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ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスに関する研究

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ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスに関する研究

グエンヴィンタイン 要旨  近年、ベトナムにおいて、国有企業の不祥事がよく発生しており、これはベトナムの国有企 業のコーポレート・ガバナンスモデルの欠陥に起因していると考えられる。そこで国有企業の コーポレート・ガバナンス、とくにインサイダー・コントロールシステムの観点からその問題 点について明らかにすることが本論文の問題意識でもある。  本研究では、まず、ベトナム国有企業の不祥事の発生や非効率性の要因を明らかにするため、 インサイダー・コントロール型のコーポレート・ガバナンスモデルについて検討した。国有企 業のインサイダー・コントロールを形成する要素として様々なものが考えられる。具体的には、 国有企業の経営者のコントロール権の強化、市場競争のメカニズムの不足、従業員利益の重視 等が挙げられる。  次に、ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルについて、インサイダー・コン トロールシステムの観点から論じた。具体的には、以下の点が考察の中心となった。  第一に、ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスの現状のモデルである。国有企業の 監査制度には、取締役会によるモニタリングや監査役会による監査もある。取締役会のメンバー 全員は株主ではなく、国家の代表が取締役会に入り、当該企業の日常業務執行について、さら に社長または他の管理職をモニタリングし、指導する。そして、国有企業における大半の取締 役社長は取締役会のメンバーを兼任し、取締役会の会長が社長を兼任することも多い。監査役 会のメンバーは取締役会によって選任され、監査役会は取締役会による支配を受ける。  第二に、経営者が従業員と利益共同体であるということを論じ、ベトナムの最大の国有企業 のPVNのガバナンスモデルを分析することによって、インサイダー・コントロールシステムの 問題点と有効性を評価した。このようなガバナンスモデルは実際に機能していなく、不祥事を 防止することができないことを明らかにした。なぜならば、以下の2つの要因があるからであ る。最初に、モニタリングの義務を負っている取締役は社長または他の管理職を兼任するため、 不正の疑惑解明が困難になることである。第二に、監査役会は取締役会による支配を受けるた め、独立性が低く、モニタリングの役割を果たすことができない。  このように、本研究では、不祥事が発生する要因は基本的にはコーポレート・ガバナンスの 欠陥によるものであることを明らかにした。今後、ベトナム国有企業の不祥事を防止するため には、コーポレート・ガバナンスの本来持つ有効性を向上させることが重要であり、国有企業 の民営化と所有構造の多元化の促進や企業と利害関係の大きい利害関係者間の相互モニタリン

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44 グの確立が必要になると考えられる。 キーワード  経済転換期、国有企業、企業不祥事、コーポレートガバナンス、インサイダーコン トロール 1.はじめに  1986年にベトナムではドイモイ政策(経済刷新)を実施され、市場メカニズムの導入がはじ まった。経済刷新は、「社会主義路線の見直し」、「産業政策の見直し」、「計画経済から市場経済 への転換」、「国際協力への参加を進める」という内容である(1)  新たな経済制度では国有企業の株式化が促進されている。そして、国有企業における出資形 態は大幅に変わり、国有企業における所有権と経営権は分離された。財務省は国家資産の所有 権を持つが、経営コントロール権を国有企業に与えた。その結果、近年、ベトナム国有企業にお ける経営陣の経営管理能力の欠如などによる不良債権問題の発生や国有資産の流失問題などの 事例が度々発生している。実際に2006年から2017年にかけてのベトナム国有企業の不祥事の ケースを分析すると、国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルでは経営者の不正行為を防 止できないことが明らかとなっている。具体的には、「経済管理に関する国家規定に意図的に違 反し甚大な損害をもたらしたこと」や「公務執行にあたり職権を乱用した」などの罪によって、 逮捕された経営者が多い。このようなケースは、ベトナムの国有企業のコーポレート・ガバナ ンスモデルの欠陥に起因していると考えられる。  本稿では、ベトナム国有企業の不祥事発生の要因を明らかにするため、国有企業のコーポレー ト・ガバナンスモデルについて検討する。社会主義国の国有企業について、青木(1995)は国有 企業のコーポレート・ガバナンスモデルがインサイダー・コントロールであり、インサイダー・ コントロールが、共産主義の遺産から生じた進化的現象だと主張している。このインサイダー・ コントロールシステムは、内部監査等の仕組みも含めた、経営陣をモニタリングするためのシ ステムを意味する。上記で述べた経営陣の不祥事を引き起こす要因が、インサイダー・コント ロールシステムの欠陥にあることを明らかにすることが本稿の問題意識でもある。本稿の構成 は以下のようになる。  本稿では、最初に、ベトナム国有企業で多く見られる企業不祥事を確認するため、企業不祥 事の定義や分類などを明らかにする。そして、2006年から2017年までのベトナム国有企業の 不祥事を分析する。  次に、国有企業の不祥事が発生するのは基本的にインサイダー・コントロールシステムの欠 陥であると考えられるため、社会主義国におけるインサイダー・コントロールシステムのコー ポレート・ガバナンスを概観し、現状の国有企業の形成の要因について先行研究をもとに考察 する。  最後に、ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルについて、インサイダー・コ ントロールシステムの観点から論じて、現モデルの問題点と有効性を検討しなから、ベトナム

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45 国有企業の不祥事発生の要因について検討する。 2.ベトナム企業の不祥事に関する考察 2.1 企業の不祥事の概念  企業不祥事の概念について、様々な定義がある。小山(2007)は「企業不祥事とは企業が引き 起こした社会にとって好ましくない事件や事故」と主張している(2)  2016年2月24日に日本取引所自主規制法人は「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」 を策定し、不祥事とは「重大な法令違反その他の不正・不適切な行為等」と示している。  公認不正検査士協会(Association of Certified Fraud Examiners、ACFE)は「不正(Fraud)」を「他 人を欺くことを目的とした意図的な作為または不作為であり、結果として損失を被る被害者が 発生し、不正実行犯が利得を得るもの」と定義している(3)  井上(2015)は、様々な定義を紹介している(4)。例えば、日本監査役協会の定義は「会社の役 職員による、不正の行為もしくは法令または定款に違反する重大な事実、その他会社に対する 社会の信頼を損なわせるような不名誉でこのましくない事象」である。Mishina(2010)は、企 業不祥事(corporatescandal)ではなく、企業不正(corporateillegality)の定義として、「主に収入 を増加させたり、費用を低下させたりすることによって企業に利益を与えることを意図した不 正行為」と述べている(5)  樋口(2012)は、企業不祥事ではなく、組織不祥事という言葉を用いている。組織不祥事とい うのは、次の3要件を満たし、それぞれは、①その発生が予見可能であったこと、②適当な防止 対策(被害軽減対策を企業不祥事とコーポレート・ガバナンス含む)が存在したこと、③当該組 織による注意義務の違反である(6) 2.2 ベトナム国有企業の不祥事事件  2006年から2017年にかけてのベトナム国有企業の不祥事事件は図表1で示される通りであ る。  図表1からみると、全ての事件で国有企業の経営者は経済管理に関する国の規定に故意に違 反し、国に多大な損失をもたらしたため逮捕された。不祥事事件のなかで、多く見られるのは 汚職行為、資産の不正流用と資産の不正投資である。次に、国家の損失が一番大きいベトナム 国有造船グループ(Vinashin)事件とベトナム最大の国有企業の石油ガスグループ(PVN)で発 生事件の2つを取り上げる。 (1)ベトナム国有造船グループの事件  造船を中核事業としていたビナシンは高いリスクの不動産、証券、自動車販売、鉄鋼、二輪車 製造などの専門外の分野に進出したが、失敗し、2010年に86兆ドン(43億ドル)もの巨額の負 債を抱えて破綻した。  そして、ビナシンの経営者は株主(監督省庁)の承知を得ずに出資した。具体的には監督省庁

