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果実の発育後期における葉の作用について I モモ果実の発育の場合-香川大学学術情報リポジトリ

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籍21巻 通巻算48弓(1970)

果実の発育後期における菓の作用について

Ⅰ モモ果実の発育の場合

葦渾正義,中条利明

Ⅰ緒 p 近年,果樹では良品質果の生産が強く望まれている.良品質果とほけ いかな果実をさすかは,簡単紅いい得ない が,糖含盟が高く,食味が濃厚で,甘味の強いことがその主点をなしている.換言すれば,良品貿異に関する多く の要素の中では,糖の含長がとく紅大きく,これが決定的の場合さえ.も認められる. 果樹は種類,品種で果実の生長状態や成分の消長を,ある程度異紅して:いるが,糖の増加のさかんな時期はいず れの種類,品種でも,発育後期とくに成熟に近づいた短期間である.なかでも,モモは発育後期の短期間(15∼30 (2,68,9,10,11) 日間)に果実の急速な肥大と,糖の急激な増加を行なって,ミカン,カキ,ブドウ,リンゴなどとは相当にその趣 きを異にしているりモモの果実がこのように短期間に,急速な肥大や糖の増加を行なうために」は,この前のゆるや かな肥大期(主に第2生長期)把.比して,いちぢるしく多畳の炭水化物の果実への移行,つまり供給がなされなけ れほならないが,この点についてほ未だはとんど明らか紅されていない. 良品質果の生産にあたっては,その基礎として,まず,果実の発育後期に.おける果実への,炭水化物の供給メカ .ユズムについて.明らかにすることが豪要と考えられる. 本研究でほ,手はじめとしてモモについて,・1966年と68年にニ,三の観察を行なったので,結果の要点を報告す る小 本研究は宮武健(香川県綾歌農改普及所),藤原俊一・(兵庫県加西農改普及所)の両氏の協力を得た.ここに謝意 を表する次発である。. なお,本報告の要旨は昭和43年の園芸学会秋季大会に・おいて発表した。 ⅠⅠ実験材料および方法 1… 枝 別 処 理 材料には,香川大学農学部付属農場大宮果樹園の,モモ大久保の成木(18年生)を用いた.1966年6月13日に主 に結果枝別に,1果当り20莫区,同環状剥皮区,10葉区,摘葉区の計4区を設けた‖ 試験区ほ必要数以上の葉を摘 除して,設定した.処理の6月13日ほ貨3生長期の初めにあたっており,20葉区ほ,普通1果当り15−20葉が必要 (8,10,15) とされているので,このことを考慮し,標準の意味をも含めた.実験紅は1区当り20果を供試した小 処理始期と成熟期(7月15日)に果実の縦径,横径,側径を・測り,この3径を乗して大きさ指数を男出した.処 理時に.15果をとり,この大きさ指数,垂鼠,成分の調査を行なった。第1表の6月13日の果径ほ着生異についての 測定値で,果重,果肉頚は着生果の大きさ指数と,採取果の大きさ指数,果乱果肉頭より比例配分によ・つて求め たものである.成熟期に.ついてほ果実の各部盛,硬度,成分の調査を行なった.. 2.仝 樹 処 理 材料にほ,農学部果樹籍1研究室の実験圃場において育成の,鉢植のモモ大久保の若木(4年生)を用いた. 1968年の6月15日または同29日に摘菓した区と若葉区の計3区を設けたい1区…3樹,1掛=約15果としたい 6月 15日は第3生最期の初め,6月29日はなかばに・あたっており,貸3生長期の前半期と後半期における其の作用紅つ いてみようとした.. 処理始期と成熟期(7月16日)に前記の枝別処理の場合と同様に果径を測り,果実の大きさ指数を算出した..第 4表の処理時の果垂,果肉垂は枝別処理におけると同様紅,比例配分によって求めた小 処理時と成熟期に果実の水分(筒法),糖度(屈折糖度封),酸盈(0.1ⅣNaOH滴定,ニリンゴ酸),還元糖,仝糖(

