ALTに
よる英語教育に対する学習者の取り組みと評価・
一一―鳥取県東部の中学・高校生を対象とした調査よリーーー
英語科教育研究室 教育心理学研究室
A Study on Attitudes of」 apanese Learners of
English toward ALT's
――Analysis of Data Obtained fron 3799 High School Studentsin Eastern Tottori Area一
Kazumi ADACHI, Yuichi TODA
Ii
目
的1987年 に文部省 を中心 と して,」
apan Exchange Programme(JET)が
開始 され,全
国の中学 校, 高等学校 の英 語教育 の現場 にAssistant Language Teacher(ALT)が 配属 され るようにな った。 こ の 」ETプ
ロ グラムは年 々拡 張 してい き,1995年
度 には全 国で4,230人のALTが
英語 の授業 を担 当してい る。 ここ鳥取県 には
,現
在約60名 のALTが
配 置 され てい る。わが国の英語教育に英語母国語話者が参加す ることにより, これ まで教科書 (書記言語
)が
主体 であ った英語の教授 。学習に新 しい側面が付け加え られ ることになった。同時に, 日本人英語教 師 とALTが
共 同で行 う授業(Team―Teaching)のための教材不足,有
効 な教授法の未確立,現
行 の 教科書 との関連性の不足 など, これまでには無か った問題が新たに浮上 してきている。 また,教
室 で実際に授業 を受ける生徒たちが,ALTの
参加 を どのように評価,認
識 しているのか,い
まだ不 明の点が多い。加えて,わ
が国の外国語教育 に対す るALTか
らの指摘 にも,傾
聴 に値す るものが 少なくない。 本論では,」ETプ
ログラムが招来 した以上のような問題領域の中か ら,学
習者 に関係す る問題 を取 り上げて検討 している。特 に,ALTの
授業参加が,青
年期にある学習者の授業態度 (集中度, 積極性,理
解度 など)や
情意領域 (動機付け,興
味,関
心,親
近感 など)に
どのような影響,効
果 を与えているのかを調査す ることによ り,今
後の中学校・ 高等学校での 」ETプ
ログラムの更 に効 果的な利用法 を考える際の基礎的なデータを提供す ることを主 なね らいと している。美
一
和
有
一
立
田
足
戸
178
足立和美・戸田有一:ALTによる英語教育に対する学習者の取 り組みと評価・ 認識 Ⅱ.方
法 調査時期:1995年の1月か ら2月。 調査対象 :鳥取県東部地区の中学校11校
,高
等学校6校
の生徒,3,799名
。質問紙を配布 した中学 校は12校,高
等学校は6校
であった。学校によって,調
査 した学年は異なっており,各
学校ですべての学年を調査 したわけではない。 中学 1年 生は806人(21.3%),中
学校2年
生は869人(22.9%),中
学校3年
生は556 人(14,7%),高
校1年
生は1,026人(27.1%),高
校2年
生は301人(7.9%),高
校3年
生は233人(6.1%),不
明は8人
であった。 性別では,男
子生徒1,987名(52.4%),女
子生徒1,805名(47.6%),不
明 7名 。 調査対象における学年別・性別の人数は,表
2-1の
ようになった。 表2-1
調査対象の学年別・性別人数 (無効標本数11)(単
位 :人(%)) 男 子 生 徒女 子 生 徒
合
計 中
1 411(51.0) 395(49.0)
中2 453(52.2) 415(47.8)
中3 262(47.2) 298(52.8)
高 1 555(54,1) 471(45,9) 1,026 高 2 186(62.0) 114(38.0) 高 3 118(50.6) 115(49,4)モ
予
言
+ 1,985(52,4) 1,803(47.6) 3,788 学年 によって男女比が異 なり,学
年差のみの分析や性差のみの分析はできない。 調査方法:ALTに
関す る25項 目か らなる調査書を作成 し,予
め了解が得 られ ていた学校 に送付 し た。調査書は, 1項
か ら5項
までが被調査者のプロフ ィールなどに関す るもの (学年 。 性別・ 英語に関す る質問)で
, 6項
か ら25項 までがALTに
直接関係のある質問内容 と なっている。学習者は各学校で担任の教師等の指示により,下
記の五つの選択肢か ら選 んで回答 した。<ALTに
直接関係 のある質問>
6.ALTが
授業 に参加す ると,い
つもより英語の勉強をや る気になる。7.ALTが
授業 をうけて,英
語に自信ができた。8.ALTの
授業がもっとふえた らよいと思う。9.ALTの
授業 をうけて,今
まで以上に外 国について知 りた くなった。10,ALTの
授業では,な
るべ く英語を話す ように している。11.ALTの
授業では,本
物の英語に接す ることができるか ら好きである。12.ALTの
授業は,ふ
だんの授業 より楽である。13.ALTの
授業を受けて今 まで以上に英語が勉強 した くなった。14.ALTが
話す ときは,な
るべ く気持ちを集中 して聞 くように している。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号 (1997) 179
1 15。
ALTの
授業 を受けて,教
科書に出ている以外の英語の表現をおぼえた。1 16.ALTの
授業は,テ
ス トのとき役に立っ。17.ALTが
少 しでも日本語を使 うと,勉
強がわか りやす くなる。1 18.ALTが
参加す る授業 の前は,質
問 してみたいことをメモなどして準備 している。1 19.ALTが
参加 した授業 の後では,授
業でな らったことをよ く復習 している。1 20.ALTが
日本語について質問すれば,教
えてあげたい。1 21.ALTの
授業をうけて,教
科書がよ くわか るようになった。1 22.ALTの
授業では,普
段の教科書は使わ ない方がよいと思う。23.ALTが
参加す る授業では,応、だんの授業 よりきんち ょうす る。24.ALTが
英語で言 っていることは,だ
いたい理解できる。25.ALTと
いっしょにスポーッなども してみたい。<回
答の際の選択肢>
1.強
く同意す る2.同
意す る3.ど
ちらでもない4.同
意 しない5.ま
った く同意 しない (なお,今
回の調査研究で使用 された実際の調査書はPικι″がθ″熔 げ ナル カr
きても憩毬陶紹(Adachi,Macarthur,Shen,1996)に
収録 されている)Ⅲ
.結
果 と考察
1 1)英
語に関 して1
英語に関す る質問は,下
記の2つ
であ り,そ
れぞれについて分析 を行 った。 また,こ
の2つ
の 十項 目の間の相関係数は
,0.37で
あ った。a)英
語は,あ
なたにとってとくいな科 目ですか!
