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<論文>ストック・オプションの基本問題 : ストック・オプションの本質 利用統計を見る

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ク・オプションの本質

著者

菅野 康雄

著者別名

Kanno Yasuo

雑誌名

経営論集

4

ページ

1-26

発行年

1976-03-30

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005901/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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ス トック・ オ プ ション の 基 本 間題

ス トッ ク・オ プシ ョンの 本質 菅 野 康 雄 1. 2. 3. 4. 5. 目 次 序 刺激方策としての機能 報酬としての機能 所有としての機能 結 び 1 1 序 スト ック・ オプ シ ョン(以下選択権という)の本質的 諸 機能 とそ れに もとづ く 制度固 有の有 用性 は, 選択 権 の歴史的 変 遷が示 唆 す る ようにご 選択 権を と り まく外延的 諸条 件 の変 化, と りわげ経 済的 な 景気 動 向に 関 連す る 株価のす う勢や 税 務政策 に よる課 税措 置 の変 化に よって, 制 度 の盛 衰に もかかお る重 大 な影響を受け つ つ 推 移して きた の であ る。 特に, ( 選 択権 問 題 は, あ る点1 ) で 根本的 に 課税 問 題 であ る」 と指 摘さ れてい る ように , 選択 権 の有用 性は, 事実上税 制 の変 遷 と と もに 変化 し てきた とい っ て よい 。1950 年 の選択 権 立法に よる課 税上 の 優遇措 置 は, こ の制 度に魅 力的 な潜在 的 利 得を 創造さ せ る ことに な り,制 度 の利 用に 際 し ては , 専 ら一 種 の報 酬形 態 とし て の側面 が強調 せ られ るに い たった 。そ し て この こ とが ,税 務当局 と 産業 界に おけ る長い 間 の相 克 の中 心問 題 であ った といえ る。 しか しそ の後 , 選択権 の課税 優 遇的 側 面 は, 相次 ぐ法定 選択 権の 厳 格な 適格 要件 の設 定 と一 連 の課 税強化 措 置 とに よって,実 質的に 大 幅な後 退を 余 儀な くさ れ るこ とに2 ) な った。 そ の為 , 選択 権を め ぐる論 議は, そ の都 度国 会を は じめ各 方 面にお いて 活 発に 行 なわ れ, 重大 な社 会的 関心 の もとに 制度 の 存続 がは か られ てき た のであ る。

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法定選択権が産業界におい て特に重 視され,かつその存続が相変らず根強 く主張されてきた背景には,選択権の全体的諸目的が,他の経営者報酬制度3 ) の給与概念を 超える多 面的な役 割を志向している心のであり,またその機能 乱 企業,株主および経営者との関連におい て企業の発展に重要なかかお り をもつ多岐的な内容を有しているとい うことが広 く認識されてい た こ と な どが考え られる。た とえば,ベ ーカー(JohnC.Baker )はに 選択権問題は, 全体の経営者報酬問題の必須 な部分である」とともに,「そ れは, 自由企業 システムめ成功と永続 とに 密接に関連してい る」と指摘し,さ らに彼は,選 択権制度は,複雑で多目的な会社の制度であ るが故に,刺激,報酬,誘引等 の手段 として単純に判断してはな らない。それ らは,会社の収益,前途,競 争お よび特に全体の経営者報酬問題等 の会社のあ らゆる諸問題 との関連で考4 ) 慮されなければな らない と主 張する0 , また, パットン(ArchPatton )は,「1950年代と60年 代 におけ る多 くの 得 意先会社の選択権管理についての私の経験に よれば,それらの選択権は,産 業 の発展に顕著な貢献をしたとい うことを私は確信してい る。選択権は,経 営者と株主に同等の利益を提供するとともに,経営者の行動を 刺激し,報奨 を 増進することに よって利潤獲 得についての基礎を提供した」 と述べ,さら に 彼は,もし国会が企業 の長期的収益性に焦点を合せて経営者の何 らかの刺 激形態を復活しないな らば,「1970 年 代 は, 経 済成長率のタームズにおい て,“憂うつな10年” として歴史上下降 してい くように思われる」と主張 し,1969 年の選択権規則改正後 の企業 の将来について大きな不安を表明するとと5: ) もに,選択権の重要性につい て指摘してい る。 し以上のベーカーとパットンの主張に よっても明らかな ように,少な くとも 選択権制度の特性が,経営者職 能の重要性の増大とともに大きな経営的意味 を もって認識され,そ の重要性が強調せ られていることは疑い のない ところ であ る。そこでわれわれは,以下選択権制度 の本質につ いて,特に制限選択 権の機能を中心として吟味することにしたい。 = 1)ErwinN.Griswold,AreStockOptionGettingoutofHand?H.B.K,Nov.-Dec,I960,p.49.2 ) 拙 稿 「 ス ト ッ ク・ オ プ シ ョ ン 制 度 の 発 展 と 課 税 問 題 」(1),(2),(3).経 済 経 営 論 集 ,第69,70 ,74 号 を 参 照 さ れ た い 。3 ) ロ ス チ ャ イ ル ド は。 選 択 権 が 企 業 の 多 く の 目 的 に役 立 っ て い る と し てお お よ そ 次 の よ う に

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ス ト ッ ク ・ オ プ シ ョ ン の基 本 問 題3 述 べ てい る。(1)経 営 者 に 対 し て 十 分 な 刺 激 と 報 酬 金与 え る た め の 現 実 的 可 能 性 を 会 社 に 提 供 す る 。(2) 専 門 的 被 傭 経 営 者 (professional “hired-hand"management ) を 株 主 経 営 者 (stockholdermanagement ) に 転 化 さ せ る こ と を 可 能 に し , 株 主 と の利 害 の 一 致 を は か るこ と が で き る。(3 )事 実 上 , 会 社 の 資 金 の 支 出 な し に 新 し い 資 金 を導 入 す る。(4)大 企 業 の 経 営 者 報 酬 と競 争 し て , 実 質 的 に 現 金 報 酬 を 支 給 で き な い 小 規 模 会 社 や 成 長 途 上 会 社 に 対 す る一 つ の 方法 を 準 備 し て い る 。V.HenryRothschild,FinancingstockPurchasesbyExecutives,H.B.R,March-April,1957,p.133. ま た ウェ ッ ト リ ン グ(RichardE.Wettling ) は, 選 択 権 の 利 点 に つ い て 次 の よ う に要 約 し て い る。(1)短 期 的 で は な《 長 期 的 な 刺 激 を 経 営 者 に 与 え る。(2)資 本 利 得 と し て 課 税 さ れ る 報 酬形 態 ぱ, 高 額 な 所 得 税 を 負 担 す る 経 営 者 に と っ て特 に 重 要 で あ る 。(3)会 社 の 運 転 資 本 を 維 持 し , 相 当 の 報 酬 水 準 を 確 保 す る こ とが で き る。(4)限 定 さ れ た 資 木 の も と で 発 展 の 可 能 性 を 有 す る 比 較 的 新 し い 会 社 が , 既 存 の 大 規 模 企 業 か ら , 企 業 家 的 気 質 を もつ 経 営 者 を惹 き つ け る こ と が で き る。RussellF.Moore,CompensatingExecutiveWorth,1969.PP.128 ―9.4 )Johnc.Baker,StockOptionattheCrossroads,H. 召。R.,Jan.-Feb. ,1963 ,p.32. ベ ーカ ー は , 上 述 の論 文 を:1964 年 の 税 法 改 正 の前 年 に発 表 し, 制 限 選 択 権 の 危 機 を訴 え る と と も にそ の 存 続 を 強 く 主 張 し て い る。 制 限 選 択 権 改 正 法 案 は, す で に テ ネ シ ー 州 選 出 のAl )ertM.Gore 上 院 議 員 に よ っ て 第87 議 会 の 第1 会 期 開 会 中 (1961.7.20 ) に提 出 さ れ て い たが そ れ が 正 式 に 議 案 と し て 上 程 さ れ た の は,1963 年1 月 に 再 開 さ れ た 議 会 に お い て で あ っ た。 こ の 法 案 は , 右し そ の ま ま の 形 で 通 過 す る こ と に な れ ば ,1961 年4 月14 日 現 在 の 制 限 選 択 権 の 特 別 な 課 税 優 遇 措 置 はす べ て 廃 止 さ れ る と い う 遡 及 効 果 を も つ も の で あ っ た。 そ れ故 経 営 者 界 に お い て は 非 常 に 重 要 な 関 心 事 とし て 注 目 す る と こ ろ で あ っ た 。 と こ ろ が , か か る 状 勢 の 巾 で , 財 務 長 官 デ ィ ロ ン (DouglasDillon) は , 上 院 財 政 委 員 会 の 聴 聞 会 に お い て , 制 限 選 択 権 の 課 税 優 遇 措 置 を非 難 し ,「 選 択 権 の も とで 獲 得 さ れ る 株 式 は, そ れ が 取 得 さ れ る と き に 普 通 所 得 と し て 課 税 さ れ るべ きで あ る」 と の 基 本 見 解 を の べ , 税 務 当 局 とし て こ の 法 案 の 成 立 に 全 面 的 な 賛 意 を 表 明 し た の で あ る。 制 限 選 択 権 制 度 は, こ の と きす で に 重 大 な 岐 路 に 立 だ さ れ て い た と い って よ い 。 か か る 事 態 の も と で , さ し 迫 っ た 問 題 とし て 公 表 さ れ た ベ ー カ ー の 所 論 は, 要 す る に 現 行 の制 限 選 択 権 の 存 続 と そ れ に必 要 な 管 理 方 法 の是 正 を 求 め , 選 択 権 の 重 要 性 を 広 く 企 業 の 発 展 , ひ い て は 自 由 主 義 国 家 経 済 の 発 展 に 連 関 さ せ る こ と に よ り , 制 限 選 択 権 の 改 正 を 阻 止 す る よ う , 広 く産 業 界 に 呼 び 加 け た も の で あ っ た と い え よ う。 彼 の所 論 を 要 約 す る と 次 の と お り で あ る。 ベ ー カ ー は, 企 業 が 選 択 権 に 対 し て 行 な わ れ て い る批 判 を 無 視 す る な ら ば ,現 実 に わ が 国 経 済 に 利 益 を も た ら し て い る 選択 権 制 度 に 対 し て, 著 し く 破 壊 的 な 規 則 を招 くこ と に な る だ ろ う と警 告 し, 制 限 選 択 権 の 諸 機 能 に つ い て の 調 査 を 提 言 し て い る。 こ の 調 査 は , 選 択 権 が ア メリ カ の 企 業 に お い て い か に 役 立 っ て い る か に つ い て 現 実 に 即 し て 評 価 し , そ の 事 実 を 国 会 に 明 示 す る こ と に よ り反 対 立 法 を 阻 止 す る 機 会 を 得 る と 同 時 に, 企 業 自 体 に お い て も 選 択 権 の乱 用 を 除 去 す る こ と が で き る。 一 般 的 な 選 択 権 の 目 的 は, 種 々 の 経 営 者 報 酬 制 度 に よ っ て 提 供 さ れ る 給 与 概 念 よ り 優 れ て い る も ので 弗 る か ら, 企 業 と 国 会 は , 選 択 権 が 単 に 一 つ の 機 能 の み を もつ 制 度 と し て 考 え て は な ら な い 。 選 択 権 の 諸 機 能 は , 最 初 は 個 別 的 に , そ れ か ら 一 ま と め に し て 検 討 し 評 価 さ れ ね ば な らな い 。 そ し て, こ れ ら の 機 能 の乱 用 は切 離 し , 自発 的 に矯 正 さ れ る べ き で あ る。 社 会 的 経 済 的 福 祉 を 増 進 す る とい う 利 益 (benefit) は, 同 時 に 一 層 容 易 に 企 業 を 防 衛 す る こ と に 結 び つ く と 説 く。 ベ ー カ 勺 ま, こ の よ う な 観 点 か ら, 選 択 権 の 諸 機 能 とそ れ に 直 接 影 響 を も た ら す 諸 問 題 に つ い て述 べ た後 , 結 論 と し て , 実 際 の 証 拠 に も とづ い た 広 く 公 正 な 調 査 は , 選 択 権 の管 理 の 改 善 や, 新 し い 課 税 規 則 も し く はそ れ に 関 連 す る立 法 計 画 の た め に , 企 業 と 国 会 の 両 方 に と っ て 急 を 要 す る 課 題 で あ る と 述 べ , さ ら に 制 限 選 択 権 存 続 の 妥 当 性 に 関 す る 若 干 の 問 題 に つ い て 言 及 し て い る。 ‥(1 )選 択 権 は, 企 業 の 永 続 的 発 展 と 密 接 に 関 連 し てい る重 要 な 制 度 で あ る 。(2)選 択 権 の 諸 機 能 は 単 一 の も の とし て で は な く, 総 合 的 , 多 面 的 に 経 営 者 報 酬 や 会 社 の 諸 問 題 と の 関 連 で 考

