(面訴莞29穐灘49難君)
〔症例検討会〕
心筋硬塞後の心室瘤について
日 時 昭和49年6月21日(金)午後1時30分
場 所 東京女子医科大学本部講堂
(発言者)司会 駒割外科 林 久 恵教授
放射線科 山 崎 統四郎助教授
内 科大森安恵助教授
心研外科遠藤真弘講師
労研外科小原邦義助手
(受持,文責)心研内科中村憲司助手
(受付 昭和49年8月26日) 林:わが国において,最近冠動脈疾患の患者数が増加 し,死亡率は脳血管障害,癌について,3位の位置を占 めています・ 私共の心臓血圧研究所では,7年前に狭心症センター を開設し,狭心症,心筋硬塞などの虚血性心疾患につい て,診断,治療および研究に日夜努力しています. 心筋硬塞の患者は,急性期に死亡率が高いため,この 急性期をのりきる対策や,心筋硬塞にならないための予 防対策示必要となってきています. 日本人の冠動脈は,欧米人に較べて,かなり遅れて動 脈硬化が始り,また心筋硬塞に罹患しても,重症なもの は比較的少ないのが,特徴といわれてきました. しかしながら,食生活の西欧化をはじめ色々な複雑な 環境因子がからみ,CCU入院患者の中には,救急入院 後すぐ死亡される重症な心筋硬塞患者が増えてきまし た. また急性期をのりこえた心筋硬塞患者の中には,心室 瘤を合併するものもあり,現在急性期をのりこえた心筋 硬塞の10∼30%が,心室瘤を合併すると言われていま す. 今日は,そのような症例を提示し,最近はどのように 診断し治療しているか,心研での研究成績もあわせてお 話し,皆様方と討論していきたいと思っております・皆 C1董n量co■Patllolo9孟cal Conference (95)3 様のご協力をお願いします. それでは,先ず主治医の方から,患者の病歴について 説明願います. 申村:今日は,心室瘤の診断,内科。外科治療が主題 ですので,簡単に説明いたします. 患者は53才の女性,主訴は,背部から左上肢に放散する 左前胸部痛です.家族歴には,高血圧症と脳血管障害が あります.既往歴としては,昭和46年に胆嚢摘出術をう けております.15年前より,最高血圧が200mm}壇に及ぶ高 血圧があり,降圧剤の投与を入院時までうけております. 本年1月半ば頃より,食後左前胸部痛が週に1∼2回 出現しはじめた.食事後約30分で,心窩部膨満感で始ま り,左前胸部の圧迫感ないしは胸痛と変化して,その持 続時間は,20分から30分,ニトログリセリセリン舌下錠 は効果がなかった.非発作時の心電図は,V5.6にSTの 低下を認めたのみということです. 3月ユ6日,左肩,背中へ放散する左前胸部痛,絞拒感 出現,開業医の心筋硬塞の診断のもとに,CCUに入院 しました. 入院時,血圧130/90mm㎎,、脈拍82/分意識は清,胸部 ラ音なし,摩擦音なし,心尖部にLevine I/6の収縮期雑 音,浮腫なし心電図は,図1に示すごとく,1,aVL, v2.6のST上昇,異常Q波を有する広範な前側壁心筋硬、VR …’ ・一{
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撫13鎚 図1 患者T.T・の心電図およびChest X−ray ・心電図 2ヵ月,3ヵ月後でも胸部誘導にSTがある.・Chest X−ray CTRO.62 肺ウツ血なし.
