鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変
形挙動 : 壁厚が薄い場合
著者
久徳 琢磨, 徳広 育夫
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
31
ページ
133-139
別言語のタイトル
Strength and deformation behaviors of
reinforced concrete columns with wing wall in
one side
鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変
形挙動 : 壁厚が薄い場合
著者
久徳 琢磨, 徳広 育夫
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
31
ページ
133-139
別言語のタイトル
Strength and deformation behaviors of
reinforced concrete columns with wing wall in
one side
鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変形挙動
一壁厚が薄い場合一久 徳 琢 磨 ・ 徳 広 育 夫
(受理平成元年5月31日) STRENGTHANDDEFORMATIONBEHAVIORSOFREINFORCEDCONCRETECOL‐ UMNSWITHWINGWALLINONESIDE Takuma,KYUTOKUandlkuo,TOKUHIROTheequationsoftheultimatestrengthforacolumnwithwingwallsinbothsideswhichhave
beengenerallyused,arenotalwaysestimatedwithaccuracy,ascomparedtotheultimatestrengthfor
rectangularcolumns,becauseofthecomplicatedsectionofthecolumn, Moreover,thoseequationshavebeenappliedtocolumnswithwingwallinoneside・Thesections ofthecolumnswithwingwallsinbothsidesaresymmetric,whereasthosecolumnswithinoneside areunsymmetric・ Accordingly,itisassumedthatthesetwotypesofcolumnsaredifferentinfailurepatternsand deformationbehaviors・Theobjectofthispaperistoinvestigatethestrengthanddeformationbe-haviorsofthefourtypesofconcretecolumnswithwingwallinoneside,andtopresentasatisfactory equationoftheultimatestrengthforthecolumnswithwingwallinoneside. 1.序 両側袖壁付き柱の曲げ終局強度,及びせん断終局強 度推定式は,長方形柱の終局強度推定式に比べ強度に 及ぼす因子が多いため精度が悪い。また,片側のみに 袖壁の付いた柱の終局強度は,この種の実験が極めて 少ないため上記両側袖壁付き柱の終局強度推定式を準 用している。両側袖壁付き柱のように対称断面を有す る部材の柱頭および柱脚の曲げ終局強度は同一である のに対し,片側袖壁付き柱のような非対称断面部材で は,柱頭および柱脚の曲げ終局強度は異なる。このこ とから,片側袖壁付き柱の破壊‘性状および変形挙動は, 両側袖壁付き柱部材とは相違があると考えられる。片 側袖壁付き柱についての既往の実験では,柱部材全体 を試験体としているため,すなわち柱の中央部に反曲 点が生じるような加力方法であるため,加力方向の相 違による部材の耐力,及び変形性状の相違はほとんど 表面には表れてきていない。したがって,本研究では, この種の非対称部材の耐力,及び変形性状を抽出する ため柱部分の下半分を取り出し,片持ちばり形式によ る加力実験を行った。 2 . 実 験 概 要 2 − 1 . 試 験 体 試験体形状は,実際の建物の約1/3のスケールを想 定している。 本実験では壁厚が薄い場合の破壊および変形′性状を 明らかにする目的から,各試験体の壁厚tと柱幅bと の比をt/b=l/4とした。また,部材の終局強度に及 ぼすせん断スパン比および壁筋比の影響を検討するた め,壁の張り出し長さを柱せいと同一および柱せいの 2倍を有する場合を設定し,おのおのの場合について 壁筋比を変えて試験体を製作した。したがって,実験 に際し採用したパラメータは,壁の張り出し長さ比, および壁筋比の2種である。 試験体の種類を表−1に示す。また,試験体の形状・ 寸法および配筋の一例を図−1(a),(b)に示す。同表 中において,試験体名はCW−β−Pw−Psで表して134 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 1 号 ( 1 9 8 9 ) 表 − 1 試 験 体 の 種 類
