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香川大学教育学部生によるラジオ番組制作 : 文部科学省現代GP「実践的総合キャリア教育の推進」の取組として-香川大学学術情報リポジトリ

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跨 」

    香川大学教育学部生によるラジオ番組制作

∼文部科学省現代GPr実践的総合キャリア教育の推進」の取組として∼

       山本珠美

はじめに

はじめに 第1章 社会教育特講IIAにおける過去3年間の取組 第Ⅱ章 ラジオ番組制作の実際 第Ⅲ章 成果と課題 おわりに  参考資料1.シナリオ例(高松市男女共同参画センター)  参考資料2.CUE Sheet  文部科学省の競争的資金である現代的教育ニーズ取組支援プログラム(通称:現代GP)「実践的総合キャ リア教育の推進」に、香川大学が申請した「地域巡携型キャリア支援センターの新機軸」(平成18 −20年 度)が採択された。本取組は3本柱として、①キャリア関連科目の充実・拡充を通じたキャリア敦育基盤 の構築、②多様な地域住民の経験や価値観に触れる機会の提供、③キャリア教育における高大違携、を挙 げている。このうち①に関違するものとして、平成19年度には全学共通科目(主題科目)において基礎的 なキャリア関連科目を充実させたが(平成18年度1科目→平成19年度3科目)、あわせて各学部で開講さ れている専門科目においても、自ら問題を発見し、解決する能力を身につける実践的キャリア教育の拡充 が望まれている。  とりわけ今回採択された取組では「地域逓携」を軸においたキャリア教育推進を掲げている。そこで、 筆者もその一人である現代GP推進敦員1)による会議の結果、専門敦育諜程におけるそのようなキャリア 敦育のあり方について全学からアイデアを募るために、資金の一部を意欲的な提案をした学内敦員に配分 することとした。具体的には1科目につき最大50万円、総額300万円(平成19年度配分総額は1、800万円) を10科目程度に配分するというものである2)。平成18年度末に、キャリア支援センター「キャリア教育推 進経費」として学内公募により募集したところ、全6学部11科目の教員から申請があり、審査の結果n科 目全てに資金を配分することとなった3)。筆者が担当する「社会教育特講nA」(教育学部、2年次以上対 象、後期、杜会教育主事コース、履修登録者6名、うち単位取得者5名)もそのうちの一つである。  本稿では、同科目の取組であるFM高松のラジオ番組制作について紹介する。なお、紙幅の関係でシナ リオは一例のみの掲載にとどまった。別途、全シナリオを収録した報告書(香組のCD付き)も作成する 予定であり、詳細はそちらも参照されたい。

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1−1 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告 第13号

社会教育特講ⅡAにおける過去3年間の取組

過去3年間の授業形態 1−1−1.現場で慟く人と触れる∼「書かれていないこと」を知るために  筆者は香川大学に着任した平成16年度から継続して「社会教育特講且A」を担当しているが、当初より キャリアを意識した授業を行ってきた。すなわち、毎年「学習機会提供に関わる人少なくとも一名以上と 会ってインタビューし、報告すること」という諜題を出し、その成果は年度毎にインタビュー・レポート 集としてまとめてきた。これは、学校教育と比べて社会教育の領域に関しては、(個人差もあろうが)「学 習者としての経験」すら圧倒的に少ないだろう、まして「学習機会提供者としての経験」は言うに及ばず、 と思われるためである。現場で働く人と直接触れる機会を持つことで、生涯学習の現場で働くとはどうい うことなのか、学べるように工夫したつもりである。  授業は次のように進めた。まず前半では、生涯学習社会における(とりわけ現代的諜題に関する)学 習機会提供について総論的な講義を行った。続いて後半では、学生一人ひとりとの面接時間を2回程度設 け、その過程を通じて学生が各自テーマを決め、インタビュー調査の手はずを整え、実際に現地を訪れお 話を伺った。その成果については授業中にプレゼンテーションを行うとともに、レポートにまとめた。レ ポート執筆に際しては筆者から何度か書き直しの指示を出すと同時に、インタビュイーからもフィード バックを受けた。それらをもとに、毎年インタビュー・レポート集(社会教育特講nA全体の記録である 第一部「インタビュー・レポート集ができるまで」、および第二部「学生によるインタビュー調査のレポー ト集」の二部構成)を作成した4)。なお、印刷・製本は業者に依頼した。  ただし、このような授業形態を取るようになったのには、単に「現場を知る」「働く人の姿に直接触れ る」ということにとどまらない思いもあった。  この授業をはじめた頃から現在に至るまで、講義で話すよう心がけていることがある。それは、4年問 の大学教育の諜程を通じて、なによりも「書かれていないこと」を読み取る力と、それを適確にまとめる 力を身につけて欲しいということである。やや乱暴な言い方になってしまうが、小中高校では「書かれて いること」を読み取る能力を身につけ、その基礎に立って、大学では「書かれていないこと」の中にこそ ある大切な「何か」を発見する能力を身につけて欲しいと思っている。  「書かれていないこと」には、意図的に隠されていることもあれば、いわゆる暗黙知として伝えられて いることもある。複雑な社会を、単にその表層を単眼的に眺めるのではなく、複眼的かつ批判的に捉え るためには、「書かれていないこと」を読み取ることは不可欠である。そういう能力を身につけた者こそ がeducated personたるのではないだろうか。現場を訪れ、実際にお話を聞くことは、「書かれていないこ と」を知る一つの手がかりになるだろう 実行してきたのである。 。そう考え、教室を出てインタビューを行う授業スタイルを 1−1−2.他人の目を意識する  ところで、わざわざ業者に依頼して、それなりに体裁を整えたレポート集を作成してきたのには理由が ある。私が大学生だった頃を振り返ると、少なくとも学部生の時には、学生が他の学生のレポートを読む 機会が少なく、それゆえ「どういうレポートが良く、どういうレポートが不十分か、それはなぜなのか」 を実例に則して考えることがほとんどなかった。(大学院に進学して以降はお互いの修士論文を読み合う

