神 戸 親 和 女 子 大 学 大 学 院研 究 紀要 2016 第12巻 35-49 35
地 域 包 括 ケ ア シス テ ム と介 護 人 材 の養 成
一 デ ン マ ー ク と フ ィ ン ラ ン ドを 参 考 に し て 一
Community based integrated Care System and training of Care Worker: in reference to Denmark and Finland
成清 美治
Yoshiharu Narikiyo 〈要 旨 〉 わ が 国 の 高 齢 化 率 は依 然 上 昇 を 続 け て お り、2060(平 成72)年 に は 高 齢 化 率 は40%に な る と推 計 さ れ て い る 。 ま た、 人 口 の 一 極 化 集 中 化 現 象(主 に 東 京 に集 中)が 起 き、 都 市 部 で は 高 齢 者 福 祉 施 設 の 不 足 、 一 方 、 地 方 で は、 「限 界 集 落 」 或 い は 「極 限 集 落 」 と呼 称 さ れ る 人 口 減 少 地 域 が 多 数 発 生 して い る。 この 背 景 に は 、 わ が 国 の 人 口 の 高 齢 化 と合 計 特 殊 出生 率 の 低 下 と い う少 子 ・高 齢 社 会 が あ る。 この 人 口減 少 問 題 は 、 遠 か らず 社 会 保 障 制 度 一 年 金 ・医 療 ・介 護 等 一 に影 響 を 与 え る こ と に な る。 こ う した 状 況 の も と最 も深 刻 な 問 題 の ひ とつ は 、 高 齢 者 介 護 問 題 で あ る。 具 体 的 に は 、 要 介 護 高 齢 者 の増 加 に 伴 う 介 護 保 険 制 度 財 政 の 逼 迫 と介 護 従 事 者 の 不 足 と い う深 刻 な 状 況 に 直 面 して い る 。 現 在 、 わ が 国 で は 、 医 療 、 介 護 、 予 防 、 住 ま い 、 生 活 支 援 サ ー ビ スが 連 携 し た要 介 護 者 等 へ の 包 括 的 な 支 援 で あ る 地 域 包 括 ケ ア シス テ ム 推 進 を 行 って い る。 こ の 拙 論 で は 、 介 護 保 険 制 度 の 改 正 と地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム と の 関 係 ・意 義 を 明 確 に し、 介 護 保 険 制 度 の も とで の 介 護 従 事 者 の 実 態 を 明 らか に す る と同 時 に デ ンマ ー ク 或 い は フ ィ ン ラ ン ドの介 護 人 材 養 成 を 検 証 し、 わ が 国 の 介 護 人 材 養 成 の あ り方 へ の 提 言 を示 唆 す る。 キ ー ワ ー ド:地 域 包 括 ケ ア シス テ ム 、 介 護 人 材 確 保 、 社 会 保 健 ヘ ル パ ー、 社 会 保 健 ア シス タ ン ト、 ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ、 介 護 福 祉 士 は じめ に わ が 国 の 介 護 保 険 制 度 が2000(平 成12)年 に ス タ ー ト して 、15年 を 経 過 し た 。 介 護 保 険 制 度 は こ れ ま で の サ ー ビ ス 体 系 の あ り方 を 措 置 制 度 か ら利 用 者(契 約 制)に 変 換 し た の で あ る 。 そ の 後 、 社 会 情 勢 に 応 じて 、 介 護 保 険 制 度 の 「改 正 」 並 び に 関 連 法 案 が 成 立 し た 。 そ の 主 な 改 正 は 、(1)2005(平 成17)年 の 「介 護 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」(2)「 介 護 サ ー ビ ス の 基 盤 強 化 の た め の 介 護 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」 (2011)と 関 連 法 案(3)「 地 域 に お け る 医 療 及 び 介 護 の 総 合 的 な 確 保 を 推 進 す る た め の 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 す る 法 律 」 (以 後 、 「医 療 介 護 総 合 確 保 推 進 法 」)(2014)等 で あ る 。 ま ず 、(1)改 正 の 目 的 は 、 こ れ ま で の 介 護 中 心 の サ ー ビ ス か ら、 予 防 を 重 視 し た サ ー ビ ス の 転 換 で あ る 。 そ の ポ イ ン トは 、 ア 、 予 防 重 視 型 シ ス テ ム へ の 転 換 イ 、 施 設 給 付 の 見 直 し (食 費 ・居 住 費 の 徴 収)ウ 、 新 た な サ ー ビ ス 体 系 の 確立(新 予 防給 付 の創 設)エ 、 サ ー ビスの質 の確保 ・ 向 上 オ、 負 担 の あ り方 ・制 度 運 営 の見 直 し等 。 次 に(2)改 正 法 の 目的 は、 住 み なれ た地 域 で の 生 活 の継 続 性 の た め、 医 療 、 介 護 、 予 防 、 住 ま い、 生 活 支 援 サ ー ビスが 間 断 な く提 供 で き る地 域 包 括 ケ ア シス テ ムの 実 現 す る た めの 取 り組 み を 推 進 す る こ とで あ る。 改 正 の ポ イ ン トは、 ① 地 域 包 括 ケ ア の推 進 ② 地 域 包 括 ケ アを 念 頭 にお い た介 護 保 険 事 業 計 画 の策 定 ③24時 間 対 応 の定 期 巡 回 ・随 時 対 応 サ ー ビス の創 設 ④ 複 合 型 サ ー ビス の創 設 ⑤ 介 護 予 防 ・日常 生 活 支 援 総 合 事 業 の創 設 ⑥ 介 護 療 養 型 医 療 施 設 の転 換 期 限 の延 長 ⑦ 介 護 職 員 等 に よ る たん 吸 引 等 の実 施 ⑧ 介 護 福 祉 士 の 資 格 取 得 方 法 の 見 直 しの延 長 ⑨ 情 報 公 表 制 度 の 見 直 し⑩ 事 業 者 に対 す る労 働 法 規 の遵 守 の 徹 底 ⑪ 有 料 老 人 ホ ー ム にお け る利 用 者 保 護 規 定 の追 加 ⑫ 市 民 後 見 人 の活 用 に よ る認 知 症 対 策 の推 進 ⑬ 保 険 者 に よ る主 体 的 な取 り組 み の推 進 ⑭ 保 険 料 の上 昇 の緩 和 ⑮ 高 齢 者 住 ま い法(「 高 齢 者 の 居 住 の安 定 確 *神 戸親和女子大学客員教授(社会福祉学博士)保 に関 す る法 律」)等 とな って い る。 最 後 に(3)の 制 定 の 目的 は、 持 続 可 能 な社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 る ため 効 率 的 或 い は質 の 高 い医 療 供 給 体 制 を 構 築 す る と共 に地 域 包 括 ケ ア シス テ ム を 構 築 し、 地 域 にお け る医 療 並 び に介 護 の 総 合 的 確 保 を 推 進 す る ため 、 医 療 法 、 介 護 保 険 法 の 法 律 を整 備 す る こ とで あ る。 そ の 改 正 の 概 要 は① 新 た な基 金 の 創 設 と医 療 と介護 の 連 携 強 化 ② 地 域 にお け る効 率 的 か っ 効 果 的 な 医 療 供 給 体 制 の 確 保 ③ 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ムの 構 築 と費 用 負 担 の 公 平 化(介 護 保 険 関 係) 等 で あ る。 図 表 一1「 地 域 包 括 ケ ア シ ス テム につ いて 」 医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への 包括的な支援(地域包括ケア)を推進 2025(平 成37)年 以 降 、 医 療 ・介 護 の ニ ー ズが 増 加 す る ことが見込 まれ て い るため、今 後 の生活 支 援 サ ー ビス体 制 の整 備 が 逼 迫 化 ② 地 域 で 暮 らす 人 々、 なか で も高 齢 者 の 慢 性 疾 患 を 抱 え なが ら地 域 で 生 活 をす る人 々一 健 康 概 念 の 変 化 に よ る医 療 的 ケ ア と社 会 的 ケ ア を必 要 とす る人 々の 増 加 ③ 認 知 症 高 齢 者 の増 加 等 を あ げ る事 が で き る。 す な わ ち高 齢 化 社 会 で の 「キ ュ ア(治 療)」、 「病 院 ・施 設 」 か ら 「ケ ア(介 護)」、 「地 域 ・家 庭 」 へ と健 康 概 念 の変 化 の もとで 、 「地 域 で の 尊 厳 あ る生 活 の継 続 」 と 「生 活 の質 の 向 上 」(QOL)へ の 支 援 が地 域 包 括 ケ ア シス テ ム に対 す る期 待 で あ り課 題 で もあ る。 【地域包括ケアの5つの視点による取組み】 地域包括ケアを実現するためには、次の5つの視点での取組みが包括的(利用者のニーズに応じた①∼⑤の適切な 組み合わせによるサービス提供)、継続的(入院、退院、在宅復帰を通じて切れ目ないサービス提供)に行われることが 岨 ①医療鐡 24時 間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化 ・介護職員によるたんの吸引などの医療行為の実施 ②介護サービスの充実強化 ・特養などの介護拠点の緊急整備(平成21年度補正予算3年 間で16万人分確保) 24時 間対応の定期巡回 随時対応サービスの創設など在宅サービスの強化 ③幽 鎚 できる限り要介護状態とならないための予防の取組や自立支援型の介護の推進 ④見守り、配食 買い物など 多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など 一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援(見守り、配食などの生活支援や 財産管理などの権利擁護サービス)サービスを推進 ⑤高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備(国交省と連携) ・一定の基準を満たした有料老人ホームと高専賃を 、サービス付高齢者住宅として高齢者住まい法に位置づけ X「地域包括ケアシステム」は、ニースに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心健 康を確保するために、医療や介護、予防のみなら ず、福祉サーヒスを含めた様々な生活支援サーヒスが日常生活の場(日常生活圏域)で週切に提供できるような地域での体制と疋義する。