JAIST Repository: MOCVD法による鉄酸化物薄膜の作製
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(2) MOCVD 法による鉄酸化物薄膜の作製 鳥羽 環. (五味研究室). [緒言] マグネタイト (Fe3 O4 ) は磁気記録素子、媒体およびマイクロ波素子等に広く用いられてい るスピネル型磁性体の基本形であり、ヘマタイト ( -Fe2 O3 ) は典型的な反強磁性体である。その 広い応用分野ゆえに、従来よりいくつかの方法により鉄系酸化物の薄膜化が研究されてきている。 CVD 法は高エネルギー粒子による膜の損傷が原理的にない等の利点を有する成膜法であるが、金 属ハロゲン化物を原料とした従来法では、成膜に高温が必要なことや、反応時にハロゲン化水素 ガスを生成するなどの欠点があった。また、有機金属を原料とした MOCVD 法は、従来法の欠 点を補う可能性を有するものの、研究者が少なく有効性が未確定である。本研究の目的は、 MOCVD 法により鉄酸化物薄膜のエピタキシャル成長が可能であることを示し、基礎的な成膜特 性を明らかにすることにある。 [実験方法] 鉄アセチルアセトナト (以下 Fe(acac)3 と略す) を鉄原料、酸素を酸化剤として、コー ルドウォール型チャンバーにて成膜を行なった。原料は気化器で昇華させ、アルゴンをキャリア ガスとしてチャンバー内に供給した。成膜パラメータは基板温度および酸素分圧とし、それぞれ 250∼ 500 ℃、121003 Torr∼ 521001 Torr の範囲で変更した。基板は集積化素子等への応用を考 慮して、引き上げ法 (CZ 法) により製造される単結晶から Gd3 Ga5 O12 , LiNbO3 を選択した。ま た、参照用の基板として -Al2 O3 も併用した。膜の結晶性と結晶方位は XRD および RHEED で、モフォロジーは SEM で評価した。 [結果と考察] 実験領域の成膜温度では、膜堆積には 1000 以上の O2 /Fe(acac)3 比が必要であり、 その比は成膜温度の低下と共に増加した。図 1は、膜堆積に必要な酸素分圧を成膜温度の逆数に 対してプロットしたものであり、アレニウス則様な振る舞いを示唆している。つまり、Fe(acac)3 を原料とした MOCVD 法では、従来いわれてきたような Fe(acac)3 の熱分解過程よりも、むしろ 熱による酸素の活性化の過程が反応を律速している可能性があることが明らかとなった。実験領 域の大部分で生成相はヘマタイトであり、成膜温度 475 ℃以上のわずかな領域でのみマグネタイ ト相が成長した。図 2 は Gd3 Ga5 O12 (100) 基板上にエピタキシャル成長したマグネタイト (110) 膜の RHEED 像である。これはガーネット基板上にスピネル膜をエピタキシャル成長させた. 初めての例である。RHEED および XRD に て同定した面内結晶方位関係は、Fe3 O4 [001] k Gd3 Ga5 O12 [011] であった。. -0. Oxygen Partial Pressure [Torr]. 10. Deposited Not deposited -1. 10. -2. 10. -3. 10. Activation Energy = 92KJ / mol. -4. 10. 1.00. 1.20. 1.40. 1.60. 1.80. 2.00 -3. -1. 1 / Substrate Temperature [10 K ] 図 1: 膜堆積に必要な酸素分圧と成膜 温度の関係. keywords. 図 2:. Gd3 Ga5 O12 (100). 基板上に成長 膜の RHEED. した Fe3 O4 (110) 像: Azimuth=[001]. ヘマタイト , マグネタイト , MOCVD, エピタキシャル成長. Copyright c 1997 by Tamaki Toba.
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