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香川大学敦育学部生によるラジオ香組制作 など、その機会は増えたのであるが。)質の高い文猷を読むことも大切だが、学生同士の相互の学び合い を通して書く能力を身につけることも大学教育の中では重要であろう。そこで、次年度受講生のインタ ビュー・レポート執筆の参考資料とすることを主目的に、当該年度の授業記録として体裁を整えたインタ ビュー・レポート集を作成した次第である。もちろん、制作したインタビュー・レポート集はお礼を兼ね てインタビュイーにもお渡ししたが、そうすることで、当該年度の学生は次年度受講生・インタビュイー に「読まれる」ことを意識するよ ある。そのため、学生は通常より ●   ● 引こなる。換言すると、読み手に対する貴任感が発生するという ことで も緊張感を持ってレポート執筆に臨むことができるのではないかと考え たのである。  このようにして3号までインタビュー・レポート集を作成してきたのだが、成果と課題の双方があった。 まず成果については2つ挙げられる。一つは学生がレポートを執筆するプロセス毎に、それなりにきめ細 かな指導ができたことである。構成、言葉遺いなど、1対1の面接時間を設け、一人ひとりと向き合うこ とは、大変ではあったがやり甲斐のある作粟だった。もう一つは、取材申し込みからはじまり実際のイン タビューに至るまで、大学外の方とのやりとりが学生にとってはコミュニケーションの訓練になると同時 に、「書かれていないこと」を探りあてることの面白さ、難しさを体験する機会となったことである。  一方、課題は、インタビュー・レポート集を実際に読むのは、執筆した本人とインタビュイーの方々、 そして次年度の学生にとどまってしまうことである。もちろん、想定していた読者はその三者であり、印 刷部数も50部程度だったため、それは当然のことである。しかし、せっかく時間をかけて行ったインタ ビュー成果の中には、一般の方々も知らないであろう意外な情報、あるいは隠れた苦労など、興昧深いも のが含まれる。生涯学習はすべての人々に関係ある事柄である。地域住民の方々にとっても有益な(少な くとも興昧深い)情報を、関係者だけでなくより広くアピー歩することはできないだろうか、と考えたの である。  学生の情報発信力を高めつつ、地域貢獣になるような取組ができないか 。本授業を担当して3年 を経た時点で考えたことを実際に試してみるチャンスが訪れたのは、現代GPのお陰である。冒頭述べた ように、2007年度、本科目に対してキャリア敦育推進経費が配分されることとなった。また、地元のコ Q ヘ ュニティ放送局であるFM高松に企團書を持参したところ、全面的な協力を得られることとなった。そ こで 今年度はこれらの貴重な資源を活用して、新しい授業方法にチャレンジしたのである。 1−2.専門教育課程におけるキャリア教育のあり方 1−2−1.「学習機会を提供する側」の立場を知る  ところで、社会人基礎力に関する研究会(経済産業政策局産業人材参事官室)が2006年2月に発表した 「中間取りまとめ」5)で提示したような、前に踏み出す力(主体性、働きかけ力、実行力)、考え抜く力(諜 題発見力、計圓力、創造力)、チームで働く力(発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレ スコントロールカ)といった「社会人基礎力」は、学部を問わずあらゆる学生に共通に求められるもので ある。それは、まさに基礎力であり、大学で教育に携わる者一人ひとりがはっきりと意識しているかどう かはさておき、以前から大学の正規・非正規のカリキュラムを通して学生に身に付けさせようとしていた 能力であると思われる。  ただし、専門教育課程におけるキャリア敦育を考える場合、それだけでは不十分であろう。学部の特色 を活かし、それら基礎力にプラスaを加える必要がある。では、教育学部生として身に付けるべき能力と

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第n章 ラジオ番組制作の実際

本章では、本授業における具体的なラジオ番組制作過程について紹介する。 今回は、概ね次に挙げた10のプロセスによってラジオ番組は制作された。 ︱ 2 ラジオ番組制作の概賂を学ぶ FM高松スタジオ見学

