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第VII報 核分裂生成物(Fission Prodncts)の海藻への転移に関する研究

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(1)

第VII報 核分裂生成物(Fission Prodncts)の海藻へ

の転移に関する研究

著者

齊藤 要, 鮫島 宗雄

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

5

ページ

196-204

別言語のタイトル

Studies on the contamination of marine algae

by fission products

(2)

196

第VⅡ報.核分裂生成物(FissionProdnctS)の

海藻への転移に関する研究*

審 藤 要 ・ 鮫 島 宗 雄

StudiesontheContaminationofMarineA1gae

byFissionProducts

K円n月meSAIT6・MuneoSAIvmsHIMA 緒 言 1954年ビキニ環礁で行われた原水爆実験は我が国の水産業に多大の損害を与えたが,アメリ カは1956年6にも叉同環礁附近で約-1-回にわたり原水爆実験を行った.その人類に及ぼす影響

は世界の関心を集め種々論議検討されているが’特に汚染が著しいと考えられる北赤道海流域

は我が国の主要漁場である事よりそれが水産物並びに水産業に及ぼす影響については無視し得 ないものがある.

このような見地より魚介類の放射能汚染に関しては我が国でも数多くの研究1〕’2〕『3ルIDが発表

されており'著者等も既に前報5)に於て鹿児島県に水揚げされた放射能汚染魚について若干の結 果を報告した.ところで藻類特に海藻類の汚染に関する研究は極めて少い、Boss氏6)は各種淡 水産生物の核分裂生成物による汚染を比較検討●し’糸状藻類への吸収が最も大きく植物プラン クトンがこれに吹ぎ,魚の場合は汚染藻類を餌料とする魚種に多くの放射能を検出したと述べ ている.このように藻類は魚介類に比し直接食用としての利用度は少いにしても放射性物質が 海藻を通して魚体へ転移する可能性は極めて大きいし,叉原子力の平和利用の発展に伴って当 然生ずる核分裂物質を含む廃棄物による沿岸生物の汚染問題等を考えると,海藻類の放射能汚

染対策に関する研究もゆるがせに出来ない.叉一方放射性同位元素による海藻の栄養生理に関

する研究も極めて興味深い分野である.

本報ではかような観点に基づく基礎実験として,核分裂物質の海藻類への転移並びに除去其

の他について検討.した結果を報告する. 実 験 の 部 放射能汚染海水の調製:東洋臆紙No.2で徳過した海水を直径30cm,3ノ容カラス製水槽 に1,500ccとり,これにfissionproducts(F・P.と略す)・…・・OakRidge製BatchNo、24, 1.58士5%、c/cc,Assay22-9-1955,4.3NHNO紐溶液……を大略mc/500.000/cc及びmc /1,000,000/ccの濃度になるように加え,前者を強汚染海水,後者を弱汚染海水として使.用した. 汚染海水の持つ放射能強度については各実験の項に記載する. 放射能測定法:海藻試料は水道水で附着する培養海水を洗い去り徳紙にて水切り後,約80℃ の電熱乾燥を:行い粉末となしその100mgをステンレス製試料皿にとり,又培養海水は駒込ピ ペットで0.5ccを同じく試料皿にとり赤外線ランプにて照射乾燥後測定した. *本報は昭和31年4月,日本水産学会(水産物に対する放射線の影響に関するシンポジウム)に L発表.

(3)

祷 藤 要 ・ 鮫 島 宗 雄 : 核分裂生成物の海藻への輔移並びに除去に関する研究 197

計測は科研製Model32GM計数器(マイカの厚さ29mg/cm2)を使用して5分∼15分

間行い,自然計数を差引いたnetcpmとして表示した.なお測定距離は海藻試料‘ではマイカ

窓から75mm,海水試料は15mmであるが,β線吸収率測定の場合は全て25mm,天然産

海藻の持つCountの測定には15mmの距離で行った.

供試海藻:いづれも1955年12月∼1956年3月に鹿児島市鴨池海岸で採集したものである

が,その種類は次の如くである.

