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[巻頭言]人類の危機の時代における環境研究のあり方

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Academic year: 2021

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(1)2 1 3. ■巻. 頭. 言■. 人類の危機の時代における環境研究のあり方 岩手県環境保健研究センター所長. 鳥. 羽. 良. 明. 地球に生物が生きてきた38億年から見ればほん. ‘経済は環境の一部’へというコペルニクス的転. の一瞬に当たる現代,人口の急増,科学技術の急. 回」は完結しない。それで筆者は最近の持論とし. 速な進歩,エネルギー使用と人為源化学物質の放. て,経済原理に何らかの形で質量保存則を導入し. 出による地球温暖化,これらに起因する気候シス. た新しい社会システムを探求しそれに移行する必. テム・生態系の変化・変動,そして人類同士の小. 要性を主張している。. 規模な抗争から核兵器を含む大きな争いまで,ま. 利潤の追求に過剰の価値を見出す人の多い社会. さに人類は生存の危機に直面している。地方に目. システムでない新しい社会システムの模索は,い. を向ければ,青森・岩手県境地域や富士山麓にお. わば社会的,国際的な人類の哲学の進化の問題で. ける廃棄物不法投棄の現状をはじめ,重い課題が. ある。そのような新しい社会では企業も利潤追求. のしかかっている。. が第一義ではなく,地球と共生する新しい価値観. 地方には地方に根づいた必要な研究,グローバ. を追求しなければならないであろう。あえて岩手. ルな現象・問題と結びついてしかも地方に密着し. から宮沢賢治を持ち出すまでもなく,人類はここ. た,具体的な環境・エネルギー政策の研究などを. ろのある,哲学を持った生物である。豊かさの上. 推進しなければならない。. に不善をなす時代を昇華して,人類の心(哲学・. ただ,いま国立の大学や研究機関の独立行政法. 思想)を重視した経済システム,社会を作りたい. 人化の波が,地方にも及びつつある。筆者はもと. ものである。哲学・社会科学の進化と企業の価値. もと地球物理学(大気海洋系)分野を歩いてきた. 観の転換は,並行して模索されなければならない。. 者であるが,そのような分野はいわば公共的な学. 物理的集合体としての人類の社会構造の進化,. 問であって企業との連携などはなかったか. そして人類全体の世論となるべき哲学の進化の速. ら,100%国からの研究費によって国際的競争の. 度が,人類・地球環境の崩壊に遅れを取らないよ. 中で成果をあげてきた。本誌の関わる環境研究の. うにしなければならない。それはいま人類に課せ. 分野は,今後企業との連携もある程度は開けてく. られた試練である。. ると思うが,今後どのように考えて行けばよいか。. 議論の範囲が大き過ぎたかもしれないが,その. 少し別の面から考える。環境としての自然界は,. ような先々の見通しを踏まえて,常にその時々に. エネルギーをも含めて「質量保存の法則」が成り. 可能な最善を求めて今を進みたいものである。具. 立っている。ところが,社会現象でバブルや不良. 体的には,環境に関わる分野の研究は,ある程度. 債権の生じる経済の世界は,まったく質量保存の. 国はきちんと必要な面倒を見るべきである。地方. 法則の成り立たない世界である。何らかの形で経. 行政もそれなりの考慮を払うべきである。それは. 済原理に質量保存則を導入しない限り,レスター. 世界をリードすべき日本の住民としての見識であ. ・ブラウン氏のいう「 ‘環境は経済の一部’から. ると思う。. Vol. 28. No. 4(2003). ─1.

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