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学習指導の原理の基礎づけについての一考察

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(1)77. 学習指導の原理の基藤づけについての一考察 浜. 俊. 田. 吉. Ⅰ. 学習とは個体が成長するに伴って,環境との相互形成作用によって,自己-世界の緊密 な認識的構成的関係を実現してゆく経験の過程である。かかる経験を教育的経験と称する ならば,この教育的経験の本質的構造の認識から学習指導上の原理を構成することが,敬 授学Didaktikの一つの課題となるであろう.本論はこの課題に対する一つの解答の試み である1)o 如何なる経験が教育的経験となるかo 発達をたす仇. この判断の最後的基準は,個体ののぞましい成長. 自己-世界の一致をもたらす経験であるということにあるであろう.この・. 基準の中には単に自然的存在としての人間のみならず,理想的価値志向的存在としての人 間という考え方がふくまれている。この人間観的世界観的問題は教育方法論を超えて論ず る必要がある.当論は教育方法論の範囲内において考察するo John DeweyはExperience and Education 1938において教育的経験の判断基準と して,経験の継続性,社会的相互作用の二原理をあげている。この二原理ほ単に教授論, 方法論における原理というよりも教育全般に関する板木原理と考えられる.当論はかかる 根本原理的考え方の上に立って,教育実践上,学習指導の宍際において考えられる多くの・ 原理に適当な位置づけを行なうと共にその意味を判然たらしめたいと考えるものである. 実際上従来唱えられる原理的なものは極めて多く,また多くの実験から導き出される原盟 約考え方も少くない。ともすれば混然とし錯綜する多くの指導原理に対して全体的視野に,. おいて位置づけを行ないその原理間の関係を把撞することが肝要と考えるのである乏'o 学習の行なわれる実際の場面すなわち教育的経験の構造はきわめて複雑である。人間存 在が複雑であることと相応ずるものである。学習経験の内容が個人個人によって異なるの この場合すべてのものをすべてに関係あ. みならず生括や世界の構造も極めて複雑であるo. るものとして漠然と論ずることは無意味であると共に,ただ一つの仮説的観点からあらゆ る学習の現実態を見とおすということにも無理があるであろう3'。当論においてはこの両. 面の危険をさけて,できるだけ簡明に要因を分析し,基礎的要素的構造から出発して,. _次第 にその関係面に考えをおよぼしてゆきたいと考える。この考え方は要素的分析的に陥る危. 険をはらむであろう。この危嘩を克服するには一方において現象学的層的観点を用いると 共に,他方常に要素駒なものが全体関係の中に止揚されて行く道を見出さねばならない。 すなわち一種の弁証法的論述となるであろう。 Ⅱ. 学習が行なわれている場面を,単純に要素的に考察するならば,学習する主体と学習の.

(2) 78. 浜. 田. 俊. 対象となるものと.野閑孫として把纏され串o歴史的常識的な見解でを軍所謂教授学上の三角 形として,教臥生徒,教材の三者ゐ関係を考察することから柊じめるのであるが,教師 の関係しないところにもすでに学習という現象がある事実,さらに教師の任務についての. 近代的本質観をも考慮して,まず最初にほ学習の主体と学習の対象との関係において把逸 すると共にそこに指導者が如伺をこ関与するかという観点で考察するのが巌序と考えられるo この学習主体と学習対象という基礎的構造から学習指導上の基本原理を見出すためには, 学習の主体と学習の対象とをさらに-歩分析して見なければならない。学習指導上の原理 もかかる要因の分析からして,そのねらいが明らかをこなると考えられるQ 学習主体の基本要因. 学習する主体における学習行動の基本的要因を三つに要約する.. a.学習主体の生命力から自然必然に生れるところの学習意欲のエネルギーを第一に考え ねばならないo b.次をこ学習主体が有裸体として入間として,感覚し,知覚し,注意し, 運動し,記憶し,忘却し,習慣をつくる等々,人間有機体が自然に所有する生晒機能的メ カニズムがあるo. c.最後に主体の到達している成熟の段階があり,この段階に応じて経 験を求め,経験を生かすと-いうことを考えねばなくらないo 以上の三三軌. 生食のエネルギー,有横体的メカニズム,成熟度は学習主体のもつ学習-. の基劉勺要因であるが,もしこれを一つの極概念でとらえるならば主体のNeedsという ことができると考えるo. このNeedsが対象に対して頼らく道ほ慈カという概念で表現で もし知能Intelligenceをきわめて広く解するならば一般知能という言葉. きるであろうo. でおきかえることができると考え・る.. 学習対象の基礎構造. 学習の対象絶入間の港界の複雑さを持つが故にこの分析は至寮で. あるが,要点的に分析するならば次のどとく考えられるo 造であるo. a.