各選択肢への回答を表3-1-1に
示 した。また,性
別・学年別 の平均値は図3-1-la,
│
に示 した。 学年 と性別の交互作用 は見 られ なか ったが,若
千の学年差が見 られ るとともに,「とくいで│
よ隻峯と を4呂
憲電8冨
F淫
壱豊軍邑と:尋
蔵P憲
身こな票キを暮尾 f`こを警ぃ難 い科 目のよう である。学年差を見た場合に,中
3と 高3において特に「 得意」ではない方に傾いているのは,1
受験科 目と しての英語が意識 され るためかも しれ ない。 表3-1-1
英語 に関する項 目への回答単位 :人
(%)
1.強 く同意す る2.同
意す る3.ど
ちらでもない4.同
意 しない 5.ま ったく同意しない 夢こ言旨窄予えま? 241(6.4) 695(18.4) 758(20.1) 954(25.3) 1,122(29.8) 夢こ言二4とことつ? 1,o65(28.2) 989(26 2) 894(23.7) 523(13.9) 302(8.0)足立和美・ 戸 田有一:ALTによる英語教育 に対す る学習者 の取 り組み と評価・ 認識
b)英
語は,あ
なたの将来にとって役 に立つ と思いますか 各選択肢への回答を表3-1-1に
示 した。 また,性
別・ 学年別の平均値 は図3-1-lb
に示 した。 中学生か ら高 1ま では,男
女ともに似た回答傾 向にあるが,高
2と 高3で
は性差が顕著にな る。 この高2か
らの性差は,何
によるのであろうか。高2の
頃か らの違いということで考え ら れ るのは,大
学受験を意識す ることやそれ に伴 う文糸 。理系への振 り分けである。大学受験を 意識 した英語に限定 して取 り組めば取 り組むほ ど,そ
れが将来「役 に立つ」か どうか疑間に思 われ る可能性 もある。 また,文
糸・ 理糸志望 における男女の偏 り (文系志望 に女子が多 く,理
系志望に男子が多い)が
,英
語学習時間数の偏 り,得
意―不得意意識,入
学試験での得点の予 測 などに基づいて, 自分の学んでいる英語が入試 においても現実の場面 においても「役に立つJ か どうか疑 うようになるのかも しれ ない。 〈英語は,あ
なたにとってとくいな科 目 ですか〉 図3-3-la
間4へ
の回答の性別・学年別平均値 〈英語は,あ
なたの将来にとって役に立 つと思いますか〉 図3-3-lb
問5への回答の性別 ・学年別平均値 注 :縦軸 の1は「 強 く同意す る」, 2は
「 同意す るJ, 3は
「 どち らで も ない」, 4は
「 同 意 しないJ, 5は
「 ま った く同意 しないJを 示す。以下 の図につ いて も同様。2)ALTに
関 して (単純集計) 個 々の項 目の各選択肢への回答数 と率を,表
3-2-1に
示 した。 問18は特に一つの選択肢 に回答が集中 していた。また,間
22,間 23,間
25は,そ
れぞれの選 択肢への回答にピークが2つ
あ った。それ以外は,比
較的偏 りもな く,
ピー クも一つ と考えてよ さそ うであ った。 また,問
18と問19以外 は,回
答の平均値が2の
「 同意す る」か ら4の
「 同意 しないJの
間にあ った。 平均値が高い (「同意 しない」側 の)5項
目は従来の形での学習 と関わ ってお り, これ らの項 目に「 同意 しない」傾 向は,む
しろ,ALTに
よる英語教育が従来の学習形態の延長線上にある ものではないものとして受け入れ られていることの証左ではないだろうか。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 38巻 第
2号
(1997) 表3-2-l ALTに
関す る項 目へ の回答 181 単 位 :人(%)
平均値 1.強く同意する 2.同意する 3.ど ちらでもない4.同意 しない 5まったく同意しなtヽ 問17 わか りやす い 聞12
楽 間14 集中 間22
テキス ト不使用 問20
日本語質問 問6
や る気 間8
授業回数 聞■ 本物好 き 間25
課外活動 問15 英語表現 問23
緊張 問9
外 国興味 問10 積極的 問24
理解 間13 意欲 問7
自信 問16 テス ト 問21 教科書 問19 復習 問18
メモ 1,205(32.0) 1,168(31 0) 726(19 2) 1062(282) 837(22 2) 606(160) 844(22.3) 592(15,7) 783(20 7) 552(14.6) 583(15 5) 390(10 3) 250(6 6) 271(7 2) 153(4.1) 96(2 5) 120(3 2) 87(2.3) 41(11) 26(0,7) 1,262(33.5) 1,155(30 6) 1,290(34,1) 605(16 1) 986(24,9) 1,082(28.6) 807(21.3) 923(24 5) 644(17.1) 926(24.5) 816(21 7) 732(19 4) 703(18 7) 807(21 4) 445(11,8) 361(9 6) 420(11 1) 308(8 2) 148(3.9) 62(1,6) 