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察 され ねば な らない。(3)制限 選択 権の 課税措 置 につ い ては すでに20 年 間論議 さ れでき たが, 選 択権 利得 が 資本 利得 とし て課税 さ れ る税 法 の歴 史 は屡 々見 落さ れ てお り, 下課税 回避」 もし くは「 特 別措 置」 とい う批 判 は, 現 行 の税 法 を非 難 す るた めに行 な わ れて い る。(4)重要 な 経 営 者 の払 底, 過重 な税 負担 , 株価 の急速 な上 昇, 増大 す る企業競 争, 多 くの商 品開発, 急速 な技 術革 新等 の最 近10年 間 の厳 しい 経 済環 境 下にお い て, 選択 権 の普 及 とともに, 多 くの 場 合 経営 者 に よって取 得 され る選択 権利得 の増 大 は, 経営 者 の報酬 形態 とし て 正し く 評 価 され たこ とは殆 どない。 要 するに, ベ ーカ ーに よ れば, 選 択 権問題 に 利害 を もつ各 々の 関係 者 は, 選択 権 の利点 と そ の 社会的 不適 応 ないし 機能 障害的 側 面 につ い て十分 に 分析 し, 広 く検 討 す る必 要が ある。 狭 い見 解 に よっ て推進 さ れる立 法的 行動 は, わ れ われ の自 由 経済 の目的 を 阻 害 するこ とにな る。 選 択 権 とそ の管理に おい て, 悪 し き もの を排 除 し, 正し き も のを強 調 す るため に, 産 業 界 は, 客 観的 に公 正に, そ し て知的 にそ れ 自身 の役 割 を果 さ なけ れ ばな らな い。 企 業 と政 府 は, 最 も重 大 な国家的 問題 を見失 っ てはな ら ない, とい う こ とを 主 張 し てい るので あり, 選 択 権法 改 正 の事態 に一 つ の警 鐘 をな らし てい る ので あ る。Johnc.Baker ,ibid.,pp.22−33. こ のベ ーカ ー の所 論に つい て は, 生 駒 道弘 著,『 スト ッ ク・オプシ 。ン の研究 』昭 和42年,171 頁以 下に, そ の全容 につ い て言及 が なさ れて い る。併 せ て参照 せ られ たい 。5 )ArchPatton,AreStockoptionDead?H.B.R.,Sep. 。Oct.,1970,P・21.29. 2 刺激方策としての機能 上院財政委員会 のリポートは,1950 年の内国歳入法改正時に,同法!30 −A 条 の立法理由説明に際して次のように述べている。制限選択権 は,「事業 におけ る利害関係」を経営者に もたせることに よって,役員を「 パートナー」1 ) に変える「 刺激方策」 である,と。選択権の刺激機能を重視する同委員会 の 見解は,選択権行使時に正規の個人所 得税を回避する制限選択権規則の採択 に実 質的な影 響を与えた といわれてい る。 選択権を一つの刺激方策とみる見解は,フ ォード(HenryFordII ) に よっ て も述べられている。即ち「 制限選択権は良き経営者に とって力強い刺激で2 」 あ り,そして経済の進歩に とって重要な貨献 者であ る」 と。 また,クリスト ル(Graefs.Crystal)は,選択権に起因する重要な利点 の一つは, 株主との 共通め利害関係を経営者に 屯たせることに よって両者の共存関係を維持し, 同 時 に 「 高 度 の 企 業 者 行 動 を 刺 激 す る た め の 基 礎 を 準 備 す る 」 こ と で あ る と3 ) 述べてい る。 選択権が経営者に対する刺激方策 であ るとするこれ らの諸見解は,要する に,経営者の持株を促進して専門経営者を所 有経営者に転化し,株式会社と 一体化せしめ ることに ょって,会社 の長期的発展に対す る経営者の継続的な 努力を 刺激し,ひいては国民経済繁栄の推進者た らしめるとい うことを意味 しているものと思われる。 もともと選択権規則の背後にある基本的 な考え方

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スト ッ ク・ オプ ション の基 本問題5 乱 経 営 者 の 能 力 と 努 力 が , 会 社 の 株 式 価 値 を 増 大 さ せ る よ うな , そ の よ う4 ) な堅実 な企業 に 発展 さ せ るとい うこ とにあ る とい わ れ てい る。 した が って, 選択権 の 刺激は ,選 択 権に よる株式所 有を 通 じて経 営 者 に所 有 の感 覚を も た せ,企 業家 的 行動(entrepreneurialbehavior)に よる企業 利 益 の増大 が,究 極 的 には ,経 営 者 の利益 として反 映す るとい うと ころに そ の価値 を 求め てい る とい っ て よい であ ろ う。 こ の ような意 味にお け る 刺激 は, 具 体的に は,株価 の上昇 や 配当 の 増大 とい う金銭的利 得に よって実 現せ られる も のであ るが, そ のために は,経 営 者 は十 分 な 選択 権 の交付を受 け る ことが 必 要 であ り, ま た 交付さ れ る選択 権 株式数 は,そ れ らの 株式 に よって むた らさ れ る利 益が経 営 者に と って 満足 で きる 屯め として実 質的 に 感 じられ る 程度 のも の であ るこ と が必要 とさ れる。 も と より, 経営 者 が会社 におけ る所 有利 益を 得るた めに は √取 得 した 株式を 長 期に わた っ て保有 す るこ とを 前 提 としてい る。 か か る 前提条 件 が ない とす れば ,選 択権 の もと での株式 取 得 は ,特 恵的 な資 本利 得 課 税に おい て取得 す る付 加報 酬と して の意 味し か もぢ 得 ない こ と に な る か5 ) らであ る。 ところ で企業 は ,有 能 な経営 者 の長 期勤続を 求め, そ の経営 努力 に 期待す る一つ の手段 と して 選択権 の刺激価 値を 重視 してい る の であ るが, そ れは他 方 で, 経 営 者が会 社 の意 図を 理解 し 自 ら意 識的に 行動 す る とい う望 ま しい 仮 定 のも と で,い わ ば 経営 者 の自覚 と努 力に 依存 してい る とい う側面を 看過 す る ことは できない であろ う。 そ こ でわれ われ は, 現実 に 選択 権に よる 刺激誤 経 営者 の株式 取 得 過程を 通 じてい かに 実 現せ られ てい るか, またそ め確実 性 に つい て所 有的 側面 か ら検討 して みる こ とに しよ う。 選択 権 の行 使価 格 は,す でに そ の交 付時に おい て一 定 してい るの であ るか ら,交付 後 の株価 の上 昇 は, 選択 権 の潜在的 価値 を 自 動的 に 高め る こ とに な る。そ れ故 ,株式 市場 が比 較的 低 調な時 期に 選択権 が 交 付 され る場 合に は。6 ) 選択権 者は マ クシ マ ムな 刺激を 得 るこ とが可 能と な る。 し か し逆に, 株価が 選択権 期間中 に 行 使 価格以 上に 上昇 しない か, も し くはむ しろ下 落す る場合 を 想定 す る とすれ ば, 選択 権 の潜 在的 価値 は失 わ れる ことに な り, 選択権 者 はそ の行使を 拒 否す る ことに な る であ ろ う。 かか る ケ ースに あっ て は,選択 権 の刺激 は不 発に 終 り, 企業 者的 行動 は全 く期待 せ られ ない こ とに なる。 も と より, 選択 権 の行 使 は,選 択 権者 の任 意 であ り, 法 律上 も選択 権約 定に お

