経営比率分析体系の研究 : とくに,自己資本収益性
と物的生産性の関連に着目して(経営学)
著者
亀川 俊雄
著者別名
Kamekawa Toshio
雑誌名
経営論集
巻
5
ページ
41-64
発行年
1976-12-05
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005891/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja経 営 比 率 分 析 体 系 の 研 究
とくに, 自己資本収益性と物的生産性 の関連に着 目して
亀
川
俊
雄
問 題 意 識 わたしはかねてから, 経営分析における比率分析の体系を 提案して きたl)。 この体系は, システ ム論の言葉 を借りると,経営 システ ムにおける諸要素の 諸 関連をとらえるためのグa ーバルなモデルに相当する ものであった。 筆者 のこのモデルにっい ての主なる点は2 つある。一つは,企業 の総合的 な行動 目標として, 自己資本利益率を選択したこと,い ま一つ は, 企業の収益性, 経済性,生産性および財務安全性の相互作用を考慮した経営活動の全体系に っいての諸要素の関連性を有機的 にとらえようとしたこ とである。 また, こ の体系化に当っては,必然的に, 経営学,会計学,経済学 の方法論を総合的 に アプロ ーチする方法が要求 された。 アプpi ―チのみならず, それぞれの学 問分野におい ても, 同様な認識対象にっいての研究が行なわれており, かな り幅広い共通な基本的 研究課題であることが判明した。 たとえば, ドイ ツの伝統的経営経済学におい ては, 経営と企業 とい う概念 上 の区分に応じて,前者の選択原理として経済性を選んでい ることは周知の 事実である。 また, それとの関連において,付加価値生産性を取 りあげてい る論者もい る3)。 さらに, アノリカ財務諸表分析 やドイ ツ経営分析の領域に おいても同様の研究がしば しば取りあげられてい る。 ア メリカ財務諸表分析 の領域では, 収益性とか流動性などの諸比率の分析技術 および解釈の方法が 個別的に取 りあげられ, システ ム論的 思考の陰 が薄かった。 ただ,伝統的財 務分析の中にあって,J.H. ブ リスの「経営における業務および財務比 率」 の体系は, システ ム論的思考が背後に存在してい たもの と解せられる4)。 そ の点ドイツにおける伝統的 な経営分析の体系は,い っぱ んに経営活動 の連鎖要 因 が重視 さ れてい る結果,比 率の 連 鎖関 係が強 調 され て きた。 と くに,K. シ ュマ ル ツの「 経営分 析」 に おい て は, 一 方に おい て, ブ リスの経 営比 率 の 研 究 が, 他方におい て, ドイ ツ経 営経 済学 の思 想 の影 響 をうけ て, 総資 本利 益 率DieRentabilitatdesGesamtkapitals または, 経営 資本 利益 率DieRentabilitatdesBetriebskapitals を もって, 経 営 の総 合的 尺 度 と みなす と と もに, こ の資本利 益 率は, 周知 の, 売上利 益 率Umsatzgewinnrate と資本 回 転率Kapitalumschlag に 分解 される体 系 を とってい る5)。 この点, ブ リス の 自己 資本利 益率 を もって 総合 尺 度 とす る とい う主張 と は異 なる主 張 が展開 されてい る。 わが国で は, い っ ぱ んに, シ ュマ ル ツ流の系 譜 に属 す る主 張 が多 く みら れ る が, 筆者 の分 析体系 は結果的 に は シ ュマ ル ツ体 系 を含 んでい た。 し かし, 筆 者 は かねて から, ブ リスの主 張 の方 が基本的 に は正 しい とい う立 場 を とっ て き た6)。 シ ュワ ル ツ の業 績 は , 経 済 学 的 に も 経 営 経 済 学 的 に も 高 く 評 価 される べ きでは ある が。 こ の 収 益 性 問 題 は, 経 営 学 ・経 営 分 析 ・管 理 会計・財務論のみならず経済学の基本的 研究課題の一つであるとい える。最 近 はブリス流の系譜に属する主張が, ト`イツの近代経営経済学, アメリカの 経営財務論, マネジリアル・エコノミックス, 経営戦略論などに あらわれ丿 それぞれのアプローチも次第に精密な度を加えっつ,その数が増加しっっ あ る7)。 経済学の領域におい ても, つとに,全 く独立し二, 生産の理論 と資本 の理論の統合 を目指して, 自己資本利益率を目的関数 とする適量値決定 の理 論 が展開されてきた。 カ ール ソンやルッツなどがその例である8)。 アプ= 一 手は異なるが,その考えはブ リスと軌 を一にする。 ただ,経済学や近代経営 経済学が理論的分析に主眼がおかれてい るため, 数学的 操作が容易である連 続変数を用い るのに対し, 経営学系統においては, より実践的 性格を有する ため, 平均的 な比率を用い ることが多い。 そのよう な違い があって 仏 その 認識対象は, ほぼ共通しており, 経営 システ ムの解明にむけられてい る。 し かるに, それぞれの学科で同一認 識対象を有 するに もかかわらず, それらの 学間領域間に交際がjみられず,没 交渉 の状況にある。 これらの間隙を埋 める こともまた重要な研究課題 とい える。 経営分析体系における, 収益性,経済性・生産性・財務安全性の問題は,
経営比率分析体系の研究 お た んに, 経営 分 析の技 術的 問題 をこえて, 経 営 経 済学 や経 済学( 企業理論) の 本 質問題に かかお る間題で ある だけに, その奥 深 さは 計 り知 れ ない ものがあ る。 それ は, た んに理 論の み なら ず実 践 の領 域に と って も重要 な関 心事で あ る。 アノリカに おけ る近代 経営財 務論( 財務的意思決定論)におい て は, 経 済理 論 を母胎 と して, 企 業 会計, 財 務諸表 分 析, 資 本予 算 を総合 し す, 企業 業績 の 経済構造 を分析 する こと を基 本的 な主 題 とす るにい た った。 しか も, この 領 域で設計 され た モデル はマ ク9 経 済 モ デル へ も適用 され るにい たってい る。 そ の代表 作の一 つに, ラ ーナ ーとカ ール ト ン( 以下 £=C と記述する) の 所 説 が ある9)。 こ の £=C の所 説 は, 財 務的 意思 決定 にっい ての ユ ニ ー クなモデ ル を提案 して お り, アプa ―チは 異 なる が, ブ リス の近 代 版 と みて よい ので は ない だろ うか。 この モデ ルは, 筆者 の提 案 する モデ ル と, 基 礎的 な考 え方 が, ほと んど一 致 してい たこ と。 さらに は モ デル 自体 も広 範に一 致 してい る ことが分 った。 £=C の モデ ルが連 続変 数 を用い, 筆者 の 体系 が平均的 比率 を用 いてい る とい う違い は あるけ れ どよ 小 稿で は, 筆者 の経営分 析に お ける比 率 分析 体系 の確 立 のた めにL =C の モデル と筆者 の体 系 とを比 較対照 し, 両 者 の類 似 吐, くい 違い 点 など を検 討 するこ とに主 眼 がお か れる。 経営分析の体系(1) 筆 者の モ デル ヶ 筆 者はか ねて から,企 業 業績 の全 経 済的 構 造 を示 すた め一 つの グ□・‐ノく/レ な モデル(TK モデルと略称)を提 案 して きた。 この モデ ル の着想以 来 すでに20 余 年を経過 し た功ら 現在 で も細部 の要 因 をつ け 加える 以 外に は, 基 本的 な 考 えには変更 を 加える こ とは ない とい う立場 を と ってい る。 このモ デルに し たが うと, 経 営 学や会 計学 な どの所 説 と随所 に 矛盾 をひ きお こす結果 となっ たが,今 まで の ところ, この モ デルに は矛 盾 は ない とい う立場 を とってい る。 さら に, 若干 の要素 を加 筆し て, 筆者 の モ デル をか かげ る と, 別表 の よ うに まと めること がで きる。 拙著 の旧 モデル に付 け 加 えた部 分 は, 自己 資 本利益 率 と企業 の成長 率 と の関 係, 資 本(産)回 転率 と物的 ス ト ッ ク生 産性 との関 係, フ1=・一生 産 性 とスト ッ ク生 産性 との関 係 を明示的 に示 し たこ とで あ る。