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香川大学農学部学術報告 10 sHAFFER・SOMOGYI法,加水分解両糖液50ml+0.1NHCl15ml,1000C,30分)を調査した”硬度は成熟果につい て\二≡木式硬度計NO,3(径8〝卯朋)に.よって測定した 摘某処理時より成熟期の間の1果紅おける成分の増減を比較するために,果肉壷へそれぞれの成分率を乗じて, 総藍を算出した ⅠⅠⅠ実 験 結 果 1.枝 別 処 理 処理時と成熟期の果実の大きさ,壷屋腰第1表のようで,果径,果垂とも紅処理後の増加は20葉環状剥皮区が最も 第1表 英数別処理始終期の果実の大きさ・墓盛 核 壷l果肉蛮l果肉率 横 縦珊径l . ダ 」 % 1≡蓋:2‡…雲:去

椚慧舶

4.051 4.191 79.4 4−68 061 6.08】 237.3 6 小堀 4 6 含:3…一 言:芸…l2喜子:… 46 頸﹂矧﹁ l 1 . 4 引﹁矧叫 94 46 宝2】2呈呈:芸 4..53】 92 優れ,20共甚,10某区,摘葉区の順を示したが,摘築区でも予期紅反して相当の増加をみたい環剥区の果実の発育

(4) の良好なことは飯塚も観察している.処理時の果実の大きさ指数に対する成熟期のそれは,20葉区・・r約3倍,摘菓

区・・n約26倍を示し,摘薬品の方がやや少ない程度に過ぎない(籍1図)・果壷,果肉蛮もこれと同傾向を示した 果実の成分は箆2表のようで,楢葉区ほ水分率がやや高く,糖度が幾分 低い程度に過ぎず,酸率にほ差がみられない.なお,20葉環剥区の成分は. 20葉区と同程度であった. 第2表 葉数別成熟果の成分 果実大きさ指数︵比数︶ 毎 硬度l水%分償Ⅹ震l酸%皇【甘味比

葉 諾 葉 菜

区 区 区 区 算1区Ⅰ英数別果実発育屈 (処理時−6/13−を100とする) 20柴区と硝薬l真の間にほやや差がみられる程度で,摘柴区で敗他部よりの炭水化物の移行がうかがわれる. 2.全 樹 処 理 (1)果実の生長 処理時と成熟期の果径,果実の大きさ指 数は第3表のようで,縦,横,側の3径 とも摘発区は,その増加がいちぢるしく 劣った小 試験区で処理時の大きさ指数がある程度 異なるので,処理時を100とした比数で示 すと,第2図のようである。すなわち,6 月15日摘葉区は成熟期までの間に約1い6倍 大となったに.過ぎないが,若葉区はこの間 第3表 果径の増加状態 縦 径l坊 径】側 径‡大きさ ()m l C机 I Cm 65.3 72.3 4.841103.5 6ノ′29槻区】淵 132.1 179.7

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算21巻 通巻籍48号(1970) 11 紅約3.4倍大となり,また,6月29日摘葉区ほ成熟期までに 約1.04倍大,若葉区は約2..1倍大となった. なお,摘葉区は処理後5∼7日目より落果を生じ,とく に.6月15日硝薬区でほいちぢるしく,落果率が約45%に遵 した..6月29日摘葉区では落 果は比較的少なく,着窯区の 2倍程度に過ぎない.このよ うな落果ほ枝別処理では全く 生じなかった (2)成熟果の垂逼と成分 成熟果の亀虫と成分率ほ凝 4表のようで,処理後の果肉 垂の増加は6月15日摘発区の 約21ダに対して■,着兼区は約 120タを示し,若葉区の方が 約6倍大であった.この果肉 速の着菜l星の方が増加のいち ぢるしい傾向は,6月29日の 摘薬の場合でも同様で,若葉 l;1三 :モご乙 ,716 ヽ▼ = ′ %硝薬 算2匪l果実の発笥状態 ,戸主 クー占 」 . J %硝薬 諾3図 落果率 第4表 成熟米の意愚 と成分率 還糖非糖

欝1尿管蛮l果安率l驚愕用張l腎‡甘叫豪l管!管

5:言一別1≡:… 61 . 44 14 〇〇

3.44 1.86

3‖62.7‖05 8.19110 03↓54 7180 6260 l ㍑︷3・598・19 …左:書i雲:… 2 4 1 功〟 6 0 3 96 1.35 3 1 1 38 0 ∴..、 ……:書11至二冨

