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みずぼうそう

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(1)

彩の国予防接種推進協議会講演会       
 
 2014年2月8日   
 


「水痘」

彩の国予防接種推進協議会会長 医療法人自然堂峯小児科 峯真人

原因ウイルス・感染様式・潜伏期間

•  ヘルペスウイルス科のα亜科に属する水痘・帯状疱 疹ウイルス(VZV)の初感染により引き起こされる伝 染性疾患 •  空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、 感染 力が強い •  潜伏期間は感染から2週間程度(10~21日)

(2)

症状

•  発疹の出現する1-­‐2日前から70%程度の患者が37. 5度以上発熱する •  皮疹は紅斑から始まり、水疱を形成し、その後膿疱 から最終的に痂皮化して終了する •  皮疹出現後4日目までは、次々と皮疹が出現するた め、紅丘疹、水疱、膿疱など様々なステージの発疹 が混在するのが水痘の特徴

症状

•  治療を行わなければ全身の皮疹数は増加し、平均 250~300個となる •  皮疹数50個以下は軽症、500個以上は重症に分類 される •  皮疹は躯幹や顔面に好発するが、日焼けやオムツ かぶれなど皮膚炎症部があれば、そこに密集する 傾向がある •  皮疹は掻痒感を伴う場合が多い •  皮疹がすべて痂皮化するのは1週間から10日 •  家族内二次感染の場合、接触が濃厚で曝露ウイル ス量が多くなるため皮疹数も増加する

(3)

水痘の初期

(4)

水痘の回復期

最近の水痘の臨床的特徴

•  発症年齢ピーク :

 

  以前は4~5歳  最近は乳児保育の増加により低年齢化                    90%以上が10歳までに発症 •  水痘ワクチン接種者での発症例 :    症状は極めて軽症で非典型的であることが多く 臨床診断が難しい場合が多いため、むしろ感染      源になりやすい   

(5)

日本の水痘発生状況

全国発生患者数  

100

万人

/

  

  感染症サーベランス小児科定点報告数    約25万人/年

峯小児科年間診断者数

   2010年     158  人   2011年     107  人   2012年 174  人    

重症(入院)患者

厚生科学研究補助金新興・再興感染症研究事業岡部班による 全国調査(多屋馨子他)   「水痘、流行性耳下腺炎、肺炎球菌による肺炎等の今後の 感染症対策に必要な予防接種に関する研究」         平成17年度分担研究報告書 (入院施設を有する全国の小児科、内科、皮膚科、産婦人科を 対象 )  平成16年度単年度    24時間以上入院を必要とする患者 :1,655人         死亡者 :  7人  推定重症(入院)患者数  約4000人/年  推定死亡者数    約20人/年

(6)

