• 検索結果がありません。

生体の自然な変化に伴なう状態依存学習

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "生体の自然な変化に伴なう状態依存学習"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)生体の自然な変化に伴なう状態依存学習 幸. 田. 福. State-dependentLe&rning. 男*. Accompanying. Changes. ”Natural”. in Organism. Sachio. FuKt)DA*. Stl班淑ARY. Althoughthe on. alternation of dependent learning ganism. The. learning (SDL) studies have of state-dependent in recent ten have drugs, years several studies ``natural''cbanges in the phenomena accompanying. majority state. by. been. focused. found state. state-. of. or・. following three problems; (1) end10Crinological of this articles is to describe SDL ACTH SDL biological SOL in human・ (3) rhythm and system, (2) especially and SDL including Finally discussion deals with tounderstand phenomena approaches basic mechanism. aim. は. ある生理的状態下(State. じ. め. に. A)で習得された学習が,それとは異なる生理的状態下. (state B)へ転移しない現象を"学習の分離(dissociation)''と呼び,もとの生理的状態 下(State. A)に戻される、と,以前習得された学習が再び生起(転移)する現象を``学習の. 状態依存性(State. dependency). ”あるいは"状態依存学習(State・dependent. 以下SDLと略す)''と呼ぶ(Overton, John. learning:. 1964)。. (1967)によれば,学習の分離の実験は,. La血1ey. (1917)まで潮ることになる。. Lashleyの実験そのものは,学習に及ぼす薬物の効果を見る為に,ラットにストリキニン (strychinine)とカフェイン(Ca庁eine)を投与したものである。その際,習得時にのみ薬 物を投与した為,再学習時の薬物投与群の成績がコントロール群(習得時にも再学習時に Lashley自身は,この も薬物は投与されない)よりも劣るという一見奇妙な結果を得た. 結果を薬物による"学習の分離''として解釈することはしなかったが,先の定義に従うなら 描, "学習の分離”そのものである。そして20年後の1937年,. Girden&Cullerほクラー. レ(Curare)麻酔を使い,本格的な分離あるいはSDLの研究に着手した。その後は生理 (Carson, 1957)や飢餓動因(Otis, 1957)が用いられる事 的状態を変える要因としてECS *心理学教室(°ept.. of. Psychology).

(2) 52. 福. 幸. 田. 男. ほあったにしても,研究の主淀は薬物によるSDLであり,薬物作用との関連でこの現象 の解明がほかられてきたと言っても言いすぎでキまない。また,この種の研究に,心理学者. のみならず,多くの薬理学老の歯加が見られるのも,この間の事情を物語るものであるo SDLの研究は薬物にのみ限定されるものではない。福田. しかし,上述の定義に従えば, (1978, 1979)ほその論文の中で,. SDL研究の課題として(i)実験の標準化を推進するこ. とと(ii)薬物によるSDLの実験はあくまでも一つの現象解明のモデルにすぎないこと から,より自然な状態でのSDLを考えて行かねばならないことを主張している。 ``思考の異常'',"幻覚'', "記憶喪. 本来,分離とか状態依存性という術語は,臨床的には,. 失'', "多重人格''と言った現象について非選択的に用いられてきたものである(Janet,. 1907)。そういう意味でも,生体の生理的変動の範囲内でしかも,自然の変動困を対象と してこの種の現象をとらえることが必要となってくる。 良 Wansley,. 最近, SDLに関して,薬物のみならず,バイオリズム(Holloway a,. b),睡眠サイクル(Evan革,. 1973. 1977)といった,よ. 1972),操-うつの周期(Weingartner,. り自然な生理的変動を取り上げる論文が増えてきている。また,人におけるSDLの研究 もこうした流れとあいまって増加の傾向を見せている。 本論文は,こうした最近の研究を取り上げ,人をも含めてより自然な形でおこるSDL について従来との比較検討をなすものである。 1.. SDLの実験デザイン SDLの研究の際に用いられる実験デザ. 以下の実験について,その理解を助ける意味で,. インを衰1に示すoこの種のデザインほ2×2のデザインと呼ばれるもので,最も一般的 なものである。表中のA,. Bほ生体のある生理的状態を示すものである。個々の実験によ ●. ●. ●. り,このA,Bほ何らかの操作(薬物, ●. ●. ●. ECS等)によって作りだされたものかあるいはま ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. REM睡眠-non. た,自然の生理的変動(醍-うつ,. ■. ●. ●. ●. REM睡眠等)に対応するものであ. る。一例として,薬物を使う際の実験デザインを考えてみると,表2に示されるようにな る。ここでA,. Bは薬物を投与した時としない時とに対応する。ただし,投与しない条件. に代えて,作用の異なる薬物を使用しても,まったく問題ほない。 Table. 1.. The. Learning. 2×2. state. Design. Relearning. (Acquisition). A,. B:. used. in. SDL. state. (Retention). Table Acquisition. ND. A. ND. B. ND. ら. A. D. B. B. D. Transfer. + 0. D. ND-nondrugged; fer occurred; curred.. of drug. Retentiontest state. A. state.. Case. State. A. Physiological. 2.. 0. ND D. +. D-drugged; 0-little. or. no. + -trans・. transfer. oc-.