まず自然的物理的世界の構 b.次に日常生酒社会生活一般の軽々の様式であり処理方法であり,さらに人. 間開孫であるo. c.最後に入額の生産創造した文化的澄界の構造であり理想実現の形態で. あるo. この三者の世界構造,世界構成のすじみちが学習対象の生れる基礎的構造と見るこ とができるであろう.もし再びこの世界の把撞をr一つの極概念としてとらえるならば,真, 香,,栄,あるいは整,利用,幸福等の清衡厳をふくんだ徳俵志向的なものといいうると考 えられる。しかしながら実際に学習が行なわれる場合に結かかる康壊患病的なものがそれ ぞれの具体的内容にふくまれているであろうo生惜,白熱. 文化の世界構造を背後にもち. ながら種々の知識,理解,技罷,按軌,観賞,習慣,態度という学習の割こなって表現さ れると考えられる。. 学習の基本形式. 学習は一方にNeedsを極概念とし,能力もしくは知能として働らく. 主体の方向と,価値を寝概念とし学習の程々なる塾としてあらわれる対象の方向との間の. 志向的緊藻弱体として把纏せられるから,この四つの項のそれぞれに学習指導上の原理の 基礎づけを求めることが可能であり,この四項の一つにもとずいて教育方法上の論が展開 されている例をあげることができる4)o. しかしながら学習作用の本質はむしろこの四項を. 基礎としその儀態の潜らきの一致一鉢化したところにあることほ漁ずるを要しないところ であるo学習は自己像鼎の一体化一致化の緊密にあり,主体と対象の関係が融合一体化し.

(3) 79. 学習指導の麻理の基礎づ桝こついての一考察. たところにあるわけである。主体と対象の関係が金一的に働らく場合この対立関係は学習 作用として一体化され,止揚されていなければならない.すなわち学習の行なわれる主体 対象一致の姿は主体の活動が能動的に対象を意味的に把捉している形態である.真の意味 の学習情動は対象のもつ価値と型とをすでに自己の中に生かして意味としてとらえている ものである。そして活動の意味づ捌こおいてその中問に方向づけるものとして関心興味が 存在すると考えられるが故に,この形は晴動一関心一意味の-体化として考えられ,これ. が学習の基本形式である。 およそ学習が行なわれるならば必らずこの根本形式が存在すると考えられる。あるいは 理解や観賞等の学習の塾についてはこの基本形式が如実に理解できるが,習慣や技術の学 習にこの基本形式が存在せねばならぬであろうかと疑問が生れるかも知れない。しかし人 間の学習は動物の訓練ではない。それが教育的であり,人間の形成としての学習であるな. らば如何なる技術も習慣もそれについての価値志向的なものがあり関心がなければならな い。それに向っての関心をもちその人問形成,成長発達への意味づけを基底にもっての清 一動でなければならないと考える. 主体対象一致より見る学習指導の原理群. 次にわれわれはかかる学習の主体と学習の対. 象との一致という面において学習の作用を如何にして有効に条件づけることができるかと いうことを考察すべきであるムすなわち学習指導上の方法や技術のもとをなす原理を見出 すことである。 a.動機づけの原理 う原理である. Needs. 学習活動の中に主体の. Needsが正常の道をとるようにするとい. のChannel化であるQ. 主体の生命のエネルギーが関Jb意味への. ー動力となるように主体の欲求の方向を正常化することである。. b.直観化の原理. 学習主体の有機的メカニズムが学習対象とふれあうとき,この一瞬. の切断面において最も有効適切な一致をもたらすように時間的空間的場面を構成する原理 である。ペスタロッチが自己の教授法の核心としたところである。この原理の直接意味す るところは,外界対象の感覚知覚についてであるが,ペスタロッチ白身においても内的直 一観をも重要視するように単に外界対象にのみ限るべきものではない. Eggersdorferは故 にこの原理において,外界対象の直観のほかに体験の深みと想像上の表象の明瞭というニ ー老をあげている5)0 c.練習の原理. 有機体的メカニズムにもとずく方法原理に練習による学習効果の確実. 化があることは自明である。あらゆる軽質の学習成果achievementにおいて練習は重視. されねばならない。普通技能型の学習における練習の効果を重視することと,理解洞察塾 の学習における意味の直観Insight. learningの重視とからこ.の二つの学習を判然と分離. して考えることが多いが,かかる分離の仕方には危険を伴う。. Patternの洞察や,意味. の理解が⊥旦得られたとしても,忘却消失の自然法則が働らくことは同じであり,これが 真のaCbievement. としてあるいはAbility. として主体の力となるためにはかかるPaト. tern-Insightのくりかえしによって一種のReadiness的域に達する要がある。またくりか. えしによって獲得されるごとく見える型の学習においても,その塑に対して意味を見るこ.