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図表1 ベトナム国有企業の不祥事事件 年 会社名 職位 国家の損失 裁判の判決 不正の分類 2006 交 通 運 輸 省 傘 下 の PMU18(第18プロジェ クト管理委員会) 取締役社長 約200万 ド ル 禁固13年 汚職行為、公用車貸与事件の職権乱用罪(資 産の不正使用)などの 違法行為 2010 ベトナム国有造船 グループ(Vinashin) 取締役社長 約43億ドル 禁固22年 株主(監督省庁)の承知を得ずに出資した。 2012 ベトナム航海グループ (Vinalines) 取締役会長取締役社長 副社長 約10億ドル 死刑 禁固28年 2005~ 2010年の間に中古船舶を大量に購 入するなどして、非効 率的な経営を続けて 多額の損害を発生さ せた。 2015 ALC (ベトナム農業農村開 発銀行傘下の第2ファ イナンスリース会社) 取締役社長 約5億ドル 死刑 汚 職 行 為、2007年 か ら2009年 に か け て、 違法なリース契約書 を作成させたなどの 違法行為 2016 PVC (PVNの子会社) 取締役会長取締役社長 約2億ドル 裁判の判決中 規定違反・公的資産横領事件 2017 ベトナム石油ガス グループ(PVN) 取締役会長取締役社長 取締役副社 長 不明 死刑 汚職行為、専門外の分 野に進出した(不正投 資)などの違法行為 出所:関連資料より筆者作成 46 の承認を得ずに中古船舶を購入し、グループ内の意見を求めずに船舶「バクダンザン号」を勝 手に販売した。さらに監督省庁の認可を得ずに火力発電所建設案件を実施した、などの違法行 為であった。  最終的にビナシンの元会長と社長ら計9人が「経済に関する国の管理規定に故意に違反し、 国に重大な損害を与えた罪」に問われた裁判で、禁固3~ 20年を求刑されたが、国家により投 資された資金は回収できなかった。ビナシンのようなケースは珍しくなく、バブル期に他の国 有会社も高いリスクの不動産、証券などの分野に出資していた(7)  上記の事件から、ベトナム政府は、2011年9月の決議で「国営企業は本業に集中し、特に金融・ 保険・不動産・証券といった専門外の分野には投資しないよう求める。既に専門外の分野に投 資している企業は、撤退計画を提出しなければならない」と警告した。さらに「本業以外のビジ ネスは、2015年までに止めなければならない」ということが決められた。しかしながら、高い 収益性のため、多くの企業が本業以外に投資した。

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47 (2)ベトナム石油ガスグループの不祥事事件  2015年にベトナム最大国有企業の元会長は「経済管理に関する国家規定に意図的に違反し甚 大な損害をもたらし」という罪によって、逮捕され、死刑の判決を受けた。PVNは石油・ガス のグループであるが、不動産、証券、自動車販売、金融などの専門外の分野に進出している。 PVNはOceanbank(40億円)やPVcombank(234億円)のベトナムの二つの民間商業銀行に投資 した。だが、経済不況のため、2015年にOceanbankは財務内容の悪化のために、ベトナム国家 銀行がこれらの銀行の全株式をゼロドン(VND)で強制的に買収し、同行を国有化することが 決定された(8)。PVNは投資した40億円の投資資金を失い、さらに他の投資分野も失敗したので、 2015年にPVNの会長が逮捕された。2017年には上記の事件を関連性があるとの容疑で、PVN の財務担当の副社長も逮捕された。  このようにベトナム国有企業で不正が起きるのは基本的には企業のコーポレート・ガバナン スの欠陥により、経営者の暴走を防ぐことができないためであると考えられる。コーポレート・ ガバナンスは、経営者が企業を経営するうえでの管理運営手法であり、彼らのミスや不正を防 ぐ仕組みでもある。次に、国有企業のコーポレート・ガバナンスについて検討する。 3.国有企業のコーポレート・ガバナンスに関する研究  本節では、先行研究によって国有企業のコーポレート・ガバナンスの概念やモデルを取り上 げる。 3.1 国有企業のコーポレート・ガバナンスの概念 (1)コーポレート・ガバナンス論の既存研究  コーポレート・ガバナンスをめぐる議論は、バーリとミンズ(1932)が提起した『近代株式会 社と私有資産』に始まる(9)。そして、1960年から1970年代にかけて、従来の個人株主にかわっ て機関投資家への株主所有構造を背景として、株主のリターンを保証するため、企業の統治構 造、エージェンシー理論、モニタリングやインセンティブシステムという概念が導入されてい る。1980年代に入ると、コーポレート・ガバナンス論では企業の利害関係者は経営者や株主だ けでなく、企業行動に影響を及ぼす広い範囲の利害関係者(ステーク・ホルダー)の視点から捉 えられるようになった。そして、社会政治学や社会心理学などの枠組みを用いたコーポレート・ ガバナンス論も出現した。2008年以降、コーポレート・ガバナンス論では共通価値経営および 調和(循環)型経営が提唱されるようになった。  コーポレート・ガバナンスの概念について、様々な定義があり、学者によって異なり、統一的 なものはまだ存在しない。例えば、青井(2009)は三つの方面からコーポレート・ガバナンスを 定義している。法律上、コーポレート・ガバナンスとは、会社を健全に経営するための会社法の 基本的システムというものである。そして、株主の統治者の観点から、コーポレート・ガバナン スとは、企業が株主にとっての経済的な利益を追求することで、健全で効率的な経営判断を導 入する仕組みである。最後に、多くの利害関係者の視点から見て、コーポレート・ガバナンスと

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48 は、バランスのとれた経済活動を確保することで、健全で効率的な経営判断を導入する仕組み である(10)  坂本(1998)によると、コーポレート・ガバナンスとは現代の公開会社のあり方、あるいは経 営行動のあり方、経営者のあり方を論じるものである。そして、コーポレート・ガバナンスの取 り巻く問題は「会社は誰のもの」と「会社は誰のため」という問題である。  田中(1998)はコーポレート・ガバナンスを企業と株主の関係と企業と他の利害関係者の関 係に分類されていると述べている(11)。具体的にはコーポレート・ガバナンスには2つの目的が あると主張している。一つ目は経営者の不適切な意思決定を行うことを防止することである。 二つ目は、企業の健全性を維持することである。  つまり、バーリとミーンズの『近代株式会社と私有資産』において会社の所有(株主)と支配(経 営)を分離されたことを前提としてコーポレート・ガバナンス論が誕生し、数多様な議論が展 開されている。コーポレート・ガバナンスという概念は経営者や株主との関係を表すだけでな く、企業行動に影響を及ぼす利害関係者(ステーク・ホルダー)へ広い範囲の視点から捉えてい る。そして、コーポレート・ガバナンスの目的は、経営者の不正行為を防止することだけでなく、 企業の健全性を維持するため、企業と社会などの関係性が展開されている。 (2)国有企業のコーポレート・ガバナンス  国有企業は原理的には、「全民所有制企業」と呼ばれていたように、全民によって所有されて いるものである。全民を代表する政府は国有企業の「所有権」を属し、企業を管理している。そ のため、国有企業のコーポレート・ガバナンスはかなり異なる。これには以下の二つの要因が 作用していると考えられる。コーポレート・ガバナンスの主体が国家であるという点と社会主 義という政治制度の外部要素の二つである。  ここでは、政治制度(国有企業の外部要素)について論じる。ベトナムや中国では経済刷新あ るいは改革開放によって市場のメカニズムを導入したが、旧社会主義国の市場経済体制は資本 主義のそれとは大幅に異なる。  中国において、1992年2月に、鄧小平氏は以下のように主張している。計画経済すなわち社 会主義ではなく、資本主義にも計画があり、市場経済すなわち資本主義ではなく、社会主義に も市場がある。そして、計画と市場は経済発展の手段に過ぎなく、中国の経済体制は資本主義 の市場経済ではなく、「社会主義市場経済体制」である(12)  それから、社会主義体制を維持している中国は市場メカニズムを導入して、経済移行期を過 ごしている。新たな経済制度でも全ての主体の活動は中国共産党の指導下で行われている。国 有企業もその例外ではない。 郭(2008)によると、社会主義体制を維持している中国では全て の主体の活動は中国共産党の指導下で行われている。国有企業もその例外ではない。したがっ て、中国の国有企業のコーポレート・ガバナンスについて論じる際、所有者と経営者の関係だ けを論述するのは不十分であり、政治指導体制などの外部環境と企業のコーポレート・ガバナ ンスとの関係を論じるのが不可欠である。そして、中国企業統治の特徴は、市場原理を重視す

