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レポートロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 金属資源レポート 83 ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 モスクワ事務所 1. はじめに 本レポートは ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向を分析するため JOGMECモスクワ事務所において 埋蔵量 開発状況 生産状況 Nor

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向

モスクワ事務所

1.はじめに

本レポートは、ロシアのニッケル及び白金族金属 産業の動向を分析するため、JOGMECモスクワ事務 所において、埋蔵量、開発状況、生産状況、Norilsk Nickel社の動向などを取りまとめたものである。関係 各位に活用していただければ幸いである。

2.ニッケル埋蔵量・開発・生産

ロシアは世界のニッケル埋蔵量の約10~11%を占 め て お り、 世 界 第5位 の ニッケ ル 埋 蔵 国 で あ る1 ニッケル採掘及び一次ニッケル生産では世界トップク ラスである。米国地質調査所(USGS)によると、ロ シアの2014年ニッケル採掘量は26万tで世界第2位で あった(1位はフィリピンで44万t、3位はインドネシ アで24万t)。国際ニッケル研究会(INSG、リスボン) による一次ニッケル生産量最新データ(2015年)で は、ロシアは23万1,900tで世界第2位であった(1位 は中国で43万5,200t、3位が日本で19万3,800t)2 2-1.ニッケル資源量及び埋蔵量 ロシアは世界のニッケル埋蔵量の約10~11%を占 めており、世界第5位のニッケル埋蔵量国である3 ロシアの主なニッケル埋蔵地域は、クラスノヤル スク地方、ムルマンスク州、カムチャツカ地方、ア ムール州の銅・ニッケル硫化鉱床である。これらの地 域の確認埋蔵量はロシアの89.6%、推定埋蔵量は 94.7%を占める。 これらの地域以外には、オレンブルグ州、チェ リャビンスク州、スヴェルドロフスク州に、東ウラル 鉱産地帯群があり、ロシアのニッケル確認埋蔵量の 10%、推定埋蔵量の5%強を有する20の小規模な珪酸 塩型ニッケル・コバルト鉱床が存在する。 表1.主要国のニッケル埋蔵量及び採掘量 埋蔵量(百万 t) 採掘量(千 t) 世界の採掘量に占める割合(%) インドネシア 7.7 680 28 フィリピン 7.7 335 14 ロシア 7.6 284 11 豪州 8.3 245 10 カナダ 8.5 225 9 ニューカレドニア 6.2 152 6 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」 1 ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」 2 INSG World Nickel Statistics – April 2016

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 ロシア連邦国家バランスには、54のニッケル一次 鉱床が登録されており、35鉱床が割当済みである。 19鉱床が未割当であり、これらの鉱石のニッケル平 均品位は0.52%である。14鉱床にはオフバランス埋蔵 量のみが存在する。国家バランスにはムルマンスク州 とクラスノヤルスク地方北部の2つの人工鉱床も登録 されている。 ニッケルの予測資源量は主にクラスノヤルスク地 方などのシベリア連邦管区(48%)とムルマンスク州 などの北西連邦管区(22%)に存在する。ニッケルの 探鉱がかなり実施され、有望地が残っていないため ニッケル予測資源量は埋蔵量の割に小さく、主に低次 カテゴリ(ロシア分類法のカテゴリP2、P3に属して いる。カテゴリP1の資源量は少なく、その大部分が 既知の鉱床の翼部に集中している。 表2.主要ニッケル鉱産地の埋蔵量及び資源量 埋蔵量 予測資源量 A+B+C1 確認埋蔵量 推定埋蔵量C2 A+B+C1+C2割当済 オフバランス P1 P2 P3 ロシア連邦埋蔵量に占める割合(%) 千 t ロシア 100 100 (A+B+C1)96.3% 88.6%(C2) 1,230 5,910 5,500 クラスノヤルスク地方 (Norilsko-Kharaelakh 及び Kansk 鉱産地帯) 75.2% 77.8% 75.9% 57.29% 500 1,800 2,800 ムルマンスク州 (Laplandskaya、Imandra-Varzuga 鉱産地帯) 13.6% 14.3% 13.8% 44.3% 270 450 900 スヴェルドロフスク州 (Serovsko-Poldnevskaya, Alapaevsk о -Asbestovskaya 鉱産地帯) 1.7% 1.5% 1.7% 7.7% 130 535 0 チェリャビンスク州 (Kulikovsko-Sakharinskaya 鉱産地帯) 0.5% 1.1% 5.0% 0.6% 130 150 300 オレンブルグ州 (Aschebutakskaya 鉱産地帯) 8.0% 2.6% 6.50% 5.90% 0 350 0 アムール州 (Dzhugdzhur 鉱産地帯 Kun-Manie 鉱床) 0.6% 2.5% 1.1% 0.38% 0 0 0 ヴォロネジ州

(Ertelskaya 鉱産地帯) n/a n/a n/a n/a 200 628 0 ハバロフスク地方

(Dzhugdzhur 鉱産地帯) n/a n/a n/a n/a 0 500 0 カムチャツカ地方

(Sredinno-Kamchatskaya 鉱産地帯 Shanuch

鉱床) 0.2% 0.1% n/a n/a 0 805 0

出典: ロシア連邦地下資源利用インタラクティブ電子地図(連邦地下資源利用庁地質学基盤・科学・情報局の発注によ り、情報・分析センターMineral、連邦国家単一研究生産企業 Aerogeologia(ソフトウェア)、連邦国家単一企業 A.P. Karpinsky Russian Geological Research Institute(VSEGEI)(GIS ロシア地図資料)が構築)のデータ(2013年現在) に基づき作成。

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 クラスノヤルスク地方:ロシアのニッケル確認埋 蔵量の75%、推定埋蔵量の78%を占める。 <地域の特徴> 割当済のニッケル予測資源量510万tが存在する。 クラスノヤルスク地方北部のNorilsko-Kharaelakh鉱 産地帯には、ロシアの確認埋蔵量の68%以上、推定 埋蔵量の約69%が存在する。 <代表的な鉱床>

Oktyabrskoe及 びTalnakh並 び にMaslovskoe、 Norilsk-1銅・ニッケル硫化鉱の一次鉱床(ノリリスク 地区、クラスノヤルスク地方北部) Kingash及びVerkhnekingash銅・ニッケル硫化鉱 床(クラスノヤルスク地方南部) <代表的な鉱床の解説> 図1.ロシア連邦のニッケル鉱産地帯の埋蔵量(全埋蔵量に占める割合、%) 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」 図2.ロシア連邦のニッケル鉱産地帯の資源ポテンシャル(千 t) 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 ノリリスク地区には、銅・ニッケル硫化鉱の一次 鉱床が7つあり、うちOktyabrskoe及びTalnakh鉱床 はこのタイプの鉱床としては世界最大である。ロシア のニッケル確認埋蔵量の36.9%がOktyabrskoe鉱床 に、25.2%がTalnakh鉱床に存在する。これらの鉱床 の鉱石はニッケル品位が高く、平均で0.69~0.81%、 富鉱では約3.21%である。Maslovskoe鉱床のカテゴ リ С1+С2ニッケル可採埋蔵量は72万8,000t、平均 品位は0.35%である。また、ノリリスク地区の鉱石は ニッケルの他、銅、コバルト、白金族金属、金、銀、 セレン、テルルその他の元素を多く含む。 クラスノヤルスク地方南部のKansk鉱産地帯の Kingash鉱床域では、2つの大規模な銅・ニッケル硫 化鉱床(Kingash及びVerkhnekingash鉱床)が探査済 みである。鉱石の品位は高くないが、ニッケルの他に 商業規模の銅、コバルト、貴金属を含有する。 ムルマンスク州:ロシアのニッケル確認埋蔵量の 13.6%、推定埋蔵量14.3%を占める。 <地域の特徴> ロ シ ア の ニッケ ル 資 源 量 の22% が 存 在 す る。 Lovnozersk鉱 床(P1-10万t、P2-30万t)を 含 む Laplandskaya鉱産地帯、Imandra–Varzuga鉱産地帯 のKarikyavr鉱床域(P1-7万t、P2-15万t)がこの 地 域 の 代 表 的 な 割 当 済 の 鉱 床 で あ る。Nittis-Kumuzhya-Travyanaya鉱床(P1資源量(10万t))は 大規模鉱床であるが未割当である。 埋 蔵 量 は、Pechenga(Pechenga鉱 床 群)、Kola (Lovnozersk鉱床)、Monchegorsk(Nyuduaivench、 Sopchuaivench、Vuruchuaivench鉱床)、Lovozero (Fedorova Tundra、Kievey鉱床)という4鉱産地方 の18の一次鉱床にある。 埋蔵量が多いのはPechenga鉱産地方(確認埋蔵量 約250万t)で、最大規模のZhdanovskoeを含む12鉱 床がある。 他の3つの鉱産地方の可採埋蔵量はそれほど多くなく、 Monchegorskは2万1,000t強(カテゴリA+B+C1+C2)、 Lovozeroは20万6,300tである。Lovnozersk鉱床は約 8万5,000tのオフバランス埋蔵量のみである。これら の鉱産地方ではニッケル採掘は行われていない。 <代表的な鉱床> Zhdanovskoe、Zapolyarnoe、Kotselvaara 及び Semiletka銅・ニッケル鉱床 <代表的な鉱床の解説> 最大規模のZhdanovskoe鉱床(埋蔵量がロシア全体 の約8%)の高品位塊状硫化鉱は、完全に採掘し尽く されている。 スヴェルドロフスク州:ロシアのニッケル確認埋蔵量 の1.7%、推定埋蔵量の1.5%を占める。ニッケル埋蔵 量はロシア第4位である。 <地域の特徴> ニッケル資源量に恵まれている地域である。カテ ゴリP1ニッケル資源量は13万t(ロシア全体の10% 超)、同P2資源量は53万5,000t(同約9%)で、カテ ゴリP1の約半分(6万t)が割当済、カテゴリP2は全 て未割当である(表2参照)。カテゴリP2予測資源量 の 大 部 分 は、Talovskayaエ リ ア(14万t)を 含 む Serovsko-Poldnevskaya鉱産地帯(34万5,000t)に集中 しており、同エリアにはカテゴリP1資源量(2万t) も存在する。割当済のカテゴリP1予測資源量は、 Alapaevskо-Asbestovskaya鉱産地帯とKungurskoe 鉱床(Serovsko-Poldnevskaya鉱産地帯)に集中して いる。6つのニッケル鉱床(3鉱床は割当済)が探査済 みである。 <代表的な鉱床> Serovskoe鉱床(珪酸塩型ニッケル鉱床) <代表的な鉱床の解説> 最大の鉱床はSerovskoe鉱床(州の確認埋蔵量の 96.8%)で、平均品位は0.73%である。 チェリャビンスク州:ロシアのニッケル確認埋蔵量の 0.5%、推定埋蔵量の1.1%を占める。 <地域の特徴> ニッケル資源量に恵まれており、カテゴリP1ニッ ケル資源量13万t(ロシア全体の約11%)、同P2資源 量15万t(同2.5%)が存在する(表2参照)。資源量の 大部分はKulikovsko-Sakharinskaya鉱産地帯にある (P1-6万t、P2-9万5,000t)。 確認埋蔵量は少なく、9鉱床が探査済みで、うち4 鉱床はオフバランス鉱床である。 <代表的な鉱床> Sakharinskoe鉱床 <代表的な鉱床の解説> 最大の鉱床はSakharinskoe鉱床で、ロシアの確認 埋蔵量の約0.7%が存在する。平均品位は0.87%であ る。 オレンブルグ州:ロシアのニッケル確認埋蔵量の 8%、推定埋蔵量の2.6%を占める。ニッケル埋蔵量は ロシア第3位である。 <地域の特徴> ニッケル資源量は少なく、カテゴリP2ニッケル資 源量35万t(ロシア全体の約6%)が存在する(表2参 照)。資源量の主要部分がAschebutakskaya鉱産地帯 のBrientskoe鉱床域(P2-22万t)に集中している。 資源量は全て未割当である。 6鉱床(2鉱床は割当済)が探査済みで、確認埋蔵量 の平均品位は0.64%である。 <代表的な鉱床> Buruktal鉱床 <代表的な鉱床の解説> 最大鉱床はBuruktal鉱床で、ロシアの確認埋蔵量 の約6.9%、推定埋蔵量の2.1%が存在する。平均品位

