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Case 1 不安定プラークを有する CEA ハイリスク症例 CLINICAL PROFILE:79 歳男性 既往歴高血圧症 二型糖尿病 ( インスリン投与中 ) 脂質異常症 間質性肺炎 ( 在宅酸素療法導入中 ) 心臓弁膜症術後 現病歴突然の右眼の見えにくさを主訴に近医眼科を受診 網膜動脈分枝閉塞

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PROXIMAL CEREBRAL PROTECTION DEVICE

Mo.Ma Ultra

兵庫医科大学脳神経外科学講座

進藤 誠悟

先生

吉村 紳一

先生

主任教授

はじめに

頸動脈ステント留置術(Carotid Artery Stenting:CAS)は、頸動脈内膜剥離術(Carotid Endarterectomy:CEA)のハイリスク 患者におけるランダム化比較試験(SAPPHIRE study)1)に基づき、2008年に本邦で承認された。以後、様々な脳保護デバイス

(Embolic Protection Device:EPD)が承認され、CASの件数は増加傾向にある。

一方で、CREST2)では、CASのCEAに対する非劣性が証明されたが、EVA-3S3)やSPACE4)、ICSS5)では、CEAのCASに対する優位性が

証明されており、CASにおける周術期塞栓症が問題となっている。特にlipid rich plaque、プラーク内出血などの不安定プラーク

を有する症例に関しては、周術期合併症を認めやすいといわれており6), 7)、これらのCASハイリスク症例での周術期塞栓症の

予防が重要である。よって、術前にプラーク診断を行い、その結果に基づきEPDやステントの選択を行う必要がある。

EPDの中でも、CASにおけるProximal Protection Deviceの有効性はさまざまな研究で証明されており、欧米では合併症率減少 の一助となっている8)

今回、2012年7月に本邦で薬事承認を取得し、2013年1月に本邦初のCAS用近位型バルーンプロテクションとして保険収載 されたMOMA ウルトラを使用し、有効であった症例を紹介する。

頸動脈ステント留置術における

MOMA ウルトラの有用性

1) Yadav JS, et al: Protected carotid-artery stenting versus endarterectomy in high-risk patients. N Engl J Med. 351: 1493-1501, 2004 2) Brott TG, et al. Stenting versus endarterectomy for treatment of carotid-artery stenosis. N Engl J Med. 363: 11–23, 2010

3) Mas JL, et al: Endarterectomy Versus Angioplasty in Patients with Symptomatic Severe Carotid Stenosis (EVA-3S) trial: results up to 4 years from a randomised, multicentre trial. Lancet Neurol. 7: 885– 892, 2008

4) Eckstein HH, et al: Results of the Stent-Protected Angioplasty versus Carotid Endarterectomy (SPACE) study to treat symptomatic stenoses at 2 years: a multinational, prospective, randomised trial. Lancet Neurol. 7: 893–902, 2008

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PROXIMAL CEREBRAL PROTECTION DEVICE

Mo.Ma Ultra

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図1 術前DWI 図2 頭部MRA

Case 1

不安定プラークを有するCEAハイリスク症例

CLINICAL PROFILE:79歳 男性

術前画像診断

■ 既往歴 高血圧症、二型糖尿病(インスリン投与中)、脂質異常症、間質性肺炎(在宅酸素療法導入中)、心臓弁膜症術後 ■ 現病歴 突然の右眼の見えにくさを主訴に近医眼科を受診、網膜動脈分枝閉塞症と診断され、精査目的で紹介となった。 ■ 現症状 右眼に一部視野欠損を認めるものの、その他神経学的異常所見は認めなかった。 ■ 頭部MRI 拡散強調画像では、明らかな異常は認めない(図1)が、MRAで右内頸動脈遠位の描出不良を認めた(図2)。頸部血管time of flight(TOF)-MRAでは、右内頸動脈の起始部に狭窄を認めた(図3)。 ■ 脳血管造影検査 右内頸動脈にNASCET 85%の狭窄を認めた。 ■ 頸部血管超音波検査

等輝度と低輝度が混在するプラークを認め、収縮期ピーク血流速度(peak systolic velocity:PSV)は、551 cm/sであった。

■ 診断結果 右内頸動脈狭窄症、網膜動脈分枝閉塞症 ■ 頸部血管MRAプラークイメージ T1WIBB法で高信号(図4)、TOF-MRAでも高信号(図5)の不安定プラークと考えられた。 ■ 病変情報 右内頸動脈狭窄症(NASCET 85%)、不安定プラーク、高位病変

■ Aortic arch type

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図3 頸部TOF-MRA 図4 T1強調画像BB法 図5 TOF-MRA