ムンプスウイルスおよび水痘・帯状疱疹ウイルス感染による
 重症化症例と重篤な合併症を呈した症例についての調査
 (日本医師会・日本小児科医会・日本小児科学会合同調査委員会)
 保坂シゲリ 、小森 貴、保科 清、峯 真人、細矢光亮、五十嵐 隆 入院施設を有する全国の病院のうち、小児科、内科、皮膚科、皮膚・泌尿器 科、産婦人科を標榜した医療施設を対象 とし19,921施設中3,765施設より回 答(回答率18.9%) ) 平成21年1月1日から平成23年12月31日までの3年間を調査対象期間   1.水痘により24時間以上入院を必要とした患者     3年間で3,407人(男1,851人:54.3%、女1,556人:45.7%)、   2.帯状疱疹により24時間以上入院を必要とした患者は     3年間で18,091人(男8,168人:45.1%、女9,923人:54.9%)   3.水痘により入院が必要となった原因     水痘の重症化1,031人、肺炎・気管支炎318人、入院中に水痘  を発症243人、脱水症230人、熱性痙攣196人、細菌による二  次感染174人、肝機能障害150人、基礎疾患の増悪123人、脳   炎・脳症80人、小脳失調6人、その他856人 ムンプスウイルスおよび水痘・帯状疱疹ウイルス感染による
 重症化症例と重篤な合併症を呈した症例についての調査
 (日本医師会・日本小児科医会・日本小児科学会合同調査委員会)   平成21年 平成22年 平成23年 合計 男 女 合計 男 女 合計 男 女 合計 <水 痘>   肺炎・気管支炎 43 61 104 71 50 121 52 41 93 318   肝機能障害 31 19 50 32 20 52 26 22 48 150   脳炎・脳症 10 10 20 17 12 29 16 15 31 80   小脳失調症 - - 0 3 1 4 1 1 2 6   脱水症 45 31 76 38 46 84 44 26 70 230   熱性けいれん 38 30 68 37 27 64 33 31 64 196   細菌の2次感染による重症化 30 22 52 39 29 68 22 32 54 174   合併症なく水痘の重症化で入院 198 128 326 202 166 368 183 154 337 1,031   水痘による基礎疾患の増悪にて入 院 22 16 38 21 17 38 29 18 47 123   入院中に水痘発症 40 39 79 44 32 76 41 47 88 243   その他 124 114 238 162 155 317 157 144 301 856 小 計 581 470 1,051 666 555 1,221 604 531 1,135 3,407 <帯状疱疹>   帯状疱疹にて入院 2,348 2,799 5,147 2,438 2,958 5,396 2,347 2,930 5,277 15,820   入院中に帯状疱疹発症 297 380 677 343 427 770 395 429 824 2,271 小 計 2,645 3,179 5,824 2,781 3,385 6,166 2,742 3,359 6,101 18,091 合 計 3,226 3,649 6,875 3,447 3,940 7,387 3,346 3,890 7,236 21,498

(7)

表 4 年齢 性別 基礎疾患 疾患名 後遺症 症例1 1歳 女 なし 急性脳症、多臓器不全 意識障害、人口呼吸器に装着し 呼吸管理中。 症例2 4歳 女 なし 頭痛、嘔吐、左片麻痺、 左顔面神経麻痺 中大脳動脈の閉塞による左片麻痺、左顔面神経麻痺が残存。 症例3 5歳 女 自閉症 急性脳症 (脳浮腫と左小脳梗塞) 小脳失調症が残存。 症例4 8歳 女 なし 髄膜脳炎とその後の脳性塩類 喪失症候群 運動機能障害が残存。 症例5 9歳 男 なし 急性脳症 局在関連性てんかん 症例6 58歳 男 高血圧 高尿酸血症 慢性腎不全 急性脳症 記憶障害、運動麻痺が残存。 症例7 70歳 男 高血圧 糖尿病 急性脳症 両側頭葉の梗塞による記憶障害と 失語症が残存。 症例8 90歳 女 高血圧 言語障害 急性脳症 意識障害、運動麻痺が残存。 症例9 89歳 女 腎癌 急性脳症 意識障害、運動麻痺が残存。

水痘による重症合併症例

水痘の重症化率・合併症

•  水痘ワクチン未接種の自然感染者400人に1人 以上が入院 •  全入院患者中の小児入院患者  37.5%    入院原因の半数は合併症による入院    (合併症:  熱性痙攣、肺炎、気管支炎、肝機能障害、      皮膚細菌感染症、脳炎・脳症など)     •  全入院患者中の成人入院患者  62.5%

 

  入院原因の多くが水痘そのものの重症化

(8)

注意が必要な合併症

• 

先天性水痘症候群 :  

  

妊娠初期の感染、発生頻度 :  2%   •  新生児水痘 :   

  

出産5日前~出産2日後の妊婦の水痘感染   •  中枢神経系合併症 :      脳炎・脳症、小脳失調症、髄膜炎/脳炎、横断性脊髄炎 ・ Reye症候群を合併するとされてきたが、サリチル酸系製剤の 使用との関連が疑われ注意喚起が強化されて以降、その頻 度は激減している

先天性水痘症候群

•  水痘はTORCH症候群のひとつ •  妊娠初期に感染すると、発生頻度は 2%で胎児・新 生児に重篤な障害を起こす可能性が高い •  症状として四肢低形成、瘢痕性皮膚炎、眼球異常、 精神発達遅滞などがある。 •  妊娠5ヶ月目以降で水痘罹患した妊婦の児では、帯 状疱疹が早期に発症するとされている