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 は0.63%である。 ヴォロネジ州: <地域の特徴> ニッケル資源量に恵まれており、カテゴリP1ニッ ケル資源量20万t(ロシア全体の16%以上)、同P2資 源 量62万8、 000t(同10%以 上)が 存 在 す る(表2参 照)。資源量の主要部分は割当済で、Ertelskaya鉱産 地帯にある。予測資源量はElkinskoe鉱床(P2-37万 2,000t)及びElanskoe鉱床(P1-20万t、P2-5万t) に集中している。Bobrovsko-Mamonovskaya鉱産地 帯の鉱床(Nizhnemamonskoe及びPodkolodnovskoe) には未割当のカテゴリP2資源量20万6,000tが存在す る。Elkinskoe及びElanskoe鉱床では2015年にカテゴ リC1(5万1,000t)及びC2(42万4,000t)埋蔵量が確 認された。 <代表的な鉱床> Elkinskoe及びElanskoe鉱床 <代表的な鉱床の解説> Elkinskoe及びElanskoe鉱床では2015年にカテゴリ C1(5万1,000t)及びC2(42万4,000t)埋蔵量が確認さ れた。貧鉱の品位は1.03%、それ以外は2.0~2.2%で ある。 ハバロフスク地方:少量のカテゴリP2予測資源量が Dzhugdzhur鉱産地帯に存在する(銅も含有)。予測 資源量の半分は割当済で、Lantarsky山地にある。残 りはGeransky山地にあり、未割当である。 カムチャツカ地方: <地域の特徴> ニッケル資源量に恵まれ、カテゴリP2ニッケル資 源量80万5,000t(ロシア全体の13%以上)がSredinno-Kamchatskaya鉱産地帯に存在する(表2参照)。 <代表的な鉱床> Shanuch鉱床 <代表的な鉱床の解説> 少量の資源量がSredinno-Kamchatskaya鉱産地帯 唯一の銅ニッケル硫化鉱床であるShanuchに集中し ている。資源量の主要部分は割当済である。同鉱床の 可採埋蔵量は5万t未満である。鉱石は高品位鉱(平 均品位5.93%)である。 アムール州:ロシアのニッケル確認埋蔵量の0.6%、 推定埋蔵量の2.5%を占める。 <地域の特徴> 唯一の銅・ニッケル硫化鉱床であるKun-Manie鉱 床(Dzhugdzhur鉱産地帯)が知られている。 <代表的な鉱床> Kun-Manie鉱床 <代表的な鉱床の解説> ニッケル埋蔵量は83万tである。 表3.ロシアの大規模ニッケル鉱床(ロシア連邦埋蔵量に占める割合、%) 鉱床 A+B+C1 C2 平均品位 地下資源利用者 クラスノヤルスク地方(Kansk 鉱産地帯)

Kingash 3.6 5 0.41 Kingash 鉱業会社(Intergeo グループ) Verkhnekingash 3.4 5 0.46

クラスノヤルスク地方(Norilsko-Khatangsky 断層 Talnakh 及び Norilsk 鉱体群(クラスノヤルス地方北部)) Maslovskoe 2.4 3.4 0.35 Norilsk Nickel 社

Oktyabrskoe 36.9 60.3 0.84 Talnakh 25.2 42.6 0.69

Norilsk-1 2.9 7.8 0.35 Norilsk Nickel 社、Russian Platinum 社 ムルマンスク州(Imandra-Varzuga 鉱産地帯 Pechenga 鉱床域)

Zhdanovskoe 8.6 6.5 0.66 Kola MMC 社 スヴェルドロフスク州

Serovskoe n/a n/a 0,73 Ufaleynickel 社 チェリャビンスク州

Sakharinskoe n/a n/a 0.87 Yuzhuralnickel 社 オレンブルグ州

Buruktal 6.9 2.1 0.62 Yuzhuralnickel 社

Buruktal ニッケル鉱床会社 ヴォロネジ州

Elkinskoe 及び Elanskoe n/a n/a 1.03-2.2* UMMC 社 カムチャツカ地方

Shanuch n/a n/a 5.93 Geotechnology 社 アムール州

Kun-Manie 0.6 2.5 0.58 Kun-Manie 社(英 Amur Minerals 社傘下) 出典: ロシア連邦地下資源利用インタラクティブ電子地図(連邦地下資源利用庁地質学基盤・科学・情報局の発注によ

り、情報・分析センターMineral、連邦国家単一研究生産企業 Aerogeologia(ソフトウェア)、連邦国家単一企業 A.P. Karpinsky Russian Geological Research Institute(VSEGEI)(GIS ロシア地図資料)が構築)のデータに基づき作成。

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 2-2.主要地質調査と鉱床開発準備 主な地質調査・鉱床開発準備は表4.のとおり。 表4.主な地質調査・鉱床開発準備 鉱床 オペレーター 解説 Talnakh 鉱床域 Talnakh 及び Oktyabrskoe 鉱 床(クラスノヤルスク地方ノ リリスク地区) Norilsk Nickel 社北極圏支社 のプロジェクト 地質調査段階2009年より、Oktyabrskoe 及び Talnakh 鉱床ライセンス鉱 区内において富鉱・銅鉱床探査のための地質調査を既存埋蔵 量の範囲外で実施中。 2010年に Oktyabrsky 鉱山西翼の割当鉱区で埋蔵量の現況評 価が実施され、カテゴリ C1 +C2埋蔵量として銅・ニッケル 硫化鉱620万4,000t(うち45t が PGM)が国家バランスに 計上された。

Taimyrsky 鉱山北翼、Skalisty 鉱山東翼、Mayak 鉱山エリア、 Talnakh 鉱床南翼で地質調査を実施中。Medvezhii ruchei 採 鉱場南西翼で地質調査を行っており、露天掘り向け鉱石約 4,000万 t の増加が見込まれる。 生産段階 北極圏支社のプロジェクト: Taimyrsky 鉱 山(鉱 石 埋 蔵 量6,300万 t)の 年 間 採 鉱 量 を 2022年までに390万 t に拡大。 Oktyabrsky 鉱山(鉱石埋蔵量5,900万 t)の年間採鉱量500 万~520万 t を2023年まで維持。 Skalistaya 採 鉱 場 を 除 く Komsomolsky 鉱 山(鉱 石 埋 蔵 量 2,000万 t )の年間採鉱量380万~410万 t を2020年まで維 持。 Komsomolsky 鉱 山 Skalistaya 採 鉱 場(鉱 石 埋 蔵 量5,800万 t)では、2014年に第1運搬用立坑(VZS-1)が稼働開始。 2017年をめどにロシア最深(2,056m)の第10換気用立坑 (VS-10)が稼働開始予定。VS-10の稼働により、年間採鉱 量は2017年に190万 t、2024年以降は240万 t となる見込 み。 Maslovskoye プラチナ・銅・ ニッケル鉱床 (クラスノヤルスク地方 Taymyr 半島) Norilsk Nickel 社北極圏支社

