五 四
法 条 競 合 と 包 括
目は じ め に
法条競合と包括一罪の罪数論的意義
日 従 来 の 罪 数 学 説 口構成要件標準説の意義︵以上二巻一号︶
法条競合論の再構成
曰法条競合の本質︵以上二巻二号︶
口法条競合の現象形式︵以上四巻一号︶
包括一罪の類型化
日 包 括 一 罪 の 限 界 口 包 括 一 罪 の 類 型 化
おわりに︵以上本号︶
次
罪
︵ 四
. 完 ︶
虫
明
1 0
七
満
5‑2‑277 (香法'85)
すなわち︑行為標準説においては︑行為が一個とみられる範囲で︑結果ないし法益標準説においては︑結果ないし
法益が一個とみられる範囲で︑また︑意思標準説においては︑意思が一個とみられる範囲で包括一罪が認められるこ
( 2 )
とになるであろう︒しかし︑これらの説は︑単に犯罪構成要素の一部にのみ着眼していることから︑一定の不都合の
(3 )
生ずることは前に指摘した通りである︒それに対して︑罪数を総合的・法律的に判断しようとする構成要件標準説に
よると︑包括一罪は︑構成要件による一回的評価の可能な範囲で認められることになるであろう︒しかし︑かといっ
(4 )
て︑その限界は必ずしも明らかとはいえない︒この説ではさらに︑如何なる場合に構成要件による一回的評価が可能
となるかが問題となる︒そして︑
されている︒すなわち︑博士は︑﹁︱つの人格態度によって結合された数個の行為は︑一回的な構成要件的評価を受け
(6 )
るべきもの﹂とされるのである︒これは博士が︑構成要件は違法性だけでなく有責性の類型でもあるとされ︑罪数論
(8 )
に人格責任論を反映させられたことによるものといえよう︒しかし︑構成要件が違法類型でもあり有責類型でもある この点について団藤博士は︑﹁︱つの人格態度﹂の現われかどうかという基準を提示 るかによって︑大きく左右されることになる︒
包括︳罪の限界
数個の構成要件を充足する事実が存在するとき︑法条競合とならない場合でも︑本来的一罪の成立する余地が
ある︒これが包括一罪である︒そして︑包括一罪も認められない場合が本来的数罪である︒この意味において︑包括
一罪は︑本来的一罪の限界を示すものとなるのである︒従って︑包括一罪の成立範囲は︑罪数の決定基準を何に求め
(
一)
四包括︳罪の類型化
i O
八
5‑2 ‑278 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
従っ
て︑
1 0
九 としても︑罪数判断においては︑責任を問題にする前に︑まず︑違法性を問題にする必要があるのではないか︒また︑
(9 )
﹁︱つの人格態度﹂の現われかどうかといった主観的要素は︑結局のところ︑客観的事情により推認する以外にない︒
( 1 0 )
むしろ重要なのは︑客観的要素についての検討ではなかろうか︒
ところで︑罪数を罰条そのものによる評価の問題と考える私見においても︑構成要件標準説と同様︑それのみでは
包括一罪の限界は明らかとはならない︒ここでも︑如何なる場合に一個の罰条によって一回的に評価することができ
るかが問題になる︒そして︑そもそも罪数は成立する犯罪の数であり︑それは罰条による評価の問題であるという主
張は︑罪数決定においては︑構成要件の問題のみならず︑違法性︑責任の問題にもかかわってくるのであり︑さらに
は法定刑をも考慮すべきことを意味している︒しかも︑法条競合は︑構成要件相互の概念関係から一方の罰条による
評価が排除される場合であるので︑このことは特に包括一罪の限界設定において意味をもってくるのである︒一方︑
個々の罰条︵刑罰法規︶は︑構成要件と法定刑を明示しているが︑この法定刑は︑構成要件に対応する違法内容及び
責任内容にみあった高さを示すものである︒そして︑具体的事実の違法内容及び責任内容が︑当該罰条︵刑罰法規︶
の予定する違法内容及び責任内容の範囲内のものであれば︑当該罰条による一回的評価が可能であるといってよい︒
従ってここに︑本来的一罪の限界を見出すことができるのであり︑包括一罪の限界設定においても︑具体的事実の違
法内容及び責任内容が︑当該罰条の予定する違法内容及び責任内容の範囲内のものかどうかを問題にすればよいこと
になる︒もっとも︑罪数論において問題となる責任内容は︑通常︑違法内容に対応するものと考えれば足り︑責任内
( 1 2 )
容を独自に問題にする意味は少ないのではなかろうか︒このように考えると︑結局︑包括一罪は︑具体的行為の違法
( 1 3 )
内容が︑当該罰条の予定する違法内容の範囲内のものであるとき︑その意味において︑行為の違法内容の一体性︵な
( 1 4 )
いし附随性︶が認められるときに成立するといってよい︒また︑包括一罪は︑構成要件を充足する個々の行為がそれ
5‑2 ‑279 (香法'85)
ぞれの観点から独自の可罰性をもつものであっても︑
ができる場合であり︑
( 1 5 )
もできるであろう︒
( 1
)
なお︑改正刑法準備草案第七一条参照︒
( 2 )
ドイツにおいては︑行為標準説が通説といえるが︑包括一罪という概念は表面的には存在しない︒しかし︑自然的意味における数
個の行為も︑法的単一性
( r e c h t l i c h e H a n d l u n g s e i n h e i t )
ないし構成要件的単一性
( t a t b e s t a n d l i c h e H a n d l u n g s e i n h e i t )
という
構成のもとに一罪の認められる場合があり︑これが我国における包括一罪の場合に相当すると考えられる︒また︑法条競合におけ
る吸収関係
( K o n s u m t i o n )
としてあげられる事例は︑むしろ包括一罪の場合であったということは前に述べた通りである︵香川
法学四巻一号一
0
三頁以下参照︶︒特に︑不可罰的事後行為を法条競合ではないとする学説の中には︑それを実在的競合の効果をもたない行為の多数性
( T a t m e h r h e i t oh ne di e W i rk un ge n d e r R e a l k o n k u r r e n z )
としたり
( M a u r a c h
‑ G o s s e l ‑
N i p
f , S t r a f r e c h t , A l l g . T e i l , T e i l b a n d 2
,
5.
