平成 16 年度連携促進型地域振興技術協力支援調査事業
ケニア国
東西産業回廊形成促進のための
モンバサ港コンテナターミナル近代化計画調査
調査報告書
平成 17 年 2 月
社団法人 海外コンサルティング企業協会
株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル
1. 調査概要 ... 9 1.1 調査目的 ... 9 1.2 調査の実施 ... 9 1.2.1 国内準備作業 ... 9 1.2.2 現地調査 ... 9 1.2.3 調査のまとめと報告書の作成 ... 9 1.3 調査の工程 ... 10 1.4 調査団とその構成 ... 10 2. 調査方針 ... 11 2.1 ケニア国の概要 ... 11 2.2 分析関連因子の把握 ... 11 2.3 調査フレームの設定 ... 11 2.4 想定される産業振興のスキーム ... 12 2.4.1 上位計画との整合性 ... 12 2.4.2 対象地域の想定 ... 12 2.4.3 現有交通ネットワークの評価 ... 12 2.5 貨物構成 ... 13 2.5.1 既往の需要検討と施設計画の取り込み ... 13 2.5.2 マクロ手法による貨物需要の想定 ... 13 3. 貨物の発生源と基本的流通経路 ... 15 3.1 ケニアの産業と貿易環境 ... 15 3.2 産業の活性化に向けて ... 15 3.2.1 EPZ と産業振興 ... 15 3.2.2 工業化への努力 ... 17 3.3 周辺諸国との内陸通過貨物(トランジット貨物) ... 18 3.4 海上中継貨物 (トランシップメント貨物) ... 19 3.5 2003 年のモンバサ港船舶入港実績 ... 20 4. 南回廊と北回廊の競合 ... 21 4.1 性格の似かよったケニアとタンザニア ... 21 4.2 地理的条件と回廊の概要 ... 21 4.3 南回廊と北回廊の比較 ... 22 4.4 北回廊に期待される役割 ... 23 5. 既往運輸インフラ施設の概要 ... 28 5.1 ケニアの運輸交通インフラ ... 28 5.1.1 港湾 ... 28 5.1.2 鉄道 ... 30 5.1.3 道路 ... 32 5.2 モンバサ港の現況 ... 33 5.2.1 取扱貨物量 ... 33
6. モンバサ港コンテナターミナル近代化 ... 37 6.1 既往の調査 ... 37 6.2 長期計画 ... 38 6.3 JETRO 調査 2000 の見直し ... 38 6.3.1 コンテナー貨物取扱実績 ... 38 6.3.2 コンテナー貨物需要 ... 39 6.3.3 現有コンテナーターミナルの取扱能力 ... 41 6.3.4 JETRO 計画案に依るコンテナー取扱能力の向上 ... 42 6.3.5 事業の実施計画 ... 45 6.3.6 環境影響 ... 48 6.4 港等の運輸インフラに関する対策 ... 50 6.41 実施主体の組織と運営 ... 50 6.4.2 KPA とその財務状況 ... 50 6.4.3 KPA の努力 ... 51 6.5 ターミナル運営の民営化 ... 51 7. コンテナー貨物需要の見直し ... 52 7.1 需要予測とその見直しの要約 ... 52 7.2 分析手法 ... 52 7.3 コンテナ貨物予測値 ... 53 7.4 予測値の整理 ... 54 8. 計画内容の見直し... 61 8.1 コンテナターミナル ... 61 8.1.1 取扱能力の検討 ... 61 8.1.2 開発サイトおよび平面計画 ... 61 8.1.3 開発スケジュール ... 62 8.2 港湾アクセス ... 63 8.3 航路保全 ... 64 添付資料 1. 調査団構成 ... A-1 2. 調査日程表 ... A-1 3. 現地調査 訪問期間および面談者リスト ... A-2 4. ケニヤ国全体図 ... A-3 5. ケニヤ東西産業回廊関係図 ... A-4 6. モンバサ港コンテナターミナル計画位置図 ... A-5 7. コンテナターミナル計画平面図 ... A -6 8. モンバサ港アプローチ航路 現況地形および計画航路断面図 ... A-7
1. 調査概要 1.1 調査目的 ケニアに於ける産業と運輸ネットワークは未だ発展途上にあると見られる。ケニアの主 要産業と運輸ネットワークは海岸線より西に約 1,000 km におよび、更にネットワークは 国境を越えて隣国ウガンダ、ブルンジ、ルワンダ、タンザニアに及ぶ。 これらの地理的な条件を背景にして、緊急的課題として東西産業回廊の近代化がある。 そのためにはモンバサ港よりビクトリア湖畔都市キムス或いは国境の地マラバ( Malaba) に至る運輸交通ネットワークの概要を把握すると共に、課題を整理する必要がある。そ れらと共に当回廊の起点に位置するモンバサ港コンテナ・ターミナルの近代化計画 FS 調 査(JETRO、2000 年)をベースに、最新のデータで同調査の見直しを行った。 施設計画修正の必要性は認められなかったが、急速なコンテナ貨物増加に対応した需要 予測を 2004 年調査と同じ方法によって行った。 1.2 調査の実施 1.2.1 国内準備作業 国内準備作業では既往のデータの整理・分析を行って、法制・産業対策・工業団地造成 促進・最近の貨物量等についての事前検討を進めた。またこの期間を利用して、相手国 政府及びケニア港湾局(KPA)等に対する説明資料を作成した。同時に現地でのアポイ ントを得て、先方政府への連絡と協力要請をして、現地調査の効率化を図った。 1.2.2 現地調査 現地調査の要点として、以下を考慮した。 (1) 相手国政府及び実施機関の意向確認 (2) 現地踏査・現状分析 (3) KPA やケニア鉄道(KRC)を通しての運輸交通ネットワークに関する実情の確認 (4) コンテナ貨物需要の見直し (5) モンバサ港コンテナ・ターミナル近代化計画(JETRO)の見直し (6) 技術移転の内容検討 現地調査の成果をまとめて事業の持つ課題を整理して評価を行った。 1.2.3 調査のまとめと報告書の作成 最終報告書に示される調査結果とその要点には以下を含めるものとした。 (1) 調査目的 (2) 調査スケジュール (3) 計画方針
(4) 貨物の発生源と工業団地計画 (5) 東西産業回廊における南回廊と北回廊の競合 (6) 既存運輸インフラ施設の概要 (7) モンバサ港コンテナターミナル近代化 (8) 東西産業回廊の近代化に向けての課題 (9) 日本の技術移転の可能性 (10) 提言と結論 1.3 調査の工程 11 月 15 日の契約締結後直ちに国内準備作業を行い、現地政府関係者とのアポイントを取 得した。クリスマス休暇が近く、面会の承諾を得るのに手間がかかったが、調査の成果 と精度を高めるために、予定通りのアポイントを得ることができた。 現地調査は団員 3 名の内 2 名が参加した。調査団は 11 月 22 日(月)に成田を発ち、12 月 3 日と 7 日に分けて帰国した。 1.4 調査団とその構成 調査の焦点を JETRO 調査の見直しに当てて、要点としては産業立地・運輸インフラ整備 に注目する。業務の主要な課題を以下に示すように想定する。 (1) 運輸交通ネットワークの構成 (2) モンバサ港コンテナタ・ミナル近代化計画 (3) 実施への課題の整理 調査には国内作業のみに参加する団員を含めて、下記の 3 名が従事した。 団長/港湾計画・管理運営(現地調査) : 雨宮 衛 施設設計・環境配慮(現地調査): 鹿嶌 和紀 経済分析・財務分析担当: 岡山 久美