のプロジェクト 開発段階Norilsk Nickel 社 は2015年5月19日、Maslovskoye 鉱 床 の 開発ライセンス(有効期限2035年5月31日)を連邦地下資 源利用庁(Rosnedra)より取得した。 Maslovskoe 鉱床は、地質調査目的で供与された地下資源利 用権に基づき Norilsk Nickel 社が2006~2008年に地質調査 を実施し、2009年に発見された。 探査計画の作成及び承認取得-2016年5月31日;探査開始 -2016年11月30日;探査終了-2019年5月31日;埋蔵 量が確認されたエリアの開発技術計画の作成及び承認取得 -2021年5月31日;インフラ施設の建設開始-2021年11 月30日;採鉱開始-2025年5月31日;鉱山(鉱石年産300 万 t)の操業開始-2028年5月31日;フル操業化(鉱石年産 530万 t)-2033年5月31日 プロジェクト実施への投資は国際価格が回復するまで延期と なる可能性がある。 Norilsk-1鉱床北部(クラス ノヤルスク地方ノリリスク地 区) Norilsk Nickel 社北極圏支社

のプロジェクト Norilsk-1鉱 床 北 部 の 開 発 は Zapolyarny 鉱 山 及 び Medvezhii ruchei 採鉱場で行われている。 2012年9月、Zapolyarny 鉱山の斑岩鉱採掘拡大に向けた設計 作業が完了した。プロジェクトの目的は、同鉱山ライセンス鉱 区(割当鉱区)内の Norilsk-1鉱床の斑岩鉱開発と鉱山の鉱石年 産能力の段階的拡大(120万 t から2019年の200万 t へ)、電 力・熱・水供給施設の建設である。プロジェクトの投資総額は 6億2,100万 US$ である。 Zhdanovskoe 銅・ニッケル 鉱床(ムルマンスク州ペチェ ンガ地区) Severny 鉱山(ムルマンスク 州ペチェンガ地区) Norilsk Nickel 社 Kola MMC 社のプロジェクト 地質調査段階Zhdanovskoe 鉱床深層の追加探査を実施中。新技術基準に 基づく埋蔵量再評価、同鉱床をベースとする Severny 鉱山の 更なる開発。 開発・生産段階 Severny 坑内掘り鉱山建設。2004年11月に第一フェーズ施 設(鉱石年産能力100万 t)、2007年に第二施設(同600万 t)、2010年に第三施設(同600万 t)が操業を開始し、現在 第四施設の建設が完了しつつある。

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 鉱床 オペレーター 解説 Norilsk-1鉱床南部(クラス ノヤルスク地方ノリリスク地 区) アムール採金協同組合

(Russian Platinum 社) 開発段階Russian Platinum 社は、Norilsk-1鉱床の開発を Chernogorsk 鉱床プロジェクト(両鉱床共クラスノヤルスク地方 Taymyr 半 島)と 一 体 化 し、 操 業 開 始 を5年 早 め る 意 向 で あ る。 2013年7月24日、ロシア連邦政府は Amur 採金協同組合を Norilsk-1鉱床南部の入札の落札者として承認し、ニッケル・ 銅・コバルト・随伴成分の探査・採掘目的の鉱区利用権を同 組合に供与するよう命じた。

2011年4月、Russian Platinum 社 は Chernogorsk 鉱 業 会 社 を取得した。Chernogorsk 鉱業会社は、Chernogorsk 鉱床の 非鉄金属・貴金属の探査・採掘・生産ライセンスを所有して いる。確定している可採埋蔵量は鉱石1億4,300万 t(平均 品 位: ニッケ ル0.22%、 銅0.29%、PGM・ 金3.9g/t)で ある。PGM は同鉱床西部の深さ20m、東部の深さ245m に 賦存する。同社の計画では、プロジェクト第一フェーズの 2018年に Chernogorsk 鉱床の採鉱製錬コンビナートを稼働 開始し、2019年に同コンビナートで Norilsk-1鉱床南部の高 品位鉱を処理できるようにする。第一フェーズの費用は40 億 US$ を超える。 以前の計画では、2023年8月までに Norilsk-1鉱床の採掘を 開始し、2024年8月に選鉱プラントの操業を開始すること になっていた。 第二フェーズ(両鉱床の本格的開発)は2028年開始見込み である。 Chernogorsk 鉱床の選鉱プラント(鉱石年産能力250万 t 以 上)は2017年10月に操業を開始する予定である。処理能力 は2029年に900万 t に拡大し、その後、採掘ピーク時には 2,700万 t に拡大する予定である。 Chernogorsk 銅・ニッケル硫 化鉱床(クラスノヤルスク地 方ノリリスク地区) Chernogorsk 鉱業会社 (Russian Platinum 社 Kingash及びVerkhnekingash コバルト・銅・ニッケル鉱 床(クラスノヤルスク地方 Taymyr半島サヤン地区) Kingash 鉱業会社(Intergeo 社傘下) 開発段階2014年、Kingash 鉱業会社は、Verkhnekingash 鉱床発見を 認定する2014年3月6日付の Rosnedra の証明書、埋蔵量算 定を含む鉱床評価に関する専門家の鑑定書を提出し、所定の 申請手続きを経て、Verkhnekingash 銅・ニッケル鉱床を含 む連邦的意義を有する地下資源鉱区の利用権を取得した。 2010年、Intergeo 社は Kingash 鉱業会社の定款資本100% を Norilsk Nickel 社 か ら 買 い 取った。Kingash 鉱 業 会 社 は Kingash コバルト・銅・ニッケル鉱床の探査・採掘一貫ラ イ セ ン ス と Verkhnekingash コ バ ル ト・ 銅・ ニッケ ル 鉱 床 の探査ライセンスを所有していた。カテゴリ B+C1+C2の 総 埋 蔵 量 は、 ニッケ ル220万 t、 銅100万 t、 コ バ ル ト8万 5,000t、PGM860万 oz(267.5t)、 金120万 oz(37.3t)、 銀1,270万 oz(395t)である。 Kingash 鉱床に採鉱選鉱コンビナートを建設するプロジェ ク ト が 進 め ら れ て お り、 こ れ に よ り 採 鉱 場(Kingash、 Verkhnekingash、Kuevskoe)の年間採鉱量は1,850万 t、選 鉱プラントの精鉱年産量は53万 t になる予定である。2014 年末に建設を開始、2017年に操業を開始、2022年にはフ ル操業を予定している。精鉱は金属生産に向けゼレノゴルス ク市の製錬所に送られる。製錬所の年産能力はニッケル4万 5,000t、銅1万5,200t、貴金属5~6t である。 Elanskoe 及び Elkinskoe 銅・ ニッケル鉱床(ヴォロネジ州 ノヴォホピョルスク地区) Elansky 採鉱選鉱コンビナー ト(UMMC 傘下) 2015年にカテゴリ C1(5万1,000t)及び C2(42万4,000t)埋蔵量が確認された。2013年に鉱床調査を開始し、調査作業 は2017年まで継続される予定である。地質調査終了後に採鉱 選鉱コンビナート建設の妥当性が検討される予定である。 Kun-Manie 銅・ニッケル硫化

鉱床(アムール州) Kun-Manie 社(英 Amur Minerals 社傘下) 開発段階Kun-Manie 社は2005年から地質調査を実施し、2015年5月 に採掘ライセンス(2034年12月まで)を取得した。15年間 で9,000万 t の鉱石処理を予定。鉱石の平均品位はニッケル 0.58%(52万4,000t)、銅0.16%(14万2,000t)、プラチ ナ及びパラジウム0.345g/t。 チタの銅プロジェクト Bystrinsky 採鉱選鉱コンビ ナート Norilsk Nickel 社 北極圏支社のプロジェクト 埋蔵量は30年以上の操業が可能。銅生産量は2016年は36万~37万5,000t を予定、2018年には Bystrinsky 採鉱選鉱コン ビナートの操業開始により42万~44万5,000t となる。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 2-3.ニッケル採掘 ロシアは、クラスノヤルスク地方におけるNorilsk 鉱産地方の重点的な鉱床開発により、長年に亘りニッ ケル採掘で世界をリードしてきた。2014年時点では 世界の採掘量に占めるロシアのシェアは10.83%で世 界2位である。しかし、ロシアの優良ニッケル鉱床は ほぼ開発し尽くされており、今後の主な開発は埋蔵量 の少ない鉱床が中心になると予想される。このため、 ニッケル生産におけるロシアの役割は徐々に縮小する と予想される。近い将来、ニッケル・コバルト・ラテ ライト鉱からのニッケル生産を急速に拡大している フィリピン、インドネシア、ブラジルといった国の ニッケル生産の役割が増大する可能性がある。ニッケ ル採掘量に占めるフィリピン、インドネシア、ブラジ ルの割合は2000年には13.36%であったが、2014年に は33.58%に上昇しており、今後、これらの国がニッ ケル採掘をリードする可能性がある。 ロ シ ア の ニッケ ル 生 産 量 は2010年 の376.2千tを ピークに減少傾向にある。 表5.2008~2014年のロシアのニッケル採掘量(千 t)4 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ラテライト鉱 47.551 32.294 41.179 41.777 28.210 n/a n/a 硫化鉱 229.765 229.493 228.093 225.616 217.085 n/a n/a 計 277.316 261.787 269.272 267.393 245.295 250.000 260.000

