定ひずみ速度圧密試験における計測データの吟味方法
清 水 正 喜 。今 村 乗 仁鳥 取 大 学 工 学 部 土 木 工 学 科
Method oF Selecting Datt in the Constant‐ 〕Rate‐ofHStrain Consolidation Test
Masayoshi SHIMIZU and JouJlIMAMURA
DcPartmCnt of Civil Enginee ng,Faculty of Enginccring,Tottori Univcrsity
Koyama,Tottori,680-8552 Japan
E―Maih mshimizu@cVotOttori‐ u.acjp
Abstractt ln hc constan卜 rate‐of‐strain consoldation tcsts,rclationships between constitutivc propcrtics can bc so scattered as
non‐rcalistic if thcy arc dctcrmincd using au thc data incasurcd with short time intewals.Data havc to bc sclcctcd in a reasonablc
way.A Incthod of sclccting data is presented by using actual data on the CRS consolidatioェ tcsts conductcd at various rates of compression.田隆followhgs wcre found:(1)血e scattcring is duc to erЮrs associated win data acquisition systcm,and(2)he dircrcnce bctwccn two data should be larger than somc mcaningful amount,whidl will dcpcnd on thc systcm and mcasuring conditions.
Key Words:I]Hor9 Mcasurcmcnt,Consoldation,Constant‐ ratc‐ of‐strain consottdation tcst,Constitutivc propcrtics
1.は
じめに 定ひずみ速度圧密試験 の利点の一つは,試 験の自 動化が容易な ことである。そのため,デ
ータの測定 間隔を非常に短 くとる ことも可能である.例
えば, HS[1]で推奨 された測定時間間隔よ り短 い間隔で 測定す ることも可能である.しか し,短
い時間間隔 で測定 した場合,測定 したデータをすべて用 いて結 果の整理 を行 うと,試
料 の圧縮・圧密に関す るパ ラ メータの関係が非常にば らつ くことがある。その原 因を考慮 して,デ ータを吟味することが重要である. 本論文では,測
定 した軸圧縮荷重データに着 目し, 測定デー タを吟味・選択するための方法 を提案 し, その方法によれば,試
料の圧縮・圧密に関す るパ ラ メー タ間の関係のば らつきを軽減できることを実 証する。2.試
料及び試験条件 本論文では3種
類の試料 に対 して,異 なった圧縮 速度(r)で
行 った定ひずみ速度圧密試験の結果を 用いて考察する。 用 いた試料 は次 の3種
類である(表1): 試料A:藤
の森粘土 とベ ン トナイ トを1:1.2の
質 量比で混合 し,最
大圧 密圧 力 49(kN/m2)ま で一次元 的 に予備圧 密 した もの. 試料B:藤
の森 粘土 とベ ン トナイ トを1:0.5の
質 量比で混合 し,39.2(kN/m2)ま で予備圧 密 した もの. 試料 C:425μ血 ふ る い通 過分 の東京湾 泥 を 39.2 (kN/m2)ま で予備圧密 した もの。 JISでは試料 の塑性指数 とpに
よ り圧縮速度 の 目 安 を定 めて いる。表1には各試料 の塑性 指数 Ipを 示 した.ど
の試料 もJISで
推奨 され た圧 縮速度 は r=0.01(%/min)で ぁる[1]. 表1
試料 (原試料お よび調整方法)と
塑性指数 試料名 原試料 Ip A 配合比 藤 :べ=1:1.2 65.0 B 配合比 藤 :べ=1:0。 5 C 東京湾泥 68.9諏