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49 る専門的経営者と「党支配」の維持という二重構造をもっていることを述べている(13)。唐(2005) は、中国は共産党による一党指導制であり、 生産手段全体における公有制あるいは「集中的所 有構造」の比重が相対的に高いことなどを特色として取り上げている(14)  一方、BurnsStalker (1961)、Woodward(1965)、Lawrence-Lorsch(1967)、加護野(1980)な どの学者によって提起されたコンティンジェンシー理論(Contingency theory)によると、「組織 の合理性は、組織の内部環境によってのみ決定されるのではなく、組織の外部環境に適応する ことによって達成される」ということである。  加護野(1980)は、「環境が異なればそれに応じて組織の内部特性も異ならなければならなく」、 それから「組織の合理性は、組織の内部環境によってのみ決定されるにではなく、組織の外部 環境に適応することによって達成される」を主張している(15)  郭(2008)は、コーポレート・ガバナンスは一国の歴史的および社会的構造、条件によって異 なってくると述べている。  以上のことを踏まえると唐(2005)の以下の国有企業のガバナンスの定義が最適であると考 えられる。唐(2005)によると、国有企業のガバナンスとは国の社会制度、 政治制度、 文化と密 接に関わっており、 主として株主、 経営者、 従業員、 共産党などの企業の様々な利害関係者と の関係である(16)。 本研究では、それを国有企業のコーポレート・ガバナンスの定義として用い る。 3.2 国有企業のコーポレート・ガバナンスモデル (1)国有企業のインサイダー・コントロールモデル  上記の通り、ベトナムや中国では、90年代に入ると、国有企業法等の法制度が整備され、国 有企業の株式化が促進されて、それから国有企業の出資形態が転換された。国有企業のガバナ ンスの面からみると、経済自主権拡大のため、国有企業の経営者・従業員による実態的な経営 支配が強まった。  1978年12月の中国共産党第11回3中全会で、「現在我が国有経済管理体制の大きな欠陥は大 きな権限が中央に集中されているので、大胆に権限を下放し、企業にもっと多くの経営管理自 主権を与えなければならない」ということが主張された(17)。そのため、国有企業の経営者・従業 員が実態的な経営コントロール権を強め、外部によるコントロールが弱まってきた。  国有企業は国家から経営管理の支配権が委譲されたという背景で旧共産主義経済の旧国有化 企業のコントロール権の実質的部分が経営者によって掌握された。青木(1995)はそれをイン サイダー・コントロールと名付けた。そして、国有企業のインサイダー・コントロールが、共産 主義の遺産から生じた進化的現象だと主張している。 (2)インサイダー・コントロール形成の要因  インサイダー・コントロールを形成する様々な要因がある。具体的には、国有企業の経営者 のコントロール権の強化、経営者の自立性を高めること、市場競争のメカニズムの不足、従業

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50 員利益の重視等が挙げられる。  青木(1995)は国有企業の経営者のコントロール権を強化させ、経営者の自立性を高めたこ とがインサイダー・コントロールの形成要因だと主張している(18)  そして、川井(1998)は以下のような要因を述べている(19)。具体的には、政府の管理権を国有 企業に徐々に委譲する方法の実施、外部利害関係者による経営者に対してのモニタリングの脆 弱さ、市場競争のメカニズムの不足、株式市場と経営者市場の未成熱、国有企業の経営者の権 限と責任の不統一等である。  さらに唐(2001)は国有企業の「政企混在」や「株主形骸化」や経営者の監督メカニズムの不 在や従業員利益の重視という要因を指摘している(20) (3)中国国有企業のインサイダー・コントロール形成の事例  インサイダー・コントロールの形成に関して、下記の二つの特徴を取り上げる。  第一に、国有企業の経営者が従業員と利益共同体を形成し、国有資産を分かち合うというこ とがある。中国の国有企業が経営組織ではなく、行政組織でもあり、政治組織でもあり、社会組 織でもある。そして、国有企業では「従業員の収入増大」という目標は一番大切なものである。 唐(2001)は1979年から1997年まで中国国有企業の資本と労働力の収益から次のことを主張し ている。企業が赤字経営に陥っても、経営者は銀行融資で従業員の賃金やボーナスを支給する。 そして、企業の業績が年々低下するにも関わらず、従業員の賃金とボーナスが上昇する結果と なっている(21)  第二に、中国の国有企業の株式化への移行過程において、国有企業の一部の株は安い価格で 従業員に分配されている。言い換えると、国家の一部の資産を国有企業の従業員に分配するこ とである。唐(2001)によると、企業の株式化への移行過程において、国有企業の一部の株は内 部従業員に分配されて、企業が株式市場に上場する際、株の市場価格は安価で購入した価格の 5~ 10倍にまで上昇したことがある。そして、内部従業員の株は国家の株より配当率が高めに 設定される。 (4)ベトナム国有企業のインサイダー・コントロール形成の事例  ベトナムでは、国有企業の株式化への移行過程において、企業の株は優先的に従業員に分配 されることになっている。1996年5月7日にベトナム政府は「国有企業の株式化についての規定」 という28 /CPを発行し、1998年、2002年、2004年の3回を渡って、改定された。2002年以降の ものは株が内部従業員に分配するという内容が導入されている。  社会主義国の国有企業の株式化への移行過程において、経営者が従業員と利益共同体を形成 することがあり、そして企業の株を従業員へ分配することもある。そのため、事実上、国有化企 業のコントロール権を掌握するのは企業の経営者と従業員だけであると考えられる。青木 (1995)は国有企業での以上のような現象をインサイダー・コントロールと名付けた。次の節で は、事例分析として、ベトナムの国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルを検討する。

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図表3 ベトナムの企業法

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名付けた。次の節では、事例分析として、ベトナムの国有企業のコーポレート・ガバナン