(4) 80. 浜. 俊. 田. とによノってはじめて生きた人間の能力となって来るのである.ここにExerciseごInsight. の相互補完性があるo d.集中の原理. e.聯合の原理 この二つの原理の間にも相互補完性が存する。集中の原理は主体の学習活動の意向する 焦点を明確にして学習の対象を的確に把瞳させようとするものであり,併合の原理は学習 の対象をこれと近接するものないしは関連あるものとの対比連繋によって把瞳を強化し理 解を深めようとするものである。 Herbartはその有名な心理的段階において専心致息の同 原理を捷出した。. VertiefungとBesinnungはまさしくこの二原理に応ずるものである。. エの二原理は注意の原理想像力の原理として表現することもできるであろう。. Mursellの. よき文脈の原理,焦点組織の原理もその直接のねらいの差はあるとしても,ふくまれてい る意味において相応ずるものということができるであろう。さらにこの原理の系として,. 教材の単純化および豊富化という形でも表現できるであろう。要するにこの両原理の意味 するところほ,生酒,自然,文化の世界構造が学習の対象となるとき,一方においては主 要な一点に活動や興味を集中し,注意の焦点を定めてその意味に深く入ることをすすめる という原理であり,他方においてはその主要な一点に関係する構造を明かにし,想像力を・ 自由にして関連的に対象の実体と意味とを発見せしむるという原理である。)0 f・順序の原理. 順序の原理はいわゆるSequenceの原理であるが,ここに含まれてい. る二重の意味に注意せねばならない。一つは発達的心理的な順序である。まず広く学習主. 体の発達の程度に応じて対象は選択され排列されねばならぬとする意味があるo. Stらcker. のいうStufengemassheitの原理である7)o次に学習の対象の排列は易より掛こ,基礎的 簡単なるものから複雑高尚なもの-とすすむべしとする考え方である。これに対して第二 の順序は生酒,自然,文化の世界構造の組織の論理性に立脚した順序づけを意味している。.. この二つの観点は時に理論的に対立するごとく見えるが実際の学習指導においては相互補 完的に考えねばならない。教科主義的カリキュラムにおける順序の原理は教科の背後にあ る自然,生活,文化組織の論理的順序であり,経験カリキュラムにおける順序の原理は経. 験領域の拡大の順序である。教育観的根拠において対立するところがある。しかしながら. 自然や文化の組織も教育的に組織がえして学習の対象となるであろう,経験領域といえど も何等か論理的贋序なしには学習対象として組織できないであろう。当論は順序の原理の 二重の意味づけの存在を指摘するにとどまるが何等かの順序性は対象と主体との関係にお いて成立していなければならない。 Ⅲ. 主体と対象との関係の次に基本的に考察さるべき学習活動の要因としては,第一に学習 する主体の現実に生晒する社会である。すなわち抽象的にいえば個人と社会との関係であ る。第二に学習が成立し個体が成長発達するということほ個人の人格体の調和的発達であ りまた統一的積極的発達であるということであるo学習の結果が人格体の分裂不調和に向.