A u f l . ,
1
97 8,
S .
337;
M o s l , S t r a f g e s e t z b u c h , L e i p z i g e r Ko mm en ta r,
9
. A u f l . , 4 .
L i e f e r u n g ,
19 70 ,
S .
21)︑外見上の実在的競合
( s c h e i n b a r R e e a l k o n k u r r e n z )
とするものもあり
(B au ma nn S t , r a f r e c h t , A l l g . T e i l , 8 . A u f l . , 1 97 7,
s .
709)︑これは実質的には包括一罪としての構成であるといってよい︒
( 3 )
香川法学二巻一号八九頁以下参照︒なお︑包括一罪を数罪と考える学説においても︑その基準は︑あるいは行為および結果に︵平
野龍一・刑法総論
I I
︵昭
和五
0
年︶四0
八頁︶︑あるいは法益侵害に︵鈴木茂嗣.﹁罪数論﹂現代刑法講座第三巻︵昭和五四年︶ニ九
0
頁︑山火正則・刑法②総論I I
︹有 斐閣 双書
︺︵ 昭和 五二 年︶
︱
1 0
頁︶求められるので︑行為標準説ないし結果︵法益︶標準
説と大差のないものとなるのではなかろうか︒
( 4 )
香川達夫.﹁包括的一罪﹂総合判例研究叢書刑法⑬︵昭和三四年︶三頁参照︒
( 5 )
団藤重光・刑法綱要総論︹改訂版︺︵昭和五四年︶四一四頁以下︒同旨・大塚仁・刑法概説︵総論︶
頁 ︒
(6)団藤•前掲書四一五頁。
︵ 増
補 ︶
一個の罰条によって全ての行為の違法内容を評価しつくすこと
一個の犯罪としての処罰によって他の行為も共に処罰されていると考えられる場合ということ
︵昭
和五
0
年︶三一九1 0
5‑2‑280 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
( 7 )
団藤・前掲書四一四頁以下︒(8)なお、小野清一郎・犯罪構成要件の理論(昭和二八年)四0二頁、竹田直平•「罪数と責任」法と経済五巻一号(昭和―一年)三
七頁以下参照︒
( 9 )
拙稿.﹁連続一罪の構成︵二︶﹂名古屋大学法政論集七四号︵昭和五三年︶九九頁参照︒
( 1 0 )
特に︑主観的要素を強調し︑一罪となるためには故意の単一性が必要であるとする見解に至ると︑責任非難の軽い方が刑が加重さ
れるという︑科刑上の不都合が生ずるといわれている︒拙稿.﹁連続一罪の構成︵一︶﹂名古屋大学法政論集七三号︵昭和五二年︶
六四 頁参 照︒
( 1 1 )
香川法学二巻一号一〇九頁以下参照︒
( 1 2 )
山火正則.﹁法条競合の諸問題日﹂神奈川法学七巻一号︵昭和四六年︶一八頁注
( 1 3 )
参照
︒
( 1 3 )
村崎精一・﹁刑法における法条競合論﹂金沢大学法文学部論集法学篇
1 4
︵昭 和四 一年
︶︱
1 0
頁︑中山善房.﹁罪数論の現状﹂刑事
裁判の課題︵中野次雄判事還暦祝賀︶︵昭和四七年︶一八八頁以下参照︒
( 1 4 )
法条競合の本質を違法内容の包含に求める学説が多い︵香川法学二巻二号一︱頁以下参照︶が︑これは結局︑包括一罪の本質を示
したことに他ならない︒また︑法条競合の吸収関係の説明において︑行為の不法内容ないし責任内容が問題とされる︵香川法学四
巻一 号一
0
三頁以下参照︶が︑これも結局︑包括一罪の説明であったといってよい︒( 1 5 )
この意味において︑他の行為は︑いわば情状として考慮されるにすぎないということも可能であろう︒なお︑平野・前掲書四︱︱︱︱
頁︑中山研一・ロ述刑法総論︵昭和五三年︶四九九頁︑中義勝・講述犯罪総論︵昭和五五年︶二七一頁︑中野次雄・刑法総論概要
︵昭和五四年︶一五一頁参照︒
包括一罪は︑本来的一罪の限界を示すものであり︑その中には様々な形態が含まれる︒そして︑多くの学説は︑
包括一罪の場合として︑接続犯・集合犯・狭義の包括一罪等の個々の犯罪形態を単に羅列するにすぎないが︑さらに
非類型的なものもあるともいわれている︒そこで︑包括一罪の成立範囲をより明確にするためには︑それらの個々の
犯罪形態を何らかの観点から分類し︑各形態ごとに一罪となるべき限界を示すことが必要と思われる︒そして︑前述