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香川大学教育学部生によるラジオ番組制作    3.話す訓練Part 1 (身の回りのことを題材に)    4.取材先の選定と企圓書づくり    5.取材申込からインタピューヘ    6.シナリオ作り(インタビューの編集を含む)    7.話す訓練Part 2 (シナリオを使って)    8.オープニングの作成    9.曲目・BGMの決定とCUE Sheetの作成    10.スタジオ収録  それぞれの過程は、グループによる活動もあれば個人作業もあったが、基本的には学生相互の学び合い が重要と考え、前者の形態を取ることが多かった。  それでは、以下、プロセス毎に具体的に説明する。 2−1.ラジオ番組制作の概略を学ぶ[写真1]  本授業の第3回目(2007年10月18日)に、FM高松の岡村和哉氏 を講師に招き、ラジオ番組制作の過程について講義して頂いた。  講義では、ラジオ番組の特性、想定されるリスナー、制作ス ダッフと役割分担、制作の流れ、制作にあたっての注意事項につ いて説明を受けた。  ラジオ番組とは、トーク(+BGM)、音楽、SE(効果音)から 構成される、音で表現された番組である。視覚情報に頼れないこ とを念頭に置いて、言葉で正確に伝える姿勢・努力が何よりも求 められるということが、まず最初に示された。 [写真1]  ラジオ番組の聴取形態は、岡村氏によると、①車を運転しながら聴くことが多い、②車でラジオを聴き 続けるのは15分程度である、ということであり、FM高松ではこのことを前提に番組が制作されていると いう。私たちもこれを踏まえて、トークと音楽の配分を考えることとした7)。  番組制作にあたってのスタッフ構成は、責任者である“プロデューサー”、現場監督である“ディレク ター”、主にミキシングルームの担当である“技術”、番祖進行役の“パーソナリティ”(そして話題提供者 としての“ゲスト”)、ディレクターの補佐役である“AD(アシスタント・ディレクター)”からなること が一般的であるが、人手の関係でディレクターと技術を兼ねる場合などもあるという。私たちの場合、未 経験の学生ができること/できないことを考慮し、最終的には筆者がプロデューサー兼ディレクター兼 パーソナリティ、岡村氏が技術、ティーチング・アシスタントの大学院生がADを担当することとし、学 生は取材したことをパーソナリティに提示するゲスト役となることとなった。  収録までの準備作業としては、①制作スタッフの役割分担、②番組タイトルの決定、③トークの内容及 び表現方法の検討(BGMやSEの使用方法)、④音楽の準備、⑤番組進行表であるCUE Sheetの作成、⑥時 間調整、が必要である。その中でも、②に関達して、番組のオープニングは「つかみ」として非常に大切 であるとのことだった(2−8.参照)。  さらに、制作にあたっての注意事項として、以下の3点を示された。 ①ラジオ固有の表現問題:ラジオ番組の特性である「映像がない」ということには絶えず意識的であらね

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F ミ I 香川大学教育学部生によるラジオ香組制作 聴いて自分たちの話し方について客観的な評価を下すようにした。このような練習の成果もあってか、当 初は危なっかしい話しぶりだったものが、収録までには聴くに堪えるだけのレペルには到達したのではな いかと考えている。  ところで、岡村氏に「友だち同士でお喋りするような感じで話せば良い」と言われたものの、「これを 聴いているリスナーがいる」という意識は話しをぎこちなくさせる。あたかも友だち同士で話しているか のように振る舞いつつ「公衆に向かって話す」のは、経験のない者には難しい。リスナーが見えないだけ に、困難さが増すと言っても良い。目の前に聴衆がいれば、彼らの視線に緊張はするものの、反応が一目 瞭然であるため、すぐにフィードバックすることもできる。反応が分からない「見えない聴衆」に向かっ て話すためには、コンテンツに自信を持っていなければならない。逆に言えば、話す内容にある程度自信 が持てれば、多少話し方は下手でもぎこちなさは緩和されるということが、この繰り返し練習で徐々に判 明した。このことは、その後の取材とシナリオづくりにあたって、「いい加減な取材ではいけない」とい う良い意昧でのプレッシャーを与えることができたのではないかと思われる。 2−4.取材先の選定と企画書づくり  「話す訓練Part 1」と同時並行で、インタビュー調査の方法について筆者が講義を行い、各白で取材先 の選定と企圓書づくりを行った。学生が多ければチームを組んで取材をすることも考えていたのだが、数 が少なかったため、インタビューは個人で行うこととし、企画書作成は学生同士の検討、筆者との個別面 接によって進めた。  取材先の選定は、敦員が指定するのではなく、学生各自に任せることとした。その際、過去3ケ年分の データは参考に渡したものの、最終的にはそれぞれの学生の関心に基づいて選択した。学生が取材先とし て第一候補に挙げたのは、以下の5施設である。高松市男女共同参圓センター、アイパル香川(香川国際 交流会館)、高松市美術館、香川県立体育館(ただし取材先は香川県教育委員会事務局保健体育課)、香川 県赤十字血液センター。  取材先の候補が決まったら、個別に施設を訪問したり、インターネットを活用しつつ、可能な限りの資 料を収集した。それらの事前に入手した資料に基づき、当該施設の何について話を聞きたいか、取材の目 的および具体的な質問項目について、授業・個別指導を通して検討した。その際、資料に書かれてあるこ とではなく、資料には書かれていないこと(例えば、働いている人々の仕事のやり甲斐など)を聞き出す ような質問項目を考えるようにした。最終的にA4用紙1−2枚程度の企圓書を作成した。 2−5.取材申込からインタビューヘ  企面書完成後の12月には、取材許可の取得、インタビュー日程の調整、そして実際のインタビューを実 施した。  取材先はいずれも近場が多かったため、企圃書と筆者の依頼状(授業の趣旨説明と取材への協力依頼を 記載)を持って直接取材先を訪問し、許可を得たケースが多かった。(一部電話で取材の許可を得た後に、 後日企圓書と依頼状を持参した学生もある。)幸いにして、第一候袖と考えていた取材先すべてから許可 を得ることができた。  インタビュー時間は学生により異なったが、30分∼1時間半程度のインタビューに応じて頂いたようで