緑 藻 類 ア ナ ア オ サ U Z f ノ α p 〃 " s α

ヒ ト エ グ サ M ひ れ C s か o " α 〃 湿 湿 況 沈 ア オ ノ リ E " f e γ O 郡 o γ ” α " i f g s が 邦 α " s 褐 藻 類 セ イ ヨ ウ ハ バ ノ リ 〃 e a F a s c ” F γ ” s カヤモノリSc"0sや"o"/o"e"'f”Z"s 上 ジ キ H ツ ノ 澱 i α か s j 九 w z g ウ ミ ウ チ ヮ P α ” 〃 α α γ 6 o γ 9 s “ 〃 s ヤツマタモクSαγgasszf'”pαメe〃s フ タ エ モ ク S ” g a s s 況 獅 私 邸 p 〃 c α 加 加 イソモクSαγgassz"”んg”p"y恥js 紅 藻 類 オ ォ オ ゴ ノ リ G γ α c 〃 ” j s g j g a s 力 バ ノ リ G γ α c 〃 ” i s T e 郡 o γ ガ オキツノリGy"z"090"gγ"s〃α〃e〃f フクロフノリG/αcop”がs"γcaifa エツキツカサノリCa〃j"z”zjesががif” ツクシアマノリPCγカルyγαsz必oγ師czfZafa ア サ ク サ ノ リ P C γ カ ル y 〆 α ” 〃 〃 a 実1験結果及び考察 天然海藻の放射能強度 天然のカリウム中には放射性同位元素K10の存在が知られているが,海藻中には特にカリウ ム含量多くその資源として注目されている種類があるので,実験に先立ち天然産海藻の持つ放 射能強度について比較検討した. 海藻は乾燥粉末として19をステンレス製試料皿にとり計測したが,この結果はTablelの 如く褐藻類のヤツマタモク,紅藻類のオゴノリ等に比較的count高く,緑藻類に少い様な傾向 が認められ,中には10cpm/g以上を示すものがある.これらのCountと試料.のK含量との 相関的関係の有無はなお検討中である.以上の理由で海藻を試料とする場霞合は通常のback groundの外に海藻自体の持つCountを考慮する必要がある.しかし次記の各実験で考慮すべ き供試海藻自体のCountは本報告‘の測定条件,即ち試料の量及び計測距離に於てはTablel に示す数値の約1/50程度である. F,P,によるアナアオサの汚染

環境水がF、P・で汚染された場合及び汚染された海藻を再び未だ汚染されない正常海水に戻

した場合の放射能強度の変化を,アナアオサを試料とし二,三の条件下で検討した。

(4)

4 士 2 198 ヒ ト エ グ サ 亜b”osjγ07"α7㎡“α2” ア オ ノ リ E”オ”o"2”zウルα"/9s鋤zα〃s 褐 藻 類 Pルago”シcGae・ セ イ ョ ウ ハ バ ノ リ 〃gaFaciaFγjgs カ ヤ モ ノ リ Sc"Cs幼〃”z/o郷”#αγizJs 上 ジ キ Hが』んjα灸Js”γ郡e ウ ミ ウ チ ワ Pα飯”ααγ加7'gscgシfs ヤ ツ マ タ モ ク Sαγgassz”z'α姥2S 紅 藻 類 R加CIO力勿cgag オ オ オ ゴ ノ リ Gγαc〃αγiagjgas 力 バ ノ リ Gγαc〃α?・jaTgxfoグガ オ キ ツ ノ リ GJ7""090"gγ"s〃α”/〃 フ ク ロ フ ノ リ Gノαcope/〃s九〃caifa エ ツ キ ツ カ サ ノ リ Ca"””すgs"がZαオ ツ ク シ ア マ ノ リ POγ”ツγαszめひγ6jc"Zαオα Table1.Radioactivityofseveralspecies、ofmarinealgae. 6 士 7 3士2 緑 藻 類 C〃”0カノセ夕cgag ア ナ ア オ サ U/沙α力””sa 鹿 兄 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 KCI(cpm/500mg、一K)

