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HOKUGA: 技術開発における大学・TLO・メンターの役割 : アメリカとの比較考察

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Academic year: 2021

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全文

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タイトル

技術開発における大学・TLO・メンターの役割 : アメ

リカとの比較考察

著者

堤, 悦子

引用

北海商科大学論集, 1(1): 67-79

発行日

2009-11

(2)

67

技 術 開 発 に お け る 大 学 ・TLO・

メ ン タ ー の 役 割

一 ア メ リカ との 比 較 考 察一

1は

じ め に

日本 は、 他 国 に先 駆 け て少 子 高 齢 化 が 進 んで い る0今 後 どの よ う な方 向性 で不 況 を克 服 す るか と い う課 題 を考 察 す る に あ た り、 ます ます 需 要 が 高 ま る 医療 産 業 の う ち先 進 的技 術 開発 で得 た テ ク ノ ロ ジー を利 胴 した医 療 機 器 産 業 へ の シ フ トを考 え る余 地 が あ る よ う に思 わ れ る。 とい う の も、 露本 は長 年 培 って き た高 い技 術 力 で完 成 度 の高 い製 品 を製 造 して甫 場 に 出す 能 力 を膚 して い る か ら で あ る。 今 まで 医 療 機 器 は企 業 が 積 極 的 に手 を 出 そ うと しな い領 域 だ っ た。 医療 行 為 は 入体 を侵 襲 す る の で 薬 事 法 上 の 多 くの 規 制 を して い る、 マ ー ケ ッ トサ イ ズが 合 わ な い 、他 の領 域 で成 功 してい る か ら あ え て不 確 実 性 の 高 い医 療 機 器 を選 ば な い とい っ た こ とが 手 を 出 そ う と しな い理 由 と して考 え ら れ る。 しか しサ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン に よ る世 界 問 時不 況 で 、 露本 が諸 外 国 に比 べ て大 き くダ メ ー ジ を 受 けて い るの は 、外 需 依 存 型 の産 業 構 造 に 原 困が あ る。 そ こ で 国民 に と っ て必 要 な先 進 的 医療 機 器 開 発 へ 軸 足 を シ フrす る こ とで 、老 齢 化 に よ る 医療 サ ー ビ ス の ニ ー ズ の高 ま りの ゆ で 国 内 的 に も新 衛 場 を 開 拓 し、 特 許 登 録 で 国 際 競 争 力 の あ る機 器 の 輸 出 拡 大 を 期 す る と い う もの で あ る1>。 す で に 人 を侵 襲 す る こ とが 少 な い大 型 診 断機 器 と高 い技 箭 力 を もっ た フ ァイバ ー ス コ ー プ 内視 鏡 は 、例 外 的 に 躍本 が 競 争 力 を有 して きた 。 しか しこ う した 侵 襲 性 の低 い 機 器 に 限 らず デ バ イス ラ グ2)を 生 じさせ ず に 日本 の 患 者 に最 先 端 の 治療 行 為 や予 防診 断 を享 受 させ る とい う視 点 及 び 、 医療 周 辺 の 産 業 か ら生 じた利 潤 を 日本 に還 流 させ る とい う趣 旨 で 、 繊本 で先 進 的機 器 が 開発 さ れ る こ と は 、 産 業 の維 持 と●Rの 健 康 を一 挙 に実 現 す る とい う意 味 で有 茎 に な る と考 え られ る。 本 稿 で は新 産 業 を 検 討 す る際 に必 要 な先 進 的 技 術 の 曙発 に 、大 学 は い か に 関 わ っ て きた か を記 述 す る 。特 に2004fi[O 立 大 学 は独 立 行 政 法 人 と な り変革 しつつ あ る。 企 業 が 不 況 でi発 力 を低 下 させ て い る一 方 で 、大 学 発 の シ ー ズ に 琶が 向 け ら れ 、大 学 の 中 あ る い は近 隣 に技 術 移 転 機 関(TLO>が 構 築 され た3>。 大 学 内 に は、 大 学 内 に眠 っ て い る はず の知 的財 産 を顕 在 化 す る知 的財 産権 本 部 が 学長 の 鷹属 の機 関 と し て欝 築 され た 。 さ ら に技 術 移 転 機 関 で あ るTLOは 「知 的創 造 サ イ ク ル」 の 原動 力 と して 産 学 連 携 の 巾核 を な す 存 在 を揚 う は ず だ った 。 と こ ろ が 実 際 は 低 迷 を続 け 、北 海 道TLOは 解 敬 を宣 言 す る に至 っ て い る。 そ こ で 、 ア メ リカ の大 挙 の うち最 も成 功 した ス タ ンフ ォー ド大 学 お よ び シ リコ ンバ レー ・バ イ オ テ ッ クベ イ の例 を考 察 し、低 迷 を は じめ た 日本 の大 学 発 ベ ンチ ャ ー企 業 は ア メ リカ と どの よ う な点 で 異 な る のか 、 どの よ うにす れ ば い い の か に つ い て 、技 術 移 転 機 関 の役 割 を 中心 に再 検 討 す る こ と とす る。

ス タ ンフ ォー ド大 学 の 実践 的取 り組 み と地域 との 連携

ア メ リカの 大 学 の 歴 史 は古 い。 まず建 国前 か らア メ リカ を統 治 す る た め に 赴任 した行 政 蜜 の子 女 育 成 用 に リベ ラ ル ア ー ッ 中心 の私 立 大 学 の 設立 が 始 ま っ た 。東 海岸 の ボ ス トン周 辺 に は 、最 古 の大 学 と さ れ るハ ーバ ー ド大 挙(1636年 創 立)を 中心 に学 衛 機 開 が 集積 し、 さ らに い わ ゆ る 産 業革 命 を

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経 て 実 学 を学 ぶ た め の 弼 立 大 学 が 生 まれ た。 東 の こ う した エ ス タ ブ リ ッ シ ュの た め の 私 立 大 学 に対 抗 して 、 西 海 岸 に 設 立 さ れ た の が ス タ ン フ ォー ド大 学 で あ る。 創 立 者 で あ る リー ラ ン ド ・ス タ ン フ ォ ー ドは、 ゴー ル ドラ ッ シ ュ聴 代 の 金 鉱 霞当 て の 由師 を相 手 に した 食 料 贔 店 主 か ら身 を起 こ した 企 業 家 で あ る。 彼 は後 に ア メ リ カ大 陸 横 断 鉄 道 の 建 設 を推 進 したx家 グ ルー プの 一 人 とな り、 さ ら に カ リ フ ォ ルニ ア想 知 事 を務 め 、1885年 に 共 和 党 か ら合 衆 国 上 院 議 員 に当 選 し、 同 時 に この 大 学 を閣 講 した 。 そ の 大 学 名 は 、 大 学 進 学 を 薮前 に圭6歳で 腸 チ フス の た め に 天 折 した 同 氏 の 一 人 息 子 を 偲 び多 くの 子 弟 に 良 質 な教 育 の 機 会 を施 した い と い う趣 旨か ら、 リー ラ ン ド ・ス タ ン フ ォー ド ・ ジュ ニ ア 〈ス タ ン フ ォー ドニ 世)大 学 と命 名 され て い る。 彼 には 企 業 家 お よび 政 治 家 と して 「藩 部 地 域 、 特 に カ リ フ ォ リニ ア を発 農 させ よ う」 とい う強 い 思 い が あ り、大 挙 と地域 産 業 の 関係 に 焦 点 を当 て た 運 営 が 行 わ れ た 。1891年 の 全 学 創 立 集 会 で は 「人 生 は何 よ り も実 践 的 な もの で あ る 。 諸 君 らは 役 立 つ キ ャ リ ア を 身 に着 け る た め に、 こ こへ 来 た 」 と演 説 して い るAi。 つ ま リス タ ン フ ォー ド大 学 は 、 開 学 の 当初 か ら実学 璽 視 を志 向 し、研 究 成 果 は 、 実社 会 で 活 か され る こ とが 当然 とな っ て い た の で あ る 。 こ の ス タ ン フ ォー ド大 学 か ら、 ベ ンチ ャー 企業 の 第 一号 と して ヒュ ー レ ッ ド ・パ ッカ ー ド社 が生 まれ る が 、 そ の メ ン ター役 と して 活躍 した の が フ レ ドリ ック ・タ ー マ ン教 授 だ っ た。 彼 は 、 詞大 学 の心 理 挙者 の 息子 と して生 ま れ 、1920年 に 隅大 学 を卒 業 しマ サ チ ュ ー セ ッッ工 科 大 学 の大 学 院 に進 み博 士 号 を取 得 し た。 戦 争 中 ハ ー バ ー ド大 学 の 無 線 工 学lijf究室 に 軍 備 防 衛 の エ ン ジ ニ ア と してfib き、 ワシ ン トンに お け る 致府 の要 人 と の コ ネ ク シ ョ ンを深 め た。 戦 後 ス タ ンフx一 ド大 学 に戻 り、 学 外 の補 助 金 を競 っ て取 得 して工 学 部 へ 投 入 す る こ と を勧 め た。Ilj代は戦 後 の復 興 需 要 期 に入 っ て お り、 産業 は転 換 期 を迎 え て い た。 そ こ で多 額 の投 資 に よ る大 が か りな事 業 で 大 学 は活 性 化 す る と 考 え 、副 学 長 に就 任 した後 、大 学 全 体 に この 考 え を適 用 した。 純 輝 な学 術 領 域 を きわ め続 け て いた 教 員 は 、教 育 の独 立 性 を維 持 す べ きで あ る と反 発 し、 功 利 主 義 の 行 く宋 につ い て懸 念 を示 した 。 し か し、 産 業 界 や 宮 界 と密 接 に 連 携 す る こ と、 特 に 、 軍 事 ・塵 業 コ ン プ レ ッ クス 化 構 想 にス タ ン フ ォ ー ド大 学 自体 の ビ ジ ネ スチ ャ ンス をみ とめ 、 国 家 戦 略 に1司調 して 科 学 や 研 究 開 発 の 霊 要 性 を主 張 した。 古 典 や 一 般 教 養 な どの 学 科 よ り、 達 邦 政 府 の 資 金 を得 られ そ う な学 科 を優 先 させ 、 研 究 プ ロ グ ラ ムの 履 行 を担 当研ILT_iた ち にiF)iきか け た 。 こ う して 始 ま った 産 学 連 携 で 、 ス タ ン フ ォー ド大 学 は産 業 界 の 研 究 開 発 の 一 翼 を握 う こ と に な った 。 大 学 は あ た か も悪 海 岸 の 産 業 の ぎ麹 亡・に位 竃 す る 存 在 と な り、 そ れ まで 東 に 出て 学 ぼ う と して い た 学 生 を、 西 海 岸 に と どめ る こ と に成 功 した5)。 HPの 創 業 者 、 ビ ル ・ヒュ_Lッhと デ ビ ッ ド ・パ ッカ ー ドは1930'に ス タ ン フ ォ ー ド大 学 に 入 学 した 。 二 人 は購 じ専 攻 を将 来 的 に志 して い た た め授 業 で よ く顔 を合 わ せ 、 ア マ チ ュ ア 無 線 の 趣 昧 で つ なが りを持 ち友 好 関 係 を結 ん だ 。何 をす る か も決 ま らな い うち か ら意 気 投 合 し、 業 務 内 容 だ け 空 欄 に した 会 社 設 立 の た め の 定 款 を作 成 す る ほ ど起業 意 欲 が 旺 盛 だ った 。 当 時 は ウ ォー ル 街 の 大 暴 落 で 経 済 は 壊 滅 的 な 状 態 だ ったCも っ と もデ ビ ッ ド ・パ ッカ ー ドの 父 親 は 弁 護 土 と して 倒 産 会社 の 処 理 を して い た た め 金 銭 的 に は 葱 まれ て い た 。 しか し父 を継 ぐ等 で そ の財 産 を 当 て に す る の で は な く、 堅 実 な 学 生 生 活 と夢 の あ る 将 来 を構 想 して い た 。 一 方 ビル ・ヒュ ー レ ッ トは 、 ス タ ンフx一 ド 大 学 の 医 学 部 教 授 の 息 子 で あ っ た が 、 入 学 時 に は 父親 は す で に他 界 して い た 。 二 人 は学 部 に あ が る と ター マ ンの 教 え を乞 い 共 詞研 究 を 遂行 した 。 ヒュ ー レ ッ トは 、在 学 中 す で に音 響 発振 器 を 隣発 し た が 、MIT(マ サ チ ュ ー セ ッツ工 科 大 学)の 大 学 院 に 進 ん だ0パ ッ カー ドはGEに 就 職 した。 しか し ター マ ンは 彼 ら の機 器 がrhffi;に禺 れ ば 成 功 す る で あ ろ う とい う見 込 み を も っ て い た た め 、 ま ず