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      −−−−−− −−−−−−−%−   −−1−−﹃−−−−−−−− −−−− 11. | l l ︱r−− 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告 第13号 ある。インタビューに際しては、その様子もあわせてラジオ香組で使用したかったのだが、録音許可が下 りなかった取材先もあった。許可された取材先に関しては、持参したICレコーダーで録音し、シナリオ 作成時に活用した。  なお、実際のインタビューであるが、事前準備に十分な時間をかけていたためか、予め連絡しておいた 質問項目に沿って滞りなく行われたとのことである。 2−6.シナリオ作り(インタビューの編集を含む)  インタビューが終わると、いよいよシナリオ作成である。  当初、学生はせっかく録音したインタビュー記録をなるべく多く使用しようとしたが、実際に試みると 録ってきた音声をただ流しているだけの味気ないものになってしまうことが判明した。そもそも、実際の インタビュー時間に比べ、香組は7−12分と(1本目の出演者は一人12分、2本目の出演者は一人7−8 分が目安)、大幅に凝縮しなければならないのである。そのためには、取材で得た内容を学生が自分の言 葉で言いなおしながらまとめる作業が必要となる。そこで、パーソナリティ役とゲスト役とのトークを長 めに取り、録音インタビューはアクセントとして挿入するにとどめた。  このICレコーダーで録音したインタビューは、何分何秒から何分何秒までを使用するかを決定した後、 Digita1voice Editorを用いて編集作業を行った。そして、収録にあたっては後述のBGM用CD−Rとは別 にインタビュー専用CD−Rを作成した。  シナリオ作りは次項の「話す訓練Part2」と併行して進めたが、それは実際に話してみないことには、 書いたシナリオが何分程度になるのか分からないためである。また、紙に書かれた文章を見ている“感じ” と、トークとしてICレコーダーに録音して聴いた“感じ”は異なる。このように内容調整・時間調整をし ながら番組シナリオを推敲した。また、最終段階では誤報防止のためにインタビュイーにシナリオチェッ クをお願いした。  ところで、ストーリー作りで最も悩ましかった点は学生のポジショニング、すなわち、インタビュアー (学生)とインタビュイーとの距離の取り方である。学生はインタビュイーの代弁者となりつつも、第三 者として自らの意見を述べることが求められる。そのバランスはどうあればよいか。この点については第 m章で詳しく述べる。  なお、本稿末尾には、参考資料1として実際に用いたシナリオ一例(高松市男女共同参圃センター)を 掲載したので参照して欲しい。 2−7.話す訓練Part 2(シナリオを使って)  授業終了後にある学生が「シナリオがないと間があいたり、シナリオができたら棒読みになってしまっ たり」と感想を述べていたが、どのようなシナリオを作成するべきか、しばらく試行錯誤が続いた。  岡村氏からは、一字一句文章化したシナリオを作ってしまうと素人は棒読みになってしまうので、内容 の箇条書き程度にした方が良いとのアドバイスを頂いていた。しかし、それはパーソナリティが余程の力 量の持ち主である場合であって、パーソナリティ役も経験不足の場合は、箇条書きで古かれた場合、話題 と話題とを上手く繋げることができない。そこで、棒読みのリスクを抱えつつも、原則一字一句書き出し たシナリオを作成することにした8)。

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-l l 香川大学教育学部生によるラジオ番組制作  とはいえヽ棒読み調ではリスナ ̄が聴きにく9ことは明らかである。棒読みにならないためにはどうす れば良いか。  今回取り組んだことは次の3点である。一つは同じシナリオを用いて繰り返し練習すること。何度も口 に出して読むことにより、徐々に不白然さが取れ、普通に会話しているように話せるようになった。二つ 目はシナリオの所々に予め発言内容を決めておかない「フリートーク欄」を設けることである。このフ リートーク欄は、時間調整9)の上でも役立った。それから三つ目として、特に長い台詞が棒読み調になっ てしまいがちのため、パーソナリティ役が随時相づちを打ったり、アドリブを入れるなどして、シナリオ をただ読んでいるだけという雰囲気をできるだけ崩すよう心がけた。  そして収録前の鍛終授業(2008年1月31日)では、本香に近い形でリハーサルを行った。 2−8.オープニングの作成  オープニング作成にあたっては、番組タイトル、タイトル・コールの方法、テーマ・ミュージック、お よび(タイトル・コールに続O簡単な番組紹介、以上4つのことを決める必要がある。  番組タイトルは全ての学生に案を提出させ、それらを学生同士で検討した。その結果、番組タイトルは 「わくわく!高桧」に決定した。また、「わくわく!」を一人の学生が述べ、「高松」を学生全員で唱和す るというタイトルコールの方法も同時に決めた。  「オープニングは“つかみ”が犬事」という岡村氏のアドバイスがあったため、番組冒頭でその雰囲気 を決定するテーマ・ミュージックについては同氏に4曲推薦してもらった。それらを学生全員で聴いて、 最もイメージに合うものを選択した。簡単な番組紹介については、パーソナリティ役の筆者が考えた1o)。 2−9.曲目・BGMの決定とCUE Sheetの作成  番組では卜−クとトークの間に曲を挟んで場面転換することとし、曲目は直前の担当学生が自由に選択 する方式とした。同様に、番組のエンディングも直前の担当学生が自由に選んだ曲を流し、適宜フェード アウトすることとした。  2−3.で述べたとおり、授業中BGMに乗せてトークを展開する練習をしていたが、この曲目につい ては各学生の声質やトーンなどの特性を考慮しつつ、ティーチング・アシスタントの大学院生が決定した。 CUE Sheetも彼女が作成した。  実際に用いたCUE Sheetは参考資料2を参照のこと。 2 −10. スタジオ収録[写真4]  2008年2月6日午後2時からスタジオ収録を行った。  まずは、全員でCUE Sheetの最終確認をし、続いてBGM用CD・MDの動作確認、マイク音声チェック、 パーソナリティ役が使用する「カフ」(スタジオ音声のON/OFFを切り替えるスイッチ)の扱い方の説明、 オープニングの練習、各白のシナリオ冒頭部分のリハーサルを行う。マイクが精巧なため、シナリオをめ くる際の紙の擦れる音を拾ってしまうなど、実際のスタジオならではの注意を岡村氏から受けつつ、いよ