332232

士士士士士士

179577

1 cpm/9.ofdriedmatter Species 78士5

22233

士士士士士

77340

1 ・培養条件:アナアオサは採集後徳紙にて水切りし40gづつの6群に分け,その2群を1組 として次の3区分に分けた. 1)そのま』、処理を加えない区分 2)2%formalin含有海水に5分間漬け細胞を固定した後,正常海水で充分洗樵した区分 3)コンクリート床上にて直射日光に約10時間当て乾燥枯死させた区分 2)及び3)区分は原藻の生活機能を失わせ,藻体表面の状態を変化させたもので,1)に 対する対照である. F、P・汚染海水は強弱3個づつ調製し各区分のアナアオサを1群づつ入れた.汚染海水中の 培養は24時間,水温10。∼15.Cで,開始後12時間までは1時間ごとにガラス棒で海水を撹拝 し藻体が汚染海水に均等にふれる様にした.24時間経過後正常海水で充分洗樵し2,000ccの正 常海水を入れた水槽に移し,以後は1日に2回新しい海水と交換し所定時間ごとに各試料の放 射能強度を測定した.測定は汚染海水に培養中は藻体及び環境水の両者について,正常海水に 培養中は藻体についての桑行った.以上の条件で数回の実験を試染たが何れもほ堂同様の結果 が得られ,その代表的な例はFigl及びFig.2に示す通りである.

(5)

0 199 7 奔 藤 要 ・ 鮫 島 宗 雄 : 核分裂生成物の海藻への輔移並びに除去に関する研究

大略の傾向を述べると,243cpm/ccの放射能を持つ強汚染海水1,500cc中に409のアナア

オサを培養した場合,放射性物質は急速に藻体へ転移し4時間後には殆んど最高に達し,24時

間培養後藻体に転移した放射能は最初培養液中に存在した全放射能の約75%にも及んだ.一

方83cpm/ccの弱汚染海水に於ても放射性物質の転移は速かで6時間後には平衡状態となり,

24時間後には全放射能の約58%が藻体へ移る結果となった.これと同時に行った生活機能を

失った藻体による対照実験でも生活原藻と同じ傾向で転移したが,24時間後藻体へ転移した放

射能は強汚染,弱汚染海水それぞれ約80%及び約60%となり生活原藻よりや』強く汚染さ

れるという予想外の結果を得た.一方正常海水に移した場合,生活原藻からは1,2,3週間後

にそれぞれ約25,50,70%の放射能が失われるのに対し,生活機能を失った藻体からの減少は

殆んど認められない結果となっている.

このように本実験条件下に於けるアナアオサはF・P、によって汚染された環境水中で容易に

汚染され,しかも環境水単位量当りの試料・の重量より考えると魚介類より汚染度が高くしかも

lnF・P.-contaminatedseawater mnormalseawater Cpm 200 」 InnormalseawnteT 閃 1 西国農]U何○石、函 ? − 0 0 1 2 3 4 5 6 ‘ ' 24 dayS 14 24 Fig.2.Count-variationofUノ〃αP”/〃saculturedintheF・P.− contaminatedandnormalseawater,−2.(atlO。∼15°C.) 0 5 盃 ︺ ﹃ シ ロ U 両 O [ ロ ロ ﹀ 閏 tlrS, Fig.1,Count-variationofU/〃αZウgγj〃saculturedintheF.P・‐ contaminatedandI1ormalseawater、−1(atlO。∼15℃.) Algaewithvitality ---Algaelostvitalitybyexposuretosunlight ‐園一一一一〃〃〃bybeingimmersedinformalin ▲Radioactivityofculturedseawater lncaseofalgaethestandardofmeasuringcpm,wasparlOOmg・ofdriedmatter bydistanceof1.5cm・andincaseofseawateritwasperlcc・waterbydistance of7o5cm・ThesestandardsareapplicableinFi9.1,2,3,and4andTable3. 一 ○ 一 一 ② 一 元 100 一 一 - − − 僻 。 ● ④ 14 llrS. days 2 3 4 5 6 ダ ダ 2 4 0 21