(3) 53. 生体の自然な変化に伴なう状態依存学習. SDLの生起とは,同一の状態間で転移は見られるものの・異な. sDLの定義に従えば,. る状態間でほ転移が見られない場合であるoそれを,まとめたものが表2の右であるoし ●. ●. ●. ●. かし,使用する薬物軒こよってほ必ずしもこのような結果を示すとは限らないo非対称性の sDLがそれにあたる.一般にほ,学習時に薬物を投与されず,再学習(再生)時に薬物を 投与される場合に転移が見られ,逆の場合に転移がない非対称性が多いo すでに指摘した掛こ,以下で述べる実験デザインについても,基本的には表1に従うも のとして考えて行桝まよい。. 2.自然な変化に伴うSLD-ホルモンを中心忙して 薬物によるSDLは,ある意味でほ生体内において通常おこりえない生理的変化を人工 SDLという現象を確実にひきおこ 的にひきおこした結果である.確かに薬物の使用は, し,それによって現象を取り扱いやすくしている事は否定できない.しかし,一方で・あ まりにも自然の生体内のでき事とかけ離れ,通常の行動レベル-あまりフィードバックさ れない危険性も含んでいるoそこで,より自然の状態下に近い例を取り上帆その間隙を 埋めることが必要となってくる。. 薬物によるSDL研究の中で,この橋渡しとなるものの一つがホルモンによるものであ る。生体外から投与され,しかもその量が通常の量を上回っていたとしても,ホルモンは 本来,生体の中で産出される物質であり,その量的変動とSDLとの関係を示すことほ大 きな意義がある。同様の考えに基づくなら,各種伝達物質も当然考察の対象となるが,こ こでほ詳しく論じない。 sDL研究の中で最初にホルモンを用いたのほStevart等(1967)である。彼らは,多量の SDLの存在を 性ホルモン(proge・SterOne)を用い,従来からの実験デザインにのっとり, &. 報告した。同様にしてPappas. Gray. さらにGray. son)を用いSDLを報告しているo. (1975)は,副腎皮質刺激ホルモン. ACTH)を用い非対称性のSDLを,同じく桜井. ねormon:. (adrenocorticotropbic. (1971)ほ合成糖質コルチコイド(dexametha・. (1975)もACTⅠ‡で対称性のSDLを報告している。 これらの実験は,その量的な問題はあるにしても,生体内の通常のホルモンレベルの 変動によっても SDLが起こりうる可能性を示唆した意味で大きな貢献をしている。 ACTHは生体がストレスにさらされた時に分駆されるホルモンであり,外的な事象とも 極めて密接に関連して変動する特性を有していることから特に注目に値するものである。′ spear等(1971)の実験ほ,ホルモンをこよるSDLをより現実レベルに近づけたという意 ACTHによる 味で特筆されるものであるo彼等の実験は,記憶におけるKamin効果を, ``不完全な回避学習条件での Kamin効果とほ, sDLで解釈しようとするものであった。 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ■. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 再生ほ,学習一再生の時間の単純減少関数ではなく,学習数時間後が最も惑い''という現 象であるo一般に回避学習場面むこおいて,被験体ほ何度となく電気ショックを愛吟,強い ストレス状態にある。ストレス下でほ,下垂体からのACTHの放出がなされる.それは 丁度, ACTfIを投与されて学習しているのと同じ状態となる.学習後しばらくたつと,ち.