5‑2‑281 (香法'85)
のように︑包括一罪は︑具体的行為の違法内容が︑当該罰条︵刑罰法規︶
認められるということを基礎とするなら︑
事例を指すものとして︑ の予定する違法内容の範囲内であるときに
その判断においては︑当該罰条︵刑罰法規︶の性質︑及び︑具体的行為情
況が重要な意味をもってくることは疑いない︒また︑包括一罪は︑数個の構成要件を充足していることが前提となる
(2 )
ことはいうまでもない︒従って︑以下では︑まず第一に︑構成要件の異同を区別し︑その各場合について︑第二に︑
(3 )
行為形態を考慮するという形で︑包括一罪の類型化を試みてみたい︒
ところで︑最近の学説の中には︑包括一罪を︑﹁吸収一罪﹂と﹁狭義の包括一罪﹂に分類するものも多い︒すなわち︑
例えば︑平野教授によると︑﹁吸収一罪とは︑軽い罪が重い罪の刑に吸収され︑重い罪の罰条だけで処断する場合﹂で
(5 )
あり︑﹁狭義の包括一罪とは︑数個の同一罪名の単純一罪を︑包括して一罪として処断する場合である﹂とされている︒
従って︑この﹁吸収一罪﹂における﹁吸収﹂とは︑﹁刑の吸収﹂を意味するものであり︑包括一罪を科刑上一罪として
位置づけることを意図するものである︒しかし︑包括一罪は本来的一罪と構成すべきであり︑刑が吸収されると考え
( 6 )
るべきではない︒また︑﹁狭義の包括一罪﹂という概念は︑従来︑例えば︑同一人を逮捕し引き続いて監禁したような
一般的に認められてきた︒しかし︑ここでは明らかに別の意味で用いられており︑このよう
なことは︑概念の混乱をまねくだけで妥当とはいえない︒結局︑﹁吸収一罪﹂と﹁狭義の包括一罪﹂の区別は︑その言
葉の意味において適当でないものがあるといわなければならない︒もっとも︑これを︑刑の軽重のある場合︵吸収一
罪︶と︑同一刑の場合︵狭義の包括一罪︶の違いにすぎないと考えるなら︑前者はすなわち構成要件を異にする場合
で︑後者はすなわち構成要件を同じくする場合と解されるので︑包括一罪の分類自体は︑構成要件の異同による分類
と大差のないものとなるであろう︒
さて︑如何なる場合が包括一罪となるかについては後で見る通りであるが︑従来の学説において︑明らかに包括一
5 ‑ 2 ‑282 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
ば足りるであろう︒ ま
た ︑
罪とはいえないにもかかわらず︑包括一罪としてあげられてきたものがある︒すなわち︑まず︑いわゆる結合犯は︑
( 8 )
︵9
)
時には包括一罪と考えられているようであるが︑これはむしろ法条競合の場合であることは前に述べた通りである︒
( 1 0 )
いわゆる継続犯を包括一罪とする学説も多い︒そして︑継続犯とは︑例えば︑監禁罪や各種の所持罪のように︑
構成要件的行為の継続によって︑犯罪の成立が認められるものをいう︒この場合︑﹁これを時間的に分断するならば︑
複数の同種法益侵害の連続とみることができ︑実質上︑包括一罪としても理解しうる﹂とされるのである︒しかし︑
継続犯の場合︑行為の継続がなければ構成要件の充足は認められないが︑行為が継続している間は︑一個の構成要件
を一回充足するにすぎない︒すなわち︑継続犯は︑数個の構成要件を充足する場合ではなく︑従って︑数個の構成要
( 1 2 )
件を充足していることが前提となる包括一罪の一種と考えることは妥当でない︒つまり︑継続犯は単純一罪と考えれ
( 1
)
香川・前掲書三七頁︒
( 2
)
団藤・前掲書四︱二頁以下︑大塚・前掲書三一八頁以下︑高田卓爾・注釈刑法②の
I I
︵昭和四四年︶五三六頁以下参照︒
( 3
)
もっとも︑この分類は多分に便宜的なもので︑第一に行為形態を区別し︑その各場合について︑第二に構成要件の異同を考慮する
という方法もとりうる︒鈴木・前掲論文二九
0
頁以 下参 照︒
(4)平野・前掲書四―二頁以下、中山(研)•前掲書四九九頁以下、中・前掲書二七一頁以下、内田文昭・刑法I(総論)(昭和五二年)
三二九頁以下︒なお︑正田満三郎・刑法体系総論︵昭和五四年︶三四六頁以下参照︒
( 5
)
平野・前掲書四︱二頁︒
( 6
)
山火正則.﹁包括的一罪﹂判例刑法研究4