(9)

新生児水痘、乳児期早期水痘

出産

5

日前~出産

2

日後に妊婦が水痘を発症

した場合、抗ウイルス薬治療が行われないと

新生児は

生後

5

10

日頃水痘を発症

30%

が死亡

する

•  母親に水痘罹患歴のない生後6か月未満の

乳児および新生児では、移行免疫による軽

症化効果が期待 されず、重症になる危険性

がある

診断

•  発疹の特徴から

臨床的に鑑別が容易

である

が、軽症の場合

(特にワクチン接種者での水

痘発症

)や皮膚色が濃く発疹が見逃される場

合には、実験室診断が必要になる。

•  ハイリスク児では、より早期に診断することで

重症に至る前に治療を行うことが可能となる。

(10)

ウイルス分離、ウイルス

DNAの検出

•  ウイルス量が多い水疱内容物を用いて行う •  ウイルスDNAの検出だけを目的とする場合には、 PCR法・LAMP法などが迅速検査として便利 •  VZVに対するモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体 法。感度はPCRに比べ落ちるが、迅速性あり •  発疹出現5日前ころから1~2日後までであれば、 PCR法などを用いて末梢血単核球中にウイルスを検 出することも可能 •  ワクチン接種後の水痘発症などでワクチン株と野生 株を判別するには、PCR-­‐RFLP法など各種、 LightCyclerを用いたTm解析法、株特異的プライマー を用いたLAMP法などが有用

血清学的診断

•  感染細胞からウイルス糖蛋白を濃縮しELISAの抗原とする gpELISA法、市販のELISA・EIAキットなどがある •  感染細胞を用いて細胞膜抗原を検出する蛍光抗体法FAMA は簡便であり、一定の熟練があれば容易に判定が行える •  免疫粘着赤血球凝集反応法(IAHA)や中和抗体測定法(NT) なども用いることができる。IAHA法は迅速で あるが、EIA法な どと比べると感度が低く、また、時として擬陽性結果が出る •  急性期と回復期でIgG抗体の有意な上昇を確認するかIgM 抗体を検出することにより診断がなされる •  安価で頻用される補体結合反応(CF)は、感度・特異性に問 題があるため、その使用は推奨できない •  EIAなどの血清学的診断は、コマーシャルラボで対応できる

(11)

細胞性免疫能を評価する方法

•  VZV感染歴やVZVに対する細胞性免疫能を評価する 方法として、水痘皮内抗原を用いた皮内テストがあ る •  この方法では、市販の「水痘抗原」液を皮内注射し、 24~48時間後に出現する発赤を元にVZVに対する 細胞性免疫を評価する •  陰性者を感染のハイリスク群とし、ワクチン接種をす るか、接触があってから7日(潜伏期間の中間)から 治療量の半量のアシクロビルを使うと、感染して
 いても発病はせず約80%の成功率で免疫を獲得

水痘皮内テスト

0.1ml  を皮内注射し、24

時間~

48時間後に発赤

最大径が

5mm以上の場

合に、

VZVに対する細胞

性免疫が陽性であると判

定される。これは、迅速に

診断が求められる場合に

有効な方法である。

(12)

水痘の治療

•  治療の多くは対症療法

•  皮膚細菌感染症に対して抗菌薬内服・外用

•  重症例に対して

抗ヘルペスウイルス薬投与

 

(アシクロビル・ACV、バラシクロビル・VACV)  

ACV,VACV投与の基準

•  米国、英国など:       

    投与対象者を明確に限定

•  日本:      

    ・水痘ワクチン任意接種      

    ・接種率低迷:

30~40%

    ・

重症化予防目的

症状出現期間短縮

     目的のACV

VACV投与例多数

    ・医療費高騰

 

(13)

水痘罹患が子ども自身に及ぼす影響

水痘そのものの症状

による影響

•  水痘の

合併症

による影響

保育園・幼稚園・学校生活

に及ぼす影響

   

