いきいき栄養学講座のダイエッNよ骨格筋減少を抑えて減量できる、
中高年肥満女性にとって適切なダイエット方法である。
西村才右未,梅崎絹恵,武田陽,松井朋美,
鈴木秋子,尾崎悦子,増村美佐子,牛尾有希,
三浦あゆみ,小西すず,鈴木一永
緒言
適正な体重を目指して減量するためには、たんぱく質の必要十分な摂取と運 動の糾鮖涜により体内のたんは゜く質(主に骨格筋量)を保持しながら、過剰に蓄積した体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)を減らす必要がある上心。
栄養クリニックでは、1990年から「いきいき栄養学講座」(以下、講座という) を開催し、肥満又は肥満傾向にある女性を対象に、バランス型紙(図1)(以下、 型紙という)を用いて適正な体重へのコントロールを目指してきた。先行研究 f-、マーーーー'ーー也食轟jE^ユノ^^無ξ、1^j^珊^^1汽、1
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1女5点{轟偽kC翁爺、3立芽15女令之M妻詑" 図1 バランス型紙では、摂取したたんぱく系食品の品目数が、型紙に明示されている牛乳、チー ズ、卵、魚、肉、豆腐のうち、 1日に6品目全てが揃っていた者の平均減量率 は10.9%、 5 5.9品目/日であった者は8.8%、 4 4.9品目/日であった者 は5.9%、 4品目/日未満であった者は4.9%であり、たんぱく系食品の品目数
が限りなく6品Π/日に近いほど減量率が高かったことが報告されている5)。
また、食べることのみならず、歩くことが減量に及ぼす影郷については、 1日 10000歩 15000歩であった場合に、型紙による食事療法と併せて減量率が高かったことも報告されてぃる5)。
これらの研究においては、体重・体脂肪の減少とたんぱく系食品の摂取状況 との関係や、運動(歩数)と体重減少の関係については述べられている。しか しながら、講座におけるダイエットによる骨格筋量の変化と減量との関係につ いての研究は未だなされていない。減量が体脂肪の減少により達成されたもの であれぱ理想的であるが、もしも講座での体重の減少に、体脂肪の減少ではな く、筋肉量の減少による体重減少を来した者が多く含まれていたとすれば、適切なダイェットが行われたとは言えない田。
本研究では、講座受講によりダイエットを行った者の骨格筋量の変化を測定 して、栄養クリニックの勧める型紙を用いたダイエットが中高年女性にとって 適切な方法と言えるかどうか検討した。対象と方法
本研究の対象は、 2005年4月から2008年9月までに講座を受講した中高年肥 満女性158名のうち、少なくとも初回と 6 ケ月後の5 回目(最終回)の講座に 出席し、骨'格筋量、体重、体脂肪量の測定を行った者で、かつ4回目から5 回 目の講座の間の任意の3日分の食事記録(図2)と、同期問の毎日の歩数記録 (図 3)を提出した99名とした。 講座では、栄養クリニックのオリジナル食事指導ツールである型紙(図1)を使用した7)。講座では、型紙を用いてたんぱく系食品を毎食2品目、 1日3
食の食事で引'6品目(牛乳、チーズ、卵、魚、肉、豆腐がそれぞれ1点ずつと なるように)を摂取するよう指導した。また受講者には、講座各回の間の任意 の3日分の食事記録を提出させた(図2)。本研究ではその中から4回目と5 回目の講座の冏の3日分の食事記録を用い、 3日間に、たんぱく系食品6品目 (牛乳、チーズ、卵、魚、肉、豆リ勵中、 1日あたり何品目摂取していたか(1 日あたりのたんぱく系食品摂取数(個/日))を調査した。 卑.ノ月 雌盧乳を ●玉,て イE●1、 貞員L{ 尋宝生'号 1
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] 朝食ι 1).頃 Φ 為 .1,ι',1 1.'゛"{畔' たん「上く嘉 壷昆'ι,量 ゛き' コ にぱ紺 星物 1、1コ ].、.1.'」 '11.,舟 τ,' 昼食 f ル)閥 ' 1t.・ 〒艶 盧.'貞^L0を口.」」号 イ,」,ι「 」,、" . ,乳,ー'.旦画夏直。、 0 0 。。ゞ、、
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会社バイオベース、東京)を用いて測定した。測定は、朝食後の状態で、講座 名回の講義開始前に実施した。初回と5 回目の値から、講座期間(6ケ月間) の骨格筋減少量・骨格筋減少率、体重減少量・体重減少率、体脂肪減少量・体 脂肪減少率を算出した。骨格筋減少率が0又は負の値であった者(骨格筋減少 率室 0%)は、骨格筋を減らすことなく減量できた者であり、このような集団 を1群とした。さらに、骨格筋減少率が正の値であった者(骨格筋減少率> 0%)、 器1 食事記録(例) 0 → 」 T., 日付 '.d 叫'樫●lf',.1.し '、''"、","ー..ー" 記入例 エ゛1キ革両、21'●゛]●1 1訂 ' " ゛霊 q木 1如1■ 0 0 ZI ●日のおや0は?"