812(21.5) 880(23,3) 1,070(283) 1,413(37.5) 1,276(33.9) 1,389(36,7) 1,254(33.2) 1,306(34.6) 1,275(33.8) 986(26.1) 1,060(23.2) 1,383(36.6) 1,210(32 1) 954(%.3) 1,726(45.8) 1,709(45,2) 1,467(38,9) 1,694(45 0) 698(18.5) 298(7 9) 265(70) 342(9,1) 434(11.5) 329(8.7) 404(10 7) 462(12.2) 444(11,7) 561(14,9) 427(11.3) 665(17.6) 488(13.0) 685(18,2) 931(24.7) 982(26 1) 771(20.5) 987(26.1) 988(26.2) 919(24.4) 1,106(29,3) 458(12.2) 226(6 0) 227(6 0) 258(6.8) 358(9.5) 312(8.3) 250(6 6) 432(11.4) 389(10 3) 646(17.1) 645(17.1) 807(21.5) 584(15,5) 675(17.9) 751(19,9) 675(17.9) 625(16.5) 779(20 6) 758(20.1) 1,782(47.2) 2,924(77 6) 2.22 2.29 2.53 2 55 2.58 2.65 2.69 2.80 2 87 2 98 3 03 3 09 3.29 3 30 3 36 3 45 3.50 3.52 4.18 4.64 注:項目は回答の平均値が「同意するJ側に近い順に並べ替えた。3)ALTに
関 して (分散分析)ALTに
関す る項 目についての更なる分析 と して,性
別 と学年 を要因と した二元配置分散 分析 を行 い,そ
の結果 に基づいて項 目をグルー ピング した。因子分析の直交解では,全
体の相関が高 いこれ らの項 目の分類は困難であろうと考え られ,ま
た斜交解でも,解
釈が難 しいのではないか と思われたためであ る。 また,一
つの選択肢 に8割
近 くの回答が集 まった間18に関 しては,分
散分析を行 うことが不適当であると判断 し,分
析対象か ら除外 した。 分散分析の結果 により,項
目を表3-3-1の
ように分類 し,そ
のグループごとに結果 の記述 と考察を行 う。また,必
要に応 じてそのグループの中を更に細分化 して,考
察を進めることにす る。 表3-3-1
分散分析 の結果 による項 目の分類 グルー プ 学年 の主効果 性別 の主効果交互作用 該 当 した項 目の番 号 圭思 華思 立思 立思 一 一 一 一 有 有 有 有 立 思 華 思 立 思 孝 思 一 一 一 一 有 有 有 有 A B C D E F G H 有 意 有 意 有 意 有 意 問17 問11 問7, 22 晟]19,23,21,10,14,15,16,20 (今回は無 し) 間 9,13,24 問
6,8,12
問25足立和美・戸 田有一:ALTによる英語教育に対する学習者の取 り組みと評価・認識
A)有
意差 な しの項 目 性別 と学年 の各 々の主効果 も交互作用 も有意ではない項 目は,問
17のみであ った (図3-3-1)。
問17<ALTが
少 しで も 日本語を使 うと,勉
強がわか りやす くなる>に
ついて,全
体的に回 答の平均値が低 いのは,中
学生や高校生 の英語力ではALTの
英語だけによる授業が負担 にな ること,英
語を 日本語訳や 日本語の教示 を通 じて学習す る方法 に慣れ てきていること,な
どに よると考 え られ る。 また このことは,
自分の母国語ではない言語で コミュニケーシ ョンをはか らなければならない状況か ら生 じるdeb tat e an etyが, ALTの
日本語使用で和 らげ られ るためで もあろう。 くALTが
少 しで も 日本語 を使 うと,勉
強がわか りやす くなる〉(ALTの
授業では,本
物の英語に接す ることができるか ら好きである〉 図3-3-1
間17へ の回答 の性別 ・学年別平均値B)性
別 の主効果 のみが有意 な項 目 性別の主効果だけが有意な項 目は,問
11のみであ った (図3-3-2)。
問11<ALTの
授業では,本
物の英語に接す ることができるか ら好 きである>に
ついて,女
子では各学年 とも男子より肯定す る回答が多いが,こ
れは女子の方が リスエング活動 を合めた 音声言語 に興味が高いことを反映 しているのか も しれ ない。 さ らに,有
意 な差ではないが,他
の学年の回答に比べ,高
1では肯定的な回答に傾 いている。 これ も,女
子の場合は,高
等学校 という「 新 しい」環境で英語学習を再開す ることで, ALTの
発話を理解す るという リスニ ン グ活動 にも新たな興味を覚えていることを示すのかも しれ ない。何が「 新 しいJの
かは,今
後 更に検討 され る必要があ り,高
校女子のこの反応 は今後の一つの研究課題である。C)学