(6)

75 200 81 速かに汚染が行われるようである.その上一度汚染されるとその放射能は容易に転移しない傾 向も認められる.(魚介類の汚染については後に報告する)なお放射能汚染海水の量に対する海 藻量と汚染度の関係についても検討する予定であるが,何れにしてもF・P,による海藻の放射 能汚染はかなり重要視すべき問題と思われる. 汚染した培養海水並びに藻体のβ線吸収率 前述の如くF・P、汚染海水中ではアナアオサは生活力の有無にか』、わらずかなり汚染される のであるが,この場・合の汚染は藻体の生活現象に,伴うF・P・構成元素の選択的な生理的吸収に よると考えるより,むしろ生活力とは無関係なF・P.と藻体成分間の物理化学的吸着現象に起

因する事が予想される.これらの汚染機構については目下検討中であるが,孜に予備実験とし

て行った各試料・のβ線吸収率測定の結果について述べる. 前項と同条件のF、P・強汚染海水で培養中に,アナアオサの生活原藻及び生活機能を失った

藻体に転移した放射性物質,並びに培養海水中に残る放射性物質についてβ線吸収率を求めた

結果はTable2の如くである. Table2 β-rayabsorptionrateofF・R-contaminatedseawater andU/沙α力〃Zzjsaculturedinitfor72hrs. (Estimatedradioactivity%) 85 88 幸AIgaelostvitalitybybeingimmersedinformalinsolution・ 培養開始前の海水即ちF、P・の稀釈液中の放射性元素の殆んどがβ崩壊を行う元素より成立 っていると考えられるが,72時間培養後の海水及び藻体共にほぼ同様のβ線吸収率を示してい る.勿論この結果の承でアナアオサのF・P、を構成する放射性物質に対する選択吸収性の有無 を論ずる事は困難であって,もしこのF・P・に含まれる放射性元素が一種であれば,この結果よ り選択吸収性無しと言えるが,二種以上含む場合は,たとえ選択吸収されていても各元素のβ線 エネルギーに差が無ければ判定はむづかしい.しかしアナアオサは生活機能の有無にかLわら ず同程度の速度及び強さで放射能汚染を受け,更にβ線吸収率についても殆んど同じ結果を得 た事から,少くともこの場"合の初期汚染は主としてF・P.と藻体成分間の物理化学的吸着現象 に起因する可能性は充分考えられる.

各種海藻間に挫ける放射能汚染度の比較

1 3

TIWo率|謡艦

Afterculture 93 Normalalgae Algaefixedbyformalin 67 A1-absorber

愚§だ鋪lSeawaterlA1gaelSeawaterlA1gaelSeawater

84 80 1 0 100 100 100 100 100 1.9 92 92 剛2 92 96 4.8 83 88 88 96 9賭 10.7 鹿 兇 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 52 H 1 53 52 18.0 33 1 56 77 85 41.0 58 74 72 72 56 110.0 7 28 11 8 1350.0 245.0 18 12 16 30 540.0 口働 13

(7)

Cpm 201 partof 次 に 海 藻 の 種 類 に よ っ て こ の 転 移 状 cpm 態 に 相 違 が あ る か 否 か を , ア ナ ア オ サ ’ 0 0 と外観上の形態の類似した紅藻類のア 旨 サ ク サ ノ リ , 褐 藻 類 の セ イ ヨ ウ ハ バ ノ . 、 #50 リ を . 用 い て 比 較 実 験 し た . 、 gp I 2 1 培養は弱汚染海水(113cpm/cc) 3,000ccを調製し,3種の海藻を各20g