(5) 81. 学習指導の原理の基礎づけについての一考察. integra-. うものであってはならぬ以上,学習は人格体の調和的統一すなわちPersonality tionをめざしていなければならない。. A・個人と社会との関係は第一次の分析のそれぞれについて同時に考慮されねばならな かったものであり,また指導の原理群のそれぞれにおいて同時に考慮されなければならな. かったものである.例えば,. Needsにも個人的Needsがあり. Social. Needsがあるo価. 値についても同様である。能力はまた個人的特殊的能力であると同時にその属する社会の 中における能力である。学習の型というのも,個々人の獲得する塾であると共に,その人 の属する社会において通用する型である。. ゆえにわれわれのあげた. Activity-Interest-. Meaningの基本的形式はそのいかなる面においてもこの二重性をもつものであって,節 節にあげた指導上の原理のそれぞれについて同様に考慮の中に入れなければならない。こ. の頗係を特に学習指導上の原理として表現すれば次のごとくになるであろう。 a.個人的内面化の原理. b.社会的表現化の原理 個々の学習の際一方において,主体の心の内面の深みに入って,学習の意味を味得する. 境地を悟らねばならない。ジャックマリタンはα十字路における教育〃において教育方法 上の幾つかの原則をあげているが,その中心となる第二の原則はこの面を強く表現するも のである8).直観の原理における第二の部分あるいはField 変化の考え方もまたここにおいて一致するところがあるo. Theoryにおける認識構造の. この内面化に対して他方学習は. その効果をあげるた捌こはその主体の属する社会の中において自己の学習の行程や結果を. 表現し,その社会的場面に即して自己の能力や学習の成果を自らも認識し,他人にも認め てもらう必要があるo. そこにはじめて学習の行程や成果が客観性と通用性とを得るもので. ある。 この両原理はまず時間的間隔的に適当に交替し,しかも一般的にいうならばその一方に. かたよらないことを工夫することが学習指導上有効なことはこの原理の成立の理由からし しかしながらこの両原理は単に時間的 て当然の帰結であり,実際上もこれを裏書きするo 外面的にのみ解釈し適用すべきものではない。実はかかる原理が相互に補完的であり,盾. の両面を意味するものであることを知ってはじめて真に学習指導の意味を理解することが できるのである.例えば深夜一人机に向い書の中に没頭している学生には,あるいは明日 の発表とか一年後の受験とかいう社会的表現の可能性を常にふくんでいるであろう。また 教室で教師の講義をききながらノートをとる時,教室で問題を解きつつあるとき,この生 徒は周囲の人々を完全に忘れて内面化していることもあるであろう。デュイ-のいうよう に,ギリシャの文学や歴史を読んでいる学生にはギリシャその当時の世界がその場になつ. ているのである9).この内面化の深みの質と表現化の場の客観性の質が学習の効果を高め るものである。 c.評価の原理 Evaluation. の原理もまたこの個人社会の関係からして考察されねばならない。普通評. 価は学習の結果,成果について考えられるようである.本来のEvaluationはしかし単に.