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・設計基準強度:180k9/cIf ・所要スランプ:21cm ・粗骨材の最大寸法:13cm コンクリート打設時にテストピース(直径10cm,高 さ20cm)を各試験体について5本ずつ計20本採取し, 試験体と同一条件で空中養生した。 実験を行う前に各試験体ごとに採取したテストピー ス(5本)の圧縮試験を行った。 柱および壁に使用した鉄筋は,SD30のD6(帯筋 および壁筋に使用)とD13(柱主筋に使用)の2種類 である。 コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 試 験 結 果 と 鉄 筋 の 引 張 試 験 結 果 を表−2に示す。 2−2.材料の性質 コンクリートは,砕石・砂を用いた普通コンクリー トであり,下記の設計条件により発注したレデーミク ストコンクリートを使用した。 [設計条件] ・コンクリートの種類:標準品(普通ポルトランドセ メント) 062150 一 弐 [8m﹂1111 つ○ぬ 。︵︶。。 おり,CWは壁付き柱を表し,βは壁の張り出し長さ 《wと柱せぃDとの比,Pwは帯筋比,およびPSは壁 筋比を表している。なお,Pw,PSの各数値は百分率 で表した場合の小数点以下2桁の数字で示している。 試験体のはり,および柱断面の寸法および配筋は同 一とした。 。。。│
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4.022 2.,1:I 図−1(a)試験体の形状p寸法及び配筋 (CW-1-64-85,CW−l‐64-42) /−−/型
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06,50 試験体名 CW-2-64-85CW-2-64-42CW-1-64-85CW-1-64-42 柱幅b(c、) 20 柱せいり(c、) 20 壁厚t(c、) 5 壁長さ2W(c、) 40 40 20 20 柱 主 筋 帯 筋 4−,13(Pt=0.64%) D6,50(Pw=0.64%) 壁 壁 筋 PS(%) D6,75 0.85 D6,150 0.42 D6,75 0.85 D6,150 0.42 一一一 一一 = 一一一 = = 一一一 −1T
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ノ用いて測定した。変位計4および5,ならびに変位計 6および7は,各高さ位置での部材の回転角を測定す るために設けた。また,図−5(a),(b)に示す位置で 柱の主筋,帯筋,および縦壁筋の歪をW、S、G・を用い て測定した。 3 . 実 験 結 果 3−1.水平荷重一変形関係およびひび割れ'性状 実験より得られた荷重一変形曲線を図−6(a)∼(。) に示す。また,最大耐力時および最終的なひび割れ状 況を図−7(a),(b)に示す。 図−6から分かるように,各試験体とも加力方向の 相違による耐力の差が顕著である。一方,変形増加に よる耐力の低下は,負加力時ではほとんど見られず安 定しているが,正加力時では最大耐力後急激に耐力の 表 − 2 材 料 の 性 質 2 − 3 . 加 力 方 法 加力装置の概要を図−2に示す。試験体は,基礎部 分を反力フレームにPC鋼棒で締めつけ固定してい る。 水平加力は,柱頭変位を基礎上端から加力点までの 距離で割った部材角で制御する正負交番繰り返し加力 である。柱軸力は,柱が靭性を保持するための限界と
して示されている値')近傍N/(bDぴB)=l/3を目安と