勉強、運動会・遠足・誕生会などの行事

•  集団生活以外の

社会生活

に及ぼす影響

   

地域子ども会、習い事、祝い事、家族旅行など

水痘罹患が家族に及ぼす影響

家族への感染リスク

の増加

•  看病にかかわる人と

時間と費用

の負担増

就労家族

(母親)の

休業対策

   

核家族化の問題、病児保育施設不備の問題

•  休業による

就労現場対応

   

会社における育児休暇制度の不備など

•  家族旅行などの家庭生活上の

計画変更

(14)

水痘が医療環境に及ぼす影響

外来医療

• 外来待合室での

相互感染

• 保育園医、幼稚園医、学校医としての対応

入院医療

• 病棟での

相互感染

• 感染拡大阻止目的の

入院制限

• 緊急入院への

病床確保困難

さまざまな悪影響を防ぐ最も有効な手段


↓


水痘ワクチン接種


 

 

水痘ワクチンに関するファクトシート 
 (平成22年7月7日版) 
 に基づく情報を提供


(15)

水痘ワクチンの効果

•  感染防止効果

•  重症化防止効果

•  集団免疫効果

•  帯状疱疹患者数減少・症状軽減効果

第62回日本感染症学会学術集会 東日本地方会学術集会
 
 2013.10.30  –  11.1     シンポジウム2
 
 ワクチンで予防できる疾患が予防できない日本の現実
   -今、我々は何をしなくてはいけないのか?-
 


「水痘」

医療法人自然堂峯小児科理事長 峯真人

(16)

水痘ワクチン定期接種の必要性

•  日本では今でも水痘が流行し続けている •  水痘による小児や成人の健康被害は大きい •  水痘ワクチンの効果と安全性は示されている •  ワクチン導入の費用対効果も十分である •  接種年齢とスケジュールも示されている •  厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会基本方針 部会でもその必要性が示されている •  予防接種推進専門協議会など多くの団体から水痘 ワクチンの定期接種化実施に関する要望書が複数 回提出されている これ以上、どんな情報があれば定期接種化が決定さ れるのであろうか??  次は実行あるのみ!!  

定期接種を念頭においた


水痘ワクチンの接種対象者・接種方法のイメージ

【対象年齢】   ○  生後12月から生後36月に至るまでの間にある者 【接種方法】   ○  乾燥弱毒生水痘ワクチンを使用し、合計2回皮下に注射する。 接種間隔は、3月以上おくものとし、接種量は毎回0.5ミリ リットルとする。 【予防接種を受けることが適当でない者】   発熱や急性疾患などワクチン全般に共通するもの以外特記 事項なし 【標準的な接種期間】   ○  生後12月以降なるべく早期に初回接種の機会を確保した後、 初回接種終了後6月から12月に至るまでの間隔をおいて1 回行うこと

(17)

定期接種を念頭においた


水痘ワクチンの接種対象者・接種方法のイメージ

【経過措置】   〇生後36月から60月に至るまでの間にある者を対象とし、1 回注射する。   ただし平成26年度限りとする。 【その他】   〇既に水痘に罹患したことがある者は対象外とする。 〇任意接種として既に水痘ワクチンを受けたことがある者は、 既に接種した回数分の接種を受けたものとみなす。

表 4	
年齢	
  性別	
  基礎疾患	
  疾患名	
  後遺症	
 症例1	
 1歳	
 女	
  なし	
 急性脳症、多臓器不全	
  意識障害、人口呼吸器に装着し	
 呼吸管理中。	
 症例2	
 4歳	
 女	
  なし	
 頭痛、嘔吐、左片麻痺、	
 左顔面神経麻痺	
  中大脳動脈の閉塞による左片麻痺、左顔面神経麻痺が残存。	
 症例3	
 5歳	
 女	
  自閉症	
 急性脳症	
 (脳浮腫と左小脳梗塞)	
 小脳失調症が残存。	
 症例4	
 8歳	
 女	
  なし	
 髄膜脳炎と

参照

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