試 料 荷重計の特性 試験条件 R C 困K
N/10 6ひ ずみ 配 % r %/r n塩
国
Pnlax X O.5% N 測 定 間隔SCC △′ 1 A 4.9 1.63 0.05 0.005 4.4 22 0登 く10 ■■■ 10豆 く30 30登く60 60登 =60s 600 1800 3600 2 B 9.8 3.27 0,03 0.5 7.0 35囀
・硼
5すく25 25登 <35 35笠 △′=3s 15 30 60 3 C 9.8 3。27 0,03 0,01 4.9 25随
脳
清水正喜 。今村乗仁 :定 ひずみ速度圧密試験における計測データの吟味方法 表2
荷重計の特性 と試験条件ri圧縮速度,RCi荷 重計定格容量,K:lX10 6ひずみ 当た りの荷重,Pmax:測 定 された圧縮 力の最大値
NL:荷 重計の非線形性 供 試体 は予 め段 階載荷 によ って先行 圧 密圧 力 80kPaま で圧密し
,10kPaま
で除荷 している。 これ ら の 試 料 に対 して,r=0.005%/min(試料 A), 0。 5(B),0.01(C)で行 った試験の結果 を用 いて,考察 を進める。 各試験 にお いて用 いた荷重計の特性 と試験条件 を表2に示す。試験 No.1と No.2は試験 中にデー タ測定時間間隔を変えている.軸圧縮荷重はひずみ ゲー ジ式荷重変換器 とA/D変
換機能 を有 したデ ータロガーによ り計測 した。計測器出力は 10 6ひ ずみ単位の整数値である. JISで は,供
試体 に作用する軸圧縮力をその最大 値の±0.5%の許容差で測定できる荷重計を用 いる こ とと規定 している。軸圧縮力はデータロガーの出力 値 に一定 の較正係数(K)を掛 けて算定 した.Kは
単 位出力値(lX10 6ひ ずみ)当 りの荷重(N)であ り,同 一荷重 に対す る指示値の電気的変動はせ いぜ い 1 であ り,そ のような変動に起因する測定誤差は,JIS の条件 をみたす軸圧縮力の最大値の 0,5%以下 の測 定精度 を有する, また,Kは
全荷重範囲にわたって一定 としたが, 使用変換器 の非線形性 は,変 換器の最大容量に対 し てNo。 1試験で0.05%, No.2, 3試
験で 0.03%で あ り,ど
の荷重計も,非
線形性に伴 う最大誤差 は上 記の条件よ り小さい。3.デ
ータ整理の方法 データ整理はHSの
方法 に準拠 した。同方法では, Ъ=洗
① △∬:△チ間における供試体高さの減少量 蜘 :△チ間の供試林平均高さ △p:△′間に生じた軸圧縮応力の変化量(=K×△VИ ; 】は供試体断面積) △R=R(チ+△チ)―R(チ) 式(1)を用いて,試 験時に測定 したデータ(以下初 期データと呼ぶ)を取捨選択す る必要性 を述べる。 測 定 し た 打 個 の 軸 圧 縮 荷 重 デ ー タ を R(′1)(i=1,2,..,Dと する。ここで,R(ri)は データ ロガー指示値で整数である。まず始めに
,同
じ値の 軸 圧 縮 荷 重 デ ー タ が 連 続 す る と き,例 え ば P(ri)=R(′i+1)=..=R(rilk)で あれ ばk個
のデー タ R(チiキ1),,P(ri+k)を 除かなけれ ばな らない。 これ は式(1)に示すように,時
間△r間 に生 じた軸圧縮応 力の変化量△p(=K×△〃】)で除するためである。 また,△r間の出力値の差△浄 R(′十△サ)一寅(サ)が負 になるような軸圧縮データR(片△サ)も除 く必要があ る。これ も式(1)か らわかるように,Δpの値が負で あると体積圧縮係数 ムの値 も負 になるためである。 定ひずみ速度圧密試験な どの単調載荷試験では,体 積圧縮係数が負 にな る ことは物理的 に考 え られな い. よって一般に定ひずみ速度圧密試験の結果の整 理に使用する測定データは, P(1+1)―R(j)と1 (j≧1)鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 31巻 0 (a)No.1 0 図
1:
50 tttc)
朽
0 200
荷重測定値(初期データ)と時間の関係 の条件を満たす必要がある。以下式(2)の条件 を満 たすようなデータを 1次 データと呼ぶ. 図 1に,試
験No.3の
結果 を例 として,初
期デー タR(r)と測定時間 rの関係を示す。 この図よ り先 に述べた△推0に