年の主効果のみが有意 な項 目 学年の主効果のみが有意な項 目は,問
7と 問22で あ った (図3-3-3aと
b)。 問7<ALTの
授業 をうけて,英
語に自信ができた>に
ついては,低
学年の方が「 同意す る」 方に傾 き,間
22<ALTの
授業では,普
段 の教科書は使わ ない方がよいと思う>に
ついては, 高学年の方が「 同意す る」方に傾いている。 問7の
結果か らす ると,中
学生 よ り高等生の方が, ALTの
英語の授業 に参加 しても自信 に さほ ど結びついていないようである。 これ は授業 内容が高度化すればす るほ ど, ALTが
生徒 の 自信 につなが るような役 目を果た しづ らくなっていることを示 しているのかも しれ ない。特 図3-3-2
問11へ の回答 の性別 ・学年別平均値鳥取大学教育学部研究報告 荻育科学 第38巻 第
2号 (1997) 183
に高等学校では,英
語授業全体 に占め るALTの
授業が少 な く (通常,週
1回),
日本語を介 した授業方法 。内容 と英語だけを使 った授業とが結び付かないか らであると考え られ る。また, 日本語を介在 させ ない音声中心の授業は学習者にその内容が定着 しに くいことが多 く,限
られ た接触時間だけでは生徒 に自信を付けさせ る程の効果が与え られ ないのであろう。 問22については,受
験のための学習と しての位置づけなどにおいて, ALTの
授業 と教科書 との乖離がだんだんと大 き くなることを,生
徒たちが感 じているのであろう。 このことを教師 の観点か ら言い直す と,
リーデ ィング・ 訳・ 和文英訳などの書記言語中心の活動 と,
リスニ ン グ・ ス ピーキ ングなどの音声言語中心の活動 とを,現
行では特 に学年の高い方において,統
合 するのに困難をきた しているということも意味 しているのではないだろうか。 このことは同時 に,今
後の英語教育の改善点の所在 を示 しているといえよう。 〈ALTの
授業 を うけ て,英
語 に 自信 が できた〉 5 図3-3-3a
間7への回答 の性別 ・学年別平均値D)性
別 と学年 の主効 果 が有意 な項 目 〈ALTが
参 加 した 授 業 の後 で は,授
業 で な らった ことを よ く復 習 してい る〉 〈ALTの
授業 で は,普
段 の教科 書 は使 わ ない方が よいと思う〉囲
□
図3-3-4a
間19へ の回答 の性別 ・学年別平均値 図3-3-3b
問22へ の回答 の性別 ・学年別平均値〈
ALTが
参加する授業では
,応、
だんの
授業よりきんちょうする〉
図3-3-4b
問23へ の回答 の性別 ・学年別平均値 ‐ T T i□ 5囲
萬足立和美・戸田有一:ALTによる英語教育に対する学習者の取 り組みと評価・認識 く
ALTの
授業 をうけて,教
科書がよ く わかるようになった〉 図3-3-4c
問21へ の回答 の性別 ・学年別平均値 交互作用はないのだが,性
別 と学年の両者の主効果が有意である項 目は多数あ った。そこで, 更にい くつかのグループに分けて考えていきたい。性差に関 しては女子生徒が常に「 同意す る」 側 になっているので,学
年差のパ ター ンによって分類す る。 まず,低
学年 において,よ
り「 同意す るJと
いう回答が多か ったのは,間
19,問 23,問
21 である (図3-3-4a, b, c)。
問19<ALTが
参加 した授業の後では,授
業でならったことをよ く復習 している>に
ついて は,回
答の平均値は全体的に4か
4以
上の範囲で,「よ く復習 している」人は少ない。 この否 定的 な傾 向は,多
重 比較 の結果,中
1∼
中3と比べ高1∼
高3で
有意 に高 くな ってい る。ALTの
授業は,中
学校 。高等学校 のいずれ においても,教
科書の内容か ら離れが ちであ った り,あ
るいは教科書の内容を補 うことに主眼が置かれる傾向が強い。 このために,生
徒の復習内 容は教科書や教科書に準拠 した問題集 などが中心 となり,ALTの
授業 まで復習す ることは少な いと思われ る。 さ らに,高
等学校で この傾向が強 くなるのは,一
層高度 になる高校英語では教 科書そのものの理解に苦労す る学習者が増えることなどによるのであろう。高校では,中
学校時よ りもALTと
教科書との関連性が低 くなりがちなことも,こ
の傾向に影響 しているかも しれない。 問23<ALTが
参加す る授業では,応、だんの授業 よりきんち ょうす る>に
つ いては,中
1∼ 中 3と 高1・ 高2の
間に多重比較 におけ る有意差が見 られ ている。緊張 しないのが, ALTに
親 しめて リラ ックスできている結果であればよいのだが,後
に示す間14の結果 にあるように, 高校ではALTの
授業 に気持 ちを集中 して聞 く割合が減 ってきていることか らす ると,緊
張す るような気持 ちで授業 に臨んでいないことの結果であると考え られ る。女子において,緊
張す る度合いが男子より高 くなっているのは,英
語の授業で観察され るfacilitate an