(4) 54. 福. 幸. 田. 男. はや被験体ほストレスを感じず・ ACT王‡の放出はおさえられる。もちろん,副腎皮質ホル モンからの負のフィードバックも受ける.こうしてACTHのレベルは学習時と比較して. 低下した状態になるo24時間後・・再びACTEは元の状態の近くにまで戻ってくる。この 様なACTHの時間的変動が再生率と関係し, るoまさしくSDLであり,. Kamin効果としてとらえられることにな. Gray. (1975),桜井(1975)め実験結果とも一致するoこうし. た考え方ほ・他の行動的変化を考える際にも用いられているo Kelsey (1975)ほ,損傷 による行動の変化がその損傷部位の機能の消失として説明されるのではなく,その部位が 果たしている内分泌系への関与の変化を介するSDLと考えることもできると主張してい る。. これらの実験ほ・様々な行動上の変化にホルモンが関与し,そのホルモンによるSDL として解釈できる可能性を示したものである。 8.バイオt)ズムと. SDL. ホルモンとSDLとの関係から多くの示唆を受けたが,さらに自然な状態下でのSDL へと場面を限定して行く。ここでは2つの代表的な研究を取り上帆その意味を検討して みる。. Stroebelの研究. a.. Stroebel. (1967)は・ラットを12時間の明暗サイクルの下で飼育した後,条件情動反応. (CER)の訓練を行い次の様な結果を得た。 (i)ある特定の時刻(・ex・. 15時)に訓練したラットほ,後日それと同時刻に消去手続を 課せられる際に最も大きな消去抵抗を示す。 (ii) CERの訓練は,ある特定の時刻内で行った方が,時間間隔をあ仇様々な時亥蛇. 行うよりも学習効果が上がる。, この様なことはラットのみならずサルにも見られるが,何故におこるかについてほ,さし たる検討ほなされなかったoただ少くとも・その時々の生体の状態がこれらに関与してい るとの推軌ま成り立つoそしてflolloway. 良 Wansley. (1973. a,. b)がこの解答を与えて. くれた。 b.. Ⅱolloway、& Holloway&Wansley. Wan畠1ey. ¢東浜. (1973a)はStroebelと同じように,実験の2週間前から,ラッ. トを12時間の明瞭サイg・ルに置いた。課題は-試行受動的回避学習であった。そして, 直後再生を含めJ 6時間おきのそれぞれ独立した群を構成し,再生テストを課したo結果 24・ 48, 72時間帯で最も良い成績が得られ,は国1に示される。直後はもちろんのこと・ 次いでI2・ 36, 60時間群となっている。これらから,把持の量は,訓練時からの時間の単. 純減少関数ではない土とが判明し,24時間を単位とした何らかの時間的な,言い換える なら周期性i?変化が関与していることが考えられる. 生体が24時間を周期とするいわゆるサ∵カディアンリズムを有していることはよく知 られている。またラットが12時間の明瞭サイクルにおかれたことも影響していると考え.