出典 : U.S.G.S. Minerals Yearbook – 2012他 表6.2007~2014年のロシアのニッケル採掘量(千 t) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 採掘量 356.6 358.4 364.6 376.2 371 348.5 337 n/a 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基 づき作成 表7.ロシアのニッケル採掘企業及び鉱床(採掘量、千 t) 企業・鉱床 2009 2010 2011 2012 2013 Norilsk Nickel 社 330.1 335.5 334.4 322 326  北極圏支社 280.5 281.1 281 270.3 275   うち Oktyabrskoe 鉱床 220.3 219.3 215.5 202.2 200     Talnakh 鉱床 51 52 55.9 57.5 60     Norilsk-1鉱床 15  Kola MMC 社 49.6 54.4 53.4 51.7 51   うち Zhdanovskoe 鉱床 32.4 35.6 32.6 30.7 34  Yuzhuralnickel 社 21.0 22.4 23.1 11.4 0   うち Sakharinskoe 鉱床 9.7 6.2 7.1 3.9 0     Buruktal 鉱床 11.3 16.2 16.0 7.5 0  Ufaleynickel 社(Serovskoe 鉱床) 6.2 10.9 10.6 9.8 9.8  Buruktal ニッケル鉱床会社 2.7 1.4 1.2 1.2 1  Geotechnology 社(Shanuch 鉱床) 7.3 5.8 1.6 3.5 0.6 注:尾鉱生産は含まない 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基 づき作成 4 ロシアのニッケル採掘に関するデータはロシアと米国の情報源で異なっている。海外の資料にはNorilsk Nickel 社関連のデータが含まれるが、同社は採掘した鉱石の品位を公表しておらず、埋蔵量の平均品位でしかニッケル 採掘量を評価できないため、あまり正確ではない(Norilsk Nickel社は抜掘りを行っており、採掘した鉱石中の ニッケル品位の方が埋蔵量の平均品位より高い)

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 2-4.一次ニッケル生産 ロシアは中国に次ぐ世界最大のニッケル生産国で ある。ロシアのニッケル生産は2008年から伸び悩み、 近年は年平均世界価格の下落と相まって減少傾向にあ り、2010年時点では世界生産に占めるロシアのシェ アは19.76%まで縮小した。 金属ニッケル生産を行っているのは、Norilsk Nickel 社、Uralelectromed社、Ufaleynickel社(Industrial Metallurgical Holding傘下)、Rezhnickel社(Industrial Metallurgical Holding 傘下)、Yuzhuralnickel 社 (Mechel社傘下)5である。 なお、ロシアはニッケル鉱石及び精鉱の輸入も 行っており、2014年のその量は2万2,700t(対円年比 27%減)であり、世界第10位であった。 ロシアの一次ニッケル生産はNorilsk Nickel社にほ ぼ集中しており、同社のシェアは約90%であり、以 下の要因により世界最大手として業界をリードしてい る。 • 他成分も含有するニッケル硫化鉱の鉱床を所有 • 鉱石の品位の高さ • 生産量の多さ • 省エネ生産技術による生産コストの低さ なお、Norilsk Nickel社のニッケル生産量は2012年 の23万3,600tから2014年には22万8,400tに減少した。 減産の主な原因は、2014年3月から5月にかけて行わ れたNadezhda製錬プラントの定期オーバーホール (自溶炉の最大規模の修理)である。 表8.ロシアのニッケル生産(千 t) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ロシア全体 * 288.79 275.20 268.00 276.00 270.00 250.00 275.00 260.00 ロシア全体 ** 265.9 258.7 255.00 262.4 264.9 254.1 241.8 n/a Norilsk Nickel 社 *** 234.454 232.302 232.813 235.518 237.228 233.632 231.798 228.438 うち北極圏支社 118.809 122.000 124.250 124.200 124.000 124.000 122.700 122.390  Kola MMC 社 115.645 110.302 108.563 111.318 113.228 (110.304)(99.153)109.632 (96.573)109.098 (100.834)106.048 ウラル **** 39.97 31.6 23.16 28.03 26.8 20.46 16.76 16.38 うち  Yuzhuralnickel 社 17.14 16.00 15.60 17.00 16.30 9.78 0.00 0.00  Rezhnickel 社 7.30 4.40 n/a n/a n/a 0.30 4.41 4.11  Uralelectromed 社 1.13 1.09 1.10 1.00 1.00 0.95 0.94 0.92  Ufaleynickel 社 14.40 10.11 6.46 10.03 9.50 9.43 11.41 11.35 注1: ロシアのニッケル生産のデータは公式統計では発表されず、前期比増減率のみ発表。 注2: Kola MMC 社のデータは、上段が生産量全体(2007~2010年は自社原料及び北極圏支社の原料による生産量)、下段 カッコ内が国内原料による生産量6 注3: 2015年上期のロシアのニッケル生産は前年同期比2.5%減となった。

出典: * U.S. Geological survey minerals yearbook、** 情報分析センター「Mineral」(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦 の鉱物資源状況に関する政府報告」)、*** Norilsk Nickel 社年次報告書、**** Infogeo

5 2012年12月より生産停止 6 Norilsk Nickel社によると、「国内原料による」という表現は、トーリング方式による原料購入を開始した2011年 に導入された。Kola MMC社のニッケルは、①自社原料(Kola MMC社で採掘・処理された鉱石)、②北極圏支 社からの原料(マット)、③第三者から購入した原料により生産されており(2011年以前は①及び②から生産)、 実態を反映させるため報告書に「国内原料」(北極圏支社からのマットも含まれる)の表現が用いられるように なった。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 図3に示す通り、北極圏支社では硫化鉱の選鉱は Talnakh及びNorilsk選鉱プラントで行われているが、 ニッケル品位1.5%を超える高品位鉱の一部について は選鉱せずに製錬部門に送られる。 ノリリスク市のNickelプラント、Copperプラント、 Nadezhdaプラントのニッケル年産量は12万~12万 5,000tである。ニッケルマットの大半はムルマンスク 州のSeveronickelコンビナートに送られ処理される。 図4はNorilsk Nickel社北極圏支社の鉱山、選鉱プ ラント、製錬部門事業所等の配置図である。北極圏支 社はTaymyr半島に位置し、完全に北極圏内にある。 国内他地域との間の輸送はエニセイ川経由、北海航 路、空路による。 図5の Kola MMC社の最終製品はニッケルマット で、モンチェゴルスクのSeveronickelコンビナートに 送られ処理されて、電気ニッケル及びカルボニルニッ ケル粉となる。 Kola MMC社はコラ半島に位置し(図5)、北西連 邦管区の輸送インフラに組み込まれている。 Yuzhuralnickel社、Rezhnickel社、Uralelectromed 社及びUfaleynickel社の国内ののニッケル生産企業 (ウラル地域)は、以下の要因により国内生産に占め 図3.Norilsk Nickel 社事業所の生産体制 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基づき 作成 図4.Norilsk Nickel 社北極圏支社マップ 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 るシェアが10%未満となっている。 • 酸化ニッケル鉱を処理 • 生産量が限られている • 旧式化した技術を利用 • ニッケル生産コストの高さ(旧式化した技術・設備 が原因) 図6はウラルのニッケル企業の生産体制を示してい る。ウラルのチェリャビンスク州では鉱石は予備選鉱 せずにUfaleyニッケルプラント(ニッケル年産能力1 万5,000t)で製錬される。一部の鉱石はRezhnickel社 のプラントでマットに加工され、その後Ufaleyプラ ントで精錬が行われる。 Sakharinskoe鉱床の鉱石は予備選鉱せずにOrsk ニッケルプラントで低鉄フェロニッケル(ニッケル含 有量85%以上)に加工される。 Buruktal鉱 床 の 鉱 石 は 予 備 選 鉱 せ ず に Yuzhuralnickel社のOrskニッケルプラント、Buruktal 製錬所に送られる。Orskプラントでは低鉄フェロ ニッケ ル(ニッケ ル 含 有 量85% 以 上)が 生 産 さ れ、 Buruktal製錬所でもフェロニッケルが生産されてい る。 Shanuch鉱 床 の 鉱 石 は 選 鉱 後(損 失 分4% 未 満) ニッケル精鉱としてUfaleyニッケルプラントの製錬 部門に送られる。 図6.ウラルのニッケル企業の生産体制 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基づき 作成

図5.Norilsk Nickel 社 Kola MMC 社マップ 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 2-5.ニッケル輸出 ロシアは世界有数のニッケル輸出国であり、2014 年は、世界のニッケル需要の12.1%に相当する23万 8,400t(前年比0.1%増)を輸出した。2014年のニッケ ル輸出額は38億9,270万US$であった。2015年1~9月 期のロシアのニッケル輸出は15万5,200t(19億4,550 万US$)であった。主要輸出者はNorilsk Nickel社で ある。 2014~2015年の生産減少に伴い、2015年は輸出も 大幅に落ち込んだ。2015年上期のニッケル輸出は前 年同期比12.2%減の9万4,200t、うち非CIS諸国向け 輸出は12.2%減となった。 2014年の主要輸出先はオランダ、イタリア、フィ ンランド、スロヴェニア、ベルギーであった。 表9.2008~2014年のロシアのニッケル輸出 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 輸出量(千 t) 253.20 244.78 240.40 195.50 219.10 238.30 238.40 輸出額(百万 US$) 4,918.69 3,559.17 5,237.40 4,486.30 3,721.10 3,626.40 3,892.70 平均輸出価格(US$/t) 19,546 14,548 21,790 22,963 16,982 15,216 16,328 出典:連邦国家統計局 図7.2014年1月~2015年9月のロシアのニッケル輸出量(千 t) 出典:ロシア連邦税関庁のデータに基づき作成 図8.2014年1月~2015年9月のロシアのニッケル輸出額(百万 US$) 出典:ロシア連邦税関庁のデータに基づき作成