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︲ −︲ −︲− eT  ̄I d− 曰目 j     − −             − −− −− −    −−−−−−   −−−−−− −−−−−−  −−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−− −−−−−−−−−j  −−−−−−−−−−−−−−  −−−−−−−−−−− りrl  −−−︰︲目目目11hj11,1,︲F︲nl︲iFtlld祠1E’︲1冊お利羽1m川詐冊計|乱y則丿別例削影 ︲−︲︲^’︱鼎   ‘,1,. 一1 レー川’.==目にづ目Iに円川円ツ.5︲︲弓リ⋮⋮ぃ。Uuplp刊誹斜肘訂肛J,烈回肘尉U肛順㈲ぼ浙胎甘北川訂−MjUE−ミほ肢⋮⋮⋮︱−il 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告 第13号 いよ本番の収録を行う。  心配していた取り直しは機材の不調に基づく1回だけであり、 約2時間で30分番組2本の収録が終わった。その後、完成したば かりの番組を全員で確認したが、スタジオ内には4ヶ月強にわた るチーム作業を終えたことの安堵感や連帯感、達成感が充満して いた。 なお、放送日については、後日改めてFM高松より連絡が入り、‰、∠ブ!        i=雅=:=.ド=j=・、・7.ご?鮪61・。g.. 1本目が2月28日(木)19 : 30−20 : 00、2本目は3月6日(木) 19 : 30−20 : 00となった。

第m章 成果と課題

3−1.学生の感想から [写真4]  授業が終了したばかりの現時点で感じるのは、1−2.で触れた社会人基礎力「前に踏み出す力」「考 え抜く力」「チームで働く力」を様々なプロセスを通して学生が実感できたのではないか、ということで ある。繰り返しになるが、FM高松でのスタジオ収録終丁後、完成したばかりの番組を聴いている最中の 受講生たちの表情がこのことを何よりも物語っていたと思う。 [学生の感想A]FM高松の方をはじめ、インタビュー先の方や先生、授業を一緒に受けている友達、先 輩の協力で番組ができあがっていく過程がとても感動しました。大変だったという思いもありますが、 それ以上に皆で協力してつくりあげたという楽しい思いがあり、貴重な体験ができとてもよかったで す。  もちろん、過去3年の授業同様、普段知ることのない学習機会提供側の様々な事情、あるいは文書とい う形では明らかにされることの少ない仕事に対する思い(大変さ、やり甲斐など)を知る機会になったと いう声や、また、他人の目(耳)を意識してシナリオを作り上げるために白らを客観的に見ることができ たという感想も寄せられた。 [学生の感想B]今回、教育委員会を訪問してみて、やはり教職に就かれていた方であったので、人に 機会を提供することに、とても熱心であると感じました。 [学生の感想C]最初はどうなることかなあと不安だったのですけれど、話す練習を繰り返す度に徐々 に良い感じになっていることが実感できました。どうすればリスナーの方々に一番伝わりやすいだろう か、と考えながら取り組みました。やはりCD化して自分の声を聞くということが恥ずかしかったです けど、客観的に聞くことができていい点・悪い点が分かり、良かったと思います。

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是非生かしていきたいと思います。(圏点は筆者による)  単なる情報番組であれば、インタビュイーの話した内容をそのまま伝えれば良いだろう。しかしそうで あれば、インタビュイーをスタジオに呼び、そこで話をしてもらえば済むことである。わざわざ学生が間 に入るまでもない。今回、学生には「学習機会を提供する立場」と[学習者としての立場]が交差する地 点に立って番組制作を行って欲しいという思いがあったのだが、それは相当難しい課題だった。  シナリオ作りの間、学生からは「せっかく忙しい中、長時間にわたってインタビューに付き合って下 さったのだから」「私は関心のある問題だったのだが、インタビュイーはこれについてはあまり触れて欲 しくはないという感じだったので」、あるいは「インタビュイーの方々も放送をとても楽しみにして下 さっているので」と、インタビュイーに配慮する発言が多々聞かれた。これはある意昧当然の感情ではあ る。ご協力下さったインタビュイーの方々に対して感謝の気持ちを持つのは当たり前であろう。そのため か、シナリオがインタビュイーの話した内容そのままになってしまうという問題が生じてしまった。  以上のことは、過去3年間の授業でも多少とも感じたことではあった。過去の授業でも、インタ ビュー・レポート集の印刷前に名前掲載の可否や事実面で間違いがないかどうかをインタビュイーに チェックしてもらうという手続きを踏んでおり、また完成した際にはお礼も兼ねて取材先に1冊提出して いた。その過程で学生の書いた文章はインタビュイーの目に触れるため、インタビュイーと白分の見解が 相違するような場合は自分の考えを控えめに書くという、ある種の自己規制が見られる事例もないわけで 3−2 マスメディアの困難さ 香川大学教育学部生によるラジオ番組制作  このように学生からは肯定的な感想が得られた授業ではあったものの、しかし今回のプロジェクトを実 施することで、マスメディアの難しさを再認識することになったのも事実である。本授業の主たる趣旨は キャリア敦育であり、メディア・リテラシーを身に付けることは従という位置付けであった。しかし、特 に考えさせられたのは、シナリオ作りにあたってのインタビュイーとの距離の取り方、そしてメディアを 批判的に読み解く能力・創り出す能力の2点であった。それぞれについて、以下、詳しく述べる。 3−2−1.インタビュイーとの距離  今回の授業を通して、最も頭を悩ませたのは、「インタビュイーとの距離をどのように取りつつ、シナ リオを作成するか」ということであった。これは「マイクの前で上手に話せるかどうか」という技術的な ことよりもはるかに本質的な問題であり、収録直前まで検討が続いた。そのことは、次に引用する感想に 端的にあらわれている。 [学生の感想D]今回、取材内容を計画し、自分でアポイントメントを取り、取材し、ラジオ番組を作 るというのは大変でしたが、貴重な体験でした。特に、ラジオで自分の訓べたことを発表する点につい て、工夫が必要だと感じました。もちろん、聴く人を意識した声のトーンや、話し方の速さは気をつけ るところです。それ以上にシナリオの内容は悩みました。調べてみて面白い、なるほど、と思ったこと は が, たく さ ・け・ ・だ・ ・ヽじ  1● 関・i んあり ● ● い 取材先への感 ●尊厳で ● ●す。シナリオはそれらの配慮が上手くバランスの取れたものであるかは自 ○ ● せ ん 聴 た。 そ ま 謝 ●   ● ● 人の ● く ● ● ● し  ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 関心や気持ちをとても意識しま し●て ふ / 1 Σ ゝ ま け したが ませ ● ● れて どれを聴く人に伝えた方がいいのか、厳選しなくてはなり ん。個人的 ● ● ● ● ● はいけない な の 信がありません。でも、自分のこと以外を考えながら作り上げる経験は、これから卒業研究もあるの で