表1 CCU入院中の諸酵素値の動き(血清) E.S.R.(h)
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・一171・一18 28 13 322 15520
45635
1604 1730 900 11200 3−19 57 300 58 1872 790 22300 3−2094
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405 10100 塞です. 7日間CCUに入院,その間,心房細動,上室性期外 収縮,心不全が出現しましたが,ジギタリス,および利 尿剤投与にて落着きました. 第2入院日より,心膜摩擦音出現,胸痛を伴い,持続 期間も長かったためSteroidを2週間使用,その後は摩 擦音,胸痛はおさまっています. 血清諸酵素の変動は,表1のとおりです、 第7入院日より,リハビリテーション開始. 1ヵ月 後,マスター負荷テスト(負荷量,規定の1/2)施行しま したが,自覚症状,心電図に異常なし.しかし1ヵ月過 ぎましても,心電図にはV2.5にST上昇が認められ, 胸部触診では,心尖拍動以外に,胸骨左縁第4鞠問に異 常拍動があります. 心尖拍動図では,あきらかにbulgeがあり・収縮時の 川1川llllm川IIII川川川1」ll川1川1」IlI川1:1川1」1川[ll睦甜川川:1馴1[1卍」Il[liLI瑚思1;l11[h[1Li[,Il、幽1」i,1:1:用iト1隅IIii、」引iI‘1、1漏1」Il[1』」:」il」」:1目 「l11111i111111EII「1「11111「IEil「111i121111111Itl[1[11211tl[II![「:![i3111「IIFIF1「i:!11[1[1[1i111IIEIEI旨ill…Ill「!IIIIIII!:1「IIII!1111F」1「1「1311「:「圏i「1[1「III1旨「1」[IEIIII「IE1[1…11「1脚,一絢嘱一概四一
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D 剛占 1幽 II . 1 1脚 ト ・ 111・.ll.1 .11・川目II..1.目「川門’II 図2 患者T・T・の心音図,心尖拍動図 (PCG…心音図, ACG…心尖拍動図,S、…第1音,S2…第2音, S4…第4音.) 上:心尖拍動図.Systolic bulgeが見られる. 下=胸骨左縁懸4肋間.異常拍動がみられる.① 1∼2秒 ② 2−3秒 ③ 3∼4秒 ④ 4∼5秒 ⑤ 5−6秒
⑥7∼8秒
⑦9∼10秒
⑧ロ∼12秒⑨B∼14秒
⑩15∼16秒 図3 心動態シンチグラム(第1斜位)99皿Tc・Pertec㎞etate 5mC三使用 perkの遅れた脈波が左第4肋間で記録されています(図 2). これらの所見を考えあわすと,心筋硬塞後の,左室異 常収縮を示しているものと思われます. 林:臨床所見とnon−invaseveな検査法で,左室の異 常収縮はほぼ間違いないわけですね。 左室の収縮異常と冠状動脈の状態をみるため,左室造 影と冠状動脈造影を行なっています.それらの所見を説 明して下さい. 中村=心筋硬塞患者の左室造影は,pig−tai1カテーテ ルを用いて行われます. 造影中の期外収縮の発生を防ぎ,血栓の遊離を予防す るためです.この患者の場合,左室心尖部から前側壁の 収縮状態が悪く,左冠状動脈前下行枝は完全閉塞です. 右冠状動脈,左回旋枝は,ほぼ正常です. カテーテル検査後,37.0℃∼38.0。Cの熱が持続,2週 間抗生物質を投与しても反応なく,また腰綱,尿,血液 の細菌培養も陰性です.以上より,入院時遷延化した 包炎とあわせて考えると,心筋硬塞後症候群の可能性 が強くでてきました.本症候群の報告者であるDressler は,硬塞後の壊死心筋組織より産生される抗原に対する 自己免疫機序が,本症候群の原因であろうと推測し,そ の後,硬塞発作後に抗心筋抗体の生ずることを,色々な 方法で証明されつつあります. この患者の場合,心筋硬塞後症候群を特異的に示唆す る臨床症状,検査所見はなかったが,Steroidの投与を 始めました.投与開始2日目より解熱し,赤沈の高進も おさまり始め,現在はSteroid漸減中です. 林=そうしますと,臨床症状と左室造影所見より考え て,心室瘤と診断してよろしいですか。 中村=今までの心室瘤の定義は,人によって色々と違 っております.