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 図9.2014年の Norilsk Nickel 社のニッケル輸出先地域構成 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書 表10.2014年1月~2015年9月のロシアの主要国別ニッケル輸出量(t) 年 月 オランダ ベルギー イタリア スロヴェニア フィンランド 2014 1月 17,511.913 0 0 100 0 2014 2月 11,719.622 0 0 0 0 2014 3月 22,129.028 0 0 60 0 2014 4月 11,740.098 0 160 120 100 2014 5月 23,455.429 40 220 120 180 2014 6月 19,094.859 60 140 120 80 2014 7月 12,320.158 100 140 120 160 2014 8月 32,857.629 160 200 160 160 2014 9月 25,201.617 180 160 200 180 2014 10月 14,355.897 100 200 140 260 2014 11月 20,321.022 200 220 180 60 2014 12月 21,281.722 180 200 140 120 2014年合計 231,988.994 1,020 1,640 1,460 1,300 2015 1月 13,688.06 140 100 120 100 2015 2月 19,128.632 60 80 100 140 2015 3月 18,537.475 200 120 120 0 2015 4月 17,731.512 200 61.828 0 0 2015 5月 12,351.9 160 0 0 0 2015 6月 10,787.085 53.3 0 0 0 2015 7月 8,260.30 4,050.786 3.645 0 0 2015 8月 11,233.5 0 0 0 0 2015 9月 22,723.266 5,329.965 3.001 0 0 2015年1~9月合計 134,441.730 10,194.051 368.474 340 240 出典 : ロシア連邦税関庁のデータに基づき作成 表11.2008~2014年の Norilsk Nickel 社国内事業所のニッケル販売 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 販売量(千 t) 229 236 240 234 234 232 228 自社原料による国内事業所製金属の平均 販売価格(US$/t) 21,517 14,853 21,997 23,060 17,719 15,156 17,072 出典:Norilsk Nickel 社年次報告書

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 Norilsk Nickel社のニッケルの輸出先は中国をはじ めアジア、欧州、米国市場であり、ロシア国内にも供 給している。マーケティング戦略上、産業消費者に対 する供給に重点が置かれている。 2-6.ニッケル生産見通し 「2014~2020年及び2030年までのロシアの非鉄金属 産業発展戦略」(2014年5月5日付産業貿易省令第839 号)において、3つのニッケル生産見通しのシナリオ が立てられている。 ・ 石油安想定シナリオでは、競争力の低いウラルのプ ラントの完全操業停止が見込まれる。若干のニッケ ル減産の可能性もある。新規プロジェクトは全て 2020年まで実施しない。 ・ 保守的シナリオでは、既存施設の設備更新・近代化 を実施し、25万~25万5,000tレベルのニッケル生 産を2020年まで維持する。その後、新規プロジェ クト(Kingash鉱山、Chernogorsk鉱山、Elanskoe 及びElkinskoe鉱床)により生産を拡大し、2025年 は28万5,000t、2030年は32万tを想定している。生 産に占める輸出のシェアは僅かに低下し、87~ 88%となる。 ・ 革新的シナリオでは、保守的シナリオとは異なり、 新規鉱山の操業開始を速め、ニッケルの輸出削減と 国内消費の大幅拡大を図る。ニッケル需要は2025 年 は6万2,000t、2030年 は7万7,000tを 想 定 し て い る。 なお、Norilsk Nickel社の自社原料によるニッケル 生 産 量 予 測 は、2016年 が22万5,000~23万5,000t、 2018年が22万5,000~23万5,000tである。同社による と、世界のニッケル生産者の約60%が赤字であり、 現行価格下では世界のニッケル生産を25%削減する 必要がある。 図10.Norilsk Nickel 社のニッケル輸出の輸送体制 出典:Norilsk Nickel 社年次報告書

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向

3.白金族金属の埋蔵量・開発・生産

ロシアの白金族金属(PGM)の埋蔵量は南アフリカ の埋蔵量(6万2,000t以上)の約6分の1に相当する1万 5,200t超である。7 3-1.PGM 資源量及び埋蔵量 ロシアのPGM埋蔵量のほぼ全てがクラスノヤルス ク地方北部に集中している。ムルマンスク州にも有望 鉱床があるが、クラスノヤルスクの埋蔵量のおよそ 30分の1に過ぎない。 埋蔵量:ロシアの埋蔵量国家バランスには、141の PGM鉱床(一次鉱床30、漂砂鉱床111)が登録されて いる。69鉱床が割当済みであり、72鉱床が未割当で ある。15鉱床にはオフバランス埋蔵量のみが存在す る。 予測資源量:ロシアのPGM予測資源量は、PGM鉱 石と漂砂鉱床の分のみが計上されている。調査が進ん でおらず予測資源量は非常に少ないが、Norilsko-Kharaelakh鉱産地帯の大規模鉱床の翼部・深部にあ る銅・ニッケル硫化鉱床(PGMは随伴成分)には約 3,000tのPGMが賦存すると予想されており、今後、 PGM予測資源量が拡大する可能性がある。 表12.ロシア連邦の PGM 埋蔵量及び資源量(t)(2014年1月1日現在) 埋蔵量 予測資源量 A+B+C1 (確認) (推定)C2 A+B+C1+C2割当済 オフバランス P1 P2 P3 ロシア連邦 9,960.9 5,292 44.3 251.4 414 クラスノヤルスク地方 (Norilsko-Kharaelakh 及び Kansk 鉱産地帯) 9,589.2 4,980.02 12,982.8 1,711.6 0 2 3 ムルマンスク州 (Laplandskaya、Imandra-Varzuga 鉱産地帯) 252.7 226.6 479.3 0 33.9 210 0 スヴェルドロフスク州 56.27 16% n/a 10.4 0 0 アムール州 0 12.5 12.5 0 0 0 0 ハバロフスク地方 11.3 15.67 13.4 7.17 4 113.4 1 カムチャツカ地方 0.496 0.31 n/a 1.666 0 0 0 カレリア共和国 0.27 3.58 0 0 0 27.3 0 出典: ロシア連邦地下資源利用インタラクティブ電子地図(連邦地下資源利用庁地質学基盤・科学・情報局の発注によ り、情報・分析センターMineral、連邦国家単一研究生産企業 Aerogeologia(ソフトウェア)、連邦国家単一企業 A.P. Karpinsky Russian Geological Research Institute(VSEGEI)(GIS ロシア地図資料)が構築)のデータに基づき作成。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 図11.ロシア連邦の PGM 埋蔵量(t) 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」 図12.ロシア連邦の PGM 資源ポテンシャル(t) 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 クラスノヤルスク地方:ロシアのPGM可採埋蔵量 の97%以上が16鉱床に集中している。 <地域の特徴> 主な埋蔵量と予測資源量は、クラスノヤルスク地 方北部のNorilsko-Kharaelakh鉱産地帯の5つの銅・ ニッケル硫化鉱床(ノリリスク地区)に集中してい る。ノリリスク地区の一次鉱床は、パラジウムの品位 がプラチナを上回っており、その比率は平均で3.4:1 となっている。特に塊状富鉱ではパラジウム比率が高 くなり、PGM総含有量の80%を占める。 クラスノヤルスク地方南部、Kansk鉱産地帯の鉱床 は、プラチナとパラジウムの品位はほぼ等しい。 <代表的な鉱床> Oktyabrskoe鉱床、Talnakh鉱床、Chernogorsk鉱 床、Maslovskoe鉱床、Norilsk-1鉱床(クラスノヤル スク地方北部のNorilsko-Kharaelakh鉱産地帯の銅・ ニッケル硫化鉱床) Kingash鉱床、Verkhnekingash鉱床(クラスノヤ ルスク地方南部のKansk鉱産地帯の銅・ニッケル硫 化鉱床) <代表的な鉱床の解説> Oktyabrskoe及 びTalnakh鉱 床 は 規 模 が 大 き く (PGM確認埋蔵量7,250t、ロシアの73.5%)、PGMの 品位も高い。平均品位は4.64~4.65g/tであるが、鉱 石によっては12.6~12.9g/tにもなる。Norilsk-1及び Maslovskoe鉱床は、Oktyabrskoe及びTalnakh鉱床 と比較すると、埋蔵量は少ないが、平均品位は高く、 それぞれ6.7g/t、6.6g/tである。Chernogorsk鉱床は それらと比較すると品位が低い(3.5g/t)。 Kansk鉱産地帯のKingash及びVerkhnekingash銅・ ニッケル硫化鉱床の随伴PGMの品位は約0.5g/tであ り、PGM可採埋蔵量は235t(ロシアの1.5%)である。 ムルマンスク州: <地域の特徴> 一次鉱床PGMの資源量の大部分が集中しており、 Imandra–Varzuga鉱産地帯のVostochno-Monchetundrovsky エリア(P2-80 t)及びVostochno-Pansky鉱床域(P2 -70 t)に特に多い。13鉱床が割当済である。 <代表的な鉱床> 低硫化型PGMのFedorova Tundra鉱床、Kievey鉱 床、Chuarvy Vostochnoe鉱床、Vuruchuaivench鉱床 PGMが随伴成分であるZhdanovskoe銅・ニッケル 硫化鉱床 <代表的な鉱床の解説> PGMが主成分である鉱床としては、低硫化型PGM 鉱 床 のFedorova Tundra(品 位1.37g/t)、Kievey ( 3.65 g / t )、C h u a r v y V o s t o c h n o e( 6.68 g / t )、 Vuruchuaivench(3.82g/t)がある。 PGMが随伴成分である鉱床としては、ペチェンガ 地区の10の銅・ニッケル硫化鉱床があり、平均品位 は0.022~0.414g/tの 範 囲 に あ る。 最 大 の 鉱 床 は Zhdanovskoe鉱床で、カテゴリC2のPGM埋蔵量は 22.3t(平均品位0.07g/t)である。 スヴェルドロフスク州:ロシアのPGM可採埋蔵量の 0.3%を占めている。 <地域の特徴> ロシアのほとんど全てのPGM漂砂鉱床がスヴェル ドロフスク州に集中している。 PGM可採埋蔵量(2014年初時点)はA+B+C1で、 Volkovskoeバナジウム・鉄・銅一次鉱床及び90の漂 砂鉱床に存在する。プラチナ及びプラチナ・金漂砂鉱 床はほとんどが小規模である。漂砂鉱床の砂鉱の PGM品位は概ね0.1~0.2g/㎥を超えない。州の未割 当資源には50以上の漂砂鉱床とVolkovskoe鉱床の埋 蔵量の大部分が含まれる。 <代表的な鉱床> 漂砂鉱床であるVyisko-Isovskaya鉱床及びSolvinsko-Sosvinskaya鉱床 一次鉱床であるVolkovskoeバナジウム・鉄・銅一 次鉱 <代表的な鉱床の解説> Vyisko-Isovskaya及びSolvinsko-Sosvinskayaの鉱 床はPGM埋蔵量はいずれも1.7tで、中規模とみなし 得る。1904年、Vyisko-Isovskaya鉱床で、現在知られ ている最大のプラチナ自然鉱(重量8,395g)が発見さ れ、「ウラルの巨人」と命名された(現在モスクワ・ クレムリンのダイヤモンド庫に収蔵)。 Volkovskoe鉱床のカテゴリC2のパラジウム埋蔵量 は36.7t(平均品位0.13g/t)である。 ハバロフスク地方:ロシアのPGM可採埋蔵量の0.2% を占めている。 <地域の特徴> 主なPGM鉱床は漂砂鉱床である。 <代表的な鉱床> 漂砂鉱床であるKondyor鉱床、Uorgalan鉱床 <代表的な鉱床の解説> Kondyor鉱床、Uorgalan鉱床はロシアの大規模漂砂 鉱床である。PGM可採埋蔵量はそれぞれ10.7t(平均 品位1.11g/㎥)、13.66t(平均品位0.89g/㎥)である。 アムール州:ロシアのPGM可採埋蔵量の0.08%を占 めている。 <地域の特徴> 全てのPGM可採埋蔵量はС2で、Kun-Manie銅・ ニッケル硫化鉱床に存在する。 <代表的な鉱床> Kun-Manie銅・ニッケル硫化鉱床 <代表的な鉱床の解説> アムール州の北部にあるKun-Manie鉱床は連邦的 意義を有する地下資源鉱区に位置し、ロシアのPGM 可採埋蔵量の0.08%を占めている(12.5t)。平均品位