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技術 開発 にお ける大学 ・●i・ メ ンターの役 割69 パ ッカ ー ドにパ ロ ア ル トへ 艇 って くる こ と を勧 め 、 大 学 の 研 究 員 の ポ ス トを提 供 した 。 さ ら に、 HP創 業 にあ た って 大 学 内 に あ る ガ レー ジ を提 供 し、 初 期 費 用 と して538ド ル を出 資 した 。 この タ ー マ ン こ そ大 学 発 ベ ンチ ャ ー(成 長 性 のnい ス ター トア ップ企 業)の 生 み の親 で あ り、 メ ン タ ー だ っ た とい え る。 メ ン ター(mentor)と は 、 人 生 の 教 師 とい う意 味 で ギ リ シ ャ神 話 の 中 で 、 戦 地 に謹 くオ デ ュ ッセ ウ スが 息子 テ レマ コス を老 賢者 メ ン トル に委 ね た故 事 に 由 来 して い る。 パ ッカ ー ドの 自叙 伝 に よれ ば 、 ター マ ンは 、 パ ッ カー ドにGEの 退 職 で は な く、休 職 を促 して研 究 員 と して の ポ ジ シ ョン を提 繰 した とい う。 日本 同 様1930年 代 当 時 の ア メ リ カは 不 況 で 、 大 企 業 中心 志 向 は根 強 か っ た6)。 彼 ら は、 タ ー マ ンの 暖 か い 助 書 と磐 石 な セ イ フ テ ィー ネ ッ トを提 供 され て 、 測 定 用 の 新 型 音 声 発 振 器 で あ る200Aの 第1号 を完 成 させ た。 もっ と も最 初 の製 晶 は 料 理 用 の オ ー ブ ンで パ ネ ル を焼 き 出 した シ ンプ ル な もの だ っ た。 しか し学 生発 の 企 業 は 話 題 を よ ん だ。HPの 技 術 は 軍事 用 か ら始 ま った が 、 デ ィズ ニ ー 社 の 目 に と ま り映 画 へ 転 用 され た 。 デ ィズ ニ ー は 、 モ デ ル チ ェ ンジ した 発 振 器 で ア ニ メ ー シ ョ ン映 画 「フ ァ ン タ ジ ア 」 を作 成 して 世 界 的 な ヒ ッ トを 遂 げ 、HPと と も に 飛 躍 的 に 成 長 した 。 さ ら にHPは1粥 発 中の 技 徳 を医 学 、 防 衛 、 地 球 物 理 学 に応 用 して い っ た 。 こ う して み る と大 学 生 の シ ーズ か ら発 展 したベ ンチ ャ ー企 業 第1号 例 に は、 成 功 へ の 意 國 的 な演 出 と ア ン トレ プ レ ナー に セ イ フ テ ィ ー ネ ッ トが 敷 か れ て い た こ と を特 徴 と して い る。 これ は ター マ ンが 考 え 出 した もの で あ る。 す な わ ちHPの 創 業 者 とス タ ン フ ォー ド大 挙 自体 に対 す る メ ン ター と して 、 タ ーマ ンが 果 た した役 割 は大 きか っ た とい え る。1955年 に は タ ー マ ン 自 身が ス タ ン フ ォー ド 大 学 の副 学 長 に な り、成 長 を 遂 げ たHPの 支 援 を受 け 、 ス ター トア ッ プサ ポ ー トプ ロ グ ラ ムが 作 り 上 げ られ た 。 優 秀 な 大 学 院 生 を競 合 す る 他 の 大 学 院 よ り も厚 待 遇 で 迎 え 、 ター マ ン 自 らの 資 産 を 使 っ て 大 学 院生 に 財 政 支 援 を行 う な どの 工 夫 を した 結 果 、 ス タ ン フ ォ ー ド大 挙 の 求 心 力 は 高 ま っ た。 設 立 者 の リー ラ ン ド ・ス タ ンフ ォー ドが 大学 の 敷 地 の 売却 を禁 じて い た た め 、 地 元 の ビジ ネ ス 創 出 を促 進 させ る 方 策 と して 、 り一 ス 貸 し を行 う イ ン ダス トリア ル パ ー ク も建 設 され た 。 そ して ス ター トア ップ企 業 が ス タ ンフ ォー ド大 学 の 教 職 員 を コ ンサ ル タ ン トと して 活 屠 で きる よ うに す る プ nグ ラム や 学生 の イ ン ター ン シ ップ や 就 職 の 機 会 拡 大 の た め に 、 各種 の プ ロ グ ラム が 立 ち 上 げ られ た 。 学生 の 起業 へ の 関 心 は 高 ま り、 工 学 部 、 経 営 学 部 、 医 学 部 、 法 学 部 をは じめ 技術 移 転 機 関 で あ るOTL(Of翫eofTechnologyLice臓sing7/)や コー ポ レー ト ・リv一 シ ョン ズ ・オ フ ィス 等 が 設 置 され 、 具 体 的 な 紺 象 を絞 った 教 育 ・研 究 ・イ ン ター ン シ ッ プ な どの プ ロ グ ラ ムが 設 け られ た0ま た 起 業 に焦 点 を当 て た い くつ か の 学 生 ク ラ ブが 結 成 さ れた 。 こ う してパ ル アル トを 中心 に シ リ コ ンバ レー ∼ 帯 は 、 キ ャ ンパ ス で あ りな が ら3240ヘ ク ター ル に も及 ぶ イ ン ダス ト リア ル パ ー ク とな って い った の で あ る。 土 地 を長 期 間企 業 に リ ー スす る とい う手 法 は、 企 業 に と っ て も経 費 軽 減 の メ リ ッ トが あ る。 そ こ で ヴ ァ リア ン ・ア ソ シエ イ ッ を 皮 切 りにGE、 イ ー ス トマ ン ・コ ダ ッ ク な どの 既 存 企 業 も進 出 して きた。 つ ま リ ター マ ンの 貢 献 とHPの 成 功 が 、 ス タ ン フh一 ド大 学 と企 業 と の産 学 連 携 の 方 向 性 を 築 い て い っ た の で あ る 。 大 学 院 で は1925年 の 設 立 以 来 ビジ ネ ス指 向 型 の 「ス タ ン フ ォー ド ・コ ン ピュ ー タ ・イ ンダ ス トリー ・プ ロ ジ ェ クhJと い うプ ロ グ ラ ム を提 供 して い る。 さ らに大 学 と産業 界 と の 交流 が推 進 され 、 地 元 企業 だ け で な く国 際 的 な 企業 な ど も参 加 した 。 そ の 上 に 第一 線 で活 躍 す る 人 た ち が 教壇 に 立 ち 産業 界 と大 学 の 関 係 が 促 進 され る とい う、 ビジ ネ ス の 連鎖 と利 益 の循 環 が 生 じた 。 ウ ィ リア ム ・ミラ ー は 、 シ リ コ ンバ レー 発 展 の 歴 史 を、 フ ェー ズ 毎 に区 分 して 特 長 を分 析 して い る 。1890∼1940年 は 、 ラジ オ の 真 空 管 の 発 展 が シ リ コ ンバ レー に大 き く貢 献 した 。 フェ デ ラル ・テ