(5) 55. 生体の自然な変化に伴なう状態依存学習 300. 1E. 誓1S. .雪1 3. fMediqR. 200. 獣号盲. U. くj. 拐14 Z (⊃ U. ど ○ー 一. '=.. 生!辿埋望聖Cor71binedG(○岬S. ∽. >ヽ. ○ C lp I. 声10O. <. 皇. F$l. TESTING:. TTl. 12. COND汀10bI. i:::,3:I--:A:-:-:-1=-I:. コこ. l ∽. 望. O. a. ′. 10. ○/. 山. B. STL. Criter;o. n. 6. see. (⊃. O. BOO. 重言;;. .0,,,I. 葛 め. r<. 量暑20. O. 12. Ilr. 6. )5 24. rnin hT. α:. ●●. .どど40. O. 8. 隻. 各 t} ?. 4. -. ■〉. 0. 8.. 1?. 6. 1ほ. 柑■之4. ヰ8. 303642. 54. 60. 66. Median. 1.. testing. (top) and the. jects meeting at. (STL). step・throughlatencies sessions. testing. session. paired cessive indicated: are. (from. 300. (bottom)・. &. Fig.. STL. criterion Signi丘cant suc・. for each comparisons *b<.05: **b<.01.. Ⅲo11oway. at. of sllb・. percentages. second. Wansley,. -. 1 800. 2100. -. 24OO. Tll専陀OF S亡SStON. INTERVAし(HR). TRAINING-TESTING. 1 500. 09OO1 200. o3OO_ o600. 72. mlfl. Fig.. 6h(. ト■. 盟. ■●l■. ○. ・tI. ▲. ヒ:. 100. 1973. measure. 2.. One・way. ining ditioned. time. a). and. (trials to CAR). active. a畠a. and. testing four. performance con・. consectltive responses-. avoidance function training. of testing. (N-10/subgroup・)I 1ovay. tra-. avoidance. 良 Wansley,. training interval Hol・. (from b)・. 1973. られる.ただこういう一つのリズムを想定するにしても,得られた結果が,生体のバイオ リズムとパフォーマンスの直接的な関係なのか,あるいほまた,バイオリズムによる生体 の生理的状態の変化の結果としてのSDL.の生起を示しているのかほ判明しないD Ho∼11oway. &Wansley. (1973. b)の第2の実験は,その間に答えるものであった.この. 実験でほ, one・wayの能動的回避学習も用いられ,しかも1日の色々な時間帯(3:001′5:00-18:00, 6: 00, 9: 00-12:00, 21':00-24:00)で訓練が行われた。サーカディア 6つ. ンリズムを考えると;それぞれ異なる生理由状態下で学習をした事になる。その後・. の時間間隔でテストが課された。結果ほ甲2に示されるごとくであるoこの固から・学 習の把持は,訓練時の生体の生理的状態がどうであれ,とをこかくそれと同じ状態であれば 最も良い事が示された。まさしく,. SDLを示すものである。. 生体のバイオリズムとSDLとの間にどの様なメカニズムが介在するかほ別にしても,. とにかく何らかの変動が行動のレベルの変化と関与している事,そしてその変動が自然な 変動の枠内にあることが判明したのである。 また,こうした事実ほ,学習とか記憶とかの舘域のみならず,最近の時間薬理学 (chronopharmacology)等の研究にも示唆を与えるものである.. 4.人にお. け るSDL. 今まで述べてきた事ほ,薬物投与によるSDLよりもむしろ自然の状態変化に伴なう sDLに関してであったが,その対象となった被験体は動物であった。実験的捜作を特に.