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いても行使につい ての強制力は全 くないのであるか ら,そのような事態のも とではその選択権の交付は取消されることになるであろう。 さ らに,選択権の行使に より自社株を取得した経営者は,所有経営者とし て会社の利害とよ り密接な関係を もつことになる。それは,会社と経営者と の一体化に対する刺激が,選択権を通じて実現せ られることを 意味する。と ころが,現行税法においては,選択権行使後の株式処分について行使後3 年 以上経過することを必要要件としてい るに過ぎないか ら,選択権者の株式保7 ) 有は,往々に して比較的短期におわる可能性を もっている。事実,選択権者 が行使後3 年にわたって株式を保有した後,比較的短期間にその株式を処分 し た ヶ − ス は か な り 多 く , そ の 大 部 分 は , 行 使 に 要 し た 借 入 資 金 の 返 済 や 有8) 利な 資 本利 得 税扱 いに よる報 酬 目的 のた め とさ れてい る。 経 営者 の 株式所 有 を 通 じで求 めち れる 選択 権 の刺 激 は,そ れ故に 十 分に 達成 さ れ るとい う保証 は な く,会 社 の意図 す る一 体 化に よる長 期的 刺 激 は,事 実上 選択 権 者の意志 に よ クて少 なか らず 減 殺さ れ る可 能性を もっ てい るとい うこ とが でき るであ ろ う。 ・’ 宍 また, 選択 権者 は, 選択 権 の潜 在価 値を 高 め るために , 企業 の 発展に一 層 の経営 努力 を払 う であ ろ うとい うこ と は一 般に 指 摘せ られてい ると ころ であ る。 選択 権者 は, 株価 が行 使価 格以 上に 上 昇す れば す る程 ,た とえ 課税上 の 特典 が 得 られない 場合 におい て 乱 増大 する経 済的 利 得を 潜 在的に 得 る こと が でき る。 しか しな が ら,選択 権 者 た る一 人 もし くは少数 の経営 者 の努力 が, 会社 の株式 価値 の増 大に 決定的 な影 響力を もつ とい うこ とは,あ る特別 な比 較的 小 規模 企業に おい て は可 能 であ るに し て 乱 多 く の場 合,そ れ は単に 株 価 上昇 に対 す る一 面的 な評 価に 過 ぎない 場 合が 少 なく ない であ ろ う。株 価の 変 動 は, 株式 市場特 有 の投 機性 や一 国 の経 済政 策に よる経 済動 態 の変化 な ど に より,経営 者の責 任に 帰 し得 ない 外 在的 要因 に よっ て大 き く影 響さ れる こ とは しば しば認 め られ てい るか ら であ る。 そ の上 選択権 は,一人 また は若干 の経営 者 の努 力 より 乱 一 般的 な企業 の諸条 件 が株価 に つい て はるかに 多 く の関 連を もっ てい る大 規模 企業 にお い て交 付 され て い る とい う 事実を 考慮 し なけ れば な らない。 そ れ故 , 選択 権 者 が株価を 上 昇 させ るた めに ,そ れ と密 接 に 関連 してい る自社 の繁 栄に 献 身す るであ ろ うとい う選択 権 の刺 激方策 は, や や 水平思 考的 そし りを 免 れず , また か なり不 確実 な 側面を 有 し てい る とい

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ストック・オプシa ンの基本問題7 うことが でき る であ ろ う。 さ らにわ れわ れ は,経 営 者に対 す る刺激 の有効│生につ いて 経 済的 側面 か ら 考 察して みる こ とに し よ う。わ れ わ れ人 間は,現 実に 経 済的 利 得に よって労 働 意欲を 刺激 さ れ るとい うこと は,一 般に 真実 であ る と考え られ てい る。 し か し,労働 者が す でに公 正 な 労働対 価を 給 付 方れた後 , さ らに より大 きな経 済的利 得を 求め てな お一 層 懸命に 働 く であ ろ うと断 ず る ことに は一 般に かな り無理 かお る ように 思 わ れ る。 選 択 権の経 済的利 得 のみ が, 労 働 の重要 な 目 標 であ るか の ご とき見方 は 一面的 に 過 ぎ る。 まして, す でに 高額 の報 酬を 得 て富 裕な財 産を もって い る経営 者 階層に 対 し て, 経 済的 刺 激が 効果 的 であ る9 ) とい うことは必ず し も明 らか では ない といわ れてい る。 ベー カーは, 選択 権 の 刺激 機能に つ い て,選択 権 の反対 者 と同 様に支 持者 の心に も数多 くの疑 問を 生 じさせ てい る と述 べ, そ の疑 問点 辻 つい て 次の よ う に指 摘 してい る。 刺 激 とい う言 葉は ,経営 者が 他 の方 法 で報 奨 され る より も選択 権に よっ てな さ れ る場合 陽 ,会 社の成 功 のた め に より懸 命に 努力 す る だろ うとい うことを 意味 してい るに 過 ぎない のではな い か。 そ れが 経営 者 の 刺 激に つ い て語 られる場 合 ,現 実に 企業 は如 何な る意 味を 考 え てい るのか。 刺 激と報 酬 は全 く同 じ意 味を もっ てい る のではな いか , 等 々。 わ れわ れは, こ のベ ーカーの指 摘 した 疑 問点 は ,実 は ,選択 権 の刺 激 概 念が 非常に 漠 然 と して不 明確 であ り,時 に は かな り偶然的 な要 因に よって 大 き く影響 さ れる場 合が少な くな い とい うこ とに 根ざ してい るも のと思わ れ る。 さ らに ベ ー カ ーは ,選 択 権 の刺 激機能 が, すべ て の経営 者に 同 じ よ うに 是 認され ではい な い と指 摘 し,次 の ように 述 べてい る。 経営 者 の多 くは ,彼等 の地位 とサ ラリ ーの取得 につ い て ,基本的 に 強力 で十 分 な 刺 激 とし て考 えて い る。 経営 者 の多 くは, 概 して会 社 が不振 とな り, 経営 者 自身 の金 銭的 報酬 が 会社 の好 調 期 のそ れ よ り減少 し てい る場 合に ,会 社 の成 功 のた めに 献身 的 な 努力を し多 く の貢献を す る。 これ とは反対 に ,経営 者に 選 択権 と高い 金銭 的 刺激とを 与 え てい る会 社が ,低 成長 を 続け てい るか もし くは悲 惨な 経営 の 破 綻を まね てい る例が 数多 く見受げ られ る。株 式を所 有 し, 選択 権を 歓 迎 し て いる経 営 者 の間 で 乱 往 々に して 「わ れわ れは, も しわ れわ れ の選 択 権が そ れらを 屯だな い場 合 より もわ れわ れを一 層献 身さ せ る経 営 者に す る とすれ ば ,そ れ は疑問 であ る」 とい わ れ ている とい う。 そ こ で企業 は ,「 刺激」 論

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が多 くの諸見解のなかで阻害されている事実を認識する必要かおる。特に刺 激について,現実に個人を動機づけ るとい うことは何 であるかについて殆ど 知 られていない。失敗の恐れ,権勢欲,地位,社会的 尊敬のすべては,個人 の行動に大きな影響力をもっているのであ る。 したがって,選択権の刺激的 特徴を強調し過ぎることは,困難な問題を自ら求めることになる。要するに ベ ーカーは,刺激の正当な 根拠は,選択権を守るとい う観点からは非常に薄10 ) 弱である, と説くのである。 ■ 。・・ 以上においてわれわれは,選択権における刺激機能 の性格について,モ の 確実 注や有効性との関連において検討してきたのであ るが,それは,究極的 に は,選択権固有 の報酬と株主化機能とに 根ざした,もしくはそれ らの機能を 前 提としてはじめてとらえ られる性質のものであ ると考え られる。それ故, 少な くとも刺激機能それ自体が,他の機能と個別的 もしくは対訳的に存在し 独自に機能するものとはいい難い。そこで次に√報酬 と所有機能とについて みることが必要 となる。 ノ 1)JohnG.Baker,ibid.,p.24 ・2