スモデルを検討する。

4.ベトナム国有企業のガバナンスモデル及び不祥事発生の要因

本節では、以下の二つの点を論じる。最初に、ベトナム国有企業のコーポレート・ガ

バナンスモデルを概観する。次に、国有企業の不祥事発生の要因を明らかにすることであ

る。

4.1 ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスモデル

(1)企業関連法律

国際貿易機関を加盟する前に、ベトナムには三つの会社法が存在した。具体的には民

間企業の会社法、外資企業の外国投資企業法と国有企業の国有企業法であった。2000 年代

以降ベトナム政府は国際貿易機構(WTO)への加盟交渉を促進した。多くの WTO の加盟国が

2000 年の時点ではベトナムでは市場経済がまだ確立されないという認識を持っていた

23

。そ

のため、ベトナム政府は WTO のルールや国際基準などを基づく競争法や投資法や企業法な

どの法制度を整理した。2005 年に改定された企業法は民間会社法、外国投資法と国有企業

法という企業関連法律を一本化し、内外資本も所有形態も区別することなく企業活動の管

理を一体化し、「統一法律」が規制されるようになった

24

図表 3: ベトナムの企業法

23ドマンホーン(2010 )『べトナムの経済発展と民間セクターの振興』、早稲田大学べトナム総合研究所 p5、2017年5月30日アクセス。 https://www.waseda.jp/inst/cro/assets/uploads/2010/03/c666f048fa86865c33aa510224b404ef.pdf 24 トラン・ヴァン・トウ(2005)「企業から見たベトナムの経済改革」、『東アジアへの視点』、第 16 巻第 4 号、 pp.49-58。 出所:関連資料より筆者作成 51 図表2 国有企業の株式化についての決定 1996年 1998年 (改定) (改定)2002年 (改定)2004年 議定番号 28/CP 44/1998/ ND-CP 64/2002/ND-CP 187/2004/ND-CP 新規所有構 造の優先順 ① 国家(国家所有を残す必要がある場合 ②社内労働者 ③ 原材料の供給者や 生産者 (農業・林業・水産業の企 業のみ ④ 社外投資家(最少 30%、そ の内技術・市場・資金・管 理 技術を持っている投資 家を優先する。 ① 政府(政府所有を残す必要 がある場合 ②社内労働者 ③ 戦略的投資家(最大で資本 金の20%) ④ 公開売却(最小で資本金 20%) 出所:奥田(2013)より筆者作成(22) 4.ベトナム国有企業のガバナンスモデル及び不祥事発生の要因  本節では、以下の二つの点を論じる。最初に、ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンス モデルを概観する。次に、国有企業の不祥事発生の要因を明らかにすることである。 4.1 ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスモデル (1)企業関連法律  国際貿易機関を加盟する前に、ベトナムには三つの会社法が存在した。具体的には民間企業 の会社法、外資企業の外国投資企業法と国有企業の国有企業法であった。2000年代以降ベトナ

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図表4 ベトナム株式会社の監査制度

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出所:関連資料より筆者作成

次にベトナムの民間株式会社と国有企業のガバナンスモデルを取り上げる。

(2)ベトナム民間株式会社のガバナンスモデル

2005 年の会社法によると、株式会社における監査制度には、取締役会による監視や監

査役会による監査がある。取締役会の監視についてベトナムの 2005 年の企業法は次のよう

に規定している。全ての株式会社に取締役会が設置されるが、取締役会のメンバーは株主

である必要はない。取締役会の独立取締役については企業法の規定はなく、会社ガバナン

スの規制や商業銀行の組織に関する政令などの規則によって定められている。取締役会は

企業の日常業務執行について、社長と他の管理職を監視し、指導する権限がある。執行機

関である取締役社長は、取締役により任命罷免される。また、取締役社長は取締役会のメ

ンバーである必要はなく、取締役会の会長は執行機関のトップを兼任することもできる。

つまり、株式会社の取締役会は、日常執行について会社執行機関を監視し、指導する任務

を負っていることになる。

監査役会の監査は以下のように示す。11 人以上の個人株主又は発行済株式総数 50%を

保有する法人株主が存在する株式会社は、監査役会を設置する義務がある。監査役会のメ

ンバーは会社の株主総会によって選任される。会社の利益と株主利益を保護するために、

監査役会は取締役会と業務執行機関の決定事項を監視する責任がある。

図表 4:ベトナム株式会社の監査制度 出所:ベトナムの 2005 年の企業法より筆者作成

上記はベトナムの全ての株式企業の監査制度である。しかしながら、国有企業の株主

は国家であり、国有企業の監査制度は民間企業と外資企業と比べると、大幅に異なる。次

に国有企業のガバナンスを取り上げる。

(3)国有企業のガバナンス

国有企業のガバナンスモデルを下記の図表 5 で示す。

出所:ベトナムの 2005年の企業法より筆者作成 52 ム政府は国際貿易機構(WTO)への加盟交渉を促進した。多くの WTOの加盟国が2000年の時 点ではベトナムでは市場経済がまだ確立されないという認識を持っていた(23)。そのため、ベト ナム政府はWTOのルールや国際基準などを基づく競争法や投資法や企業法などの法制度を整 理した。2005年に改定された企業法は民間会社法、外国投資法と国有企業法という企業関連法 律を一本化し、内外資本も所有形態も区別することなく企業活動の管理を一体化し、「統一法律」 が規制されるようになった(24)  次にベトナムの民間株式会社と国有企業のガバナンスモデルを取り上げる。 (2)ベトナム民間株式会社のガバナンスモデル  2005年の会社法によると、株式会社における監査制度には、取締役会による監視や監査役会 による監査がある。取締役会の監視についてベトナムの2005年の企業法は次のように規定して いる。全ての株式会社に取締役会が設置されるが、取締役会のメンバーは株主である必要はな い。取締役会の独立取締役については企業法の規定はなく、会社ガバナンスの規制や商業銀行 の組織に関する政令などの規則によって定められている。取締役会は企業の日常業務執行につ いて、社長と他の管理職を監視し、指導する権限がある。執行機関である取締役社長は、取締役 により任命罷免される。また、取締役社長は取締役会のメンバーである必要はなく、取締役会 の会長は執行機関のトップを兼任することもできる。つまり、株式会社の取締役会は、日常執 行について会社執行機関を監視し、指導する任務を負っていることになる。  監査役会の監査は以下のように示す。11人以上の個人株主又は発行済株式総数50%を保有 する法人株主が存在する株式会社は、監査役会を設置する義務がある。監査役会のメンバーは 会社の株主総会によって選任される。会社の利益と株主利益を保護するために、監査役会は取 締役会と業務執行機関の決定事項を監視する責任がある。  上記はベトナムの全ての株式企業の監査制度である。しかしながら、国有企業の株主は国家 であり、国有企業の監査制度は民間企業と外資企業と比べると、大幅に異なる。次に国有企業 のガバナンスを取り上げる。

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図表5 ベトナム国有企業のガバナンスモデル

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図表 5: ベトナム国有企業のガバナンスモデル 出所:筆者作成

国有企業を株式会社化してから2005年の企業法の株式会社という形態で存在している

ので、国有企業の監査制度には、取締役会によるモニタリングや監査役会による監査もあ

る。

取締役会のメンバー全員は株主ではなく、国家の代表が取締役会に入り、当該企業の

日常業務執行について、さらに社長または他の管理職をモニタリングし、指導する。取締

役会の会長と他のメンバーは株主総会ではなく、政府の監督省庁あるいは財務省によって

選任される。そして、国有企業における大半の取締役社長は取締役会のメンバーを兼任し、

取締役会の会長が社長を兼任することも多い。監査役会のメンバーは取締役会によって選

任され、監査役会は取締役会による支配を受ける。

国有企業の具体的なカバナンスモデルを明らかにするため、ベトナムの最大国有企業

であるPVNのガバナンスについて論じる。

ベトナムの7つの経済グループは、首相直轄として、各担当ラインの省(監督省庁)と

ともに管理されている。 PVNという経済グループは首相直轄として、工商省と財務省とと

もに管理されている。PVNの取締役会(委員会)のメンバーは首相によって選任され、所有

権を持っている国家の代理として取締役会に入り、日常業務執行を監視し、指導している。

そして、社長と他の役員も首相によって選任される。

図表6:PVNのカバナンスモデル 出所:筆者作成 53 (3)国有企業のガバナンス  国有企業のガバナンスモデルを下記の図表5で示す。  国有企業を株式会社化してから2005年の企業法の株式会社という形態で存在しているので、 国有企業の監査制度には、取締役会によるモニタリングや監査役会による監査もある。  取締役会のメンバー全員は株主ではなく、国家の代表が取締役会に入り、当該企業の日常業 務執行について、さらに社長または他の管理職をモニタリングし、指導する。取締役会の会長 と他のメンバーは株主総会ではなく、政府の監督省庁あるいは財務省によって選任される。そ して、国有企業における大半の取締役社長は取締役会のメンバーを兼任し、取締役会の会長が 社長を兼任することも多い。監査役会のメンバーは取締役会によって選任され、監査役会は取 締役会による支配を受ける。  国有企業の具体的なカバナンスモデルを明らかにするため、ベトナムの最大国有企業である PVNのガバナンスについて論じる。  ベトナムの7つの経済グループは、首相直轄として、各担当ラインの省(監督省庁)とともに 管理されている。 PVNという経済グループは首相直轄として、工商省と財務省とともに管理 されている。PVNの取締役会(委員会)のメンバーは首相によって選任され、所有権を持って いる国家の代理として取締役会に入り、日常業務執行を監視し、指導している。そして、社長と 他の役員も首相によって選任される。  上記のガバナンスモデルは実際に機能していなく、不祥事を防止することができないと考え られる。理由として、以下の三点が挙げられる。最初に、モニタリングの義務を負っている取締 役は社長または他の管理職を兼任するため、不正の疑惑解明が困難になることである。第二に、 監査役会は取締役会による支配を受けるため、独立性が低く、モニタリングの役割を果たすこ