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レ グ ラ ムは 真 空 管 か ら始 ま り、 放 送 局 の 運 営 に まで 事 業 を拡 大 した 。 惑 時 は 真 空 管 関係 か 農業 関 係 の 会 社 が シ リ コ ンバ レー の 中 心 で あ っ た 。 そ れ が194060年 に は 真 窒 管 を応 胴 した 電 子機 器 や 防 衛 産 業 が 発 展 し た時 期 にHPが 生 まれ た。 さ ら に シ リ コ ンバ レー の変 遷 と と もに 、 ス タ ン フ ォー ド大 学 で も研 究 や 教 育 の あ り方 に 変 化 が 起 こ った 。 す な わ ち 研 究 機 関 で あ る 大 学 と地 域 産 業 が よh関 係 性 を深 め た とい う。 穀 しい テ ク ノ ロジ ー が 生 まれ れ ば 、 経 済 的 な恩 恵 を 地域 に もた らす こ とに な る た め 地 元 産 業 の 研 究 開 発 ネ ッ トワー クが 、 そ の テ ク ノnジ ー を活 用 して 地 元 で 商 品 化 を進 め る 。 地 域 産 業 は 、 拡 散 と投 資 に よっ て テ ク ノ ロ ジー を さ らに 活 用 す る 。 大 学 ・研 究 機 関 が テ ク ノロ ジ ー を 創 出 し、 地 元 で 事業 化 され る 。技 術 移 転 に は 受 け 手 と送 り手 双 方 の協 力 が不uJ欠 な もの とな っ て 連 携 が 促 進 され た 。 ター マ ンは 、 戦 争 中 は 軍 用機 器 の 閥 発 に携 わ り、 ワシ ン トンの 致 界 に 豊cnな 人脈 を形 成 して い た 。 そ の 人 脈 を活 か して 、 政 府 か ら大学 や 地元 企 業 に 多 くの 事 業 が もた ら され る よ う に した 。50年 代 に は 航 空 、 宇 宙 、 電 子 の 分 野 に お け る 圃 防 プ ログ ラ ム に よっ て 隅 地域 の 産業 は大 き く成 長 した 。 また シaッ ク レー研 究 所 の ロバ ー ト ・ノ イ ス らが フ ェ ア チ ャイ ル ドを 築 くな ど、研 究 開 発 型 のベ ンチ ャー が 多 く集積 した 。 そ して さ らに 、IBM、NASA、Xeroxと い っ た 大 企 業 の 研 究 部 門 が 、 次 々 と この 地 域 に移 転 して きた 。 サ ンフ ラ ン シス コを 南下 した 一帯 が 、 半 導体 の 需要 ラ ッ シュ を受 け て エ レ ク トロ ニ クス の導 門 誌 で 「シ リコ ンバ レー 」 とい う11」び 名 で紹 介 され 、今 日の 原 型 が ほ ぼ 園 まっ た 。 シ リ コ ンの後 は コ ン ピュ ー タ、1980年 代 に は コ ン ピュ ー タ ネ ッ トワ ー キ ング ・ ラ ッ シ ュ 、 そ して 一 時 の 低 迷 を経 て最 近 の ソ フ トウ ェ ア 、 イ ン ター ネ ッ ト ・ラ ッ シ ュ とい っ た形 で 、 大 規模 だ が 素早 い 変 貌 を 繰 り返 して い る 。 イ ノ ベ ー シ 簑 ンに よっ て先 導 さ れ た 自律 的 な産 業 の 転 換 が お こっ て い る の で あ る8)。 ス タ ン フ ォ ー ド大 学 を 中心 に した 同 地 の 産 業 力 の 競 争優 位 性 に つ い て 、Clarkら は 「モ ジ ュ ー ル 化 」 と い う理 論 で 分 析 して い る9)。 例 え ば シ リ コ ンバ レー で は、 部CI17[7(モジ ュ ー ル)の 擾 合 部 が 標 準 化 して い て 、 こ れ を 寄 せ 集 め れ ば多 様 な3ffipがで き る 「組 合 せ 型(モ ジ ュ ー ル 型)」 の ア ー キ テ ク チ ュ ア を 基 本 とす る 産業 が 強 み を持 つ と分 析 した。 シ リ コ ンバ レー の企 業 は 、事 前 の擦 り合 わ せ を 不 要 とす る 工 夫 を した 上 で 、部 贔 や事 業 を柔 軟 に組 み換 え イ ノ ベ ー シ ョ ンに結 びつ け た。 こ う した モ ジ ュ ー ル 化 が 進 ん だ こ とに よ り、ai=≫の領 域 に特 化 して 開発 を進 め る多 数 の ベ ンチ ャ ー企 業 が 生 まれ た 。 そ して ベ ンチ ャ‐^r_-fFalの活 発 な 開発 競 争 あ る い はベ ンチ ャ ー企 業 と既 存 企 業 の粗 互 協 力 に よる発 展 の メ カ ニ ズ ム が生 まれ た の で あ る。 シ リコ ンバ レー ク ラ ス タ ー に お け るモ ジ ュ ー ル 化 こ そ 、 特化 した研 究 開 発競 争 に お け る ベ ンチ ャ ー企 業 の箪 幽 の契 機 を促 した と い え る。 企 業 の 中 核 に ス タ ンフ ォー ド大 学 とい う 人樗 と シ ー ズ をF'-ifT;;する 強力 な イ ンキ ュベ ー タ ーが あ り、 リ ス クマ ネ ー とマ ネ ジ メ ン トの ノ ウ ハ ウ を提 供 で きるベ ンチ ャ ー キ ャ ピタ リス ト、 そ して 自 身の 創 造 的 な 開 発 技 術 を売 りに 大 企 業 と渡 り合 う ア ン ト レプ レ ナ ー とい っ た プ レイ ヤ ー に よ っ て 地 域 全 体 の モ ジ ュ ー ル が 更新 さ れ続 け た。 こ う したベ ンチ ャ ー企 業 成 功 の 現 象 は、 キ ャ ピ タ ル ゲ イ ンの 循 環 、 ベ ンチ ャ ー キ ャ ピ タ ル、 法 律 事 務 所 、 会 計 事 務 所 等 の ビジ ネス イ ンフ ラの 集 積 とみ る こ と もで き る が 、何 よ り もそ こ に集 う人 に着 目 した い。 す な わ ち知 識 集 約 的 な ネ ッ トワ ー クが 築 か れ 、 地 域 の 中 で 緊密 な情 報 の共 有 が行 わ れ る コ ミュ ニ テ ィが 形 成 さ れ る。 ベ ンチ ャ ー キ ャ ピ タ リス トらが 厳 しい 選 霧 のCIを 光 らせ 、企 業 に競 争 と い う プ レ ッシ ャ ー をか けつ つ 、 分 散 化 したモ ジ ュ ール 瞬士 をつ な ぐ役 割 も演 じる 。 ア ン トレプ レナ ー に とっ て 、 ネ ッ トワ ー ク は迅 速 で 膨 大 な情 報 の 入 手 を罵 能 と し、 ま たXlr規事 業 が うま くい か な か っ た場 合 も、 最 小 限 の リ ス クで 次 回へ の 挑 戦 を可 能 に した 。 経 済 地 理 学 の観 点 か ら シ リコ ンバv一 を考 察 す る ア ナ リー ・サ ク ソ ニ ア ン は、 東 の エ ス タ ブ リ ッ

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技 衛 開 発 に お け る 大 学 ・TLO・ メ ン タ ー の 役 割71 シ ュ との 対 比 で 、 西 海 岸 は多 様 性 を受 け入 れ 、 起 業 家 の 多 くが 移 民 で あ る こ と を指 摘 す る。 さ ら に ネ ッ トワ ー クは 失 敗 者 を排 除 せ ず 、 失 敗 か ら よ り多 くを 学 ん で い る た め 経 験 も買 わ れ て い る とい うioi。つ ま り地 域 は 、 た と え 失敗 した と して も、 再 挑 戦 者 を受 け 入 れ て い る の で あ る。 ノ ー ベ ル 賞 の 受賞 者 で あ る シ ョッ クL一 は、1956'に 、 東 海 岸 の ベ ル研 究 所 を辞 め て 故 郷 の 西 海 岸 に移 り、 シ ョ ック レー研 究 所 を開 設 した 。 す る と世 界 か ら優 秀 な 人 材 が シ ョッ ク レー に教 え を乞 い に集 ま っ て きた 。 も っ と も研 究 所 自体 は 内 部 対 立 で8人 が 辞 め て フ ェ アチ ャ イル ド社 を設 立 、 フェ アチ ャ イ ル ドは ス ピ ンア ウ トを奨 励 して い た の で 、ICを 発 明 した ロ バ ー ト ・ノ イ ス と ゴー ド ン ・ム ー ア が 後 に イ ン テ ル 社 を創 業 す る こ と と な っ た。 こ う し た ベ ンチ ャー 企 業 の 活 発 な動 きは 、 ベ ン チ ャー キ ャ ピ タ ル(VC)が 設 立 され た こ とか ら始 ま っ た。1950年 頃 、 東 海 岸 で は シ ー ズ は あ っ て も資 金 の な い ア ン トレプ レナ ー の技 術 を産 業 化 す るた め に、 連 邦 銀 行 の 頭 取 、 ハ ー バ ー ド大 学 の 経 営 学 者 らが 集 ま って 、 融 資 で は な く投 資 す る形 態 の 資 金提 供 を考 えつ い た。 彼 らは 身銭 を切 ってVC(ベ ンチ ャー キ ャ ピ タル)の 原 型 で あ るARD(ア メ リ カ ン ・リサ ー チ ・デ ベ ロ ップ メ ン ト)を 経 織 し た 。投 資 者 で あ るVCは 、 ス ター トア ッ プ企 業 を成 功 に導 くた め 、 そ の株 主 とな り徽 底 的 に マ ネ ジ メ ン トを手 伝 う。 嶺初ARDは なか なか 成 果 を あ げ られ な か っ た。 しか しMITの 技 術 者 が 起 こ した デ ジ タル エ ク イ ッ プ メ ン ト社(DEC)に 投 資 し、 新 製 品 で あ る ミニ コ ン ピ ュ ー タ が 爆 発 的 に 売 れ 急 成 長 した。ARDの 投 下 した 資 金 は、 そ れ ま で の 損 失 を カ バ ー して 余 りあ る ほ どの 毅 益 を あ げ 、 東 で は起 業 の ラ ッシsが 始 まっ た 。 しか し これ は 一 時 的 な ブ ー ム で 終 わ った の で あ る 。 サ ク ソニ ア ンは 、最 終 的 に ベ ンチ ャー 企 業 の 成 功 が循 環 して い る西 海 岸 の シ リ コ ンバ レー につ い て 、 民 族 の 多 様 姓 や西 の 旺盛 な独 立 心 に 依拠 して い る と労析 して い る 。VCは 東 か ら西 へ と移 った 。つ ま りシ ョ ッ ク レーが 菓 か ら移 っ た 時 に 、 ニ ュ ー ヨー クの 投 資 家 ア ー サ ー ・ロ ッ クが サ ン フ ラ ン シス コに 移 り住 み 、 シ リコ ンバ レー の ベ ンチ ャーへ の 投 資 に 専 念 した 。彼 は 、 フ ェア チ ャイ ル ド社 か ら さ らに ス ピ ン ア ウ トした イ ンテ ル社(ゴ ー ドン ・ム ー ア らが68年 に 設 立)に 投 資 した 。 ス テ ィー ブ ・ジ ョブ ズ と ス テT一 ブ ・ウ オ ズ ニ ア ッ クが ス ター トさせ た ア ップ ル 社 の ス ター トア ップ に も支 援 した 。1975 年 に150万 ドル を投 資 し、80年 の株 式 公 開 に よ りそ の 株 摘 評 価 額 は1億 ドル に達 した の で あ る。 そ の他 に も当 初 の 投 資額 が 数10倍 か ら300倍 に な っ た 案 件 が 含 ま れ 、 ロ ッ クの ベ ンチ ャ ー キ ャ ピ タ リ ス トと して の成 功 は確 固 た る もの と な っ た。ARDの 場 合 、組 織 をつ くっ た の は 東 海 岸 の エ ク ゼ ク テ ィブ らで あ り、 どち らか とい えば 篤 志 家 と してVCを ス タ ー トさせ た。 しか しロ ッ クは シ ョ ッ ク レー を 追 っ て 西 に移 住 し、 ベ ンチ ャー キ ャ ピ タ リス トと して の 能 力 を 開花 させ た 。 こ こにVC、 ア ン トレプ レナ ー 、 メ ン ター とい っ た プ レイ ヤ ー の 参 加 が み とめ られ る 。 そ の 中 で 最 も リス ク を負 っ て い る の が 、VCだ っ た 。 しか しシ リ コ ンバ レー で は、 成 功 の 連 鎖 が 起 こ って い た。 ク ラ ー ナ ー ・ パ ー キ ン ス ・コ フ ィー1Lド ・バ イ ヤ ー ズ社(獲)CB)は 、 フ ェ ア チ ャ イ ドの 設 立 メ ンバ ー で あ る ユ ー ジ ン ・ク ラ イ ナ ー が 転 身 して1972年 に設 立 したVCで あ る。 同社 はパ ー ソ ナ ル コ ン ピュ ー タの 先 駆 け と な っ た タ ン デ ム ・コ ン ピュ ー タ に1974年 、 バ イ オ ベ ンチ ャ ー の ジ ェ ネ ンテ ッ ク社 に!976 年 、 投 資 した。IT関 係 で は さ ら に 、 サ ン ・マ イ ク ロ シス テ ム ズ 社 と コ ン パ ッ ク社 に投 資 し(1982 年)、 薦 海 岸 で 最 も優 れ たVCと な っ た0さ らに ネ ッ トス ケ ー プ 縫 、 アマ ゾ ン ・ ドッ トコ ム を も手 が け最 大 手 のVCと な っ た 。 そ れ で は、 成 功 して い るVCに は どの よ う な特 徴 が み られ る の だ ろ う か 。 こ う した 人 た ち の 多 くがMBA保 持 者 と して経 営 の ノ ウハ ウに精 通 して い た こ と もあ る が 、 金 銭 的 な投 資 以上 に起 業 家 の 心理 的 な メ ン ターす な わ ち メ ン ター ・キ ャ ピタ リス トだ っ た とい える11>。 ITと な らび 競 争優 位 に あ る も う一 つ の 先 進 的技 構 で あ るバ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー で は 、 バ イ オベ ン