)HenryFord11,stockOptionareinthePublic: [nterest,H. 召。R.,July-August.1961.p.45.Johnc.Baker,ibid.,p.24.3 ]Graefs.Crystal,FinancialMotivationforExecutive,1970,p.203.4 )ErwinN.Griswold,ibid ・,p ,52-/5 ) ボ ス ト ン は , 経 営 者 が 会 社 に お け る所 有 利 益 々得 る な ら ば 一 層 彼 の義 務 の 遂 行 に 精 励 す る で あ ろ う し , ま た, 会 社 に お け る よ り 大 き な 利 潤 が , 究 極 的 に は 自 己 の 利 益 と な っ て反 映 す る で あ ろ う と い うこ と を 想 定 し て , 経 営 者 に 対 す る刺 激 を, 株 式 所 有 に よ る 利 益 の 獲 得 に 求 め て い る 。CharlesF.Poston,RestrictedStockOptionsforManagement,1959,p.46.6 )ErwinN.Griswold,ibid.,p.537 ) 選 択 権 行 使 後 の 選択 権 者 に 対 し て , か な り の 会 社 が, 株 式 の 長 期 保 有 に つ い て 何 ら か の 臣 力 を か け てい る こ と が 明 らか に さ れ て い る。 ク リ ス ト ル の 調 査 結 果 に よ る と, 被 調 査 会 社 の 約20 % が 長 期 的 な 株 式 保 有 促 進 の た め に 選 択 権 者 に 圧 力 を か け て い た こ と を認 め た が , 選 択 権 者 の 報 告 に よ れ ば , 彼 等 の 約40 % が 会 社 か ら の 圧 力 が あ っ た こ とを 認 め て い た と い う 。 だ が そ の圧 力 は, 資 本 利 得 課 税 上 の適 格 要 件 で あ る , 行 使 後3 年 間 の 株 式 保 有 期 間 を 経 過 し て か ら著 し く減 少 し た と い う。 し た が っ て, 大 部 分 の 会 社 は , 適 格 選 択 権 の 適 格 要 件 を ガ イ ド ラ イ ン とし てお り, そ れ 以 上 の 株 式 所 有 は選 択 権 者 の 自 主 性 に 依 存 し て い る も の と 思 わ れ る 。Graefs.Crystal,ibid.,pp.214 ―215.8 ) 選 択 権 者 は , 選 択 権 行 使 価 格 払 込 み の無 計 画 性 に よ っ て , 選 択 権 に よ る 取 得 株 式 を 大 量 に 売 却 し て い る と い う 。 そ れ は, 平 均 し て , 取 得 株 式 の 約40 % に あ た る と 指 摘 さ れ て い る。V.HenryRothschild,ibid.,p.134.CharlesF.Poston,ibid 。,p.54.9 )ErwinN.Griswold,ibid.,p.52 ・10 )Johnc.Baker,ibid.,p.24.

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ストック・ オプションの基本問題93 報酬として の機能 選 択 権 が 経 営 者 報 酬 の 一 形 態 な の か に も し くは そ れ と は 全 く 異 質 の 機 能 を 七つ 制 度 であ る か に つ い て の 論 争 は , す で に1950 年 の 選 択 権 立 法 以 前 か ら問 題 と せ ら れ て き た と ころ であ る 。 一 方 は , 選 択 権 が サ ラ11 ーや ボ ー ナ スに 類似す る報酬 とい う よりは ,む し ろ投 資 もし くは所 有を 意味 す る も のとし,1 ) 「選択権の交付は本質的に資本取引であ る」と結論す る。 また他方 では,選 択権の法的規定や現実の態様の分析か ら,選択権を交付する主たる理由は。2) 成功的経営者に報奨す ることであ る, と主張する。 このような両者の主張は,しかし,いずれか一方 のみが選択権の唯一の機 能であ るとし, もしくは全く対胆的なものであ るとする見解 ではな く,何れ が支配的な機能 であるかについ て相互 の密接な関連を前提とした うえ で強調 せられているものと思われる。それは,すでに選択権立法当時の アンリカ給 与安定局の報告においても,被傭者選択権の授受には,被傭者の人的サービ スに対する報酬 と, 雇傭者と被傭者との一つの資本取引 であるとする両方 の3) 考え方が是認されていたということからも明らかであ る。 そこでわれわれは,選択権におけ る報酬的機能の根拠について,資本取引 とみられる所有的 機能 との関連から,初期の選択権ま で遡って歴史的に検討 することにし よう。 ゛。(1) 選択権は,今世紀初頭か ら種々の形態をとって多 くの企業 で利 用されてき たのであるが, それは。 税法上何 らの特典もない無制限選択権として 専 ら 個別企業の管理に委れ られてきたの である。 ことに1920 ∼30 年代におけ る 選択権の利用は,1929年の好況期をピ ークに,その後一転して迎えた経済不 況期を通じて逓減していった。 それは,30 年代中葉にいたる不況期にお い て,事実上企業 活動が停滞し,株式 市場も一般に低調に推移したことから, 株価の上昇に よる差額利得を 得る余地 が極端に狭め られることになったか ら である。かかる経済情勢のもとで利用せられた選択権の大部分は,財政的に 困窮して資金的余裕のない企業,破産寸前の企業,人材不足 の企業等が,有 能な経営者を誘引してその定 着をぽかり,もしくは将来の報酬 の取得機会を 与え,その代りに現在の控え 目な報酬で勤続を 求めるとい う,いわぼ会社再 建について新しい経営者を 待望する起死回生の策 として実施せ られた のであ

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る した が って ,当時 の 選択権 は, 経営 者 が 将来 の 企業 業 績 の回復や 株価 の上 昇を 期待 して ,い わば 自己 の多 額 の報 酬 可 能性に 投 機的 危険を かけ た重要 な 手段 であ った とい って よい であ ろ う。 と ころ で,経 営 者の 期待す る 選択権 の経 済的 価値 は , 課税 と の関 連 で重 視 せ られ て きた こ とはい うまで もない。 そ れ は, 経 営 者 の実 質的 報酬価値が , 通 常税 制 の変 更に よっ て大 きく影 響 され て きた か らであ る。 と ころが 当時 の課 税上 の措 置は ,選 択 権行 使時 の行 使 価格 と株式 市価 との 差額に 対 して 普通所 得税 が課 せ られ, 企業 の費 用控 除 も認 め られ ていた の で あ る。 優 遇的 配慮を 欠 くかか る課 税措 置 は ,選 択 権 の報 酬機 能を重 視す る企 業 の独 自的 運用 に任 され てい た とはい え, 何 ら特別 な 関 心が払 わ れ ることも な く容認 され てきた とい う背 景に は, 当 時 , 全 体 と し て, 個人所 得税率 と そ の累 進度 が 相対 的に 低 位 にあ った ことが 指 摘 せ られ てい る。 た とえば ,1929 年 と1942 年 の課 税額を対 比 す ると, 年 間 課 税所 得50,000 ドルに対 して,1929 年 の税 額合 計(ニューヨーク州税と連邦税) は, 約5,000 ドル であ ったが,1942 年 のそ れは ,26,000 ドル と約5 倍強 に 増 加 して い る。 また ,年 間課税所 得500,000 ドルに つい て みる と,1929 年 のそ れが122,000 ドルであ ったのに4 ) 対 し て,1942 年に は約420,000 下ルと約3.5 倍 に 増 加 して い る。 また,年 間 課 税所 得100 万 ドルに対 す る1929 年 と1954 年 と の税 率に つ い てみる と,それ5 ) ぞ れ24 % と0( が であ り, 当時 の累 進 税 率が い かに 低 位に あ った かが わか る。30 年 代 中葉 以降 に ニ ュー・ テ ィー ルの 景気浮 揚策 が 本 格化 し,政 府 の大 規 模 な財 政 支 出の結 果 とし て個人 所 得税 率お よびそ の累 進 度が 漸 次高め られる ことに な った。 そ のた め,経 営 者 の課税 後 報 酬は , 課 税 前報 酬の逓 増に も拘6 ) らず,40 年 代 初 頭にい た るま で, 逓減 の 傾 向を 示 す 結 果 とな ってい る。 この よ うな課 税 の強化 と30 年代に おけ る株式 市場 の不 振 は ,同 時に 選択 権制度 の 利 用 の激 減を まね くことに な った。 そ れは , 選択 権 の利 用 目的 が, 明 らかに 株 価 の上 昇 か ら差 額利 得を 得 る一 つ の報 酬 手段 とし て一 般に理 解せ られ てい た こ とを 実 証 す るも のといえ る。 と ころ で, 報酬 手段 とし て認 め られ てき た従 来 の 選択 権 が, 本質的 に 画期 的 な 意味を 与 え られる ことに な った直 接的 契 機 は,1937 年 の パーマ ー事件に お け る最 高裁 判所 の判 決 であ った。 そ れは , 選択 権 の行 使時差 額 が投資 目的