2. 調査方針 2.1 ケニア国の概要 ケニアは 1963 年 12 月イギリスより独立した。東京オリンピックの開催の前年で,今年 2004 年で独立 40 周年である。同国はアフリカ東海岸にある歴史のある国で、かの大航海 時代はオマーンなどの回教国とポルトガルなどのヨーロッパ諸国がここを争って貿易の 中継拠点とした。同国唯一の商港モンバサを基点として、内陸部に向う道路と鉄道での 東西産業回廊(*)があり、その沿線上に将来を担う輸出加工区(EPZ)が成立しつつあ る。また更に西の国境ビクトリア湖等を介してウガンダ等の陸封国家群との輸送ルート ともなっている。 ケニアの人口は 2004 年 6 月の推計で 3,202 万人であり、アフリカの大国である。土地の 面積は約 60 万 km2 、国境延長約 3,500km 海岸延長が 536km である。海域では 12 海里宣 言国で、200 海里の排他的経済水域を持っている。 *ケニアでは隣国タンザニアとの関係でケニア側の回廊を「北回廊」と称し、タン ザニアの回廊を「南回廊」と呼ぶ。 2.2 分析関連因子の把握 東西回廊を活性化するための社会インフラの中でも、投資額の比較的に大きな運輸イン フラに注目したい。輸送対象は乗客と貨物に別れるが、当面港湾貨物を対象として検討 した。運輸ネットワークに関する因子として以下がある。 Ø 貨物量;年間取扱コンテナー個数 Ø 運輸施設容量 Ø 民営比率 Ø 産業形態 Ø 産業への投資傾向 Ø 周辺国の貨物需要 この調査では既設の運輸インフラの内、モンバサ港の容量と将来の整備課題に注目した。 2.3 調査フレームの設定 この調査では、前述の産業回廊関連因子に注目しつつ定性的な分析と検討評価を行った。 調査フレームとしては以下の範囲とした。 Ø インフラの種類;重要施設として港湾に注目するが、鉄道・ICD・道路・港・内水 面水運*等を概観した。 Ø 施設の所有者とオペレーション Ø 既往の施設の貨物取扱容量 Ø 現状での課題分析
この内、鉄道と ICD 及び港に注目して、ケニア国内の東西産業回廊の中での役割が分析 できるフレームとした。 *「内水面水運」とはケニア西のビクトリア湖における鉄道フェリー輸送を指す。 2.4 想定される産業振興のスキーム 2.4.1 上位計画との整合性 最近の 5 ヶ年計画(2003∼2007*)に従がって、想定される交通ネットワークとモンバ サ港コンテナ・ターミナル近代化計画との整合性を検討して、全体計画にマッチするこ とを確認した。一方、ここのインフラに関しては解決すべき緊急な課題が多く、それを 優先度を考慮して整理した。
*『Economic Recovery Strategy 2003 - 2007』、Ministry of Planning and National Development、 June 2003 2.4.2 対象地域の想定 調査期間が限られているので、キスムおよびナイロビの ICD、モンバサ港及び周辺地区 を主な調査対地域とした。 最も視察に時間をかけた地点は、モンバサ港と 2 箇所の ICD であった。 (モンバサ港) モンバサ港は、首府ナイロビより約 500km 南東のケニア海岸南部の都市モンバサにあっ て、モンバサ島と大陸が連絡している付近にある。モンバサ港コンテナ・ターミナルは モンバサ港の最北部に有って、我が国の借款で建設されたモイ国際空港に近い。 コンテナターミナルの前面は幅 500m にも及ぶ天然の水路で、インド洋に面した港口より 約 10 km の河川航路を遡った地点である。 (鉄道) 港湾貨物と関係の深い鉄道は「東西産業回廊」の中軸キスム−ナクル−ナイロビ−モン バサ間の約 840 km である。ナクルよりさらに西に向かい 140 km の地点にエルドレット があり、更に 120 km で国境に達する。今回の現地踏査対象は、ケニア鉄道と連絡したコ ンテナ集積基地(ICD)として現存し、KPA が経営するキスム ICD とナイロビ ICD とし た。両者は共に KR の本線と連結されており、側線化(siding)されている。
2.4.3 現有交通ネットワークの評価
相手国政府(主に KPA)の示すデータに基づいてネットワークを構成する各施設の役割 分担を考慮して、東西産業回廊近代化シナリオの問題点を整理した。
コンテナ・ターミナルの検討では、既往のコンテナ・ターミナル近代化計画の見直しを 行って、効率的なシステムの構築を目指した。 これらを整理して、モンバサ港コンテナターミナル近代化計画その他に関する見直しの 結果を提言と結論としてまとめた。 2.5 貨物構成 2.5.1 既往の需要検討と施設計画の取り込み 既往の「モンバサ港コンテナターミナル近代化計画」(JETRO)に示される貨物量予測値 を見直して、既往の調査を修正した。 ケニアでは農業 1 次産品の輸出を除いてまだ十分に製造業が発達してないため、港湾を通じ て消費物資の輸入が多い。完成品の輸入率が高く、港湾統計を見てもそれが裏付けられる。 一方輸出品目の 70%は農業 1 次産品で、工業製品の完成品の輸出はほとんど見られない。こ れらの事から 2000 年に実施されたモンバサ港の将来貨物需要予測はマクロ的手法が採用さ れている。1999 年を基準年として同年 8 月までの実際貨物データより年間取り扱い 23.2 万 TEU とした。貨物需要予測は 2000 年より 20 年間である。 それに依れば 2005 年及び 2015 年の予測貨物量は、34.3 万 TEU、66.7 万 TEU である。この既 往の調査では主に 1998 年までのデータを利用して需要の検討をしているので、今回調査では 最新の貨物動向を加えて需要予測を見直した。そのため貨物需要の環境変化にかかわる諸因 子を定性的に整理して、既往の需要予測値を修正するための因子を抽出した。 2.5.2 マクロ手法による貨物需要の想定
貨物は国内貨物(KPA は Domestic Cargoes と表現している)、内陸通過貨物(KPA は Transit Cargoes と表現している) と海上中継貨物(KPA は Transshipment Cargoes と表現して いる)に分けて検討した(図 2.5.1)。
交通需要の検討方法は、原則的に既往の調査で採用されたマクロ集計方式を使用した。 その際には産業関連因子を利用して、活性化に伴う貨物需要の変化を捉える。これらに は海上中継貨物(トランシップメント) の他に、陸封国に対する貨物中継機能に依る内陸 通過貨物需要を加算した。
3. 貨物の発生源と基本的流通経路 3.1 ケニアの産業と貿易環境 2003 年の GDP 成長率は 1.7%と一年前より 0.6%の改善を見た。その内訳は、2002 年の 推計で、農業 19.1%、工業 18.3%、サービス業 62.6%である。工業の占有率が 5 年前よ り約 2%増加した。一方 失業率は 2001 年の推計でも 40%で極端に高い。 ケニア政府はその国土に広大なサバンナ地帯を抱え、観光と農業を基本産業としている 現状に照らして、以前より旅客や物資の効率的且つ安全輸送に心がけてきた。基本方針 として 5 種類の交通モード(航空、海運、道路、鉄道及び内水面水運)等の効率的な運 営に腐心してきた。この内主に貨物の輸送に貢献する海運、道路及び鉄道の連携と一貫 輸送は少しずつ成果を表してきている。コンテナ中継基地 ICD は回廊沿いの主要駅に接 続する形で 3 箇所(ナイロビ、キスム、エルドレト)に建設され、モンバサ港との間を 直接鉄道で結ばれている。 貿易全体では輸入量が輸出量の約 3 倍で卓越している。主要輸出品目を 2003 年で見ると、 お茶、園芸品、コーヒー、果物ジュ‐ス、等が 70.0 %を占めており農業産品に特化して いる。一方輸入では 統計上「その他の雑貨」に分類される工業製品或いは消費物資が 61.2 %を占め 他の品目を圧倒している。2位以下の品目は鉄鋼 9.8 %、砂糖 8.0 %、肥料 5.9 %等である。 これらの内コンテナ化された雑貨貨物は 1994 年以降 150 万トン∼191 万トン∼196 万ト ン∼219 万トン と順調な増加傾向にある。中継貨物を含めたコンテナ数は 20 フィート・ コンテナ換算(TEU)で 1994 年の 16 万 TEU から 2003 年の 38 万 TEU に増加した。この間 の年平均増加率は 9.7 %である。ただし最近 3 年間(2000−2003)では 16 %に達する。 輸入貨物の内訳は消費物資と産業の原材料或いは半加工品が大半である可能性が高い。 その場合、鉄道沿線の都市圏への搬入と工業団地などへの持込が主であろう。一方輸出 は農産物の加工品が主流で山岳地帯を産地とするものが多い。これより貨物の仕向け地 と発生源はいずれも海岸線より比較的離れた内陸部であると思われる。 3.2 産業の活性化に向けて 3.2.1 EPZ と産業振興 産業振興としてナイロビ、アティ川、モンバサなどに 836 ha に及ぶ輸出加工区(EPZ) の建設も進められており、今後東西産業回廊を利用したコンテナ貨物の一層の増加が予 測される。 2002 年末の時点で、ケニア全土で操業中あるいは開発途上の EPZ は計 35 ヶ所で、ほと んどがナイロビおよびモンバサ地域に集中している(表 3.2.1)。このうちアティ川(Athi River)の EPZ は資金 35 億円の 80%を世銀が融資して。残額を政府が補助した。モンバ