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図表6 PVNのカバナンスモデル

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出所:PVN のウェブサイトより筆者作成

上記のガバナンスモデルは実際に機能していなく、不祥事を防止することができない

と考えられる。理由として、以下の三点が挙げられる。最初に、モニタリングの義務を負

っている取締役は社長または他の管理職を兼任するため、不正の疑惑解明が困難になるこ

とである。第二に、監査役会は取締役会による支配を受けるため、独立性が低く、モニタ

リングの役割を果たすことができない。最後に、国有企業を株式化しても、その株式の過

半数以上を国家が所有している点でモニタリングは機能せず、社外取締役制度がまだ導入

されていないために、外部からのモニタリングもないことでガバナンスの有効性が低い点

が挙げられる。

4.2 国有企業ガバナンスの有効性と不祥事事件の発生

4.2.1 国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルの考察

ベトナム国有企業の経営システムの特徴は図表7で示される通りである。

図表7:ベトナム国有企業の経営システム 主権 従業員(経営者+従業員) コントロール 監督省庁、労働組合 経営者 内部昇格・従業員兼務取締役 経営の視点 長期 経営指標 国家資産の保存、従業員の収入増大 採用システム 長期・安定的 金融調達 間接金融中心(政策貸出制) 長期・安定的な相対取引 内部留保 出所:PVNのウェブサイトより筆者作成 図表7 ベトナム国有企業の経営システム 主権 従業員(経営者+従業員) コントロール 監督省庁、労働組合 経営者 内部昇格・従業員兼務取締役 経営の視点 長期 経営指標 国家資産の保存、従業員の収入増大 採用システム 長期・安定的 金融調達 間接金融中心(政策貸出制)長期・安定的な相対取引 内部留保 株主構成 長期・安定的 企業内部者が株式を持たない 国家や従業員など 出所:関連資料より筆者作成 54 とができない。最後に、国有企業を株式化しても、その株式の過半数以上を国家が所有してい る点でモニタリングは機能せず、社外取締役制度がまだ導入されていないために、外部からの モニタリングもないことでガバナンスの有効性が低い点が挙げられる。 4.2 国有企業ガバナンスの有効性と不祥事事件の発生 4.2.1 国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルの考察  ベトナム国有企業の経営システムの特徴は図表7で示される通りである。  上記のとおりに、ベトナム国有企業のコーポレート・ガバナンスモデルはインサイダー・コ

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55 ントロールモデルであり、企業のガバナンスに影響を与える要素は内部経営システムと外部経 営システムに分けられる。  内部経営システムとは、従業員と経営者の人事システムである。外部経営システムとは、内 部経営システムに影響を与える要素であり、例えば、金融システムや国の社会制度、政治制度 ならびに文化などが挙げられる。具体的には、ベトナム共産党、政府(国有企業の株主として)、 金融機関などの主体を指す。国有企業の取締役会と執行機関は監督省庁や財務省などによって 任命されるが、企業内の共産党書記や従業員代表大会や労働組合などの影響力もかなり大きい。 そのため、国有企業のコーポレート・ガバナンスを論じる際、内部経営システムと外部経営シ ステムを研究することが重要ではあるが、ここでは、内部経営システムに焦点を当てる。 (1)内部経営システム  上記のとおり、内部経営システムとは、従業員と経営者の人事システムである。企業内や企 業間の組織システムは長期雇用契約によって発達し、特殊的な技能が無形資産として蓄積され る。インサイダー 型の日本企業について論じる際、野村(2007)、岡本(2012)(25)、大谷(2013)(26) は「終身採用」や「年功序列」ならびに「企業別労働組合」という三つの特徴を取り上げている。 そして、日本企業の最高意思決定機関(取締役会)と最高執行機関(経営者)のメンバーは従業 員からの内部昇進であり、経営者と従業員の労使一体を生み出す可能性がある。  インサイダー型のベトナムでは、国有企業の雇用システムは、日本の雇用システムと類似し ている。国有企業の最高意思決定機関(取締役会)と最高執行機関(経営者)のメンバーは従業 員からの内部昇進であり、経営者と従業員の労使一体を生み出している。そのため、言い換え ると企業の経営者は従業員との利益共同体ということを意味する。これにより国有企業では従 業員による監視によってコーポレート・ガバナンスを機能させる仕組みが存在しないと考えら れる。  一方で、従業員以外の利害関係者の役割はまだ見えていない。ベトナムでは市場競争のメカ ニズムが不足しており、株式市場と経営者市場は未成熱であるために、市場の情報を通して外 部者が経営者を監督するための有効な手段を持たない。そのため、国有企業の経営者に対する 利害関係者からのモニタリング・制約メカニズムが民間や外資企業より弱いと判断でき、不祥 事が多く発生する可能性があると考えられる。 (2)外部経営システム  インサイダー型の日本においてガバナンスに大きな影響を与えていた外部経営システムとは 内部経営システムを支える資金調達及び取引関係あるいはメインバンク制や株式持ち合いの株 式所有構造を含む金融システムである。日本企業の外部取引システムはかつて「株式持ち合い」 とメインバンクから構成されていた。企業の資本調達はメインバンク制度が中心であった。メ インバンクは、企業の投資プロジェクトを評価し、企業のモニタリングを実行し、企業の業績 が悪化した際、金融機関からの役員派遣によって、企業の不祥事の発生を防止することができ

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図表8 計画経済のモノバンク・システム

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出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者作成