︵昭 和五 六年
︶二 七二 頁参 照︒ (7)中山(研)•前掲書四九九頁、五0一頁参照。
( 8
)
荘子邦雄・刑法総論︹新版︺︵昭和五六年︶四六四頁注
( 1
) ︑不破武夫
1
1井上正治・刑法総論︵昭和五六年︶ニニ
0
頁︑ 吉川 経夫
・
~
5‑2‑283 (香法'85)
れるとされ︑例えば︑窃盗罪において︑ 行為が一個の場合 包括一罪の類型化同一構成要件を充足するもの 改訂刑法総論︵昭和四七年︶二七五頁︑香川・前掲書三七頁︑小野清一郎・新訂刑法講義総論︵昭和二三年︶二六七頁︒
( 9
)
香川法学四巻一号七二頁参照︒
( 1 0 )
平野・前掲書四一九頁︑鈴木・前掲論文二九一頁︑香川・前掲書七四頁︑内田・前掲書三三0頁︑中・前掲書二七一頁︒
( 1 1 )
鈴木・前掲論文二九二頁︒
( 1 2 )
山火・前掲﹁包括的一罪﹂二七一頁参照︒
口
ー①
行為が一個の場合でも︑同一構成要件を数回充足し︑違法内容の一体性が認められるときは︑包括一罪と考えてよ
い︒そして︑この場合︑行為が一個であり︑構成要件も同一であるので︑違法内容の一体性判断においては︑行為相
互の関連性や構成要件相互の関係は問題とならず︑主として被害法益に関する考慮が重要となるにすぎない︒
この点︑学説は一般に︑法益の性質を重視し︑被害法益が一身専属的なものかどうかを重要な論点とする︒そして︑
被害法益が︑生命・身体・自由・名誉といった一身専属的なものの場合には︑被害者が異なればこれを包括して一罪
(2 )
と評価することはできず︑被害者の数だけの犯罪が成立すると考えられている︒すなわち︑例えば︑一個の行為で数
人を殺害したときは︑被害者ごとに別個の殺人罪が成立し︑︵同種類の︶観念的競合とされるのである︒ただ︑被害者
が同一の場合︑例えば︑一個の行為により同一人に対して数個の傷害を負わせたような場合には︑包括一罪が認めら
(4 )
れるといわれている︒それに対して︑被害法益が一身専属的なものでない場合は︑被害者が異なっても一罪が認めら
一個の行為で同時に数個の所有者を異にする財物を窃取した場合には︑所持
︱︱
四
5 ‑ 2 ‑284 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
一 方 ︑
ろう︒このように︑ が侵害されるにすぎない場合には︑
とこ
ろで
︑
︱︱ 五
いず
れに
して
も︑
その保護
(5 )
︵同種類の︶観念的競合ではなく︑包括一罪とされるのである︒
. . . .
一身専属的法益に対する罪における保護法益は︑各個人の生命・身体・自由・名誉等である︒そして︑
(6 )
この場合︑各個人がそれぞれ独立して保護の客体となるのであり︑各個人ごとに法益を異にするわけである︒しかも︑
一個の法益の侵害を念頭において一定の法定刑を定めている︒従って︑数人の一身専属的法益が
侵害された場合は︑数個の法益が侵害されたことになり︑一個の行為で行われたとしても︑もはや一個の罰条による
一回的評価は不可能となる︒なぜなら︑行為の違法内容の判断において︑被害法益の数は重要な視点であり︑一般の
刑罰法規の場合には︑数個の法益が侵害されたときはもはやその予定する違法内容の範囲内のものと解することはで
通り
であ
る︒
一個の法益
きず︑行為の違法内容の一体性は認められないからである︒反面︑被害者が同一である限り︑すなわち︑
(7 )
一個の行為で同一構成要件が数回充足されていても︑包括一罪が認められるであ
一身専属的法益の場合には︑被害者の数だけの犯罪が成立するのであり︑この点は学説の認める
一身専属的でない法益に対する罪においても︑行為の違法内容の判断において︑被害法益の数は重要な意味
を持っていることは否定できない︒そして︑原則的には︑数個の法益が侵害された場合には︑当該罰条の予定する違
法内容の範囲内のものとはいえず︑
まず︑何が保護法益であるかを明らかにする必要がある︒そして︑例えば︑窃盗罪については︑ 一
般の
刑罰
法規
は︑
が同一である限り︑
一個の罰条による一回的評価は不可能と考えるべきである︒もっとも︑ここでも
その保護法益に関し
て︑学説上︑本権説と所持︵占有︶説との対立の存することは周知の通りである︒ただ︑
. . . .
