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配偶者喪失による高齢者の悲嘆とそれを左右する要因

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Academic year: 2021

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512 第45巻 日本公衛誌第6号 平成10年6月15日

配偶者喪失による高齢者の悲嘆とそれを左右する要因

寺﨑

明美

中村

健一

目的 配偶者の死別により遺された高齢者の悲嘆と,それを左右する要因を明らかにする。 方法 死別配偶者が60歳以上で死別後3年以内の男女を対象に,1994年8月∼96年10月に半構成的質問紙に よる面接と郵送調査を行った。悲嘆反応の調査は,ParkesとDeekenの概念を参考に26項目の質問紙を 作成し,悲嘆の経時的変化は死者儀礼(死別直後,四十九日,一周忌,現在)の4時点で調査を行った。 内容の分折は26項目を4段階の得点変化で感覚の麻痺,思慕と抗議,崩壊,再建の4カテゴリーにまと めて分折した。 成績 ①分折対象172人のうち,女性が79.7%と多くを占めた。健康状態は「やや悪い」,「悪い」を合わせ て33.6%,「罹病中は自分で介護した」が67.4%であった。GDSうつ尺度は平均得点5.85(SD3.50)で あった。  ②予期的悲嘆の反応は,「自分でできることは何でもしよう」が多く,罹病中は50%以上を占めた。  ③悲嘆反応の経時的変化は『感覚の麻痺』で「やるだけのことは成し得た」が死別直後から現在ま で4段階尺度で3点以上と高かった。『思慕と抗議』は「いつも故人のことを考えている」等の思慕(直 後3.4→現在2.9点)が抗議より高値を示した。『崩壊』は「人には私の気持ちなどわからない」が (2.9→2.6点)と高く『再建』では,「死を仕方のないこと」として徐々にあきらめ,適応に向かってい た。  ④悲嘆左右因子:悲嘆との関連で,健康状態,病名・予後の告知の有無,介護の有無,GDSうつ得 点等に有意差がみられた。 結論 感覚の麻痺は,予期的悲嘆が十分行われることにより達成感がみられ,思慕の感情は,寂しさや孤独 感として長期に続くことが判明した。崩壊は,GDS得点との関連で抑うつ感情との間に関連性が大き いことが明確になった。悲嘆左右要因分折では,健康状態が良く,告知がなされ,介護に携わることが 悲嘆軽減に有効なことが明らかになった。

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