1986 年以降、SBV は中央銀行部門だけ担当し、商業銀行部門の業務は傘下の四つの国

有銀行に移動された。さらに、民間資本に対する銀行セクター参入許可が正式に決定され、

民間商業銀行も設立できるようになった。

図表 9:ベトナムの二階層銀行制度 出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者が作成

国有企業はベトナム国家銀行傘下の四つの国有銀行から資金供給において優遇されて

いる。トラン(2016)によると、重化工業の発展が重視されるため、政府が専門銀行によ

って国有企業を支援する

29

。1986 年にベトナム共産党の第六全国大会における社会経済開発

の戦略の「2020 年までに工業国化を達成する。」という目標が掲げられた。そのため、ベ

29トランヴァントゥ(2016)『ASEAN 経済新時代と日本: 各国経済と地域の新展開』、文眞堂、p.169。 出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者作成 56 た(27)  しかしながら、インサイダー 型のベトナムでは、資金供給者(銀行)は全く融資先(国有企業) のモニタリングをしていなかったと考えられる。なぜならば、ベトナム国有企業の資金供給制 度は政策貸し出し制度であるからである。  1986年までの社会主義の計画経済下で、国有企業への資金供給制度は、モノバンク・システ ムという制度であった。モノバンク・システムは、State Bank of Vietnam-SBV(ベトナムの中央 銀行)が中央部門と商業銀行部門を兼任し、政府計画に基づく資金供給を国有企業などに向け て行っているシステムであった。中央銀行はマクロの金融政策を担当しながら、政府計画に基 づく資金供給を国有企業などに向けて行う。  SBVは一元的に金融制度全体を運営した(28)。銀行システムも国家の計画のもとに国有企業に 資金供給を行い、国有企業の借り手と中央銀行の貸し手との関係が存在するが、融資の審査と 融資決定は銀行ではなく国家の意思によって調節された。  1986年以降、SBVは中央銀行部門だけ担当し、商業銀行部門の業務は傘下の四つの国有銀行 に移動された。さらに、民間資本に対する銀行セクター参入許可が正式に決定され、民間商業 銀行も設立できるようになった。  国有企業はベトナム国家銀行傘下の四つの国有銀行から資金供給において優遇されている。 トラン(2016)によると、重化工業の発展が重視されるため、政府が専門銀行によって国有企業 を支援する(29)。1986年にベトナム共産党の第六全国大会における社会経済開発の戦略の「2020 年までに工業国化を達成する。」という目標が掲げられた。そのため、ベトナム工商銀行が設立 され、重化工業業界の国有企業が主な融資対象となった。そして、1986年以降、SBVは中央銀 行部門と商業銀行部門に分離されたが、国有企業の資金供給制度にはあまり変化がなく、最終 的に国家の意思によって調節されている。

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図表9 ベトナムの二階層銀行制度

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出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者作成

1986 年以降、SBV は中央銀行部門だけ担当し、商業銀行部門の業務は傘下の四つの国

有銀行に移動された。さらに、民間資本に対する銀行セクター参入許可が正式に決定され、

民間商業銀行も設立できるようになった。

図表 9:ベトナムの二階層銀行制度 出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者が作成

国有企業はベトナム国家銀行傘下の四つの国有銀行から資金供給において優遇されて

いる。トラン(2016)によると、重化工業の発展が重視されるため、政府が専門銀行によ

って国有企業を支援する

29

。1986 年にベトナム共産党の第六全国大会における社会経済開発

の戦略の「2020 年までに工業国化を達成する。」という目標が掲げられた。そのため、ベ

29トランヴァントゥ(2016)『ASEAN 経済新時代と日本: 各国経済と地域の新展開』、文眞堂、p.169。 出所:野村総合研究所(2009)、トラン(1996)より筆者が作成 桜美林経営研究 第9号(2018年度) 57  上記のことから、インサイダー型のベトナムでは、資金供給者(銀行)は全く融資先へのモニ タリングを行う動機づけがなかったと考えられる。 4.2.2 ベトナム石油ガスグループの事例  2015年にベトナム最大国有企業の元会長は「経済管理に関する国家規定に意図的に違反し甚 大な損害をもたらし」という罪によって、逮捕され、2017年に死刑の判決を受けた。  PVNの取締役会、執行機関と監察役会のメンバー達のプロフィールは次の図表10で示す。  図表からみると、PVNのトップは数年間にわたって、PVNで働き、役員に昇格した。詳しく 見れば、役員は60年代に生まれ、90年代に入社した。2017年3月末という時点で、PVNの取締 役会長は社長を兼任するソン氏(NGUYEN VU TRUONG SON)であった。

 他の国有企業のように、PVNの監査役会のメンバーは取締役会によって選任され、取締役会 と経営者をモニタリングする責任がある。PVNの監査役会のメンバーはまだ若いが、監査役会 を経験して、役員になるケースも多い。例えば、昨年、逮捕されたPVNの財務担当の副社長は 監査役会を経験したことがある。  このように、取締役会と監査役会が経営者と利益共同体のため、内部の監査システムは経営 者の違法行為や不正行為を抑止できないと考えられる。理由としては以下の要因が考えられる。 最初に内部昇進の取締役の割合が高く、取締役と執行機関のメンバーは長期間で良好な関係に なるため、お互いに違法行為や不正行為を咎めることが困難になる。そして、モニタリングの 義務を負っている取締役の会長は取締役社長を兼任するため、不正の疑惑解明が難しくなる。 さらに、監査役会のメンバー達も取締役会により選任され、取締役会や執行機関などの不正行 為を見つけても、定年退職まで同社で働き続け、昇進するために、なかなかそれを指摘するこ

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図表10 PVNの取締役会、執行機関と監察役会のメンバー

氏名 出産年 入社年

取締役会

会長 NGUYEN VU TRUONG SON 1962 1987 委員 NGUYEN TIEN VINH 1962 1987 委員 PHAM NGOC TRUNG 1961 1988

委員 PHAM XUAN CANH 1963 2008 内閣府の元官僚 委員 PHAM DINH DUC 1960 1993 逮捕(2017年末) 委員 DINH VAN SON 1961 1984

執行機関

社長 NGUYEN VU TRUONG SON 1962 1987 副社長 NGUYEN QUOC THAP 1960 1984 副社長 LE MINH HONG 1957 1982

副社長 NGUYEN SINH KHANG 1961 1998 工商省の元官僚 副社長 NGUYEN HUNG DUNG 1962 1993

副社長 LE MANH HUNG 1973 2000 副社長 DO CHI THANH 1968 1991 副社長 NGUYEN QUYNH LAM 1966 1993 監査役会

委員 NGO XUAN ANH 不明(40代) 不明 委員 NGUYEN THI NGOC LAN 不明(40代) 不明 委員 VU HONG NHUNG 不明(40代) 不明 出所:PVNの報告書より筆者作成 58 とができず、モニタリングの役割を果たすことができないからである。 5.おわりに・今後の課題 5.1 結論  本研究では、ベトナム国有企業で多く発生する不祥事を確認し、不祥事発生の要因を明らか にした。そのような不祥事が発生する要因は基本的にはコーポレート・ガバナンスの欠陥のた めである。今後、ベトナム国有企業における、不祥事を防止するためは、コーポレート・ガバナ ンスの有効性を向上させることが必要であり、以下のような改善点が必要になる。  第一に、国有企業の民営化と所有構造の多元化の促進である。国有企業の民営化と所有構造 の多元化を促進し、国有企業を証券市場に上場させることによって、企業のコーポレート・ガ バナンスあるいは企業の監査・監督規制の有効性を向上させる可能性が高まる。  第二に、上記との関連で企業の利害関係の大きい利害関係者間の相互モニタリングの確立で ある。現在、ベトナム国有企業で重視される利害関係者は内部従業員であるが、企業の経営者 と従業員は利益共同体という性質が色濃いために、相互モニタリングの機能が発揮できない。 そのため、所有構造の多元化を促進するとともに、相互モニタリングの体制を構築する必要が ある。その際に重要な役割が期待される利害関係者は外国機関投資家である。企業と外国機関