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  al はなかった。  しかし、インタビュー  しかし、ン と、次年度l 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告 第13号 レポート集に目を通すのは、I−1.でも述べたとおり、授業を履修した学生 こ本授業を履修する学生、そしてインタビュイーだけにとどまるものだった。ラジオ番組と比 べると、圧倒的に人目に触れる機会は限られている。公共の電波を用いて不特定多数の人が聴く番組を制 作するとなると、一層強くインタビュイーヘの気遣いが意識されたようだ。  しかし、香組制作にあたっては、リスナーという公衆への貴任も生じることを忘れてはならない。イン タビュイーの立場に寄りすぎる、インタビュイーの単なる代弁者となるということは、「馴れ合い」と表 裏一体である。この問題をいかに克服するか。  そもそも、インタビュイーが話したいこと、伝えたいこと、訴えたいことと、インタビュアーが知りた いことは必ずしも一致しないし、ある問題に対して見解が異なることもある。更に、リスナーが知りたい ことは両者とも違うかも知れない。  インタビュイー、インタビュアー、リスナー、その三者の思いの重心をどこに置くか。  しかし、インタビュイーとの距離を保って批判的な視点で報道するには、わずか1回だけの取材では不 十分であることは言うまでもない。1回限りのインタビューでは、学生が予め持つ偏見あるいは無知から 来る思いこみなどが完全に払拭されることは到底無理である。そのような角度でこの授業を振り返るなら ば、不十分さが否めないのは事実であり、今後授業の構成を考え直す必要があるだろう。 3−2−2.メディアを批判的に読み解く能力・創り出す能力  インタビュイーとの距離のつかみ方が十分でなかったことは、ジャーナリストを目指すのであれば克服 すべき諜題であることは間違いない。ただし、今回、教育的効果という点では必ずしも失敗であるとは言 えないと考えている。重心の取り方の難しさに直面してシナリオ作りに悩んだこと、そして最終的には自 らの判断で番組作りが進められていくこと、そういうことを一つ一つ体験できたことは、今後メディアヘ 接する際の態度に必ずや反映されることとなるだろう。  メディア・リテラシーの考え方は、「メディアとの関係を相対化し、それを私たちの側からどのように 変えていくか」(鈴木、1997、pji)と問いかける。この問いに答えるため、クリティカルな「読み手」 からクリエイティブな「創り手」へというように、取り組みの一環に創作活動を位置付けることも唱えら れている。  例えば、メディア・リテラシー研究の第一人者である鈴木みどりは、各地で新聞各紙の一面をジェン ダーの視点1・こよってつくりかえる活動をするという実践をしてきたというが、「メディアに手を加えるこ とでメディア・テクストの意昧が大きく変化するのを経験として理解することができる。」(圈点は本文の まま;鈴木、1997、p.38)と報告している。つくりかえることによって、メディアが構成されたものであ ることを自らの手によって確認できる。そして、既存のものを「つくりかえる」だけでなく、一から「つ くりあげる」のであれば、そのごとの理解はより一層深まるに違いない。  メディアの創作活動は、メディアを批判的に読み解く能力を身に付けるための手段として意味があるだ けにとどまらない。メディアをクリティカルに読む過程で見えてくる情報の歪みや欠落している情報につ いて、市民が積極的に発言できるようになることも重要である。創作活動はエンパワーメントに通じる。  デジタル・テクノロジーによるメディア革命はメディア・コミュニケーションの民主主義的運営を推進 し、視聴者を単なる消費者からメディアの制作者に変容させると言われている。確かに、インターネット 上では自ら積極的に発信するコミュニケーションが進行しているし、またその活発化に伴い、既存のマ