(6) 82. 田. 浜. 俊. 学習の成果,それの外的表現物すなわち成績品にのみ限るものではない。むしろ学習の過 程随時随所において行なわるべきものなのである。学習の過程の随時随所において評価が. 行なわれてはじめて真に評価は学習指導上の原理として成立するものと考える。 評価は自己白身の評価と客観的社会評価とに分たれる。この両者が相互に交換し交流す ることに評価の真の意味があるものであるが,このことはあだかも丁度個人対社会の関係 に相応ずるものである。自己評価と社会的評価との間に対立的関係があり,あるいは反対. である,分裂しているという場合学習指導上の危機が生れていることは常識で考えられる ことであるが,この危機をつくらず,できるだけ主観的評価と客観的評価とを一致せしめ. るように場面を構成することが学習指導の任務の一つである。かかる危機が生れた場合い ・]),、にして客観的な見地と同情的見地とを交流して,この危機をこそ一種の教育的経験の場 とすることができるか,これこそ学習指導の課題となる。 ●. B.学習はそれがのぞましいものであればあるほど人格の調和的発達と統一性に寄与する. ものである。われわれはゆえに次にのぞましき人格体の統一性という根本原則から学習指 導上の原理を考えて見なければならない。のぞましき人格体の統一性という観点の中には, かかる人格体統一一陸の成立する社会的な場を予想するからA.の立場観点と密接不可離で. あることは言を要しない。 d.目的的活動の原理 目的的情動についての原理は特にキルパトリックに負うところが多い10)。キルパトリッ. クはその〟Project. Method". 1918において真の意味の学習活動は目的的活動でなければ Activity-InteresトMeaning. ならぬと主張した。学習の基本形式. は方向づけをもった. Motivation. Activityであるが,このActivityがNeedsより. を経て. Activity. とな. ることが全人格体の統一性という面から見るとき目的意識的全我活動と書きかえられるわ けである。. Activityが単にActivityにとどまることなく,. Motivationが単に活動を. ひきおこす手段にとどまることなく,全人格体の統一性の中に入りこんで滞然一体となつ. た構成要素となるためには目的意識的活動に変化すべきものである。ゆえに指導の立場は いかにしてActivityとMotivationを合目的的,全人的に変容させるかということにな るであろう。 e.努力の原理 目的駒活動の一つのあらわれは主体がたくまずして努力できるということである.努力. は外からの強制によって生れるものでないoそれは自己の全体人格の統一性をその場面に おいてたしかめて行こうとするカなのである。. William. Jamesはこの努力を学習上に重. 要視した。自分がそれを好まないという理由でそのことを毎日練習する意味があると逆説 をもって説明している。人生は時に逆境をむかえる,努力するということはその準備にな るとほ彼の言であるが11),われわれの課題はいかにして努力を全人格体の統一J陸の中に位 置づけてゆくかということであろう.. Eggersdorferほこの原理をwillensbedingte. issであるとしてAufmerksamkeitの原理に包摂したが,彼の他の半分. Flくe-. sachbedingte. Spannungとはいくらか次面を異にして考察した方が理解できるのではないかと考える12)0.

(7) 学習指導の原理の基礎づけについての一考察. 83. f.心の傾向の原理. この原理の中核的考え方はThorndikeの学習の法則. Law. of Readiness. である。ゆ. えにまた言語の誤解なければレディネスの法則乃至は原理ということができるであろう。. すなわち既経験,既学習によって一つの連合が生れている場合にこのconduction 一つの能動的な力をもつaCtion. tendencyになっている。このaction. unitは. tendencyのプラ. ス方向に働ら桝ま満足感があり,マイナス方向に働らくとき当惑を生むというのである13)o この心のむきに従うように指導して行く,この心のむきがマイナスである場合にはこれを. いかにして解く,ほどすかということである.ただこの原理の真の意味は単に一つのconduction. unit連合の単位についてではない。一つの経験にはこれに伴なう多くの条件が. あり,その人格体全体が感じている全体感情がある。一つの学習が成立してもそれに伴な. う程々の条件が主体の全人的感情と相あわないならば次の機会にはその学習の継続を心理 的に拒否するように働らくであろう。この全体的人格体統一の面から見て心のむきの原理 ということができる。 g.自信の原理 心のむきの原理は更に人格体統--J陰において積極的に考察すると自信の原理となるo. こ. の原理は学習指導上特に重要であると考える。学習についての人格体全体のもつ前むきの 安定感である。このことは自分にはできる。かりに失敗しても練習すればできる。できる までやるのだ.というような感じこそ学習指導上なににもましてそだてなければならない ものであるo. 学業不振の原因の一つはかかる自信をもたないことであり,あるいはいいか. えると学習についての不白信である。また失敗するだろう。自分の行なう計算があってい るはずはない。またまちがっているに違いない。このような意識が支寵している周は学習 の成果を期待することは無理である。このとらわれから救い出すこと,心の働きを自由に. することが第一の仕事である.その方法は実際において工夫されねばならない。その主体 のとらわれの原因や条件の認識が必要であるからであるo. このとらわれをときほごす一方. には積極的に白信をもたす工夫がなければならない。主体の心の中に入って,その日信の. あるところに自由の立場を確保することをつづけながら次第に失われた地を回復するよう に徐々に進み行くことが大切である。鷺讃や励まし,共感という方法の意味が最もこの点 において理解できるであろう。 Ⅳ. 一つの学習の場の周囲には生清全体の場がめぐっている。学習の場も生活全体の一場面. にすぎない。学習の場は生活全体の場なのである。この全体場面と学習の場面との関係か ら学習指導上の原理について考慮することを要するo もし一語にしてこの関係を表現する ものを求めるならば,ペスタロッチの根本的考え方の一つであるu生活が陶冶する〃 う原理であろう.あるいは"生消することによって学ぶ"という近代教育の主張である.. この根本的考え方を学習指導上の実際に即して幾つかの原理に展開して考察したいQ a.学習対象生活直結の原埋. とい.

