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小学生を対象とした予防教育プログラム「TOP SELF」の抑うつに対する効果研究

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小学生を対象とした予防教育プログラム

「TOP SELF」の抑うつに対する効果研究

佐 山 みなみ

† 近年、大人と同様に子どもにもうつ病の発生リスクがあるとして注目されており、学校において 予防教育の必要性が高まっている。本研究では、小学 3 年生に 2 年連続で TOP SELF の「自己信 頼心(自信)」育成プログラムを実施し、抑うつ度に対するプログラムの効果について検証したと ころ、抑うつ予防と改善に効果が見られることが分かった。女児にはプログラム実施直後に即効的 な抑うつ低減効果が見られた一方で、男児には 2 年目のプログラム実施後に効果が見られ、効果出 現に時間的経過を要し、複数年度実施が有効であることが示唆された。多忙を極めつつ種々の問題 を抱える今の学校現場において、教材が標準化され教員にも取り組みやすい本プログラムは、非常 に有効性の高いプログラムであると考えられた。 Ⅰ.問題意識 ストレス社会である現代において「心の病」 は、深刻さを増しており、学校現場で子ども達 に起こる様々な問題もまた「心の病」の視点か ら支援を行う必要性が増してきている。心の病 の代表的な疾患であるうつ病については、1980 年代初頭までは子どもには稀な疾患であると考 えられてきた。しかし、DSM に代表される操作 的診断基準が用いられるようになり、大人と同 じ症状をもつ子どもの存在が注目されるように なった。さらに 2013 年に発行された DSM- Ⅴに おいて、小児、青年期の抑うつ障害として「重 篤気分調節症(DMDD)」が DSM- Ⅴの診断基 準に加わった。DMDD は 6-10 歳で発症し、中 心的特徴は慢性で激しい持続的な易怒性である とされている。激しい易怒性は 2 つの臨床的な 特徴として現われ、1 つ目はかんしゃく発作、2 つ目はかんしゃく発作の間欠期に見られる慢性 的で持続的な易怒的、または怒りの気分である とされ、成人後にうつ病や不安障害への移行が 高いことが報告されている(岸田ら,2016)。 † 学校教育専攻 教育科学コース 担当教員: 谷道子 また、うつ病の症状の一つに自殺念慮があ り、全国のうつ病による自殺者数は年齢を重ね るごとに増加傾向にあるとされている(文部科 学省,2014)。厚生労働省の平成 27 年度版自殺対 策白書によれば、男女別にみると女子は中学、男 子は高校からうつ病による自殺が増えてきてお り、高校生女子では自殺原因の第一位(21.8%)、 男子では第三位(11.8%)となり、予防的対応が 求められている(厚生労働省,2015)。 予防には、1 次予防から 3 次予防まであり、1 次予防(primary prevention)は、全ての人が 不健康になる可能性があると考え、健康なうち に全ての人を対象に行われる予防であり、ユニ バーサル予防とも類似して使われる。2 次予防 (secondary prevention)は、健康問題の早期発 見と迅速な治療、3 次予防(tertiary prevention) は、すでに病気になった人の障害の程度最小限 にとどめる予防であるとされる(山崎ら,2010)。 日本において、サクセスフル・セルフやソーシャ ルスキル・トレーニングなど、子どもの心身の健 康と適応を守る予防教育存在しる一方で、これ らの予防教育を実施しているのはほんの一部の 学校で、しかも長期でなくきわめて短期に実施 され、また毎年実施されることはなく単発的、 一過性の実施に終わっている(山崎ら,2013)。

