落形成するということは、腸管定着に促進的に働くという点で、E, thermo tol erans が プ ロ バ イ オ テ ィ ク ス 候 補 と し て 非 常 に 有 利 な 特 性 を も っ て い る こ と が 判 明 し た 。 総 合 考 察 ( 第5章 ) で は 分 子 生 態 学 的 手 法 が 腸 内 環 境の 解析 に重 要 なツ ール であ る こと 、 と く に 培 養 法 で は 追 跡 で き ない 近縁 菌の 多い 乳 酸菌 では こう いっ た 解析 法が 必須 な こと を 要 約 し た 。 本 研 究 で 確 立 し たFISH法 、 リ ア ル タ イ ムPCR法、FISH−CSLM法を 駆使 す るこ と で 腸 内 フ ロ ー ラ の 解 析 や 理 解 が 格 段 に 深 ま る 可 能 性 が ある こと など を論 じ た。 終章 (第6 章)で は一連の結果を要約し、深ま った知見と課題を整理した 。
以 上 の よ う に 、 本 研 究 で は 鶏腸 管由 来新 規乳 酸 菌の 動態 解析 に有 用 な検 出方 法を 開 発し 、 そ れ ら を 応 用 す る こ と で 本 菌の 腸管 内分 布や そ の密 度を 、量 的、 視 覚的 に追 跡す る こと に 初 め て 成 功 し た 。 対 象 の 乳 酸 菌 ムthermo toleransは家 禽用 のプ ロ バイ オテ ィク ス 候補 と し て 期 待 さ れ て お り 、 応 用 面で の貢 献も 期待 さ れる 。加 えて これ ら の検 出法 は、 感 度、 精 度 、 迅 速 性 い ず れ に お い て も秀 でた もの であ り 、後 発研 究に とっ て 基準 とな りう る もの と 考えら れる。
よ っ て 審 査 員 一 同 は 、 ア ブ サ デ ク ェ エ ム デ セ リ ム が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に十分 な資格を有するものと認めた 。
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