(8) 84. 田. 浜. 俊. 学習の対象をできるだけ実際の生活の中に求めるという考え方は周ねく認められている。 更に学習の対象がその関係する諸方面の意味づ桝こおいて生活全体の中に如実に生きてい くものであるという積極的見方を養うことが大切であって,このことが関心や動機づけを 強めるものである. der. Eggersdorber. のHeimatprinzip,あるいは. St6cker. の. Prinzip. Lebensnahe共にこの廃理を意味する14)o. b.学習方法学習態度生活直結の原理. 学習の対象とその方法とは不可離である。生汚そのものの中に人のもつ自然の天性のゆ えに,′. 内的直観を通して観察,思考の意味を知り,選んで研究の態度,探究の精神,材料. 収集,資料保存等々の研究的精神を学んでゆく。日常の生酒そのものの中に人間の本性の ゆえに倍と愛とを悟り,人間関係の重要さを学び,人格尊重の精神を学んでゆく。これこ そペスタロッチのDas. Leben. bildetの意味であろう15)0. c.生活リズム学習活動リズムの一致の原理. この原理の意味するところは極めて深く,また極めて重要である。常識的にはまず,学 校や家庭の学習活動の時間的位置づけが日常生活の時間的流れの中にのぞましい関係や位 置をしめるように工夫することであろう。学校・学級生酒の経営上の根本関心事であるの. みならず,学習者の一人一人の日常生酒のリズムについて教師と家庭との間に理解と連絡 が必要であることはいうまでもない。しかしこの原理は形式的時間的のみならず,. a.お. よびb.の原理と相伴なってより板木的,弾力的に考えねばならぬ。理想的にいうならば 生酒のリズム自身が,学習のリズムでなければならないのである。学習指導の根本は実は ここにある。 d.遊戯作業-致化の原理. 遊戯が教育的と考えられるのは,それが最も全我活動をあらわすからであり,作業が教 育的と考えられるのは意志的努力的活動であるからである。共に精神身体的活動であり, 全人的なものとして考えられている。プロジェクト法が教育方法上蓋要祝されたのはキル パトリックの考え方にしたがって目的的全我活動と考えられたからである。もし学習活動. がこの日由にして全我的である遊戯と目的的意志的な作業との両面をもつならば全人的人 格形成に最も有効であることは当然といわねばならない。この意味においてプロジェクト はそのねらいほ正当である。しかるに実際の学習指導の場を見るに,あるいは単なる遊び にとどまるか,あるいは課題作業として労働にとどまることが多いのは遺憾である。もち ろん常識的にも発達段階的にいうて幼児の遊びとしての生活から成人の労働の生活に移行 するものであるから遊戯的学習から作業労働的学習に移行することを段階的にスム-スに 行なうことが指導上の眼目とすべきであるということになるであろう。しかし再考するな らば,子供の仕事をする姿にほ常にこれを遊戯化するところがあると共に,成人にも仕事 が楽しいところもある。学習の経験は遊戯が作業につながり,作業がまた遊戯につながる 形を把挺してはじめて理解できる。作業と遊戯のEitber-Orではなくて,遊戯的学習に も責任,規則をふくみ,その内容に学習対象をとり入れると共に,他方作業ではじまるな らばいかに楽しく全我的にその仕事ができるかということを悟るように指導する要があるo.