サ地域の EPZ は 1993 年 AFDB が調査し、第 1 期分のキペブ地区の設計を終了した。 表 3.2.1 ケニアの EPZ
ナイロビ地域 モンバサ地域 その他の地域 Sameer Industrial Park Birch Investments Athi River / Mavoco(3 カ所) Real Industrial Park East African Molasses Voi(1 カ所)
Embakasi Zone Ashton Apparel Mazeras(1 カ所) Unique Sun Apparels Kipevu Public EPZ Malindi(1 カ所)
Emirates Agencies Kilifi(1 カ所) など など Eldoret(1 カ所) 計 12 カ所 計 15 カ所 計 8 カ所 大蔵省の投資促進センター(IPC)によれば、外国投資家に対する宣伝として、一般投資 環境情報の提供、法令や規則の整理、投資機会の案内、資金的な援助等の面で投資を歓 迎している。投資国としては、英・中国・イタリア・米・インド・独・パキスタン・南 アフリカとある。かつて日本からは生産部門と不動産投資があったが、最近は減少して いる。 IPC の努力が実りつつあって、東西産業回廊に沿った地域での EPZ 設立箇所数が増加し てきた。また EPZ からの出荷額も以下に示すように増大してきた。 表 3.2.2 EPZ の出荷額 年 EPZ 数 出荷額 (百万ドル) 増加率 (%) 1998 16 30.2 - 1999 16 47.7 148 2000 19 54.7 115 2001 23 118.7 216 2002 31 138.0 116 2003 37 185.2 134 出典:EPZA 表に見るように EPZ 数が 1996 年の 16 より 2003 年には 37 に増加すると共に、出荷額は 30.26 百万米ドルより 185.2 百万米ドルに急増している。特にナイロビとモンバサ周辺の EPZ の占める達成度が大きいといわれる。 2000 年以降の出荷額の増加の伸びが高く、今後もこの増加水準が維持されるものと見ら れる。これら出荷額の約 90 %は輸出されていて、ケニア全体の輸出額の約 10 %に達する。 コンテナ 1 TEU 当たりの貨物の価格が約 10,000 米ドル程度と見られるので、2003 年の 185.2 百万米ドルはコンテナで約 19,000 TEU に相当して、ケニアの 2003 年のコンテナ輸 出数 78,500 TEU の約 25%に相当する。 EPZ に対する原料や半加工品としての輸入コンテナもほぼ輸出と同数のコンテナ数と見
られる。 3.2.2 工業化への努力 資金力及び技術力に乏しい同国の工業化のためには、外国投資の積極的な受け入れが鍵 となることを政府は十分承知している。 外国投資家の投資機会としては、 ①ケニア現地企業との JV ②株式の購入によるもの ③現地企業を外国人が保有する、 などの形式がある。ただし指定された産業部門では、外国人投資率は累計で 40%を超え ない範囲まで可能である。 資金や利益の出し入れは比較的自由と見られる。工業団地や EPZ への外国投資家の進出 を奨励する意味で、優遇処置がとられている。例えば ①為替管理を受けない、 ②免税処置、 ③10 年間の投資税制優遇 などがある。 土地の所有権の開放が徐々に進みつつあるが、農地や海岸沿いの土地は外国人には取得 できない。このようにケニアでは土地の所有と利用が規制されており、その点での所有 権の公開に依る土地利用の活性化が期待されている。 2001 年の 5 ヶ年計画では、その ための具体的な提案が示されている。つまり都市計画法の実施などによる規則の適用を はかる。1999 年制定の輸出加工区(EPZ)開発法の活用、土地登録情報の改良と公開な どに関する部門の改善を取りあげている。 ケニアとの貿易面で関係が深い国には、ケニアの輸出国では、ウガンダ・英・米・オラ ンダ・パキスタンがある。ケニアへの輸入国では、原油の UAE やサウジアラビア・南ア フリカ・米・英・中国などで、日本は第 7 位である。 最近の KPA の調査によれば、EPZ は発展中ではあるものそれを阻害する可能性のある状 況に懸念を示している。その多くは短期的に解決できない事項や支配できない自然現象 を含んでいる。 Ø 公務員の管理能力不足と不正の横行 Ø 密輸入や密輸出 Ø ケニア全土を覆う貧困に依る購買力の低下 Ø HIV 保有者の増加と社会的影響 Ø 世界的な気候変動の農業等の一次産業への悪影響* これらを反映して、産業への影響が現れてきている。EPZ 自体の抱える問題としては次
をあげている。 Ø 低賃金で労働条件の悪化している。 Ø 労働者と経営者間の協力関係が希薄である。 Ø 経営者や投資家が加工等の技術水準を高めにくくしている。 Ø 結果として、単純労働に特化しつつあって、労働付加価値が低い。 これらに見られるように、ケニアの産業の近代化は多くの問題抱えており簡単ではない。 *少なくとも 2003 年は気候変動の影響はなく、多雨であったことが生産に幸いしているとの 分析がある。 3.3 周辺諸国の内陸通過貨物(トランジット貨物) 近年いわゆる陸封国を中心とした内陸通過貨物(トランジット貨物)はその増加速度を 速めており、国内貨物(ケニア国内)の増加率を上回る。これは内陸部の貨物需要の高まり や政治形態の変化にも関係がある。 貨物量の変化をマクロ的に見ると以下のような特性が見られる。 2003 年の内陸通過貨物(トランジット)の 77 %は西の隣国ウガンダを仕出し地あるいは 仕向け地とする貨物である。そのほかブルンジ、ルワンダとコンゴと合わせ 4 国の GDP の伸び率の平均値は 1999 年に 2.5 %であったが、5.7 %{2002}、3.0 %{2003}と改善さ れて比較的順調であった。年率は低いが、少なくともケニアの GDP の伸び率(1 %ない し 1.5 %)と比べても順調であった。 ただし GDP と発生貨物が十分相関している訳でもなく、むしろ政治的な安定あるいは不 安定等の要素が関係しているとの分析もある。 モンバサ港を通過した過去 5 年間の内陸通過貨物は以下のごとくである。 表 3.3.3 モンバサ港を経由する内陸通過貨物 (トランジット;単位 1,000 トン) 年 総貨物量 ウガンダ向け貨物 1999 1,310 1,012 2000 1,454 1,115 2001 2,117 1,670 2002 2,215 1,710 2003 2,453 1,894 平均伸び率 17 % 出典:KPA トランジット貨物の約 90%は隣国のウガンダを仕出しあるいは仕入れ地として、輸入貨 物は機械や食品或いは化学製品や肥料である。一方輸出は少ないが、ケニアと同じく農 業一次産品やなめし皮、家具部品などが多い。しかしながら、データが限られており、