etyと関 係 していると考え られ る。 問21<ALTの
授業 をうけて,教
科書が よ くわかるようになった>に
ついては,中
1・ 中2 と中3∼
高 3と の間に,多
重比較 における有意差が見 られ る。 これ は,ALTの
授業の教科書 理解への有効度 は教科書が難 しくなると相 当低減す るか らとも言え るであろう し, またALT
の授業内容 と教科書の内容の関連性が,高
学年においてはかなり乏 しくなっているか らである とも言えよう。 次に,高
2が
他 の学年 と比べて「 あては ま らない」 という回答 に傾 いているのが,間
10と 問14である (図3-3-4d, e)。
鳥取大学教育学部研究報告
(ALTの
授 業 で は,な
るべ く英 語 を話 す よ うに してい る〉 図3-3-4d
問10へ の回答 の性別・学年別平均値 教育科学 第38巻 第2号
(1997) 〈ALTが
話す ときは,
なるべ く気持 ち を集中 して聞くように している〉 図3-3-4e
問14への回答の性別 ・学年別平均値 問10<ALTの
授業では,な
るべ く英語 を話す ように している>も
,問
14<ALTが
話す と きは,な
るべ く気持 ちを集中 して聞 くように している>も
,中
1∼高1に比べ て,高
2で
「 あ てはまらないJ方
向に傾 いている。 間10については,英
語の音声面 の学習の内でも特 に発話行為 は, ALTや
クラス メー トに聞 かれ るがゆえに他者を意識せざるを得ない行為であることに由来 していると考え られ る。エラー を多 く合む ことが予見され,文
生成 もスムースにはいか ないと思われ る学習活動は,男
子 には 特 に苦手 と映 っているようである。 問14については,中
間学年での中だ るみ と同時 に,英
語 に対す る興味の減少,関
心 を持つ 分野の拡散 などの要因のために, ALTの
発話 にも注意を払わ な くなるため と考え られ る。た だ し,男
子生徒 同様に高2で
の中だ るみがあるのだが,女
子生徒 は どの学年で もALTの
授業 に対す る集中度が比較的高い。英語は一般的に教師に対す る依存度が他教科 よ り高い教科であ ると言われているが,こ
の結果はそのことともなん らかの関連があるのだろうか。 また,男
子 よ り女子の方が語学 に対す る適応性 を備 えているという観察 も,実
は女子 と男子 との授業での 集中度の違いによる可能性がある。 ただ し,こ
の2項
目に関 しては,「話す ように しているJ「聞 くように している」 という表現 上の類似がある。そのような自己の態度の認知や,無
記名の質問紙上 とはいえ,そ
の認知 の社 会的文脈での表 出に対す る抵抗感 (積極的な態度で学習 しようと しているということ自体 を, 恥ずか しいことと考える,な
ど)な
どが,回
答の学年差 となって現れているのか も しれ ない。3番
目に,中
高それぞれ にお いて, 1年
生 と3年
生 との間に学年差が見 られたのが,問
15 と問16であ った (図3-3-4f, g)。
問15<ALTの
授業 を受けて,教
科 書 に出ている以 外 の英語 の表現 をおぼえた>は
,中
1・ 中2と 中3・ 高2と の間 に有意差 が あ り,問
16<
ALTの
授業 は,テ
ス トのとき役 に立つ>は
,中
1・ 中2。 高 1と 中3・ 高2・ 高3との間に 有意差があ った。足立和美・戸田有一:ALTによる英語教育に対する学習者の取 り組みと評価・認識 〈
ALTの
授業 を受 けて,教
科 書 に出て いる以外の英語の表現をおぼえた〉 図3-3-4f
間 15へ の回答 の性別 ・学年別平均値 〈ALTの
授業は,テ
ス トのとき役 に 立つ〉 図3-3-4g
問16へ の回答 の性別 ・学年別平 均値 くALTが
日本語 につ いて質 問すれ ば, 教えてあげたい〉 中2 中3 高1 喜2 高3 図3-3-4h
問20へ の回答 の性別 ・学年 別平 均値 間15については,男
女ともに中3で
否定的な回答が増加す るのは,高
校入試 との関係のた めであると考えられる。英語の場合,高
校入試は中学校の教科書の範囲内の語彙や文法を使 っ て作成することが原則であるため,生
徒はこの時期,教
科書を中心に学習すると考えられる。ま た中学校ではこの学年については, ALTの
授業も比較的教科書の内容に準拠 した活動になり がちである。このため,教
科書外の語彙,文
法などはあまりALTが
とりあげていない可能性 が高い。また,男
女とも高 1で やや肯定的な意見が増加するのは,高
校入試を終えたこの時期, 教科書で扱 ってはいないが興味を引 く英語表現に注意を払う余裕が生まれるためでもあろう。 問16についても,高
校入試や大学入試を意識す るための結果であると考え られ る。男女 と も低学年では否定的回答の割合が低いのは, この時期にはある程度ALTの
授業内容をテス ト に利用 しているか らであると考え られる。 しか し,入
学試験が近づ くと,学
校でのテス トが入 試の準備 と して内容的,形