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 は0.345 g/tとなっている。 カムチャツカ地方: <地域の特徴> 総埋蔵量はロシア全国規模でみると少ない。PGM が採取される鉱床として、5つの漂砂鉱床及び1つの 一次鉱床が存在する。 <代表的な鉱床> 一次鉱床であるShanuch銅・ニッケル硫化鉱床 <代表的な鉱床の解説> カムチャツカ半島中央部に位置するShanuch銅・ ニッケ ル 硫 化 鉱 床 の 随 伴PGMの 可 採 埋 蔵 量 は A+B+C1で、0.409t(品位0.72g/t)となっている。 カレリア共和国: <地域の特徴> Severo-Karelskaya鉱床生成帯のLukkulaysvaarskoe 鉱床域内で新たに複数のPGM一次鉱床が発見される 可能性があり、カテゴリP2のPGM予測資源量は27t とされている。 <代表的な鉱床> 一次鉱床であるShalozerskoe鉱床及びSrednyaya Padma鉱床 <代表的な鉱床の解説> Shalozerskoe低 硫 化 型PGM鉱 床(A+B+C1- 0.27t、C2-2.16t)は、開発準備中の鉱床とみなされ ている。 Srednyaya Padmaウランバナジウム鉱床 (C2-1.42 t)のPGMは随伴成分とされ、未割当であ る。 サハ共和国(ヤークチア):6つの漂砂鉱床が存在す るが、PGM可採埋蔵量は119kgと少ない。 表13.ロシアの大規模 PGM 鉱床(t) 鉱床 A+B+C1 C2 平均品位(g/t) 地下資源利用者 クラスノヤルスク地方(Norilsko-Khatangsky 断層 Talnakh 及び Norilsk 鉱体群(クラスノヤルス地方北部)) Maslovskoe 719.4 402.8 0.54

Norilsk Nickel 社 Oktyabrskoe 4,004.6 1,684.2 4.54

Talnakh 3,248.8 1,208.7 4.61

Chernogorsk 320.3 210.1 3.51 Chernogorsk 鉱業会社

Norilsk-1 1,047.1 1,139.2 6.67 Norilsk Nickel 社、Russian Platinum 社 クラスノヤルスク地方(Kansk 鉱産地帯)

Kingash 85.6 33 0.5 Kingash 鉱業会社(Intergeo グループ) Verkhnekingash 0 116 0.5

ムルマンスク州(Imandra-Varzuga 鉱産地帯 Pechenga 鉱床域)

Zhdanovskoe 0 22.3 0.07 Kola MMC 社

Fedorova Tundra 他 238 109.9 1.37 Fedorovo Resources 社

Kievey 6.5 42.4 3.65 Malaya Pana 社(UralPlatinaHolding 社の子社、 Renova グループの傘下)

Chuarvy Vostochnoe 2.38 6.0 6.68 n/a Vuruchuaivench 4.0 30.2 3.82 n/a スヴェルドロフスク州 Volkovskoe 0 36.68 0.13 Svyatogor 社、未割当 Vyisko-Isovskaya 1.7 0.1 0.2 未割当 Solvinsko-Sosvinskaya 1.7 0.1 0.2 未割当 ハバロフスク地方 Kondyor 10.7 0 1.04 (g/㎥) Amur 採金協同組合 Uorgalan 13.66 0 0.89 (g/㎥) アムール州

Kun-Manie 0 12.5 0.345 Kun-Manie 社(英 Amur Minerals 社の子会社) カムチャツカ地方

Shanuch 0.409 0.078 0.72 Geotechnologiya 社 カレリア共和国

Shalozerskoe 0.27 2.16 n/a n/a Srednyaya Padma - 1.42 n/a 未割当 サハ共和国(ヤークチア)

6つの漂砂鉱床 very small 0.119 n/a

出典: ロシア連邦地下資源利用インタラクティブ電子地図(連邦地下資源利用庁地質学基盤・科学・情報局の発注によ り、情報・分析センターMineral、連邦国家単一研究生産企業 Aerogeologia(ソフトウェア)、連邦国家単一企業 A.P. Karpinsky Russian Geological Research Institute(VSEGEI)(GIS ロシア地図資料)が構築)のデータに基づき作成。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 Norilsk Nickel社が管理しているPGM鉱山には、 Taymyr半島(Norilsk鉱体群)で確認・推定埋蔵量1億 2,805万2,000oz、精測・概測資源量2億5,786万9,000oz、 コラ半島で確認・推定埋蔵量26万1,000oz、精測・概測 資源量94万ozが存在している8 表14.Norilsk Nickel 社の PGM 埋蔵量及び資源量(2014年12月31日現在) 品位(g/t) 数量(千 oz) Pd Pt PGM Pd Pt PGM Taymyr 半島  確認埋蔵量   Talnakh 鉱体群 3.93 1.06 5.20 43,822 11,824 57,948   うち高品位鉱 5.80 1.14 7.36 8,167 1,611 10,363    銅鉱 9.47 2.25 11.85 9,530 2,268 11,925    斑岩鉱 2.99 0.91 4.08 26,125 7,945 35,660   Norilsk-1鉱床(斑岩鉱) 3.96 1.62 5.88 3,306 1,349 4,903  推定埋蔵量   Talnakh 鉱体群 4.53 1.11 5.91 46,490 11,384 60,743   うち高品位鉱 6.47 1.32 8.24 19,500 3,969 24,853    銅鉱 7.24 1.88 9.32 12,645 3,293 16,290    斑岩鉱 2.60 0.75 3.56 14,345 4,122 19,600   Norilsk-1鉱床(斑岩鉱) 4.33 1.74 6.42 3,001 1,223 4,458  確認・推定埋蔵量合計 4.21 1.12 5.58 96,619 25,780 128,052  精測・概測資源量   Talnakh 鉱体群 3.56 0.97 4.73 181,343 49,291 241,034   うち高品位鉱 7.35 1.48 9.36 28,189 5,685 35,884    銅鉱 9.82 2.46 12.50 22,872 5,735 29,105    斑岩鉱 2.91 0.85 3.93 130,282 37,871 176,045   Norilsk-1鉱床(斑岩鉱) 4.58 1.84 6.79 11,341 4,556 16,835  精測・概測資源量合計 3.61 1.01 4.83 192,684 53,847 257,869  予測資源量合計 4.36 1.11 5.71 63,518 16,170 83,236 コラ半島  確認埋蔵量 0.03 0.02 0.05 60 44 107  推定埋蔵量 0.03 0.02 0.06 85 60 155  確認・推定埋蔵量合計 0.03 0.02 0.05 146 105 261  精測・概測資源量合計 0.05 0.03 0.08 528 349 940  予測資源量合計 0.04 0.03 0.07 182 119 316 注:埋蔵量評価は JORC 規定による 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書 8 Norilsk Nickel社2014年年次報告書