(6) 宿. 必要としない条件の導入によって,. 3.5. その対象も当然人にまで及ぶこと. 告. になる。. 3.0. llJ. 団. 人におけるSDLの研究ほ,動. H妙暮nqery甘or由. 物のそれに比して極めic新しいも. 口 LoyI )TTtaPry Vrods. のと言わざるを得ない。その中で の二つの流れを,時代をおって述 dE) 一lJ dB. べて行くことにする。. 至 Z. I.O. a.薬物によるSDL SDLが薬物を中心として研究 SO8ER. されてきた過程の中で,遅かれ早 Fig・. を使うにしても,実験デザインは. Words. mory. but. not. 肘TOXK:ATED. oz. words. of. were. oz. of 6血rolater,. sober. a. cocktail. of. 1901prOOf. alcobol.. either. intoxicated・. or. 6. when. (from. sub・ Weing・. etal., 1976). artner. ファナを用い,. me・. drinking. after. COnSuming. 3. tested. vas. jects. 20 min. Or. Juice. COntaining. Recall. Eich等. long・term. in immediate available learned 15 higb・and 15 low.. either. orange. JulCe. るのは言うまでもない。. from. retrieved. previollSly. Subjects. imagery. 用される薬物や課題に制限が加わ. (1975)はマリ. 3・. memory・. 表1と同じものである。ただ,使. Bustamant等(1970),. 9D8ER. よ附OXLiJT1.Txi;;.ED -' ̄'ま:-. かれ,人にその対象を求めたのは 自然の洗れでもあった。たとえ人. [NTOXICATED. Weingartner等(1976)はア′†コ ールを用い,主として記憶の再生 におけるSDLの生起を求めたの. 14. tA Z. ● \. 望 ><. \. 12. がその例にあたる。図3ほその結 果の一部を示しているoアルコー. ●. \. O. O. ▲. 望10 岩. ▲. \. J). 8. \. ●. ⊃ 凸. ルの摂取の有無を条件として,義 I.のデザインの様な4群が構成さ れている。ここでは,イメージし. (ど l▲l. やすい語より,しにくい語にSDL. 妻. 監. ●. 6. \ \. dE. ;. i. 4. \. 呈. \. 2. ▲. ヽ S. Fig・. ●. \. が見られることが示されているが, 4・. The. 同様の事は,手がや、りを与えた再. duced. 生よりも自由再生の方がSDLが. in. 見られやすいとの結果にも見られ. in mood de丘ned. ている.さらに一般に,人におけ. ▲. \. ○. IO. 15. relation associations. clinicalmood. artner. and state・. alo喝tbe Composite ei all,. 20. between. 25. i--d。. the number the. of repro・. absolute. Abscissa. theoretically mania. 30. scale.. change. shows and. change. emprically. (from. Weing.. 1977). る記憶に関しては,再生にのみ. SDLが見られ,再認でほ認められないことも報告されているoこれらの事実ほ人におけ るSDLを考える-つのkeyともなっている. こうした方向とほ違ったアプローチがなされていシる事も指摘されねばならないoそれ.

(7) 57. 生体の自然な変化に伴なう状態依存学習. 紘,臨床場面から起きた問題である。臨床象特に精神科医ほ治療の為に多くの薬を患者 に与える.そして時には,その薬の影響下で様々な処置を取る。その中には,行動療法的 な立場も入ってくる.一般に中村作用薬はSDLをひきおこすとして報告されている。人 においても同様の事が起こるとするならば,休薬によって,問題となる行動の変化が元の もくあみとなってしまう。従って,どの様な薬物がヒトでSDLをひきおこしうるのかに っいて当然関心が集まってくる事になる。またSDLをひきおこす薬物ほ依存性をもつこ 1973)。 とが多いので,その関係に注目した研究も取り上げられている(Overtor このようにして最初ほ,人とSDLとの関係は薬物を介して取り上げられたが,ここで も,より自然の状態の変化とSDLとに関心は移ってきているo b.薬物によらないSDI・. 3で述べた様に,外部からの操作によらずしても,その生理的状態が変化することは, 人においても当然考えられるo従って・その下でのSDLの存在も当然考えられてしかる べきであるoサーカディアンリズムが人においても認められてはいるが・研究の対象とな Joy&Prinz ったのほその一番であるo REM睡眠-non における睡眠に注目し,. (1969)はラットであったが,. Evans. (1972)ほ人. REM睡眠・睡眠一覚醒といった状態の変化を. 対象としている.また,人の情緒とか気分の変化も対象となる.. Weingartrler等(1977). 紘,気分の変動として最も大きな動きを示す"昧-うつ''状態を取り上げているoこの場 ●. ●. ●. ●. 合でも,両極端の相だけでなく,操一正常,正常-うつも又十分考察の対象となりうるo 彼らの実験結果の一部が図4に示される.課題としては・語の記憶が用いられているo. ●. ●. m。。dの変化が小さい程再生数が大きい負の相関関係からして・ここでも,昧とかうつと にかかわらず,学習時と再生時の状態が同じであれば把持は良く,異なっていれば把持が 悪くなるというSDLを示しているo 最近でほ,さらに,断掛こよる気分の晶揚とか・成功一失敗体験による気分の変化をも SDLの存在が報告されているoともすれば・何の気なしに見過していた・行動の. 用いて,. 変化も,実はこうした解釈もされうるのだという新しい見方を与えてくれた様にも思えるo 人においても,その生理的状態の変化と行動との関連が増々問われてくる事になる。. 本論文でほ,. SDLの定義から発し,主として自然に近い状態の変化とSDLとを言及し. てきたo冒頭で述J<た様に,薬物を用いた実験はSDLの解明にあたって,現時点で最も 強力な方法であることは疑いもない事実である。従って,その使い方さえ誤らなければ・ 我々に多くの情報をもたらしてくれる事になる。しかしその一方で,得られた情報が極め て特殊であって,通常の行動レベルをカバーしえないものであれば,その貢献度は低いも のとなる.本論文で,あえて内分泌系を取り上げたのも,そうした危具のあらわれであ る。ホルモンのみならず,今回は詳しくは触れなかったが,伝達物質もまた,多くの情報 をもたらしてくれるように思われる。. 今回の論文の中では,より自然な形でのSDLを中心に取り上げようとしたため・とも.