その際、地域包括ケ ア圏域については、[おおむね30分以内に駆けつけられる圏域」を理想的な圏域としてだ義し、具体的には、中学校区を基本とする。 〔[地域包括ケア研究会報告書」より) (出 所:「 介 護 サ ー ビ ス の基 盤 強 化 の た め の 介 護 保 険 法 等 の一 部 を 改正 す る法 律 の 概要 」 厚 生 労 働 省2011p21) この一 連 の法 改正 で 注 目すべ き こ とは、 「介 護 サ ー ビスの 基 盤 強 化 の た めの 介 護 保 険 法 等 の 一 部 を改 正 す る法 律 」 にお いて 、 介 護 職 員 等 に よ る たん の吸 引 等 の 実 施 が 認 め られ た こ とで あ る。 介 護 職 員 の医 療 行為(薬 剤 の配 布 ・調 合、 筋 肉 注射 、 褥 瘡 の治 療 等) の 実 施 につ いて は、 欧 米 福 祉 先 進 諸 国 で は一 定 の 単 位 履 修 及 び研 修 修 了 者 に対 して 以 前 か ら容 認 され て い る。 わ が 国 にお いて も懸 案 事 項 で あ っ たが 、 この た びの 改 正 にて たん の 吸 引(口 腔 内 、 鼻 腔 内 、 気 管 カ ニ ュ レ内 部)、 経 管 栄 養(胃 ろ う、 腸 ろ う、 経 鼻 経 管 栄 養)等 の 業 務 が 一 定 の 研 修 を 受 け た介 護 福 祉 士 の み 認 め られ る こ と に な っ た。 と こ ろで 、 地 域 包 括 ケ ア シス テ ム創 設 の 総 体 的 要 因 と して 、 ①65歳 以 上 の 高 齢 者 の 人 口増 加 が あ る。 特 に 団 塊 の 世 代(約800万 人)が75歳 以 上 に な る 1,地 域 包 括 ケ ア の 概 念 ・定 義 ・責 務 地 域 包 括 ケ ア に は2つ の 概 念 が あ る。 ① 地 域 を 基 盤 と す る ケ ア(community-based care)、 ② 統 合 ケ ア(integrated care)で あ る。 前 者 は 公 衆 衛 生 ア プ ロ ー チ に 立 脚 し、 地 域 の 健 康 上 の ニ ー ズ 、 健 康 に 関 す る 信 念 や 社 会 的 価 値 観 に あ わ せ 、 地 域 社 会 に よ る 参 画 を 保 証 しな が ら構 築 さ れ る ケ ア を い う(Plochg and Klazinga(2002))。 後 者 は、 診 断 ・治 療 ・ケ ア ・ リハ ビ リ テ ー シ ョ ン ・健 康 増 進 に 関 す る サ ー ビ ス の 投 入 ・分 配 ・管 理 と 組 織 を ま と め る 概 念 で あ る (Gr6ne and Garcia-Barbero(2001))。(1) 近 年 こ の2つ の ケ ア 概 念 の 統 合 化 を 試 み る 傾 向 が 見 られ る 。 「地 域 包 括 ケ ア 研 究 会 報 告 書 」(2008)(以 後 、 報 告 書)は 、 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム を 「ニ ー ズ に 応 じ た 住 宅 が 提 供 さ れ る こ と を 基 本 と し た 上 で 、 生 活 上 の安 全 ・安 心 ・健 康 を 確 保 す る た め に、 医 療 や 介 護 、 予 防 の み な らず 、 福 祉 サ ー ビ ス を 含 め た 様 々 な 生 活 支 援 サ ー ビ ス が 日 常 生 活 の 場(口 常 生 活 圏)で 適 切 に 提 供 で き る よ う な 地 域 で の 体 制 」 と定 義 して い る 。 ま た 、 国 及 び 地 方 公 共 団 体 の 責 務 と して 、 介 護 保 険 法 第5条 第33項 に 「国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、 可 能 な 限 り、 住 み 慣 れ た 地 域 で そ の 有 す る 能 力 に 応 じ 自 立 し た 日 常 生 活 を 営 む こ と が で き る よ う、 保 険 給 付 に 係 る 保 健 医 療 サ ー ビ ス 及 び 福 祉 サ ー ビ ス に 関 す る 施 策 、 要 介 護 状 態 と な る こ と の 予 防 又 は 要 介 護 状 態 等 の 軽 減 若 し く は 悪 化 の 防 止 の た め の 施 策 並 び に 地 域 に お け る 自 立 し た 日 常 生 活 の 支 援 の た め の 施 策 を 、 医 療 及 び 居 住 に 関 す る 施 策 と の 有 機 的 な 連 携 を 図 りっ っ 包 括 的 に 推 進 す る よ う努 め な け れ ば な ら な い 。」 と 国 及 び 地 方 公 共 団 体 の 責 務 を 規 定 して い る 。
地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム と介 護 人 材 の 養 成 37 図 表 一2包 括 ケ ア シ ス テム の 概 念 図 (出 所:筆 者 作 成) 2,包 括 的 ケ ア の 具 体 的 内 容 と 方 法 ま ず 、 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム の 具 体 的 内 容 に つ い て 述 べ る こ と に す る 。 同 シ ス テ ム は お お む ね30分 以 内 に 必 要 な サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と を 目 指 して お り、 日 常 生 活 圏 域(中 学 校 区)を 単 位 と して2025年 を 目 途 と して い る 。 こ の シ ス テ ム に よ り、 ① 住 ま い(自 宅 ・ケ ア 付 き 住 宅)② 医 療 ③ 介 護 ④ 予 防 ⑤ 生 活 支 援 等 が 一 体 的 に 提 供 さ れ る こ と に な る 。 す な わ ち 、 住 ま い 、 医 療 、 介 護 、 予 防 、 生 活 支 援 の5っ の 構 成 要 素 と 自 助(自 分 の こ と は 自 らす る)・ 互 助(家 族 ・親 族 ・近 隣 等 、 ボ ラ ン テ ィ ア)・ 共 助 (介 護 保 険 制 度 等)・ 公 助(高 齢 者 福 祉 事 業 、 生 活 保 護 、 人 権 擁 護 ・高 齢 者 虐 待 等)に よ り、 高 齢 者 の 尊 厳 の 保 持 と 自 立 を 目 的 と し、 住 み 慣 れ た 地 域 で の 生 活 を 持 続 可 能 に す る た め の 包 括 的 ケ ア サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と で あ る 。 地 域 包 括 シ ス テ ム を 支 え る た め に は5つ の 構 成 要 素 と 自 助 ・互 助 ・共 助 ・公 助 と の 連 携 協 働 が 必 要 と な る 。 こ こで 問 題 と な る の は 、 わ が 国 は1990年 代 の 社 会 福 祉 基 礎 構 造 改 革 以 降 、 社 会 福 祉 サ ー ビ ス が 「措 置 制 度 」 か ら 「利 用 者 ・契 約 制 度 」 へ の 転 換 に よ り、 サ ー ビ ス 利 用 に お け る 利 用 者 の 負 担 割 合 の 増 加(介 護 保 険 料 の 上 昇 、 介 護 サ ー ビ ス の 利 用 者 負 担 の 増 加 等)に よ る 公 的 サ ー ビ ス が 後 退 し、 家 族 ・親 族 或 い は 近 隣 に よ る イ ン フ ォ ー マ ル で 無 償 の 介 護 で あ る 「自 助 」 が 強 調 さ れ た こ と で あ る 。 低 所 得 者 層 に と っ て 自 己 負 担 の 増 加 は 、 日 常 生 活 の 維 持 ・継 続 が 困 難 と な っ て い る 。 な か で も地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム 推 進 の 中 核 と な る 「住 ま い 」 の 確 保 は 低 所 得 者 に と っ て 切 迫 し た 問 題 で あ る 。 現 在 、 高 齢 者 住 宅 対 策 と して 、 「高 齢 者 の 居 住 の 安 定 確 保 に 関 す る 法 律 」 が2011(平 成23)年2月8 日 に 改 正 さ れ サ ー ビ ス 付 高 齢 者 向 け 住 宅 と して 整 備 さ れ る こ と に な っ た 。 こ の サ ー ビ ス 付 高 齢 者 住 宅 の 建 物 、 サ ー ビ ス 、 契 約 等 について 登 録 基 準 が 満 た さ れ た 住 宅 は 都 道 府 県 知 事 の 登 録 を 受 け る こ と に な る 。 しか し な が ら、 国 土 交 通 省 に よ る と わ が 国 は 、 欧 米 諸 国 に 比 較 して 、 全 高 齢 者 に 対 す る 定 員 数 が0.9%に 過 ぎ な い 状 況 で あ る 。 今 後 、 地 方 自 治 体 の 財 政 的 逼 迫 し た も と で 、 こ の パ ー セ ン トを ど の 程 度 上 昇 さ せ る か が 、 地 域 包 括 ケ ア サ ー ビ ス 推 進 の 充 実 に 対 して 影 響 を 与 え る と い って も過 言 で は な い 。 こ の イ ン フ ォ ー マ ル な 介 護 を 法 的 に 支 援 す る 親 族 介 護 支 援 が 存 在 す る 国 と し て フ ィ ン ラ ン ドを 挙 げ る こ と が で き る 。 同 国 で は1970 年 代 ま で 親 族 者 に 対 して 介 護 義 務 を 課 して い た 。 し か し、 「社 会 福 祉 法 」(1982)の 成 立 で 公 的 に よ る 家 族 介 護 手 当(高 齢 者 、 障 害 者 ま た は 疾 病 者 へ の 在 宅 介 護 そ の 他 の 世 話 を 保 障 す べ く供 さ れ る 介 護 補 助 金 お よ び サ ー ビ ス で あ り、 家 族 や 親 近 者 と の 取 り決 め と 必 要 な サ ー ビ ス か ら な る)(2)が 提 供 さ れ る よ う に な っ た 。 