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59 投資家の株主などとの相互モニタリングの仕組みを構築することによって企業の不祥事を防止 することができると考えられる。 5.2 今後の課題  第一に、日本企業のインサイダー型との深い比較分析である。ベトナム国有企業のガバナン スは「インサイダー型」という点で従来までの日本企業のそれに類似しているため、日本企業 の比較分析は重要である。そして、ベトナムと類似の政治体制下において市場メカニズムを導 入した先駆者である中国の「国有企業」との比較・検討も必要だと考える。  第二に、国有企業では、不祥事事件・国有資産の流失問題がよく発生し、国家の損失が大きい。 民間の資本を導入することによって、国有企業の業績やコーポレート・ガバナンスの有効性が 向上するが期待されている。しかしながら、国家維持率が50%未満でも業績がなおも低迷して いる企業が多く、国有企業の不祥事が度々発生している。以上のことから、株式化・民間化によっ て、国有企業の不祥事事件を防止することが可能になるのか、企業の業績を高めることができ るかについて研究し続けなければならない。 注 (1) 白石昌也(1993)『ベトナム - 革命と建設のはざま』東京大学出版会 p.3。 (2) 小山厳也(2007)「『企業不祥事』と企業における問題の認識」企業倫理研究グループ『日本の企 業倫理 企業倫理の研究と実践』白桃書房,pp.21-39。 (3) 濱田眞樹人(2017)「企業不祥事はなぜ起こるのか? ― 企業不正の防止と発見の見地からー」『経 営哲学』14(1) 5-13 2017年3月 再引用。 (4) 井上泉(2015)『企業不祥事の研究:経営者の視点から不祥事を見る』文眞堂.p.2。 (5) Mishina et al(2010)p.702(桜井(2016)再引用)。 (6) 樋口晴彦(2012)『組織不祥事研究組織不祥事を引き起こす潜在的原因の解明』白桃書房. pp.22-23。 (7) 稲垣博史(2013)『ベトナムの不良債権問題はどこまで深刻か―景気減速の主因は長引くインフ レ圧力―』、みずほ総合研究所。 (8) 「中銀、脆弱な銀行の国有化政策を転換か―金融機関構造改革法草案」 https://www.viet-jo.com/news/economy/170414012327.html 9月1日アクセス。 (9) バーリ&ミーンズ、森杲訳(2014)『現代株式会社と私有財産』北海道大学出版会。 (10) 青井倫一監修・大和総研経営戦略研究所編著(2009)『ガイダンスコーポレートガバナンス』中 央経済社。 (11) 田中正継(1998)「日本のコーポレート・ガバナンス」『経済分析政策研究の視点シリーズ12』経 済企画庁経済研所。 (12) 呉淑儀(2008)『中国国有企業の企業統治改革―第三者機関の役割』創成社。 (13) 郭新平(2008)「市場経済移行期における国有企業のコーポレート・ガバナンス―中国の政治支 配構造と企業統治構造の関連から―」『立教ビジネスレビュー』創刊号。 (14) 唐燕霞(2005)「企業統治と支配のメカニズム」『総合政策論』第10号 島根県立大学総合政策学会。 (15) 加護野忠男(1980)『経営組織の環境適応』白桃書房。 (16) 唐燕霞(2005)「企業統治と支配のメカニズム」『総合政策論』第10号島根県立大学総合政策学会。

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60 (17) 金山権(2013)「中国における国有企業の改革と企業統治―外部監督・監査を踏まえ―」『早稲田 商學』438号 pp.449-472。 (18) 青木昌彦(1995)、『経済システムの進化と多元性』、東洋経済新報社。 (19) 川井伸一(2002)「中国の株式会社におけるインサイダー・コントロール」、『愛知経営論集』、第 145号、pp.37-72。 (20) 唐燕霞(2001)「市場経済移行期におけるコーポレート・ガバナンス―中国国有企業の統治メカ ニズムの構築に向けて」、『総合政策論』、第1号(2001年3月)、島根県立大学総合政策学会。 (21) 唐燕霞(2001)「市場経済移行期におけるコーポレート・ガバナンス―中国国有企業の統治メカ ニズムの構築に向けて」、『総合政策論』、第1号(2001年3月)、島根県立大学総合政策学会。 (22) 奥田英信、ライ・ティ・フーン・ニュン(2013)「国家所有がベトナム上場企業の資本構造と収益 性に与える影響」、一橋大学『アジア研究』 Vol.59、Nos.1&2、June2013。 (23) ドマンホーン(2010)『べトナムの経済発展と民間セクターの振興』、早稲田大学べトナム総合 研究所 p5、2017年5月30日アクセス。 https://www.waseda.jp/inst/cro/assets/uploads/2010/03/c666f048fa86865c33aa510224b404ef.pdf (24) トラン・ヴァン・トウ(2005)「企業から見たベトナムの経済改革」、『東アジアへの視点』、第16 巻第4号、pp.49-58。 (25) 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・馬場杉夫(2012)『進化する日本の経営―社会・トップ・戦略・組織』 千倉書房。 (26) 大谷泰彦(2013)「コーポレート・ガバナンスの制度的補完性―日本型ガバナンスと米国型ガバ ナンスの比較制度分析を通じた考察」『東海大学経営学部紀要』 pp.75-86。 (27) 野村正實(2007)『日本的雇用慣行―全体像構築の試み』MINERVA人文・社会科学叢書p.81。 (28) 野村総合研究所著・鶴谷学著・荻本洋子著・奥雄太郎著(2009)『ベトナム金融資本市場ハンドブッ ク』東洋経済新報社、p.33。 (29) トランヴァントゥ(2016)『ASEAN経済新時代と日本: 各国経済と地域の新展開』、文眞堂、p.169。 参考文献 日本語 著書 1. トラン・ヴァン・トゥ(2016)『ASEAN経済新時代と日本: 各国経済と地域の新展開』文眞堂 2. 井上泉(2015)『企業不祥事の研究:経営者の視点から不祥事を見る』文眞堂 3. 坂本恒夫・鳥居陽介・現代財務管理論研究会(著)(2015)『財務管理論』中央経済社 4. 呉敬璉(著者)・曽根康雄(監訳者)・バリーノートン(編者、解説者)(2015)『呉敬璉、中国経済改 革への道 』NTT出版 5. バーリ&ミーンズ、森杲訳(2014)『現代株式会社と私有財産』北海道大学出版会 6. 坂本恒夫・鳥居陽介・現代財務管理論研究会(著)(2014)『経営分析』税務管理協会 7. 福田慎一(2013)『金融論 -- 市場と経済政策の有効性』有斐閣 8. 樋口晴彦(2012)『組織不祥事研究組織不祥事を引き起こす潜在的原因の解明』白桃書房 9. 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・馬場杉夫(2012)『進化する日本の経営—社会・トップ・戦略・組織』 千倉書房 10. 菊池敏夫・太田三郎・金山権・関岡保二(2012)『企業統治と経営行動』文眞堂 11. 守部裕行(2012)『ベトナム経済の基礎知識』アジア経済研究所 12. トラン・ヴァン・トゥ(2010)『ベトナム経済発展論:中所得国の罠と新たなドイモイ』勁草書房 13. 野村総合研究所著・鶴谷学著・荻本洋子著・奥雄太郎著(2009)『ベトナム金融資本市場ハンドブッ ク』東洋経済新報社