なるようなデータが多数あることがわ かる。このようなデータは,試験条件や試料 によつて多 少異なるが,一 般に測定時間間隔を短くとるほど多くな る。図1の例では,式
(2)の条件を満たすような1次 データを黒丸(o)で
示 した, 図 2(a),(b),(c)に 1次データを時間に対 して示 す (図中1次
データは△恥 =1と して示 している。 その他 のデータについては後述する)。 また,同
図 には測定間隔△rの変化 も示 している. 図 3(a),(b),(c)は 1次データを用いて計算され た体積圧縮係数 島と圧密係数cvをそれぞれ供試体 高さ方向の平均有効応力σ'(=p-2ub/3こ こに,ubは
底面間隙水圧)に対 してプロットしたものである。 図を見易 くするため結果の一部分のみを示 してい る。図よ りmvと cvは σ'に対 して振動的に変化 して いることがわかる。このような振動的挙動は定ひず み速度圧密試験のような単調載荷条件では,上の性 質 として本来あ り得ないものと考えられる。 振動的挙動の主な原因として(1)A/D変
換 の精 度や,(2)測
定系の電気的不安定を挙げることがで きる。原 因の(1)は,基
本的には変換のビッ ト数が 有限である限 り解消できないが,ビ ッ ト数の多い計 測器 を使用することによって改善できる。(2)につ いては,通
常,計
測器指示値の最下位桁が±1程度 は変動す るので この影響 を避けることは困難であ る。実際,本
研究で使用 した計測器において も指示 値の最小桁が±1程度変動する ことは避け られな かつた。このような計測 システムに起因する問題点 を回避す るためにはデータをさ らに吟味する必要 がある。尚,こ
れ らの原因は,当
然初期データにも 0 匡 型 投 票 6。 40 20 00 80 60 40 20 0 企 Y 迎 般 瞑 50 00 5。 00 50 。 令 逹 鰹 霰 戻 30 25 20 15 ︲0 5 0 0 匡 迎 投 票 0 (b)No.2 t(sec) 200 t鰹 め △■3s _ . _`‐ ^‐. D . 門a `_ :r. 皇
f。lJイ;豊〒
狩r/
0 10000 20000 301J00 40000 50000 60000 70000 t(sec) (c)No.3 図2:1次
お よび2次
デー タ と時間の関係 影 響 して いて,そ
の結果 と して,△推oとなるデータ が多く計測されたと考えられる。4.デ
ータの吟味方法4.1
有意な変動量 計測誤差の影響をできるだけ小さくするためには, 林積圧縮係数などの計算に用いる△Pを
大きくとる ことによって,そ こに含まれた計測誤差の割合を小 さくすることが有効である.こ れは次のように説明 できる[2].時間riと 子jに測定された2つのデータ をR(ri),P(′ j)とすると, 沢t,)=RO,)土δR 沢tデ)=沢tブ)圭訳 ZIRE=10 :・:°・●
日
・ギ呈
i;ニ i三二:.L・日七名:□B;J二_二^二:。ととこここξ::::ご548 清水正喜・今村乗仁 :定 ひずみ速度圧密試験 における計測データの吟味方法 (a)No,1 30E07 (b)No,2 (c)No.3 図
3:1次
データを用 いて計算 した結果 ここに δRは
,任
意のデータに含 まれる誤差の大き さであ り,R は
真値である。 δRと
して,測
定値の 大 きさに依 らず一定であるような,十分おおきな値 を採用す ると2つの測定値の差 銀 に含 まれる最 大誤差は25Rで評価できる,即
ち,AR=Roデ)―尺色)〓Roデ)―R6)圭
2aR (4)
式(4)において,任
意の2つのデータの差(△Rlに含 まれる誤差(25R)は, 2つの測定値の時間差や値の 差 に依存 していないので△Rが大きいほど,△ 買に及 ぼす誤差(26R)の影響は小さくなる。 ここで は計測誤差 の影響 を無視できるよ うな連 続データの差 (変動量)を
有意な変動量 と呼ぶ こと にする。ただ し,有
意な変動量を予め推定できない ので試行的に定めなければな らない.有 意な変動量 を△亀 と書 くと計算に使用するデータは △翼(j)=買(1+1)一R(1)≧△!監 (j≧1) (5)
の条件 を満足すべきである。この条件を満足す るデ ータを2次
データ と呼ぶ.先 に述べた1次データは △RE=1の 場合 に相当している。2次