しか し な が ら① 自 治 体 の サ ー ビ ス 提 供 が バ ラバ ラ で 介 護 者 へ の 支 援 に 対 す る 格 差 が 存 在 し た こ と ② 自 治 体 の 厳 し い 財 源 を カ バ ー す る た め に よ り低 価 格 な 親 族 介 護 を 積 極 的 に 公 的 サ ー ビ ス の な か に 導 入 す る 必 要 が あ っ た こ と 、 等(3)も あ っ て イ ン フ ォ ー マ ル サ ー ビ ス で あ り な が ら 「親 族 介 護 支 援 法 」(2005) の枠 内 で の 公 的 サ ー ビ ス が 成 立 し た。 図 表 一2は フ ィ ン ラ ン ドの 公 的 サ ー ビ ス 或 い は 公 的 内 サ ー ビ ス に よ る 親 族 介 護 の 全 体 像 で あ る 。 こ の 図 表 か ら100万 人 以 上 が 親 族 か ら介 護 を 受 け て い る こ と が 分 か る 。 ま た 、28万 人 の 親 族 介 護 者 の う ち 、12万 人 が 仕 事 に 従 事 して い る 。 尚 、 公 的 サ ー ビ ス を 受 け て い る 要 介 護 者 は3万 人 と な って お り、 親 族 介 護 状 況28万 人 の う ち1割 程 度 と な って い る 。 こ の 背 景 に は 急 速 に 進 む 高 齢 と 不 況 に よ る 地 方 自 治 体 の 財 政 の 逼 迫 が 考 え られ る 。 こ の よ う に 圧 倒 的 多 数 が 「親 族 介 護 」 と して 公 的 支 援 を 受 け て い な い の で あ る 。 こ の こ と は 、 サ ー ビ ス の 普 遍 主 義 を 標 榜 し て い る フ ィ ン ラ ン ドと して は、 今 後 ど の 程 度 公 的 サ ー ビ ス提 供 量 を 拡 大 で き る か 注 目 さ れ る と こ ろ で あ る。 と こ ろ で 、 わ が 国 に お い て 、2013年 に 導 入 さ れ た 介 護 予 防 ・ 日常 生 活 支 援 総 合 事 業 が 新 た に 見 直 さ れ 「新 し い 介 護 予 防 ・日 常 生 活 支 援 総 合 事 業 」(以 後 、 新 し い 総 合 事 業)(2014)が 創 設 さ れ た 。 こ の 新 し い 総 合 事 業 は 「医 療 介 護 総 合 確 保 推 進 法 」 の 登 場 に
よ り、 従 来 の 介護 予 防 ・日常 生 活 支 援 総 合 事 業 が 見 直 され た 。 新 しい総 合 事 業 は 「介 護 予 防 ・生 活 支 援 サ ー ビス事 業 」 と、 「一 般 介 護 予 防事 業 」 に よ って 構 成 され る。 この 新 しい総 合 事 業 の 対 象 は、 地 域 包 括支 援 セ ンター にて サ ー ビス を利用 す る こ とに な る。 そ の対象 者 は要 支援 者並 び に介 護予 防 ・生活 支 援 サ ー ビス事 業 対 象 者 で あ る。 図 表 一3フ ィ ン ラ ン ドの 親 族 介 護 の 全 体 像 整 備 と な っ て い る 。 た だ 、 残 念 な の は 要 介 護 者 、 要 支 援 者 に 対 す る ケ ア の 担 い 手 で あ る 介 護 福 祉 十 が 含 ま れ て い な い こ と で あ る 。 公 的 サ ー ビス 外 親 族 介 護 者100万 人 以上 親 族 介 護状 況 28万 人→ 有 職 者12万 人 (正規 雇 用10万 人) 親 族 介 護 支 援 法 公 的 サ ー ビス外 受 給 者 3万 人 → 女 性75% →約 半 数 が 配 偶 者訪 問 介 護 →約 半 数 が 年 金 生 活 者 →有 職 者24%(正 規 雇 用20%) 3,介 護 従 事 者 の 定 着 率 ・離 職 ・賃 金 介 護 保 険 制 度 開 始 以 降 、 介 護 事 業 所 に お け る 介 護 従 事 者 の 社 会 的 地 位 向 上 が 問 わ れ て 久 し い 。 最 近 、 低 賃 金 、 重 労 働 、 長 時 間 の た め 介 護 福 祉 士 養 成 校 の 入 学 志 望 者 が 激 減 し、 そ の 結 果 、 養 成 校 の 廃 科 ・廃 校 に よ る 募 集 停 止 を 招 き 、 結 果 と して 介 護 職 員 の 慢 性 的 不 足 と い う現 象 を 生 み だ す 要 因 と な っ て い る 。 こ こ で 、(財)介 護 労 働 安 定 セ ン タ ー に よ る介 護 労 働 実 態 調 査 「介 護 労 働 の 現 状 について 」(2013)を 検 討 す る 。 ま ず 、(1)介 護 職 員 の 定 着 率 について 見 る こ と に す る 。 図 表 一4訪 問 介 護 員 、 介 護 職 員 の 採 用 ・離 職 の 状 況 (平 成24年10月1日 ∼25年9月30日) (1)離職率の前年対比較 ① 事業所規模別 離職率比較20人 以上49人以下、100人以上では前年度よりも 離職墨が上里Lた 目標 値 5万8000人 →75歳 以 上 人 口 の8% (3万4000人) → そ れ 以 外 の 親 族 介護 (1万8000人) 資 料:2007年STAKES「 全 国 調 査 報 告 」、2004年 「親 族 介 護 の 改 革 の 提 案 内 容 と そ の 費 用 」。 (出 所:笹 谷 春 美 『フ ィ ン ラ ン ドの 高 齢 者 ケ ア ー 介 護 者 支 援 ・人 材 養 成 の 理 念 と ス キ ル 』 明 石 書 店2013p101) ② 介 護サービス別 離職 率比較 通所介護は離職率が0.6%上 昇した 地 域 包 括 ケ ア サ ー ビ ス を 実 現 す る 方 法 に お い て 重 要 な 点 は 、 既 述 した よ う に 原 則 、 日 常 生 活 圏(30分 で か け っ け られ る 圏 域)に お い て 、 医 療 、 介 護 、 予 防 、 住 ま い 、 生 活 支 援 が 包 括 的(利 用 者 の ニ ー ズ に 応 じ た 、 適 切 な 組 み 合 わ せ に よ る サ ー ビ ス 提 供)、 継 続 的(入 院 、 退 院 、 在 宅 復 帰 を 通 じて 切 れ 目 な い サ ー ビ ス 提 供)に 実 施 さ れ る こ と が 必 要 で あ る 。 同 時 に 国 と 地 方 自 治 体 は 、 被 保 険 者 が 可 能 な 限 り住 み な れ た 地 域 で 日 常 生 活 を 営 む こ と が で き る よ う各 施 策 を 講 じ な け れ ば な らな い 。(4)ま た 、 地 域 包 括 ケ ア サ ー ビ ス を 円 滑 に 推 進 す る 方 法 と して 、 地 域 ケ ア 会 議 の 開 催 が 提 唱 さ れ て い る 。 同 会 議 の 主 催 は 地 域 包 括 ケ ア セ ン タ ー で 主 な 構 成 員 と して 自 治 体 職 員 、 包 括 職 員 、 ケ ア マ ネ ジ ャ ー 、 介 護 事 業 者 、OT、 PT、 ST、 医 師 、 歯 科 医 師 、 薬 剤 師 、 管 理 栄 養 士 、 歯 科 栄 養 十 等 と な っ て い る 。 尚 、 地 域 ケ ア 会 議 の 役 割 は 高 齢 者 個 人 に 対 す る 支 援 と そ れ を 支 え る 社 会 基 盤 の (出 所:(財)介 護 労 働 安 定 セ ン タ ー 「介 護 労 働 の 現 状 に つ い て 」2014・8p19) こ の図 表 か ら、 ① 平 成24年 、 平 成25年 共 に事 業 所 別 で 見 た場 合 、19人 以 下 並 び に50人 以 上 ∼99人 以 下 の規 模 の 事 業 所 にお いて 離 職 率 が 上 昇 して い る。 ま た、 ② 介 護 サ ー ビス別 に見 た離 職 率 は特 定 施 設(介 護 保 険 法 第8第11項 に規 定 す る有 料 老 人 ホ ー ム そ の 他 厚 生 労 働 省 令 で 定 め る施 設 で あ る)の 入 居 者 生 活 介 護 に従 事 して い る介 護 職 員 の離 職 率 が 目立 って 顕
43.3 42.4 35.6 30.0 27.8 28.6 27.8 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 ෆᐜ䛾䜟䜚䛻 㻌 ㈤㔠䛜ప䛔 㻌 ேᡭ䛜㊊䜚䛺䛔 㻌 ᭷⤥ఇᬤ䛜䛸䜚䛻䛟䛔 㻌 ㌟యⓗ㈇ᢸ䛜䛝䛔 㻌 ఇ᠁䛜䛸䜚䛻䛟䛔 㻌 ♫ⓗホ౯䛜ప䛔 㻌 ⢭⚄ⓗ䛻䛝䛴䛔 㻌 䠄䠂䠅
ປാ⪅䠅
ᖹᆒປാ㛫
人 倍 率 は一 貫 して 上 昇 傾 向 に あ る。 介 護 人 材 の不 足 問 題 は、 介 護 労 働 の 処 遇 改 善 に あ るが 、 その こ とが 介 護 職 の 社 会 的 地 位 向 上 と密 接 にか か わ って くる の で あ る。 4、 介 護 人 材 確 保 対 策 介 護 分 野 に お け る 介 護 職 員 は 、2012(平 成24)年 度 で 約149万 人 で あ る が 、 団 塊 の 世 代 が 全 て75歳 以 上 に な る2025(平 成37)年 に は 約237∼249万 人 の 介 護 職 員 が 必 要 と推 計 さ れ て い る。(5)介護 人 材 確 保 に お け る 当 面 の 見 通 し について 、 社 会 保 障 審 議 会 介 護 部 会(第45回2013年6月)は 、 図 表 一8の よ う介 護 人 材 確 保 に つ い て 、 具 体 的 対 策 を 提 示 して い る 。 図 表 一8 介 護 人 材 確 保 に お け る 当 面 の 見 通 し 資 料:社 会 保 障 審 議 会 介 護 保 険 部 会 資 料(第45回 、2013 年6月) (出 所:労 働 政 策 研 究 ・研 修 機 構 「介 護 人 材 需 給 構 造 の 現 状 と課 題 」 労 働 政 策 研 究報 告 書No.1682014 p 5) こ の 図 表 一8の 問 題 点 を 指 摘 す る と(1)学 卒 就 職 者5.4万 人(H23)が1年 当 た り6.8∼7.7万 人 増 加 す る と い う 希 望 的 観 測 で あ る 。 しか し、 こ こ 数 年 介 護 福 祉 士 養 成 の 中 核 で あ る 介 護 養 成 専 門 学 校 の 定 員 割 れ が 生 じて い る こ と か ら 困 難 で あ ろ う。 な か に は 、 廃 科 ・廃 校 も 見 られ る の で 、 数 字 を 達 成 す る こ と は 至 難 の 技 で あ る 。(2)入 職 者23.7∼24.6万 人 で あ る が 、 学 卒 就 職 者 の 確 保 が 困 難 で あ る と い う こ と と、 ハ ロ ー ワ ー ク か ら16 .0万 人 の入 職 者 が あ る と い う前 提 で あ る が 、 こ の 数 字 達 成 は 困 難 と い え る 。 