し,各試験体とも同一の23ton(N/bD=57.5k9/cnf) である。軸力は,実験中一定値を保つように制御を行っ た。加力サイクルを図−3に示す。 久徳・徳広:鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変形挙動一壁厚が薄い場合一135 図 − 2 加 力 装 置 2 − 4 . 測 定 方 法 荷重は,ロードセルにより検出した。また,水平お よび鉛直変位は図−4(a),(b)に示す位置で変位計を コ ン ク リ ー ト ぴ B (k9/c㎡) C W − 2 − 6 4 − 8 5 192 C W − 2 − 6 4 − 4 2 191 C W − l − 6 4 − 8 5 196 C W − l − 6 4 − 4 2 217 鉄 筋 種 類 ぴ Vロ (k9/cnf) ぴmax(k9/cnf) D6 3,732 5,156 D l 3 3,513 4,647136 部材角R (×10−3rad.) 図−4(b)水平および鉛直変位測定位置 (CW‐2‐64-85,CW‐2-64-42) 4 6. P可︽U︽I
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G、 図 − 3 加 力 サ イ ク ル 】 別 ) 雨 1 , 1 0 戸 司 弓 300 7 ‐ − 1I g⑨訓ITII
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図−5(a)鉄筋の歪測定位置 図−4(a)水平および鉛直変位測定位置 (CW‐l‐64-85,CW−l−64−42) (CW-l-64-85,CW−1‐64-42) 1 5 0 1 5 0 1 0 5 M O 1 − F r F 1 ’173 F 一 − − - 丁1
7 1 3 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 1 号 ( 1 9 8 9 ) 穴4号 ︵︶︷︶や︾ 図−5(b)鉄筋の歪測定位置 (CW‐2‐64-85,CW−2−64−42) 9■■39日■4う67
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」久徳・徳広:鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変形挙動一壁厚が薄い場合一137 破壊が進み,最終的に壁側の柱脚にもコンクリートの 圧縮破壊を生じながら耐力が低下していき,また CW-l-64-85およびCW-l-64-42試験体では最大耐力 後には柱脚部のコンクリートの圧縮破壊が壁外端から 柱側へ進展していき耐力が低下していった。変位増加 に伴う耐力低下は次第に緩慢になり最終的な耐力は負 低下が生じている。耐力の低下の割合は,壁の張り出 し長さの大きなCW-2-64-85およびCW-2-64-42で顕 著である。図−7に示すように,各試験体とも柱には 軸力を保持しえなくなる程の顕著なせん断ひび割れは 発 生 し な か っ た た め , C W - 2 - 6 4 - 8 5 お よ び CW-2-64-42試験体では最大耐力後には壁のスリップ 図−6(a)水平荷重一変形曲線(CW‐l‐64-85) 図−6(b)水平荷重一変形曲線(CW-l-64-42) 図−6(c)水平荷重一変形曲線(CW‐2‐64-85) 図 6(d)水平荷重一変形曲線(CW−2‐64-42) C w − 2 − 6 4 − 8 5 C w − 2 − 6 4 − 4 2 図−7(b)最終的なひび害りれ状況 C W − 2 − 6 4 − 8 5 C w − 2 − 6 4 − 4 2 図−7(a)最大耐力時のひび割れ状i兄 CW−l−64−85 Cw−l−64−42 C W − l − 6 4 − 8 5 Cw−l−64−42 [〔;W-1-64-4g] FItI〕「I) ,。…・・・・・・・・,.…・・・・−.・‐-...----..'・鼻・‘1写 。.-』散 伊 ■ L ▲ 凸 一 ■ - ウ ■ ① - − 一 凸 十 F I … 。 弓 − 全 = = 富 一一
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断面を全せい(柱せい+壁張り出し長さ)が同一で,
かつ全断面積が同一の等価な長方形断面に置き換えて 使用するものである。したがって,これらの式では袖 壁付き柱の破壊は壁および柱が一体となって同時に生 じるものと考えているものである。 しかし,柱に壁が付いた場合,特に壁が圧縮側にな る場合にはせん断力のほとんどが壁板に負担されてい るため,壁板の破壊が部材全体の破壊より先行したときには壁部の耐力は部材全体の耐力に大きく影響を与
えるであろう。したがって,本報では壁が圧縮側にな る場合の袖壁付き柱の終局強度を柱の曲げ終局強度と 壁とせん断終局強度との累加によって求め.,その計算 値と実験値との検討も行った。なお,壁のせん断終局 強度は,壁板がスリップ破壊する場合の算定式を使用 した。 終局耐力算定に用いた式を以下に示す。 [袖壁付き柱の曲げ終局強度] Qbu=Mu/h M。=(0.9+β)αヒグンD+
M
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・・・…(1) [袖壁付き柱のせん断終局強度]Q扇卿={叩謡器圭‘瞳)+叩厩雨}b小+0Ⅲ