法益は︑各個人の本権であり︑各個人の所持︵占有︶でなければならない︒すなわち︑この場合も︑各個人ごとに法
( 8 ) ( 9 )
益を異にすると考えるべきであり︑数個の法益が侵害された場合は︑一罪とはなりえないといわなければならない︒
5‑2 ‑285 (香法'85)
従って︑本権説によるなら︑例えば︑一個の行為で同時に所有者を異にする数個の財物を窃取したときは︑所持が同
( 1 0 )
一であっても︑数罪︵同種類の観念的競合︶を認めるべきであり︑所持︵占有︶説によるならば︑この場合︑所持が
( 1 1 )
同一である限り包括一罪を認めてよいことになるであろう︒この点︑学説は︑前述のように︑単に所持が同一である
( 1 2 )
ことのみを重視するが︑これは所持︵占有︶説からの帰結を示すにすぎないと考えるべきである︒
以上︑個人的法益に対する罪について述べてきたが︑結局︑
一身専属的法益であるかどうかにかかわらず︑被害法益が一個である場合に包括一罪となるといってよい︒そして︑
このことは︑個人的法益に対する罪のみならず︑社会的法益に対する罪にも︑国家的法益に対する罪にも妥当する︒
行為の違法内容の判断において︑被害法益の数の重要性は変わらないからである︒そこで︑例えば︑偽造文書行使罪
︵刑
法一
五八
条・
一六
一条
︶
︱つの刑事事件の共犯者であっても︑数名の者 は社会的法益に対する罪であり︑文書に対する公共的信用を保護しようとするものである
が︑公共的信用は各文書ごとに異なるので︑文書ごとに法益を異にすると考えてよい︒従って︑例えば︑数通の偽造
文書を一括して同時に行使した場合は︑数個の法益が侵害されているために包括一罪とならず︑文書の数だけの行使
( 1 3 )
罪が成立し︑︵同種類の︶観念的競合となる︒また︑公務執行妨害罪︵刑法九五条︶は︑国家的法益に対する罪であり︑
その保護法益は公務員ではなく公務そのものである︒従って︑その法益は公務ごとに異なるのであって︑公務員ごと
に異なるのではない︒ここから︑例えば︑職務を異にする数人の公務員の公務執行を同時に妨害したときは︑数個の
法益を侵害しているため︑︵同種類の︶観念的競合となるが︑数人の公務員が単位としての一個の職務を共同的に執行
( 1 4 )
しているときは︑一個の行為でそれら数人の公務員を妨害しても︑一個の法益が侵害されたにすぎず︑一罪が成立する︒
その他︑犯人蔵匿罪︵刑法一
0
三条︶は︑国家の刑事司法作用を保護するものであるが︑その刑事司法作用は犯人に向けられるものである︒従って︑法益は犯人ごとに異なり︑例えば︑ 一個の行為で同一構成要件を数回充足する場合には︑
︱︱
六
5‑2‑286 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
し ︑ し
たと きは
︑
一個の公共の平穏が害されたものとして︑
一 七
被説告者の数だけの説告罪が成立 説告罪︵刑法一七二条︶ 的物の所有権を従たる保護法益とすると解されるが︑
すな
わち
︑
保護法益が重畳的に認められる犯罪についても︑
例えば︑放火罪
の審判作用を主たる保護法益とするが︑
( 1 7 )
と考えられるが︑
益を異にするといってよい︒従って︑
( 1 8 )
︵同種類の︶観念的競合となる︒ 一個の放火行為によって所有者を異にする数個の建造物を焼燈
( 1 6 )
一罪 を認 めて よい
︒
被説告者の名誉等の個人的利益をも従たる法益として保護しようとするもの
主たる法益たる国家の審判作用は被課告者に向けられるものであるから︑被説告者ごとに主たる法
一通の告訴状で数名の者を読告したときは︑
( 1
)
鈴木・前掲論文二九一頁︑平野・前掲書四一七頁︒(2)中山(研)•前掲書四九九頁、中・前掲書二七一頁、西原春夫・刑法総論(昭和五二年)三七三頁、藤木英雄・刑法講義総論(昭
和五0年︶三四0頁︑曾根威彦.﹁罪数と被害者の数﹂刑法学3︵昭和五三年︶一八0
頁 ︒
Vg l .
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A l l g
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T e i l
2,
. A u
f l . ,
1
97 7,
S .
3
84 .
(3)団藤・前掲書四―二頁、高田・前掲書五三七頁、西原・前掲書三七三頁、曾根・前掲論文一八0頁、福田平•新版刑法総論(昭和
五一
年'
︶ニ
ニ︱
百(
︑
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h r
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e r
( S
t r
e e
) ,
a . a .
O . ,
S .
609;
S a
m s
o n
,
a . a .
O .
̀
S .384 ;
V o
g l
e r
̀
S t r a
f g e s
e t z b
u c h ,
L
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p
N i g
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Ko
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ta
r,
1
0. A u
f l . ,
5. L i
e f e r
u n g ,
19 78 ,
S .
60;
J e s c
h e c k
L ,
e h
r b
u c
h
d e
s
S t r a
f r e c
h t s ,
A l
l g .
T e i l
,
3. A u
f l . ,
19 78 ,
S .
588;
Schmidh~user,
S t r a
f r e c
h t ,
A l l g
T e .
i l ,
2. A u
f l . ,
1
97 0,
S .
7
25;
E s e r
S t ,
r a f r
e c h t
I I ,
3. A u
f l . ,
1
98 0,
S . 23 2.