式的に変化 し,ALTが
担 当 してい る リスエ ングやス ピー キ ングなどが徐 々にテス トか ら減少 してい くため,上
記のような結果 となると思われ る。 また,女
子の否定的回答が男子より少 ないのは,男
女の志望校・ 志望学部の入試 内容の差 などが原因であると考え られ る。 最後 に,間
20<ALTが
日本語 について 質問すれば,教
えてあげたい>は
,先
ほ ど の間15・ 間16とは逆 で,中
3や
高3の
方 が「 同意す る」方 向に傾いていると思われ るものであ る (図3-3-4h)。
この項 目で の積極性 は,そ
れぞれ の学校生活 やALTへ
の「 81れ」 と関連 しているのか も しれ ない。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号
(1997) 187E)交
互作用 のみ の項 目 今 回の項 目の 中 には,交
互作用 のみが有意であ る項 目は無か った。F)交
互作用 と性別 の主効果 のみが有意 な項 目 交 互作用 と性別 の主効果 のみが有意 な項 目は,問9と問 13と 問 24で あ った (図3-3-5a
b,C)。 〈ALTの
授 業 を 受 け て,今
まで 以 上 に 外 国につ いて知 りた くな った〉 図3-3-5a
問9へ
の回答 の性別・学年別平均値 〈ALTが
英 語 で 言 って い る こ とは,だ
いたい理解 で き る〉 〈ALTの
授業 を受 けて今 まで以上 に英 語が勉強 した くなった〉 図3-3-5b
間13へ の回答 の性別 ・学年別平均値 図3-3-5c
間24へ の 回答 の性別 ・学年別平均値 問9<ALTの
授業 をうけ て,今
まで以上 に外 国につ いて知 りた くな った>も
,問
13<
ALTの
授業 を受けて今 まで以上に英語が勉強 した くなった>も
,問
24<ALTが
英語で言 っ ていることは,だ
いたい理解できる>も
,中
1∼中3で
はほとん ど性差がないが,高
1∼高3 では性差があ り,女
子生徒 に比べて男子生徒が「 あてはま らない」方に傾いている。 これ らの項 目の回答パ ター ンは「英語が役 に立っか」 という問いのものと似ているが,す
で に高1から男女差が顕著になっているところがやや異 なる。 問9の
結果 に見 られ るように,高
校女子に比べて高校男子においては, ALTの
授業が外 国 への興味の触発材料 になっていないようである。 また,問
13の結果 に見 られ るように,高
校 囲 5 4足立和美・ 戸 田有一:ALTによる英語教育 に対す る学習者の取 り組み と評価・ 認識 男子 の場 合
,授
業 で のALTと
の接触 が動機付 け と して機 能 してい る割合が 中学校 時 よ りも落 ちてい る。 これ らの傾 向は,問
24に 見 られ るように,高
校 男 子 にお い ては英 語 が だ いた い理 解 で きる とはい え ない こ とが,外
国へ の興 味や 英 語学 習へ の動機 付 け等 へ のALTに
よ る触発 効果 の低 さに結 びつ い てい るのか も しれ ない。 逆 の言 い方 をす るな らば,女
子 の場合 に,中
学校 での回答水準 が高等学校 で もほぼ 同様 なの は,ALTの
授業 で の男女 の授業態度 の差 異 な どが原 因で あ る と思われ る。ALTが
話す授業 中 の英語は,
日本 人学 習者 を意識 した いわ ゆるforeigner talk(速 さもゆ るめで,語
彙 も平易 なも のを使 うように意識 的 に コン トロール された英語)で
あ るが,集
中 して聞 く傾 向の強 い女子 の 約半数は, foreigner talkで あれ ば理解 で きてい るようであ る。G)交
互作用 と学年 の主効果 のみが有意 な項 目 交 互作用 と学年 の主効果 のみが有意 な項 目は,問6と問8と問 12で あ った (図3-3-6a,
b,C)。 くALTが
授業に参加す ると,い
つ もよ り英語の勉強をやる気になる〉 〈ALTの
授 業 が も っと遮、え た らよ い と 思 う 図3-3-6a
問6へ
の回答 の性別 ・学年別平均値 〈ALTの
授 業 は,応、だ ん の授 業 よ り楽 であ る〉 図3-3-6b
間8へ
の回答 の性別 ・学年別平均値 図3-3-6c
問12へ の回答 の性別 ・学年別平均値 問6<ALTが
授業 に参加す ると,い
つ もより英語の勉強をや る気になる>,問
8<ALTの
授業が もっと遮、えた らよいと思 う>,問 12<ALTの
授業は,応、だんの授業 よ り楽である>の
いずれ も,他
の学年では平均値があまり変わ らないにもかかわ らず,高
1で
は男子生徒 よりも鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 38巻 第
2号 (1997) 189
女子生徒が「 同意す る」 と回答 し,高
2で
はその逆 になるという傾向がある。データをた くさ んの学校 で とっているのであまりあ りえないことだが,高