入れ水温10。∼15℃で3日間培養し,ー0

l l InF・P.-contaminatedseawaterlllnnorrnalseawater

-

-

-

-

-

-

-

’1

4

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S”g“s”zd”"c”"7$S、pα#”sS・舵”p〃y〃"s C u l t u r e d S e a w a L G r A I g a e 」Beforccul‘urcl/////////lRoot lAftfor24hourS l塞謹華麗lStalk にミ≧さミミILeaf :Air-vcsiclcs Fig・4.Variationofcontaminationpropotionallyshiftedthe thealgae(culturedatlO。∼15℃.) ﹃ ヘ ヘ ヘ ヘ 、 トーーューーー÷−−−; 『 ■ ③

!'--÷−−ゥ

AIgael ロ 。 皇 入 れ 水 湿 上 U ∼ 上 D し で ご ' 二 I 間 堵 奏 し , ‐ 0 2 4 4 8 7 2 り 2 4 4 8 7 2 hrs・ hrs, 0,12,24,48,72時間後に計測を行つ Fig.3.Count..variationofseveralspeciesofalgae

た・ついで汚染海藻を正常海水に移しculturedinF・P.-contaminatedand

毎日海水を交換して3日間培養し,放normalseawater.(atlO。∼15°C.)

射能強度の変化を測定してFig.3に−U/がα力gγzz‘sα

一一一〃”FascjaFγjgs

示す結果を得た.…−−−P・〆”jノγαfg"gγα

この実験では3種共大体同じ傾向の▲Radioactivityofculturedseawater 放射能転移を示したが,セイヨウハバノリは最も強く汚染され又正常海水中での放能射減少も 少いようであり,アサクサノリの汚染度はアナアオサより大で正常海水中での減少率も大であ った,しかし三者とも短時間で強く汚染され,叉一度汚染されたものは正常海水に移しても容 易に放射能強度の弱くならない点は共通であった.著者等の経験によればF、P,による各種海 藻の汚染度には藻体の粘質物量並びにその質的な性質と,次に述べる藻体表面の幾何学的性質 が特に関係するようであるが,これらに就ては目下検討中である. 藻体各部位による放射能汚染度の相違 アナアオサの如き海藻とは異なり外観上明らかに葉部,茎部,根部等に区別し得る形態を持つ 海藻を,F・P、汚染海水中に培養した場合に於ける藻体各部位の放射能汚染度を比較検討した. 200卜 、ヘヘヘヘ一一

杏 藤 要 ・ 鮫 島 宗 雄 4 核 分 裂 生 成 物 の 海 藻 へ の 蒋 移 並 び に 除 去 に 関 す る 研 究

ミ ー ミ ー ー ミ ヘ ヘ ー ー ミ ー =

00

(8)

Part4 鹿 兇 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 Partl

供試海藻は褐藻類のヤツマタモク,フタエモク,イソモクの3種で各為309を予め調製した3個

の強汚染海水槽に入れ,水温10。∼15℃で24時間の培養を行った.培養開始前の海水のCount

及び24時間後の海水及び藻体各部のCountはFig4の如くで,藻体各部位によりかなり相

違のある事.が観察された.