トランジット貨物はマクロ的な大雑把な需要予測にならざるを得ない。 3.4 海上中継貨物 (トランシップメント貨物) 一方、海上中継貨物はアジア或いはヨーロッパの主要航路との関連で、検討すべき課題 である。現在の航路は重要度あるいは貨物流の大小で 3 形式に分けられる。 Ø アジア或いはヨーロッパの主要航路 Ø 東アフリカ沿岸などの 2 次主航路 Ø 隣接港よりの不定期フィーダー 3 番目に示した不定期フィーダーはこのうち最も小規模で、いわゆる主航路にも 2 次主航 路にも属さずに、隣接港よりの不定期フィーダーに頼る小型の港を対象とした航路であ る。 モンバサ港での海上中継貨物は、モンバサより小型の港で、モンバサに立ち寄る 2 次主 航路船も立ち寄らない港への移送がある。コストを中心的な判断基準として、ヨーロッ パ航路とアジア航路に分けて、モンバサ港に適用しうるシナリオを以下に検討した。 ヨーロッパ航路 以下に示す 4 航路を検討した。 Ø A. ヨーロッパ∼東アフリカ 2 次航路 Ø B アジア∼ヨーロッパ主航路よりオマーン(サラーラ)でフィーダーして「東ア フリカに巡航」する。 Ø C ヨーロッパ∼南アフリカ(ダーバン)主航路よりフィーダーして東アフリカ に巡航する。 Ø D ヨーロッパ∼モンバサを主航路としてフィーダーして「東アフリカに巡航」 する。 可能性としては、B が 50%で最も高い。A が 40%で B に次ぐ。C が 10%で、D は可能性 が見えない。 アジア航路 これも以下に示す 4 航路で運搬コストの検討をした。 Ø A. アジア∼東アフリカ 2 次航路 Ø B アジア∼アジア主航路よりモーリシャスでフィダーして「東アフリカに巡 航」する。 Ø C アジア∼南アフリカ(ダーバン)主航路よりフィーダーして「東アフリカに 巡航」する。 Ø D アジア∼モンバサを主航路としてフィーダーして東アフリカに巡航する。
可能性としては、B が 60%で最も高い。A が 20%で B に次ぐ。C が同じく 20%で、D は可 能性がない。 これらの検討結果は、今のところ残念ながらモンバサ港が主要航路に選ばれる港にはな れず、選ばれた港(サラーラやモーリシャス)からのフィーダーサービスに頼る港とな るしかないことを示している。 ここで検討した、「東アフリカに巡航」とは、モンバサ、ダルエスサラーム(タンザニア)、 キリマネ(モザンビーク)、トアマシナ(マダカスカル)、サンドニ(レウニオン)、ポート ルイス(モーリシャス)とビクトリア(セイシェル)の 7 港である。 これらを整理すれば、現在モンバサ港は東アフリカ沿岸などの 2 次主航路(東アフリカ 巡航)に組み込まれているが、1 次主航路(ヨーロッパ航路やアジア航路)の寄港地とは なっていない。当分の間この状況が継続するものと見るべきである。 モンバサ港では海上中継貨物(トランシップメント)の増加傾向も継続するものと見ら れる。しかし将来トランシップ先の港が 2 次主航路に格上げされるとトランシップメン ト貨物は減少することになる。 3.5 2003 年のモンバサ港船舶入港実績 KPA の年報(2003 年)に示されるモンバサ港の船舶入港実績は以下の通りである。 Ø コンテナ船 485 隻 Ø 平均総トン数 15,300 トン Ø 平均滞港時間 2.7 日 Ø 平均船長 LOA 167m Ø 年間取扱数 380,000TEU Ø 1 隻あたりの平均積載容量 1000TEU Ø 主力船: 1,500 TEU、 フィーダー船: 500 TEU Ø 1 隻当たりの平均積み卸し量 784TEU Ø 主力船の取扱量 2 x 450 TEU、フィーダー船: 2 x 170 TEU 約 2 週間で周回して2隻の船でウイークリーサービスを行うルートが 6 本程度と見られ る。更にフィーダー船が週 6 便程度あり、従がって毎週 12 船が入港する程度であろう。 ウイークリーのコンテナ数が約 7,400 本である。 380,000 / 52 週 = 7,400 TEU/ 週
6 ルート x 900 TEU (輸入 450 TEU + 輸出 450 TEU) = 5,400TEU/週 6 ルート x 340 TEU (輸入 170 TEU + 輸出 170 TEU) = 2,040TEU/週 合計 7,440 TEU/週
4. 南回廊と北回廊の競合 4.1 性格の似たケニアとタンザニア ケニアとタンザニアは国境を接するが、互いに性格も近寄っている。人口がそれぞれ約 35 百万人で国土の面積も似ている。西の国境がビクトリア湖である点も同じである。両 国は陸封国ウガンダとビクトリア湖を介して共に接している。輸入品と輸出品の品目は ほぼ同様と見られる。 しかし経済力はケニアがタンザニアの約 3 倍大きく、格差がある。 4.2 地理的条件と回廊の概要 ケニアと南の隣国タンザニアは地理的に似通った関係にある。それぞれの国は互いの国 へ貨物を受けてトランシップすることがあると同時に、ウガンダなど内陸陸封国への貨 物の受け取りと通過場所の提供も行ってきた。 19 世紀末(1896 年)にモンバサを基点として建設が開始されたケニア・ウガンダ鉄道は 1899 年にナイロビまで、1901 年にキスムまで開通して、内陸との交通ルートが確保され た。内陸部で生産された綿花を海港まで輸送し、イギリスの工業製品を内陸部まで輸送 する手段として建設されたものである(当時の技術を駆使した建設であったが、インド の出稼ぎ労務者 2,634 名の犠牲がこの鉄道敷設の影にある)。 ダウ船よりスチーム船に変わり、雑貨の貨物の輸送からコンテナの時代に変わり、時代 は大きく変化してきた。ダウ船は今でも、モンバサ東港の旧港地区に見られるし、地方 港湾でも見られる。キスムのフローレンス港(ビクトリア湖)には今でも蒸気船が見ら れる。ダウ船の時代でも同様であったであろうが、コンテナ輸送が雑貨貨物海上輸送の 主流になりつつある現在、港と合わせて背後の交通(鉄道と道路)の整備状況の良し悪 しが、海陸一貫運輸のコストや運輸効率を支配することになる。 北回廊はモンバサからキスムを経由(840 km)カンパラ(ウガンダ)まで約 1,065 km で ある一方、南回廊はダルエスサラーム港(タンザニア)からビクトリア湖岸のムワンザ を経由(1,050 km)カンパラまで約 1,430 km である。 地形的には北回廊が標高 1,000 m 以上の高地を約 250 km も通過する必要があるが、南回 廊では殆どが 700 m 前後で山地が比較的少ない。最終的には両ルート共にビクトリア湖 に達していて、そこから鉄道フェリーでカンパラの外港(Port Bell)に向かう。南北 380 km 或いは 225 km の湖上輸送である。 このほかに北のルートでは、陸上で国境を通過してカンパラに通ずる鉄道路がある。モ ンバサ−カンパラ間の鉄道民営化(ICD を含む)が 2005 年より実施されることになって いて、中国・ドイツ・カナダ等の民間オペレーターが参入して入札中である。
南ルートは最終区間が湖上鉄道フェリーに限られる点が欠点といえる。現在鉄道フェリ ーは 5 隻で、2,500 トン級フェリーが就航している。内訳はケニヤ 1 隻、タンザニア 1 隻、 ウガンダ 3 隻である。ケニア側では造船も修理もケニア鉄道の所有するキスムドライド ックを利用している。 4.3 南回廊と北回廊の比較 ケニア側の北回廊とタンザニア側の南回廊の比較を行った。 内陸通過貨物(トランジット貨物) の物流ルートは南回廊と北回廊があり、それぞれの特 徴を持つ。これらは利用上の利便性との関連で、検討すべき課題である。ケニアとタン ザニアにとっては派生的なルートであるが、陸封国ウガンダにとっては唯一の且つ主要 な貿易ルートである。 ルートの比較を行う際の関連要素としては以下が想定される。 ・地形など物理的な条件 ・施設内容と容量 ・サービス水準 ・輸送コストと輸送時間 検討ルートには「陸上―湖上ルート」と「陸上―陸上ルート」がある。鉄道を利用する 点は共通している。 北回廊ルート 北回廊ルートには、以下に示す 2 ルートがある。 Ø A. モンバサ―ナイロビ―ナクル―キスム―カンパラ: 鉄道と鉄道フェリーを利用。 Ø B モンバサ―ナイロビ―ナクル―エルトテット―カンパラ:鉄道のみによる輸送。 可能性としては A、B 共にあるが、容量と安全性の点で B がなお有力である。 南回廊ルート これも以下に示す 1 ルートの検討をした。 Ø A. デルアッサラーム―ムワンザ―カンパラ:鉄道と鉄道フェリーを利用するもので、 北回廊ルートの A と性質が類似している。 北ルートの B は現在でもナイロビ−カンパラ間の直行便が週 3 便あって「シームレスな 鉄道輸送」が確保されている。また鉄道の民営化がこの全ルートに渡って実施されるこ とになっていて、現在入札中であることは前述した通りである。民営化に伴う施設の改 善とサービス向上が大いに期待される。両者の「陸上―湖上ルート」は性質が極めて似 通っている。比較すれば、