鳳
印
閣
閣
T
梼 中 噸 畷 唱 佃 図 轟 沢 裂 回 毎J ︷ 霧 紹白
外 出i ≫ \ ? 囮 外 出imm鳳
凹蝉
凱0
門
収
扇 ︵ 忠 出 回 胆 皿O
嶼 賦 蛍 ︱ ︵ 忠 ︱ 掴 可 鈴 爆 旧 佃合
也
潤 可 塚 玲 樵 廓 外 胆n 一 皿 答 艇 響☆
哲 之 目 ︲ ﹄ が ぞ[ り ] ︼ 玲2 ?fl-i 終 淑 旧 皿 ぶ 謬 但 ⋮︸y 一 ヽ 碩 屋 糾 吠G 渕 邱 脊 率 憾 被 布融
脊 冷 函 価 皿 辿 外 胴 ︸﹃ ﹄ い 任 淑 却 南 詞経営 比 率分 析 体系 の研 究 お (2)TK モデルの主張TK モデルは,営利企業のあら ゆる業務における経済的 行動を体系的に と らえようと意図したものである。一 適用方法によっては非営利企業 にも利 用 され う る。 したがって,倫理的・心理的側面は捨象 されてい る。経営 つ ぎ の よ う な説 明 差別出来高払賃率制の実施→生産量増→製品価格 者 にとって は, 意思 決定 や業 績 測定 の道 具として 使用す るた め の ものであ る。 い ま, この モ デルの主 張 す る点 を要 約す ると以下 の通 りで あ る。 第1 は, 企 業 の諸活 動 し たが って そ れら を反 映 する諸 指 標 は, 連 鎖 要 因Kausalkette もし く は, 循 環的 連 鎖 要因thecircularchainofcausality を 形成 してい る。 企 業 システ ムの要素elements さらに は その 構成 を なす->・->.― ツparts は複 雑 な相互 依 存関 係inter-relationships を もつ10)。 たとえば, テイ ラ ーF.W.Taylor の, 周知 の差 別出来 高払 制 をTK モ デルに適用 して み る11)。 差別 出来 高払 制は, 最 大限 の能 率生 産性maximumefficiencyproductivity の確 保 のた めの コント ロ ール・ シス テ ムの 適用で あ る。 この差 別 出来高払 制 を,TK モ デル にあ ては めると, となる。要素価格の賃率 とい う変数 を活用して, 生産量 =販売量の増大を図 り,一方におい て, 収益の確保 を, 他方において, 能率 向上にもとづく物的 生産性の向上 をとおして,平均 コストの節約を図り,終 極的 には, 労働者や 経営者の所 得増大 を意図したものである。しかし, このテイ ラーの意図は失 敗に帰する結果 となった。 その原因にっいては,多くの 議論かおるが,一つ には,インフレに よる市 場賃金の騰貴に対し,差別出来 高払に よる賃率が市 場の賃率に適応しえなかったため,労働者の不満 を買い 逆にサボタ- ジュを 誘発するにい たったとい われる。 この例にもみられるように, 差別出来高払 賃率制の実施→操業率・能率向上→物的生産性向上→平均 コストの低下→収 益 性増とい うプ ロセ ス と, 低落または不適応→収益 性減, とい う要因が混合してあら われる。 したがっ て, 個別的に指標の評価したがってシステムの評価をと りあげても,全体の 可否を決定することはできない。 現実はより複雑な波及 を示すであろう。企 業のシステ ムにおけるすべての要素は相互に関連し,依存し,反応 をもたら す。TK モデルにしたがえば, もし工場が大規模な能率向上に成功し, 終極 的には自己資本利益率め増加をもたらせば,新たな資金調達源泉である利益
留保の増加や増● 資●への誘因をえて, さらに,新技術 や規模拡張 の投資機会に よる物的生産性の向上等のプロセスを経で企業は成長する。 かくて,新たな 循 環 過 程 へ と 展 開 さ れ る こ と に な る 。 逆 に 不 成 功 に 終 れ ば , 逆 な プ=t セ 不 を 辿 る こ と は い う ま で も な い 。 こ の よ う に,TK モ デ ル に お け る1 つ の 要 素 の 変 化 は , す べ て の 指 標 し た が っ て シ メ テ ム に 網 の 目 の よ う な 循 環 的 な 波 及 を も た ら し , 企 業 全 体 の 運 命 や 体 質 を 変 え る に い た る こ と を 示 し て い る 。 第2 は , 蚕 業 の 全 体 的 な 経 済 行 動 の 目 標 と し て , 自 己 資 木 利 具 率 を 選 択 し ー● ̄y = 〃●- 四 ●●●″J-- ● ●y●・--ノJ ●「-w7  ̄  ̄ ・fm =/3 タl- 心l  ̄●ww − た こ と , そ の 背 後 に は , 市 場 経 済 体 制 と い う 環 境 下 に あ っ て は , 企 業 は 株 価 の 極 大 を 前 提 と し て 行 動 し て い る こ と を 認 め る か ら で あ る 。 こ の 点 , 総 資 本 利 益 率 説 は 市 場 環 境 の 一 部 で あ る 製 品 市 場 や 要 素 市 場 の 環 境 変 化 を 反 映 す る に す ぎ な い 。 ま た , こ の よ う な 企 業 の 全 体 的 目 標 の 連 鎖 体 系 の も と で は , 一 連 の サ ブ 目 標subgoals の 体 系 が , 目 的 一 手 段 の 階 層 的 関 連 の も と に 反 映 さ れ る 。 組 織 の 観 点 か ら み る と , 財 務 部 門 で は , 有 利 な 投 資 機 会 と 有 利 な 資 金 コ ス ト に よ る 資 金 の 調 達 を 目 標 と し て 行 動 す る で あ ろ う し , 工 場 の 責 任 者 は で き る だ け 安 い コ ス ト で 作 業 を 統 制 す る で あ ろ う し , 現 場 の 作 業 員 は , よ り よ い 環 境 の も と で , よ り 高 い 所 得 を 目 指 し て , 能 率 向 上 を 意 図 す る で あ ろ う 。 同 様 に , 営 業 部 員 は , 売 上 増 大 に つ い て の 方 策 を め ぐ ら す で あ ろ う ,TK モ デ ル で は , 企 業 の 全 体 目 標 に 照 し て , 一 連 の 経 済 的 サ ブ 目 標 の 位 置 づ け と , 意 思 決 定 の 基 準 を 示 す よ う な 体 系 が 与 え ら れ る 。 何 を 経 営 目 標 と す べ き で あ る か は , 広 大 な 問 題 を 含 ん で い る が , そ の 検 討 は 小 稿 の 範 囲 外 に 属 す る 。 た だ , 指 摘 し て お か ね ば な ら な い こ と は , 自 己 資 本 利 益 率 を 企 業 の 全 体 目 標 と し て と ら え て い る の は , 資 本 家 の 観 点 す な わ ち , 資 本 家 の た め に と い う 規 範 論 的 立 場 に 立 つ の で は な く , 市 場 経 済 体 制 下 と い う 環 境 に お け る 企 業 の 経 済 制 度 を 認 識 対 象 と し て い る 結 果 に も と づ く も の で , あ る 。 ま た , す で に 指 摘 し て い る よ う に , 経 済 的 カ テ ゴ,; ー の 範 囲 で と ら え ら れ て い る の で , 倫 理 ・ 心 理 的 要 素 は 捨 象 さ れ て い る 。 し た が っ て , 経 営 者 が 経 営 行 動 を 選 択 す る さ い に は , 正 七 い 利 潤 ・ 収 益 性 の 追 求 と か , 企 業 関 係 者 の 満 足 水 準 等 の 倫 理 的 ・ 心 理 的 要 因 を 考 慮 に い れ る こ と は 当 然 と い え る12) 。 こ の こ と は , 利 潤 極 大 原 理 や 収 益 性 極 大 原 理 と 背 反 し な い 。 と い う の が 筆 者