3種の海藻間にはCountに多少の差はあっても全体を通じて葉部,気胞部が強く,茎部,根部

が弱く汚染されている.これは計測の際乾燥粉末として100mgを単位としているので,茎や根

部に比し,重量に対して体表面積の広い葉や茎部に多くの放射性物質が吸着されたものと考え

られる.この傾向は海藻の種間にも見られる.即ち重量に対して表面積の広い順に並べるとイ

ソモク,ヤツマタモク,フタエモクとなるが,培養後の海水の放射能強度を比較すると培養前

は3種共ほ蟹同一であったものがフタエモク,ヤツマタモク,イソモクの水槽の順となり,先に

挙げた表面積順の逆となる.即ち表面積の大なる海藻程多くの放射性物質を吸着する傾向のあ

る事は確かと思われる. F・P・の藻体内での移動に関する予備実験

F・P、に対する海藻の吸収生理叉は体内に於ける移動の有無を更に別の方法で検討すべく次

の実験を行った.前項と同じ放射能強度に調製した培養海水を水;階に承たしFig.5の如く正

常海水を染たした水槽と並べ,両水槽間にオオオゴノリを掛けわたした.この時正常海水の液

面は汚染海水面よりやム高目とし,藻体の空気にふれる部分の乾燥を防ぐためこの部分は臆紙

でお』い,施紙の一端を汚染海水に漬ける事.なく他の一端を正常海水にひたした.この様にし

て所定時間後この細長い藻体をFig.5の如く4個に切断し,各部分のCountを測定すれば海藻

に吸収されたF,P.の藻体内に於ける移動の有無を観察出来るわけであるが,各部分のCount

の時間的変化はTable3の如くである. 放射能汚染はPartlに強く現れ放射性物質は殆ん ど他の部分に移動していない.Part2に示すCount は汚染海水が藻体表面にcreepingした事が考えられ るので,環境水がF・P、に汚染された場合海藻はその 体表面に多量の放射性物質を急速に吸着するが,本実 Part2 Part4immersedinnormalseawater、

験条件下では藻体内での移動は殆んど行われないもの聯盃蒜肩識孟舎営茸c謎a孟益ed

と考えられる.尚この種の検討には藻体の成長点等をseawater,havingtheradio‘lctivityof l98cpm/cc.、

考慮しなければならないが,何れにしても海藻のF・P・Speciesofsample:Gγαc"αγjag増as・

に 対 す る 挙 動 は 陸 上 植 物 の 吸 収 , 排 池 生 理 と は か な り F i g . 5 異る事が予測される.この点についてはS35,C136等を使・用し体成分、形成機構と関連づけて なお検討劃する予定である. TabIeaAbsorptionofradioactivematerialsbyGγαc〃”iagigas andtheirtransferringstatewithinthebody. (cpm/100mg・driedmatter) Part3

22321

一一一一一

02210

34333

一一一一一

13552

22 30min、 1hr、 2.グ 2 4 〃 4 8 〃 Culturehours 202

50620

1455

一一一一一

35357

届444

9350358910

11

一一一一一

1708057990

(9)

沸 藤 要 。 鮫 島 宗 雄 g 核分裂生成物の海瀕への聴移並びに除去に関する研究 203 要 約

1)天然性放射性元素Ku'を比較的多く含有すると思われる各種海藻類の放射能強度を測定

した結果,褐藻類のホングワラ類,紅藻類のオゴノリ等が比較的高く一般に緑藻類は低い値を

示した. 2)海藻はFissionProductにより汚染された環境水中で容易に汚染され,しかも環境水の 単仙位量当りの試料重量より考えると魚介類より汚染度は高くしかも速かに行われるようである. 例えば243cpm/ccの放射能強度を持つ海水1,500cc中に409のアナアオサを投入した場 合,藻体への放射能転移は4時間後には殆んど平衡状態になり24時間後には培養海水に存在 した全放射能の約75%が転移する.生活機能を失った藻体は生活海藻に比し汚染度が高くそ の約80%が転移した.

3)一度FissionProductに汚染された藻体の放射能は容易に転移しない.l88cpm/100mg

乾物,程度に汚染されたアナアオサは正常海水中で1週間後に約25%,2週間後に約50%,3 週間でようやく約70%の放射能が除かれたに過ぎない.しかし生活機能を失った藻体では更 に転移し難く3週間後にも減少の傾向が現れなかった.

4)FissionProductによる各種海藻間の放射能転移の強弱を比較した結果,外観上形態の

類似したアサクサノリ,セイヨウハバノリ,アナアオサ間ではセイヨウハバノリ,アサクサノリ, アナアオサの順に強く汚染され,その汚染度は体表粘質物の量並びにその質的な性質とも関係 のある事が予測された. 5)外観上の形態が分化したイソモク,ヤツマタモク,フタエモクの藻体単位重量当りの汚 染は,藻体各部別には葉,気胞,茎,根部の順となり,海藻の種別にはイソモク,ヤツマタモク,フ タェモクの順で,この汚染度の強弱は藻体の単位重量当りの表面積に略禽比例的であった.

