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Heparinとの可逆的な結合は抗菌活性およびLPS中和能を減弱することなく,高濃度LL37の細胞障害性を改善する

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Academic year: 2021

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全文

(1)

論 文 内 容 要 旨

Reversible binding of heparin to high-dose LL37 eliminates its

cytotoxicity with undiminished antimicrobial and LPS-neutralizing

abilities

Heparin との可逆的な結合は抗菌活性および LPS 中和能

を減弱することなく,高濃度

LL37 の細胞障害性を改善する)

主指導教員:柴 秀樹 教授

(医歯薬保健学研究科 歯髄生物学)

副指導教員:香西 克之 教授

(医歯薬保健学研究科 小児歯科学)

副指導教員:宿南 知佐 教授

(医歯薬保健学研究科 生体分子機能学)

吉田 和真

(医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻)

(2)

【研究目的】

歯内疾患の主原因は細菌である。口腔内細菌やその産生物が歯髄組織に侵入し,炎症を引き起 こす。またマウスにおいて,リポ多糖(LPS)の歯髄への塗布によって根尖性歯周炎が惹起される。 このように,LPS は歯内疾患発症の重要な因子であることから,抗菌活性に加えて LPS 中和能 を有する薬剤は歯内治療への応用が期待される。

LL37 は cathelicidin family に属する陽性帯電の抗菌ペプチド (AMPs) で,弱陰性帯電の細菌 細胞膜に誘引され,細胞膜に孔を形成することによって抗菌力を発揮する。抗菌活性に加えて, LL37 は LPS 中和能を持つため,歯内疾患治療薬の候補であると考えられる。一方,高濃度 LL37 は宿主細胞障害性を示すことから,AMPs の抗菌活性を維持し,細胞障害性を改善する試みが なされてきたが,臨床応用に至る成果は未だ得られていない。したがって,抗菌活性およびLPS 中和能を有しつつ,細胞障害性のないLL37 の開発が必要である。 本研究では,LL37 が陰性帯電分子のグリコサミノグリカン (GAGs) と電気的に結合するこ とに着目し,GAGs と LL37 の複合体を作製し,その複合体が歯内疾患治療薬として必要な活性 を有しているかどうかを検討した。 【材料および方法】 1. LL37 の抗菌活性:大腸菌 HST-08 を LL37 で刺激した後,寒天培地に播種し,コロニー形 成単位(CFU)によって抗菌活性を調べた。2. LL37 の細胞障害様式:ヒト歯髄細胞,ヒト骨肉腫 様細胞およびヒトマクロファージ様細胞を血清存在下で24 時間培養した。引き続き,24 時間 無血清条件下で培養した後,LL37 (0~40 µM)を加えた。添加 24 時間後,MTT,LDH,Caspase 3/7 の各 assay によって,細胞生存, 細胞膜障害性,アポトーシスを評価した。3. GAGs が LL37 に与える影響:LL37 (10 µM) と種々の GAGs (heparin: 0~10 µg/ml, chondroitin sulfate: 0~5 µg/ml, hyaluronic acid: 10, 100 µg/ml),あるいは heparin-agarose beads (heparin 5 µg/ml 相当) を混和したものをそれぞれ GAG-LL37 複合体,heparin-LL37 agarose beads として実験に用い,抗菌活性と細胞障害性を調べた。4. GAGs,LL37 および LPS の会合: GAG-LL37 複合体を非変性・変性条件下で SDS-PAGE に展開し,ウエスタンブロッティング (WB)によって GAGs と LL37 の結合を調べた。また,heparin-LL37 agarose beads に LPS (0~200 µg) を加え,beads に残った LL37 の量を WB によって比較した。さらに,heparin ま たはLL37 を固相化した固相法 assay によって LPS との会合を検討した。5. heparin-LL37 agarose beads の LPS 中和能:マクロファージ様細胞を LPS 単独または beads とともに刺激 した際の炎症性サイトカイン発現をELISA 法と RT-PCR 法によって調べた。

【結果】

1. 1.0 µM 以上の LL37 で大腸菌の CFU は 0 になった。2. LL37 は濃度依存的に供試細胞の生 存率を低下させ,LDH 放出量を増加させたが,アポトーシス活性を増加させなかったことから, LL37 の細胞障害性は細胞膜傷害に起因することが判明した。3. 供試した GAGs の中で heparin が最も有用であることが判明した。すなわち,口腔内細菌であるS. mutans UA159, S. salivarius GTC215,S. sobrinus OMZ176,A. actinomycetemcomitans HK1651 および

(3)

IDH781 に対する抗菌活性を妨げず,細胞障害性を改善する heparin と LL37 の特定の混合比 (2~6 µg/ml heparin-10 µM LL37)が存在した。4. Heparin と LL37 は直接的に結合していた。 LPS は,Heparin ではなく LL37 と直接的に会合した。LPS との競合的な会合によって heparin-LL37 複合体は LL37 を遊離した。5. Heparin-LL37 agarose beads から遊離された LL37 は LPS (1 µg/ml) によって誘導される TNF-a 産生および TNF-a,IL-1b,IL-6 mRNA 発現を抑制した。 【結論と考察】 LL37 と可逆的に結合した Heparin は LL37 の細胞障害性を低減し,抗菌活性と LPS 中和能 を抑制しないことが明らかとなった。さらに,LL37 の細胞障害性低減は,高濃度投与を可能と することから,より強い抗菌活性と LPS 中和能を発揮できると考えられた。以上から, heparin-LL37 複合体は歯内疾患の感染と炎症制御に有用であることが示唆された。

参照

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