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 3-2.主要地質調査と鉱床開発準備 主な地質調査・鉱床開発準備は表15のとおり。 表15.主な地質調査・鉱床開発準備 鉱床 オペレーター 解説 Talnakh 鉱床域 Talnakh 及び Oktyabrskoe 鉱 床(クラスノヤルスク地方ノ リリスク地区) Norilsk Nickel 社 地質調査段階 2009年より、Oktyabrskoe 及び Talnakh 鉱床ライセンス鉱 区内において富鉱・銅鉱床探査のための地質調査を既存埋蔵 量の範囲外で実施中。 2010年に Oktyabrsky 鉱山西翼の割当鉱区で埋蔵量の現況評 価が実施され、カテゴリ C1+ C2埋蔵量として銅・ニッケ ル硫化鉱620万4,000t(うち45t が PGM)が国家バランス に計上された。

Taimyrsky 鉱山北翼、Skalisty 鉱山東翼、Mayak 鉱山エリア、 Talnakh 鉱床南翼で地質調査を実施中。Medvezhii ruchei 採 鉱場南西翼で地質調査を行っており、露天掘り向け鉱石約 4,000万 t の増加が見込まれる。 生産段階 北極圏支社のプロジェクト: Taimyrsky 鉱 山(鉱 石 埋 蔵 量6,300万 t)の 年 間 採 鉱 量 を 2022年までに390万 t に拡大。 Oktyabrsky 鉱山(鉱石埋蔵量5,900万 t)の年間採鉱量500 万~520万 t を2023年まで維持。 Skalistaya 採 鉱 場 を 除 く Komsomolsky 鉱 山(鉱 石 埋 蔵 量 2,000万 t)の年間採鉱量380万~410万 t を2020年まで維 持。 Komsomolsky 鉱 山 Skalistaya 採 鉱 場(鉱 石 埋 蔵 量5,800万 t)では、2014年に第1運搬用立坑(VZS-1)が稼働開始。 2017年をめどにロシア最深(2,056m)の第10換気用立坑 (VS-10)が稼働開始予定。VS-10の稼働により、年間採鉱 量は2017年に190万 t、2024年以降は240万 t となる見込 み。 Maslovskoye プラチナ・銅・ ニッケル鉱床 (クラスノヤルスク地方 Taymyr 半島) Norilsk Nickel 社 開発段階

Norilsk Nickel 社 は2015年5月19日、Maslovskoye 鉱 床 の 開発ライセンス(有効期限2035年5月31日)を連邦地下資 源利用庁(Rosnedra)より取得した。 Maslovskoe 鉱床は、地質調査目的で供与された地下資源利 用権に基づき Norilsk Nickel 社が2006~2008年に地質調査 を実施し、2009年に発見された。 探査計画の作成及び承認取得-2016年5月31日:探査開始 -2016年11月30日:探査終了-2019年5月31日:埋蔵 量が確認されたエリアの開発技術計画の作成及び承認取得 -2021年5月31日:インフラ施設の建設開始-2021年11 月30日:採鉱開始-2025年5月31日:鉱山(鉱石年産300 万 t)の操業開始-2028年5月31日:フル操業化(鉱石年産 530万 t)-2033年5月31日 プロジェクト実施への投資は国際価格が回復するまで延期と なる可能性がある。

Kola MMC 社のプロジェクト Norilsk Nickel 社 開発・生産段階

Severny 坑内掘り鉱山建設。2004年11月に第一フェーズ施 設(鉱石年産能力100万 t)、2007年に第二施設(同600万 t)、2010年に第三施設(同600万 t)が操業を開始し、現在 第四施設の建設が完了しつつある。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 鉱床 オペレーター 解説 Norilsk-1鉱床南部(クラス ノヤルスク地方ノリリスク地 区) アムール採金協同組合

(Russian Platinum 社) 開発段階Russian Platinum 社は、Norilsk-1鉱床の開発を Chernogorsk 鉱床プロジェクト(両鉱床共クラスノヤルスク地方 Taymyr 半 島)と 一 体 化 し、 操 業 開 始 を5年 早 め る 意 向 で あ る。 2013年7月24日、ロシア連邦政府は Amur 採金協同組合を Norilsk-1鉱床南部の入札の落札者として承認し、ニッケル・ 銅・コバルト・随伴成分の探査・採掘目的の鉱区利用権を同 組合に供与するよう命じた。

2011年4月、Russian Platinum 社 は Chernogorsk 鉱 業 会 社 を取得した。Chernogorsk 鉱業会社は、Chernogorsk 鉱床の 非鉄金属・貴金属の探査・採掘・生産ライセンスを所有して いる。確定している可採埋蔵量は鉱石1億4,300万 t(平均 品 位: ニッケ ル0.22%、 銅0.29%、PGM・ 金3.9g/t)で ある。PGM は同鉱床西部の深さ20m、東部の深さ245m に 賦存する。同社の計画では、プロジェクト第一フェーズの 2018年に Chernogorsk 鉱床の採鉱製錬コンビナートを稼働 開始し、2019年に同コンビナートで Norilsk-1鉱床南部の高 品位鉱を処理できるようにする。第一フェーズの費用は40 億 US$ を超える。 以前の計画では、2023年8月までに Norilsk-1鉱床の採掘を 開始し、2024年8月に選鉱プラントの操業を開始すること になっていた。 第二フェーズ(両鉱床の本格的開発)は2028年開始見込み である。 Chernogorsk 鉱床の選鉱プラント(鉱石年産能力250万 t 以 上)は2017年10月に操業を開始する。処理能力は2029年 に900万 t に拡大、その後、採掘ピーク時には2,700万 t に 拡大する。 Chernogorsk 銅・ニッケル硫 化鉱床(クラスノヤルスク地 方ノリリスク地区) Chernogorsk 鉱業会社 (Russian Platinum 社) Kingash 及び Verkhnekingash コバルト・ 銅・ニッケル鉱床(クラスノ ヤルスク地方 Taymyr 半島サ ヤン地区) Kingash 鉱業会社

(Intergeo 社傘下) 開発段階2014年、Kingash 鉱業会社は、Verkhnekingash 鉱床発見を 認定する2014年3月6日付の Rosnedra の証明書、埋蔵量算 定を含む鉱床評価に関する専門家の鑑定書を提出し、所定の 申請手続きを経て、Verkhnekingash 銅・ニッケル鉱床を含 む連邦的意義を有する地下資源鉱区の利用権を取得した。 2010年、Intergeo 社は Kingash 鉱業会社の定款資本100% を Norilsk Nickel 社 か ら 買 い 取った。Kingash 鉱 業 会 社 は Kingash コバルト・銅・ニッケル鉱床の探査・採掘一貫ラ イセンスと Verkhnekingash コバルト・銅・ニッケル鉱床の 探査ライセンスを所有していた。カテゴリВ + С1+ С2の 総 埋 蔵 量 は、 ニッケ ル220万 t、 銅100万 t、 コ バ ル ト8万 5,000t、PGM860万 oz(267.5t)、 金120万 oz(37.3t)、 銀1,270万 oz(395t)である。 Kingash 鉱床に採鉱選鉱コンビナートを建設するプロジェ ク ト が 進 め ら れ て お り、 こ れ に よ り 採 鉱 場(Kingash、 Verkhnekingash、Kuevskoe)の年間採鉱量は1,850万 t、選 鉱プラントの精鉱年産量は53万 t になる予定である。2014 年末に建設を開始、2017年に操業を開始、2022年にはフ ル操業を予定している。精鉱は金属生産に向けゼレノゴルス ク市の製錬所に送られる。製錬所の年産能力はニッケル4万 5,000t、銅1万5,200t、貴金属5~6t である。 Kun-Manie 銅・ニッケル硫化

鉱床(アムール州) (英 Amur Minerals 社傘下)Kun-Manie 社 開発段階Kun-Manie 社は2005年から地質調査を実施し、2015年5月 に採掘ライセンス(2034年12月まで)を取得した。15年間 で9,000万 t の鉱石処理を予定。鉱石の平均品位はニッケル 0.58%(52万4,000t)、銅0.16%(14万2,000t)、プラチ ナ及びパラジウム0.345g/t。

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 3-3.PGM 採掘 ロシアのPGM採掘は主に一次鉱床で行われてお り、PGM含有量の約4分の3をパラジウムが占めてい る。世界のPGM採掘量に占めるロシアのシェアは 26%(南アは約60%)で世界2位であるが、パラジウ ム生産のシェアは40%(南アは37%)で世界1位であ る。なお、プラチナ生産におけるロシアのシェアは 14%(南アは71%)で世界2位である9

Norilsk Nickel 社 の Oktyabrskoe、Talnakh、 Norilsk-1鉱床では、選鉱及び一次製錬処理はクラス ノヤルスク地方ノリリスク地区のプラントで行われて いる。