Ø 北ルートでの距離は 1,065 km であり、南ルートでは 1,430 km で、北が約 375 km 距 離的に短い。 Ø 南ルートの鉄道は比較的標高差の少ない地域を走破するが、北は高低差が大きい。 この点を考慮してもなおかつ、勾配に弱い鉄道の性質より南ルートが有利である。 「陸上―陸上ルート」は北ルートにのみ有って、フェリーを利用しなくてすむ点が有利 である。現在ビクトリア湖の水面が低下しつつあって、鉄道貨車のフェリー乗降が困難 になりつつある(平均 3mの低下があると KPA の責任者は説明していた)。今後の水位の 変化の状況にも依るが、水位の低下に対応できるランプや可動橋など対策施設の建設が 必要になる。 これらの検討の結果は、北ルートの鉄道利用が有利に働く可能性を示している。今後現 在の「シームレス鉄道」に加えて、民営化が進み施設の改善とサービスの向上が図られ れば、更の北ルートの有利性が明らかになるであろう。これらは結果として、途中の運 輸インフラ計画やモンバサ港の性格に反映される必要がある。 4.4 北回廊に期待される役割 ナイロビより西に向けて 175km 地点にケニア鉄道の分岐点ナクルがあり、ここより分か れて真西に約 165 km行くとビクトリア湖畔の静かな町キスムに着く。ここには港(フロ ーレンス港)があり、ここから鉄道フェリーでビクトリア湖を 225 km でカンパラの外港 (Port Bell)に着く(図 4.4.1)。 ナクルに戻り北西に 140 km 行くとエルドレトに着く。この町より 120 km のマラバがウ ガンダとの国境で、更に 200 km でウガンダの首府カンパラに着く。 キスムより船で 380 km 南西に向かうとタンザニアの港ムワンザに着く。そこより南東約 1,050 km でダルエスサラ−ムに着く。 北回廊の役割はウガンダ等の陸封国の貿易貨物の通貨に協力する事にあるが、ケニア国 内の産業にも多くの便益がある。一つは 2 国間の貿易の拡大であり、次にそれを通じて の地場産業の育成と拡大である。 キスム ICD の運営責任者の言によれば、現在ウガンダとの貨物のやり取りは全てコンテ ナによっているとの事である。貨物の内容はケニアでの貨物と同様に農業一次産品が主 であるが、牧畜を背景にして皮革などの輸出が増加している。
近年のウガンダの GDP 経済成長率は 5∼6%(ケニアのそれの約 3 倍)で、経済の活性化 が継続している事がうかがえる。ウガンダの人口や経済規模を見れば、ケニアの3分の 1 の貿易量が有ってしかるべきである。2003 年現在の雑貨貿易量とコンテナ貨物は以下の 通りである(出典:KPA)。 A. 雑貨貨物量(コンテナ化が可能な貨物) (1) ケニア国内の雑貨貨物 236.5 万トン (2) ウガンダ国などの内陸通過雑貨貨物 49.0 (3) 海上中継雑貨貨物(トランシップメント) 52.6 合計 338.1 B. 実入りコンテナ個数(12t/TEU として) (1) ケニア国内の雑貨貨物 19.7 万 TEU (2) ウガンダ国などの内陸通過雑貨貨物 4.1 (3) 海上中継雑貨貨物 4.4 合計 28.2 C. 空コンテナ個数 (1) ケニア国内の雑貨貨物 7.7 万 TEU (2) ウガンダ国などの内陸通過雑貨貨物 1.6 (3) 海上中継雑貨貨物 0.6 合計 9.9
D. 全コンテナ個数 (1) ケニア国内の雑貨貨物 27.4 万 TEU (2) ウガンダ国などの内陸通過雑貨貨物 5.7 (3) 海上中継雑貨貨物 5.0 合計 38.1 上表に見るように、内陸通過貨物(トランジット)による取扱コンテナ数はモンバサ港で扱 われる全体コンテナ量(38.1 万 TEU、2003 年)の 15 %を占めることが分る。南の隣国 タンザニアのダルエスサラーム港の総取扱いコンテナ個数は約 20 万個で、トランジット 率がモンバサ港と同じとすれば、タンザアニアを通過するコンテナ数は 3 万 TEU である。
キスム港周辺の状況; 左上に埠頭が見える。左手前には造船用のドライドックが見える。 右上には旅客用駅舎が見える。
キスム港付近の状況
キ キスム駅である(11 月 30 日の午前 10 時)。ちょうど客車が入線してきた。向 こう側がナイロビ側になる。 キスム港に隣接した、民間埠頭である。背後に倉庫やサイロ・工場等が見える。5.1.1 港湾 ケニアの商港は実質的にモンバサ港のみなので、以下モンバサ港に関する調査結果のみ を報告する。 (1) 概要と政府の期待 ケニア政府は、交通インフラと環境保全を両立させることができる港湾の近代化に強い 意欲を見せている。又港湾の将来性が高いことを背景として、国家物流及び産業活性化 戦略の一環としてコンテナ化による陸海一貫輸送を中心課題とした運輸政策を掲げた。 ケニアの港湾セクターは運輸省(MOT)の所管であり、この下部組織としてケニア港湾局 (KPA)がある。KPA はケニア国の海運及びコンテナ陸上中継基地(ICD)の他、 雑貨貨 物、ばら荷の取り扱い及びウガンダなど陸封国との中継貨物輸送といった港湾運送事業 全般を担っている。 注:ケニア鉄道( KRC)はウガンダ鉄道(URC)および ICD と合わせて、2005 年に民営化され る予定で、2004 年 12 月現在その入札が行われている。インド・中国・カナダなどからの 8 社が 応募したと伝えられる。 港ではモンバサ港が同国の輸出入貨物のほぼ全量をあつかっており、北西部陸封国との内陸 通過貨物(トランジット貨物)も取り扱わざるをえない。このような役割があるにもかかわらず、 モンバサ港のコンテナ貨物実績は同港コンテナ取扱容量の限界(約 40 万 TEU)に近づきつ つある。その主な原因は、 ・民営化の遅れによりコンテナ・ターミナルの運営効率が低い事、 ・アクセス道路が容量不足である事、 ・荷役機械の老朽化とその更新が停滞している事、および ・ヤードの面積が絶対的に不足する事、 の 4 点に集約できる。このうち荷役機械の入れ替えは KPA 自身の財務的負担で現在行われつ つあり、近年の改善が具体的に見える部分である。 (2) モンバサの立地条件 モンバサ港は海岸に打ち込まれた石粒のような形をした島で、東西 3 km、南北 5 km の楕 円形をしている。航路はこの島を囲む形で形成されている。現海岸線より約 2 km の外部 航路と海岸線より内側の内部航路に分かれる。 島の東航路側は旧港区で回教の色合いが今でも強く残っている。島の西側が新港区で現 在商業的に利用されている全ての港湾施設はここにある。島の北側にモンバサ市の中心
(3) ターミナルの共通的な特徴 モンバサ港のターミナルは共通の物理的条件による制約を受けている。それは以下のご とくである。 Ø 背後に軟岩でできた高さ約 20∼50mの丘があって、岸壁背後の土地を平面 的に陸側へ拡張する事を阻んでいる。 Ø 平面的な地形が限られている Ø 背後の丘の上には、発電所やオイルタンク施設など公共施設があり、この部 分の取り崩しは困難である。 Ø 鉄道がこの限られた平地の 30%を占有しており、港本来の荷役業務や蔵置 に利用できるスペースが少ない。 Ø 岸壁線が蛇行しており、イギリスの設計やオランダの設計に良く見られる形 式で、利用上は極めて不便である。 この様な状況の下で、ターミナルの多くは背後の丘陵の斜面を掘削して、前面海域を埋 め立てて造成されていて、それでも平地は限られている。現在はこの限られた平地の中 にターミナル・鉄道・道路などが混在しており。土地利用上の問題が大きい。背後に広い ヤード(少なくとも 300m多くは 500m)が必要になる近代的なコンテナターミナルにとっ ては決定的な欠陥である。 (4) 国の KPA に関する方針
ケニア国政府は KPA をケニアの独占的公共港湾施設所有者(Landlord Port)として認識 し、KPA 配下の各ターミナルは原則として民営化するとしている。 現在のコンテナターミナル(バース 16∼18 の 600 m)建設も運営も KPA の直営である が、近々の内に KPA 出資でコンテナターミナル運営の為の子会社を設立して、運営を任 せることになっている。事業のプロモーションなどについては今まで通り KPA が直接管 理管轄することになるとしている。最も有効な現金収入源を保持し続けたいとの願望の 他に、強い労働組合への対応に苦慮している KPA としては、過渡的に子会社の導入はや むをえない処置と見られる。 KPA はナイロビやキスムなどの ICD を保有して管理している。現状はそれぞれの取扱能 力の 3 分の1程度の貨物を扱っているに過ぎない。KPA によればこの原因は主にケニア 鉄道の努力或いは投資不足によると主張している。 KPA は自己資金で鉄道用の貨車や機関車を購入して、KR によるコンテナ輸送を支援す る予定である。