何 故 な らば 、 景 気 が 上 昇 向 に あ る と き 、 処 遇 に 恵 ま れ な い 福 祉 職(介 護 職)に 人 材 が 流 入 す る 傾 向 は 過 去 の 事 例 か ら して 、 困 難 で あ る 。 以 上 の 理 由 か ら、 同 介 護 人 材 確 保 に 関 す る 見 通 し は 困 難 で あ る と 思 わ れ る 。 そ の 根 拠 は 、(1)日 本 の 人 口 、 な か で も労 働 力 人 口(15歳 か ら64歳)が 少 子 化 の 影 響 で 減 少 す る (2)近 年 の 若 年 層 の 福 祉 職 離 れ(福 祉 職 は 汚 い 、 危 険 、 き っ い 、 の3K職 で あ る)。(3)介 護 職 は 低 賃 金 で あ る た め 将 来 の 生 活 設 計 を 立 て る こ と が 困 難 で あ る 。(4)介 護 職 の 社 会 的 評 価 の 低 さ 、 等 を あ げ る 事 が で き る 。 こ う し た 事 項 を 改 善 す る た め の これ ま で の 介 護 報 酬 と 介 護 人 材 確 保 対 策 の 経 緯 に つ い て 記 述 す る 。 介 護 報 酬 の 改 定 は 原 則3年 に1回 と な って い るが 、 そ の 経 緯 を 見 て み る と 、 ①2003(平 成15)年 の 全 体 の 改 定 率 は△2.3%(在 宅+0.1%、 施 設 △4.0%)。 ② 2006(平 成18)年 の 全 体 の 改 定 率 は △0.5%[△2.4%] (在 宅 平 均 △1%、 施 設 平 均 ±0%[△4.0%])。 た だ し[]は 平 成17年10月 改 定 分 を 含 む 数 値 で あ る 。 ③2009(平 成21)年 の 全 体 の 改 定 率 は+3%(在 宅 1.7%、 施 設1.3%)。 ④2012(平 成24)年 は 全 体 の 改 定 率 は+1.2%(在 宅+1.0%、+施 設0.2%)。 ⑤2014(平 成26)年 は 全 体 の 改 定 率 が+0.03%。 介 護 報 酬 の 改 定 に あ た っ て 介 護 人 材 確 保 ・処 遇 改 善 を 主 な 視 点 と し た 法 改 正 は 、 「介 護 従 事 者 等 の 人 材 確 保 の た め の 介 護 従 事 者 等 の 処 遇 改 善 に 関 す る 法 律 」(2008)で あ る 。 こ の 法 律 の 制 定 に よ り、2009 (平 成21)年4月 か ら介 護 報 酬 の 引 き 上 げ と と も に 介 護 職 員 処 遇 改 善 交 付 金 が 創 設 さ れ た 。 法 改 正 以 外 の 介 護 人 材 確 保 に 関 す る も の と して 、 (1)今 後 の 介 護 人 材 養 成 の 在 り方 に 関 す る 検 討 会 報 告 書 「今 後 の 介 護 人 材 養 成 の 在 り方 に つ い て(概 要)」(2011)が あ る 。 こ の な か で 、 介 護 人 材 キ ャ リ ア パ ス と し、 新 た な 介 護 人 材 の 養 成 体 系 を 次 の 図 表 一9の よ う に 提 示 し て い る 。 こ の 構 想 は 、 今 後 の 介 護 人 材 を 技 術 ・知 識 に 応 じ て3段 階 に 分 け 、 在 宅 ・施 設 で 働 く上 で 必 要 と な る 基 本 的 知 識 ・技 術 を 習 得 し た 初 任 者 研 修 修 了 者 を 基 礎 資 格 と す る 。 次 に 、 利 用 者 の 状 態 像 に 応 じ た 介 護 や 他 職 種 の 連 携 等 を 行 え る 幅 広 い 知 識 ・技 術 を 習 得 し た 介 護 福 祉 士 を 中 核 に 据 え る 。
地 域 包 括 ケ ア シス テ ム と介 護 人 材 の 養 成 41 図 表 一9今 後 の 介 護 人 材 キ ャ リアパ ス (出 所:今 後 の 介 護 人 材 養 成 の 在 り方 に 関 す る検 討 会 「今 後 の 介 護 人 材 養 成 の在 り方 に つ い て(概 要)」 報 告 書 2011p3) そ して 、 認 知 症 を は じめ多 様 な生 活 障 害 を もっ 利 用者 に質 の高 い介護 を実践 し、 介護従 事 者 の キ ーパ ー ソ ンとな る認 定 介 護 福 祉 士(仮 称)を 介 護 職 の トッ プ に据 え る と い う もの で あ る。 次 に(2)介 護 人 材 確 保 地 域 戦 略 会 議(第2回) の 報 告 書 「介 護 人 材 確 保 の 基 本 的 な 考 え 方(案)一 介 護 人 材 確 保 の 総 合 的 ・計 画 的 な推 進 につ いて 一」 (2015)で の 介 護 人 材 確 保 の基 本 的 な考 え 方 は、 ① 目標 年 次 を2025年 と定 め 、 都 道 府 県 ご との 需 給 推 計 に基 づ き、 介 護 保 険 事 業 計 画(3年1期)と 連 動 し た計 画 的 な取 り組 み を 推 進 す る② 限 られ た人 材 を 有 効 に活 用 す るた め に、 そ の 能 力 や 役 割 分 担 に応 じた 適 切 な人 材 の 組 み 合 わ せ や 養 成 を 進 め、 良 質 な チ ー ム ケ アを 提 供 で き る体 制 を構 築 す る③ 地 域 ご と に関 係 主 体 の 連 携 ・協 働 体 制(協 議 会 等)を 構 築 し、 地 域 の 実 情 に応 じた効 果 的 な取 り組 み を 推 進 す る等 と な って い る。 この よ う に各 法 律 改 正 或 い は各 報 告 書 にて 介 護 人 材 確 保 に関 す る プ ラ ンの 提 示 ・提 案 が な され て い るが 、 各 プ ラ ンの 成 果 を 導 くた め に計 画 倒 れ を防 ぐた めに は、国 ・自治 体(都 道 府県 ・市 町村)・ 事 業 者(事 業 者 団 体)の 連 携 ・協 働 に よ る プ ラ ンの 実 行 が 求 め られ る。 5、 デ ン マー クの 介 護 人 材 養 成 デ ンマ ー クの学 校 制 度 に は(1)基 礎 教 育 と して ① 幼 稚 園 ク ラ ス(就 学 前 教 育1年)と ② 国 民 学 校 (初 等 ・前 期 巾 等 教 育9年)が あ る。 国 民 学 校 の 就 学 年 齢 は7歳 で あ る 。 尚 、 国 民 学 校 と 同 等 の 教 育 を 行 う こ と が で き る 親 或 い は 保 護 者 は 子 ど も を 国 民 学 校 に お い て 教 育 を 受 け さ せ な く と も よ い と な っ て い る(「 デ ン マ ー ク 憲 法 」 第76条)。 (2)後 期 巾 等 教 育 は ① 普 通 教 育 学 校 と ② 職 業 教 育 学 校 が あ る 。 普 通 教 育 学 校 に は 普 通 高 校(10学 年 を 修 了 して い る 国 民 学 校 修 了 生 を 対 象 と す る)と 高 等 教 育 準 備 コ ー ス(HF)(成 人 を 対 象 と す る 大 学 入 学 資 格 取 得 の 為 の コ ー ス)。 職 業 教 育 学 校 に は 上 級 技 術 試 験 コ ー ス (HTX)・ 上 級 商 業 試 験 コ ー ス (HHX)と 職 業 専 門 学 校 等 が あ る。 そ し て 、(3)高 等 教 育 と し て 、1479年 に 設 立 さ れ た コ ペ ンハ ー ゲ ン総 合 大 学 は じ め 他 の 綜 合 大 学 或 い は 単 科 大 学 が あ る 。(6)ケ ア ス タ ッ フ を 養 成 して い る の が 社 会 ・健 康 ス ク ー ル(Social-og Sundheds Skolerne以 後 、 SOSU)で あ る 。 SOSU創 設 の き っ か け は、 「社 会 保 健 基 礎 教 育 法 」(1990)の 改 正 で あ っ た 。 こ の 背 景 に は1958年 以 降 ホ ー ム ヘ ル パ ー 制 度 の 導 入 に 伴 っ て 在 宅 介 護(「 家 事 援 助 」)を 巾 心 に 介 護 サ ー ビ ス を 展 開 して き た。 しか し、 高 齢 化 率 の 上 昇 、 女 性 の 社 会 進 出 、 高 齢 者 福 祉 政 策 の 基 本 理 念 で あ る 「高 齢 者 福 祉 三 原 則 」(1982)の 制 定 等 の 社 会 的 環 境 の 変 化 と 介 護 サ ー ビ ス 質 的 変 化(身 体 介 護 或 い は 認 知 症 介 護 の 増 加 、 高 齢 者 の 慢 性 疾 患 の 増 大 等)に よ る 介 護 ニ ー ズ の 増 大 に 対 応 す る 必 要 性 に 迫 られ た の で あ る。 社 会 保 健 基 礎 教 育 法 の 改 正 に よ り看 護 ・介 護 の 教 育 体 系 が 統 一 さ れ 社 会 保 健 ヘ ル パ ー(Social-og Sundhedshaelper(以 後SSH)と 社 会 保 健 ア シ ス
タ ン ト(Social-og Sndhedsassistent(以 後SSA)の 養 成 が 始 っ た 。 現 在 、SOSUに は12種 類 の 分 野 が あ る 。 そ の 分 野 は 、 ① 自 動 車 ・航 空 機 そ の 他 の 運 輸 関 係 ② 建 築 ・土 木 関 係 ③ 建 物 ・保 全 関 係 ④ 動 物 ・植 物 ・ 自 然 関 係 ⑤ 美 容 関 係 ⑥ 食 品 ・食 料 関 係 ⑦ メ デ ィ ア 関 係 ⑧ 生 産 ・開 発 関 係 ⑨ 電 流 ・制 御 関 係 ⑩ 保 健 ・介 護 ・ 教 育 関 係 ⑪ 運 輸 ・物 流 関 係 ⑫ 商 業 関 係 と 多 種 多 様 で あ る 。 こ の よ う に 学 生 に 選 択 の 幅 を 広 く して い る の が 特 徴 で あ る 。 ケ ア ス タ ッ フ の 養 成 は ⑩ と な って お り、 こ の コ ー ス で 取 得 で き る 資 格 は 、 社 会 保 健 ヘ ル/¥°一 、 社 会 保 健 ア シ ス タ ン ト、 教 育 関 係 ア シ ス タ ン ト、 歯 科 ク リ ニ ッ ク ア シ ス タ ン ト、 病 院 テ ク ニ ッ ク ア シ ス タ ン ト の4種 類 と な っ て い る 。 入 学 に 関 して は 書 類 審 査 の み で 、 試 験 は 課 さ れ て い な い 。 こ こ で 、SSHとSSA養 成 コ ー ス の 特 徴 に つ い て