経営比率分析体系の研究47 の 立場 で ある。い ず れ も, 認 識 目標や認 識対象 が 異 なる と思 われ るからであ る 。 第3 は, 総 資本( 産) 利益 率の位 置づ けに っい てで あ る。 この とら え方に は,3 つ の立 場が あ る と思 われる。 紛 伝 統的 なドイ ツの経 営分析 におい て は, 総 資 本利 益 率 は, 固 有 の経営 経済的 収 益 性DieeigentlichebetriebswirtschaftlicheRentabilitat であ り, 自己 資 本 利益 率 は, 株主 の立場 から の外 部分 析に 利用 される。 したがって, 自己資 本 利益 率 は企 業 者 の収益性Unternehmerrentabilitat で あ り, まっ: たく経 営的 な量 では な く, 財 務的 量に す ぎない とい わ れるノ この見解 は, 自己 資 本利 益率 と総 資 本利益 率 を同一 次元 で, い ず れ が よい か, とい った 選 択 の問題 として取 扱 ってい る。 このよ うな主 張 は, ア メ リカ やドイ ツに おい て も, わが国に おい て も広く取 りあげ ら れ現代 に い たっ てお り, わが 国ではい っ ぱ んに, 前 者 を可 とす る傾向に ある13)。 この総 資本 利益 率 は, すでに指摘 しだ よ うに, 売上 利益 率 と資 本回転率 に分 解 さ れる こと は, 古 く から行 われてお り, ブ リス, シ ュマ ル ツ時代 の 文献 で示 されてい るl^)。 現 在で は, 後 述の ように,DuPont の コ ント ロ ール・ シ ステ ムとして主 張 されてい る ことは 周知 の と お りであ る。(2) 上 記 の説に 対 して, 後 述の よ うに, £=C は, こ の分解 シス テ ムの矛 盾 を指摘 する。1 つは比 率 分析 の欠点 を,1 つは 資 本 回転 率 の欠点 を指摘 し, 自己 資 本利 益 率 さらに は株価 極大 の関 数 体系 で と ら える必 要 があ るこ とを主 張 した15)。 ト(3)TK モ デル におい て は,L =C(D 主 張 とまっ たく 同 様 な考 え方 から展 開 されてい る が, 通 説 の分解 シス テ ムも同 時 に肯定 す る とい う立 場 を とる。 この点 が,L =C との くい 違い が あ り, 小 稿 の検討 課 題 で も ある。 ただし, 自己 資 本利益 率 は行動 方程式に お ける 目的 関数 として, 総 資本利 益 率は独 立変数 と して位 置づ け る。 経 営分 析論 からい えば, 後 者 は前者 の 従属要因Abhangigkeitsfaktoren と みるからで ある。 もと も と, 総 資 本利益 率 か自 己 資本 利益 率 を同一 次 元に おい て,い ずれ が優 れてい る か とい う設問 自体 に, さらに は, そ の背 後に ある伝 統的 ドイ ツ経営 経済 学 の, 企 業 と経営 の 区 分に 疑問 が あ ると考 え られ るか らで ある。
第4 は,TK モデル で は, 企 業 の全 領域 の 経済的 活動 のす べて を含 めてい るとい うことで あ る。 経済 学上 の用 語に し たがえば, 生産 の理 論 と資 本の理 論 の 統合 を前 提 としてい る。 また, ブ リスの 経営分 析に し たが えば, 業 務 の 分 析 と財 務の分 析の統 合で ある。 より 具体的 にい えば, 物的 生産 性 の分析体 系 を統合 してい るとい う点に ある。 現場 の 仕事 の相当部 分 は, 直接 金銭的 な 仕事 とは関 係してい ない。 機械 を動 かす どか事 務 をとる な ど。 こ の よ うな仕 事 は物的 生産 性とい う概 念の も とに 包括的 に とら えることが 必 要で あ る。 従来 の経営 分析 や財 務論 さらに は経 営 経済学 の体 系ヤ は, 生 産性 分 析 を導 入 してい ない か, あ るい は, 収 益性 や経 済性 など と同一 次 元の選 択原 理 とし 七取 扱 われてい るのが通 例で ある16)。 この点 は, 企業 の経 済理論 と著 しい 対 照 を なしてい る。 この た め, 経 営 の一 般的 モ デル, すな わち, 生産 モデル と 財 務 モデル が統合 し た形態 で示 され え ない とい う欠点 か ら逃 れ るこ とがで き ない 。 企 業 内部に 汀ける, 現 場の 活 動jは, オペ レ ーテ ィン グ・ システ ムとして と らえ られる17)。 生産 要 素で あ 名労 働 ・用 役 ・材 料・設 備等 々が イ ンプ ット さ れ, 新 た な製 品 や用 役 す なわ ちア ウト フ ット へ の転換 過 程 として とら えら れ る。 この 転換 が企業 目的 ( 自己 資 本利益 率 の上 昇)に 適合 する よ う指 揮 ・調 整 する ことが,経 営者 の経済 的 役 割 とい え る。 それは環 境変 化に 適応 しつつ, 物的 生産 性(能率) を向 上 せ し める とい う仕事 にほ かな らない。 第5 は, 企 業 シス テ ムも, より高 次 な環 境 シ ステ ムに 持続的 に 適 応す る こ とが 要求 される。 あ る意味 で は, あら ゆる シ ステ ムは環 境の犠 牲 の もとに 生 存 し, 成長 す る も(かとして とらえ るこ と がで きる18)。 この意味 で, 組 織は 環 境 との相 互 作用 の も とに, ダイ ナ ミ ッ クに, 創造的 に 適応す る ことjが 要求 さ れる。 経 済的 環 境に か ぎって も, 企業 は関 連す る多 面 な問 題に 当面 す る。 消費者 運動, 政 府 力財政 政 策, 政 府 その 他 公共 団 体 め諸 規制, 金 融政 策等 々, さら に は, 嗜好 の変 化 ・技術 変 化 ・人 口変 化 ・天候 の変化 ・ス ト ライ キ ・戦争等 等 の自然的 ・社会的 ・経 済 的変 化 に よ って, 直接企業 の運 命は左 右 される。 た とえば, 政 府 が公定 歩合 の 引上 げ を行 な った 呪 公 開市 場操 作 を通 して 公 債 を売 却 すれば, 金 融市 場 の変 化 を とお して, 会社の 発 行す る社 債の利回 り
経営比率分析体系の研究49 は 上昇 し, 会社 は高い 資 金 コス ト を負担 し なけ れば なら な くなる。 このよ う な事態 は, 同時に 会社 の投 資政 策 の変 更 をも要求 する し, 会 社の成長 を鈍化 さ せるこ とに もなる。 環境変 化に よる企業 への 経済的 影 響 は, 直接 市場変 化 とい う窓 口を とお し て 企業 の成長 に影響 を及 ぼ す。 経 営 者 は, 企 業 を取 りま く環 境変化 と適応 し て, 企業 目的 実 現 のた め オペ レ ーテ ィソ ダ・ システ ムを 指揮・ 調整 す るこ と が 要求 される。 従来 の経 営 分析 のモ デルで は, 市場変 化 の 徴候( 利子率・税率・ 製品価格・要素価格等)を明示 的 に示 し てい ない とい ううら み が あっ た。TK モ デルで は,これらの 価格 要因( 市場 要 因)を分 離 して,明示 的 に示 し てい る。 第6 は, この モ デルの 情報 源 は, 会 計 階報 とし ての財 務 諸表 と経営 統 計沁 予 定 され る。 け だし, 財務諸 表 は経 営 目標 に 適合 した情 報 を体系的 に 提 供し てい るか らで あ り, 生産 統 計 はそ れに有 機的 に 結合 し うる からで あ る。 し た が って, 貸借対 照表 ・損 益 計算 書・ 資 金運用 表, そ の他 生産統 計 が用い ら れ る。 幸い に も, 証 券取 引法 に もとづ く有 価証 券届出 報 告 書は,TK モ デルに とってに かな りの資料上 の条 件 を満 たして く れる。 このモ デルに も とづ く事 後的 分析 は, 体系 的 な企業業 績 の尺度 とな りうる こ と。 