Title
Effects of Cadmium on Egg Production and Embryogenesis in
Japanese Quail (Coturnix japonica)( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
Md. Shahidur Rahman
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第493号
Issue Date
2008-09-10
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33634
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(副籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 会 Md.SbabidurRabman(バングラデシュ人民共和国) 博士(農学) 農博甲第493号 平成20年9月10日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 静岡大学 E飴ct80fCadmiumonEggProductionand E血bryogenesisinJapane8eQuail(CbtzLtTZix・ 知以血∂ (ニホンウズラの卵形成と胚発生に及ぼすカドミウム の影響) 主査 静岡大学 副査 静岡大学 副査 岐阜大学 副査 信州大学 誠 也一乙 哲 懐 珠 坂 藤 野 森 高 伊 小 授 授 授 授 教 教 教 教 論 文 の 内 容 の 要 旨 カドミウムは毒性の強い重金属であり、希境に広く存在するのでヒトを含めてすべての 生物はカドミウム暴露の影響を避けることはできない。本研究の目的は家禽の生殖機能に 対するカドミウムの効果を調べることにあり、特にニホンウズラの卵形成と胚発生に及ぼ す影響に焦点を充てたものである。さらに分子レベルにおける因果関係.を用土依存的に調 べるとともに、よく知られている抗酸化剤であるアスコルビン酸の効果を産卵ウズラや発 生途中の胚において調べた。 第1段階として0-10mg・(体重100gあたり、以下同じ)のカドミウム半回腹腔内投与 が産卵ウズラの生存性、体重、産卵性、卵常に及ぼす影響を調べた。その結果、LD50は 10mgであり、体重の減少は3mg投与で投与後3日まで顕著であった。産卵率の低下は1 mg以上で認められた。卵雪引こついては0.1mgと0.3mg投与群で投与2週間まで卵殻膜の 重主が増加し、卵殻の減少が観奏された。また0.3mg投与群では受精率が減少し、投与3 日までに得た受精卵から解化したヒナの休重の減少も見られた。これらの結果からカドミ ウムはたとえ1回の投与でも繁殖性に悪影響を与えることが示された。 第2段階として、産卵ウズラに対する産卵率の低下の分子的メカニズムを探るために、 卵黄タンパクの遺伝子発現に対する効果を訴べることにした。この実験にはジュチルスチ ルベステロール(DES)を投与した3遇令未成熟雄ウズラを用い、超低密度リポタンパク (apdVLDL)に対するカドミウムの効果を調べた。まず、DES投与の有効性を検討するた
-1-めに、10〃g-10mgのDESを腹腔内投与した結果、10mgDES投与によって肝臓中の apoVLDLmRNAレベルが高い催を示すのは投与後6-24時間であることがわかった。次 にDES投与未成熟雄ウズラに対するカドミウムの影響を網べた。この実験でカドミウムの 投与はDES投与48時間前におこなった。なぜなら8p爪DLmRNAに対する影響はDES 投与48時間前のカドミウム投与がもっとも顕著であることが認められたからである。その 結果、10FLg-0.1mgまでのカドミウムを投与すると、&pOVLDLmRNAレベルが増加する こと、いっぽう、それ以上のカドミウム投与ではapdVIDLmRNAレベルが減少すること を示した。このようにウズラの卵黄タンパクから見たカドミウムの影響は、投与主によっ て異なることがわかった。 第3段階として、カドミウムの影響に対するアスコルビン酸の効果を調べた。カドミウ ム投与の7日前からアスコルビン酸添加飼料を与えた産卵ウズラを対象として、マロンデ アルデヒド合成、カタラーゼ活性、グルタチオンパーオキシダーゼmRNAレベル、メタロ チオネインmRNAレベルをカドミウム投与48時間後に調べた。その結果、1mg以上のカ ドミウムではapdVLDLmRNAレベルと産卵率の低下が認められた。グルタチオンパーオ キシダーゼmRNA レベルの低下や体重減少、摂餌量減少とともに、メタロチオネイン mRNAレベル、マロンデアルデヒド合成、卵胞の萎縮が増加した。アスコルビン酸添加飼 料を与えておくと、apdVLDLmRNAレベルと産卵率の減少は抑えられ、他のパラメータの 変化も抑えられた。 最後に胚発生に及ぼすカドミウムの影響を調べるために、10ng-10〃gのカドミウムを 直接受精卵に投与した。1"3〝gのカドミウムの投与では貯化したヒナの体重が減少した。 1〟gカドミウム投与では、炸卵10=日日胚でマロンデアルデヒド合成とメタロチオネイン mRNAレベルが上昇していた。50〝gのアスコルビン酸を同時に投与するとマロンデアル デヒド合成は抑えられたが、メタロチオネインmRNAレベルの上昇は雌胚のみで抑えられ た。カドミウムによる発生停止は雌胚よりも雄胚に多かった。これらの結果は、抗酸化剤 で抑制できる酸化ストレスが胚発生におけるカドミウムの毒性の原因の一つであり、雄胚 の方がこれに対して感じ易いことが示唆された。