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チ ャー 第1号 の ジ ェ ネ ンテ ッ ク社 が ス タ ン フ ォー ド大 学 の 知 的 財 麗 権 を基 に して 設 立 され た。 そ の r遺 伝 子 組 み換 え技 徳 」 は 研 究 奢 の 隅 然 の 出 会 い か ら始 ま っ た 。 も と も と繊 翼酵 素 に 関 す る技 彬 を 持 って い たス タ ン フ ォ ー ド大 学 の ス タ ン レ ー ・コ ーエ ンが 、 プ ラス ミ ドを利 用 した核 外 遣 伝 子 技 徳 を持 って いたUCサ ン フラ ン シス コ校 の ハ ー バ ー ト ・ボ イヤ ー と学 会 のP会 で 隣 瞬士 に な った 。 両 者 が 自 身の 技 徳 を紹 介 す る う ち に、 自分 達 の 技 術 を組 み 合 わせ て 「遺 伝 子 組 み 換 え」 が で き るの で は な いか とい う話 が ま と ま り実 験 を始 め た。=s一 ヨ ー ク タ イ ムズ は この こ と を報 道 し、 これ を 読 ん だ 弁 理 士 の ニ ー)Lス ・ラ イマ ー ス は そ の 技 術 の 将 来 牲 を 見 抜 き、 特 許 化 す る こ と を助 需 し た12>。当 初 コ ー エ ン は こ うい っ た 技 術 を独 占化 す る こ と に難 色 を示 したが 、 特 許 化 して 安 く提 供 す る こ と こそ 技 術 の 発 展 に貢 献 が あ る とい う ラ イマ ー ス の説 得 に応 じた とい われ て い るCま た 当時 は多 くの研 究 者 が 、 酵 素 を利 用 してDNAを 切 断 して 、 別 の 部 分 と結 合 させ る遺 伝 子 組 み 換 え技 術 に懐 疑 的 だ っ た。 そ こ で 実験 が 行 わ れ た の で あ る。 さ ら に ク ラ イ ナ ーパ ー キ ンズ(VC)の キ ャ ピ タ リ ス トだ っ た ボ ブ ・ス ワ ン ソ ン は 、 この 技 術 こ そ産 業 界 に応 用 で き る もの であ る こ と を主 張 して ボ イヤ ー に起 業 を促 した。 ス ワ ン ソ ンの 思 惑 どお り、 ジ ェ ネ ン テ ッ ク社 は、 コ ーエ ン ・ボ イヤ ー特 許 を も とに遺 伝 子 組 み 換 え技 術 を使 っ て ヒ ト ・イ ンス リ ン と成 長 ホ ル モ ン を大 量 につ くる こ と に成 功 し、バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー の有 用 挫 を実 証 した。 これ が 契 機 とな っ て 、米 国 で はバ イ オベ ンチ ャ ー も多 く輩 出 され た 。 遺 伝 子 組 み 替 えの 基 本技 術 は 、 ス タ ン フ ォー ド大 学 の 理事 会(BoardofTrus-tees)を 通 じて 、大 学 の知 約 財 巌 と し て!974年 に 出願 され た13)。1980年12月2羅 に 米 国特S庁 は コ ー エ ン(StanleyN ,Cohen)と ボ イヤ ー(HerbertW.Boyer)の 発 明 に 係 わ る組 み 換 えDNAの 基 本 技 術 に対 して 、 米 閣特 許No.4,237.224[--](生 物 学 的 に機 能 す る キ メ ラ分 子 の製 造 法)を み とめ た。 こ れが バ イ オ 関連 特 許第1号 で あ る。 み とめ られ た の は基 本 特 許 で 、 まず73の 企 業 に ラ イ セ ンス され 、 ス タ ン フ ォ ー ド大 学 に 多 額 の 収 入 を もた らす こ と に な っ た。 以 後500社 あ ま りが ラ イ セ ンス を譲 り受 け 、大 学 に は2億5000万 ドル以 上 の収 入 が もた らさ れ た。 ス タ ンフ ォ ー ド大 学 の初 代 のOTLの 瞬 長 に 就 任 した ラ イ マ ー ス は 、 そ の ア ン トレプ レヌ リ ア ル な マ イ ン ドで 特 許 の 帰 属 自 体 に薪 天 地 を切 り開 い た。 とい う の もそ れ ま で大 学 で 開発 さ れ た新 技 術 も国 か らの予 舞 で行 わ れ て い た もの は 、個 人 や大 学 に知 的財 籠権 の帰 属 が み と め られず 、 国家 の もの とな っ て い た。 こ れ を大 学 や個 人 に還 元 す る道 と、大 学 発 技 術 の 産業 界 へ の移 転 促 進 を狙 い と した法 律 が 米 国議 会 を逓 過 す る た め の 果敢 な ロ ビイ 活動 を行 っ た の で あ る 。 この 「バ イ ・ドー ル 法 」(Bayh-DoleAct)に よ り、 研 究者 は大 学 に籍 を 置 きつ つ ベ ンチ ャ ーn'の 役 員 に もな れ る こ とに な っ た 。先 見 の 明 の あ る ラ イ マ ー ス の お か げ で 、 ス タ ンフ ォー ド大 学 に は富 が もた らさ れ た 。す な わ ち ス タ ンフ ォー ド大 学 は 、 ヒュ ー レ ッ ド ・パ ッカ ー ド祉 の創 業 か ら40年 を経 て 、バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー の技 術 開 発が 促 進 さ れ 、 特 許化 した後 の ラ イ セ ンス料 で莫 大 な 資 産 を得 た の で あ る。 さ らに ベ ンチ ャー キ ャ ピタ リスrの ボ ブ ・ス ワ ン ソ ンの 果 敢 な説 得 で 、 ボ イヤ ー は ジ ェ ネ ン テ ック 社 を設 立 した 。1980年IPOに よ っ て 株 式 は 、初 日に1株 あ た り35ド ル で 売 り出 さ れ 、 わず か20分 で891ル 、11博 閾足 らず の 問 に3500万 ドル に な っ た 。 こ う してバ イ オベ ンチ ャー が注 糠さ れ 、投 資 家 に好 感 され て バ イ オ ブ ー ム とな り、 研 究 開 発 も進 ん だ。 ア メ リカ は こ の 領域 の 先進 的 テ ク ノ ロ ジ ー で 国 際競 争 力 を維 持 して い る。 当初 ラ イ マ ー ス や ス ワ ン ソ ン とい っ た メ ンタ ー が大 きな役 割 を果 た した こ とが 窺 わ れ るlh)。な お 、 ジ ェ ネ ンテ ック柱 は 、現 在 ロ ッシ ュ の傘 下 に あ る大 きなバ イ オ企 業 に成 長 した が 、実 は 生産 は 行 っ て こ な か っ た 。 こ こに バ イオ ベ ンチ ャー の先 駆 け で あ る研 究 開発 型 に特 化 した ス タ ー トア ップ企 業 の モ デ ル を考 え る こ とが で きる 。 ロ ッシ ュ とい う大 手 製薬 メー カ ー の傘 下 に入 っ た 点 で 、企 業 と して は