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61 14. 青井倫一監修・大和総研経営戦略研究所編著(2009)『ガイダンスコーポレートガバナンス』中央 経済社 15. 金山権(2008)『中国企業統治論―集中的所有との関連を中心に』学文社 16. 小山明宏(2008)『コーポレート・ガバナンスの日独比較』白桃書 17. 呉淑儀(2008)『中国国有企業の企業統治改革―第三者機関の役割』創成社 18. 野村正實(2007)『日本的雇用慣行―全体像構築の試み』MINERVA人文・社会科学叢書 19. 今井健一・渡邉真理子(2006)『企業の成長と金融制度』、(シリーズ現代中国経済4)、名古屋大学 出版会 20. 唐燕霞(2004)『中国の企業統治システム』御茶の水書房 21. 柳川範之(2002)『不良債権ってなんだろう?』東洋経済新報社 22. 稲上毅・連合総合生活開発研究所(2000)『現代日本のコーポレート・ガバナンス』東洋経済新報 社 23. 坂本恒夫・佐久間信夫編・企業集団研究会著(1998)『企業集団支配とコーポレート・ガバナンス』 文眞堂 24. 深尾光洋・森田泰子(1997)『企業ガバナンス構造の国際比較』日本経済新聞社 25. 伊藤秀史(1996)『日本の企業システム』東京大学出版会 26. 今井健一・渡邉真理子(2006)『企業の成長と金融制度』、(シリーズ現代中国経済4)、名古屋大学 出版会。 27. トラン・ヴァン・トゥ(1996)『ベトナム経済の新展開』日本経済新聞社 28. 青木昌彦(1995)、『経済システムの進化と多元性』、東洋経済新報社。 29. 高橋俊夫(1995)『コーポレート・ガバナンス―日本とドイツの企業システム』中央経済社 30. 白石昌也(1993)『ベトナム―革命と建設のはざま』東京大学出版会 31. 加護野忠男(1980)『経営組織の環境適応』白桃書房 論文 1. 鈴村美代子(2017)「実践としてのコーポレート・ガバナンスの研究パースペクティブ」『経営行 動研究年報第26号』経営行動研究学会 pp.69-73 2. 濱田眞樹人(2017)「企業不祥事はなぜ起こるのか? ―企業不正の防止と発見の見地から―」『経 営哲学』 14(1) 5-13 2017年3月 3. 桜井徹(2016)「企業不祥事とコーポレート・ガバナンス ―福島第一原子力発電所事故と東京電 力―」『商学集志』第86 巻第2 号(2016. 9) 4. 霍麗艶(2016)「中国の上場会社におけるガバナンス改革の課題―日本の近時における改正法の 示唆から―」『四天王寺大学紀要』 pp.251-264 5. 権藤正則(2016)「コーポレート・ガバナンスにおける主権論批判」『商学雑誌』第86巻第1号日本 大学 6. 小 口 俊 朗(2015)「コーポレート・ガバナンス・コードへの期待と課題―中長期的な企業価値 の向上は会社と機関投資家の共同責任―」『証券アナリストジャーナル』2015年8月 7. 境睦(2015)「経営財務の情報分析」『経営財務の情報分析』学分社 8. 三井 哲・黄 怡圓(2015)「中国の商業銀行の不良債権の動向」『名古屋学院大学論集 社会科学篇』 第51巻 第3号pp.79-110 9. 稲垣博史(2013)「ベトナムの不良債権問題はどこまで深刻か―景気減速の主因は長引くインフ レ圧力―」 『みずほリポート』みずほ総合研究所 10. 大谷泰彦(2013)「コーポレート・ガバナンスの制度的補完性―日本型ガバナンスと米国型ガバ ナンスの比較制度分析を通じた考察」『東海大学経営学部紀要』 pp.75-86

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11. 奥田英信、ライ・ティ・フーン・ニュン(2013)「国家所有がベトナム上場企業の資本構造と収益

性に与える影響」一橋大学『アジア研究』 Vol.59 Nos.1&2 June2013

12. 金山権(2013)「中国における国有企業の改革と企業統治―外部監督・監査を踏まえ―」『早稲田 商學』438号 pp.449-472 13. 中兼和津次(2013)「「中国モデル」再考:それは新しい開発・移行モデルなのか?」『比 較 経 済 研究』第50巻第1号(2013年1月)pp.53-65 14. 西崎賢治(2013)「中国における不良債権処理の可能性と今後の展望―資産管理会社を中心に―」 『中国経営管理研究』第3号 15. 増川智咲(2013)「ベトナムにおける不良債権問題と働き出した対象」『国際金融』 外国為替貿易 研究会

16. 世 界 銀 行(2012)[The World Bank], “Remaining Resilient” , East Asia and Pacific Economic Update 2012 - Volume 2, 2012. 17. 孫麗(2012)「中国の地方国有企業における企業統治と党(=政府)の関与 : 中国的企業統治シス テムの課題」『北海学園大学経営論集』 10(1)pp. 97-119 18. トラン・ヴァン・トウ(2012)「ベトナム経済の現段階:発展論と体制移行論からみた特徴」『比 較 経 済 研 究』第49巻第1号(2012年1月)pp.15-30 19. 柴田努(2011)「バーリ&ミーンズの株式会社論 ―巨大株式会社規制の理論的根拠をめぐって―」 『都留文科大学研究紀要』 第74集2011年10月 20. 楊巧麗(2011)「中国における不良債権問題処理のあり方の検討 ―1990 年代における不良債権問 題の日中比較から―」『名城論叢』 第12巻第1号名城大学 21. ド・マン・ホーン(2010)「ベトナムの経済発展と民間セクターの振興」『早稲田大学総合研究機構 プロジェクト研究第5号』早稲田大学総合研究機構 pp.93-106 22. 郭新平(2008)「市場経済移行期における国有企業のコーポレート・ガバナンス―中国の政治支配 構造と企業統治構造の関連から―」『立教ビジネスレビュー』創刊号 23. 境睦(2007)「マクロとミクロの条件下での最適なコーポレート・ガバナンスシステムの設計」『経 営政策論集』第7集 pp.41-63 24. 境睦・任雲(2007)「経営者株式報酬制度のメリットと問題点―今後の日本企業における経営者報 酬制度の最適化に向けて―」『経営政策論集』 Vol.6 No.2 pp.1-22 25. 小山厳也(2007)「企業不祥事』と企業における問題の認識」企業倫理研究グループ『日本の企業 倫理企業倫理の研究と実践』白桃書房 26. 李霄航(2007)「中国国有企業における企業統治」『經濟論叢』京都大学経済学会第180巻第3号 2007年9月。 27. 榎並洋介(2005)「アダム・スミスの株式会社論」『星薬科大学一般教育論集 』第23号2005年 pp.19-57 28. 境睦(2005)「異なった経済環境下における最適なコーポレート・ガバナンス・システム―日本 企業のコーポレート・ガバナンスの今後の方向性」『経営政策論集』 Vol.5 No.1 29. 唐燕霞(2005)「企業統治と支配のメカニズム」『総合政策論』第10号 島根県立大学総合政策学会 30. トラン・ヴァン・トウ(2005)「企業から見たべトナムの経済改革」『東アジアへの視点』第 16巻 第4号 31. UFJ総合研究所(2005)「ベトナム経済の現状と課題―ベトナムの国有企業問題―」『調査レポー ト04 /114』 32. 黄剣毅(2004)「中国におけるコーポレート・ガバナンスに関する一考察」『桃山学院大学太平洋 圏経営研究』(5)pp.113-115 33. 西村晋(2004)「現代企業制度の下での中国国有企業の支配と統治構造」『創価大学大学院紀要26』

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63 pp.1-18 34. 宮島英昭(2004)「解題―いまなぜ企業統治が問題なのか―」『ニッセイ基礎研所報』Vol.33 pp.3-23 35. 川井伸一(2002)「中国の株式会社におけるインサイダー・コントロール」、『愛知経営論集 』、第 145号、pp.37-72。 36. 境睦・任雲(2002)「日本の金融システムとコーポレート・ガバナンスの変革:情報の経済学から のアプローチ」『年報財務管理研究13』 日本財務管理学会 pp.30-41 37. 中兼和孝次(2002)『経済発展と体制移行』(シリーズ現代中国経済1)、名古屋大学出版会 38. 唐燕霞(2001)「市場経済移行期におけるコーポレート・ガバナンス―中国国有企業の統治メカニ ズムの構築に向けて」、『総合政策論』、第1号(2001年3月)、島根県立大学総合政策学会。 39. 平田光弘(2001)「OECDのコーポレート・ガバナンス原則―デジューレ・スタンダード―」『経 営研究所論集』第24号 pp.277-291 40. 広田真一・宮島英昭(2001)「メインバンク介入型ガバナンスは変化したか―1990 年代と石油 ショック時の比較」『現代ファイナンス』No. 10 pp. 35-61 41. 唐燕霞(1999)「中国国有企業のコーポレート・ガバナンス―国有企業の統治構造の変遷をめ ぐって」『日中社会学研究』日中社会学会 42. 田中正継(1998)「日本のコーポレート・ガバナンス」『経済分析政策研究の視点シリーズ12』経 済企画庁経済研所 43. 加護野忠男(1981)「経営組織論の新展開」『国民経済雑誌』143(4)pp.92-113 外国語

参照

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