診断基準が違えば,頻度も死亡率も違っ てくると思います。この患者の場合,心室瘤というより も異常収縮(Asynergy)という言葉を使いたいと思いま す. 林:それでは,核医学の山崎先生に,この患者の核医 学検査について説明願います. 山崎:それでは,心動態シンチグラムと心放射図を説 明します. 患者の前胸部にシンチカメラの検出器を固定し,肘静 脈より99mTc・pertec㎞etate 5∼10mC三をポーラスとし て注入すると,これが鎖骨下静脈,上大静脈を通り右心 系に至り,次いで肺,左心系,そして大動脈に至る循環 動態を記録することができます. 一般には,VTRやミニコンピュータに記録し,後で 数秒おきに何枚かのシンチグラムとして再生したり,右 心,左心等に関心領域を設定して,それぞれの部位での 放射能変化を,経時的にグラフとして再生することがで きます.前者を心動態シンチグラム,又はRI Angiocar− diogramと呼び,後者を放射図と呼びますが,この場合 一般の心放射図と異なり,心内各部や肺での放射図を部 位別にそれぞれ再生することができます.図4 関心領域を右心.肺,左心に設定 本例の心動態シンチグラム(図3)では,視野内にア イソトープが現われてから,5秒後(図3一⑤)から左 心に相当した放射能を認め,その後も比較的長時間にわ たり,放射能は同胞にとどまっています(図3一⑨). 図4に示すように,関心領域を肺,右心,左心に設定 して得たものが図5に示す放射図で,①,②,③の各曲 線はそれぞれ右心系,肺,左心系を表わします.本例で は,急峻な右心を示すpeak①に比し,緩徐な左心を示 すpeak③を認め,左心での放射能の停滞を示します. 以上は左心に存在する心室瘤の所見に一致すると考えま す. 心動態シンチグラフィーや各部位での心放射図も含め て,核医学検査のみから心室瘤を断定することはできま せんが,その診断に参考となり得る検査としては,この 他に心プールシンチグラフィーや,心筋シンチグラフィ ーがあります.前者では立位と導爆でのシンチグラムを ① ∠ τT ⑦だば @瞬’ ⑦左ば〔破轟♪ 伽τい吋・・眞凶妃 ② 1 も多いと言われています.また狭心症や心筋硬塞に胆石 症が多くみられ,相関々係があると思いますが,大森先 生この点についていかがでしようか. 大森:胆石と動脈硬化とのmetabolicな関連について は,広沢教授からうかがったことがあります.胆石を摘 出することにより,それまであった頑固な狭心症が寛解 した症例をも経験しております. 林=心筋硬塞になりますと,硬塞の部位の心筋が変化 し,収縮不良の部分ができてきます.この事について, 心研の小原先生が研究していますので,わかり易く説明 していただきます.また心室瘤と収縮異常についても, お教え願いたいと思います. 小原:それでは心筋硬塞における心室瘤とAsynergy との違いについて,先ず説明したいと思います. 心室瘤もAsynergyも共に心筋硬塞以外の原因,ある いは病態においても見られることがあるが,ここでは心 筋硬塞の場合に限って,両者の区別を述べます, 心筋硬塞に陥ると,ほとんど例外なく,硬塞部位ある いは虚血部位に一致して心筋収縮に異常をきたす.この 限局的な左室壁の収縮異常をAsynergyと呼ぶ.この Asynergyの部位は時に内圧に耐えかねて心内腔より突出 することがあり,これを心室瘤(Ventricular Aneurysm) と言っている. 心室瘤とはもともと病理形態学的な見地より命名され 1縞友. ① ② ②
図5放射図①右心系,②肺,③
その部位での放射能の停滞を示す. 左心系.③左心系のpeakは緩徐で,:簿
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Ao 図6・a 術前左室造影(M.T.42才,男) .ヒ:拡張終期,下:収縮終期 Enddio5雪ole 蔭nd5γ5,0Ie 翼 LV x Preope. 槻。7 42 Y. mde LVG{隆AO 3001 A3 0n,. pupil● P3PO5曾5 popl置・ 翼噌書okIne,1‘ 図6・b (M。T。42才, Ao 匿nddiu5曾ole Eod5γ5曾01e A LV x似