また, 事 前的 に は, 予 算 編成 な どの体 系的 な標 準 管理 の情 報 を提供 す る こ とが 可能 となる。 設備投資 計画 な どに 適用 され るキ ャッ シ ュ・ フロ ー分 析 などで は, 必 要計 画 期間に わたる見積 貸借 対照 表 や見 積 損益 計 算書等 を上 記 のモ デルに あて は め て, 予測 ・ 分析 する こ とが必 要 と なろ う。 第7 は, 物的 スト ッ ク生産 性 の概 念 とモ デル での位 置 づけ につ き, 新 たな 概 念と体系 を示 した こ とで あ る。 こ の生産 性 は, 経 営分 析 におけ る, 数量 回 転 率に相当 す る。 また, 後で 紹 介 する よ うに,L =C のLC 関数 に おけ る ラ ム ダ( λ) は, シ ュマ ル ツが 棚卸 資産 回転 率で用い る数 量 回転率 と本質的 に は 同じで ある19)。TK モデ ル との差 異 は, シ ュワ ル ツやL =C と異 なり, 資 本 回転率 から, 純 粋に 価格 要因 を除去 し てい る点 でくい 違い が生 ずる。 な払 このスト ッ ク生産 性 仏 フpt ー生 産性 と同 様な要因 に よ って変 化 する とみら れ る。 以上に より,TK モ デル の主 な主 張 を要約 し たので あ る が, こ の モデルで
示 されてい る比率が単純に求められるわけではない。む しろ, これらの指標 の分母子は関連を示すものとしてとらえるべきものと考 えられる。厳密な意 味では, あらゆる指標の厳密な測定 は不可能に近い。実務上では, できるか ぎりの近似値 を求 めることが重要 とい えるノ したがって,測定の間題は, こ れらめ関連にっいてできるかぎり正確 な値を模索するた めの一 つの研究領域 を形成 する。 伝統的 な経営分析や財務分析は, この分野の研究に大きな努力 を傾けてきたとい える。 工) 拙者 「体系経営分析 論」白桃書房 ,昭和41年p.47 ・2 ) 経済性論議 にっい ては,ドイ ツ経営経済学 の先途 ニッ クリッシ ュ理 論の影響 を 引 ナて, ドイ ツ経営経済学 のみなら ず,経営分析そ の他関連 の学科 に大 きな影響 を与 えてい るが,小稿 では研究 の範囲外であ る。 ただ ,この伝統 論は,わが国に は大 引 い ない と思 われる。近代理 論の立場 からは ,経営 と企業 の概念上 の区別 は,資 本 の理論(利子 の理論) と生産 の理論が有機的 に統合 されえない とい う疑問が提出 されるので はない だろうか。若干 の参考文献 をか かげる と, 大橋昭一 ・奥 田幸助著 「シェ'' ソプル ーク経営経済学」有斐閣 昭和45 年pp.139 ∼201. 池内信行 ・鈴木英寿共訳 「アド ルフ・モッ クスタ ー著・経営経済学の基本問題」 森山書店 昭和46年pp.99 ∼120. 清水敏允 訳「ギ ード・フ ィッシ ャー著 経営経済 学士 昭和37年 日本能率協会pp.553 ∼566. 高 田馨 ・溝 口一 雄「 グーテンベル ク著 経営経済 学の基 礎(生 産編)」昭和32年pp.344 ∼365.J.Lo 琵elholz,RepetitoriumderBetriebswirtschaftslehre ,2Aufl.,1967,S 。17 瓦.,31琵.,800ff.J.Viel,Betriebs-undUnternehmungsanalyse ,1958,S.59 任.Graf
・Hunziker ・Sheerer,BetriebsstatistikundBetriebsiiberwachung 。Stuttgart
,1961,S.109 狂.3 ) 山上達 人著 「生産性分析 の理論」白桃書 房pp.74 ∼91・M.R.Lehmann,AllgemeineBetriebswirtschaftslehre,3.Aufl. ,S.37ff.M.R.Lehmann ドWirtschaftlichkeit,ProduktivitatundRentabilitat,ZfB. 。1958HeftNr.10,S.614ff. ・ ・4 )J.H.Bliss,OperatingandFinancialRatiosinManagement,1923,J.H.Bliss,ManagementthroughAccounts,1924.5 ) たとえばK.Schmaltz,BetriebsanalyseStuttgart,1929,S.199.
経営比率分析体系の研究51 ブ リスは 自己資本利益率 を頂点 とする企業業績構造 を示 すが ,同時 に総資本利益 率 の分解 をも内包 してい る。 しかし,生産性 の要 素は含 まれてい ない。J.H.Bliss,ibid.,pp.13 ∼21,57 ∼64.6 ) 亀井辰雄・亀川 俊雄共著「経営指標」 日本経済新 聞社 昭和35 年pp.131 ∼135,249 ∼290. 拙著(分 析論Jp.1,64 ∼65.7 )E.Gutenberg,DieFinanzen ,s.184ff.BelaGold,ExplorationsinManagerialEconomics,1971,pp.19 ∼29.H.I.Ansoff,CorporateStrategy,pp.43 ∼54. 拙著(分 析論Jp.330.8 )SunCarlson,AStudyonthePureTheoryofProduction,1939,pp ・53 ∼73. トF.andV.Lutz ,TheTheoryofInvestmentoftheFirm,1950 後藤幸男訳F.andV./ レッツ「投資決定 の理論」 日本経営 出版 会 昭和44年pp.19 ∼58.9 )E.M.LernerandW.T.Carleton,ATheoryofFinancialAnalysis,Harcourt,BraceandWorldInc.1966. 石黒隆司 ・宮 川公男共訳 「財務分析 の理論」東洋経済新 報社 昭和47 年10 ) 長野敬・太田邦 昌共 訳「フ ォン 。ベルタランフィ・一般 シ ステム論」 みすず書 房1975.I.G.Smith,TheMeasurementofPrcductivity バ1973,pp.74 ∼92.11 ) 上野陽一訳・編「F.W. テ ーラー著 科学的管理法」産業 能率短期大学出版部 刊 昭和49 年pp.62 ∼114M,Spencer,ManagerialEconomics,pp.36 ∼37.12 )“正 しい利潤” とい う概念は,無限 の倫理 的問題 を含 んでい るように思 われる。 しかし,このような主張 は, すでに,サ バ]} ーの文献 に もあら われてい るとい わ れる。 大 橋昭一・奥田幸助共訳 シェ ーソプル ーダ「経営経 済 学」有 斐閣 昭和45年pp.77 ∼81.13 ) ド イツの伝統的 経営分析 の中に 乱 自己資 本利益率 と 自己資本利子率 を比較し て,総合比較 を試 みてい る論者 もい る。 財務 論の用語でい えば ,自己資 本利益率 と自己資 本 コスト との比較 を指 す。W.Hauck,Betriebsvergleich ,1933,Biihl-Baden ,S.218 琵. なお,自己資本利益率 か総 資本 利益 率かとい う選択 にっい ての多 く の論争の焦 点 について ,大 きく分 けると ,つ ぎの2 つの見解があ る。 ト(1 ) 総資本 利益 率は ,経営が用い るすべて の資源 の利 用 にっい ての経営業績 の 尺度 として用い ら れ, 自己資本利益率は,株主 等所 有者 の利益 率にとって, とくに適してい る比 率である。 (2) 自己資本利益率 は,株主 等の利益 率測 定のみなら ず,経営にとって も,そ の企業全 体の成 功 の可否い か んを測定 する尺度で あ 名。