(8) 58. 福. 幸. 田. 男. すれば,あれもSDLで,これもSDLで説明しうるという事になりがちであった。色々な. 現象がSDLとして取り償えるという指摘も大切ではあるが,究痩的には,その基礎を形 づくるメカニズムにたどりつかねば意味がないのである。たとえば,バイオリズムとSDL の関係ほ,現象的には大変おもしろいにしても,もう一歩突っ込んだ研究が不可欠である. バイオリズムとしての生理的変動がある軒こしても, SDLと真に関係しているものほ何で あるのか,もしそれがホルモンの様なものであったとしても,ホルモンのどのような作用. が最終的にSDLの生起に関係するのかを問わねばならないo を使ったGray. こうした関係は,ホルモン. (1975)等の研究にも相通じるものである・。そうした意味では,より中枢 良 Bliss,. 的なメカニズムを追う報告(Modrow. 1979)に今後注目して行きたい。. 現象としてのSDLを,今までより広汎に考えて行く一方で,常にそのメカニズムを追 い続けなければ,実りあるものとはなりえない事をもう一度肝に銘じておかねばならない。 引 Bustamante, ing. J・ A・, Jorden,. in human・. Carson,. R・. C・:. The. comp・. H・, in the. cues. of retrieval 408-417.. M・,. Behav.,. 献. Gonzalez,. 1970,. S,. A・. Stillman,. R・. retention. a. of. lnstla, A.・.. and. State. In. Fromm,. E・. Aldin・Atberton,. on. shock. C・ and. learned. a. J・ C・: State・dependent. Gillin,. list・ J・ Verb・. categorized. Learn.. J.. response.. avoidance. accessibility Behav., 1975, 14,. for exploring and sleep: Techniques cognitive activity during sleep. Shor, Hypnosis Research developments. R・ E・ Chicago. (Eds・) and and 1972, 43-48.. 福田幸男: 学習の分離とその理論的背景.東京教育大学教育学部紀要, 1978, 福田幸男: 薬物弁別法による学習の分離機構の分析,横浜国立大学教育紀要, Girden,. E・ A・: and Cdler, Psychol., 1937, 23,. E.. COmp・. P.:. ed HollowayI. as. after Holloway,. F・. A・. and retention 4, 809-814.. Lashley, 1917,. 1979,. striate. 19, 160-170. in dogs.. muscle. J・ E・:. Role. with septa1 K・ S・: The 1,. R・. avoidance. major. A・:. a. Multiple. learning・. effect. conditioned. Biol・,. of sleep. 1973,. of strychinine. and. altering. at. intervals. intervals. periodic. 2,ト14. after. (b).. rat・. in. system. mediating 1975, 88,. Psychol” ca#eine. environments in the. response. avoidance. of pituitary・adrenocortical 1esions・ J・ comp・ physiol. effect. deficits. retention. Behav・. interpret・. 1907, New York, Macmillan. of hysteria. 1967, New York, Academic Press.. symptoms. of memory. P・ N・: The of. upon. rate. the. upon. Physiol・. 1969,. behavior. avoidance 271-280.. of learning・. acquisi・. Behav・,. of. Psychobiology,. 140-170.. H. E・ and Bliss, D・ K・: Electrophysiological Psy血o1., 1979, 7, 259-262.. correlates. of state-dependent. learning・. P血ysiol. Ot、is, L・ S・:. J.. 26ト274.. Wansley,. and. tion. rats. in curarized. responses. hormone on in rats conditioned avoidance of adrenocorticotropic learning・ J・ comp. Psychol., 1975, 88, 28l-284. state・dependent physiol. F・ A・ and R・ A・; Multipbasic Wan$1ey, de丘cits at periodic retention learning・ Science, 1973, 1帥, 208-210 (a). passive avoidance. John, EI R・: Mechanisms Joy; R・ M・ and Prinz,. Kelsey,. Conditioned. 24, 85-92.. E#ect. active and passive Janet, P・ M・ F・: The. Modrow,. learn.. F・ J・: Hypnosis. Evans,. Gray,. dependent. 793-796.. effect of electroconvulsive Psyehol., 1957, SO, 125-129.. physiol. J・ E・, Weingartner,. Eich,. A・, Vila,. Physiol.. 文. 用. I)five. conditioning;. fear. as. a. response. to. biogenic. drive. stimuli. previously. asso・.