ター(MD)オンデゴ氏は強いリーダーシップで、一時期 12,000 人いた人員を 5,000 人に まで削減した。近い将来には 3,000 人体制を目指している。ただし人員削減の水準に比べ てコストの節減が進んでいない(人員整理に伴なう一時的な支出増である可能性がある)。 5.1.2 鉄道 (1) 概要 鉄道は政府保有の特殊法人ケニア鉄道(KRC)によって運営されている。ゲージ幅は狭 軌(1,000 mm 幅)である。2002 年の集計では、総延長が 2,778km に達している。 ナイロビとモンバサ間の距離は 485 km であるが、客車は 13 時間の夜行列車で連絡する。 コンテナ運送は日曜日を除いて一日 3 便あって、モンバサよりナイロビまで 12 時間、ビ クトリア湖畔東のキスムまで一日半、カンパラ(ウガンダ)まで 3 日間である。この「シ ームレス鉄道」のルートが「東西産業回廊」である。ケニア政府と KPA はこのルートを 「北回廊」とも呼び、南の隣国タンザニアを通過する「南回廊」よりサービスの点で優 れていると主張している。これらを反映して、2003 年の 5 ヶ年計画では、ケニア鉄道の 資金・組織及び施設にかかわる構造改革を重要目標の 1 つにあげている。 (2) 改善への努力 具体的には、鉄道の民営化である。MOT の大臣の誇りは鉄道の民営化をケニア鉄道と合 わせてウガンダの鉄道まで及ぼそうとする努力である。 民営化が叫ばれた背景には、 多くの理由があるが、その一つは現在の非効率的な運営と不十分な施設にあると見られ る。結果として 2003 年のコンテナの鉄道運送比率が約 12 %に過ぎず、運送距離より見 れば、過小な貢献と見なければならない。経験的には 50 %のシェアがあっても不思議で は無い。不十分な施設の可能性のあるものとしては以下がある。 不十分な鉄道施設 Ø 基本施設の能力 (バラスト・枕木・レールなど) Ø 信号施設 Ø 維持補修 例えばキスム ICD 内に敷設されたレールは 60 ポンドでコンテナ輸送には適さない。ナイ ロビ ICD がそうである様に、少なくとも 80 ポンドまでは改善すべきである。ナクル付近 では許容勾配 1.5 %を越える勾配があり、操車が困難な箇所がある。その他、信号など鉄 道施設の維持管理の程度が悪いとみられ、頻繁に脱線が発生している。 前述のごとく、貨車と動力車の増加については KPA が自らの資金で購入するとの情報も
今回のケニア鉄道の民営化には、現在 KPA が保有する 3 カ所の ICD が含まれているので、 これ以降 ICD は民営鉄道会社の運営によることになる。この点は鉄道と ICD の関連性が 深まり好ましいことである。 (3) 道路交通との競合とサービス分野の仕分け 鉄道と道路がそれぞれの特性を生かした上で、ユーザーに対してより良いサービスを提 供することになる。コンテナ貨物の輸送の点で両者を比較するとそれぞれの特徴が現れ る。それぞれが有利であることがはっきりしている場面もあるが、重なりあっている部 分も多い。鉄道の特徴は安価に長距離輸送をすることに適している。ただし工場などの 荷主の指定する場所まで運ぶこと(ドア・ツー・ドア)が苦手である。一方道路による 輸送は荷主の指定場所がどこであろうと道路さえあれば運搬できることが最大の利点で ある。港から近い場合には荷主まで一度の作業で持ち込みができる。ただし長距離輸送 はコストの点で鉄道にはかなわない。 車両運搬の場合には一日で往復できる距離が一つの目安になる。道路の整備状況にもよ るが 200 km 程度が限度で、250 km を超えた輸送は、鉄道が有利であるとされる。この場 合でも、駅あるいは ICD より荷主の指定場所までの距離が 100 km を超えると、鉄道と道 路の併用の妥当性が消える。 モンバサとナイロビ間が既に 500 km もあり、キスムまで更に 240 km も距離のあること を考慮すれば、鉄道の有利さが際立つ。これは鉄道と ICD を組み合わせた民営化が 2005 年に実現し、更に ICD の建設が増加すればますます鉄道利用が顕著になろう。このよう に鉄道の利用を高めて、コンテナの輸送の効率を改善することは、結果として道路輸送 のサービス向上にも貢献し、最終的には利用者特に地域の産業に好影響をもたらす。 将来的には、観光客も含めた旅客サービスの提供も視野に入れ、同国の主要産業である 観光への強調がなされることが望ましい。 (4) 安全で定期的な輸送 前述のように、コンテナ輸送に於ける現在の鉄道のシェアは約 12 %で、道路の貢献度に 遠く及ばない。コンテナ輸送での道路神話があるからである。コンテナの陸上輸送(フ ォワーディング)の多くは工場や倉庫への(或いは逆の)輸送である事が多い。特に仕 向け地或いは仕出し地が工場の場合には、多少遠距離であってもトレーラーを利用して 直接搬入或いは搬出することが多い。これはコンテナ貨物のもつ重要度によって、判断 されるものと考えられる。
の確保が不可欠である。船会社との長期契約で運送を委託するケースが多い。このよう な場合スケジュールの不安定な輸送手段を採用することはできない。結果として,船舶・ ヤード・工場とを結ぶ単純なルートの構成を望む場合が多い。 5.1.3 道路 (1) 概要 全国の道路網延長は約 94,000km で舗装率は 12.1%と低い。ナイロビ・モンバサ間 485 km を乗用車で約 10 時間で走破する。コンテナの輸送では最低 15 時間が必要である。 自動車の登録台数は毎年 10 %以上の伸びを示している。都市と同近郊は朝夕の出勤と退 社間帯は特に車の渋滞が常態化し悪化している。これは以下の理由によるものと思われ る。 - コミューター鉄道が無い (あるが量とサービスが限られている) - バス交通でも大型バスが不足している - 都市中心部では駐車場が不足していて、路上駐車が多い。 - 片道 1 車線で往復 2 車線の道路が多く、重量交通との混合交通の状態では、運用 速度の低下と交通安全の低下がみられる。 ナイロビ近郊では比較的道路幅も広く舗装の程度も良好であるが、地方の道路舗装の程 度が悪い。都市中心部を除いてモンバサ港周辺では、舗装が崩壊していて 危険な場所 が殆どである。ここも多くが片道 1 車線で往復 2 車線の道路である。モンバサ島の内部 では港湾発生の重量交通と都市交通が混在して、渋滞が常態化している。一方ナイロビ の郊外とキムス周辺の道路の舗装状況は極めて良好であった。 (2) 国の対策 道路行政は主に道路公共事業省が管轄している。 2003年の 5 ヶ年計画では、道路維持管理部門の改善を取りあげている。ガソリン税を道 路財源として活用する方式が提案されている。民間投資意欲の水準は別として、BOT 方 式に依る高速道路の建設も提案されている。 道路整備の重要性を認識している政府は、財源の確保の苦労しているところである。料 金制の高速道路の建設を考慮すべき時に来ている。 (3) モンバサ市の交通状況 1999 年 11 月の JETRO/FS 調査の際の道路利用状況と今回の 2004 年 11 月の状況を比較すると、