前 者の見解がシ ュマル ツ的 見解で あり,一般 にとら れてい る立場 である。 たと えば,最 近の著述で は,ウェ ルシ ュやアン ソニ ーの著述に も√このような説明 を 行 なってい る。 これに対 し,後者はむ しろ経済学 や経営経 済学 の理論家 に多い。 パ ックやプ ライスなどは ,後者であ る。筆者 もこの立場 をとる。G.A.WelschandR.N.Anthony,FundamentalsofFinancialAccounting,1974,p.592. 拙著(分 析論Jpp.330 ∼338.14 )J.H.Bliss,ibid.,pp.91 ∼92.15 )LernerandCarleton ,ibid.,pp.15 ∼20. 石川 ・官川 訳pp.16 ∼23.16 ) ドイ ツ経営分析 や比較論では, さら には経営経済学では物的生 産性問題は古く から論 ぜら れてきてい る。 たとえば ,前掲 シュマル ツ経営分 析では,経済性分析 と題 した一章 は物的生産性 の分析 を取扱 ったもので ある。 前掲レ ーマンも同様で あ り,フ ィールも同 様である。 また, メレロ ヴィフチもこ の問題 を取扱 ってい る。 しか 七,収益性 と生産性 を計量的 な関 係としてとらえてい る主張はみられない。J.Viel,ebenda ,S.16ff.Graf ・Hunziker ・Sheerer,ebenda ,S.84 £f. 磯部喜一訳 「 メV ロ ヴィッチ著 工業 経営学」千 倉書房 昭和36 年p.293.17 ) ラ ーナ ーは ,シ ステムを(D オペレ ーティン グ・システ ムanoperatingsystem ④ 戦略設 計システ ム,③環境anenvironmen いこ分 ける。 目標選好・環 境にっい ての情報収集・モデル設 計・標 準実績の コント ロ ール等は② に属 する。E.Lerner ,ManagerialFinance,1971,pp.7 ∼14.18 )I.G.Smith,ibid ・,p.74.19 )K.Schmaltz,ebenda ,S.86ff. £=C の株価極大化仮説(1) 株価極大化仮説の意義 アメリカにおける近代経営財務論における傾向は, 経営目標として, 株主 の富の極大化Thesharehalder"wealthmaximization 仮説を設定するのがふ っ うである。株価極大化仮説は利潤極大化仮説に比較してご っ ぎのような利 点 があるとみられるからである20)。 ① 会社の経営 と株主 の利害は一 致するとみられること。 とくに,会社の 長期の永久的寿命と両立しうること。 ② 株価は, 株主 が会社の比例的 分け前 に応じて受取 るべき将来のベネフ ィットを反映しており, 経営者の意思決定は, 会社の長期的健全性を犠牲 にして, 短期の利益を強調することはできない こと21)。
経営比率分析体系の研究53 ③ 伝 統的 見解 に し たがえば, 会 社 の唯一 の責 任は, 株 主 の富 を極大化す る ことで あ り, そ れ は社会全 体 の諸資 源の 配分 を最 も効 果的 に達 成 す るで あ ろ うか らで ある。〉 ④ 株 価極 大 化仮 説 は, 株価 が会 社の 仕事 のす べて の間 題 の焦点 とな って い るため, 財 務の理 論家 は富 の極 大化 目的 を好 んで用い てい る。 事 実 いこ の仮説 は, 企 業 の経 済理 論に おけ る動学 理論 に相 当 す る た め, 数 学的 操 作 も可能 であ る。 一 方, 株 価 の経 済的 な変 動 や投 機的 な原 因に よ り変 動 す る とい う欠点 もあ る。 株価 極大化 仮 説で は, この場 合, 投機的 要因 は除 去 される。 結 局, 株 価 極大 化仮 説 は, 自己 資 本利 益 率極大 化 と同一 の 特長 と行 動基準 をもっ もの と解 される22)。 (2) ・ =C の主 張 ト 小 稿の検 討課題 に焦点 をあ わせ て, £ニC め主張 の う ち小 稿 に関 連 する部 分 を要約 する と, つ ぎの2 点 が討 議 の対 象 と なる。 第1 は, 従来 アメ リカ の実 務会 同一 基盤 に立つ 資 産利 益 率r ≡ 利 益-一 売 上 高 DuPontSystem, シ ュ マ ル ツ の主 張 と に お ける資 産利益 率ROIreturnoninvestedassets (ドイツ経営分析の総資本利益率または経営資本利益率と同じで ある。以下L =C に レtニがい資産利益率の用語を用いる。)の分解 公式 の 矛盾 を指 摘 し, 自己 資本利 益率 を 目的 関 数 として用い る べきで あ る, と主張 す る。 周 知 の この分解 公式 を あらた めて 示 す と, 資 産利益 率 はつ ぎの よ うに 分解 され る23)。 売 上 高 一 一 × 資 産 〈マ ージン率〉〈回転率〉L =C のROI の批判についでは, すでに筆者 も紹 介をしておい たが,討 論の必要上, か んたんに要約しておく24)。 ① 売上利益率も回転率も比率で あるからその値は分母子の変化に応じて 変 化する。 とくに,回転率は一面におい て, 効率的な経営指標であるが, 他面におい て,企業資産が古くなると回転率は上昇する。 前者の場合は, 好 ましい がに 後者の場合は,憂慮すべき。であること。 ③ 売上利益率 も回転率もそれぞれの指標単独では, 経営間比較 をしても, 満足すべき結果はえられない。
③ 売 上 利 益 率 と回 転 率 の い ず れ 仏 売 上 高 の 増 減 に よ っ て , そ れ らの 比 率 が 増 大 す る の か 減 少 す る の か 不 明 で あ る25)。 こ れ ら の関 係に っ い て は , た んに 比 率 で は な く, な ん ら か の 関 数 の 形 で 明確 に 規 定 さ れ る 必 要 か お る。 ④ こ の 恒 等 式 に は, 資 本 の 調 達 源 泉 に っ い て, 何 も語 っ て はい ない 。 資 産 利 益 率 説 は 財 務 論 に お い て 最 も 重 要 な資 本 構造 の 問 題 を無 視 す る こ と に な る 。 ラ ーナ ーは , 別 の 著 書 に おい て 乱 ほ ぼ 同 様 な主 張 を繰 り返 し て い る。 し か し, そ こ で は 同 時 に比 率 分 析 の 体 系 を提 示 し て い る と と も に, そ の 有 用 性 を も指 摘 し てい る26)。 た と え ば , 「 棚 卸 資 産 回 転 率 は , 会 社 の主 要 な 資 産 の 一 つ がい か に 効 果 的 に 利 用 さ れ て い る か に っ い て の 有 用 な 包 括 的 尺 度 で あ る。 そ れ は, ま た 会 社 の コ ン トl==・− ル ・ シ ス テ ム の 重 要 な 部 分 で さ え あ る。 し か し な が ら, 多 数 の 要 因 が 棚 卸 資 産 あ るい は プ ラ ン ト や 設 備 の 回 転 率 に 変 化 を も た ら す。 比 率 が 設定 さ れ た 限 界 や 標 準 か ら は ず れ る と き, い か な る 単 純 な 救 済 措 置 も 自 動 的 に は 命 じ ら れ な い 。 む し ろ比 率 の 変 化 は , 会 社 の業 務 のい ろ い ろ な 様 相 に っ い て の 詳 細 な 研 究 ぺ と導 く べ き で あ る 。」 と。 こ の よ う な 解 決 方 法 は, 伝 統 的 経 営 分 析 に お い て は, す で に 詳 細 な 検 討 済 み の 事 柄 で あ り, あ る 程 度 の 結 論 が え ら れ てい る と み て よい で あ ろ う27)。 要 す る に , 資 産 利 益 率 は, 企 業 に と っ て 重 要 な 投 資 と資 金 調 達 問 題 を 反 映 す る こ と が で き な い , とい う重 大 な 欠 陥 を 内 包 し てい る とい え る。 第2 は , 以 上 の 結 論 か ら, 自己 資 本 利 益 率 さ ら に は , 株 価 方 程 式 へ と導 び く こ とに な る。L =C は , 伝 統 的 な 配 当 還 元 モ デ ル で は, 株 価 極 大 目的 に も とづ い て, 資 産 利 益 率 や 負 債 比 率debt-equityratio の 適 正 値 を 決 定 す る こ と は で き ない ご と を 示 して, 配 当 資 本 還 元 方 程 式 と2 つ の 制 約 式 を 組 み 合 わ せ た 方 程 式 体 系 の モ デ ル を 提 案 し た , す な わ ち, ?