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技 術 開 発 に お け る大 学 ・TLO・ メ ン ター の 役 調73 成 功 しなか っ た とい う昆 方 もあ る が 、技 術 開発 だ け を受 け 持 つバ イ オ ベ ンチ ャー の典 型 とな っ た。 ス タ ンフ ォー ド大 学 の大 学 ホ ー ム ペ ー ジ か ら、技 術 移転 収 入 をみ る と、1950年 ∼60年 代 の15年 間 は 、合 計 で5000rル 程 度 で あ っ た が 、1968年 研 究 成 果 移転 事 業 を立 ち上 げ て1,pで5万5000rvの 収 入 を得 る よ う に な り、1969∼80年 で400THド ル とな っ た こ とが 示 され て い る。82年 か らは先 述 し た遺 伝 子組 み換 え特 許 の 収 入 が1年 間 でi400万 ドル を得 られ る よ う にな り、 この 遺伝 子 組 み換 え特 許 収 入 は97年 の 特 許 切 れ まで ス タ ン フ ォ ー ド大 学 の稼 ぎ頭 と な っ た 。 他 の 特 許 もあ わせ て19倣 ∼ 2003年 で は 、5億5000万 ドル とな った 。 長 期 的 なプ ロ グ ラ ム と して20年 以 上 前 の 発 明 に わ た る もの もあ り、 大 学 の収 益 に な る に は タ イ ム ラグ が あ るが 、2008年 の報 告 で は、100Tド ル以 上 の特 許 は 3件 あ り546の ラ イ セ ンス で6250万 ドル と な っ て い る 。 なお ス タ ン フ ォ ー ド大 学 のOTL(Officeof TechnologyLicensing)は 、 企 業 か ら特 許 使 用 料 の3分 の1は 発 曙 者 に、3分 の2は 大 学 の 研 究 プ ログ ラム に 投 入 され る仕 組 み を採 規 して い る。 バ イ オベ ンチ ャー はサ ン フ ラ ン シ ス コ周 辺 の ベ イエ リ ア に集 積 してい る ため 、 バ イ オ テ ッ クベ イ と よば れ て い る。 そ の 地 域 に は、 ス タ ン フ ォ ー ド大 学 以 外 に 、 カ リフ ォ ル ニ ア州 立 大 学 のサ ン フ ラ ン シス コ校 、 バ ー ク レー 校 もあ る。 ジ ェ ネ ン テ ック の成 功 を契 機 に 当時 の州 知 事 デー ビ ス は 、各 大 学 にテ ー マ を振 り分 け、 民 間か ら1億 ドルの 資 金提 供 を受 け た と きに11,x.ドル の州 の 予 算 が つ くと い う マ ッチ ン グ 方 式 で 資 金 を 提 供 した。 企 業 に 出 資 して も らい 州 政 廃 が 綱 額 を支 援 す る とい う形 で 、 大 学 の 研 究 開 発 支 援 は充 実 した もの と な っ た。 こ の よ うに初 期 の ス タ ー トア ップ企 業 は 、 メ ン ター の 役 割 が 大 き く、民 聞 の手 だ け で発 展 した とこ ろ に特 徴 を持 っ て い る 。∼ 方 、バ イ オ テ ク ノ ロ ジー の 場 合 は 、 さ らに特 化 した技 衛 閥発 の必 要 性 が あ る一 方 、生 体 を介 した実 験 で あ る か ら失 敗 す る可 能 性 も高 い。 しか も技 箭 範 囲 が 偏 りが ち で あ る た め 同種 の 実 験 を谷 う可 能 盤 が 高 い 。 そ こ で デ ー ビ ス知 事 が オ ー ガ ナ イ ズ して 、無 用 な研 究 の重 複 を 園 避 し よ う と棲 み 分 け を主導 した 。総 じて 大 学 発 の シ ー ズ は 、具 体 的 な製 品 を背 後 に持 っ た 開 驚 で な い こ とか ら、 生 まれ た 技徳 は 企業 に 上 乎 に売 鋪 さ れ た リラ イ セ ンス 供与 され る こ とが 必 要 とな る 。 そ こで 、 成 功 を収 め た ス タ ンフ ォー ドの 技 術 移 転 機 関(OfficeofTechnologyLicensing)に 倣 っ て 多 くの大 学 にTLOが 設 置 さ れ た。 こ こ で も機 関が 重 要 な の で は な く、 実 は 大 学 の 立 場 に た って 技 術 を移 転 す る こ とに 尽 力 す るメ ン ター ら が活 躍 した 。 バ イ オ テ ク ノ ロ ジー一は 、 臨 床 に 時 間 も資 金 もか か る こ とが 多 く、 そ れ ゆ えカ リ フ ォル ニ ア 州 は 、 公 的 な 資 金 を罠 闘 と折 半 で 鍵 出 した 。 こ こ に優 れ た 技 術 の1粥発 の 成 果 を迅 速 に 輩 出 す る 政 策 と して 、 プ ロ パ テ ン トが あ り、 も はや 個 人 閥 の 競 争 で は な く、 闘 家 問 の 競 争 に大 学 と企 業 が 連 携 して 取 り組 む とい う姿 勢 が 窺 わ れ る。

検 討

ア メ リ カは 、 も と も と進 取 の 気 性 に審 み 、 憲 法 よ り先 に知 的 財 産権 が 保 護 さ れて きた。 そ して 高 度 な 軍 事 用 技 術 は 、 終 戦 を迎 えて 畏 間へ 転 粥 され て い っ た。 しか し個 人が 用 立 て る こ との で きる 資 金 に は限 界 が あ った の で 、 ベ ンチ ャ ー キ ャ ピタ ル とい う制 度 が 生 み 出 さ れ た とい え る。 知 的財 産 を 権 利 化 す る 手法 も、VCの 創 出 も、 す べ て無 か ら有 をつ く りあ げ る もの で あ り、 これ を オー ガ ナ イ ズ した 「人 」 が 果 た した役 割 は大 きか っ た。 ター マ ンは 時代 を読 む こ とが で きる優 れ た メ ン ター で あ り、 自 身 は大 学 人 と して の キ ャ リ ア を志 陶 して い た こ と か らVCの よ う な事 業 を 自 らは手 掛 け な か っ た。 も っ と もこれ も時代 が 進 む と、兼 業 は 当然 の こ と とな る の で あ る が 、 この 時代 は ま だ そ う した こ とが 社 会 的 に 容 認 され て い な か っ た。 ス タ ン フ ォ ・一 ド大 学 は 、実 挙 を重 ん じる 一 方 で フ ー

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バ ー 戦 略 研 究 所 を 置 き多 様 な機 能 を有 す る大 学 に な っ て い た 。 さ ら に ア ンジ ェ スMGの 森 下 竜 ∼ 大 阪 大 学 教 授 が 留 学 して い た1980年 代 後 半 こ ろ は、 起 業 ブ ー ム で 隣の 醗 究 室 の教 授 が 、 シ ー ズ を事 業 化 す る こ と に 成 功 して飛 行 機 通 勤 を して い た とい う。 シ リコ ンバv一 とい う命 名 は と もか く、 HPを イ ンキ ュ ベ ー トして 成 功 に導 い た ター マ ンが い た か ら こそ 、大 学 は 地域 の 産 業 ク ラス ター の 中心 的存 在 と して 、学 生 に も魅 力 を ア ピー ルす る こ とが で きた の で あ る。 大 学 は発 展 し、 常 に変 化 して い る 。 特 に バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー で はOTLを 創 設 した ニ ル ス ・ラ イマ ー ス の 活躍 が 注 農 され る べ きであ ろ う。 コ ーエ ン ・ボ イ ヤ ー特 許 の ラ イセ ン ス化 が ヒ ッ トす る と考 え た か ら こ そ 慮 身 の利 益 も奮 めて 特 許 化 す る こ と を説 得 し、 ス タ ン フ ォー ド大 学 に大 き な富 を もた ら した。 そ して 霞 身 も技 術 移 転 機 関 の初 代 所 長 に な っ た。 こ う した メ ン タ ー や ラ イ セ ン ス ア ソ シエ イ トの活 躍 も、 こ れ を許 容 す る 自 由が あ っ たか ら可 能 だ った の で あ る。 す な わ ち多 様 性 の 受 け入 れ、 広 範 な 自 由の 許 容 が ア メ リカの 競 争 優 位 の根 拠 とい え よ う。 バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー は、 技 術 開 発 に成 功 して特 許 化 す れ ば広 範 な領 域 で 特 許 をお さ え る こ とが で き る と こ ろ に特 色 が あ る。 ア ン ト レプ レナ ー は 入が み と め ない 起 業 機 会 をチ ャ ンス と と らえ て 行 動 す る 諭 。 こ う した 観 点 か らす れ ば 、 コ ー エ ン ・ボ イ ヤ ー 特 許 の ラ イセ ンス 化 を促 した ラ イマ ース は、 ま さ に ア ン トレ プ レナ ー だ っ た とい え る。 特 許 と して公 開 され 、 情 報 と して 広 ま る こ と も宣 伝 と な った 。 製 薬 会 社 や 特 許 を 自祇 の 製 品 の 防 衛 の ため に利 用 し て い る企 業 は、 常 に登 録 され て い る ラ イセ ン ス を探 索 して いて 、 優 れ た特 許 が あれ ば 、 ラ イセ ン ス を得 て 麹社 の 研 究 や 製 品 開発 に結 びつ け る こ と も多 い 。 起 業 機 会 をみ い だす も う一 つ の 例 が2000年 初 頭 セ レ ラ ・ジ ェ ノ ミク ス社 が 狽 った ヒ トの ゲ ノ ム情 報 の 特 許 登 録 に よ る独 占 だ っ た。 今 まで は 公 共 の もの と概 念 的 に捉 え られ て きた 情 報 も、 欝 許 化 す る こ と に よ って 排 他 的 支 配 が 可 能 か とい う こ と に な っ た。 これ は多 様 性 と広 汎 な 自 由競 争 の 風 土 か ら生 まれ 、 そ の 意 義 は大 きい 。 先 進 的 医 療 機 器 の(3Tl発で は、 先 進 的 研 究 の 特 許 化 が 競 争 優 位 を助 け る と考 え られ る。 例 え ば侵 襲 性 の 高 い ス テ ン トで あ る。 日本 で 用 い られ るス テ ン トは、 ほ とん どが 外 国 製 で あ る。 しか し血 管 を拡 張 す る狡 構 は 手 先 の器 用 な 日本 入 が 得 意 とす る と こ ろで あ り、 神 の 手 とい わ れ る 日本 人 医 師 が17人 もい る に もか か わ らず 輸 入 品 なの で あ る。 そ れ で は 日本 人 には 、 ス テ ン トを開 発 す る能 力 が ない の だ ろ うか 。 進 取 の気 性 が ない の だ ろ うか 。 実 は あ る種 の ス テ ン トに つ い て は 、 ア ン ジ ェ スMGの 森 下 竜 一 大 阪 大 学 教 授 が ア メ リ カの 研 究 員 時 代 に醐 発 し、 指 導 教 官 の 助 醤 に従 って 特 許 化 して ベ ンチ ャー 企 業 に 売 却 した こ とが あ る。 そ の プ ロセ ス は きわ め て 迅 速 で 、 森 下 教 授 はそ の 経 験 を生 か して 、 日本 発 の バ イ オ創 薬 事 業 を手 掛 けた 。 日本 人 に開 発 す る能 力 は充 分 にあ る とい え る。 む しろ 特 許 化 の プ ロセ ス に違 い が あ りそ れ が 規 制 的 な要nと な って い る の で あ る。 天 然 資 源 に乏 し く労 鋤 力 が 低 減 す る こ とが 予 想 され る 日本 の よ うな 少 子 高 齢 化 国 家 に と って 、 技 術 開 発 で 資 源 をつ く りだ す こ と こそ が 期 待 さ れ て しか るべ きで あ る。 従 っ て 、 大 学 が撮 うべ き役 割 は 、 小 さ な市 場 で あ っ て も必 要 度 は 高 く、 市 場 に拡 ま るnJ能 性 を提 案 で き る とい う意 味 で 大 きい 。 た だ 米 国 と違 っ て 懸 念 され る の が 、 大 学 で 生 まれ た 技 術 や 発 見 を民 聞 企 業 に 橋 渡 し をす る 「人 枷 で あ る。 学 術 機 関 に潜 在 す る 技 傭 を掘 り起 こ し橋 渡 しす る こ とは 、TLOが 担 うは ず だ っ た 。 と こ ろが 北 海 遊 大 学 のTLOを は じめ と して そ の 多 くが 解 数 の 危 機 に瀕 して い る 。 米 国 との 違 い は や は り 「ア ン トレ プ レヌ リア ル なマ イ ン ドを 持 っ た 人 」 だ と い わ ざ る を得 な い 。 臼本 は 、TLOやVCに や た ら と 眼 き き能 力 を要 求 した。 一 方 ラ イマ ー ス は、 技 術 者 で は な か った 。 む しろ 、 直 感 力 を もっ て 時 代 を読 み 、 高 い コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン能 力 で 技 術 を把 握 した 。 つ ま りTLOの 構 成 員 に と って 必 要 な の は 、 企 業 を説 得 して橋 渡 しを す る とい う柔 軟 な 思 考 な の で あ る 。 米 国 に比 べ る と、 縁本 の 場 合 は まず 政 策 主 導 で 仕組 み だ け が講 築