( 4 )
鈴木・前掲論文二九一頁︑平野・前掲書四一七頁︑曾根・前掲論文一八0
頁 ︒
Vg l .
S a
m s
o n
, a
. a . O
. ,
S .
38 4.
︵刑 法一
〇八 条以 下︶
ま た
︑
よ ︑
︐ '
国家 ることはいうまでもない︒は公共の平穏を主たる保護法益とし︑目
なお
︑
基本的に同様に考えてよい︒
た だ
︑
主たる法益が基準とな を蔵匿•隠避すれば、数個の法益が侵害されているため︑包括一罪ではなく︑
( 1 5 )
︵同種類の︶観念的競合となる︒
5‑2‑287 (香法'85)
(5)鈴木・前掲論文二九一頁、平野・前掲書四一七頁、中山(研)•前掲書四九九頁、中・前掲書二七一頁、西原・前掲書一二七三頁、藤木・前掲書一二四0頁、曾根•前掲論文一八一頁、団藤・前掲書四ニニ頁、大塚•前掲書三一八頁以下、福田・前掲書ニニ―頁、
高田・前掲書五三八頁︑
S c h o n k e ‑ S c h r o d e r ( S t r e e ) , a . a . O . , S .
610;
Sa ms on , a . a . O . , S
. 384;
V o g l e r , a . a . O
・
らS .
60;
S c h m i d h a u s e r , ( 6
) ( 8
)
この点学説は必ずしも明確とは
a . a . O . , S .
72 5.
V g l .
Sc ho nk e‑ Sc hr od er ( S t r e e ) , a . a . O . S . , 6 09 .
( 7 )
例えば︑一個の行為で同一人に数個の傷害を負わせた場合︑分析的にみると傷害罪の構成要件が数回充足されているということも
でき︑このような場合を包括一罪と考えることも可能と思われる︒
V g l
. H o p f n e r , E i n h e i t un d M eh rh ei t d e r Ve rb re ch en
̀
B d . 1
,
19 01 ,
S .
23 6.
( 9 ) V g l . J e s c h e c k , a . a . O . , S .
588;
Sa ms on
̀
a . a . O . , S .
38 4.
( 1 0 )
一般にはこの場合︑本権説からも一罪が認められると解されているようであるが︑疑問である︒鈴木・前掲論文二九一頁参照︒
( 1 1 )
この場合も︑分析的にみると︑財物の数だけの窃盗罪の構成要件を充足しているということもでき︑これを包括一罪ということも
可能であろう︒
( 1 2 )
所持︵占有︶説を貫くなら︑被害者は所有者でなく︑所持︵占有︶者であると考えるべきであり︑
いえ ない
︒ ( 1 3 )
高田・前掲書五三七頁︑曾根・前掲論文一八三頁︑
S c h o n k e ‑ S c h r o d e r ( S t r e e ) , a . a . O . , S .
60 9.
( 1 4 )
高田・前掲書五三七頁︑曾根・前掲論文一八二頁︒
( 1 5 )
高田・前掲書五三七頁︑曾根・前掲論文一八二頁︑
S c h o n k e ‑ S c h r o d e r ( S t r e e ) , a . a . O . , S .
60 9.
( 1 6 )
高田・前掲書五三九頁︑平野・前掲書四一七頁︑曾根・前掲論文一八四頁︑団藤・前掲書四一三頁注︵七︶︑福田・前掲書ニニ︱
頁 ︑ Sa ms on , a . a . O . , S .
38 4.
( 1 7 )
説告罪の保護法益として︑国家的法益のみをあげる︵例えば︑団藤璽光・刑法綱要各論︹増補︺︵昭和四七年︶九五頁︶か︑個人
的法益をもあげる︵例えば︑大塚仁・刑法概説︵各論︶︵増補二版︶︵昭和五五年︶五0二頁︶かで争いのあるところである︒なお︑高田・前掲書五三九頁、曾根•前掲論文一八三頁以下参照。
( 1 8 )
高田・前掲書五三九頁︑福田・前掲書ニ︱︱一頁︑曾根・前掲論文一八四頁︑
Sc ho nk e‑ Sc hr od er ( S t r e e ) , a . a . O . , . S
60 9.