デバイス選択

■ シース 9Fr スーパーシース 25 cm[メディキット] ■ ガイドワイヤー ラジフォーカス 0.035” スタンダードタイプ[テルモ] ラジフォーカス 0.035” half stiff 300 cm[テルモ] Synchro2 0.014” 200 cm[日本ストライカー] ■ 造影カテーテル 4Fr BHW 100 cm[カテックス] ■ プロテクションデバイス MOMA ウルトラ 9Fr[日本メドトロニック] ■ PTAバルーンカテーテル Stering MR(3.0 mm×40 mm)[ボストン・サイエンティフィック・ジャパン] Stering MR(4.5 mm×20 mm)[ボストン・サイエンティフィック・ジャパン] ■ ステント Carotid Wallstent(10 mm×24 mm)[ボストン・サイエンティフィック・ジャパン]

頸動脈ステント留置術

局所麻酔下に右大腿動脈から9Fr ロングシースを挿入し、造影カテーテルを0.035”スタンダードガイドワイヤーで右外頸動 脈遠位に進めた。コントロールの撮影を行い(図6)、次にガイドワイヤーを300 cm half stiffワイヤーに置換し、造影カテー テルとMOMA ウルトラの入れ替えを行った。MOMA ウルトラの外頸動脈と総頸動脈のバルーンを拡張し、造影剤の停滞 を確認した(図7)。その後、Synchro2ガイドワイヤーでlesion crossし、PTAバルーンにて前拡張を行った。続いてCarotid Wallstentを狭窄部遠位から総頸動脈にかけて留置し、後拡張を行った。後拡張バルーンをdeflateするタイミングで血液 吸引を開始したところ、最初の40 mlにはデブリスを認めたが、以降は認めなかった。外頸動脈、総頸動脈の順にバルーンを deflateし、頸部確認造影(図8)および頭蓋内造影を行ったところ遠位塞栓は認めず、手技を終了した。術後の頭部MRI拡散

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図6 コントロール造影 図7 血流遮断確認 図8 術後確認造影 図9 術後DWI

DISCUSSION

COMMENTS

本症例は高位病変、かつ間質性肺炎のため全身麻酔が困難であり、CEAハイリスクと考えCASを施行することとした。術前の 画像診断から、不安定プラークの可能性が高いと判断し、栓子回収能力の高い脳保護デバイスであるMOMA ウルトラを選択 した。外頸動脈、総頸動脈のバルーンをinflateした後に造影剤のslow injectionを行ったところ、造影剤の停滞を認め、確実 な遮断を得られていることが確認できたため、MOMA ウルトラのみで治療を行った。吸引した血液にデブリスを認めたため、 20 mL×5本、計100 mLの血液吸引を行い、遠位塞栓は認めず、手術を終了した。 CASにおける最大の問題点は周術期塞栓症であり、その予防がCAS成功の最大の鍵であるとされている。

従来のフィルターデバイスとMOMA ウルトラのランダム化比較試験(PROFI study)9) において、MOMA ウルトラはフィルター

デバイスと比較して、有意にMRI上の脳梗塞を減らしたと報告されている。また、周術期脳梗塞が発生しやすいソフトプラーク 例に対しても、MOMA ウルトラはフィルターデバイスと比較して、Micro Embolic Signal(MES)を有意に減らしたと報告されて

おり10)、本症例のような不安定プラーク例においては最適な脳保護デバイスと考えられる。

9) Klaudija B. et al. The PROFI Study (Prevention of Cerebral Embolization by Proximal Balloon Occlusion Compared to Filter Protection During Carotid Artery Stenting) Journal of the

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図1 術前DWI 図2 頭部MRA 図3 頸部TOF-MRA

CLINICAL PROFILE:70歳 男性

術前画像診断

■ 既往歴 高血圧症、脂質異常症 ■ 現病歴 突然の右上肢のしびれ感を主訴に近医を受診、頭部MRIで頭頂葉に散在性の梗塞と左内頸動脈の狭窄を指摘され、紹介 となった。 ■ 現症状 右上肢の錯感覚あり。その他に明らかな神経学的異常所見なし。 ■ 頭部MRI 拡散強調画像では、左前頭葉に散在性の梗塞を認め(図1)、MRAでは、頭蓋内血管に明らかな狭窄や閉塞を認めなかったが (図2)、頸部血管MRAでは、右内頸動脈の起始部に狭窄を認めた(図3)。 ■ 脳血管造影検査 右内頸動脈にNASCET 75%の狭窄を認めた(図4)。 ■ 診断結果 左内頸動脈狭窄症(症候性)、アテローム血栓性脳梗塞 ■ 頸部血管MRAプラークイメージ T1WIBB法で等信号(図5)、TOF-MRAでも信号は高くなく(図6)、比較的安定なプラークと考えられた。 ■ 頸部血管超音波検査 プラークは高輝度を示していた。 ■ 病変情報 左内頸動脈狭窄症(NASCET:75%)

■ Aortic arch type

Type Ⅰ

Case 2

分枝からの血流によるDistal Emboliが

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図4 術前頸部造影 図5 T1WIBB法 図6 TOF-MRA