(9) 85. 学習指導の原理の基礎づ桝こついての一考察. 学習の経験は実は遊戯と作業との一致化するところに真に教育的経験になるものと考えるo e.人間関係の原理. 学習をめぐる全体場面,生酒それ白身の場において最も重要なるものは人間関係のもつ 雰囲気である,学習の場における人間関係の好条件が学習の効果をあげることについては 最近の研究の成果がこれを示している.いわゆるSocial. Climateの原理として同僚たち. D友好的空気Rapportの原理としての教師と生徒との親密信愛の関係はこの原理を更に 具体的に蓑冒したものといえる。この原理は単に学習の効果に関して意味があるのみなら De-. ず,学習の内容全体に関係して考えなければならない重要な意味をもつものであり,. mocracyに立つ教育の板木課題に関係するものである16'。 Ⅴ. 以上学習指導上の諸原理の位置と意味づけを行なうにあたって,第一次には学習の主体. と対象との直接関係,第二次には個人とその属する社会との関係および人格体の統一性と の関係,第三次には学習の場をつつむ全体の生活の場面という考察上の次面を採用したわ けである。もちろん実際の学習の過程ほかかる次回の分析を超越しかつそのいずれをも含 んで全体として働らいているものであって,いかなる原理も他の原理と相関係し相応じて 働らくべきものである。いわゆる相互補完性として述べたことはその一端にすぎないoこ こにかかる諸原理の位置と意味,他の原理との関係をよく理解し利用する教師乃至指導者 の任務が生れてくるであろう。教師の任務について具体的に論ずることを避けて以上の論. の要約の意味において概観する。 第一次レベルにおける教師の位置は学習する主体と学習の対象との間に媒介する任務を もつということになるであろう。この媒介の役目のみを考える場合,その方法的役割と任 務に関してOtto. WillmannのDidaktikにおける分析は模式的典型的というべきであ. る17,oしかし近代の学習指導の立場からするならば,かかる媒介的役割のほかた主体対象 の直接関係を成立せしめると同時に退いてこれを助けるという立場がなければならず,む. しろこの方が重要であるといわねばならぬo第一次レベルにおける教師の任務は学習主体 の理解であり学習対象の正確な認識と把瞳である。この理解と認識とをもって学習の作用 このため Activity-InteresトMeaning の一本すじが成立することを助けることであるo に学習の環境と条件とを整備調整することであり,学習作用の条件化であるo 第二次レベルにおける教師の任務は学習者の属する社会とその個人との関係の調整をは かり,場面の弾力性を維持すると共に,学習に伴なう人格体の統一性の確保と発展とを工 夫することである。この任務はただちに第三次の分析に直結して考えられねばならないo 第三次レベルにおいて教師の任務は学習の場をめぐる生酒の場や全体の人間関係の雰囲気 の調整がその仕事となるであろう。第二次レベルにおける,個人と社会との関係や人格体 の統一性の保持もまたこの全体生活の中において実をむすぶものであるo. 全体の場における教師指導者の立場はすでに学習指導という観点を更に包摂する教育者 指導者の観点に立つことになる.そしてその任務はデュイ-のいうGuidance,. Direction,.

(10) 86.. 浜. 田. 俊. Controlという槻能をこ応ずる三つの役目のみならず18),一方をこおいてほ窓もる,みまもる という保護的な立場をふくむと共に,子供の健全な成長を心の申からこいねがう宗教的い のりの心もちが生れていなければ本当の教師や指導者の任務ははたし得ないと考える。 註 Didaktik. 1). の科学性についてをま当藷の範囲外である。教授の-顔蘇理をこついてこの存在を疑問 最近の実験的研究から生れる多くの法則の存在は,. ■とする面もあるが,史上多くの原理的発見. 一般的原理の存在について否定的であるとしても,次一般的な実際的指導原理の存在について株 否定できない。この多く原理■的なものに,そのま殊と限界を見出サことをま荒みられねをまならないc 学習の定義については詩論があるが,ここにあげた定義は,昭和31年横浜国立大学付属鎌倉中 学校`学力の構成H給説薪(浜田密書)紅おいての浜田の定義であるo Dewey,. John. 2). Experience. Education. and. 1938.. Chapter. III.. 3)経験学派はLifeExperienceをもって学習経験の原型を求めようとする。例えばPaul Chart. のFIow ing. Complete. of. Activities. 1944,. Life. in. Experience,くCited. W.ーBurton,. Hanna. Guidance. of Learn-. 233・その他)のごとくたしかに一つの道であり,この中から経験学派. p.. 的学習指導原理が導き出されるであろう。しかしながら,生活の内容は常に変化し,学校?教科 は実際的をこ往なお存在するo prOject的学習方式を現在の中学校,高等学校の教科の学習の-磨 的基本原理の基礎とすることも不可能に近いであろうoわれわれはもつと一般的に#-当する実際 にも適用できる原理について考察しなければならない. 4)例えば,教育的経験の本質的出発点をNeedsをこ求めるもの,したがって教育課鍵を青少年の cf. T.. Needsを基礎として構成するものなどを考えられる。. f.翠,蜜た学習の蜜を中心概念とLて構成されている, H. C.. 録の項目等があるo. Morrison,. Practice. Hopkins:. 1928,. in. 1950,. p.. Gestrud. Wie. 201f.,. p.. St6cker:. 