な
お︑ 団藤
・
前掲総論四一三頁注(七)は、「このばあいは主たる保護法益ーー—刑事司法作用||—ではなく、従たる保護法益—ーー被申告者の名
一八
5 ‑ 2 ‑288 (香法'85)
法条競合と包括一罪(四・完)(虫明)
誉等ーが標準とされている﹂とするが︑主たる保護法益を標準としても同じ結論に至ると思われる︒但し︑団藤・前掲各論九六
頁は︑その結論を疑問とする︒
行為が接続する場合︵接続犯︶
同一構成要件を充足する行為がたて続けに行われたとき︑
れを接続犯という︒すなわち︑例えば︑暴行犯人が被害者の顔をたて続けに数回殴打する場合とか︑窃盗犯人が一っ
(2 )
の倉庫から米俵を引き続き数回に亘って運び出してこれを窃取するような場合が︑その典型的事例である︒これらの
場合︑分析的にみると︑暴行行為ないし窃盗行為が数個存在するわけであるが︑同一機会に接続して行われているた
め︑一体的な行為として観察することができ︑むしろ一個の行為と同視することも可能である︒そして︑このような
(3 )
観点から︑行為の違法内容の一体性を認めることができ︑一個の罰条による一回的評価の可能なものとして︑包括一
とこ
ろで
︑
ないことは︑行為が一個の場合と同様である︒すなわち︑例えば︑
︱︱ 九
罪と構成することが基礎づけられるのである︒
いくら行為が同一機会に接続して行われても︑数個の法益に対して行われた場合は︑包括一罪となりえ
(4 )
たて続けに数人を殴打したときや︑数人の所持品
を引き続いて窃取したような場合は︑被害法益が異なるため︑違法内容の一体性が認められず︑数罪が成立する︒従
って︑接続犯として一罪が認められるためには︑一個の行為の場合と同じ意味における被害法益の単一性がなければ
(5 )
なら
ない
︒
(6 )
なお︑例えば︑たて続けに殴打することによって被害者に傷害を負わせる場合や︑刀で数回切りつけることによっ
(8 )
て人を殺害する場合︑ないし︑ピストルの連射によって人を殺害する場合には︑分析的にみると︑暴行行為と傷害行 ②
一個の罰条によって一回的に評価できる場合がある︒こ
5‑2‑289 (香法'85)
(1)団藤・前掲総論四一六頁、大塚•前掲総論―――ニ―頁、福田・前掲書ニニニ頁、高田・前掲書五四四頁、平野・前掲書四一八頁、鈴
木・前掲論文二九四頁︑小野・前掲新訂︱︱六八頁︑中・前掲書二七一頁︑不破
11
井上・前掲書︱︱︱︱一頁︑吉川・前掲書二七六頁︑
西原・前掲書三七二頁、内田・前掲書三三0頁、佐伯千伐•四訂刑法講義(総論)(昭和五六年)三七三頁。
( 2
)
ドイツでは接続犯という概念は存在しないが︑これらの事例は法的行為の単一性
( r e c h t l i c h e Ha nd lu ng se in he it
)ないし構成要件
的行為の単一性
( t a t b e s t a n d l i c h e Ha nd lu ng se in he it )
の一場合として︑一罪が認められている︒
Sc ho nk e‑ Sc hr od er ( S t r e e ) , a .
ることができるであろう︒ 為︑又は︑殺人未遂行為と殺人既遂行為が存在し︑厳密にいうと︑構成要件を異にするということもできる︒しかし︑これらの場合を前述の典型的な接続犯の事例と区別することは妥当でないであろう︒すなわち︑ここで扱われるべき接続犯における構成要件の同一性は︑基本犯と結果的加重犯︑未遂犯と既遂犯にも認められるのであって︑若干の巾
(9 )
のあるものと考えてよいであろう︒
ければならないが︑
隔が広がるなどして︑ ともあれ︑接続犯として一罪が認められるためには︑上述の意味での構成要件の同一性及び被害法益の単一性がな
( 1 0 )
その類型的特徴は︑行為が同一機会に接続して行われるという点にある︒そして︑行為相互の間
( 1 1 )
むしろ一体的行為とみることができない場合は︑後述の連続一罪の問題となるのである︒従っ
て︑接続犯といってよいかどうかの判断においては︑具体的行為情況の考慮が重要となることはいうまでもない︒そ
して︑判例に現われた事案でいうなら︑例えば︑二時間余の短時間内に︑同一機会を利用して︑前後三回にわたり︑
( 1 2 )
同一の倉庫内から米俵合計九俵を窃取した場合︑被害者方物置小屋で家人の寝静まるのを待機中︑同所から財物を窃
( 1 3 )
取し︑ついで同家に忍び入り︑その玄関︑茶の間等から財物を窃取した場合︑下水入孔蓋一枚を窃取し︑引き続いて
( 1 4 )
同一機会に二
0
米内外離れた所で︑同一人管理の下水入孔蓋一枚を窃取した場合等を︑接続犯として包括一罪を認め︱ 二
0
5‑2 ‑290 (香法'85)
und ktinstliche
︵部王︶
︵択・自︶蹂ー淀囮
如聡ボ坦 7
a.O., S. 582; Vogler, a.a.O., S.13; Samson, a.a.O., S. 368; Jescheck, a.a.O., S. 580; Maurach‑Gossel‑Zipf, a.a.O., S. 229;
Eser, a.a.O., S. 226; Wessels, Strafrecht, Allg. Teil, 10. Aufl., 1980, S. 171 ; Blei, Strafrecht I , Allg. Teil, 17. Aufl., 1977, S.
312; vgl. Hopfner, a.a.O., S. 222f.; Bockelmann, Strafrecht, Allg. Teil, 3. Aufl., 1979, S. 253; Welzel, Das Deutsche Straf‑
recht, 11. Aufl., 1969, S. 226 ; Rippel, Deutsches Strafrecht, Bd. 2, 1930, S. 501 Anm. 4. 終沿'-llII~臨四訳澤I
l!:l
(nattirlicheHandlungseinheit) Q 1叡砂祖約9ふQ.,;;,~i-Q: Schmidhauser, a.a.O., S. 724 f.; Hartung, Tateinheit
Verbrechenseinheiten in der neueren Rechtsprechung des Reichsgerichts, SJZ., 1950, S. 330 ; Warda, Grundfragen der
strafrechtlichen Konkurrenzlehre, JuS., 1964, S. 83f. ; Maiwald, Die nattirliche Handlungseinheit, 1964, S. 70 ff.