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香川大学教育学部生によるラジオ番組制作 ス・メディアにおいても視聴者との双方向性が一層進みつつあるように感じる。現在、放送局がお膳立て をした番組に視聴者が参加する「視聴者参加型番組」は当たり前の存在である。しかし、それにとどまら ず、企画段階から関わること、専門家だけではなく一般の市民が白分たちのメディアとして放送に参加す ることも今後ますます広まるのではないか。       ∧  づ 土 ■■ ■■     ■■  これは、テレビ・新聞など巨大資本に支えられたメインストリーム・メディアに対抗するオル=ターナし ティブ・メディアを創造する動きとして捉えられる。例えぱ米国には、アクセスセンターを広く市民に開 放し、誰もが、いつでも、白由に使える環境を整え、さらに、そのような活動の中で市民が作りだす番組 を差別なくオンエアしていくという「パプリック・アクセス・テレピ」が存在する(鈴木、1997、pp.200 −231)。さらに世界に目を向けると、コミュニティ・ラジオ運動のように、世界の権力構造のもとで「声 なき者」とされてきたラテン・アメリカやアフリカ、東欧諸国の人びと、なかでも、それらの国で生きる 先住民族、他の多様な民族、あるいはまた女性・同性愛者・子どもなど、世界のあらゆる国・地域で「二 流の市民」の扱いを受けている人ぴとの「声」となるオルターナティブ・メディアを創造する動きもある (鈴木、1997、pp.232 − 253)6  そのように考えると、メディアの創作活動は、単に大学での教育実践としてだけでなく、生涯学習の現 場においても意味のある活動であるだろう11)。もちろん、鈴木が指嫡するように、既存メディアの単なる 模倣と再生産に陥らないように十分気を付けなけれぱならないが(鈴木、2004、p.31)、多くの可能性を 持っている取組であることは間違いない。今後の応用を考えていきたいと思う。 おわりに  学期途中、当初パーソナリティ役にと期待していた学生が、やむを得ぬ事情によりリタイアしてしまう という想定外の出来事が発生した。そのため、様々なことを考慮した結果、パーソナリティ役は筆者が行 うこととなり、当初の「学生だけで番組を作る」という趣旨から少しはずれてしまったのは残念であった。 それでも、メディアを自ら作り上げるということは、最後まで受講した学生にとって貴重な経験だっただ ろう。  主目的たるキャリア教育としての成果は、社会人基礎力で指摘されているような能力を身につけるきっ かけになったこと、また、現場で働く人に直接会って話を聞くことで「学習機会を提供する」とはどうい うことなのか教育学部生として改めて考える機会となったことが挙げられる。  しかし、従の位置付けであったとはいえ、メディア・リテラシーという点では不十分さも露呈されるこ ととなった。今後は1回限りのインタビューでの限界を踏まえ、複数回にわたって継続して取材すること を通して、より深く事象を検討する取組も必要であろう。  今回はFM高松の協力により番組を制作し、また番組枠を融通して放送して頂いたわけであるが、諸事 情によりインターネット配信にまでは至らなかった。今後の可能性としては、より簡便な方法であり、イ ンターネットを通じて多くの人に聴いてもらえる可能性のあるポッドキャスト方式による配信も考えられ るだろう。  いずれにせよ、今回の取組が、社会の中で主体的に生きていくための、“読み手”から“創り手”への一 つのステップとなったのであれば、この上ない喜びである。

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                                                  − − − − −         − − − − − −     − − − − − − − − − − −         − − − − − −     − − − − − − − − −       − − − − − − −   − − − − − − − − − − − − −       − − − − − −                     −   j   j l ’ l j l ︲ ︲ ︲ リ ︲ i 1 ︲ ぽ 1 1 J 1 1 . ? | . 。 j n 封 櫛 E ︲ 肝 に ㈲ 1 剥 引 . 鉱 朋 ’ = 回 い 扮 り 討 苅 心 報 い j 寸 肢 H H H 釘 剖 l 庸 冊 渦 1 司 1 E ︲ ぃ 孔 目 旧 陥 回 l ゛ ’ 、 ’ h     l ’ ’ ’ ︲ ’ , , 1 1 1 1 j ー ー y − − j j i l ー i ー ー ー r           − −           − ﹃       − い b l . バ ! i n l l 引 I J 回 ぼ 1 1 1 1 f l l ︱ ー ♂ J ︲ ` ″ ︲ . , n ぽ 日 ︱ ︲ − ︲ , ︲ に 訃 註 ︲ ︲ 即 ほ 訂 測 必 蔚 討 計 り 四 。 ’ 、 ’ J い ジ ’ ︰ 、 回 ︲ ︲ ︰ い い ⋮ j ぃ ︰ に , ’ ︰ 吋 け □ げ F L M 巾 J J 爪 m 目 ㈹ m m 附 m 目 j L ‘ , ゝ ︱ ‘ ’ ︲     j 1 1 ︲ ! ︱ ︱ ﹃ ︲ ︲ ︲ − , − − ︱ − −     1 ︲ a l , 香川大学生涯学習教育研究センター研究報告 第13号 【謝辞】  本科目は香川大学キャリア支援センターによる「キャリア教育推進経費」の助成を受けて実施された。 当該経費は、本文冒頭でも述べたとおり、同センターによる「地域連携型キャリア支援センターの新機 軸」が文部科学省の競争的資金である平成18年度の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(通称:現代 GP)「実践的総合キャリア教育の推進」に採択されたことにより可能となったものである。  はじめてインタビューを行う学生相手に貴重な時間を割いてくださった高桧市男女共同参圓センター、 アイパル香川、高松市美術館、香川県教育委員会事務局保健体育課、香川県赤十字血液センターの方々に は大変お世話になった。FM高松コミュニティ放送の岡村和哉氏には、香組作りのノウハウから実際の収 録まで手取り足取り指導していただいた。筆者に岡村氏を紹介して下さったのは、香川大学公開講座受講 生でありFM高松パーソナリティの蓮井廸子氏である。また、そもそもこのような形態の授業を実施する ためのインスピレーションを与えて下さったのは、北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット博 士研究員の岡橋毅氏である。岡橋氏が教示下さった自身の札幌での経験や文猷は、大いに参考になった。 本授業のティーチング・アシスタント、山根弘子氏(香川大学大学院教育学研究科修士課程2年)にもお 世話になった。  ここに関係各位に感謝の意を表する次第である。 【注】 1)平成18年4月のキャリア支援センター設置時点では専任の担当教員が不在だったため、大学教育開発  センターから1名、アドミッションセンターから1名、および生涯学習教育研究センターから2名(筆  者を含む)が、現代GP推進教員としてプロジェクトに取り組んだ。以上4名は平成18年度途中からは  正式にキャリア支援センターとの併任となったが、平成19年3月に担当教員が置かれたため、併任発令  は平成19年3月末日で終丁となり、現在は外部からの協力という形になっている。 2)「キャリア教育推進経費」の申請要件は、(a)平成19年度内において、本学教員が担当する学部専門  科目であり、集中講義も可(ただし、全学共通教育科目、大学院科目は対象とはならない)、(b)本学  教員が1人、または複数で拒当する科目(非常勤講師のみで開講する科目は対象とはならない)、(c)  既存科目、経費が認められれば新規に開講する科目、いずれも申請可、とした。また、選考に際して考  慮した点は、以下の8点である。①学生のキャリア育成支援との関係が明確であること(例:コミュニ  ケーション能力、リーダーシップ、企圃立案能力、等)、②教員中心の一方的講義ではなく、学生の主  体的能勤的な活動(グループワークなど)が含まれていること、③地域の人材との交流が含まれている  こと、④当該科目の履修学生が5名以上見込めること、⑤授業の成果として、地域貢献になるような産  物(MAP、印刷物、HP、提案、等)ができることが望ましい、⑥大学内だけで授業をおこなうのでは  なく、フィールドワークなどによる「現場に学ぶ」取組が含まれていることが望ましい、⑦他の教員の  参考となりうる取組であること、⑧当該科目において他経費(教育改革等推進経費、等)との重複は認  めない。 3)これら11科目について、詳しくは香川大学キャリア支援センターWebサイトを参照のこと。(http:/ /www.kagawa-u.acjp/career/gp/keihishien.html、2008年2月現在。) 4)『現代的諜題に関する学習機会の提供をめぐる現状と諜題Jvo1ふ3(2004 − 2006年度)を参照されたい。 5)社会人基礎力に関する研究会「中間とりまとめ」については、経済産業政策局のWebサイトを参照  のこと。(http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/torimatome.htm、2008年2月現在。)