6)オゴノリの藻体の一部をFissionProductによる汚染海水に浸漬しでおけば,その

部分は強く汚染されるが,本実験条件下では該物質の,浸漬しない部分への移動は認められな かった. 以上の各種実験結果より考えFissionProductによる海藻の汚染にはかなり重要視すべき 問題があると思われる.叉その汚染の強弱は海藻の種類による生理的特性と言うよりは,むし ろ藻体の単位重量当りの表面積並びに体表粘質物の量及び質的性質に関係あるものと推察され る.更に生活機能の有無にか上わらずその汚染強度及び速度がほ賞同程度である事並びに前記

の実験結果より考えて,本実験条件下に於ける生藻の汚染特に初期汚染はFissionProductを

構成する放射性物質の生理的選択吸収というより,主として該物質の藻体成分による物理化学

的吸着現象と考えるのが妥当のようである.

終りに本報は昭和30年度文部省総合科・学研究費(水産物に関する放射・化学的研究)による

業績の一部で,御支援を賜った当局並びに同研究班委員長,東京大学教授森高次郎先生に深謝の

意を表す.

(10)

204 鹿 兇 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 R 6 s u m e 1)Noticingonthealgae,itwasconsideredthatalgaecontainedlittleamount ofnaturalradioactiveisotopes,theauthorsmeasuredradioactivityinthevarious speciesofalgae、 2)A1gae,immersedintheseawatercontainingfissionproducts(F,P.),are remarkablycontaminatedbytheradioactivity・Forexample,theimmersionof40g・ ofUZ”力〃jzzsaintol,500CC、seawatercontaminatedwithF、P.(possesingofthe radioactivity243cpm/cc.)enabledthecontaminationtobeequilibratedwiththe algaewithin4hours;andafter24hours,itenabledabout75%ofthetotal radioactivityintheseawatertobetransferredintothealgae・Butincases ofthediedalgae,beingfarmorecontaminatedthanthelivingone,about80% wastransferred、 3)Afterthealgaebeingtransferredintotheclearuncontaminatedseawater itwasnotuntil3weekspassedthatabout70%oftheradioactivitywasremoved fromtheF・P.-contaminatedalgae,Thistendencywassoremarkableincasesof diedalgaethatnodecreasingtendencycouldbebroughtforthevenbythelapseof morethan3weeks、

4)Generally,thecontaminationofalgaebyF.P,wasfundtobestrongerand

quickerthanfishes,Anditwasdifficulttoremovetheradioactivityofthealgae

(thistendencywasveryremarkableinthediedalgae).Andthissuggested

precautionalproblemofradioactivitycontaminationbyFoP・inthefosteringof suchusefulalgaeaslavero 5)Thecontaminationdensitybyradioactivityoversuchaseemingmorphologi‐ calydevelopedalgaeasS”gassz""ノbe77z功ノカy""s,S・Pafg"sandS.”力"cafz"7z; observedfromtheconstitutionalorderofthebody,liesatleaves,air-vesicles, stalksandroots;successively;andfromtheorderofspecies,liesin"〃z妙"y"z‘s, Pαオg"sand”p〃cα”"z・Thisstrengthofthecontaminationvarysproportionally withthesurfacedimensionperweightofalgae、 6)ApartofthebodyofGγαc〃”fsgjgas,immersedintheseawatercon‐ tainingF・P・wascontaminatedstrongly;butinthiscase,theradioactiveelement wereabsorbedintothealgaeleavingtheuncontaminatedpartsuntouched. 文 献 1)’佐伯誠道,岡野真治,森高次郎:日水誌,20,902,(1955). 2)天野慶之,山田金次郎,尾藤方通,高瀬明,田中昭二息日水誌,20,907,(1955). 3)山田金次郎,戸沢晴巳,天野慶之,高瀬明:日水誌,20,916,921,(1955). 4)佐伯誠道,森高次郎:日水誌,21,945,(1956). 5)商藤要,鮫島宗雄:本誌,4,124,(1955). 6)三宅泰雄,田島英三:Raajorso/opgs,3,(2)8,(1954).

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