1を担当す るALTた
ちは女子生徒 に受け入れ られやす く,高
2を
担 当す るALTた
ちは女子生徒 に受け入れ られ に くいとい った ことがあ った場合 には,納
得 ので きる結果である。 この点に関 しては, ALTと
生徒 の性別 の 組み合わせや,ALTの
背景の文化(ALTは
欧米諸国出身の白人が多いようだ)が
,
どのよう に青年期の彼 らに影響 しているのかを,検
討 し考察す る必要があろう。 問8に
ついて, ALTが
英語の授業 に参加す ることは, どち らかといえば「 もっと応、えた ら よい」 と受け止め られ ているようだ。ただ し,そ
れがALTの
担 当す る音声言語 に対す る興味 の増加という積極的な意味合いのものなのか,通
常の (伝統的な)英
語授業か ら逃避 したいと いう希望の現れ としての消極的 な意味合いのものであるのかは,解
釈の難 しいところである。 高1の女子生徒が男子生徒 よりも「 もっと応、えた らよいJと
思うのは,間
6の
結果 と併せて考 えるな らば,積
極的 な意味合 いを持 っているものと解釈できようが,間
12の結果 と併せ て考 え るな らばその逆であろう。あ るいは,関
6の
結果 と問12の結果 は対立す るものではないか も しれ ない。つ ま り,生
徒 にと っては普段 の授業 がたいへんにきつ いと感 じられ るために, 「 楽Jな ALTの
授業で「 や る気」 にな り「 もっと応、えた らよい」 と思 うとも考え られ るが, 「 もっと応、えた らよい」 と思えるほ ど積極的に関与で きるALTの
授業だか らこそ「 楽Jと
受 けとめることができるのかも しれ ない。 問12に関 しては,男
子 よ り女子の方が,中
学校 レベルの普段の英語授業 の内容 と高校 レベ ルのそれ との差により敏感であることによるのか も しれ ない。高2で
否定的意見が増加 してい る原因は, ALTが
担 当 している音声英語の学習 と関係があると思われ る。特 に発話 に関 して は,機
械的なパ ター ン・ プラクテ ィスを経た後の 自発的な発話活動 となると,と
たんに困難 さ を経験す るのが普通である。 この困難 さにあえて挑戦 し, 自分で文を生成 しそれを発話 しよう と努力すればす るほ ど, ALTの
授業は見かけ以上 に困難 なものと映 る可能性が高 くなる。す なわ ち,普
段の授業 と比べ楽であるか どうかは,学
習者が どの くらい真剣 にALTの
授業 に参 加 しようと しているかに依存す るとも言えよう。H)交
互作用・ 性別の主効果・ 学年の主効果すべてが有意 な項 目 交互作用・性別の主効果・学年の主効果すべてが有意な項 目は,問
25であった (図3-3-7)。
(ALTと
い っ しょにスポー ツな ども し てみたい〉□
図3-3-7
間25へ の回答 の性別 ・学年別平均 値足立和美・戸 田有一:ALTによる英語教育に対す る学習者の取 り組み と評価・ 認識 間
25<ALTと
いっ しょにスポー ツなども してみたい>は
, F)の
交互作用 と性別の主効果 のみが有意 な項 目群の傾 向と,D)の
問10や間14において高2が
「 あてはま らないJ方
に傾 いていたのを ミックスさせた ような結果である。 男子の場合,中
学校では女子 より「 同意す る」方 に傾いている。 これは,ア
ンケー ト項 目の 「 スポーツ」 という表現が原因か も しれ ない。高校ではそれ とは逆の傾向になるが,英
語 とい う教科 に対す る興味が減 じて くるこの時期 には,そ
の教科 を担当す るALTに
対 しての接触要 求や関心 も減 じていることを窺わせている。女子の場合 に男子とは逆 に,中
学 よ り高校でより 「 同意す るJ側
の回答 となっている。 これは,英
語 に対す る興味の他 に, ALT個
人やその背 景の文化 に対す る好奇心が男子 よりもあるためではないだろうか。 この点については,高
校卒 業後の生活への見通 しや,英
語を何のために学ぶのか とい った人生における位置づけ などとも 関連 させ て,男
女の意識の違 いや,個
々の生徒 にとってのALTの
授業の意味を考 えてい く必 要があろう。4)英
語項 目とALT項
目の関連 英語はとくいな科 日か どうか,そ
して, 自分の将来 にとって役に立つ と思うか どうか というこ とと, ALTに
関す る項 目との相 関係数は表3-4-1の
ようになった。全体的 にあ る程度 の相 関があることはわかるが,そ
の中で相関係数の小数第一位が ともに高い項 目は,積
極性 を反映 し ているように思われ る (聞7,間 9,問
10,間 11,問 13,問 14,間 15,間
24)。 表3-4-1:英
語項 目 とALT項
目の相関関係 4 解 2 理13 7 11
意欲自信
本物好き
9 14
外国興味集中 10 15 21 20 積極的 英語表現 教科書 日本語質問 英語得意? 英語役立つ? 0.47 0 34 0,37 0 38 0,38 0 32 0,35 0 39 0 28 0 36 0.30 0 34 0.31 031 0.30 0 29 0 26 0.24 0.20 0 28