………(2) [柱のみの曲げ終局強度] Mu=0.8atぴyD+0.5NDll−N/(bDぴB)|………(3) [壁のせん断終局強度]Quws=(2.4偏十3400PS)t・li"
(4) ここに,記号については文献2),3)を参照。 実験値と計算値との比較を表−3に示す。実験値と 実際の破壊形式に対応する計算値とを比較すると,以 下のようになる。 [CW-2-64-85,CW-2-64-42] 壁がせん断スリップ破壊した正加力時では,計算値 QSuは実験値より1∼2割程高い値(平均値1.14)を 示している。また,壁が引張側になる負加力時では, 計算値Qhuは実験値より3∼4割程低い値(平均値久徳“徳広:鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の耐力および変形挙動一壁厚が薄い場合一139 表−3 実 験 ↑算値との比較(単位 :to、) 試験体名 加力 Q吟xp Qbu Qbu/QeXp Q負u Q篇u/Qexp QuⅥ'烏 Q11W胃/QPXp CW-l-64-85正 側 負 10.5 6.2 16.2 5.7 1.54 0.92 10.7 6.8 1.02 1.10 12.0 1.15 CW-1-64-42正 側 負側 9.2 6.2 16.3 5.8 1.77 0.94 11.2 6.2 1.22 1.00 10.8 1.17 CW-2-64-85 正 側 負側 17.8 9.7 27.1 5.7 1.52 0.59 20.6 7.3 1.16 0.75 18.1 1.02 CW-2-64-42正 側 負側 17.9 8.6 27.1 5.7 1.51 0.66 19.9 6.6 1.11 0.77 15.2 0.85 *Qexp=実験h Q馬u=せん断 局 強 度 計 算 値 Qbu=曲げ終局強度式から求めた計算値 QMw篇=柱と壁の強度を累加して求めた値 0.63)を示している。 [CW-l-64-85,CW−l 64 42] 壁が圧縮側になる正加力時では,計算値Qbuは実験 値より5∼8割程高い値(平均値1.66)を示している。 一方,負加力時では計算値Qbuと実験値との対応は良 い(平均値0.93)。 このことから分かるように,壁が圧縮になる場合に は,壁の張り出し長さが少ない程計算による終局強度 は誤差が大きくなっている。それに対し,壁が引張側 になる場合には,壁の張り出し長さが大きいほど誤差 が大きくなっている。 これは,上式が断面を長方形に置き換えているため, 壁が圧縮側になる場合には壁の張り出しが少ないほど 圧 縮 域 の ス ト レ ス ブ ロ ッ ク を 過 大 に 評 価 す る た め で あ る。また,壁筋の影響を無視しているため,壁が引張 側になる場合には壁筋による抵抗モー’ン卜を壁の張 り出し長さが大きくなるほど過小評価することになる ためである。 また,柱の強度と壁の強度を累加して求めた計算値 Quw.と実験値とを比較すると,CW−l 64-85および CW-l-64-42試験体では,計算値と実験値との比の平 均は,.,6であり,CW-2-64-85およびCW 2 64 '2試 験体ではその平均は0.94である。 壁が圧縮側になる場合,上述した既往の式(1),(2)を 用いて算定した値に比べ,柱の強度と壁の強度の累加 式による計算値の方が精度が改善されている。ただし, 壁の張り出し長さが少ない試験体では,いまだ精度は 良くない。この理由として,これらの試験体では曲げ による壁部および柱コンクリートの圧縮破壊で終局に 至ったため,累加式による強度算定で仮定した「壁は スリップ破壊」という条件に合致しなかったことが考 えられる。 5 . 結 び 片側に薄い(t/b=1/4)袖壁の付いた柱について,せ ん断スパン比および壁筋比をパラメータとし片持ちば り形式により実験を行った。その結果,壁筋はわずか だが部材の耐力に影響を与えていることが分かった。 また,壁が圧縮側になる場合の終局強度は,柱の強度 と壁の強度とを累加して求めた値の方が既往の強度式 を 用 い て 求 め た 値 に 比 べ 精 度 が 改 善 さ れ る こ と が 分 かった。 [文献] 1 ) 池 田 昭 男 : “ 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 柱 の 塑 性 率 お よ び 軸圧縮力の限界値について",日本建築学会大会学 術講演梗概集,昭和43年10月,pp、769∼770. 2)日本建築学会:“建築耐震設計における保有耐力 と変形性能,,,昭和56年8月,pp,162∼163. 3)日本建築学会:“鉄筋コンクリート構造設計規準・ 同解説''’1988,pp、638.