データとして,No.1と
No.2については △RB=2,3,4,5,8ま
たは 10の 6つ のケース,No。 3についは△恥=2,4,6,8,10ま たは 15の 6つのケー スを考えて試験結果を整理 した,試
験No,3は
No. 1とNo.2と
違 う2次
データを使用 しているが, こ れはNo.3の
測定時間間隔が短いため△馳 の差が 1(例えば△恥=2と 3,△恥=4と 5)では計纂結果 に大 きな違いがでなかったためで特別な意味はない。 2次データを先の図2に示 した。ここで図を見や す くす るため, 2次
デ▼夕は一定量 (=20)だ け縦 方向に順 にシフ トさせた。当然なが ら,2次
デー タ の個数は△馳 が大きいほど減少する。△恥 による個 数への影響は,△ サが小さい試験(または区間)ほど 顕著である.な
お,こ
れ らの図で見る限 り,軸
荷重 は,△恥 の大きさに関わ らず,時
間的に滑 らか に変 化 している。 図4お
よび図5に,1次
データと6種類の2次デ ータか ら求めた,体積圧縮係数および圧密係数 と平 均有効応 力の関係 をそれぞれ示す。ここで も,図
を 見易 くす るために,2次
データか ら計算 した体積圧 縮係数,圧
密係数 には一定量(=5倍 )だけ順 に乗 じ て縦方向にシフ トした。また,同
図(C)には後述す る方法で選択 したデータ (JISデータ)による結果 も 示 している。 図4お
よび5から,振
動現象は△恥 の値が大 き く なるにつれて消 えて い く様子が見 られ る。 ここで,試
験No,1は
試験No.2およびNo.3と
異なった荷重 計 を使用 して いるので(表
2参
照),図 4および 図5にお いて,(a)の結果 を(b)また は(c) の結果 と比較す る ことに意味はない。 図4お
よび 図5のそれぞれ にお いて,(b)と (c) を比較す る と,△馳 が 同 じで あつて も振動 の程度 が ︵∽ \ N E ︶ > o向 ︵め
\︼ヒ
︶>。
]
︵ Z ︼ \ N E ︶ > E σ!(kN/m2)鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 31巻 刀 ■ 酬 酌 10E-01 10E-02 10E-03 翁 ■OE-04 \ E■ OE-05 0 iOE刊6 10E-07 _10E+00 Z
建■
OE 01 E10E刊2 10E-03 (a)No。 1 10E± 01 10E■00 210E―餌 推 ■OE 02 E10E03 8 5 4 3 2 1 10E-08 10E-09 8 5 4 3 2 o3輯
将
セ鴇
壷
L
耐
だ 醐 4 5 ∞ 刊 ・0 ■ OE OE 1011E■02 σ'(kN/m2)σ
「翠尉‰
2) (a)No.1 ,OE+01 10E■00 10E-01 命10E-02 \ 留 E10E-03 30E-04 10E-05 10E101 1 0EItl! 1 0El・ t11σ
Fttmぅσ
,lMmぅ 10E-06 10E-07 100E+03蜘
山
]
︵︲ ≡ \ 沼 ︶ ビ ︲ (b)No.2 10E+02 10E+01 10 8 6 4 2σ
t程脇 ぅ
(c)No.3 図4:2次
データか ら計算 した結果(21vとごの関係) 異なっているように見える.これは,2次
データの 個数が試験 によって異なっている(測定時間間隔が 異なっている)か
らである(表2参照).勿
論,圧
縮 速度,ま たは試料 によって挙動は異なるものではあ り,そ
のような本質的な問題 も含むが,主
として計 測時間間隔の違いを反映 したものであると考えら れ る 。 σ'lkN/mうI OE■
∞ (c)No。 3 図5:2次
デー タか ら計算 した結果(cvとσ'の関係) 同 じ試験 に対す る図4と図5の結果 を比較す る と,有
意な変動量△馳 が同じであれば,図
に示され た関係の滑 らかさがほぼ同 じであることがわかる。 よつて,あ る試験 に対する有意な変動量の大きさは, 体積圧縮係数か圧密係数のどちらか一方で決定 し て も良いと言える。 (b)No。 2 10E+00 10E-02 く10E刊3 E 10E-05 10E06 10E07清水正喜 。今村乗仁 :定 ひずみ速度圧密試験 における計測データの吟味方法 △■60s I I ヽ′/// ア / これ らの図か ら