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香川大学教育学部生によるラジオ番組制作

6)先進的な取組で知られるカナダで主導的な役割を果たしてきた市民組織メディア・リテラシー協会  (Associationfor Media Literacy)によると、メディア・リテラシーの目標には、クリティカルな「読  み手」になるだけでなく、市民が白らメディアを創りだす力の獲得、すなわち、クリエイティブな「創  り手」なることも含まれるという(鈴木、1997、pp.6-7、pp.20-21)。 7)ラジオ番組の構成は、一つの話題は最長でも15分程度に収め、トークとトークの間に音楽を挟むのが  一般的である。また、トークに重ねてBGMを流すかどうかについては自由に決定して良いということ  だったが、FM高松の場合ほとんどの番組カiBGM付きであるということから、今回制作する香組もその  表現方法を踏まえることとした。 8)筆者の数少ない経験を鑑みても、FM高松、FM香川、RNC酉日本放送では、シナリオのあり方は異  なる。パーソナリティ役・ゲスト役の発言がきちんと決まっている場合、基本的な話題を箇条書きにし  てある場合、事前に短い打ち合わせをするだけで基本的にはすべてパーソナ刀ティ役の進行にお任せの  場合など、様々である。 9)時間調整は、地昧な作業ではあるが、悩ましいことの一つである(例えば、山登、2006、pp.149-151  など)。今回は一字一句からなるシナリオを作成したが、それでも収録当日は緊張でいつもより早口に  なるかもしれないし、逆に遅くなるかもしれない。今回は練習を繰り返すことでだいたい「フリートー  ク欄」をどの程度にすれば良いか感覚を掴んでおいたこと、シナリオの最終項目にカットしても差し支  えないような内容を入れておき、進行具合によっては飛ばしてしまうこと、そして、トークとトークの  間に挟む音楽での調整(フェードアウトの時間を予定より早める)、この3点で時間調整を行うことに  した。 10)なお、今回は考慮しなかったものの、ラジオ番組制作にあたっては「ジングルの作成」も重要であ  る。“ジングル(jingle)”とは、ジーニアス英和大辞典によると「同じ[似た]音の繰り返し、(テレビ・  ラジオの宣伝の)調子の良い詩句[歌]《◆聞くと特定の商品を思い浮かべる》」であり、番組の途中、  随所で流す短い音楽である。番組全体に占める割合は少ないが、「この部分を聴けば、リスナーは今ど  この放送局のどの番組を放送しているのかが分かる」という重要な部分でもある(桧谷・福田、2006、  pp.44-45)。 11)例えば、ダーク・スハウテンとロブ・ワトリングによる『メディア・アクション・プロジェクト』に、  副題として英語原文ではCommunity Development、日本語訳では「参加型学習とまちづくりのための」  と書かれていることは、示唆に富む(ダーク・スハウテン&ロブ・ワトリング、2006)。 【参考文献】 カナダ・オンタリオ州教育省編、FCT(市民のテレビの会)訳(1992)「メディア・リテラシー:マスメディ   アを読み解く」リペルタ出版 鈴木みどり編(1997)『メディア・リテラシーを学ぷ人のために』世界思想社 鈴木みどり編(2004)『新版Study Guide メディア・リテラシー[入門編]』リベルタ出版 ダーク・スハウテン&ロブ・ワトリング、MAP翻訳チーム訳(2006)『メディア・アクション・プロジェ  クト:参加型学習とまちづくりのためのメディア実践モデル」解放出版社 松谷芳比呂&福田良平(2006)「はじめてのインターネットラジオ局」工学社 山登義明(2006)『ドキュメンタリーを作る:テレピ番組制作・授業と実践』京都大学学術出版会

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参照

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