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ストック・オプションの基本問題11 に よる所 得 であ れば 普通所 得 とし て課 税 され る こ とはな い とい う, いわば 選 択 権の報酬 性を 否定す る新 しい 方 向を 示 す 屯の であ った 。そ の後, ギ ー芦マ ソ 事伴や エ バ ソス事 件に お い て, 選択 権 の利 用 目的 が投 資取 引であ る か否 か に つい ての 個別的 判定を 裁判 所 が下 す こ とに よって ,投 資型 選択 権 と報酬型 のそれ とを 明確に 区分す る考え方 が 支 配的 に な った。 非 報酬 性 ない し投資型 選択権 と認定 せ られ る根拠 は, 経営 者 に 選択 権を 交 付す るこ とに よって,い わ ゆる所 有 者持分を 提 供し, 経営 者 の株主 化に よる一 体化 思 想を 強両 す るこ とにあ った とい うことが でき る。 そ して, そ の判 断 基準 は,多 くの判 例か ら みて,週択 権 交付に つい て の当 事者 の意図 と,そ の交 付時 に おけ る 株式 市価 と 行使価 格 とがほ ぼ同 じ であ る ことを 主 た る要 件 とし ていた のであ る。 かくて ,投 資型 選択 権は, 行 使時 差 額 があ って もそ れに 課 税 され る ことは な く, 株式 処分時 の差 額に 対 して 資 本利 得 税が 課せ ちれ を とい う, 課 税優遇7 う 策 が正式 に 認め られ る ことに な った のであ る。 選択 権 が 潜在的 に 報酬 目的 のI 〃 ・ ゜''‥‥ ゛「・'.I ̄7 ・ .●¢・ ● −'・!・ た めに 意 図す れでい る場 合に あ って 仏 投 資的 形 犬が 認 め られ れば,そ れ が 課 税上 の特 典に よって報 酬的 機 能が よ り強 化 され る こ とに な る。 そ のた め企 業 は, 選択 権 の 目的を 投 資手段 とし て形 式的 に 擬 装す る ことに よって 課税 の 回避を は か り, 選択 権 の もつ 本来 の報 酬 性を 経済的 に よ り強 化 して, 蛙力的 な 似度 として利 用す るに いた った の であ る ○ かかる投 資型 ない しは所 有 者選 択 権に 対 して,そ れ 以 外 の選択 権は 報酬 選 択 権といわ れ, 従米 の課 税原 則 が適 用 され た の であ る。 し かし ,当時 の高 率 所 得税 の影 響は ,報 酬 選択権 の経 済 性を 著 し く低下 させ , 高額所 得眉 の経営 者 にとっ ては, 全 く魅 力 のな い 制度 とし て無視 され る こ とに な った の であ る。 もちろ ん, この よ うな経 済 情勢 の も とでは ,所 有 者 選択 権 といえ ども税制上 め影響は 免れず , この制 度 の利 用が 極 めて 低 調に 推移 した とい う事実 がそ の こ とを物 語 ってい る。 しか も,所 有 者 選択 権 が裁判 所 に より個 別的 に 認定 さ れ てい た とはい え, 財務 省規 刑 がな お 従来 の課税 原則 の適 用を 持続 してい る 限.りは ,資 本利 得が 普通所 得 と して 高 率課 税 され る可

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権の主 た る価 値 は失 わ れ るこ とに な る。 経営 者利 得 の源泉 は, 株 価 の上 昇に よる行 使価 格 と株式 処 分時 の差 額の実 現に 求め られ てい るの であ る が,30 年 代 の株 式市場 の低 迷 の もと では ,行 使 価格の 割引 率が 殆 どな い とい う所有 者 選択 権 の要 件 に 加え て ,株式 処分時 の利 得が殆 ど望 み得 ない とい う事 情に よ っ て この制度 の利 用が 大 き く影 響さ れた ものと考 え ら れる。 これ らの事実 は, 報酬 性を 否定 す る所 有 者選 択権 とは いえ実 質的 に 選択 権 の報 酬 機能を 否定 す る ことは で きず ,結 局 追 加的 な利益 創 出の手段 として 認 めざ るを 得ない とい う, 選択 権 の本 質的 側 面を む しろ 露皇 する結 果に なっ てい る こ とに 注 意し な け ればな らない。 と もあ れ, 選択 権 は, 従来 報酬選 択権 とし て のみ考え られ て きた 伝統的 概 念に対 し て新 しい 意 味 がつけ 加え られ るこ とに なった 。 そ れは 特に , 高額所 得 者とし て の経 営者 に対 す る 新た な経 済的 特 典が ,実 質的 に 選 択 権 の経 済的 価値 喪失的 局 面を 打開 す るた めに 新た な衣を まとっ て 出現 した とい う点 に と どま らず ,そ れ が 現代 の 選択 権につ なが る基本的 特質 とし て, この時 代にお い てす でに 公 認 せ られた とい うところ に従来に なかう た大 き な 意義を 認め る こ とが できる の であ る。 と ころ で,裁 判所 に よ り確立せ られた所 有者 選択 権 と報 酬 選択 権 と の概念 上 の区 別 は,1939 年 の財 務 省規 則 の改正に よって 正式 に 課税 の一 般 原 則 とし て認 め られ る と ころ となっ た。 しか しこ 所有 者 選択 権 の課 税 優遇 措置 は,そ の後1945 年 の ス ミス事 件に おけ る最 高裁判所 の判 決に よっ て 否認 せ られ るこ とに な った の であ る・。 税 務当 局 も1946 年 にそ のレ ギ ュレ ー-ya ン を 再 改 正 し, 選 択権 の行 使 時差 額 は 普通所 得 税に服 す るこ とに なう た 。課 税 優 遇的 選 択権 の利 用は,犬す べて 廃 止さ れ,1923 年 に採 択 され た最 も 初 期 の財務 省決定 (TD3435 )に おけ る選択 権 規則 が 完全に 復活 す ると ころ とな っ たり であ る。 し かし なが ら, この 改正 さ れた 規則 の課 税原則 が一 般 に 適 用さ れ るこ とに なっ た とはい え , そ の規 則改 正 の直接的 契 機 となっ た 最 高裁 判 決が, 必ず し も明確 ではな く,多 様 な 解釈 の余 地を 残 してい た もの であ っ たた め, そ の後 そ れを め ぐって多 く の論争 を まきお こす ことに な った の であ る。 特に ,一旦 獲 得した 課 税 回避 的 選択 権 の廃棄 は,利害 関係 者に とっ て既 得 権 の剥奪 とし て映 じた とし て も無 理 が らぬ と ころ であ った。 財 務省規 則 が内 国歳 入法に お け る普通所 得 と資 本利 得 との 基本的 な 区別を無 視 し, 法 律 の不 適当 な行使を

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ストック・オプションの基本問題13 行 なっ てい るとす る関 係者 の抗 議は ,そ の後 , 新た な選 択 権を 創出 す る広 範 な 運動に 転化 し てい った。 そ し て, つい に 新た な 選択 権 制度 が1950 年 の内国 歳 入法 の一 部 改正 と して立 法化 され ,課 税 原則 が 確立 さ れるに いだ ったの で あ る。 それ は, 従来 の所 有 者選 択 権 と報 酬 選択 権 との 概 念区 分 や そ の課税 原則, 方 法を一 切 改め ,選択 権 の 交付や 行使 条件 な どに対 して あ る一 定 の制約条 件 を 定 め,そ の条 件 が満た さ れた 場 合に 課 税上 の 優 遇措置 を 講 じ よう とす る も の であ っ衰 。 か か る選択 権 は, そ の後 法定 選択権 (制限・適格選択権) とし て,1954 年 に1964 年 お よび1969 年に 程 度 の差 はあ れそ れ ぞれ 形式 ,実 質 と もに 改 訂 せ られ今 日に い た ってい る。 これに対 し て, 非法 定選 択 権[無制限・非適格 選択権])は, 有利 な課 税原 則を 適 用せ られ ない 選択 権と して 今 日尚 存在 して8 ) い るこ とはす でに他や 機 会に 述 べた と ころ であ る。 以上 われわ れ は,選 択権 の報 酬 機能 の論 拠を あ とづけ るために 課 税史的 側 面 か ら検討 し て きた の であ るが , こ こ で特に注 意しなけ れば な らない こ とは, 本来 選択権に対 す る資本 利得 税 の扱 い が, 歴史 的に そ の所 有 機能に つい て の 特 典と して認 め られ て きた とい う点 であ る。 した が って ,報 酬 が選択 権 の課 税 回避的 側面を 通 じて実 現 せ られ る こ とは, 合法 的かつ 妥 当こな もの とは認 め 難 い。 しか しそ れに も拘 らず , 選 択権 の報酬 性 が 常に 決 定的に 否定 せ られ う る措置 がと られなか っ た こと もノまた注 目され なげ れば な らない。 そ れは, 選 択 権 の所有 的 機能を 積極的 に 主 張 してそ れを 根拠づけ よ うとす る試 みが ,実 は 選択 権の報 酬性 を 否定 す るに十 分 な る論拠 とはな り得 な か った とい う歴 史 的 事実に おい て,む しろ 選 択権 の本質 的 特性をこ そ浮彫 りに してい る とい う こ とができ よう。つ ま り, 所 有 者選択 権は ,選 択 権に よる株式を 取 得す る こ と に よっ て追 加的 利 益が 得 られ る こ とを前 提 とし てい る の であ って,利 得 の 可 能性がない 状 況の も とでは所 有者 選択 権 の 目的 もま た 果 され ない のであ る。 また逆に ,報 酬選択 権 の場 合に あ って は ,一 旦 株式を所 有す る こ とな しに は 株 式処分 は不可 能 であ り, 報 酬 の獲 得 もまた 達せ られな い のであ る。 した が って, 両 者の関 係は , 相互に 前 提 し合 うニもの であ り, さ らに 強い ていえ ば , 後 者 は前 者の 必須 の条 件で す ら弗 る とい え る。 さ らに,所 有 選択 権の論 理を 強 調 し, そ のた めに条 件 を 強化 す ればす る 程‥, 逆 に 選択 権の課 税優 遇策を 重 視 しなけ れば な らない とい う企業 の 株主化 方策