(M) Jescheck, a.a.O., S. 581 ; Samson, a.a.O., S. 368 ; Vogler, a.a.O., S. 13 ; Eser, a.a.O., S. 226 ; Maiwald, a.a.O., S. 72 ff. 屯勾
f J ‑¥:; 心拉初心呈'研1Q画惑芝ねギ蝦(Motivationslage):1埼
0.:
ャ:心心,;'吋繹や唖l釘嵐出如臣製ふヤ鱈'蘊出翌よ如竺帯粧憾坦翌{¢足芸迫ヤ1'Q‑,;i) Q ,.lJ翌t‑<‑¥:; 迎叫こ心J,.lJ均忌忠⇒ど轡こや~i,Q゜
(""') V gl. Warda, a.a.O., S. 84 ; Maiwald, a.a.O., S. 81.
(Ln)釦~.i忌眠縄以I<I嵐'vgl.Samson, a.a.O., S. 369 ; Schmidhauser, a.a.O., S. 725.
((,0)吐翫・垢咤艦臣1<嵐゜
(t‑‑)
‑K
縣・i
忌戟霙縄111I千菰こfl‑'そ協・i
忌蒻蒻は1日くく直゜(00)臣濫.
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忌翠町畔I
ば)III('睾田・i
忌完緯1I
1I
111賦'ヨ~.i
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1回)m(o(o‑,) fJQ咲竺巡疸S圏湿l栞s叡砂匝惑や~i-0゜好沿'幸誤.i碑「削葉1器S蓑笞(II)」IOI賦鱈翌
ぼ)ヨ~.i忌衷ぽ瞬忌1器」II兵ぐ鵡嘩゜匹'弄畔'「疵l翠翌哀応り唸l器這薬叫噸知心知
寮「圏蕊l蹂Q壁笹(11)」やば弧~\\淫)ケ令'寂罪や心こfJ ,.lJ竺i忌疸_)~゜
(コ)りQ~全'砥姓孟ぬ掟芝忍S咄2如戻旦ヤ心凶'幸S蔀辻!'.10こド竺'~葉固心削器
I
蹂心竺匝惑足珈^灼心菜,‑00ぼ)睾弄菩品1
I
回母ギ匹11111m匡遥111甜IJ<III!>I
111斗J11I
賦゜るパ刈.,;μ'ヨさく・i忌蒻「足]柴忌I
器」1I兵坦佃に~f,-さ'郵[1l:lf;~ 迩葉恙S密如や竺好こ刈ヤ心゜
(~)呈{暉但涵田似弄皆品!)ば母11
Im:::
1は~[I]弄淀く曲ギ回)m(o(;::!;)迅虚竜弄皆品11<母1I匹1片J[I]弄淀111I曲111<嵐゜ (圭謳・i忌
~J~ 誓~u0.::ゃ拉' (£8,~:i:)
│N│s T6Z
1 I 1 1
立する︒そしてこれは︑行為の違法内容が︑当該罰条の予定する違法内容の範囲内のものであるとき認められる︒こ
こでは︑行為相互の関連性が問題となることはもちろんであるが︑構成要件自体の性格も重要となる︒そして︑同一
構成要件を充足する数個の行為が包括一罪となる場合については︑構成要件の種類によって︑以下の三種に分類する
構成要件のなかには︑はじめから数個の行為を予想していると解されるものがあり︑
同一構成要件を充足する数個の行為が包括一罪となるのは︑容易に認められるであろう︒これが︑集合犯
(S
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) であり︑常習犯
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n )
や職幸杢犯
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c h
e n
) ・営業犯
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Bi
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b r
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h e
n )
などがこれに属する︒
まず︑常習犯とは︑一定の行為を常習とすることによって成立する犯罪であり︑行為が同一行為を反覆する習癖の
(2 )
あらわれとして行われる場合である︒そして︑ここから︑常習犯においては︑同一行為の反覆が予想されていると解
されるのである︒すなわち︑例えば︑常習賭博罪︵刑法一八六条一項︶における常習性とは︑賭博罪を反覆して犯す
(3 )
習癖をいうのであり︑﹁常習トシテ博戯又ハ賭事ヲ為シタル﹂という構成要件は︑賭博行為が反覆されることを予想し
(4 )
ていると解することができるのである︒従って︑﹁三年以下ノ懲役﹂という法定刑は︑
われた場合も考慮に入れた上で設定されたものといってよい︒
り 集 合 犯
こと がで きる
︒
同一構成要件を充足する数個の行為がある場合でも︑ ③
行 為 が 数 個 の 場 合
その
ため
︑
このような数個の賭博行為が行
(5 )
一方では︑賭博の常習者が一回賭博行為を このような犯罪については︑
口
一個の罰条によって一回的に評価できるときは包括一罪が成
5 ‑ 2 ‑292 (香法'85)