Kola MMC 社の Zhdanovskoe、 Zapolyarnoe、

Kotselvaara-Kammikivi、 Semiletka銅・ニッケル硫化 鉱床では随伴物としてPGMが採掘されており、鉱石 製錬処理はPechenganickel、Severonickelプラントで 行われている。 スヴェルドロフスク州では、11の漂砂鉱床及び Volkovskoe鉱床でPGM採掘が行われている。漂砂鉱 床 は 主 に 採 金 者 グ ループ・ 協 同 組 合 が 開 発 し、 Volkovskoe鉱床はSvyatogor社が採掘している。 ハ バ ロ フ ス ク 地 方 で はKondyor川 の 漂 砂 鉱 床 (Kondyor漂砂鉱床)が開発されており、Uorgalan川 下 流 のUorgalan鉱 床 で は 探 査 が 続 け ら れ て い る (Amur採金協同組合)。 3-4.PGM 生産 PGM精鉱の生産は、Norilsk Nickel社、UMMC社 (Uralelectromed社、Svyatogor社)が行っている。 精鉱は専門プラント(主にKrastsvetmet社、他に リャザン州のPrioksky非鉄金属工場)に送られ精錬 されている。 ロシアのプラチナ及びパラジウムは、主として Taymyr半島及びコラ半島におけるNorilsk Nickel社の 非鉄金属生産の副産物であるため、ロシア全体の生産 動向は通常同社の生産を反映している。2015年のパラ ジウム生産量は前年比2%減の268万9,000oz、自社原 料によるパラジウム生産量は前年並みの257万5,000oz であった。2015年のプラチナ生産量は前年比1%減の 65万6,000oz、自社原料によるプラチナ生産量は2%増 の61万ozであった。PGMの生産減少は、国内生産サ イトにおける生産再配置、Kola MMC社の利益率の低 いトーリング事業の縮小による。ハバロフスク地方 Kondyor鉱床でプラチナを採掘するAmur採金協同組 合(Russian Platinum社傘下)では、2015年の漂砂プラ チナ採掘量は前年比19%増の2.836tとなった。一方、 カムチャツカ州におけるKoryakgeoldobycha社(Renova 社傘下)では2015年の漂砂プラチナ採掘量は前年比 55.8%減の279kgとなった。 表16.ロシアの PGM 採掘量(t) 2009 2010 2011 2012 2013 ロシア全体 153.7 155.6 150.9 153.4 154.2 うちプラチナ精鉱(純分) 19.8 20.6 20.9 20.5 n/a   パラジウム精鉱(純分) 83.2 84.7 84.1 81.7 n/a   漂砂プラチナ 6.2 5.1 6.4 6 n/a

Norilsk Nickel 社 n/a n/a n/a n/a n/a  北極圏支社 146.7 149.7 148.6 146.3 147.8   うち Oktyabrskoe 鉱床 99.3 97.3 97.6 91.1 92.6     Talnakh 鉱床 28.1 28.5 31.3 35.1 34.3     Norilsk-1鉱床 19.3 23.9 19.7 20.1 20.9  Kola MMC 社 n/a n/a n/a 0.734 0.667 Kondyor 漂砂鉱床 4.8 3.9 5.3 5.2 4.88 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基

づき作成

9 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 表17.ロシアの PGM 生産 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 プラチナ (kg) 27,000 23,000 25,900 25,700 27,300 26,500 25,500 n/a パラジウム (kg) 96,800 87,700 83,200 84,700 84,100 82,000 80,000 n/a 注:ロシアの PGM 生産のデータは公式統計では発表されず、前期比増減率のみ発表。

出典: US Geological survey minerals yearbook 2012, 2013

表18.Norilsk Nickel 社国内事業所の PGM 生産

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 Norilsk Nickel 社(千 oz)

プラチナ 728 632 636 663 671 660 628 625 パラジウム 3,049 2,702 2,676 2,722 2,704 2,628 2,580 2,660 北極圏支社

 プラチナ n/a n/a n/a n/a n/a 529 504 499  パラジウム n/a n/a n/a n/a n/a 1,989 2,006 2,065 Kola MMC 社

 プラチナ n/a n/a n/a n/a n/a 131

(129) (100)124 (95)126  パラジウム n/a n/a n/a n/a n/a 639

(635) (523)574 (517)595 Norilsk Nickel 社(t)

プラチナ 22.643 19.657 19.781 20.621 20.870 20.527 19.532 19.439 パラジウム 94.834 84.041 83.232 84.663 84.103 81.739 80.246 82.734 北極圏支社

 プラチナ n/a n/a n/a n/a n/a 16.453 15.676 15.520  パラジウム n/a n/a n/a n/a n/a 61.864 62.393 64.228 Kola MMC 社

 プラチナ n/a n/a n/a n/a n/a 4.074

(4.012) (3.110)3.856 (2.954)3.919  パラジウム n/a n/a n/a n/a n/a 19.875

(19.750)(16.267)17.853 (16.080)18.506 注1: Kola MMC 社のデータは、上段が生産量全体、下段カッコ内が国内原料による生産量。

注2: Norilsk Nickel 社は2012年に北極圏支社及び Kola MMC 社のプラチナ・パラジウム生産の個別統計を開始。現在、Kola MMC 社は Kola MMC 社と北極圏支社のマットを処理しているが、2012年以前は北極圏支社のマットのみを処理してい た。

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 図13はNorilsk Nickel社の傘下企業、鉱床、鉱山、 選鉱プラント、製錬部門事業所を示している。精錬は 主にKrastsvetmet社で行われており、同社はロシア の各種形状の精製PGM生産で95%のシェアを占め る。 UMMC社(図14)はVolkovskoe鉱床でパラジウムを 随伴採掘している。精錬は同社傘下のUralelectromed 社が行っている。 図13.Norilsk Nickel 社事業所の生産体制 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基づき 作成 図14.UMMC 社の生産体制(Volkovskoe 鉱床) 出典: 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」)に基づき 作成

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 3-5.PGM 輸出 ロシアはPGMの主要輸出国である。2014年のロシ アのプラチナ輸出量は20.27t、パラジウム輸出量は 74.50tで、 金 額 ベース で は そ れ ぞ れ902.015 US$と 1,922.10US$であった。2014年の主要輸出先はプラチ ナが米国、ドイツ、ウクライナ、英国、エストニア、 パラジウムが米国、ドイツ、ウクライナ、日本、英国 となっている10。PGMの輸出者はNorilsk Nickel社 (クラスノヤルスク地方)である。

10 Russian Custom Database.

表19.2008~2014年のロシアの PGM 輸出 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 輸出量(t) プラチナ n/a 24.4 n/a 26 24.9 24.3 20.27* パラジウム n/a 113 n/a 108.2 89.9 84 74.50* 平均輸出価格(US$/g) プラチナ 50.7 38.8 51.8 55.3 49.9 47.8 44.5 パラジウム 11.3 8.5 16.9 23.6 20.7 23.3 25.8 出典:ロシア連邦天然資源環境省「2011年、2013年のロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報告」

*2014年のロシアの PGM 輸出データの出典は Johnson Matthey & Bloomberg

図15.2014年のロシアのプラチナ輸出(百万 US$) 出典:ロシア連邦税関庁のデータに基づき作成

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 図16.2014年のロシアのパラジウム輸出(百万 US$) 出典:ロシア連邦税関庁のデータに基づき作成 図17.2014年の Norilsk Nickel 社のプラチナ輸出先地域構成 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書 表20.2008~2014年の Norilsk Nickel 社国内事業所の PGM 販売 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 販売量(千 oz) プラチナ 634 637 664 655 652 629 629 パラジウム 2,856 2,684 2,731 2,665 2,629 2,579 2,667 国内事業所が自社原料により生産した PGM の平均販売価格(US$/oz) プラチナ 1,615 1,205 1,603 1,724 1,549 1,481 1,388 パラジウム 357 267 527 735 643 725 804 出典:Norilsk Nickel 社年次報告書

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 3-6.PGM の国内消費 ロシアのPGM国内消費量は年間約10tであり、生 産量の10分の1である11。需要のある分野は宝飾、電 子、石油精製、自動車製造、硝酸生産である。 3-7.PGM 分野の規制措置 輸出関税:2015年5月29日付ロシア連邦政府決定第 514号「ロシア連邦から関税同盟協定加盟国外に輸出 される商品の輸出関税率変更について」に基づき、白 金族金属の化合物・アノードに対し6.5%の輸出関税 が設定された。経済発展省の試算では、これによる追 加予算収入は年間約1億5,700万US$となる可能性が ある。この措置は、ロシアのWTO加盟条件に基づき 輸出関税が撤廃される2016年8月31日まで施行され る。 PGM市場の自由化:ロシア連邦大統領は、2008年 12月3日付ロシア連邦法律第233-FZ号「予算・税政策 分野の最優先施策に関する連邦法第19条及びその修 正法の失効承認」に署名し(2009年1月8日発効)、国 営企業AlmazyuvelirexportのPGM輸出独占権が撤廃 さ れ た。 そ れ ま で は ロ シ ア の 全 て のPGM生 産 者 (Norilsk Nickel社を含む)、中央銀行、ゴフランが、 PGMを輸出する際はAlmazyuvelirexportを通さなけ ればならず、手数料をとられていた。 国家機密扱いの解除:2005年、生産量データの国 家機密扱いが解除された。 ロシア連邦国家備蓄(ゴフラン)からの海外への PGM売却:2014年、ロシア連邦国家備蓄(ゴフラン)12 のパラジウム在庫減少により、ゴフランからの海外へ のPGM売却が中止された。 図18.2014年の Norilsk Nickel 社のパラジウム輸出先地域構成 出典:Norilsk Nickel 社2014年年次報告書 11 情報分析センター「Mineral」の資料(ロシア連邦天然資源環境省「ロシア連邦の鉱物資源状況に関する政府報 告」) 12 ロシア連邦財務省付属ロシア連邦貴金属・貴石国家備蓄形成・貴金属・貴石保全・放出・利用国家機関(ゴフラ ン)は、1996年11月21日付ロシア連邦政府決定第1378号に基づき設立された。ゴフランはロシア連邦の金・外貨 準備の形成・保全を行う国家管理機関である。

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レポート

ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向

4.Norilsk Nickel 社の動向

4-1.Norilsk Nickel 社の特徴 Norilsk Nickel社の特徴は鉱石にニッケル・コバル ト・銅以外に大量の白金族金属(PGM)、貴金属を含 んでいることであり、これが商品の流動性を高め、生 産・販売方針を柔軟なものにしている。 図19.ロシア連邦国家備蓄(ゴフラン)からの PGM 売却(千 oz) 出典:Norilsk Nickel 社発展戦略(2015年更新版)

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ロシアのニッケル及び白金族金属産業の動向 20. Norilsk Nickel 社のビジネスモデル Norilsk Nickel 社 2014 年年次報告書に基づき作成

参照

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