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は,それ自体 選択権か らの利得の拡大を潜在的に容認しているものといえる であろ う。 このことは,1950 年に立法化せ られた制限選択権におい て,より 明確な形を とって公認せ られるところ となった。 選択権行使後の株式保有期間が6 ヵ月であり,それがそ の後の適格選択権 において3 年に延長された とはいえ,税法上の株式保有期間が何れにせよ短 期間に限定せ られ,経営者は株式処分時 の有利な選択に よって利得の実現を 可能に してい ることは明 らかである。その上,所有選択権の論理が,さらに 刺激と報酬の利益を経営者に与えることに よって,国民総生産の増大 もしく9 ) は産業の発展に大きく貢献したとい う主張に発展してくるのである。ここに いたって,選択権の報酬性は,選択権の批判を回避す る株主化の擬制として ではなく, より明確な正当性を顕在化して所有機能と対 置せ られる論拠を公 然と提示することにな ったのである。 選択権の課税優遇策 乱 かかる事態の 歴史的転移とともに,経営者報酬の一つの源泉を強化す るものとして主張せ られるにいだった のであ る。 かかる選択権の歴史的な変貌もしくは所有者選択権 の論理的矛盾は,当然 のことなが ら社会的批判を 浴びることになった。その結果,選択権に対する 課税は,1964 年 と1969年の税法の改正に よって一層強化されることになり, 経営者の選択権におげ る所 得源泉は大幅に縮小せ られることになった。現在, 選択権の危機が叫ば れている主たる理由は,選択権の報酬性を 制約しようと する課税原則の適用が,とりもなおさず選択権の消滅につながる ご と を 恐 れているからにほかな らない。このことは,選択権の有用性が,本質的にそ の報酬性にあ るとい うことを実証的に明らかに してい るものといえるであろ う。 (2) 選択権は,多くの場合,事実上経営者に対す る一つの報酬手段 として意図 されてお り,また,経営者は,それを経済的利得の重要なる源泉 として考え てい るといわれてい る。選択権 の報酬│性を重視するかかる観点にたてば丿 会 社におけ る所有感覚を得るための手段を専門経営者に準備す るがごとき他の10 ) 理由は,通常第二次的であ り,そしてしばしば同等には存在しない」 と主張 せ られることになり,選択権の報酬性が,その支配的機能として正当化され ることになる。

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ストック・オプションの基本問題15 周知 の ご と く , 選 択 権 か ら の 報 酬 源 泉 は , 選 択 権 期 間 と行 使 か ら 株 式 処 分 時 に い た る株 式 保 有 期 間 と の 二 つ の 期 間 を 媒 介 とす る 株 価 の 動 向 に 依 存 し て い る。 し た が っ て , 選 択 権 行 使 の タ イ ミン グ と そ の後 の 株 式 処 分 に よる利 得 の 実 現 は , 必 ず し も 安 定 し て い る 訳 で は な く多 く の 場 合 非 常 に 不 確 定 であ る と い っ て よ い 。 そ れ 故 法 定 選 択 権 は , 不 確 定 な 据 置 報 酬 形 態 (aformofcon-11 )tingentdeferredcompensation ) と も 称 せ ら れ て い る。 かか る 報 酬 形 態 と し て の 選 択 権 か ら 得 ら れ る経 営 者 報 酬 は , ク リ ス ト抄 に よ れば , 次 の三 つ の フ ァ ク タ ーに よ っ て 決定 さ れ る と い う。 す な わ ち , 選 択 権 の交 付 サ イ ズ, 株 式 の マ ー ケ ット ・ ビ ヘ ビ アお よ び 経 営 者 の 投 資 家 と し て12 ) の才 能 で あ る。 第1 に , 選 択 権 の交 付 規 模 は , す べ て 会 社 の 管 理 に 委 ね ら れ て お り , 法 律 上 の制 約 は 特 に 存 在 し な い 。 選 択 権 は , そ の 目的 を 達 成 す る た め に , 経 営 者 に よっ て実 質 的 に 十 分 と 感 じ ら れ る 程 度 の 規 模 に お いて 交 付 さ れ る こ とが 必 要 とせ られ て い る が , そ れ は 実 際 上 , 選 択 権 者 の 行 使 価 格払 込 資 金 の問 題 や 株 主 持 分 の 稀 薄 化 問 題 な ど の関 係 か ら, 一 般 に 予 め 限 定 さ れ て い る の が 実 情 であ る 。 た と え ば , サ ン プ ル13 社 の 調 査 結 果 に よ る と, そ の う ち の12 社 が 予 め 選 択 権 に 服 す る 総 株 式 数 を 定 め ,1 社 だけ が 委 員 会 の 決 定 に 委 ね て い る。 ま た 選 択 権 者 個 人 に 対 す る交 付 株 式 数 に つ い て は ,13 社 の うち7 社 が 予 め 細 則に 規 定 し,1 社 は 選 択 権 に 服 す る 総 株 式 数 の一 定 百 分 率 で 定 め て い る。 他 の 会 社13 ) は , す べ て そ の 決 定 を 社 内 の 選 択 権 委 員 会 の 専 決 事 項 と し て い る。 さ らに , 選 択 権 の交 付 規 模 は , 第1 図 で示 さ れ て い る よ うに , 選 択 権 者 の 基 本 給 (basesalary ) と 密 接 な 関 係 を も っ て お り , そ れ は サ ラ リ ー と ボ ーナ ス と の関 係 に 類 似 し て い る とい わ れ て い る 。 こ れ は,450 名 の 経営 者を 対 象 と した 調 査 結 果 で あ っ て , 基 本 給 と5 年 間 に 交 付 さ れ た 選 択 権 株 式 の 行 使 価 格 合 計 額 と の 関 係を み た も の で あ る 。 基 本 給 が 増 大 す る にっ れ て 選 択 権 の交 付 規模 は 確 実 に 増 加 し て い る 。25,000 ド ル の 基 本 給 レ ベ ル の 選 択 権 者 グル ー プ は,5 年 間 に 基 本 給 の1.1 倍 か ら4.9 倍 の 範 囲 の交 付 規 模 で あ っ た が , 平 均 倍数 は2 倍 の50,000 ド ル (i 株当 り行使価格50 ドルで,1,000 株) で あ っ た 。 ま た,100,000 ド ル の 基 本 給 レ ベ ル の 選 択 権 者 グル ー プ の平 均 倍 数 は ,6 倍 強 の600,000 ド ル 以 上 の 交 付 規 模に な っ てい る。 も ち ろ ん , こ の よ う な 交 付

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- . t W J ぞ ・ j ' I・ i l , ' ■ ' ‰ 基 本 給 の 倍 数 ︵ 五 年 間 に 交 付 さ れ た 選 択 権 の 合 計 額 ︶ O O t > . t o " ^ 4 COlo ca 2 1.5 1 第1 図 基本給に対する適格選択権交付規模の関係 F /

/

/ / / $10 20 30405060708090100 基 本 給(1,000 ツ ル )・ 200 規模は,必ずしもす べての選択権者の基本給に直動(translate)する と は い え な い が , 平 均 的 に は 高 給 経 営 者 ほ ど か な り有 利 な 利 得 機会 を 与 え ら れ て14 ) い るとい うことが理解できよう。 第2 に,株式のマーケット・ビヘビ アについて, クリストルは大要次の よ うに述べてい る。すなわち,株式市場におけ る株価の形成は,企業経営のコ ント=・―ルのもとにあ る収益の増大,なかんずく普通株1 株当 りの利益の増 大や経営外の諸条件の変化に依存してい る。経営外的 要因に は,政府の経済 政策,インフレーション,景気動向,戦争お よび会社 の統制不可 能 な 他 の 条件等かおる。経営成果ないし,1 株当 り利益に対す る全責任は,典型的に は,それを 統制す る会長もしくは社長に 帰属す る。も とより株価は,種々の 要因に よって形成されるものであ るか ら,株価の動向 と彼等の職能との相互 関係には自ら限界のあ ることはい うまでもない。これに対しTて,他の経営者 の職能と株価との関係は明 らかに 消極的である。 ところで,もし経営者 の職能と選択権利得とが密接な関係にない とす れば, 選択権の刺激 価値は低く, また選択権利得を 得る程度が常に 同じであ る場合 には,経営努力への刺激は僅かなものとたる。経営者 の経営努力と株価の変

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ストック・オプションの基本問題17 化 か ら も た らさ れ る 選 択 権 利 得 ど の 関 係 は , 巨 大 企 業 よ り も 相 対 的 に 低 位 規 模 企業 の方 が よ り 密 接 で あ る。 そ れ は , 経 営 職 能 の行 使 如 何 が , 直 接 企 業 の 収 益 力 を 反 映 す る㈱ 価 に 敏 感 に 影 響 し 易い か らで あ る。 そ れ はレ 親 会 社 と そ の 子 会 社に 対 す る 経 営 者 の 指 揮 職 能 の影 響 を み れ ば 明 ら か で あ る 。 経 営 者 の 影 響 力 は 子 会 社 ほ どつ よ く , し た が っ て 選 択 権 の 刺 激 価 値 も親 会 社 よ り は る か に 高い 。 ま た , 選 択 権 の 刺 激 性 に つ い て の 付 加 的 問 題 は , 選 択 権 株 式 の 市 価 が 行 使 価 格以 下 に 下 落 し た , い わ ば 「 水 面 下 」 に 没 し た 会 社 に よっ で も たこ らさ れ る 。 か か る 会 社 の多 く は , か つ て 利 益 が 倍 加 し 株 式 市 場 の 好 調 に っ れ て 株 価 も上 昇 し た 。 株 価 の上 昇 傾 向 か 続 く限 り で は , こ れ ら の 会 社 の 経 営 者 は , 選 択 権 制 度 か ら の利 益 を 享 受 し てい た 。 しか し , 株 価 の下 降 傾 向 と と も に 経 営 者 の 不 満 が 高 ま り ,「 水 中 に 選 択 権 が 没 した 時 に 彼 等 の 不 満 は 大 き な 悲 嘆 に 変 っ た 」。 か か る経 営 者 に 対 ず るBoozAllenandHamilton の 調 査 結 果に よ る と, 彼 等 の^lTo は , 経 営 者 職 能 と 選 択 権 か ら の 報 酬 と の 関 係 は 薄 弱 であ り 適 当 で は なか っ た と 考 え て お り , また 同 じ 割 合 の 経 営 者 は , 選択 権 か らの報 酬 は十 分 で な か っ尭 と 明 言 し て い る 。 要 す る に 選 択 権 は に 選 択 権 者 に と っ て 金 銭的 利 得 が 実 現 せ ら れ た 場 合 に お い て の み 刺 激 的 で あ る と い うこ と で あ る。 ・’ 丿 以 上 の ク リ ス ト ル の 所 論 に お い て , 株 式 の マ ー ケ ッ ト ・ビ ヘ ビ ア は , と り わ げ 株 価 の 動 向 と経 営 者 職 能 と め 密 接 な 関 連 の も と で, 選 択 権 利 得 = 報 酬を 規 定 す る重 要 な フ ァ ク タ ー と な っ てい る とい う こ とが 指 摘 せ ら れ て い る 。 株 式 会 社 に おけ る 選 択 権 は , 本 来 株 価 の 上 昇 過 程 を 前 提 と し て 利 用 せ られ る も の でちくり , そ の 限 り に お い て こ の 制 度 の 経 済 的 意 味 が 実 現 せ ら れ る こ とに な る 。 企業 の 成 長 と 株 価 の上 昇 は , も と よ り 経 営 者 の 優 れ た 経 営 手 腕 の 直 接 的 反 映 とし て み な し 得 る が , し か し 株 価 の形 成 は , ク リ ス ト ル も指 摘 し てい る よ うに , 企 業 に よっ て 統 制 不 可 能 な 経 営 外 的 諸要 因 に よ っ て 常 に 大 き く 影 響 さ れ 安 定 性 を 欠 く こ と に 注 意 し な け れ ば な ら な い 。 し た が っ て , 株 価 の 動 向 は , こ の制 度 の 株 価 を 媒 介 と す る 刺 激 性 や 報 酬 性 の 不 安 定 性 も し く は 限 界 を 示 す も の で あ り , 強 い て い え ば , 株 価 の不 振 や 下 落時 に お け る 選 択 権 の 利 用 は , こ の制 度 自 体り 否 定 に も つ な が る こ と に な る の であ る 。け だ し , 株 価 の 上 昇 が , 報 酬 手 段 と し て の 選 択 権 の実 質 的 な 基 本 要 件 で あ る と 考 え ら れ る か ら で あ る 。 ハ