図 表 一10デ ン マ ー ク の 福 祉 ・医 療 関 係 教 育 制 度 分野別専門教育(3年) 看 護 師 、 助 産 師、 理 学 ・作 業 療 法 士 、 保 育 士 、SW、 養 護 教諭 高等 学校 教 育 (3年) 社 会 保 健 ア シ ス タ ン ト(1.8年) 社 会 保 健 ヘ ル パ ー(1.2年) 準備教育(1年) 就労経験(1年 以上) 国 民 学 校:義務 教 育9年 、 選 択 制(10年) 原 典:Momoyo T. J¢gensen(日 欧 文 化 交 流 学 院 教 員) (出 所:「 デ ン マ ー ク の 認 知 症 ケ ア 動 向 II介 護 人 材 の 育 成 」 よ りp6) 述 べ る 。 ① 入 学 年 齢:国 民 学 校(9年 生 、 選 択 制10 年 生)を 経 て18歳 で 入 学 す る 。 た だ し、18歳 に 満 た な い も の は1年 間 の 準 備 教 育 を 受 け る 。 ま た 、 社 会 人 も就 労 経 験1年 以 上 と な っ て い る 。 ② 入 学 試 験: 原 則 書 類 審 査 の み で 、 各 自 治 体 が 認 め た 者 に 対 して 入 学 許 可 を す る 。 ③ 学 生 給 料 支 給:入 学 を 許 可 さ れ た 学 生 は 自 治 体 の 職 員 と な る た め 、 一 定 の 給 料 が 年 齢 に 応 じて 支 給 さ れ る 。 こ れ は 、 他 の 職 種 に つ い て い る 人 が 介 護 職 を 目 指 して 入 学 した 場 合 、 生 活 の 保 障 を す る た め に 同 制 度 が 設 け られ て い る 。 こ の 制 度 に よ っ て 、 現 役 の 学 生 或 い は 社 会 人 学 生 の 生 活 が 確 保 さ れ る た め 学 業 に 専 念 で き る と い う ユ ニ ー ク な シ ス テ ム で あ る 。 ④ 社 会 保 健 ヘ ル パ ー の 養 成 期 間:1 年2か 月 で 卒 業 後 は 、 公 務 員 と して 採 用 さ れ 、 在 宅 ヘ ル パ ー 或 い は施 設 ヘ ル パ ー と して 就 労 す る。 一 方 、 社 会 保 健 ア シ ス タ ン トは 、 医 療 行 為(薬 の 調 剤 、 褥 瘡 等 の 医 療 処 置)が 認 め られ て お り、 卒 業 後 は 公 務 員 と して 採 用 さ れ 、 在 宅 訪 問 介 護 、 医 療 分 野(総 合 病 院)、 高 齢 者 セ ン タ ー 、 精 神 疾 患 病 院 等 に 就 労 す る 。 ⑤ カ リキ ュ ラ ム:こ の 両 資 格 は 多 様 化 す る 介pX._一一. ズ に 対 応 す る た め 、 医 療 と 介 護 の 連 携 ・統 合 を 教 育 体 系 と し た も の で あ る 。 そ の た め カ リ キ ュ ラ ム に お い て は 、 両 者 が 統 合 さ れ た 介 護 理 論 を 構 築 して い る (こ の 点 が 日本 の 介 護 福 祉 士 の カ リキ ュ ラ ム と異 な っ て い る)。 ま た 、 同 養 成 教 育 に お い て は 、 実 践 教 育 を 重 視 して い る の が 特 徴 で あ る 。 そ こ で 、 ま ず 、SSHの カ リキ ュ ラ ム を 精 査 す る こ と に す る 。 総 時 間 数 は1,680時 間 と な っ て い る 。1 年2か 月 の 学 習 プ ロ セ ス を 見 る と 授 業1(8週 間) → 実 習1(16週 間)→ 授 業2(12週 間)→ 実 習2 (16週 間)→ 授 業3(4週 間)→ 基 本 科 目 或 い は 最 終 テ ス ト、 と な っ て い る(た だ し、1週 間 は30時 間)。 ま た 、 授 業 科 目 は 一 般 科 目 と 基 本 科 目 に 分 か れ て い る。 一 般 科 目 に は 「社 会 と ヘ ル ス ケ ア 」(60時 間)、 「看 護 」 ・ 「記 録 」(計150時 間)、 「リハ ビ リテ ー シ ョ ン」 ・ 「社 会 学 」 ・ 「ヘ ル ス ケ ア実 践 」(計105時 間)、 「心 理 学 」 ・ 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」(計75時 間)、 「労 働 一 般 」 ・ 「人 間 工 学 」(計30時 間)等 が あ る 。 ま た 、 基 本 科 目 と して 、 「デ ン マ ー ク語 」(120時 間)、 「英 語 」(60時 間)、 「自 然 科 学 」(60時 間)等 が あ る 。 そ の 他 に 「選 択 科 目 」(30時 間)、 「選 択 専 門 科 目 」 (30時 間)、 「実 習 」(960時 間)の 合 計1680時 間 と な っ て い る 。(7) こ のSSAの カ リ ュ キ ュ ラ ム(1年8ヵ 月)か ら判 明 す る こ と は 、 ① 授 業 科 目 に お い て 看 護 、 リハ ビ リ テ ー シ ョ ン、 心 理 学 、 労 働 一 般 、 人 間 工 学 等 自 然 科 学 、 人 文 科 学 、 社 会 科 学 と 人 間 に 関 す る 全 て の 科 目 を 網 羅 して い る こ と 、 ② 実 習 に 多 数 の 時 間 を 割 い て い る こ と で あ る 。 こ の 開 講 科 目 か ら医 療 と 介 護 の 統 合 し た 介 護 専 門 職 で あ る と い う こ と を 体 現 化 して い る こ とが 分 か る 。 次 にSSAの 開 講 科 目 について み る。 一 般 科 目 は 「看 護 」(150時 間)、 「細 胞 病 理 学 」・ 「薬 学 」(計120時 間)、 「生 理 学 」 ・「質 の 保 証 」 ・「記 録 」(計90時 間)、 「病 気 予 防 」・「リハ ビ リテ ー シ ョ ン」(計90時 間)、 「健 康 教 育 」・「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン」 等(計90時 間)と な っ て い る 。 ま た 、 基 本 科 目 と し て 、 「デ ン マ ー ク 語 」(60時 間)、 「自 然 科 学 」(120時 間)、 「英 語 」(60時 間)、 そ の 他 「選 択 科 目 」(30時 間)、 「選 択 専 門 科 目 」(60時 間)等 を 開 講 して い る 。 尚 、 「実 習 」(1350時 間)で 合 計2310時 間 と な って い る。(8)SSAの 開 講 科 目 を 見 た 場 合 、 卒 業 後 の 進 路 を:考慮 して 、 ① 医 療 、 薬 学 、 看 護 等 医 系 の 科 目 に 多 くの 時 間 を 費 や して い る の が 最 大 の 特 徴 で あ る 。 ま た 、 ②SSA同 様 、 実 習 時 間 に 多 数 の 時 間 を 費 や して い る ③ 社 会 人 学 生 の 多 く は 海 外 か ら の 移 住 者 が 多 い た め 、SSH同 様 、 英 語 と デ ン マ ー ク 語 に 多 くの 時 間 を 費 や して い る 。 と く に デ ン マ ー ク 語 は 日 常 会 話 で あ る が 習 得 に 時 間 を 要 す る 為 、 時 間 を か け て3年 間 で マ ス タ ー で き る よ う配 慮 さ れ て い る 。
地 域 包 括 ケア シス テ ム と介 護 人 材 の 養 成 43 以 上 、SSHとSSAの カ リ ュ キ ュ ラ ム について 検 証 して き た が 、SSAの 課 程 を 修 了 し た 者 の う ち 進 学 希 望 者 は 後 期 高 等 教 育 と して 位 置 づ け られ て い る 看 護 師 、 ソ ー シ ャル ワ ー カ ー 、 国 民 学 校 教 師 、 助 産 師 等 の 課 程(3年)に 進 学 す る こ と が で き る 。 図 表 一11デ ン マ ー ク の 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム の 一 例(コ ミ ュ ー ン が 基 本 的 責 任) (出 所:銭 本 隆 行 「安 心 して 暮 せ る デ ンマ ー ク の福 祉 」 (資料)、2013を 参 照 して 作 成) こ れ ま で 、SSH並 び にSSAの 養 成 課 程 に つ い て 検 証 して き た が 、 課 題 も明 ら か に な っ て き た 。 そ れ は 、 ① 雇 用 条 件 が 恵 ま れ て い る た め 、 海 外 か らの 移 民 社 会 人 入 学 生 が 多 数 在 籍 す る が 、 彼 ら に と っ て 最 大 の 課 題 は デ ン マ ー ク語 の 習 得 で あ る 。SSH、SSAの 3年 間 を 通 じて デ ン マ ー ク 語 の 科 目 が 設 け られ 多 数 の 時 間 が 用 い られ て い る が 、 習 得 で き ず 退 学 す る 者 が 見 ら れ る。 ② 今 後 、SSH並 び にSSAの 職 域 分 野 の 多 様 化 、 多 種 化 に 伴 う 知 識 ・技 能 の 向 上 の 必 要 性 ③ 各SOSU校 と の 連 携 ・提 携 に よ る 情 報 の 刷 新 し、 友 好 的 関 係 を 構 築 す る ④ 途 中 退 学 者 を 防 止 す る 為 、 カ リ ュ キ ュ ラ ム 等 の 見 直 し、 等 が 課 題 と と して あ げ ら れ て い る 。 こ う し た 背 景 の も と2015年 度 か ら次 の よ う なSOS U改 革 が 行 わ れ た 。 (1)改 革 に よ る2大 変 更 点 ① 新 た な 基 本 コ ー ス と 入 学 条 件 の 導 入 ② 学 生 と して 雇 用 さ れ る 者 は 研 修 生 と して 採 用 し、 そ の 後 、 評 価 を 受 け た の ち 自 治 体 職 員 と して 採 用 す る 。 ま た 、SOSUの カ リキ ュ ラ ム は学 生 の た め の も の と す る (2)政 府 の 意 向 ① よ り多 く の 学 生 は 、 国 民 学 校9年 生 或 い は10年 生 直 後 に 職 業 訓 練 校(SOSU)を 選 択 す る 必 要 が あ る ② 職 業 訓 練 は 必 ず 完 了 す る 必 要 が あ る 。 ③ 彼 等 は 熟 練 者 に な れ る よ う職 業 訓 練 に 挑 戦 し な く て は な ら な い 。 ④ 職 業 専 門 学 校 に お い て 自 信 と 達 成 感 が 満 た さ れ な け れ ば な ら な い 。 (3)具 体 的 なSOSU改 革 の 取 り組 み ① 青 年 に と って 魅 力 的 な 環 境 の 構 築 ② よ り シ ン プ ル な 学 校 シ ス テ ム 、 カ リ ュ キ ュ ラ ム 等 の 推 進 ③ よ り よ い 訓 練 機 会 の 提 供 ④ 手 動 作 業 に 焦 点 を 合 わ す ⑤ 入 学 条 件 の ク リ ア ー 化 ⑥ よ り よ い 教 育 の 推 進 ⑦ 継 続 的 な イ ン タ ー シ ッ プ ⑧ 新 し い 複 合 的 な 中 等 教 育 の 実 施 ⑨ 社 会 人 学 生 の た め の 新 し い ト レ ー ニ ン グ の 導 入 (4)SOSU進 学 に 際 す る分 野 の 選 択 に つ い て これ ま で 、 学 生 は12分 野 か ら選 択 して い た が 、 今 後 は4分 野(① 分 野:ケ ア 、 健 康 と 教 育 ② 分 野:オ フ ィ ス 、 商 業 と ビ ジ ネ ス ③ 分 野:食 糧 、 農 業 、 体 験 ④ 分 野:エ ン ジ ニ ア リ ン グ 、 建 設 、 輸 送)か ら選 択 す る (5)入 試 改 革 ① 国 民 学 校 で 必 ず デ ン マ ー ク 語 と 数 学 に 合 格 す る こ と が 条 件 で あ る ② 国 民 学 校 か ら直 接 入 学 す る学 生 は、 新 し い基 本 コ ー ス(「 開 発 と幸 福 」 「健 康 的 な 生 活 と ラ イ フ ス タ イ ル 」) (2週 間)に 属 し、 基 本 コ ー ス を 履 修 後 メ イ ン コ ー ス に 進 む 。 尚 、 社 会 人 は 直 接 メ イ ン コ ー ス に 属 す る 現 在 、SSHとSSAは 、 自治 体 の 在 宅 介 護 の ヘ ル パ ー と して 或 い は 病 院 等 の ア シ ス タ ン トと して 、 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム の 中 核 を 担 って い る の で あ る 。 (6)SOSU・ ネ ス ト ヴ エ ズ 校 のSSH、 SSAの 新 プ ロ グ ラ ム(2015)で は 、SSHの 総 授 業 時 間 数 が56週 (1680時 間)か ら62週(1860時 間)へ180時 間 プ ラ ス と な って い る。 一 方 、SSAは 、77週(2310時 間)か ら65週(1950時 間)へ と逆 に360時 間 マ イ ナ ス と な っ て い る 。(9) い ず れ に せ よ 今 回 のSOSUの 改 革 に よ っ て 、 諸 課 題 解 決 へ の 施 策 が 講 じ られ た の で あ る 。
6、 フ ィ ン ラ ン ドの 介 護 人 材 養 成 厚 生 労 働 省 は 「介 護 ・福 祉 サ ー ビ ス ・人 材 の 融 合 チ ー ム 」(以 後 、 チ ー ム)を2015年4月14日 に 立 ち 上 げ た 。 こ の 背 景 に あ る の は 、 ①2025年 問 題(団 塊 の 世 代 が 全 て75歳 以 上 に な る)② 介 護 ・保 育 分 野 に お け る 人 材 不 足 で あ る 。 そ こ で 、 都 市 部 に お け る 介 護 ニ ー ズ の 増 大 に 対 処 す る 介 護 ・福 祉 職 の 大 幅 な 人 手 不 足 、 地 方 ・山 間 部 に お け る 人 口 減 ・人 材 減 に よ る 介 護 ・福 祉 サ ー ビ ス の 枯 渇 の 状 況 が 予 測 さ れ る な か 、 ① 介 護 ・保 育 分 野 の 人 材 不 足 ② 高 齢 者 介 護 ・保 育 ・障 害 者 向 け 施 設 の 統 合 と 資 格 の 一 本 化 ③ 専 門 職 間 の 労 働 力 流 動 化 ④ 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム を 支 え る 万 能 な 人 材 の 育 成 等 を 図 る た め 創 設 さ れ た の で あ る 。 しか し、 そ こ に は 多 くの 課 題 が 山 積 して い る 。 具 体 的 に は 、 ① 対 象 が 幼 児 と高 齢 者 或 い は 障 害 児(者) と な る が 、 ス キ ル が 広 範 囲 に 及 ぶ こ と で 、 充 分 な 対 処 が で き な い の で は な い か ② 保 育 と 介 護 の 人 材 不 足 を 補 う た め だ け の 資 格 で あ る な らば 、 あ ま り に も安 易 で は な い か ③ 保 育 ・介 護 共 に 一 般 企 業 と 比 較 し た 場 合 、 賃 金 ・労 働 条 件 と も に 劣 悪 で あ る た め 、 希 望 者 が 少 な く、 離 職 者 が 多 い の で あ る が 、 待 遇 面 で の 改 善 は 同 時 に 進 め られ る の か ④ 同 資 格 は フ ィ ン ラ ン ドの ラ イ ホ イ タ イ ヤ(lahihoitaja:社 会 ・保 健 医 療 ケ ア 共 通 資 格)を 参 考 に して い る が 、 准 看 護 師 で あ る た め 、 社 会 的 評 価 は あ ま り高 く は な い 。 現 在 、 厚 生 省 が 試 案 して い る 介 護 ・保 育 分 野 の 統 合 資 格 で 社 会 的 地 位 も明 らか と な っ て い な い こ こ で 、 フ ィ ン ラ ン ドの 介 護 人 材 の 中 核 で あ る ラ イ ホ イ タ ヤ について 述 べ る 。 ま ず 、 ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ 資 格 と は 何 か と い う こ と で あ る 。 同 資 格 の 前 身 は10資 格 で あ る 。 ま ず 、 保 健 医 療 部 門 で は 、 ① 准 看 護 師(Perushoitaja)、 ② 精 神 障 害 看 護 助 手(mielenterveyshoitaja)、 ③ 歯 科 助 手 (hammashoitaja)、 ④ 保 母/保 育 士(lastenhoitaja)、 ⑤ ペ デ ィ ケ ア 士(jalkojenhoitaja)、 ⑥1)ハ ビ リ助 手 (kuntohoitaja)、 ⑦ 救 急 救 命 士 一 救 急 運 転 手 (laakintavahtimestari-sairaankuljettaja)の7種 類 。 一 方、 社 会 サ ー ビ ス 部 門 で は 、 ① 知 的 障 害 福 祉 士 (kehitysvammaistenhoitaja)、 ② ホ ー ム ヘ ル パ ー (kodinhoitaja)、 日中 保 育 士(paivahoitaja)の3種 類 と な っ て い る が 、 トー タ ル10種 類 の 資 格 が 統 合 さ れ た の が ラ イ ホ イ タ ヤ で あ る 。 次 に 、 導 入 の 背 景 で あ る が 、 ① フ ィ ン ラ ン ドの 高 齢 福 祉 政 策 が 施 設 ケ か ら在 宅 ケ ア へ の 政 策 転 換 に 伴 う社 会 サ ー ビ ス 分 野 と 保 健 医 療 サ ー ビ ス 分 野 に お け る ケ ア の 共 通 基 礎 資 格 の 一 本 化 が 求 め られ た こ と ② ケ ア サ ー ビ ス に お け る 基 礎 資 格 の 統 合 化 が 求 め られ た こ と ③ 労 働 力 流 動 化 政 策 の も と で 、 労 働 市 場 を 移 行 す る こ と が で き る こ と ④ 同 じ介 護 者 が 同 じ高 齢 者 を ケ ア で き る こ と ⑤ 他 領 域 の 職 場 へ の 移 動 が 可 能 に な る こ と 、 等 を 指 摘 す る こ と が で き る 。 ラ イ ホ イ タ イ ヤ の 養 成 が 始 ま っ た の は 、1993年 で あ る が 、 資 格 取 得 ル ー トは ① 基 礎 教 育(小 ・中)修 了 者 ② 中 等 教 育 課 程(高 等 学 校 に 相 当)の 修 了 者 と な っ て い る 。 養 成 期 間 は3年 間 で 、 中 等 職 業 訓 練 校 で 養 成 教 育 を 受 け る 。 取 得 習 得 単 位 は120単 位(1単 位 一40時 間;そ の う ち 29単 位 一1160時 間 の 現 場 実 習 有)と な っ て い る 。 尚 、3年 間 の カ リ ュ キ ュ ラ ム の 概 要 は 図 表 一12の 通 りで あ る 。 こ の カ リ ュ キ ュ ラ ム は 、 柔 軟 で よ り深 遠 な 知 識 を 具 備 し た ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ を 養 成 す る た め 、 2010年 以 降 新 た に改 正 さ れ た も の で 、 主 な 変 更 点 は 、 ① 民 営 の ケ ア 事 業 者 の 増 加 に 伴 い 、 職 業 資 格 教 育 部 分 に5単 位 の 起 業 科 目 が 新 た に 加 わ っ た 。 ② 従 来 、 共 通 職 業 資 格 教 育 が40単 位 で あ っ た の を30単 位 に 減 少 、 そ の 代 わ り新 た に 追 加 的 職 業 資 格 教 育(特 別 教 育)か ら10単 位 を 選 択 取 得 す る よ う に し た 。 そ の 結 果 、 基 礎 資 格 教 育 取 得 後 、 新 た に 専 門 的 技 能 資 格 が 取 得 で き る よ う に な っ た の で あ る 。(1°) 図 表 一12資 格 要 件 カ リキ ュ ラ ム(2010年 以 降) [一 般 教 養]30単 位 ※1単 位 一40時 間 共 通 コ ァ 科 目 20単 位(必 修16単 位 選 択4単 位) 自 由 課 題 10単 位(う ち 学 習 指 導1.5単 位) [職 業 資 格 教 育 部 分]90単 位(現 場 実 習29単 位 、 起 業 科 目5単 位 、 卒 業 課 題2単 位 を 含 む) ■ 共 通 職 業 資 格 教 育 50単 位(必 修) 「発 達 の 支 援 と 指 導 」15単 位 「看 護 と 介 護 」 20単 位 「リハ ビ リ テ ー シ ョ ン支 援 」15単 位 ■ 専 門 職 業 教 育]各 30単 位(9つ の 課 程 か ら 1つ 必 修) 「顧 客 サ ー ビ ス ・情 報 管 理 」 「救 急 ケ ア 」 「リハ ビ リ テ ー シ ョ ン」 「児 童 ・青 少 年 む け ケ ア ・養 育 」 「精 神 保 健 お よ び 薬 物 依 存 へ の 福 祉 対 応 」 「看 護 及 び 介 護 」