=p(nb,i,
会
LC(r,h. 乱 スl)=°Fck 吾) =0 (r =平均資産利益率 ,ろ=平 均利益留保 率,i =平均負債利子率 ,p =株価,L ―負 債,£=自己資本 √L/E =負債 比率)十 経営比率分析体系の研究55 株 価方 程 式 は, 周 知 の キ ャ ッ シ ュ ・ フp ー分 析 と し て の 次 式 の 配 当 還 元 方 程 式 が用 い ら れ る。 F ? 一 一 D (1) (2) ㈲ ㈲ (7) ● i ●& 1
r 十(r−0 云
また, 割 引率ki ま,L =C の場合 はけ 純 粋利 子率 αに, ●●● 4 ・φ● 1 1 1 ● ・ ●●●●●●●● 4 ・●●●●●●●●●●●φ● 4 ●●φ● g =( −T) ろ … … ……(4.) … … … ……(3) ま た, 成長率g は, 純 財産( 自己資本)の成長 率 として とら え ら れるた め, EV 十(r-)│}
-とい う, 株 価 方程式 が えら れる。 この(7)式に おい て は, 未知 数 は 夕.h.r.i, ブIEの5 個あ り, この1 本の 方 程式で は,p の極大 のた め の条 件 を求 める こ とはできない 。 そ こでレL =C は製 品 市場 や要 素市場 にっい て の市場 制約式 £C 関数 と, 金 融市場 に おけ る 財 務制約式FC 関数 の も とで, 株 価極 大条 件 を求 めようとする。 α十タV 心・g) −(l −T) ろ ( ーT)( −ろ)ト 十(r−0§} £ 要因を加えるため,g にっい ての確率分布関数を示す分散値Va べg )と,株 主 のリスクの回避係数S を加味してつぎのようにまとめる。 主 観的不 確 実性 の 上 記,(4)㈲ ㈲ を(1)に 代 入 す る と, k =α+sVar(g) (Z) = 配 当 金, を= 自 己 資 本 コ ス ト( 割 引 率) ,g = 配 当 金 ま た は 企 業 成 長 率)L =C \±, こ の(1) 式 に お け る 配 当 金 と 背 後 に あ る 利 益 刈 こ つ い て , 分 析 し , 税 率T , 配 当 性 向(1 − み), 利 益 留 保 率b , 自 己 資 本 利 益 率Ke, 資 産 利 益 率 ・ ふ 〃llづr- ●t- 「心ri ・--/ −m 〃 − 心。_ 。 ゝ1_t=tlら 参、・ −r, 負 服 判 于 率 ち 負1:良丿二じ停i £/ 此 の 関 揃 を つ さ の よ つ にm 刃 つ け-^ . D =(l −T)(l −&)KeE た だし,b =利 益留 保 /税 引後 利益 28) π 尺 ゛゜T瓦 ニ r 十(r 一Z)置 (3)式 を(2)式 へ 代 入 す る と, D =(1 −T)(l 一心)数 学 的 に は , p =p r. わ やh LC (r,b,i
^^(^,i) 三0
£ £ 会) 卜O と なり, ここで, 決定 変数 としてr,TE の最 適値 を 求め るた め,-^ ぎの偏 導 関 数 を方 程式 体 系に 加え る。_9 旦 し9^  ̄0 ∂7) 一一-∂1JE  ̄^ か くて,5 個の 未知数 と,1 個 の方程式,2 イ固の補 助式2 個 の 偏導関数に も とづい て, 最 適株 価が求 めら れる こと に な る(2 次の条件を満たすものとし てで)。(3) 株 価方 程式 とTK モ デル 小 稿 におい て当面 する問題 は, 数 学的 に財 務的 意思 決定 の基 準 を求 める問 題 を検 討 す るこ とでは ない。(7)式 の モデル がTK モデ ルの考 え方 とか なり酷 似 し てい るの で, 両者 を比 較対 照 し,TK モデ ルに お計 る体系 を確 認 する必 要 が ある から で ある。 第(7)式 の内 容を 要約 して,TK モ デル と対比 し てみ る とつ ぎ のよ うに なる。(1 ト(T) 式 は, 配当 金D が一 定 の成 長 率に も とづ く, 現 金流 入 の流 れを, 資 本 コスト たで 割 引い た株 価を示 してい る。(2) 資 産利 益率 川 よ, 簿 価( 現金支出原価) に もとづ く利回 りを示 してい る。L =C の仮定 で は, 会計償 却費相当 額 は再投 資支 出に むけら れる ため, 利 益 π=現金 純収 入を, 資産A 現金 支 出( 株主側からみて) を示 すこと と なる。 この 意味で, 取 得原 価主義 に も とづ く財 務 会計 情報 の利用 を可能 とす る。 このr はTK モデルの総 資本 利益 率 と, 測 定 概念 の上 で は, 等 しい 概念 とい え る。(3) 負債利 子率 は, 文字 どお り,TK ギデル の それ と等 しい。経営比率分析体系の研究57w 負債比 率 く;jFも,L =C の場合 は, 簿 価に もとづ く もの で ある が, キ ャッシ ュ・ フ=r,. の評 価構 造 から みて,TK モデル の それに 相 等 しい。 (5) 税引丿自己 資本 利益 率 (X 一了 )Ke も, 通 税の財務分 析 と同 様で あ る。 (6) 利益留 保 率 み, 配当 性向 (1 − み) も, 通説 と同様 で あ る。 (7) 企業成 長 率は,£=\^^■eデルで は, 即時均 衡 を前提 とし て, 利益 留保 〈増資分 を含 めて〉に よる 純財産 の成長率 相当分 だけ ,負債 も増 加 する。 したが って, 純 財産 成長 率 = 負債成 長 率=資産成 長 率 ど なる。(^)式 の成 長率g は純 財産 成長 率 が組 みこ まれてい る。 ㈲ 割引 率 削 よ株 価(市価にもとづく自己資本)の利回 り す な わち 時 価に も とづ く リス クを含 めた自己 資 本利益 率 に相当 する。 キ ャッシ ュ・ フロ ー分析 とは異 なり, 特定 期間 の業績 を 分析 す る 目的 を も つTK モデ ルで はこ の割 引率 の 概念 は組 みこ まれてい ない 。 し かし, 自己資 本利 益率 を評価 ・解 釈 す る さい には, つ ねに自己 資本 コス・ト を念 頭 において, 数字 を眺 める必 要 が ある。 L =C の制約式と経営分析体系(1)LC 関数 とFC 関数の内容L =C が主張 する制約式LC 関数とFC 関数は,い かなる経済的内容をも っているかを吟味し,TK モデルと比較対照してみるこ とが,当項の検討課 題 である。 したがって,財務的意思決定問題における固有 の問題, たとえば, しばしば世上を賑わしてい るMM 理論の可否とか, デュランド企業評価論の 問題点などを論ずることは, 小稿の範囲外に属する。 £c 関数 は, 丿製品市場と要素市場 におい て成立する製品の市場価格と要素 価格の要因を, 資産利益率 り こ反映させる29)。 いま,企業の平均収入AR この平均収入はレ 同時七 製品の価格を示す。 したがって, 平均収入関数 は価格にっい ての需要関数どなる。- は,次式 のごとく示 される。AR =αo十αiQ ……… …………■・・・・(11) αiは負, すなわち,不完全競争市場を前提とし, 右下:り需要関 数を想定 す る。つぎに, 平均費用ATC では, 平均変動費AVC に等 しい と考える。
これは,長期分析の立場 から, すべての要素は変動要 素としてとらえられる からで ある。キャッシ ュ・フリ ー分析の立場からは, 短期分析の固定費は現 金支出を伴わない とい う事実を考えれば,ATC =AVC として取扱 われるこ とは当然 といえる。£=C の場合, このATC は,産 出量Q の増加により, 右上 りとみなされる。要素価格鶴Q の増加により上昇するとみられること と,Q の一定限度をこえると不能率が起るからである。 したがって, ATC =b<,十ろiO ‥‥ 吻
であらわされ, 玩 は正の値となる。また,総収入TR,
総費用TC
はAR,ATC
にQ を掛ければ求められる。すなわち,
TR =aoQ 十α^Q" TC =boQ 十ろxQ^ ……… し たがって, 利益 刎ま, い ま , ㈲ 圓 π≡TR 一TC =(αo−bo)Q 十(fll一ろ{)Q^ ‥… … … …… …… ……(15) Q =λÅ と お き,(15)式 に 代 入 す る と, π=( 伽−&o)λA 十(α.− 玩)λ^Å^ … … … ㈲式 の両辺 をλ で 割っ て, 資産 利 益率r を求 める と, r =ユ =(aQ − み(y)λ十( αi一 乙1)λ^Åい ま,( αo−&o) λ= γo,(αi−bi) λ^=‘ と お く と , 規 模 の 関 数 と し て , つ ぎ の よ う に 示 さ れ る 。 「 -s^f リd- <r!-囲 ㈲式 は資産すなわち企業の