Po5曾ope・ mosde mu5dO o「eo 術前術後左室造影所見のtrace 男) x たもので,Edwards(1961)によると,剖検例の検討か ら「心室瘤とは,左室辺縁の一部が,それ以外の心表面 を越え,同時に内灘の突出を伴って生じた限局性の瘤状 突出である」と定義している.しかし心筋硬塞において も生存中に選択的冠動脈造髭,シネ左室造影が安全に 行えるようになってきた今日では,左室造影による臨 床診断学的立場からの定義が必要となってきた.Baron (1971)はシネ左室造影より「心室瘤とは,収縮期,拡 張期の全経過を通して,本来の左室腔より心内腔が異常 に突出しているもの」と定義しており,われわれもそれ に従っている.図6−a,bにその1例を示す.症例は42 才の男性で,広範囲の前壁硬塞で,粗研CCUに入院し た.心不全が続くので,発症後約3ヵ月目にシネ左室造 影を行うと,図6−aの如く,左室心尖部は著明に拡大 し,しかも壁は収縮期にも拡張期にも本来の心室腔より 突出を示しているので,典型的な心室瘤と言える.また この部分は収縮期にも拡張期にも全く動かず,これは後 述するが,Asynergyの分類ではAkinesis(無収縮)とい う状態である.当症例は心室瘤の切除とVineberg手術 を受け,充分な左室機能の回復を得た.図6−bは心室 瘤切除前後の左室造影所見を描写したものである. 心室瘤となる機序は,硬塞により壊死で脆弱化した左 室壁が,内圧に耐えかねて徐々に膨隆してきて,その状 態で種々の程度に線維化を起こして固まったものと考え られる.それ故,心室瘤とは,心筋硬塞の亜急性期(2 ∼4週)から慢性期(1ヵ月以降)にかけて形成される ものと考えられる. これに対し,Asynergyとは,もともと機能形態学的 見地から定義されたもので,左室壁の一部が正常の収縮 をしない状態を言い,Harrisonら(1965)はkinetocar− diogram上,冠動脈疾患々者の左室虚血部位にみられる 異常収縮のことをDyssynergyと呼んだ.次いでHerman, Gorlinら(1967)はシネ左室造影所見の解析から,同 収縮異常をAsynergyと命名し,図7の如く分類し, 【血行動態や心不全との因果関係を検討している.図7の Synergyとは正常収縮のことで,全体が調和のとれた収 縮をすることを言う.またHypokinesisとは,左室壁 が全体的に弱い収縮を示すことを言い,これは虚血に基 づく心筋の線維化が全体にわたるような重症冠動脈疾患 (lschemic myocardiopathy)や, P M Dあるいはβ bl。cker投与時にも見られる.一方,左室壁の部分的な 収縮異常,つまりAsynergyを,その収縮様式の違いか ら以下の4つに分類している.つまりAsyneres三sとは 左室壁の一部の収縮が弱い状態をいう(低収縮).(2) Akinesisとは左室壁の一部が収縮期にも拡張期にも全く 動かない状態をいう(無収縮).(3)Dysk五nes且sとは左 室壁の一部が収縮期にかえって突出する状態をいう(奇 異性収縮).(4)Asynchronyとは,左室壁の一部が収、
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NormGl Con雪roc量ion 25,き09も HYPOklNESISASYNERESIS
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図7 Asynergyの分類(Herman, M.v., et aL New Eug・J・Med・,277:227,1967より引用)
DYSKI國ESIS
ASYNCHRONY
(pqrodo民. Sソs, ε叉ponsタ・} PhGse 1 膨 Phαse 2 [=]
MQしk川h』⇔m c}Ld−diast〔,kl亀Ωく・nd−sysヒ‘}lc i∼川us・ 縮はするが,他の部分とは同期せず,早く収縮したりあ るいは遅れたりする状態をいう.Hermanによると,こ れらAsynergyを示す範囲が左室表面の20∼25%に及ぶ と1nL行動態の異常がみられるという.またAsynergyの 中では,Dyskinesisが最:も効率の悪い動きで,心拍出量 の低下が著るしく,血行動態に対する影響が最も強いと 述べている,これらAsynergyは心筋硬塞において1ま, ほとんど全例に,またおそらくその全経過を通して,硬 塞部位ならびに虚血部位に一致してみられると考えられ ているが,硬塞発症後の経過時期とAsynergyの種類お よび左室機能との関係については不明の点が多かった. 