地 域 包 括 ケア シス テ ム と介 護 人 材 の 養 成 45 「口腔 ・歯 科 衛 生 」 「障 害 者 ケ ア」 「高 齢 者 ケ ア」 ■ 追 加 的 職 業 資 格 教 育 10単 位(以 下 の コ ー ス か ら選 択) 「社 会 ・保 健 医 療 ケ ア基 礎 資 格 教 育 か らの 単 位 所 得 コ ー ス」(10単 位) 「他 の職 業基 礎 資 格教 育 か らの単 位 取 得 コー ス」 (5∼10単 位) 「職 業 資 格 」 か らの 単 位 取 得 コ ー ス(※) 「特 別 職 業 資 格 」 か らの 単 位 取 得 コ ー ス(※) ※ 基 礎 資 格 取 得 者 が 特 別 選 択 教 育 に よ って 得 ら れ る専 門 資 格(例 え ば 、 ペ デ ィ ケ ア、 知 的 障 害 者分 野 、 解剖 助 手 、児 童 ・青少 年 特 別 指導 員 等) (出 所:森 川 美 絵 「地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム に 必 要 と さ れ る 人 材 の 考 え 方 フ ィ ン ラ ン ドの 社 会 ・保 健 医 療 ケ ア 共 通 基 礎 資 格 ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ を 手 が か りか り に 一 」 保 健 医 療 科 学 2012Vol.61 No.2 p133、 一 部 修 正) ま た 、 一 般 教 養 に お け る 開 講 科 目(必 修)を 見 る と 「フ ィ ン ラ ン ド語 」 「外 国 語 」 「数 学 」 「物 理 」 「化 学 」 「社 会 」 「起 業1」 「労 働 生 活 」 「体 育 」 「保 健 」 「芸 術 」 「文 化 」 が あ り、 又 、 開 講 科 目(必 修)で は 「環 境 」 「情 報 」 「コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン」 「倫 理 」 「文 化 を 知 る 」 「心 理 学 」 「起 業 活 動 」 等 が 開 講 さ れ て い る 。 ま た 、 共 通 職 業 資 格 教 育 に お い て は 、 「看 護 と 介 護 」 「リハ ビ リ テ ー シ ョ ン」 「成 長 と 養 育 」 等 が 開 講 さ れ て い る。 デ ン マ ー ク のSSH並 び にSSAと ラ ヒ ホ イ タ ヤ で は 、 入 学 年 齢 が 異 な る が 、 開 講 さ れ て い る 科 目 は 、 人 間 に 関 す る 基 礎 教 養 ・専 門 知 識 を 構 築 す る 自 然 ・人 文 ・社 会 科 学 分 野 が 全 て 網 羅 さ れ て い る の で あ る 。 た だ 、 一 点 異 な る の は ラ ヒ ホ イ タ ヤ の カ リ キ ュ ラ ム に お い て 起 業 科 目 が 含 ま れ て い る こ と で あ る。 こ の 理 由 は 、 フ ィ ン ラ ン ドに お い て 、 従 来 、 公 的 に 実 施 さ れ て い た ケ ア サ ー ビ ス が 地 方 自 治 体 の 財 政 的 逼 迫 も あ り、 民 間 の 事 業 体 に 移 行 し、 起 業 と して 捉 え る 必 要 性 に 迫 られ た か らで あ る 。 中 等 職 業 訓 練 校 に て 養 成 さ れ る ラ ヒ ホ イ タ ヤ は8 っ の 分 野 の ひ と っ で あ る 。8っ の 分 野 は 、 ① 人 間 と 教 育 ② 文 化 ③ 社 会 科 学 ・ ビ ジ ネ ス ・経 営 管 理 ④ 自 然 科 学 ⑤ テ ク ノ ロ ー ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・運 輸 ⑥ 社 会 サ ー ビ ス ・健 康 ・ス ポ ー ツ ・⑧ 旅 行 ・調 理 ・家 事 サ ー ビ ス 等(11)と な っ て お り、 デ ンマ ー ク のSOSUと 分 野 の 領 域 が 非 常 に 類 似 して い る 。 こ の う ち ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ は 、 ⑦ の 領 域 で 資 格 を 得 る こ とが で き る が 、 デ ン マ ー ク 同 様 フ ィ ン ラ ン ド も国 民 学 校 或 い は 基 礎 教 育 修 了 後 、 高 等 学 校 或 い は 職 業 学 校 に 進 学 す る 者 の 割 合 が ほ ぼ 同 数 で あ り、 大 学 へ の 途 も複 線 化(両 国 と も に 職 業 教 育 修 了 者 に 対 して も進 学 の 途 を 開 い て い る)し て い る。 ま た 、 賃 金 に お い て も学 歴 よ り、 資 格 に よ っ て 決 ま る 傾 向 が あ り、 所 謂(い わ ゆ る)、 日 本 の よ う に 「学 歴 重 視 社 会 」 で は な く、 「資 格 重 視 社 会 」 で あ る こ と が 分 か る 。 尚 、 ラ ヒ ホ イ タ ヤ の 資 格 取 得 者 の 職 場 は 、 高 齢 者 の 在 宅 ・施 設 サ ー ビ ス 、 児 童 の 保 育 、 各 種 の 病 院 、 保 健 医 療 社 会 サ ー ビ ス 、 障 害 者 サ ー ビ ス 等 と な って い る 。 元 来 、 ライ ホ イ タ ヤ は社 会 サ ー ビ ス と保 健 医 療 サ ー ビ ス の 統 合 か ら生 ま れ た 資 格 で あ る 。 そ の た め 地 域 包 括 ケ ア の中 核 と して の 役 割 が 期 待 さ れ て い る 。 し か し、 課 題 も見 え て き て い る 。 ① 養 成 課 程 に お け る 退 学 者 の 問 題 で あ る 。 こ の 問 題 に 関 して 、 デ ン マ ー ク で は 移 民 の 語 学 習 得(と く に 生 活 用 語 で あ る 「デ ン マ ー ク 語 」:入 学 要 件 を 厳 し く し た)に 問 題 が 生 じて い る が 、 フ ィ ン ラ ン ドに お い て も移 民 学 生 の 語 学 習 得(「 フ ィ ン ラ ン ド語 」)に 問 題 が 生 じて い る 。 ② ラ イ ホ イ タ イ ヤ の 若 者 の 入 学 者 の 割 合 が 、 年 々 減 少 して い る(こ の 問 題 は 、 同 国 に お い て も以 前 か ら 介 護 に 従 事 者 に 対 す る 社 会 的 評 価 が 低 い こ と も要 因 の ひ と っ と か ん が え られ る)③ ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ は あ る意 味 に お い て 、 ケ ア の 領 域 に お け る オ ー ル マ イ テ ィ と して 存 在 して い る 。 しか し、 そ の 知 識 並 び に 技 術 評 価 は 決 して 高 い も の で は な い 。 ④ 職 場 、 特 に 病 院 に お い て は 、 わ が 国 で も生 じて い る 問 題 で あ る が 、 看 護 師 と の 関 係 で あ る 。 と もす れ ば 、 医 療 機 関 に お い て 、 介 護 従 事 者 は 職 務 的 ・賃 金 面 に お い て 恵 ま れ た 待 遇 で は な い 。 今 後 、 医 師 、 看 護 師 と の 関 係 性 を 如 何 に 整 理 す る か が 問 題 で あ る 。 以 上 の 諸 課 題 を ラ イ ホ イ タ ヤ は 有 して い る が 、 社 会 的 評 価 は 揺 る ぎ な い も の で あ る と 確 信 す る 。 7、 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム と 介 護 人 材 養 成 の あ り方 へ の 示 唆 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム は 、 住 み 慣 れ た 地 域 で 生 活 す る 高 齢 者 、 虚 弱 者 、 障 害 児(者)の 日 常 生 活 の 継 続 を 支 援 す る の が 目 的 で あ る 。 そ の 為 に は 、 医 療 ・介 護 の ス キ ル を 習 得 し た ケ ア ワ ー カ ー が 必 要 と な る 。 現 在 、 施 設 ・在 宅 の 介 護 を 担 っ て い る の は 、 介 護 福 祉 十 或 い は ホ ー ム ヘ ル パ ー で あ る 。
しか し、 厚 生 労 働 省 は6月24日 「団 塊 の 世 代 」 が す べ て75歳 以 上 に な る2025年 度 に 介 護 職 員 が 約38万 人 不 足 す る 恐 れ が あ る と の 推 計 を 公 表 し た(朝 日 新 聞2015年6月25日 付)。 介 護 職 員 の 不 足 の 原 因 は 、 低 賃 金 、 重 労 働 、 社 会 的 評 価 等 で あ る が 、 こ の 点 の 改 善 は 依 然 と して 進 展 して い な い の で あ る 。 と こ ろ で 、 世 界 の 先 進 諸 国 に お い て 、 社 会 保 障 ・ 社 会 福 祉 の 共 通 課 題 は 人 口 の 高 齢 化 と 合 計 特 殊 出 生 率 低 下 に 伴 う 高 齢 化 社 会 の 深 刻 化 で あ り、 介 護 ・年 金 ・医 療 等 の 問 題 と して 顕 在 化 して い る 。 と く に サ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン に 端 を 発 し た 投 資 銀 行 リ ー マ ン ・ブ ラ ザ ー ズ の 破 綻 に よ る 世 界 的 金 融 危 機 (所 謂 、 リ ー マ ン ・ シ ョ ッ ク)に よ る 世 界 経 済 の 不 況 の も と で 、 各 国 の 高 齢 者 サ ー ビ ス が 財 政 的 制 約 を 受 け る こ と と な っ た 。 そ の た め 、 北 欧 の 福 祉 国 家 で も 財 政 的 危 機 に 見 舞 わ れ た 。 そ の 公 的 機 関 の 財 政 負 担 を 軽 減 す る た め 、 民 間 事 業 者 の サ ー ビ ス を 導 入 す る こ と に な っ た 。 こ う し た 状 況 下 で 、 各 国 に お い て サ ー ビ ス の 形 態 を 施 設 か ら在 宅 ヘ シ フ トす る 政 策 が 実 施 さ れ た 。 そ の 中 核 が 地 域 包 括 ケ ア セ ン タ ー 構 想 で あ る 。 た だ し、 地 域 包 括 ケ ア を 実 現 す る た め に は 介 護 ・ 医 療 ・予 防 ・住 ま い ・生 活 支 援 の5っ の 項 目 の 取 り 組 み が 必 要 で あ る 。 