以上の結呆から、カドミ
ゥムは、たとえ1回の暴露であってもきわめて短時間にウズラ
の繁殖性に影響を及ぼし、卵黄タンパク遺伝子の転写を抑制することで産卵性を低下させ ることがわかった。カドミウムによる酸化ストレスが卵黄タンパク遺伝子の転写抑制の原 因となっており、抗酸化剤の添加でこの影響は克服できることが示された。受精卵へのカ ドミウムの投与は酸化ストレスによる発生停止を引き起こすことも示された。 審 査 結 果 の 要 旨 本胎文は、ウズラの生殖機能に対するカドミウムの効果を調べることを目的としたも ので、特に卵形成と胚発生に焦点を当てながら分子レベルにおける影響を用土依存的に 調べるとともに、抗酸化剤の効果を調べたものである。公開学位論文発表会は、事査季 長全員を含む関連教員や学生の出席のもと、平成20年8月11日(月)午後3時より 静岡大学農学部A棟110教室において実施された。発表の内容は充実しており、本申 請者は質問に対してほぼ的確に応答した。終了後引き続き、論文内容を中心とした事査 季長会を開催した。-2-カドミウムは毒性の強い重金属としてその存在が閉居となっているが、これまで鳥類 の繁殖機能に対する影響を体系立てて調べた研究はなかった。本研究は成体に対する影 響を3段階に分けて検討し、さらに胚発生に対する影響についても言及したものである。 第1段階としてカドミウム単回腹腔内投与がウズラの生存性、体重、産卵性、卵質に 及ぼす影響を嗣べた。その結果、LD50は約10mgであり、体重の減少は3mg投与で 3日間持続した。産卵率の低下は1mg以上で私められた。卵質については0・1mgと 0.3mg投与群で投与2週間まで卵殻膜の重量が増加し、卵殻の減少が観察された。また 0.3mg投与群では受精率が減少し、投与3日までに得た受精卵から解イヒしたヒナの体重 の減少も静められた。 第2段階として、産卵率の低下の分子的メカニズムを探るために、ジエチルスチルべ ステロール(DES)を投与した未成熟雄ウズラを用い、超低密度リポタンパク(apdVLDL) に対する効果を調べた。まずDES投与の有効性を検討した結果、10mgDES投与によ って肝臓中の叩dⅥ.DLmRNAレベルが高い値を示すのは投与後6-24時間であること を示した。次にDES投与未成熟雄ウズラに対するカドミウムの影響を調べた。その結果、 100匹gまでのカドミウムを投与すると、apdVLDLmRNAレベルが増加するいっぽう、 3mg以上のカドミウム投与ではapoⅥ.DLmRNAレベルが減少することを示した。 第3段階として、カドミウムの影響に対するアスコルビン酸の効果を調べた。カドミ ウム投与の7日前からアスコルビン酸添加飼料を与えた産卵ウズラを対象として、マロ ンデアルデヒド合成、カタラーゼ活性、グルタチオンパーオキシダーゼmRNAレベル、 メタロチオネインmRNAレベルをカドミウム投与48時間後に調べた。その結果、1mg および3mgのカドミウムではapbVLDLmRNAレベルと産卵率の低下が認められた。 グルタチオンパーオキシダーゼmRNAレベルの低下や体重減少、摂餌量減少とともに、 メタロチオネインmRNAレベル、マロンデアルデヒド合成、卵胞の萎縮が増加した。ア スコルビン酸添加飼料を与えておくと、apdVLDLmRNAレベルと産卵率の減少は抑え られ、他のパラメータの変化も抑えられた。 最後にカドミウムを直接受精卵に投与した。1-3膵のカドミウムの投与では貯イヒし たヒナの体重が減少した。1匹gカドミウム投与では、無卵10日目胚でマロンデアルデ ヒド合成とメタロチオネインmRNAレベルが上昇していた。50匹gのアスコルビン酸を 同時に投与するとマロンデアルデヒド合成は抑えられたが、メタロチオネインmRNAレ ベルの上昇は雌胚のみで抑えられた。カドミウムによる発生停止は雌胚よりも雄胚に多 かった。これらの結果は、抗酸イヒ剤で抑制できる酸化ストレスが胚発生におけるカドミ ウムの毒性の原因の一つであり、雄胚の方がこれに対して感じ易いことが示唆された。 以上のように本論文では、カドミウムによる酸化ストレスが卵黄タンパク遺伝子の転 写抑制の原因となっており、抗酸化剤の添加でこの影響は克服できることが示された。 胎文の構成は論理的であり、内容は独創性に富み、結果に対する科学的考察も十分なさ れていると判断した。慎重に審議した結果、書査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学 院連合農学研究科の博士(農学)の学位論文として十分価値があるものと謎めた。 本学位論文の基礎となる学術独文は以下の通りである。 1)RAHMAN,M.Shahidur,SASAMI,Tbmohiro,MORI,Mikoto E飴ctsofC&dmhmAd皿hi8tr&tiononReproductivePerformanceofJapane8eQuail (伽如血如如皿通). あurnalofPo山tⅣScienee,44巻1号92∼97貢,2007年1月 2)RAHMAN,M.Shahidur,MOCHIZUEI,Mariko,MORI,Makoto CadmiumDisruptStheDiethylBtilb舶trOIE熊氾tOnVbry・Lew・DensityApolipoprotein IIGene取anscriptionintheLiverofJapaneseQuai1(atzLmigjboz)jta)・ あwnalofPoultⅣScience,45巻1号62∼66貢,2008年1月