三.:;:::ニ;こj;−.三∴ミご ジ.ミ.ミミ.ご1

7丁昌一……:宇 1真が約3倍大であった.成熟果の水分率ほ着葉区よりも捕薬店が7ハー8%高く,仝糖率ほ逆に約7%低い・つま り,摘要区の果実は小形で,はなはだ甘味の乏しい状態であった・ 第5表 1果中 の成分鼠 水 分l乾 物l酸 蕊l還元糖 クlダ

ニきlミ、モ、、、1.・.〕二

ダ l タ

趨」過

6/15 7/16 00 引力 32 α訓J訓 35 2.4 118 7 ■【 γ 諾て打訂悉「セ悉 淵1…Z二冨 6′/29 7/16 星乳 82 541弘 理1摘葉区 次に,1米Lいの成分も套をあげると,籍5衣,雄4,5図のようである すなわち,6月15日と29日の両摘基区とも,処理時一一成熟期の問の果肉垂の増加はほと人ど水分の増加によって おり,乾物はむしろ減少している…第3生長期前に・おける1果中の全糖鼠ほ約25ダに過ぎないが,第3期の1カ月 間にいちぢるしい増加(約13..0ダ増)をみている,.この第3期における糖の増加は,この期の前斗ではゆるやか で,後半で急速である.摘基後の仝糖嵐は6ノ」15日および29日の両摘葉速とも,やや減少を示している・

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香川大学農学部学術報告 12 0 0 0 0 2 0 8 6 1 1 患 罷︵g︶ 40 20 %処理 %処理 算4図 果肉申の水分・乾物の増城蛮 算5区Ⅰ果肉中の全糖の増減重 IV 考 察 (17)

TUEEYは,モモの果実の貸1生長期ははば−・定しており,成熟期の卑,中,晩は第2生長期の長短できまると述 (18) (1)

ぺているが,三木は第3生最期も品種,つまり熟期の早晩ではなはだ相違することをみている.ADDOMSは,モモは 落花後3週間以内に細胞分裂がゆるやかになり,30日目に.ははとんど停止して,以後の果実の生長(主に.第3生長 (12) 期)は細胞の容積の増大によることを観察してこいる、LILLELANDは,モモの果肉壷ほ成熟果の約94%を占め,成熟 前の20∼40日の間に大きさの3分の2の生長が行なわれ,全固形物の少なくとも50%は最後の短期間に.増加するこ (3) (14) とを,BLAXEらやNIGHⅠINGALEらは成熟につれて急に.変化する硬度,細胞膜の化学的組成の変化について報告して いるりモモの果実の外部および内部成長,成分の消長についての研究は比較的多いが,それらを通毘するに,箆3 生長斯に最大の果実容硫の増大と内容の充実の行なわれることは−・致している.次紅,某と果実の関係では,新津 (1年) (18) ・梶浦,およびWEINBERGARは仝糖とくに非還元糖の増加と葉数の増加の間に.ほ,ある点まで関係のあることを認 めており,酸ほ1果当りの基数の少ないときと,多いとき把.増加している。なお,英数の少ないときは.熟期が遅れ (8,10) るので,同時採収の場合にほやや未熟状態にあるとしている.英数(莫面樅)についてこの研究も多いが,それらほ. いずれも概括的なもので,生長期別に必要な炭水化物の供給という立場からみたものほ認められない. 本研究でほ,枯葉法で第3生長期に.おける炭水化物の給源,換言すると,この期に果実がはなはだ多良に必要と する炭水化物は,この期に葉で造成したものだけなものか,あるいはこの前期(第2生長期)に樹体内に蓄わえら れた炭水化物の移行もあるものなのか,について究明を試みた.その結果,全樹摘莫でほ第3生長期に果肉が必要 とする炭水化物は,はとんどこの期に乗で造成したものであることが認められた.生長のゆるやかな弟2生長期に (7) 柴で造成の炭水化物は主に.どこにゆくかであるが,それは核の木イヒに用いられていると考えられ,KRIEDEMONNは 14Cを用いてニ,第2生長期紅葉で造成した炭水化物ほ多く抒へ移行することを観察している. 枝別の摘柴でほ,果実の肥大,品質とも標準紅やや劣る程度に過ぎず,全樹摘柴とはいらぢるしく趣を異にした が,これは摘菓枝の近くの築から炭水化物が移行したためと考えられる. 結論として,モモの果穿が第3成長期に必要とする多愚の炭水化物は,はとんどこの期に葉で造成されたもので あるともいえる.栽培上,良品質果の生産のためには,弗3生長期の葉の作用をできるだけ良好に保つことが重要 で,もし天候不良などで葉の作用が抑えられるならば,それだけ品質が不良となろう. Ⅴ 摘 要 モモの果実の算3生長期(急速な肥大と糖の増加期)紅おける炭水化物の給源紅ついて,摘業法把.よって研究を 行なったい 第3生長期における全樹摘葉では,果実の肥大がいちぢるしく緩慢となり,糠の増加ははとんど認められなかっ た.すなわち,発3生長期における果実の肥大や糖の増加は,主紅この期に柴で造成の炭水化物によってなされる こ.とが観察された‖ なお,箆3生長期における結果枝の摘葉では,果実の肥大や糖の増加は着丈枝の果実よりやや劣る程度であった.