演者らの実験によると,左室心尖部に左室表面積の約20 %の急性硬塞を作成し,硬塞発生後数分から6時間の聞 に,経時的にシネ左室造影を行うと,硬塞部位はDy面・ nesisを示すことが多く,同時に左室機能は著明に低下 を示した.しかし硬塞作成後2∼3日目以降に造影を行 うと,硬塞部位は全く動かなくなるか(Akinesis),ある いは低収縮状態(Asyneresis)を示し,同時に左室機能は 改善を示してくる.この傾向は経過時期が経つにつれて 強くなり,約1ヵ月目には左室機能はクまぽ正常にまで復: した.これは硬塞部位の治癒機転,つまり同箇所の線維 搬痕化して行く過程と相関するのではないかと考えられ る.病理学的にも治癒機転はだいたい発症1日目から始 まると言われており,この事実を裏付けていると思われ る.慢性期に硬塞作成犬を屠殺して選べると,硬塞部位 はほとんど白色墨痕組織に置き換えられていた.実験で は生存犬を得るため1心尖部に限局する比較的小さな硬 塞(造影上の左室内腔周径比で25%にあたる)を作った ので,Akinesisの部分が心室瘤の形態を示したものはな かったが,もし大きい硬塞を作ったとすれば心室瘤作成 も可能であったかと考える.臨床例においても,急性硬 塞発症後の左室壁の収縮様式ならびに1血行動態は,ある 程度このようなpattemをとるものと考えている.臨床
例について,当心研CCUに入院し,硬塞発症後3∼
4週目以降にシネ左室造影を行なった100例につき,左 室収縮様式を検討したところ,98例に,はっきりとした Asynergyを認め,その種類はほとんどがAkinesisない しはAsyneresisならびに両老の合併であり,Dyskines三s, As”chronyを認めたものは皆無であった。また30例(30 %)には心室瘤の形成を認めだ しかし,うち5例は広 範囲のAsynergyを示す症例とclear cutに区別するに は多少無理があった。心室瘤群と非心室瘤群とでその Asyロergyを示す範囲を周径比(心拡張期においてAsy− nergy部分が心内腔の全周に対する劇合)で比較すると, 心室瘤群では全例の周径比の平均が約45%と広範囲であ ったのに対し,非心室瘤群では約36%と,心室瘤群に比 して明らかに範囲が狭かった.それゆえ,心室瘤は硬塞 範囲の広いものに伴い易いことが示唆された.一方,心獲
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図8・a術前左室造影(Y・S・56才,男) 上:拡張終期 下:収縮終期 誕 Enddiα5,01e 匹nd5y5曾ole LV Preope. LVG{RAO 3げ⊃ o : on曾erior P : po5瞥erior 飛:re5e‘暫ed X購X: αkine曾iG 図8・b (Y.S.56才,男) Enddiu5,01e Ao 巴nd5y5,01e o もLV 、
毛P l
Rノ 噌■,ψ Po5曾ope. popillαry mu5de popillory mu5‘le okine,k oreo o「eo 術前後の左室造影所見のtrace 室瘤群,非心室懇懇を区別せず,舳ynergyの範囲(周 径比)と左室機能の関係を検討すると,周径比が30∼40 %以上になると明らかな血行動態上の障害がみられた. それゆえ,ここで亜急性期ないし慢性期心筋硬塞におけ る心室瘤とAsynergyとの間に,形態上あるいはその範 囲において差はあるとしても,機能的あるいは血行動態 上に根本的な差違があるのかということが問題となる. そこで,ほぼ同じ異常収縮の範囲(周径比で40∼45%) を示す心室瘤10例とAsynergy 10例について,左室機能 を比較してみたが,両者の間に有意の差がないことがわ かった.それゆえ,亜急性期から慢性期における心尖部 を中心とした心室瘤ないしはAsynergy部分切除の手術 適応を考えるに当っては,特に両者を区別して考える必 要はなく,従来の心室瘤切除術の臨床的適応(難治性心 不全,重症不整脈,系統的血栓症,狭心症,心破裂)に 加えて,Asynergyを示す範囲と左室機能を考慮して決 定すべきと考える.すなわち,シネ左室造影所見におけ るAsynergyの範囲が,周径比で30∼40%以上になると 明らかな左室機能障害を示し,硬塞周辺心筋に対しても 負荷を強くするので,心室瘤形成の有無にかかわらず外 科的切除を考慮すべきと考えている.かかる適応によっ て,広範なAsynergyを示す1症例に対し, Asynergy部 分の切除を行い著効を治めたので付加する. 