デバイス選択

頸動脈ステント留置術

■ シース 9Fr スーパーシース 25 cm[メディキット] ■ ガイドワイヤー ラジフォーカス 0.035” スタンダードタイプ[テルモ] Amplatz Extra stiff guidewire[Cook Japan] CHIKAI 0.014” 200 cm[朝日インテック] ■ 造影カテーテル 4Fr シモンズ 125 cm[テルモ] ■ プロテクションデバイス MOMA ウルトラ 9Fr[日本メドトロニック] ■ PTAバルーンカテーテル Aviator Plus(3.5 mm×30 mm)[ジョンソン・エンド・ジョンソン] Sterling MR(5.0 mm×20 mm)[ボストン・サイエンティフィック・ジャパン] ■ ステント Carotid Wallstent(10 mm×24 mm)[ボストン・サイエンティフィック・ジャパン] 右大腿動脈に9Frロングシースを留置し、4Fr BHWカテーテルと0.035”スタンダードガイドワイヤーの組み合わせで右外頸動脈 遠位にBHWカテーテルを誘導し、スタンダードガイドワイヤ―をAmplatz Extra stiff guidewireに置換した後、BHWカテーテル とMOMA ウルトラの入れ替えを行った。CHIKAIにてlesion crossを行い、MOMA ウルトラによるproximal protection下にPTA バルーンにて前拡張を施行した。本例では、内頸動脈分岐部付近より上甲状腺動脈、上行咽頭動脈の分岐を認めており(図 7)、Protectionが十分に行えない可能性があるため、前拡張バルーンのデフレーション(図8)と同時にMOMA ウルトラ本体 からシリンジで吸引を行った(図9)。続いてCarotid Wallstentを留置したが、一部狭窄が残存したため、後拡張を実施した。 この際にもバルーンのdeflationと同時に、MOMA ウルトラからの血液吸引を行った。一時、脈拍が40まで低下し、血圧も 一過性に60台まで低下したが、速やかに改善した。所定の血液吸引後、ECAとCCAバルーンを解除し、確認造影を行った(図 10)。頭蓋内造影を行って遠位塞栓がないことを確認し、手技を終了した。術後の頭部MRI拡散強調画像では、脳梗塞は認め なかった(図11)。

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図10 頸部確認造影 図11 術後DWI 図7 外頸動脈起始部 図8 前拡張 図9 バルーン収縮時同時血液吸引 バルーンデフレーション 血液吸引

COMMENTS

DISCUSSION

本症例では、外頸動脈分岐部付近で上甲状腺動脈と上行咽頭動脈が分岐しており、MOMA ウルトラによるproximal protectionが十分に行えない可能性が考えられた。 そこで、前・後拡張のバルーンデフレーションと同時に、MOMA ウルトラ本体より吸引を行いデブリスの回収を行った結果、 術後に遠位塞栓を認めず、無事に手技を終了することができた。

本症例のように分岐部の近くより分枝が認められる場合、MOMA ウルトラによるproximal protectionが十分に行えない可能性 もある。その際は、造影剤のtest injectionを行い、血流の停滞を確認し、造影剤が遠位に流れてしまう場合には、前・後拡張 のバルーンデフレーションと同時にMOMA ウルトラ本体よりシリンジでの吸引を行うと良い。大量のソフトプラークを有する 症例や、外頸動脈側枝からのフローにより完全なプロテクションが難しいことが予測され、合併症が心配される症例では、 distal protectionを追加することも有効である可能性がある。但し、distal protectionを追加する際には、MOMA ウルトラに よるプロテクション効果を最大限にするために、MOMA ウルトラによる血流遮断を途中で解除するなどの手技は避けるべき である。

結語

以上の2症例で示したように、MOMA ウルトラは現在承認・保険適用・販売されているCAS用プロテクションデバイスのうち 脳保護効果が高く、安全性・有効性共に非常に優れていると考えられた。

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効能・効果、禁忌、使用上の注意等の情報につきましては製品の添付文書をご参照ください。 販売名:MOMA ウルトラ 医療機器承認番号:22400BZX00267000 日本メドトロニック株式会社 コロナリー&ペリフェラルバスキュラー事業部 本     社 〒105-0021 東京都港区東新橋2-14-1 Tel. 03(6430)2014(代) 札 幌 支 店 〒060-0005 札幌市中央区北五条西2-5 JRタワーオフィスプラザさっぽろ 17階 Tel. 011(271)0681(代) 仙 台 支 店 〒980-0811 仙台市青葉区一番町3-1-1 仙台ファーストタワー 10階 Tel. 022(711)6657(代) 関 東 支 店 〒330-6017 さいたま市中央区新都心11-2 ランド・アクシス・タワー 17階 Tel. 048(600)0671(代) 東 東 京 支 店 〒105-0021 東京都港区東新橋2-14-1 Tel. 03(6430)7941(代) Medtronic, Inc. 3576 Unocal Place Santa Rosa, CA 95403 USA Tel: 707.525.0111

参照

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