αi<0, ろi>0 であ るから,n くO とな り,r \土A に っい ての減少 関数 とな る。 エ=C は, この叫 式 をLC 関数 と名づ け, さらに ,(7}式 の 制約式 に 適す る よ うな展 開 を行 なってい るが, 小 稿 で は, 統 営 分析 の立場 から, こ れら一 連 の, 資産 利益 率 の関数 を吟 味 する こ とが重 要 とい え る。 そ の前提 として, λ の内容 を要 約 してお くこ とが必 要で あ る。 (2) λの 意味 尚 式 に おい て, λを導入 した。L =C はLC 関数に おい て, λを パ ラメ ー タ と して取 扱 ってい る。 こ の λはい か な る内容 を もっ で あろ うか。£=/'^の
用 語に したが う と, Q =qmA 経営比 率 分 析体系 の研 究59 ‥‥ ‥‥ ‥(2Q) で あらわされる。 ここにq,m はつぎの関係をもってい る。K =mA,Q =q尺 で ある。(A =資産。尺=生産能力,q=一定W2 =一定) qm = と な る 。 ● ● 経 営分析 や管 理 会計 の領域 におい ては,q \よ標準操 業 率 で あり,m は資本 丿回 転 率の部分指 標 とな る もので ある。i とq,m との関 係 をあら ためて示す と,(22)式 の よ うに なる。 λ≡A ≡? ×グF 図 λは伝統的分析論における回転率にほかならない。た だし,経営分析の世 尊 ではQ の代りに,売上高TR が用いら れることが多い が, この種の内容に っい ては検討済 みであり, 両者は本質的 に同一物である。図式 は,回転率が, 「操業率」と「規模にもとづく 資本のストッタ生産性」 の積であることを 示 している。(3)LC 関数 と総資本( 産) 利益率説 ㈲式および㈲式のLC 関数を, つぎの形で,再度記してみよう。 π={(ao一匈 十(α,−&{)Q}λA r≡ま ={(αo−みo)十(a.−ろ)Q リ …… … …‥… … …… ……(23) 図式における(αo−bo)は,Q =o のときの販売価格水 準・要素価格水準・ 物 的生産性水準把おける利幅率を総合的に示 しており,(α,−b{)Q は,産出 量 がQ =0 と比較して,Q が増加した場合 の総合的 な利幅率の減少率を示し てい る。 結局, 図式の 川よQ の変数 として の,利幅率と回転率の積を示 した ものにほかならない。 シュマルツやデュポン・システ ムにおける,売上利益 率 は平均利幅率であるから,LC 関数は,通 説やTK モデルにおける経営資 ノ本 利益率の分解公式 と全く同様であることを意味してい る。したがって,制 約 式 として, 株価方程式に £C 関数を体系的に組 みこむことは, とりもなお
さず, 自己 資本 利益 率 の分 析体系 の中 に, 総資本利 益 率, 厳 密に は経 営資 本 利益 率 ・売上 利 益率 ・ 回転 率 を組 みこむ ことと相 等 しい こ とを 意味 する。 こ れは, 前項(2)「L =C の主 張」 に もか かわらず,全 くTK モ デ ル と相等 しい こと を意味 し てい る。 し (4)FC 関 数 £=C は, 財 務的 制約 と して,FC 関数 を導入 する。 こ の関数 は, 負 債利 子 率i \i負 債比 率 令 め 増加 関数で ある とい う仮定に もとづ く。 このよ うな 仮定 は, 経 済学 に おい て は, 古 くから前 提 とされて き た一 つの見 解 であ る よ うに 思 われる30)。TK モデ ルで も,そめ ような前 提の も とに, 負債利 子率 や負 債比 率 が モ デルの 体系 に組 みこ まれてい る。 シ ュヤルッ やDuPontSystem で は, こ の負 債利 子率 や 負債比 率 がシス テマ テ ィッ クに組 みこ まれ えない , とい う欠点 が あ るこ と は,L =C の主張 する とお りで ある。 結論に代えて(1)LC 関数 とTK モデ ル し 小稿 で は, 筆者 の 試 案で あ るTK モデル を,L ニC の所 論 を借 りて吟 味す る こ とに主 眼 が むけ ら れた。 その結果, かな り広 範に両 者 は一 致 する もの と みら れる。 前者 は関数 論的 理 論 モデ ルで ある のに対 し, 筆 者 の考 えは, 関数 的 理 論 モデ ルを背 景 に して, 実 践に 適用 可能 なそ デル を 目指 してい る点 で は 異な るが。 こ の認 識 目標 の くい 違い の 結果, 細部に おい て 考 え方 に相違 もあ る。 主な点 を取 り あげ る と, ①LC 関 数に おい て,r はÅ の 減少関数 として取 扱 わ れてい る。 それ は γ1が 負で ある どい うこ とに 依存し てい る。マ1 が負 で あ るとい うのjは,A の増 加=に した がい, 製 品 価格の下 落・要 素価 格の上 昇 と不 能 率 の結 果 で あ る。 こ の うち, 不 能 率 は, 筆者 の モデ ルでは 生 産 性 の下落 を意味 し, そ の結 果;TK モデ ルで は回転率 λ/に影 響 を与え る ような 図式 が考 えら れ てい る。 ③ 経 営経 済 学 や経 済学 で は,r の低下問題 はし む し ろ, 回転 率 と の関 係 が ち説 明 さ れて お 呪 この問 題 は, つ とニに 重要な 研究 課題 と されて きた6 たとえ ば,レシ ュマル ツ経 営分 析におい て は, マ ク=i 経 済 を経営 分析的 手
経営比率分析体系の研究61 法 を応用 して, こ の問題 の吟 味 を行 な ってい る。 かれ は, 経 済学者 の有 力 な見 解 として, レ キ シスLexis, ベ ーム 。バ ベル クBohm-Bawerk , ゾムバ ルトSombart な どの所 論 を紹 介 し, ① 資本 回転 速 度は加 速化す る( レキシス), ② 資本主 義的 生産方 法 で は生産 期間 が長 期 化す る 転率 は 鈍化 する 回 ( バベルク), ③生 産 期間 を短縮 す る側面( 流れ作業な どによる運転資本回転速度の迅速化による) と長 期化 す る側面(固定資本構成 比率の増大) が統合 して あら われる( ゾムバルト)とい う諸 説を紹 介 し, かれ自身 は経営 分析 に よる実 証的 研 究 を紹 介 して詳 細な 具体的 吟 味 を行 なってい る。 また, 最近 の経営 経済 学 の資 本理論 に おい て は, 短 期分析 のもとで, 費用 関数 と資 本( 産)需要 関数 が統一的 に とら えられ, 平 均 費用 変化 と回 転率変 化 が統一 して把 握 される。£=C の場 合 は長 期分析 である ため, 両 者 を同一 次元 で比 較 で きない が, 経 営分 析 の体系 と して は, 原則 と して, 利 幅率 と 回転 率 を システ マテ ィッ クに 解 釈する体 系 か 必要 で ある。 ④To,n は, 製品 の販 売 価 格( 要素 価 格・ フl=,―の物的 生 産性 が 混合 し た形 態で あら われてい る。 経 営 分析 の上 で は, フロ ー生産 性 を区分 して 表示 する こ とが重要 で ある。 企 業の 経済 理論 に おい て は, 平均 費用 はっ ぎの よ うな式 で,平 均 費 用 を要 素価 格と 物的 生産性 に 分 解 した関数 関係 を示 してい る32)。TC =Paa 十几 み ÅTC =?a石 +賭 ・ =Pfl朧 +?b寺 一-a &(Pa ―要 素Å の価格 ,几 =要 素ぶの価 格,a ―要素Å の投入 量 , みニ要素 召の投 入 量 ,-?・=要素A の生産性 ,b =要 素 ぶの生 産性) よ って, 平 均 費 用 は, 要 素 価 格Pa,P む と 物 的 生 産 性Q/a,Q/b の 関 数 と し て と ら え ら れ る。TK モ デ ル で は , こ れ を 要 素 価 格 と フa ー生 産 性 の形 で 区 分 表 示 し て い る。(2)TK モ デ ル の 特 色