土 お室んじ陸3,看 お纂 22 1..1U 丑 23 ,,j" 月 2¥ J¥h' 火 25 9"フ ,】く 0 1゛"1 6 達(のスーバーまで穎強うて惨いた 木 27 キ、主T,キ 1● 1.'、/J どんむ1日でしたか? 金 29 ',ルυ.、H身 ι,」,' 土, 29 ノ屯3?1 1予,1'、 日 30 亀1キ.,、 /2 三念00 ..t 動゛,゛T.. lk, ネ嘩.、"1 貞 ル" 1 X t,ヨ.乍;、冨、,f 火 ん'b叶," 1.r゛ 2 」ユ?亨r 0 ホ 3 ?'フ,,レk l{田 ノ,'" 、、電 1 _宅?う゜ 木 'ー.T 、,4里 ノ」212 ル3・1 畜尭晤1 1 ゛写皐 111 貞 量 Φ● ..すなわちダイエットにより骨'格餅功ゞ減少してしまった者について、減少量が多 かった者と少なかった者の間にあると考えられる原因因子を検討するため、骨 格筋減少率>0%であった名における骨格筋減少率の中央価を求め、 0%より 大きく中央値未満であった者をⅡ群、中央値以上であった者をⅢ群に分類した。
なお、 2回目に受講生全員に歩数計を配布し1日 1万歩歩くことを勧めた勘。
受講者には毎日の歩数を記録し提出させた(図3)。その中から4 回目 5 回 目の講座の問(おおよそ2ケ月問)の歩数を合計し、その期問の日数で割った 値を、歩数(歩/田とした。 年齢、 1日あたりのたんぱく系食品摂取数、歩数について、 1・Ⅱ・Ⅲ群の差 異の有無を検討した。体重・体脂肪量については、各群における初回の値と5 回目の値の変化の有無を検討するとともに、初回と5回目の値の各群問の比較、 及び6力月問のそれぞれの減少量・減少率についての比較を行った。さらに、 各群の体重減少量を100%とした時の、 6力月問の骨格筋減少量の割合(=骨 格筋減少量/体重減少量)×100%)と体脂肪減少呈の割合(=(体脂肪減少 量/体重減少量)×100%)を算出し、 1・Ⅱ・Ⅲ群闇の差異について検討した。結果
対象者は99名であった。 1群(骨格筋減少率' 0%)に分類された者は18名 であり、その骨'格筋減少率は一1.1士0.8%(-2.5 0%)であった。ここで、 1群(18名)を除く81名の骨格筋量減少率は0.4 10.フ%であり、その中央値 は4.05%であった。従ってⅡ群・Ⅲ群の分割は骨格力錺咸少率の中央値4.05%を 用いて行い、Ⅱ群2.6土1.1%(0%く骨'格筋減少率く4.05%) 41名、Ⅲ群6.2 土1.5%(4.05%室骨オ各筋減少率) 40名となった(表 1)。 表1に示したように3群の初回の骨・格筋量は同等であった。 3群中Ⅲ群のみ、 5回目の骨格筋量は初回に比べて有意に減少していた。また、初回から5回目 にかけての骨・格筋減少量・骨'格ぢ筋咸少率は、いずれもⅢ群→Π群→1群の順に 有意に小さかった。骨格筋 初回(kg) 5 回目(kg) 減少量(kg) 減少率(%) 表1 1・Ⅱ・Ⅲ群の骨格筋 表2 に示したように、 1・Ⅱ・Ⅲ群の年齢、 1日あたりのたんぱく系食品摂取 数、歩数は同等であった。初回と5回目の体重には 1・Ⅱ・Ⅲ群問で統計学的有 意差を認めなかった。また、初回から5回目にかけて有意な体重減少を認めた のはⅡ群のみであったが、体重減少量・体重減少率は、いずれも1・Ⅱ群がⅢ群 に比べて有意に小さかった。