症例は56才男性で,前側壁硬塞発症後3週間経って も,胸部の重圧感,航船,運動制限があり,心電図上持 続的なST上昇がみられるとともに,心室性期外収縮の 頻発がみられたので,心室瘤を疑い左室造影を行った. 左室造影では図(8−a)に示す如く,前壁から心尖に かけての広範囲のAsynergyがみられた. Asynergyの範 囲は無収縮領域が周径比で45%,低収縮を示す部分も含 めると周径比は64%と広範囲であった.左室拡張終期圧 は46mm}セ, Ejection Fractionは0.25と著しい左室機能 障害を示し,このままでは社会復帰困難と考え手術を施 行,壊死心筋と線維組織の入り混つた硬塞部位を5×7 cm切除した.術後は左室機能も改善し, Master aouble にも充分耐え,運動能力も向上して退院した.術後1カ 月目に行った左室造影では,図8−b右に示す如く,縫 合創に当る部分に多少の,おそらくは線状のAsynergy を残すのみで,全体としての収縮状態は改善を示した. 術後のEjection Fractionは0.40であった. 以上,心筋硬塞における心室瘤とA町mergyの差違に つき述べ,またその手術適応に関する私見を述べるとと もに,心室瘤およびAsynergy各1例の手術例を呈示し ました. 林:そうしますと,収縮期にも拡張期にも突出してい るものをAneurysmと診断するわけですね.只今,度々 左室機能という言葉がでてきました.遠藤先生に,左室 機能検査はどういうものか.そしてこの患者の場合,左のバルーンカテーテルをおき,熱希釈法を利用して心拍 出門を測定します.その後Hand−grip法による負荷試 験を行い,左室圧および心拍出:量がどのように変化する かみるわけです.そして左室造影により左室の大きさ, 収縮状態を調べ,冠状動脈造影にうつります. 心室瘤の手術適応について一番大切なことは,病変部 が限局していて,残余心筋の動きがいいということで す. 本症例では,限局性であり,動いている部分と動いて ない部分が明確に区別されています.左室拡張末期容量 は311ml/m守,正常人の106∼110m1に対し,約3倍近 く増大しています・左室収縮末期容量258ml/m2,差し 引き53m1が1回心拍出量です. Swa捻・Ganzカテーテル での測定では58mlですので,造影上のものとほぼ一致 するわけです。 左室拡張末期圧は,11mmH9以下が正常ですが,この 方は28mm㎏と上昇しています.但しこの方は, Cardiac indexが2.58」と正常人の3.0∼3.5島こ較べて,それ ほど著明に低下していません. 駆出分画の正常値は0.7ぐらいですが,外科的には .0.2以下の時,心機能が悪.く手術に耐えられないと報告. している人もあります. 私共.の手術例でも, 0.2以下の人は2例ありました が,術後の経過は良好です.こ乳らの成功例は,最:も左 室の収縮に関与する大動脈弁直下の収縮が,非常に良い ということです. 以上よりもう一度検討を加えますと,負荷をかけ’ると 左室拡張末期圧が上昇し,心拍出量が減少します.駆出 分画は0.2と落ちていますが,左室造影では大動脈弁直 下の収縮が良好です.この心室瘤は,全体の容量で計算 すると57%,鼻腔の表面積では58.3%と非常に大きい心 室瘤です(表2)。 ここで例えば,ぎりぎりの線で切除しますと,残りの 容量は140ml,!emの. suture lineを残しま.すと170ml
となります.心基部の収縮が良いので,もし駆出分画が 0.5であれぽ1回心拍出量は85cc,悪くみつもって駆出 分画を0.4としても,少なくとも68ccが期待できるとい うことです. EF.(駆出分画)O.20 SWIWEDP 1.53(8以上) 運鋤負荷 LVEDP 28→39㎜Hg SW/LVEDP 1.53−O.9
SW 43→379M
以上より,この患者め場合,手術に耐えられ,術後機 能を回復することのできる症例だと思われます. 林=手術の方法については私から説明し.ます,私共で はこの6例の他,更に2例成功しています.術前,術後 の大きさを較べますと,図のように小さくなっています (図9).手術死亡はなく,左室機能も図のように改善し ております(図10). 1 2 3 4 5 6術前
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52・蜘 3お。/。 図9 左室瘤摘除術前後の左室腔の比較WEDP LVEDV