TK モデルの特色にっいて要約するとつぎのとおりである。 ① 企業 の業績構造として, 企業の全体的 行動 目標 として仮定せる自己 資 本利益率 が総合的指標として取り扱 われていること。 ② 総資本利益率はその下位指標であること。 ③ 生産性は物的生産性であり, 収益性の下位指標であること。 ④ 物的 生産性は, フ1==・一生産性とスト ック生産性に分解され, その変動 原因には共通する要因が存在すること。 ⑤ 製品の価格,要素価格, および不ド ックされてい る資産の価格が, 分 離されて明示的に とらえられていること。この結果,生産・要素・金融 ・証 券市場の環境変化要因 をすべて分析体系に組 みい れてい ることを意 味する。 ⑥ 負債利子率 が負債比率のもとに明示的 に扱 われ, 総資本(産)利 益 率 と対 置されてい ること。 ⑦ 業績評価 または意思決定 のさいには, 関連諸指標を考慮して, システ ムズ・アプ1=・−チの考え方をとりうるような体系 を考えたこと。 ⑧ 自己 資本利益率の成否は,企業成長率に影響 を与えることを明示的に あら わ してい る こと。 この さい, 企 業成 長 は, 一 つ の指 標 た と え ば , 売 上 高 とか付 加価 値等 々の ご とき成長 率 の成 長率 を意 味す るのでは なく, す べての要 素が一斉 に 総合的に 成長 する と みな され る こと。 な お, 企 業 成長 率, 資 本利益 率, 利 子率 等 は, キ ャッ シ ュ・ フリ ー分 析 で取 り扱 われ てい る ように, い ずれ も複利 効果 を もって おり, 僅 かな 差 で も長 期的 に みれば, 企 業 の運命 を左 右 す る力 を もってい る。 ⑨ ①∼ ⑧で示 さ れる特長 は, 資本 し たがっ て財 務 論の問 題 と, 生産理 論 したが って, 伝 統的 ドイ ツ経 営経 済学 でい う“経 営” 学上 の問 題 を, す な わち古 典理論 でい う“経営 ”ど 企業 ”を統合 してい るご とを 意味して い る。 また, ブ リ スや シ ュマ ル ツ体 系で は取 りあげ ら れな かっ た物的 生 産性 を さらに は, £=C では 欠けてい るフrj − の物的 生産性 を有 機的 に 含 める こ とに よっ て, 企業 経 営 の一 般的 な モ デル が形 成 され うる ことを 意味 してい る。 こ れら, 諸 関 連 の追 究 は将来 検討 を要 する課 題 とい える。 ⑩ 結局, 企 業に おける 物的 生産性 変化 は, 製品 や 要 素市場 に おけ る価格
経営比率分析体系の研究63 要因 と財務 市場 に おけ る利子 率 の要 因が加 わってノ 売上 利益 率 ・ 資本回 転率 ・利子 率 など を経 て, 自己 資本利 益率 の変 化へ と導 くこ とに なる。 換言 すれば, 自己 資本利 益率 は, 全体 経済的 観点に たて ば, 需 給条 件を 考慮 した マ クロの 生産 性す な わ ち社 会的 意味に おけ る 資源 の有 効 な利用, さら に はNNP 変 化 と 結合 する ことに なる とい える。 ここで, 取 り扱 われた テ ーマは, 経営 分析 体系 の モデ ルの 適否 に焦 点 をあ て, 変数諸 量 の経 済的 解 釈 は取 り扱 われてい ない 。 しか し, そ れら と すべて 関 連してい るた め, 広 範 な 内容 を含 んでお り, 筆者 に と って は, 永遠 に 未知 の世 界で ある ように 思 われる。 それ だけに, 誤 り も多 く, かな りの 冒険 を冒 す 結果と なっ たが, 識 者 の叱 声 をえて, さらに 研究 をす す める た めの一 里塚 としたい と念願 してい る。 な 払 新 たな 仮説事 項で ある, 物 的 ス ト ッ ク生産 性 や,物的 フC2 ー生産 性 や価 値生 産性 の吟 味等は さ らに 検討 を加 えて 報告す る つ もりで ある。 20 )S.E.Bolten,ManagerialFinance,HoughtonMifflin,1976,pp.16 ∼21.21 ) 経営財 務論では利潤極大化profitmaximization の仮説 は,い っぱ んに,①短 期的 観点で あること,② リスクが無視 されてい ること,(D 株価の下落要因 となる であろ うこと,などの理 由で否定 されてい るようで ある。 しかし, このような主 張は,第一 に,利潤 概念一 オポ テュニテ ■iー・ コスト概 念 を含 む一 に誤 りが あること。動 学理論 の存在 を見落してい るこ と。 の理 由に よる矛盾 と解釈される。 なお,株価極大政策 は,株主 に不 当な利益 を与え ることを意味しない 。\証 券投資 家 伝 証券市場 におい て競争 を行なってい るからである。 市場 の不完全性 を除け ば,企業 の株価 極大化政 策は ,株主 に適正な利益 を与 える にすぎない。 これが, 筆者のとる見解 である。Bolten,ibid.,pp.16 ∼17.L.J.Gitman,PrinciplesofManagerialFinance,1976,p.9.22 ) たとえ,配 当還元 モデルにおいて も,割引率は,事 後的 には自己資本 コスト= 自己資本利益 率 を用い るので あるから ,株価極大化仮定は ,自己資本利益率極大 化仮定と,原 則的 には一 致するものとみられる。なお,企業 成長 モデル を扱 うと きには,自己資 本利益率に,利益留保率 を加味 する必要か おることは,TK 干デ ルに示 されてい ると おりで ある。23 ) この分解公式は ,アメ リカの実務 界のみならず,わが国 の学界に 鉛い て も支持 され続け てい る。 また,ド イツの経営経済学者 の間で 伝 同様の主張 がみら れ, 世界的な規模で利用 されてい ると思 われる。24 ) 拙稿「期 間業 績 の尺度 としての自己資本利益率」一橋大 学産業 経営研究所 ,ビ
ジネ スレビ ュー,pp.22 ∼34. 亀井・亀川共著「経営指標Jpp.131 ∼135. 拙著「分析論」序文,pp.61 ∼65.25 ) 同様 の主張は筆者の著書におい て も行な われた。しか し,比率分析 における, そのような欠陥にもかかわらず,シ ステムズ・ アプロ ―チをもって ,体系的に比 率 を利用 することの有効性は ,少し も失 われない。事実 ,ラ ーナ ー自身 も財務諸 表 の分析 を取 り扱ってお り, また,多く の財務論者 も同 様な取扱い を行 なってい るからで ある。たとえば , 拙 著「分析論Jpp.20 ∼21.T.F.WestonandE.F.Brigham ,ManagerialFinance,4thed.,1972,pp.17 ∼45.Lerner ,op.cit.,pp.43 ∼67.L.J.Gitrtian,PrinciplesofManagerialFinance,pp.42 ∼72.Bolten ,op.cit.,pp.89 ∼101.26 )Lerner,op.cit,p.62.27 ) 伝統的経営分析 または経営比較論 におけ る「解釈論」 「評価論」に相当する。 比率分析 の有用性 を否定 すると,自己資本利益 率や株価 自体 も同様な難点 をもつ ことにな り,自家撞着 に陥 る。 また,関数 体系 はそれ自体重 要 な分 析道具ではあ るが,現実は,多く のパ ラメータがい っせい にシフトす ることにな り,結局 比率 分 析にた よらざる をえない ことになる。28 )(3 )式はつ ぎの過程から導かれる。 30 )31 )32 ) ■jr= λ Γ-A =L 十五 ………③ であるから,これを①に代入するとTl =(£十£)r一Li=Er 十(r一)L …………③ ④式の両辺 を,E で割ると, 尺e=る =r 十(r一分シ … … ④ ④式 の方程式 にもとづくモデルに ついては筆者 もしば しば同一 のモデルの利用 を提唱 して きた。 亀井 ・亀川著 「経営指 標Jpp.249 ∼252. 拙 著「分 析論Jpp ,61∼71. 拙 著「利益政 策」 日刊工業新 聞社,昭和む 年pp.9 ∼12,38 ∼56,167 ∼186・ 拙 著「 マネジ リアル・エ コノミックス」丸善株式会社 ,昭和47年pp.18 ∼19.29 )LernerandCarleton,op.cit.,pp.67 ∼88. 石黒 ・宮川訳pp.76 ∼102. SunCarlson,op.cit. ,pp.65 ∼66.K.Schmaltz,S.71ff.M.J.Brennan,TheoryofEconomicStatics,2nded.,1970,pp.148 ∼153.