具 体 的 に は 、 ① 医 療 と の 連 携 ② 介 護 サ ー ビ ス の 充 実 強 化 ③ 予 防 の 推 進 ④ 見 守 り、 配 食 、 買 い 物 ⑤ 高 齢 期 に お い て も 住 ま う こ と の で き る バ リ ア フ リ ー の 高 齢 者 住 宅 の 整 備 等 で あ る 。 こ の 地 域 包 括 ケ ア サ ー ビ ス を 提 供 す る の が 医 療 ・看 護 ・介 護 で あ る 。 な か で も 介 護 の 担 い 手 で あ る 介 護 福 祉 士 は 、 質 的 ・量 的 に 介 護 サ ー ビ ス を 提 供 す る 扇 の 要 と な っ て い る 。 こ こ で 、 ケ ア ワ ー カ ー と して 各 現 場 で 活 躍 して い る 介 護 福 祉 十 とSSH、 SSA、 ラ イ ホ イ タ イ ヤ と 基 本 的 条 件 と 開 講 科 目 等 に つ い て 検 討 す る 。 ま ず 、 基 本 的 条 件 で あ る が 図 表 一13はSSH、 SSA、 介 護 福 祉 士(2年 養 成)、 ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ の 入 学 年 齢 、 入 試 、 養 成 期 間 、 授 業 時 間 数 、 授 業 料 、 就 職 先 、 給 与 について 比 較 し た もの で あ る 。 介 護 福 祉 十 と 他 の 資 格 を 比 較 して 明 らか な の は 、 ① 授 業 時 間 数 が 養 成 期 間 に お い て 最 も少 な い ② 他 の 資 格 は 入 試 が な い ③ 他 の 資 格 は 養 成 期 間中 授 業 料 が い らな い ④ 他 の 資 格 養 成 施 設 は 公 的 施 設(自 治 体)で あ る ⑤SSH、 SS Aは 試 用 期 間 を 除 い て 自治 体 職 員 に 登 録 さ れ た 時 点 か ら年 齢 に 応 じて 給 与 が 支 払 わ れ る が 介 護 福 祉 士 と 他 の 資 格 と の が 相 違 点 で あ る 。 図 表 一13SSH、 SSA、 介 護 福 祉 士 、 の 比 較 ラ ヒホ イ タ ヤ 入学年齢 (歳) 入 試 養成期 間 授業時 間 (時 間) 授業料 就 職 先 給与 (在学 中) SSH 18 無 1.2年 .:1 無 公 有 SSA SSH 修 了 無 1.8年 2310 無 公 有 介護福祉士 18(高 卒) 有 2年 :11 有 私 ・公 無 ラ ヒ ホ イ タ ヤ 16(中 卒) 無 3年 x:11 無 公 ・私 無 (注):公 は 自治 体 、 民 は民 間 事 業 者 、 給 与 は デ ン マ ー ク でSSH或 い はSSAと して の コ ー ス を 選 択 して 入 学 し た 場 合 、 自 治 体 職 員 と し て 登 録 さ れ 給 与 が 支 給 さ れ る(た だ し、2015年 度 よ り、 当 初 は 研 修 生 と し て 処 遇 さ れ る こ と と な っ た 筆 者 作 成) 次 に 開 講 科 目 で あ る が 、SSH、 SSAの 開 講 科 目 に は、 医 療 系 科 目 で あ る 「看 護 」 「リハ ビ リテ ー シ ョ ン」 「ヘ ル ス ケ ア 実 践 」 「細 胞 学 」 「薬 学 」 「生 理 学 」 等 が 開 講 さ れ て い る 。 ま た 、 ラ ヒ ホ イ タ ヤ に お い て も 「看 護 及 び 介 護 」 「口 腔 ・歯 科 衛 生 」 「リハ ビ リテ ー シ ョ ン支 援 」 「精 神 保 健 及 び 薬 物 依 存 へ の 福 祉 対 応 」 (図 表 一12参 照)等 が 開 講 さ れ て い る 。 これ に 対 し、 介 護 福 祉 十 は 独 自 に 医 療 行 為(喀 疾 吸 引 等 の み 許 可) が 、 業 務 上 許 可 さ れ て い な い た め 医 療 系 科 目 が 開 講 さ れ て い な い の で あ る 。 しか し な が ら、 要 介 護 者 、 障 害(児)者 等 の ケ ア サ ー ビ ス に お い て 、 医 療(看 護)行 為 は 必 然 的 な もの で あ る 。 地 域 包 括 ケ ア サ ー ビ ス は 社 会 的 サ ー ビ ス 分 野 と 保 健 医 療 サ ー ビ ス 分 野 を 包 含 し た も の で あ る 。 故 に 、 医 療 サ ー ビ ス が 実 施 で き な い ケ ア ワ ー カ ー は 、 必 要 度 が 低 下 す る の で あ り、 看 護 師 と 業 務 分 離 して い る 現 状 は 望 ま し く な い の で あ る 。 利 用 者 に と って サ ー ビ ス 提 供 者 が 異 な れ ば 、 精 神 的 ・心 理 的 に 不 安 定 に 陥 る こ と も あ る の で 、 安 心 ・安 全 を 同 人 物 で 提 供 す る 専 門 職 の 意 義 ・存 在 が 必 要 で あ る 。 図 表 一14は 、 社 会 介 護 保 健 師(仮 称)の 職 位 と 業 務 内 容 、 養 成 期 間 を 提 示 し た も の で あ る 。 これ ま で デ ン マ ー ク のSAH、 SAA並 び に フ ィ ン ラ ン ドの ラ ヒ
地 域 包 括 ケア シス テ ム と介 護 人 材 の 養 成 47 ホ イ タ イ ヤ の 介 護 人 材 養 成 に つ い て 詳 述 し た が 、 い ず れ も地 域 包 括 ケ ア の理 念 の も と で 、 ホ ー ム ヘ ル パ ー と 看 護 を 統 合 し た 社 会 保 健 ヘ ル パ ー 並 び に 社 会 保 健 ア シ ス タ ン ト、 そ して 、 社 会 保 健 医 療 共 通 基 礎 資 格 で あ る ラ ヒ ホ イ タ イ ヤ が 、 専 門 職 と して 児 童 か ら高 齢 者 に 対 す る ケ ア を 遂 行 して い る 。 しか し、 日 本 の 介 護 福 祉 十 は 医 療 行 為 が 禁 止 さ れ 、 専 門 職 と して 、 質 的 水 準 は 依 然 と して 停 滞 し た ま ま で あ る 。 図 表 一14社 会 介 護 保 健 師 の 職 位 図 表 一15介 護 福 祉 士 養 成 校 と准 看 護 師 養 成 校 の 関係 (出 所:筆 者 作 成) (出所:筆 者 作 成) こ こ で 、 今 後 、 ど の よ う な 養 成 プ ラ ンが 必 要 な で る か を 考 察 す る 。 こ れ ま で 、 地 域 包 括 ケ ア を 前 提 と した 或 い は 介 護 の 人 材 の 質 的 的 向 上 を 目 指 し た プ ラ ン と して 、 「コ ミュ ニ テ ィ ・ナ ー ス 」(金 井 一 薫)と 「療 養 生 活 支 援 介 護 師 」(筒 井 澄 栄 ・石 川 彪)等 を あ げ る こ と が で き る 。 こ の2っ の プ ラ ン は 一 考 に 値 す る と 筆 者 は 考 え る(12)。 しか し な が ら、 筆 者 が 考 え る の は 現 在 の 介 護 福 祉 十 の 資 格 を 生 か しな が ら新 た な 資 格 を 構 築 す る こ と に あ る 。 す な わ ち 、 現 行 の 介 護 福 祉 士 の 教 育 内 容 は 現 状 維 持 と し、 そ の 上 に 准 看 護 師 の 教 育 内 容 を 上 乗 せ す る プ ラ ンで あ る 。 尚 、 介 護 福 祉 士 の 下 位 に は 介 護 職 員 初 任 者 研 修 修 了 者 を 設 定 す る(図 表 一14参 照)。 こ の プ ラ ン は 、 介 護 人 材 養 成 に お い て 現 行 の 養 成 シ ス テ ム を 利 用 した 非 常 に シ ン プ ル な もの で 且 っ 経 済 的 、 効 率 的 プ ラ ンで あ る 。 社 会 介 護 保 健 師 の 養 成 プ ロ セ ス は次 の よ う に す る 。 ま ず 、 介 護 職 員 初 任 者 研 修(ホ ー ム ヘ ル パ ー2級) は 主 と して 民 間 業 者 が 実 施 して お り、4ヵ 月 程 度 の 講 習 ・テ ス トを合 格 して 得 る資 格 で あ り、 初 級 ヘ ル パ ーで あ る。 つ づ いて 介 護 福 祉 士 資 格 を2年 間 の養 成 課 程 にて 取 得 す る。 ここ まで は従 来 の 養 成 内 容 で あ るが 保 険 医 療 サ ー ビス に対 応 で き る 「社 会 介 護 保 健 師 」 資 格 を新 た に設 け る。 資 格 取 得 方 法 は、 ① 介 護 福 祉 士 の資 格 を有 す る者 が 、 准 看 護 師 養 成 施 設 に て2年 間 の養 成 教 育 を経 て 国 家 試 験 を受 験 し、 准 看 護 師 の国 家 資 格 を取 得 した者 が 社 会 介 護 保 健 師 と な る。 ② 准 看 護 師 資 格 を有 す る者 が 介 護 福 祉 士 養 成 施 設 にて2年 間 の養 成 教 育 を経 て 国 家 試 験 を受 験 し、 介 護 福 祉 士 の 資 格 を 取 得 した者 が 、 社 会 介 護 保 健 師 と な る。 尚 、 同 資 格 取 得 を得 る た め一 定 の条 件 を課 す る こ と にす る。 そ れ は、 ① 高 等 学 校 を卒 業 後 、 社 会 介 護 保 健 師 資 格 を 取 得 す る た め に は4年 間 の養 成 期 間 を必 要 とす る② 介 護 福 祉 士 と准 看 護 師 の養 成 課 程 を 修 了 した社 会 介 護 保 健 師 の職 位 は、 業 務 ・名 称 独 占 の国 家 資 格 と し、 看 護 師 と同 等 の資 格 ・地 位 を 有 す る もの とす る。 ③ 授 業 時 間 は介 護 福 祉 士(2年 課 程)1800時 間(図 表 一16参 照)、 准 看 護 師1890時 間(図 表 一17参 照)、 合 計3690時 間 とす る④ 質 の高 い有 資 格 者 を養 成 す る た め、 介 護 福 祉 士 と准 看 護 師 の入 学 試 験 は別 建 て と す る。 ④ 臨 床 実 習 を重 視 し、 実 践 力 を具 備 した社 会 介 護 保 健 師 を養 成 す る。 介 護 知 識 ・技 術 と医 療 知 識 ・技 術 を修 得 す る こと に よ って 従 来 分 離 して い た看 護 領 域 と介 護 領 域 を統 合 ・融 合 した社 会 介 護 保 健 師 は、 社 会 サ ー ビス部 門