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技 衛 開 発 に お け る 大 学 ・TLO・ メ ン タ ー の 役 麟75 され た 。 従 っ て そ の 活 性 化 は 、TLO担 巌 者 の 力 量 に まか せ ら れ た 。 しか し、 停 年 問 際 の 大 企 業 か ら出 向 した エ ンジ ニ ア に は 、 新 しい もの を受 け 入 れ る 姿 勢 が な か っ た の で あ る 。2001年 、 平 沼経 済 i業 大 臣 は薪 市 場 ・雇 朋 の創 出 に む け た15の プ ラ ンを 発 表 し、 大 学 発 ベ ンチ ャー 企 業 政 策 を うち だ した。 そ れ は3年 で1000社 の 大学 か らの趨 業 を促 す もの で あ り、 際標 は 達 成 した 。 しか し当初 か ら 懸 念 さ れ て い た こ とで は あ る が 、今 は存 続 が 危 ぶ まれ て い る 。 日本 に は ター マ ンや ライ マ ー ス の よ うな メ ン ター は 、技 術 系 の 出 向者 に は存 在 しな い の で は な か ろ うか 。 実 は メ ン タ ー と して 大 学 教 授 の 道 を歩 み は じめ たDDIの 創 業 者 の 千 本倖 生 は 、 再 度 ア ン トレプ レナ ー とな っ て イ ー モ バ イ ル を展 閣 して い る 。 日本 の ベ ンチ ャー 企 業 の苦 しい と ころ は 、 こ う した きわ め て擾 秀 な ア ン トレプ レナ ー が 孤 軍 奮 閣 して い る 点 で あ る 。 千 本 の 場 合 は 、 大 きな 資 金 を 海外 のVCに 求 め 、サ ブ プ ライ ムmン に よ る影 響 な ど、 自社 と は何 ら関係 の な い事 情 に よっ て融 資 が 断 た れ る とい う リス ク を冒 しな が ら二 度 器の創 業 を成 し とげ た 。 次 に 大 学 の 研 究 者 の シー ズ か ら生 まれ た 企業 と しで は 、 サ ンメ デ ィカ ル技 術 研 究 所 が あ げ られ る 。 同社 は 、 ピ ッ ッバ ー グ 大 学 に留 学 経 験 を縛 つ東 京 女子 医 大学 の 由 崎 健 二 教授 の 発 想 に よる 補 助 入 工 心臓 を醐 発 し製 造 して い る 日本 の ベ ンチ ャー 企業 で あ る 。 人i臓 器 の 開 発 は 戦 争 を契 機 に 発 展 した 。 ア メ リ カの ク リー ブ ラ ン ドク リ ニ ック の ウ ィ リア ム ・コル フは 人 工 透析 装 置 を開 発 した 循 環 器 の 医 郎 で あ り、 戦 場 で破 傷 風 に か か り死 亡 す る兵 士 の 数 を減 らす 目的 で 、 透板 器 の 開 発 をす す め て い た 。 この コ ル フが 阿 久 津 哲 造 とい う医 師 の 肩 書 き を持 つ 日本 か らの 留 学 生 を 受 け 入 れ た。 彼 は コ ル フ に 人 工 心 臓 の 開 発 を提 案 し、 1957年 に そ の 試作 贔 が 完 成 した 。 一 方 、 東 京 大 学 の 渥 美 医 師 は 、 阿 久 津 を訪 ね 痩 ら も東 京 大 学 で 入 i心 臓 の 曙 発 を す す め た 。 人 工 心臓 は 、 体 の 玉1嚢液 を循 環 させ るポ ン プ機 能 が 重 要 で あ り、 工 学 部 と の 連 携 で そ の 地 下 窒 で 、 人 問 と 同 じ体 霊 の ヤ ギ に 人 工 心 臓 を と りつ け て 、 動 物 実 験 が 繰 り返 され た 。 す な わ ち す で に ス タ ン フx一 ドが 全 盛 を誇 って い たIII代に、EI本 で も騰 発 が 行 わ れ て い た の で あ る 。 もっ と も 臓本 の 場 合 は 、儒 教 思 想 が 根付 い て い て 、 入 の 心 の 源 と も#%iえられ て い る よ うな 心 臓 を人工 的 に つ くる こ とに 抵 抗 感 が あ る こ とが 予 想 され た 。 そ れ ゆ え地 下 で 実 験 が 密 か に続 け られ て い た 。 ク リー ブ ラ ン ドク リニ ッ クの 阿 久 津 が 閥 発 した 全r;換 型 の 人 工 心 臓 は 「ア ク ツハ ー ト」 と 命 名 され 、 犬 に 適用 して30分 生 存 しア メ リ カで は 話 題 と な った 。 そ して 阿 久 津 以 後 、 数 入 のQ本 人 医 師 が ア メ リカ に 渡 っ て補 助 人 工 心 臓 の1謂 逢を担 当 す る に至 って い る。 日本 で も生 体 心 臓 移 植 が 批 潤 を受 た こ とに よっ て 、 生 体 臓 器 に替 わ る もの と して 、 入 工 の 心 臓 を開 発 す る こ とが 容 認 され つ つ あ っ た が 、 さ らに 薬事 承 認 とい う大 きな 壁 が あ った 。 結 局 、 ゼ オ ン/ア イ シ ン とい った 申 堅 の 機 械 Z=一 の テ ク ノ ロジ ー に 秀 で た 企 業 が そ の 製 品 化 を模 索 したが 、 保 険 収 載 が 遅 れ 、 ∼ 時 は 頓 挫 した 。 この よ うに み て くる と研 究 開 発 者 の 能 力 及 び意 思 決 定 に 日米 で 差 は な いが 、 開 発 環 境 にお け る鯛 約 要 因 に は 大 きな 差 が み とめ られ る 。 ア メ リ カで は シ リ コ ンバ レー の 活 性 化 に よ る景 気 の よ い循 環 が 、 高 度 な技 徳 を必 要 とす る医 療 機 器 開 発 の 技構 領 域 を も後 押 しした 。 そ して ラ イマ ース の 活 躍 に よ って バ イ ・ドー ル法 が 議 会 を通 過 す る と、 大 学 に 所属 して い る研 究 者 が 大 学 にい なが ら 自 らの 開 発 を特 許 化 した り、 さ ら な る開 発 段 階 を引 き継 ぐベ ンチ ャー 企 業 に技 術 を移 転 して 、 自 ら はそ の 企 業 の 技 構 担 当 と な る こ と もで き る隣 代 が や っ て きた 。 コー エ ン ・ボ イヤ ー 特 許 が み とめ られ 、 大 学 発 の シ ー ズが 実 用 化 され る と、 大 学 の研 究 者 に もア メ リ カ ン ドリー ム が 実 現 した の で あ る。 日本 は デ ュ ポ ンの 技 術 を導 入 して 成 功 した た め 、 あ ま り技 術 開 発 を熱 心 に 行 う こ とな くMOSS協 議 で 内 外 価 格 差 の 是 正 、 関 税 法 障壁 の 撤 廃 とい っ た 外圧 が か か っ た と き に、 ア メ リ カか らの 医 療 機 器 を輸 入 し、 内製 を支 援 しなか っ た。 さ ら