- モンバサ港より搬出されるコンテナなどの重量貨物が、都市交通の流れを乱し、 混雑を生み加速している。 5.2 モンバサ港の現況 モンバサ港はケニア全土を背後地とし更に西国境沿いの陸封国との内陸通過に物を加算した 総外貿貨物需要に対応しなければならない。現状はコンテナ貨物の受け入れ態勢が不十分で、 早急に整備をして設備容量の増加をする必要がある。 5.2.1 取扱貨物量 モンバサ港の 2003 年の取扱い実績によれば、全体量は 1,193 万トンで、この内の 888 万 トンがケニア国内市場向け貨物で、245 万トンがトランジット(中継)貨物、残りの 60 万トンがトランシップメント(積替え)貨物である。 国内向けとトランジットとを合わせた 1,133 万トンの内訳は、輸入が 926 万トンで輸出は 207 万トンである。荷物の形態別の貨物を見ると、原油や穀物或いは肥料などのバラ荷が 大半のバルク貨が 654 万トンで、その多くがコンテナ化可能な雑貨貨物は 478 万トンで あった。 さらにトランシップメント貨物を含む雑貨の内 338 万トンがコンテナ貨物で、20 フィー ト換算のコンテナの数(TEU)では 28.2 万個である。これに空のコンテナ 9.9 万個を加 えて、2003 年度のモンバサ港で取り扱われた総コンテナ数は合計 38.1 万個であった。 トランジット貨物の大半(77 %)はウガンダへの輸入貨物であり、コンテナ貨物でも同 様な傾向がある。このうち 49 万トンはコンテナ化されており、空コンテナを含めると 5.7 万 TEU に達する。ウガンダの経済成長は強く(年率 3∼5 %)、同国の経済規模がケニア 経済の 3 分の 1 にしても、貨物の伸び率は高い。 モンバサ港の貨物の 82 %は輸入貨物であり、当然であるがコンテナ貨物でも同じ傾向が ある。コンテナ貨物の対象である雑貨貨物は輸入量と輸出量のギャップが大きく、この 差は空のコンテナの増加となって、コンテナ取扱い個数全体の 26%を占めており、モン バサ港のコンテナ貨物取扱いによる収益構造を弱めている。 空コンテナの減少は、輸入と輸出の量的バランスが達成された時に始めて達成されるの であって、ケニアの産業形態の変革が前提になる。輸出力の増加で、貿易収支のバラン スが達成される時にはじめて、輸出と輸入の実入りコンテナのバランスも達成される。 EPZ 等の出荷量の増加等により輸出コンテナが増加しつつあるが、逆転するにはほど遠 い。
要である。航路では比較的潮流が速いために、タグボートのアシストが義務づけられて いるが、水深は 13.7 m を維持している。 KPA 及び MOT は大型タンカーの入港を受け入れるために、航路水深の-15mまでの増深 と航路幅の拡張をする考えである。それに伴って航路の有効幅(水深が維持されている 水路の幅)を往復航路として 300 mにする計画である。そのために現在の計画水深-13.7 mを-15mにし、かつ航路幅の拡張が必要になる。そのための費用を KPA と MOT は 60 百万ドルと見積もっているが、財源の確保ができていない。 5.2.3 接岸施設 接岸施設は全体で 18 バースあって、航路の中ごろから順次 No.1、No.2 という番号が始 まっている。南から観光船埠頭(バース No.1)、自動車埠頭、雑貨埠頭、バルク埠頭、雑 貨埠頭、コンテナ・ターミナル(西端部がバース No.18)、(18 の更に西に)原油ターミ ナルなどが並んでいる。 埠頭の多くは 5,000 トンクラスの雑貨船を対象として計画されていて、コンテナ輸送が導 入された 1970 年代以前の建設が多い。現在 18 バースの内 3 分の 2 は雑貨埠頭である。 岸壁エプロン約 15mの背後に長さ約 80mの上屋が軒を連ねている。多くの上屋には貨物 がなく、コンテナに詰め込まれない雑貨貨物の減少と施設のコンテナ化への立ち遅れが 垣間見える。 バース No.16 から 18 のみが 1984 年に建設されたもので、比較的新しいコンテナ専用埠 頭である。現在岸壁クレーン(SSG)を備える唯一のコンテナ・ターミナルとして利用 されている。この部分の岸壁は-11.96mの水深を維持しているが、他の埠頭の岸壁や桟橋 の多くは-8mないし-10mの水深である。 構造的には杭打ちをして上部にコンクリート床版を置く方式が多い。護岸は石積みある いはレンガ積みの形式もある。基礎地盤は比較的良好で砂か軟岩であり、軟弱地盤は見 当たらないので地盤沈下の危険性は少ない。バース No.15 付近には公共下水処理水が排 水されている。 5.2.4 コンテナ・ターミナル 現在コンテナ貨物の荷役は 600 m の岸壁(No.16∼18)背後のコンテナ・ターミナルとそ れに隣接する約 400 m の雑貨埠頭背後のヤードを利用して取り扱われている。おおよそ の合計面積は 15 ha であるが、埠頭背後のターミナル用地奥行きが約 150 m と狭く、道路 や建築物更には岸壁エプロンを除くとコンテナ置き場は約 7.5 ha と狭い。これは港湾用
2 基が稼動している。1986 年の運転開始より既に 18 年が経過しており、入れ替えの時期 に来ている。フランス製であるが製造会社が倒産していてスペアパーツに不自由する状 況である。KPA はこれらを総合的に考慮して、入札を経て 2 基ずつ中国製の新しい機械 と入れ替えることにした。11 月 29 日に最初の 2 基がバース No.16 に到着した。KPA は 3 年以内にコンテナターミナルの SSG を中国製の新品 6 基の体制にする予定である。 7.3.2 にも述べるが、KPA の財務的な状況は改善してきていて、1999 年以来赤字決算であ ったことは無い。2003/2004 年度の決算では 18 億ケニアシリング(約 25 百万ドル;税引 き前)の黒字である。これから先 5 年間の KPA による財務予測も黒字である。自己資金 で全てを改善するまでには至っていないが、いくらかは自らの力で改善する可能性が生 まれてきていることは、モンバサ港の将来に良い効果を与えることになろう。 5.2.5 アクセス道路の改善 5.1.3 でも述べたように、モンバサ港を取りまく道路網は欠陥道路で、重量交通のための 道路ではなく又道路容量の不足による渋滞が激しい。加えて現在の 40mにも達する標高 差の急坂を重量車が登坂することは困難で危険なことである。特にゲート No.18 の実情 は緊急的に改善すべきものである。この問題を解決する手段として、新たなアクセスを 建設する計画がある。ゆるい勾配で幹線道路に接続することができる、5.1.3 に示したよ うに新たなアクセスの建設によって、現在の多くの問題を解決できる。 (1) モンバサ港のゲート付近 モンバサ港で見られる現象を分析してみた。モンバサ港で現在使用されているゲートは 3 箇所あって、それぞれの混乱状態は以下の通りである。 ゲート No.4 正面のゲートで港の南端に位置している。坂の下に有って高低差は 20 m程度ある。周辺にはバスターミナルがあり KPA の職員や対岸にフェリーで渡る旅客の 溜まり場である。ここを通過する重量交通は規制されていて、交通上の問題は少ない。た だし一度市街地に通ずる交差点に出ると状況は一変している。KPA 用地のフェンスに沿 って北上する道路があるが、舗装の程度が悪く渋滞が常態化している。片道 1 車線往復 2 車線である。
ゲート No.12 ゲート No.4 から約 1,200 m北上するとゲート No.12 がある。このゲー
トは港のほぼ中央にあって、交通の便が良い。ただし通過交通のシェアは重量車両が約 2 分の 1 で、港湾道路の性格を良く示している。ゲート No.4 と違いこのゲートは高低差約 30mの坂の上にある。場外の舗装がなされていないために陥没や水溜りが多く、目を覆い たくなるような状況である。港湾重量交通がこの道路の傷みを助長している。通 過する車
て、パーキングのスペースも無いために、常に混雑している。ここも片道 1 車線往復 2 車線である。 (2) 今後の対策 モンバサ港のゲート付近の道路交通の実情を示したが、これらの道路がやがて接続する 「モンバサ・ナイロビ道路」の状況も悪化している。モンバサ港の西でモイ国際空港付近 に展開する空コンテナ置き場や工場団地より多くの重量車両が走り出ている。この交通と 港の重量交通の長距離運搬が混然として、混乱が常態化している。ここには 2 つの問題が 見られる。 -A 港から「モンバサ・ナイロビ道路」に通ずるアクセスの容量不足の問題 -B 「モンバサ・ナイロビ道路」それ自体が交通容量不足である問題 この内当面 A を解決する必要がある。現在の急坂なアクセスに代わって近くのマクパク リークと KPA の所有地を通過する延長 1.5kmの緩勾配のアクセスを新たに建設して、直 接的に問題を解決する提案がある(マクパ・アクセス)。 コンサルタントの提案もあって、KPA は既にこの解決法を見出して折り、実施の段階に ある。B については対象規模が大きく、KPA の資金では解決できない。むしろ中央政府 の責任範囲である。国が幹線道路の改修で対応すべき課題である。