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弟21巻 通巻算48号(1970) 引 用 文 献 (1)ADI)OMS,Gl.T.:Ⅳい.′りAgγよ\且方外.5ね.,507,3−19(1930)・ (2)BLAKE,M.A.:Pγ〃CいA桝β7り5∂C.肋γf…Sc壷\22,29−39(1926) (3)BLAXE,M.A.,DAVZDSON,0…W.,ADDOMS,R.M.and Gn T.NIGHTINGAL苫:N.]りAgril・Ex♪t・ 5fα‖525,3−25(1931). (4)飯塚仲平:園芸の研究。10,53−65(1914)・ (5)JoNES,Ⅰ.D=:P㌢¢¢.A桝♂γ.5鋸.肋γ才い5cよ\28,6−11(1932)

(6)JACKSON,D。L.and BりG.CooMBE:Aust.7.Agri”Res.17,465一−477(1966)u

(7)ⅩRIEDEMONN,P.Eu‥A〟∫才..J.Agγ≠・点錯・1g,775−・780(1968)・ (8)黒上泰治:果樹園芸新講。149−156,東京,朝倉書店(1948)・ (9)果上泰治:果樹園芸各論上巻。192−−197,東京,養賢堂(1958)・ は功 小林章:果樹園芸総論。414−419,東京,養賢堂(1954). (11)LILIELAND,0.‥Pγ〃C・A桝βγ・ふ邦㌦j箭〝プ・5烏・27,237−245(1930)・ (1功 LIILELAND,0り‥タグ軋A〝Zeγ・・50C巾肋〟・5cオ・29,8−12(1933) (13)三木泰治:千葉高等園芸学校学術報告。6,1−・34(1932)・ u4)NIGrlTINGJALE,G.T.,ADDOMS,R・MいandM・A・一BLAKE:N・/…Agri・Exbt・Sta・494,24−32(1930)・ 個 新津宏,梶浦実:園芸の研究。27,83−92(1931) (1Q 新津宏,梶浦実:園芸学会誌。5,34−40(1934) (17)TuEEY,H・B・‥Pれ汀一・A∽〝∴5伽・・月初げ・5b・30,209−218(1934) (18)WEINBERGER,J・H・andFいP・CuLLINAN:Pror・Amer・Sorl・Hort・Sci・29・23−・27(1933)

STUDIES ON THE FUNCTION OF LEAVESIN THE LATTER HALF PERIOD

OF FRUIT GROWTH SEASON

l.On the development of peach fIuits

MasayoshiAsHIZAWA and ToshiakiCHUJO

SⅦmmary

Theobjectofthepresentinvestigationistoknowthefunction ofpeachleaves on fluit develop・

mentinthelatterhalf period of fmitgrowth seasonin which the fmit enlaIgeSmOStraPidly andit

isgenerally cal1edstageIIIoff川it development・

Whenalltheleaves of the tree were removed at the beginnlng and the middle of stageIII,the

enlargementofthefruitwasretardedremarkably and the accumulation of sugarsin the fmit was

little.Therefore,it seem早thatthefinalswellofpeachisgIeatlyowed tothe carbohydrate production of theleavesin this period

However,Onlytheleaves of t)earingshoots were removed,the fmit enlargement and the suga工 accumulation was affected alittle.It seems that theleaves of non・bearing shoots have also a function Of developlng fruits.

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