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第3 に , 経営 者 の報 酬に 影響を 及ぼ す フ ァ クタ ーは, 投資 家 とし ての経営 者 の才 能であ る。経 営 者 は, 選択 権 の適 格要件 に した が って ,交 付後一定 期 間内に 行使 し ,そ の後 さ らに そ の取得 株式を 一 定 期間 保 有し た後 処分 する こ とに よって , 選択 権か らの報酬を 資本 利 得 とし て取得 す ること がで きる。 選択 権の 行 使時利 得 とそ の株式 処分 に よっ て実 現せ られ る利益 は, ともに 株式 市場 に おげ る株価 の動 向 と不 可分 の関 係に あ り, そ の利 益 の多 寡 は,経 営 者 の投 資 家 と して の機敏 な判断 と行 動に 依 存 してい る。 しか し, 選択権か らの利 益は , 同時に 経営 者 職能に 照応 す る報 酬 基準 とな らな いこ とはい うま で もな い。 そ れ は,一 般投 資家 と して の才能に 依存す る部分 が大 き く作用す るか らであ る。 以 上 わ れわ れ は。, 選択 権の課 税史的 側 面を 概 観す る と ともに ,そ の報 酬性 につ い て吟 味 し てきた。 選択権 の歴 史的 変 遷過 程に おい て,所 有者 選択権 が 実 質的 に報 酬 選択 権 とし ての経 済的 意味を 付与 され ,所 有に 対 す る課税 優遇 措 置が 報 酬経 済 性を 強 化 す ることに おい て正 当化 さ れ, い わば 選択 権の本質 が ,そ の報 酬性 の一 般的 容認を 前 提 とし て論 じ られ るに い だ った の であ る。 選 択権 に対 す る課税 の強 化措 置が ,選択 権 の存 亡 の危 機 とし て強 調せ られ る に い たっ た最 近 の産業 界 の実 情 は,選択 権 の本 質が ,実 はそ の報 酬経済性に あ るとい うこ とを 如実 に 実証 し てい るも のとい うこと がで き るであ ろ う。 ところ で, 選 択権 の報 酬性 がそ の支 配的 機能 と して論 じ られるに して 乱 所 有 機 能が直 ちに 否定 せ られ る もので ない こ とも また 明 らか であ る。それ の みか,1950 年 の選択 権立 法におけ る所 有 者 選択 権 の理 念 は, 相変 らず積極的 に 主張 せ られ, 課税 優 遇の強化 とその も とでの 選択 権 の存 続を 求 め る正当 な 論 拠 として生 き てい る のであ る。 そ こでわ れわ れ は報 酬 選択 権 との関連に お い て, さ らに 所 有者 選択 権につ い て検 討す る こ とが必 要 と な る。 1)Johnc.Baker,ibid.,p. ・24.2 )EdwinD.Campbell,StockOptionshouldbevalued,H.B. 瓦,July-August,196Lp.53.3 )HearingsbeforetheStockOptionPanel,ReportonStockOptionandstockPurchasePlans,SalaryStabilizationBoard,Oct.23,1951,p.20,byJohnc.Baker,ibid.,p.24.4 ) 拙稿 「 今世紀30 年代 以降 にお け る経営者 報酬 の諸 問題 」(1),経 済 経営論 集 第55号,54頁5 ) 拙稿 「即 時支 給報酬 制度 の重 要性 と据 置型 報酬制 度」 前 掲論集 第i3,44 号,50 頁6 )L.R.Burgess,TopExecutivepaypackage,1963,p.115.G-.T.WashingtonandV.H.Rothschild,CompensatingtheCorporateExecutive,Vol.TI,1962,P.2O に7 ) 拙稿 「 スト ッ ク・ オプシ ョン制 度 の発展 と課 税問 題」(1),前掲 論 集 第69号,93 頁

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スト ッ ク・ オプ ショ ンの基 本 問題198 ) 拙 稿前掲 論 文(3).前 掲論 集 第74号,101 頁以 下, なお, 選択 権 の課 税 史 の概要 に ついて は, 特に 指摘 のない 限 り, 上述 の拙 稿 の論 文 を参照 し た。9 )ArchPatton ,ibid.,p.20.10 )EdwinD.Campbell,ibid.,pp.53 −54. 彼 は選択 権 の代 りに 現金 ボ ーナス制度 の利用 につい て もふ れてい る。 し かし, 現 行 の所 得 税の 構造 か らみて, 高 給 経営者 に 対す る金 銭的 利得 の有利 性 は, 実 質的 に 否 定的 な もので あ ると述 べ, 普 通所得 税 率 で 課税 され る現金 ボ ーナスにつ い て次 の ように示 し て い る。 現 金 ボ ー ナ スS100,000500,0001000,000連 邦 所 得 税$75,000434,000889,000課 税後 ボ ーナ ス$;25,00066,000111,000 ( 納税 者 は, 妻帯 者 で あ り, すで に64,000ドル の課 税所得 があ るこ とを 仮定 し てい る)11 )DanielM.HollandandWilburG.Lewellen,ProbingtheRecordofstockOptions,H.B.R.,March-April,1962,p.l33-12 )Graefs.Crystal,ibid.,pp.237 −240 参照13 )拙 稿, 前掲 論 文(2). 第70 号,85 頁14 )Graefs.Crystal,ibid.,pp.206 −207 参照 4 所有としての機能 選択 権め所 有理 論 は, 選択 権に よっ て経営 者 の株式所 有 を 増進 し,所有 者 経営者 の関 係(owner-Managementrelationships)を 確立 す る ことに あ るこ とは す でに みた と ころ であ る。 ベ ーカ ーに よれ ば,現 代0 株式 会社 がか かえ てい る専門経営 者 の一 つ の大 きな 弱点 は, 株式を所 有 せず , 所有 者 感 覚を 欠き, 会 社業 務に おけ る連帯 感 の欠如 にあ るとい う。そ こで 選択 権 が, こ の大き な 割れ 目に 橋を かけ , わ れわれ の経 済全 体 めシ ス テ ムを 強固に す る最 も容易 で 安全な方 策 とな る。 アメリ カ産業 に おい て要約 さ れ得 る代表 的見 解 とし て, ス ミス(DanThroopSmith )教 授は ,「 選択権 とそ れ らにつ い て の特 別な 課 税方 法 は, そ の 選択 権 が真に 永続す る所 有 者的 関 心に 導 く場合 に正 当 なもの と して容認 され る。 選 択権 のもと で購 入 した 株式を 即 座に 売却 する こ とに よ って 手 っと り早 い利 益 尚1) を 得るために これを 利 用す る こ とは正当 では ない」 と 述 べ てい る。 ス ミス教 授 は, 長い 間受 入 れ られ てき た所有 者 選択権 の一 体化 理 論を 強 調す る とと も に,そ れにつ い て の 弱点を も指 摘し てい るのであ る。 そ こでわ れわ れ は,経 営者に よる普通 株所 有 が, 選択 権 の結果 として実 際上 増大 してい るか否 か, そ の保 有状 況に つい て以下 検 討す る こ とに し よ う。 い 周知 のご と く,制 限 選択 権に おい ては,法 律上 , 選択 権 者 が選択 権 交付 日 より2 年 以 内 もし く は行使時 より6 ヵ月以 内に 取 得 し た株式 の処分 を 行な う ことはで きない 旨定 め られ てい る。 そ れ故 選択権 者 は , 選択権 交 付 日以 後法