1999 年我が国は、このプロジェクトが環境円借款の供与条件を満たすか検討することも 視野に入れて「ケニア国モンバサ港コンテナターミナル近代化計画調査」(JETRO、2000 年)を実施した。 この調査は、モンバサ港50 万 TEU 級国際コンテナターミナル建設プロジェクトについ て、社会経済開発上の必要性、需要予測、技術的妥当性、経済・財務的健全性、環境影響 などの総合的観点から検討することを目的に、1999 年 9 月∼2000 年 2 月の 6 ヵ月間に わたって実施された。 この調査では、短期・中期・長期に分けてコンテナ・ターミナルのあり方を提案してい る。短期計画では、現在のコンテナターミナルであるバース No.16∼18 までの改善と、 新たにバースNo.13 から 15 に至る現雑貨埠頭(当時 2000 年)部分のコンテナ・ターミ ナル化を提案している。 現在のコンテナ・ターミナルの長所として次のように整理している。 Ø 鉄道が直背後に敷設されていて、コンテナ鉄道輸送の便宜を優先した施設である。 Ø 地盤条件がよく地盤沈下などの問題が見られない。 Ø 航路が整備されており特段の問題は無い。 Ø 規模は不十分であるが、近くにコンテナターミナルとして利用可能な土地がある。 一方、問題点をつぎのように総括して今後の課題としている。 Ø ヤードが狭いうえに陸側へ拡張する余地が無い Ø ヤードが狭いためにヤードの利用が複雑で組織的ではない Ø 平面計画上は曲がりくねった岸壁法線がターミナルの有効利用に適さない Ø SSG は既に入れ替えの時期に来ており、荷役性能も不足している Ø 港から主要幹線道路に通じるには、丘陵地帯へ急坂を登る必要があって、物理的 に困難である Ø 管理組織が弱く管理用の施設も少ない。 この 5 年間に新たな SSG の導入などで改善されてきたが、多くはまだ未修正である。 平面計画では、現在の曲がりくねった岸壁法線を直線化して、船舶の接岸効率と SSG の 利用効率を高める事を目指している。その際岸壁線を海側に約 100 m前進させ、新たに 15 ha の土地を埋立造成して、ヤードを拡張し現ターミナルの最大の欠陥を基本的に改善 することを提案した。 また背後のアクセスについては、クリークであるマクパ地区を渡って緩い勾配で現幹線 道路に接続できる新道を建設することを提案している(マクパ・アクセス)。
融資を受けることを決めており、既に本年 11 月に相手国政府に要請済みである。融資を 受けることで本案件の実現性は高いものと考えられている。 6.2 長期計画 過去10 年間、KPA はイギリス・オランダ及び日本のコンサルタントの協力を得て、将来 計画、運営計画、コンテナ・ターミナル計画等を作成してきた。最近の動きは2003 年末 から始まった長期計画の作成で、オランダのコンサルタントに依頼して行われている。 この計画は、現状分析、マーケットリサーチ、土地利用計画などに関して総括的な検討 をしている。機能分析をして、共通する機能はできるだけ集約して管理する方法が提案 されている。近代的な港への総括的な見直しと考えられる。FS 調査ではないので、各タ ーミナル毎の計画案の比較や経済財務分析は行われていない、環境調査も行われていな いが、今後の港のあり方を示す指針としての活躍が期待される(KPA の依頼を受けて、 本調査団は同報告書についてのコメントを行った経緯がある)。 長期計画はコンテナターミナルに関して JETRO2000 による「ケニア国モンバサ港コンテ ナターミナル近代化計画調査」が参照されている。MOT の指示に従がって、KPA は土地 利用の計画案までをこの長期計画の骨子としようとして、各ターミナル側の検討は FS 調 査や詳細設計に任せる事としている。 6.3 JETRO 調査 2000 の見直し JETRO による調査が行われてすでに 5 年が経過したために、同調査の見直しに必要な要 件の検討と分析を行った。注目点は、貨物量の見直しと事業費の見直しにある。 最近のモンバサ港におけるコンテナ貨物の急増は、2000 年の JETRO 予測を約 25 %上回 っており、早急な実施に向けての見直しが必要である。一方事業化に当たっては、資金 手当ての上で、事業費の切りつめが求められている。平面計画等技術的な面で部分的な 修正は必要性が認められるが、基本的な変更は不要と判断された。 コンテナー貨物の需要については、第 3 章を参照されたい。 6.3.1 コンテナ貨物取扱実績 コンテナ貨物の取扱実績によれば、直近 2003 年のデータでは実入りコンテナと空コンテ ナの合計で 38 万 TEU であった。これは JETRO の FS 調査での予測値で 1 年早い達成で あった。 2003 年実績の 38 万 TEU の内訳は以下の通りである。 実入り輸入 159,000 TEU 実入り輸出 79,000
空コンテナ 計 93,000 トランシップメント空 6,000 総計 381,000 TEU *ウガンダ等よりの約 57,000 TEU のトランジット貨物(内陸直通)を含む。 2004 年のモンバサ港のコンテナ貨物は、同年 9 月までの伸び 16%を全年に適用すれば、 年間 46 万 TEU に達している可能性がある。 実入り 333,000 空コンテナ 132,000 総計 465,000 平成 17 年 3 月 10 日,KPAは 2004 年のコンテナー貨物量統計値を公表した。それによ れば、貨物量は海上中継コンテナー貨物を含み、43.8 万個(TEU)に達したことが判明し た。KPAの連絡には詳細が含まれていまいが、内訳は以下の通りである。 実入り 309,786TEU 空のコンテナー 128,811TEU 合計 438,597TEU これによれは、2003 年の実績数より 15.1%増加してことになる。世界のコンテナー貨物 の平均的な伸び率に近い。 6.3.2 コンテナ貨物需要 コンテナ貨物の需要の見直しを、JETRO2000 調査の方式を踏襲し、最新の情報に基づい て“マクロ分析”を行った。加えて品目別貨物特性に配慮して予測する ”ミクロ分析 “ を実施して、予測の精度向上を図ってみた。貨物はコンテナ化される雑貨のみに限 って検討し、可能性の無い鉱石や袋詰めされていない穀物などのBulk 貨物は除外してあ る。 発展途上国の工業化の初期の段階でよく見られることであるが、輸入雑貨量が輸出雑貨 量を大きく凌駕していることがケニアの大きな特徴である。又ほかでも同じ傾向がある が、輸入雑貨の 62%が関税統計的には”その他の雑貨”と分類されている。経験的には主 に消費物資と製造業の原材料や半加工品の場合が多い。 このように、消費物質を中心とした物資の輸入量が卓越していると考えれるために、 JETRO2000 では基本的な手法として“マクロ分析手法”を採用した。またケニアはこの
測検討するものである。 マクロ分析の結果とミクロ分析結果による将来コンテナー貨物量はほぼ同じ水準を示し たが、ややミクロ分析値が堅調に見られ、又 予測後最初の実績値である 2004 年取扱量 がミクロ分析値にやや近いこともあって、ミクロ分析値を採用することにした。 2000 年のコンテナ貨物の需要予測では 4 ケースのシナリオを想定したが、今回も同様に 4 ケースを想定した。マクロ分析上の関連指標は以下の通りである。 Ø 雑貨貨物 Ø コンテナ化率 Ø GDP Ø 弾性率 (雑貨貨物量の変化と GDP の変化の比率) Ø 空コン率 (輸入コンテナと輸出コンテナの差が通常の空のコンテナ個 数となるが、ここでは更に定率で加算した) Ø 実入りコンテナの実貨物重量 Ø トランシップメント貨物 Ø 予測開始年次:2005 年 (2004 年までを実績とした) Ø その他 ミクロ分析では、上記の諸指標に加えて、下記に示すような内容の各品目毎の特性を加 味し、貨物の発生の根源を探るものとした。 l 生産量 l 通関記録 l 集荷・販売記録 l 精算のための原単位 l 消費の原単位を想定するために必要な関連要素 l 一人当たりの GDP と地域特性に相関した個人の消費傾向 l 輸入量・輸出量 l その他 4 ケースについて行ったマクロ分析及びミクロ分析によるコンテナ貨物の需要予測結果 を以下に要約して示したい。 2005 年から 2014 年までの 10 年間の貨物予測結果とそれに用いた諸指標の内主要なもの