6 8 25
やる気 授業回敦 課外活動 16 テス ト 19 復習 3 張 2 緊 12 楽 17 22勅ヽ
リ
サい系や占
18 メモ 英語得意? 英語役立つ? 018 0 26 017 0 23 014 0 22 016 0 19 019 014 0.09 011 008 012 0 05 0 05 0 12 0,10 皓 0 4Ⅳ
.全
体 的考察
1)ALTと
英語教育英語教育の現場 にnative speaker of Englishが 参加す るようになって
,ほ
ぼ10年 の期間が経 過 した。従来の学校教育で育 った年代にとっては,英
語を話 し聞 くことができる相手が 自分の周 りにいて くれ ることは想像 もできなか った。現在の中学生 。高校生は,こ
の意味では この上 もな い機会 に恵 まれていると言える。 これ までの10年間を,と
にもか くにもALTを
受け入れ,そ
れ に慣れ るための準備期間とすれば,今
後 はいかにALTを
積極的に活用 していけ るかを考える時£取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号
(1997) 191
期 に差 し掛か っている時であろう。同時に,現
在は教育全体を見直す機運が高まってきている時 期で もある。ALTの
問題 についても, こと英語教育だけに限定 して考え るのではな く,小
学校 でのカ リキ ュラムか ら高校,大
学入試までを視野に収めた幅広 い枠組みの中で検討 してい くこと が必要であると思われ る。特 に今回の調査結果 に関連 して述べれば,従
来型の教育 (すなわち, これ までの 日本的 な教育観)の
改善点,ALTに
よる授業の適切 な回数, ALTの
授業に集中 しや すい適切 なクラス・ サイズ,お
よび家庭学習 も合めた従来型の授業 とALTの
授業 との統合 な ど が,検
討の対象 となろう。最後 に,い
かにALTが
,英
語 とその背後 にある文化 とを結び付け る 架け橋 になれ るかが,教
授法を超えた教育の問題であろう。2)ALTの
授業 と社会的比較ALTの
授業 は,通
常の授業 と異 なるがゆえに,生
徒 の考えや行動 に様 々な影響を与えている と思われ る。通常の授業 とALTに
よる授業の違 いの一部 を,お
おまかではあるが表4-2-1
に示 した。 表4-2-1
通常の英語授業 とALTに
よる授業の比較 通 常 の授業ALTに
よ る授業 書記言語が大半を占める テキス ト中心 学習範囲や内容が比較的明確 達成基準が比較的明確 実用感が低い 音声言語が大半を占める テキス ト中心ではない 学習範囲や 内容は比較的フ ァジー 達成基準が比較的あいまい 実用感が高い このような対比か らす ると,ALTに
よる授業では「 問題ができるか どうか」ではな く,「自分の 意図が通 じるか どうか」「相手の意図がわかるか どうかJが
意識 されやす いと考え られ る。 また, 通常の授業では, どこまでできれば「 通 じるJの
かが実際に体験 され ることが少ないので,英
語の 熟達度 に関す る生徒 自身の 自己評価 も,相
対的な評価に留ま りがちなのに対 し, ALTに
よる授業 では,「自分 なり」 に通 じたと感 じられれば,
自己の英語力が一定水準 を超 えたという自己評価が 可能である。つ まり,ALTの
授業では,「自分な りJの
主観的基準での達成感や,相
対評価の持 ち 込みに くさによる他者 との比較へのとらわれか らの一時的解放があると考え られ る。 本調査における学年差や性差は,こ
のような社会的比較の方法 (相対評価 と絶対評価)カ ミ異 なる ためかも しれ ないが,比
較す る対象が異なる (比較をす る際の対象 となる集団成員が高校入試前後 で変化す ることなど)た
めであるか も しれ ない。例えば,入
学試験を受ける高校について,女
子が 男子に比べて合格可能性の高い選択 に傾 くな らば,そ
れは結果的に,女
子が高校入学後の社会的比 較において優勢 にたつ確率を高 くす る。 これが,高
校で現れ る男女差や,高
校1年
生女子の回答パ ター ンの特異 さをもた らしている可能性があるのではないだろうか。 このことを確かめるためには, 志望高校決定過程での合格可能性の評定や意志決定過程,入
学後の 自己の成績の位置づけに関す る 自己評定 なども同時に調べ る必要があろう。 あるいはまた,高
校での性差は,高
校卒業後 に英語を何のために使 うのか という目的意識の違 い か らきているのかも しれ ない。英語が将来, どのような形で「 役 に立つJと
思 うのかを尋ね ること もすべきかも しれ ない。192
足立和美“戸田右一:ALTによる英語教育に対する学習著の取り組みと評価・認識謝
辞
本研究を行うにあたり
,調
査にご協力くださった中学校,高等学校の先生方,生
徒の皆さんに,心
より感謝申し上 げます。引用文献
Kazumi Adachi,J.Douglas w堕∽