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定18 ヵ 月 間 の 待 機 期 間 後 直 ち に 行 使 し た と 七 て 循 , そ の 株 式 処 分 は 通 算 し て 最 低24 ヵ 月 を 要 す る こ と に な る 。 し た が っ て 選 択 権 者 は , 法 定 期 間 経 過 後 の 株 式 所 有 に つ い て , 会 社 と の 選 択 権 約 定 に 何 ら か の 定 め が な い 限 り , 原 則 と し て 自 由 で あ る 。 実 際 上 , 会 社 が 何 ら か の 方 法 に お い て , 法 定 の 株 式 保 有 期 間 後 引 続 き 株 式 の 保 有 を 選 択 権 者 に 要 請 す る 例 は 少 な く な い が , そ の 殆 ど は , 選 択 権 約 定 に お い て , そ の 所 有 目 的 を 明 示 し て い る こ と に 伴 う 付 加 的 要 件 た る に 過 ぎ ず , 継 続 的 な 株 式 所 有 に つ い て 何 ら 具 体 的 な 拘 束 措 置 は と ら れ て い な い 。 そ し て 大 部 分 の 会 社 に お い て は , 選 択 権 者 に 対 す る 長 期 的 な 株 式 保 有 「2 」 に つ い て 何 ら の 要 請 も し て い な い の が 実 情 で あ る 。 \ ま た , 選 択 権 行 使 以 前 の 待 機 期 間 に つ い て , ボ ス ト ン の 調 査 結 果 を み る と , 調 査 対 象 企 業160 社 の す べ て は , 法 定 の18 ヵ 月 間 を 最 低 限 の 要 件 と し て い る が , そ の う ち の40 % の 会 社 は ,2 年 も し く は そ れ 以 上 の 待 機 期 間 を 必 要 条 件 と し て い る 。 さ ら に7 % の 会 社 は,10 年 以 上 の 待 機 期 間 を 要 件 と し , 若 干 の ・・。・。・ ・・ ・3。 ) 大 会 社 は,1 年 間 に 行 使 で き る 選 択 権 株 式 の 総 額 を 限 定 し て い る 。 こ の よ う に , 選 択 権 者 の 長 期 的 な 株 式 所 有 は , 制 限 選 択 権 に お い て 一 般 に 絶 対 的 な 要 件 と せ ら れ て い る も の で は な く , 基 本 的 に 選 択 権 者 の 自 由 意 志 に 委 ね ら れ て い る と い う こ と が で き る 。- 。 ・ ・ 「 経 営 者 の 株 式 所 有 は , 企 業 に よ っ て 一 様 で は な く , 第1 表 に お ト て 明 ら か な よ う に , あ る 会 社 に お い て は , 制 限 選 択 権 の も と で 取 得 し た 株 式 の94 % 以 上 が 経 営 者 グ ル ー プ に よ っ て 継 続 的 に 保 有 さ れ , ま た 他 の 会 社 の 経 営 者 グ ル ー プ に お い て は , 選 択 権 行 使 後 に そ の 取 得 株 式 の す べ て が 売 却 さ れ た の み な ら ず5 従 来 保 有 し て い た 株 式 を も 処 分 さ れ て い た こ と が 示 さ れ て い る 。 第1 表 に お け る サ ン プ ル16 社 は , 総 資 産500 万 ド ル か ら38 億 下 ル ま で, 小 ・ 中 ・ 大 規 模 企 業 の 順 に そ れ ぞ れ 行 使 株 式 数 , 保 有 株 式 数 , 売 却 株 式 数 等 が 明 ら か に さ れ て い る 。 こ れ ら の 会 社 の 選 択 権 者 た る 経 営 者 総 数 は204 名 で あ る が , 制 限 選 択 権 実 施 以 前 に 彼 等 は 全 体 と し て す で に411,484 株 を 所 有 し て い た と い う 。 選 択 権 実 施 以 後F: 彼 等 は 全 体 で132 万 株 以 上 の 選 択 権 を 行 使 し て い る か ら , 以 前 に 取 得 し た 株 式 数 の 約3 倍 強 を 取 得 し た こ と に な る 。 と こ ろ で , わ れ わ れ が こ こ で 注 目 し な け れ ば な ら な い 点 は , 全 経 営 者 の 行 使 後 保 有 株 式 数 が 行 使 株 式 数 の 平 均61.74 % に 過 ぎ ず , 約38 % の 株 式 は 行 使 後 速 や か に 処 分 さ れ て い る と い う 事 実 で あ る 。 選 択 権 に よ る 取 得 株 式 が レ 事

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∧ スト ッ ク・ オ プシ ョ ン の基本 問題214) 第1 表16 社 の 経 営 者 に よ る 選 択 権 株 式 の 保 有 状 況 会社 行 使 株式 数 保有 株式 数 売却 株式数 保 有 株式 の比率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 u 12 13 14 15 16 6,775 19,762 43,887 217,791 18,104 156.357 30,357 99,690 389,855 ・.94,331 57,270 18,775 79,702 ・25,05025,93036,562 6,375 18,412 39,457 189,966 13,794 118,381 22,257 60,100 207,030 48,667 24,210 7,771 48,002 8,435 5,221 id,uOu 400 1,350 4,430 27,825 4,310 37.976 8,100 39,590 182,825 45.664 33,060 11,004 31,700 16,615 20,709 39,544 94.10%93.17.89.9087.2276.1975.7173.3260.2953.1051.5942.2741.3939.7733.6720.13 ―8.16 1,320,198 815,096 505,102 61.74( 平均 ) 実 上す べて の選 択権 者に よ り保 有サ‥られてい ない とい うか か る実 態につ い て。 ポスト /は, そ の理 由を 選択 権 の行 使に 際 して払 込む べ き 資金 の金融問 題に 求めてい る。 す なわ ち √経営 者 の報 酬が √選択 権行 使に 要 す る十 分 な資 金的 余 裕かお る程 実 際に 増大 してい た とい う可能性 は まず 考 え られ ない 。む しろ 経 営者 は, 選 択 権を 行 使 し,そ し て最小 限6 ヵ 月 間そ の 株式を 保 有し た後, 借 入れた行 使 資 金 の返 済にあ て るた めか なり の株式 を 処分 しなけ れば な らな か った とい う こ と の 方 が よ りそ の実 態 に 即 し て い る と 述 べ て い る 。 以 上 わ れ わ れ は , 選 択 権 の 結 果 と し て 経 営 者 の 株 式 保 有 が ど の よ 引 こ実 現 し てい る か , 換 言 す れ ば , 選 択 権 の所 有 機 能 が 実 質 的 に い か に 達 せ られ てい るか に つ い て み て き た 。 し か し 事 実 は , 選 択 権 に よ る 取 得 株 式 の一 部 ら し くJ は 全部 が か な り 多 く の 経 営 者 に よ っ て 短 期 間 に 処 分 せ ら れ , 平 均 的 に は こ の 制 度 の所 有 目的 が 必 ず し も 十 分 に 達 せ られ て は い な い こ と を 明 示 し て い る も の とい え よ う。 \ `I か か る 実 態 に つ い て わ れ わ れ は , 選 択 権 行 使 後 の 株 式 保 有 要 件 の 有 無 や ボ ス トン の 指 摘 し た 上 述 の 行 使 資 金 の 金 融 問 題 が , 経 営 者 の 永 続 的 株 式 所 有 に 対 す る 決 定 的 な 阻 害 要 因 と 七 て 作 用七 てい る と み る こ と にう い て は , に わ か

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に これを認 めることはできない。それは, より根本的には,経営者の所有へ の参加に対す る関心の程度に より,選択 権のもつ諸機 能についての認識が経 営者に よって それぞれ異な らざるを 得ない と思われるからである。そこでわ れわれは,以下経営者の株式所有に影響する若干の要因について指摘してみ たい 。 まず第1 は,上述の選択権行使に要する資 金問題である。 これは,選択権 の交付サイ ズと経営者め所得との関連で考え るべき問題であ り,一般的には, そ の問題についての配慮の無計画性に よって生じる事柄であ るとはい うもの の,経営者にとってはかなり重要な要因となっている。ロスチ ャイルドも指 摘しているように,選択権者は,選択 権行使のために取得株式を大量に処分 す る場合が多 く,しかもそれ らのヶ−スは必ずしも異常な方法 とはいえない とい う。多数の著名会社におい てもその事情は同 様であって,その典型的な 理 由は,経営者が手許にある現金資金で彼等 の選択権 株式を買入れることが6) できない とい うことにあるといわれてい る。 第2 は,選択権が経営者の重要な報酬手段 となっていることである。す で に別の個所 で明らかにした ように,現代経営 者の課税後総報酬に占める選択7 ) 権利得は,かなりの比率C27 ∼36%)に達している。かかる事実は,選択権行 使に要す る資金が取得株式の処分に よって金融 され,その後選択権が継続的 に交付されるときは,結局経営者の手許に残る株式 が比較的少数に とどまる とい うことのうちに理解することができるのである。 すなわち,選択権行使 時に,それに よっ七取得された株式 処分に よって余儀なく金融される場合に は,その都度かな りの資本利得が経営者の所得として実現することになる。 そ れ故,金融 のための株式処分は,株式所有の阻害要因として作用するとは い え,逆に経営者の報酬目的に とぅ て重要な手段 となっていることに注意し なけ れば ならない。選択権の交付サイズと経営者の所得との不均衡もしくは 無計画な配慮に よって生じる金融問題は,実 は経営者報酬 の観点か らみれば, す でに十分な配慮を もつ計画的な報酬目的の実現にあ るといっても過言では ないであろ う。 第3 は,株式所有に よる一体化論 は,す べての経営 者に よって一 様に是認 されているとはいえない ということである。それは, 経営者による株式所有 と経営者職能の遂行とは,基本的に別個のものであるとする考え方に立って

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