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に厚 生 省 の 承 認 も厳 しか っ た。 と こ ろが 、バ ブ ル経 済 が 終 焉 を迎 え経 済 的 な苦 境 に た た され て 、 日 本 に期 待 で きるの は知 的 財 産 権 の翻 出 で あ り、使 え る技 術 の 鵬発 で あ る こ と に気 が つ い た。 そ こで 縛 続 的 な成 長 を続 け て い る ア メ リカ の技 術 力 に な らい 、大 学 発 の シ ー ズ の掘 り起 こ し策 を考 え た。 まず 、 日本 版 バ イ ・ ドー ル法(1999年 〉 に よ っ て文 部 省 の 政 策 の転 換 が な さ れ た 。大 学 の シ ー ズ を 移 転 す る 技 術 移 転 機 関(TLO)こ そ が 産 業 活 性 化 の 立役 者 と して期 待 され た 。 日本 のTLOは 大 学 等技 術 移 転 促 進法 に根 拠 を お き、 文部 科 学省 と経 済 産 業省 が 認定 また は承 認す る か た ち で各 地 に創 設 され た161。 しか し政 策 的 に構 築 さ れ た に す ぎな い 曝本 のTLOは 、 国立 大学 の 教 官 燗 人 が 有 す る 特 許 と、 公 立 ・私 立 大 学 、 及 び そ の教 官 憾 入 が 有 す る 特 許 を:p扱 う こ とが で きる こ とを公 的 に み とめ る とい う活 動 に と ど ま って き た。 実 は このTLOこ そ 日本 の 経 済活 性 化 に お い て 重 要 な 意 味 を 持 つ 。 た とえ ば 大 学 病 院 は 患 者 の 疾患 の 治癒 率 向 上 の た め 日夜研 究 を続 け 、 治 療 行 為 を高 め る 機 器 開 発 の 提 案 も現 場 か らの 発 信 に よる 。 この よ うに して 日本 で の 人 工 心 臓 開 発 は 、 大 学 を中 心 と した 研 究 機 関 で 段 階 的 に 発 達 して きた 。 しか し、 こ こに そ の技 術 移 転 を促 進 す る 人材 が 必 要 な の で あ る。 補 助 人 工 心 臓 は、 生 体 心臓 を待 つ こ とが で き ない 瀕 死 の 患 者 に、 移 植 まで の つ な ぎ と して 胴 い られ て い る。 と こ ろが 輸 入 品 で あ る ア メ リ カ製 は 日本 人 の サ イズ にあ わ ない こ とが 多 い 。 そ れ で も 1kiで も生 き長 ら えた い と願 う患 看 は 、一 時 約 にで も大 きす ぎ る補 助 人 工 心 臓 の 取 り付 け を受 け 入 れ る。 そ して起 き上 が れ な くな り、 植 物 状 態 と な りや が て 合 併 症 を起 こ して 亡 くな っ て ゆ く。 ピ ッ ツバ ー グ大 学 の 研 究 員 を経 て 東 京 女 子 医大 の 医 師 と してh任 した 由晦 健 二 教 授 は、 心 臓 の 心 尖 部 だ けが 皮 一 枚 で あ る こ と に あ る こ とに気 が つ い た。 こ こ な ら患 者 の 心 臓 に直 接 管 を通 して もい け るか も しれ な い と、 補 助 人工 心 臓 のパ イ プ を埋 め込 む とい う新 しい か た ち で 腿発 を手 が け よう と したO そ の 部分 は 直接 心 臓 に働 きか け が で きる た め 、患 者 の負 抵 が軽 く、 臼本 人 に あ っ た小 さなサ イ ズ の もの が 開発 で きそ うだ っ た。 他 の部 分 に埋 め 込 む よ り も出血 が 少 な い とい う利 点 もあ っ た。 そ こ で 人 工 心臓 のtン プ機 能 に つ い て の 第一 人者 で あ る早 稲 田大 学 の工 学 部 機 械zの 土 屋 喜∼ 教 授 を介 してi血栓 の 問 題 解 決 に あ た り、 さ らに早 稲 田 大 学 の 教 授 で 人 工 心 臓 の ポ ン プ につ い て 研 究 瀾発 を 行 っ て い る梅 津 光 生教 授 と次世 代 型 補 助 人 工 心臓 を協 鋤 で 開 発 し、1990年3月 に特 許 を出 願 した 。 しか し特 許 化 した技 術 を8本 の メ ー カー に もち か け て も、 色 よい 返 答 は なか っ た。 そ こで サ ンメ デ ィ カル 技 徳研 究 所 を立 ち上 げ た 。 同 氏 の 製Pp化 の 希 望 は 、 セ イ コー エ プ ソ ン社 の 甫 身 で あ る大和 工 業 の 創 始 者 で あ る父 と兄 を含 む 一 族 の 資 金 支援 に よっ て よ うや くは じま った 。 大 和 工 業 は 諏 訪 精 工 社 と合 併 した 精 密 機 器 メー カー で あ り、 子 会縫 には セ イ コー エ プ ソ ン社 が あ る。 詞 社 の 技 術 部 門 を受 け縛 つ ミス ズ工 業 は、 山 崎 医 師 の 兄 が 代 表 取 締 役 をつ とめ 、 同 社 のCの 技 、 す な わ ち無 垢 の チ タ ン合 金 か ら完 成 度 の 高 い製 晶 が 手 造 りされ 、 現 在 、 臨 床 試 験 の 簸 終 段 階 まで こ ぎ着 けて い る。 ミ ス ズ工 業 が 、極 め て精 緻 な技 術 を持 っ てい る と こ ろ に優 位 性 が あ る。 発 明 と して優 れ てい る と こ ろ は 、 人工 弁 が 不 要 で あ り、 ポ ンプ 内 に速 い速 疫 で 血 流 を促 して い る と こ ろ に あ る。 卓 越 した 技 術 で 、接 触 面 の粗 さ を極 小 化 した抗 撫 栓 性 コ ー テ ィ ン グが 製 贔化 を可 能 に した。 耐 久 性 テ ス トは 山崎 氏 が かつ て留 学 して い た ピ ッッバ ー グ大 学 に協 力 を依 頼 した。 こ の よ う に全 て を 自費 で進 行 させ て い る 羅本 の状 況 は 、研 究 閣発 プ ロ セ ス の未 熟 さ を物 語 っ て い る。 ア メ リカ で あ れ ば 、 もっ と多 くの 入 が コ ミ ッ トして 、 隈発 プ ロ セ ス を推 し進 め た はず で あ る が 、す で に サ ンメ デ ィ カ ル は10年 以上 の 歳 月 が す ぎて し まっ て い る。 今 、 こ の研 究 は東 京 女 子 医大 と畢 稲 闘大 学T学 部 の 医工 連携 と して 、 さ らに 血栓 の処 理 の 高 度化 に む け て 開 発が す す め られ て い る。

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技 術 開 発 に お け る 大 学 ・TLO・ メ ン タ ー の 役 割77

N結

ア メ リ カ の技 徳 曙 発 は 、 大 学 を 中心 に 初 期 は メ ン タ ー 、 バ イオ テ ク ノ ロ ジ ー で はTLOが 産 業 化 に 結 び付 け て 大 きな 収 益構 造 を講 築 して きた 。 こ う した 産 学 連 携 の 動 き に関 して は 、 大 学 は 基礎 研 究 の み を担 当 す べ きで あ り、 産 学 連 携 に よ って 富 を得 る研 究 者 が 墨 る こ と につ い て 懸 念 を示 す 意 見 もあ る 。 ア メ リ カで は 医 薬 品 の 副 作 肱 こ関 す る治 験 に 関 わ っ た 医 師 が 、 当 該 製 薬 会 社 の株 を持 っ て い た こ とが 問 題 に な っ た こ と もあ る 。 しか し これ は 利 益 相 反 の 問 題 で あ り、治験 を誰に依頼するか の コ ン トmル の 問 題 で あ る 。 イ ンセ ンテ ィブ が 高 くな る と真 実 が ゆ が め られ る 可 能姓 は な い とは い え な い が 、 だ か ら とい っ てflit章で 述 べ て きた よ うに 、 日本 人 患 者 に とっ て 必 要 な 人 工心 臓 に 、 医 師 だ け が孤 軍 奮lylして い る だ け で い い の だ ろ うか 。 薬 事 工 業 動 態 統 計 か らみ て も、 こ こ10年 、 日本 の 医療 機 器 製 造 の伸 び に比 べ て 、 輸 入 医療 機 器 の 伸 び は 倍 以 上 で あ る 。 例 に 掲 げ た 人工 心臓 は 、 世 昇 的 に 日本 人 の技 術 開発 力 が み とめ られ て い る 。 す な わ ち 人 工 心臓 の プ ロ トタイ プ はrア クツ ハ ー hJで あ り、 山崎 医 師 の補 助 人工 心llexはそ れ まで のlfl1栓の 湖 題 を解 決 した 画 期 的 な もの で あ る 。 そ れ が未 だ 日本 か ら発 売 され る に は至 っ て い な い の で あ る 。 そ もそ も医 療機 器 は患 者 へ の 治療 行 為 を 支 援 す る粥 具 で あ り、Cが 必要 性 に か られ て現 場 か ら発 案 す る こ と も多 い 。 実 用 化 に穣 極 的 な優 れ た 開発 者 が 、 産業 化 に お け る 近 い 顕離 に存 在 して い る 。従 っ て 、 メ ー カ ー が7.i'f一化 の 方 向 で意 思 決 定 さ えす れ ば 、 さ らな る技 術 開発 を含 む 治験 の協 力 は 傭 ぎや す い 。 とこ ろ が現 場 か らの 発案 は 多 様 であ り広 す ぎる場 合 もあ り、 メ ー カ ー は確 実 な採 算 の 羅途 が 立 た な い と、 む しろ現 状 維 持 姿 勢 を 貫 く。 そ れ ゆ え 由崎 医 師 は 幽葡 で 、 ヒ ト ・モ ノ ・カ ネ とい っ た経 営 資 源 を 胴 意 して しま っ た の で あ る。 これ はDiliの 医 者 に は で きな い こ とで あ る 。 も し提 案 され る シ ー ズ を しっ か り読 み取 っ て オ ー ガ ナ イズ す る 人 、す な わ ち小 さな シ ー ズ で もそ れ を組 み 合 わせ 垂 直 また は水 平 に統 合す る な ど して 採 算 ベ ー ス に 乗 せ る こ とが で き る人 がTLOに 存 在 す れ ば 、 医 師 に と っ て もメ ー カ ー に と って も朗 報 で あ ろ う。 こ こ に技 徳 開 発 と産 業 化 の 橋 渡 し を担 うTLOの 役 割 は大 きい の で あ る。 と こ ろが 現 状 は ほ とん ど機 能 して い な い 。 今 の ●iが 失 敗 して い る の は 、 そ の 構 成 員 が 評論 家 に な って し ま い 、 労 苦 して 程 度 の 低 い(と エi7一 トの企 業 エ ンジ ニ ア に は思 え る)技 術 は移 転 す る気 が な い の だ とい う こ とが 、 某TLO(複 数)へ の イ ン タZ査 に よ って 三樗明 した 。 本 来TLOは 、 柔 軟 な思 考 を持 つ 者 が あ た るべ きで は なか ろ うか 。 制 約 要 閃 と考 え られ て い た薬 事 法 は 、す で に=1'成17年 に 大 幅 に 改 驚 され 審 議 官 に最 初 か ら相 談 す る こ と もで きる。 さ らに ア メ リカ は承 認 申請 か ら3か11以 内 に返 答 しなけ れ ば な ら ない が 、 日本 で も内規 と は い え タ ー ゲ ッ ト期 聞1年 が 設 定 され て い る。 あ と は 人 の 力 に任 せ る しか な い。 ラ イマ ー ス を参 照 す れ ば 分 か る よ う に、 必 要 な の は コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 で あ る 。 そ の 上 で 、弁 護 士 事 務 藤 や 弁 理 士 事 務 所 をTLOに 隣 接 させ て技 衛 開 発 を支 援 して ゆ くこ とが 必 要 で あ ろ う。 今 後 の 日本 経 済 の 牽 引 役 と して 大 企 業 に は早 急 に再 生 を期 待 した いが 、 遺 伝 子 組 換 え技 術 が 大 学 の シー ズ とア ン トレ プ レヌ リ アル 人 の 手 に よ って 大 学 と い う舞 台 で 花 開 い た よ う に 、大 学 発 の 技 術 鵜 発 も 日本 経 済 牽 引 の 一 つ の 育 能 性 と して 育 戎 してい くこ とが 、 日本 が これ か ら と るべ き方 向 性 だ と考 え る 。 注 1)こ こで い う医療 機 器 に つ い て は、 薬 事 法 第2条 第4項 で 「人 若 し くは動 物 の 疾 病 の 診 断 、 治