体重同様に初回と5回目の体脂肪量には1・Ⅱ・Ⅲ 21.8士4 22.1土4 -0.3土0 -1,1 士 0 1群 3 4 C) 2励 8扮 6 22.8士3.4 22.2土3.4b) 0.6土0.3b) 2.6士1.1 Ⅱ群 VS 表2 群別の年齢・1日あたりのたんは゜く系食品摂取数'歩数・体重・体脂肪 骨格筋量減少率別 21.8士2,9 20,4士2.70) 1.3土0.4 人数(人) 年齢(歳) 1日あたりのたんぱく 系食品.摂取数(個/田 Ⅲ群 VS VS Ⅲ群初回 Pく0.05 VS Ⅲ群 P く0.05 VS Ⅱ群 P く0.05 体重 歩数(歩) 初回(kg) 5 回目(kg) 減少量(kg) 減少率(%) 1群 18 57土 10 体脂肪 5.0土1.2 9822土3667 68.0土13.5 63.2土12.フ 4.8土2.6b) フ.0土3.6b) 初回(kg) 5 回目(kg) 減少量(kg) 1或少'王郭四6) Ⅱ群 41 57 士 10 5.1士0.フ 25.7士8.6 21.1士7.8 4.6士2.4 12.0土9.9 9657土2573 67.2土9.9 62.8土9.フ゜) Ⅲ群 40 61士 9 5,5士0.6 10361士2566 66.1士8.5 59.4士7.9 6.7土2.0 11.2土2.フ 8土5 6土5 3土2 8土8 VS 24.4士5 19.7士5 4.7士] H.2士2 VS VS 初回の体重P く0.05 Ⅲ群P く0 05 Ⅲ群P く0 05 初回の体脂肪量Pく0.備 Ⅲ群P く0.05 b 5 1 2 6 3022 3 2 3 土 土 39 46 C
8812
田励d山田
4 " 8 7 38 田田 d群問で統計学的有意差を認めなかった。またⅡ群とⅢ群には初回から5回目に かけて有意な体脂肪減少を認めた。なお11#とⅢ群の体脂肪減少量、体脂肪減 少率は同等であったが、Ⅱ群の体脂肪減少量と体脂肪減少率はいずれも、Ⅲ群 に比べて有意に低値だった。 以上より、型紙を用いたダイエットでは、年齢、 1日あたりのたんぱく系食 品摂取数、歩数が同等であったならば、対象者99名中釘名(Ⅱ群とⅢ群、約 80%)において、体重減少を達成するためには骨格筋の減少を伴う事が確認さ れた。 表3 半年間の体重減少量を100%とした時の体重減少に占める骨格筋減少量 の割合と体重減少に占める体脂肪減少量の割合 1群 Ⅱ群 Ⅲ群 体重減少呈割合 100%(4.8士 1.2kg) ]00%(4.3士2.4kg) 100%(6.7士2.okg) 表3 には、 3群それぞれに6ケ月間の体重減少量を100%とした時の体重減 少量に占める骨格筋減少量の割合と体重減少量に占める体脂肪減少量の割合を 示した。 1群は骨格筋減少のなかった群であり、この群に属する者の体重減少 は、体脂肪減少によるものであることが明らかとなった。また、Ⅱ群とⅢ群の 骨格筋減少量の割合と体脂肪減少量の割合は同等であったと同時に、Ⅱ群・Ⅲ 群はいずれも1群に比べ、骨格筋減少量の割合が有意に大きく、体脂肪減少量 の割合が有意に小さかった。 以上より、講座でのダイエットにおいては、体脂肪減少による体重減少を達 成する為には、骨格筋減少を伴うことが確認され(表1・表2)、このとき骨 格筋減少の大小に関わらず同じ割合で体脂肪が減少すること(表3)が確認、さ れた。 骨恪筋減少呆の割合 -6.2土5.8%(-0.3土0.2kg) 18.7士 19.19が(0 6士0.3kg) 21.4士7.49が(1.3士0.4k創 体脂肪減少量の割合 (4,6士2,4kg) 96.5士12.0% (3.3士2.1kg) 70,7士22.49が (4.7土1.8kg) 69.1士9.2%゜ 且 VS 1 群 P く0.05