7). Karl. 8). Jacques. Eggersdorfer,. W.H.. 10) to. Maritain:. Experience. in the. environment,. ll) 12). E宮gersdorfer: E.L. E.. 14). a.. James:. Thorndike Hilgard:. Eggersdorfer:. Lehrt,. P畠dagogik,. 9. Briefe・. 1906,. 2・ Buck,. Unterrichtsgestaltung,. conception. Jugenbildung. Eggersdorfer:. 1 Kapitel,. hear・ty. and Theories. hearted. A.. of 1950,. Ⅰ・ Gates: of Learning. ibid・ St6cker・.. K・,I. Jugenbildung.. Ⅰ・ James. LI. Mursell.. ibid.. p・. p・. p.. 83f.. 39・. 41・. that. the. unifying. activity. idea. proceeding. i so喝ht. was. in. social. a. act.. Psychology p・. 1943,. purposeful. purposeful. Principles. Jugendbildung. 1938・. 1918・. A4ethod・. 1957,. Crossroads・. Education,. of whole. the The. the. at. and. uProject. ・・・-・・・・・・・,. William. 13). Kinder. Education. Kilpatrick:. found. 1930. 1946.. Neuzeitliche. I)ewey:. John. 9). ihre. Ållgemeine. Teaching,. Successful. School. 202f.. I. F. Herbart:. 6). Secondary. the. 251f.. Pestalozzi:. 5). 218. pp.. /j、・中学校学習緒導要額の目標,拒導要. of Teaching. における五つの型もこの方向にある.価値については,例えば 1950,. Interaction,. 1890,. Vol・. I, p・. 126,. 166f・. Elementary 1948,. p・. Principles 18, `aetion. of. Education. 1929,. p.. tendency'は後者をこよるo. 89..

(11) 87. 学習指導の原理の基礎づ桝こついての一考察 Pestalozzi:. 15). W.. 16). S. Monroe‥. 項,. 745,. p.. の項, 17). Otto. 18). John. Encyclopedia 746.. p.. 848,. p.. Rascher,. Schwanengesang,. (G. Max. Democracy. Study. A. learning. accordance and. to. are. them. Fundamental. General. Principles. dimensions:. thesis. their. as. on. as. The The the. as. and. prlnCiples teacher,s way. of. by the his the are. main. summary.. Methods. Teaching. of. to. aims places. last, given roles. a. the. the. as. of guidance of in prlnCiples of these the educative experience・. or. principles. survey as. situation. the society,. learning. their in. general. learning. between to. teaching. of. meanings・ the. relation relation. the. of. Teaching. of. learning. and. analyzing. 451・. Conception. give. of. p・. HAMADA. prlnCiples. structure. proper. the丘rst,. second, integration;. situation.. thesis. general. the. sonality. goes. so-called. This. Teachingの. of. 1916・. the. is made. approach. learning;. many. activities・ the with. give. Tbe. so. 1923,. Education. Shunkichi. There. Methods. Ⅲarris編1960,. als Bildungslehre and. on. 1950,. Wingo)参照。. Didaktik. Willmann‥ Dewey:. of. Research. (L.∫. Stiles)およびC・W・. 849. p.. 315f・. Ⅹ・ p・. Educational. places. these. three. experience learⅢer. and. and as. situation proper and levels are. through. situation the. person in and. object ever. three. content. attaining the. with. meanings discussed. or. as. at. whole. the. of per-. life. analysis. the end. of the.

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