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療 若 し く は 予 防 に 使 胴 さ れ る こ と 、 又 は 入 若 し く は 動 物 の 身 体 の 構 造 若 し く は 機 能 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 自 的 と さ れ て い る 機 械 器 具 等 で あ つ て 、 政 令 で 定 め る も の を い うofと 定 め ら れ 、 薬 事 法 施 行 令 で そ の 類 別 を 列 挙 し て い る 。 具 体 的 に は 、 体 混 計 、 歳 圧 測 定 器 を は じ め マ ッ サ ー ジ チ ェ ア や ピ ン セ ッ ト、 医 療 機 関 で 用 い ら れ る 画 像 診 断 装 遣(MRIや ㏄)を は じ め ペ ー ス メ ー カ ー 、 メ ス な ど す べ て 医 療 機 器 で あ る 。 2)デ バ イ ス ラ グ と は 、 医 療 機 器 導 入 のii射轟差 の こ と で あ る 。 在 露 米 国 商 工 会 議 所 の 医 療 機 器 IVD小 委 員 会 は 、 米 国 で 使 用 さ れ て い る 医 療 機 器 の 約4割 が 、 日 本 で は 承 認 申 請 さ れ て い な い 。 こ う し た デ バ イ ス ラ グ の 実 態 を 指 摘 し、 承 認 に 時 間 が 掛 か っ て い る こ と の 改 善 や 、 市 場 環 境 の 整 備 、 厚 生 労 働 省 に 申 請 前 相 談 の 短 縮 や 審 査 期 間 の 短 縮 、 審 査 体 制 の 強 化 な ど を 要 望 し た 。 も し よ り迅 速 に 承 認 さ れ て い れ ば 、 そ の 機 器 を 使 っ て 命 が 助 か っ た 患 者 が い る と い う こ と が 想 定 さ れ る 場 合 、 こ う した 問 題 は 、 極 め て 深 刻 に な る 。 3>TLOと は 、TechnologyLicensingOrganization(技 衛 移 転 機 関)と い い 、 大 学 の 研 究 者 の 研 究 成 果 を 特 許 化 し 、 そ れ を 民 間 企 業 等 へ 技 徳 移 転(TechnologyLicensing)す る 役 割 を も っ て 、 産 業 界 と 学 術 機 関 の 仲 介 役 を 果 た す こ と を 期 待 さ れ も の で あ る 。 4)Lee,Chong-Moon,WilliamF.Miller,MargueriteGongHancock,HenryS.Rowen(2000) "Th eSiliconValleyEdge:AHabitatforlnnovationandEntrepreneurship",StanfordUniversity Press. 5>ぎ こ の 地 は シ リ コ ンバ レ ー 誕 生 の 地 。 ス タ ン フ ォ ー ド大 学 の タ ー マ ン 教 授 が 、 東 の エ ス タ ブ リ ッ シ ュ さ れ た 会 社 に 在 籍 す る の で は な く 、 自 ら の 会 社 を 起 業 す る よ う 指 導 し た こ と に 始 ま っ て い る 。 そ の2入 と は 、 ビ ル ・ ヒi一 レ ッ ト と デ ビ ッ ド ・パ ッ カ ー ドで あ る 。 彼 ら は1938年 に こ の ガ レ ー ジ で 、 オ ー デ ィ オ ・オ シ レ ー タ ー を 開 発 し た 。 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 は 、 こ の 地 を ヒ ス ト リ カ ル ・ ラ ン ド マ ー クNo.976と し て 登 録 す る 葦 と い う 碑 が 学 内 の367AddisonAve.Palo Altoに 残 さ れ て い るQ 6)Packard,David(1995)"TheHPway-HowBillHewlettandIbuiltOurCompany"Harper Business. 7)OTLは 、 ス タ ン フ ォ ー ド学 内 の 発 明 な ど を 商 業 化 、 あ る い は 実 用 化 し て 、 同 大 学 の 教 育 ・ 研 究 プ ロ グ ラ ム に か か る 費 用 を 購 う 無 制 限 ロ イ ヤ ル テ ィ 叡 入 を 確 保 す る こ と を そ の 使 命 と す る 機 関 で あ る 。OTLは 構 想 段 階 か ら 発 明 者 と 産 業 界 に よ る 起 業 化 の 段 階 に い た る ま で の 、 す べ て の 段 階 に 関 与 し役 割 を 果 た して い る 。 8>開 発 途 上i、 と りわ け 東 ア ジ ア で 急 速 な 工 業 化 が 進 ん だ こ と は 、 世 界 的 な 供 給 過 剰 と デ フ レ 現 象 を 生 み 出 し た 。 そ の 串 で 、 特 に 競 争 の 激 しい エ レ クrte=ク ス 業 界 で は 、 醗 発 リー ド タ イ ム や 製 贔 の ラ イ フ サ イ クJLが 短 く な り、 イ ノ ベ ー シ ョ ン を 起 こ しつ つ 最 新 の ア イ デ ィ ア や 技 術 を 継 み 込 ん だ 商 品 を い か に 素r3く 市 場 に 投 入 で き る か ど う か が 企 業 の 競 争 力 を 左 右 す る 鍵 と な っ た 。 そ こ で 企 業 の 問 で は 、 従 来 の 生 産 体 制 を 見 直 し 、 比 較 優 位 を 有 す る コ ア 事 業 に 経 営 資 源 の 多 く を 集 中 し イ ノ ベ ー シ ョ ン 競 争 で の 優 位 を 競 う 一 方 、 比 較 劣 位 部 門 に つ い て は 既 存 の 生 産 拠 点 の 集 約 化 や ア ウ トソ ー シ ン グ を 行 い 、 世 界 的 規 模 で の 最 適 調 達 ・生 産 体 制 の 確 立 を 騒指 す 動 き が 活 発 に な っ た 。 こ う し た 流 れ の 中 で 、 ネ ッ トワ ー ク を 活 用 し つ つ 、 イ ノ ベ ー シ ョ ン競 争 をJに 進 め た 。 9)Balwin,YCarliss,Kim.B.Clark(2003)."DesignRules:ThePowerofModularity°,Mit.Print一

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技 徳 開 発 に お け る大 学 ・TLO・ メ ン ター の 役 翻79 ing. 10)AnnaleeSaxenian,1996,"RegionalAdvantage:CultureandCompetitioninSiliconValleyand Route128",HarvardUniversityPress. 11)Gapta,Udayan,ed.(2000)"DoneDeals:VentureCapitalistsTellTheirStories"HarvardUni-versiryPress. 12)ラ イ セ ン ス ア ソ シ エ イ ト と し て 活 躍 し た ラ イ マ ー ス は 、 エ ン ジ ニ ア と し て 企 業 で キ ャ リ ア を は じ め た 人 間 だ っ た が 、 こ の コ ー エ ン ・ボ イ ヤ ー 特 許 を 契 機 に 大 学 に 技 術 移 転 機 関 を 作 る 事 を 提 雷 し そ の 初 代 所 長 と な っ た 。 こ の ス タ ン フ ォ ー ド大 学 の 技 術 移 転 機 蘭 は 、OfficeofTechnol-ogyLicensing(OTL)と 命 名 さ れ て い る 。 13)遺 伝 子 組 み 替 え 技 徳 は 、 特 許 化 す る こ と に よ っ て 汎 溺 性 が 制 限 さ れ る と 、 当 初 コ ー エ ン は 特 許 化 に 難 色 を 示 し た と い うCし か し ラ イ マ ー ス に 説 得 さ れ た の で あ る 。 上 由 明 博(2000)『 プ ロ パ テ ン ト ・ウ ォ ー ズ 重 文_ 秋 社 。 14)Hughes,SallySmith,(2008)'MakingDollarsoutofDNA:TheFirstMajorPatentinBiotech-nOOOgyandtheCommercializationofMolecularBiology,1974-1980',OxfordUniversityPress. 15)Timmons,Jeffery(2006)"NewVentureCreation",PrinteceHall. 16)FJ本 で は 承 認 を 受 け たTLO(技 術 移 転 事 業 者)を 承 認TLOと し て2008年7月 ま で に 平 等 に 各 都 道 府 県 等47箇 所 に 設 概 し た 。 さ ら に 認 定TLOは 所 管 庁 が 自 らハ ン ド リ ン グ し て い る 。

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