考察
受講者には身長の違いなどの体格差が存在する。従って本研究では、骨格筋
減少率(1回目の講座の骨格筋量に対して5回目の講座の骨格筋量が何パーセ
ント減少していたか)を表す数値(%)を用いることとした。たとえ骨格筋量が減少したとしても、本講座のダイエッ Nよイ村指肪を減少さ
せることを目的としており、筋肉を増やす事は目標としていない。筋肉を増加
させるためには重量あげなどの無酸素運動を行う必要があり幻、食事療法のみ
で筋肉量を増やす事は不可能と言える9)。本講座では述動として「歩く」こと
を推奨しているが励、歩くことは有酸素運動であり、有酸素運動には余分な体
脂肪を燃焼させる効果がある山。このように、運動目的の相述のため、本研究
における対象者の骨格筋量は劇的には増加しなかった、あるいは減少した可能
性がある。 一般的なダイエットに伴い、除脂肪量(骨'格筋量含む)が減少するが功、その理由については明確されていない。また、 1ケ月に3kg 4kgの減量に成
功した人について体脂肪量と除脂肪体重(骨格筋や水分など)の減少量を比較
すると、食事療法だけを実施した場合の体重減少の内訳は体脂肪量が約50%で
除脂肪体重が約50%であり、食事療法と運動療法を共に実施した場合には体重
減少の大部分が体脂肪の減少によるものであったとされている矧。表3に示し
たように、本研究において最も骨格筋量が減少した集団であるⅢ群の体重減少
は、計算上、 21%が骨格筋量の減少であり、70%が体脂肪量の減少であった。 またⅡ群においても、19%が骨格筋量減少のであり、 71%が体脂肪量の減少であった。従って、講座でのダイエットによる体重減少は前述のような食事療法
のみの減量に比べ骨格筋の減少が少なかったと考えられた。すなわち、講座に
参加して骨格筋量が減少しても体脂肪の減少が、その量を大きく上回る量で
あった事は、型紙を用いたダイエットが骨格筋量の減少を抑えて体脂肪を減少
させる方法である事を示唆していると言えるのではないだろうか。 骨格筋の役割は、体を動かし、熱産生をする他に、骨など体の成分を支えて姿勢を保つことである。体を支えるということは、余分な体脂肪をも支える必
要が生ずる。さらには、肥満者では骨格筋の中に脂肪が混在している。ダイエツ
トにより脂肪が減少すると、骨格筋内に存在していた脂肪が減少し、それに伴っ
て支えとなる骨格筋が減った可能性もある。一方、先行研究では、講座受講前
の 1日の摂取エネルギー量は1416士223kcaV 日であったと報告されているW。
本研究対象者99名の受講前の 1日の摂取エネルギーが、講座で指導している
120okcaはりも多かったならば、型紙を用いたダイエットを開始した後、体
は一時的に飢餓状態となり血糖値が低下することになる。血糖値が低下すると、
糖新生にアミノ酸が利用され骨格筋たんぱく質の分解が起き、そのために対象
者の骨格筋が減少した可能性も否定できない励。しかしながら、誠座でのダイ
エット方法は、前述のような他施設や他方法圃愉による、ダイエットと比較す
ると、骨格筋の減少を抑えて体脂肪を減少させるダイエット方法であった。
以上より、講座のダイエット方法は骨格筋の減少を僅かながら伴うが、肥満
女性のダイエット方法として適切な方法であると考えられた。
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