(9) 59. 生体の自然な変化に伴なう状態依存学習 ciated overton,. Psychol・I. comp・. Freedman,. papps,. or. 1964,. A.. Ⅴ・ H・ B・ A・. Behav.,. M.. Ph・. D・. Thesis,. Univ・. learning. dissociated. of Chicago・ with. produced. N・. J・. In Fisher, S. and by addicting drugs・ produced D・ treatment・ 1973・ Washington・ Origin addiction; and. (Eds.), Opiate. Sons, 61-75・ and Cue value of dexamethason and Gray'P・: 1971, 6, 127-130.. Riley'E・. S・ B・ and failure retrieval. J., Krebs, Nature,. steroids. C・ F.: stroebel, comparative weingartner,. pentobarbital・. Winston. E・, Klein,. Memory stewart,. Illinois・. learning. for fear・motivat-ed・behavior・. H・,. W・. H・. 1967,. Behavioral. J. abnorm・. rat・. The. Eamin. J・ comp・曲ysioI. Eaczender,. and 216,. E・:. eぽects. of circadian 1967, New. State・dependent. learning. producedwith. J・ E・ and J・ exp・. H・ F・ (Eds・) In Zubin, Z・ and Eunt・ rhythms・ Stratton, York・ Gnlne 158-172・ and D・ L・: Encoding・imagery Murphy; speciAcity. learning・ A・. learning'': effect as ``state・dependent 74・ 4161425・ Psyohol・, 1971,. 1223-1224・. psychopathology・ Adefris, W・, Eich,. in alcohol state・dependent H・, Miller, H・ weingartner, associations.. in the. P・:. Physiol・. 1975・束京教育大学. a,井芳雄:ラットの回避行動の状態依存学習匠おけるACTHの働きiこついて, 教育学部卒業論文. spear,. Chicago・. S7, 3-21・. physiol・ D・ A・: State・dependent. overton, C.,. 1957,. with painful stimulation・ D・ A・: State・dependent. and Murpby'D・ Psychol・, 1977,. Psychol・, L・:. 86,. Mood. 276-284・. 1976,. 2,. 83-87・. state・dependent. retrieval. of verval.

(10)

Fig. 1. Median step・throughlatencies (STL) at

参照

関連したドキュメント

それゆえ、この条件下では光学的性質はもっぱら媒質の誘電率で決まる。ここではこのよ

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

(( .  entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、

は,医師による生命に対する犯罪が問題である。医師の職責から派生する このような関係は,それ自体としては

ぎり︑第三文の効力について疑問を唱えるものは見当たらないのは︑実質的には右のような理由によるものと思われ

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

神はこのように隠れておられるので、神は隠 れていると言わない宗教はどれも正しくな