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実施をするにあたる障壁として、多くの学校教 員が多忙を極め、新しい教育に向かう精神的な 余裕がないこと、日本のように中央集権型の教 育システムでは、学校での授業内容が比較的細 部に至るまで規定され、学習指導要領にない新 規の授業が入る余地がないという点が挙げられ ている(山崎ら,2014)。 ユニバーサル予防教育の実現に向けて、鳴門 教育大学が実践しているのが「いのちと友情の 学校予防教育」(トップ・セルフ、TOP SELF: Trial Of Prevention School Education for Life and Friendship)である。TOP SELF は健康や 適応の予防を総合的に達成するベース総合教育 と、特定の健康、適応問題を対象とするオプショ ナル教育から構成されている。 ベース総合教育においては、大きな目標(大 目標)と、その大目標のもとに下位の目標を設 定しながら方法につなげるという目標設定がな されている。山崎ら(2013)によると、ベース 総合教育の大目標は自律性(autonomy)と対人 関係性(interpersonal relatedness)となってい る。この自律性は、自己信頼心、他者信頼心、 内発的動機付けを総合した性格で、対人関係性 は、対人交渉を円滑にし、互いに思いやり、助 け合う心的特性を総称した性格のことを言う。 その大目標を構成する構成目標が、自己信頼心 (自信)の育成・感情の理解と対処の育成・向社 会性の育成・ソーシャルスキルの育成の 4 つで ある。 自己信頼心(自信:self-confi dence)とは、「自 分には(外界をコントロールする)力があると いう感覚」であると定義され、自律性の主要構 成要素であり、この構成目標の達成が直接的に 自律性を高めるとされている(山崎ら,2011)。 自己信頼心(自信)の育成プログラムにおいて は、まず「自己信頼心(自信)の育成」を上位 目標とし、「Ⅰ.自己と他者の価値を認めること ができる」「Ⅱ.自己の心理的欲求を認識するこ とができる」「Ⅲ.自己の心理的欲求に従って 行動することができる」「Ⅳ.心理的欲求に基づ く自己と他者の行動を前向きに評価することが できる」という 4 つの中位目標が設定されてい る。さらに、下位目標、操作目標が続き、操作 目標は授業目標として扱われる。これらの目標 は、発達段階に合わせて各学年で必要とされる 目標ごとに振り分けられる。小学校 3、4 年生で は、自己信頼心(自信)の基礎となる中位目標 Ⅰの達成を主として展開し、中位目標Ⅱで各自 の心理的欲求や目標を明確にするところまでを カバーする(佐々木・山崎,2012)。 TOP SELF の授業の流れは以下のように記さ れている(横嶋ら,2016)。まず、子ども同士の 相互作用を効果的に引き出すため、基本的にグ ループ活動を中心に展開される。1 グループ 5 ∼ 6 人、1 クラスで 5 ∼ 6 グループの構成が平均的 とされる。授業の導入とまとめには、それぞれア ニメストーリーが用いられ、アニメストーリー の視聴は授業の導入からスムーズに子どもたち の授業参加度を高め、情動や感情を喚起させる アイテムとして用いられる。また活動時には発 表の順番を決めるミニゲームが存在し、子ども たちが楽しみながら進めていける工夫がなされ ている。 また自己信頼心の育成プログラムの実施後、 「自己への評価合計」「自己と他者の価値の承 認」「自己の心理的欲求の認識」「自己の心理的 欲求からの適切な行動」の各尺度の自信得点が プログラム実施前と比べて有意に上昇していた ことから、自信頼心(自信)の育成が総合的に 達成されている可能性が示されており、自信が 高まったと感じている児童が多いことが示唆さ れている(横嶋ら,2016)。 以上のように TOP SELF は、1 次予防だけで なく、2 次的、3 次的な予防要素を含む予防教 育プログラムであり、健康な児童から現在何ら かの心理的問題を抱える児童まで、幅広い子ど もたちに有効であるといえる(山崎ら,2011)。 それぞれのプログラムにおいて、発達段階に応 じた目標やプログラム内容が設定され、標準化 されているため、実施者は比較的簡単に実施す ることができる。またアニメストーリーやゲー ムなどで子どもたちの授業参加度を高め、情動 や感情を喚起させる工夫が多くなされている特 徴を持つプログラムである。 また TOP SELF は他の予防教育プログラム と違い、発達段階を考慮し、各学年に応じたプ ログラムが作成されており、継続実施が可能で ある。さらに、実施方法がプログラム化され、

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CD-ROM や教材が標準化されており、実施者が 比較的簡単に方法を習得し、実施することがで きるという特徴がある。短期間の準備で簡単に 実施することが可能な本プログラムは、多忙を 極める日本の教師にとって有用であり、日本の 教育における実施可能性が高いと考える。山崎 (2017)は自尊感情が低いことから不安や攻撃 性が高まると述べており、自尊感情と攻撃性と いう形で現れやすい子どものうつとは深く関連 しているのではないかと考えられる。実施者も アニメストーリーやゲームを通して子どもと一 緒に展開を楽しむことができ、クラス全体の楽 しい雰囲気づくりにも貢献できると予想され、 抑うつ防止にも効果があるのではないかと考え る。 以上から、深刻化する子どものうつ病を予防 する予防教育プログラムとして TOP SELF の 「自己信頼心(自信)」の育成プログラムを小学 3 年生に 2 年連続で実施し、抑うつへの有効性 を検証することを本研究の目的とする。思春期 の扉を開けだす小学校高学年から抑うつの傾向 が男女ともに増えることが報告されていること から、予防的意味を考慮し、本研究の対象は小 学校中学年とした。小学校中学年の自己信頼心 の中位目標は「Ⅰ.自己と他者の価値を認める ことができる」「Ⅱ.自己の心理的欲求を認識す ることができる」であり、自己信頼心の土台と されている。プログラムの実施が一過性にとど まっていることが問題視されていることから、2 年連続で実施し、自己信頼心の土台を強化して いくことで、より抑うつ予防につながるかどう かを検証する。また、TOP SELF はユニバーサ ルな予防教育であるが、ベースラインの抑うつ 度により効果に違いがみられるかどうかについ ても検証したい。 Ⅱ.方法 1.対象 A 校小学校 3 年生 2 クラス(男児 31 名、女 児 31 名、計 62 名)を対象に 2 年連続で TOP SELF の自己信頼心プログラムを実施した。 2.実施時期 3 年生時のプログラムは、平成 29 年 10 月から 平成 30 年 3 月の期間に全 4 回行われた。また、 質問紙調査はプログラム実施前の平成 29 年 10 月とプログラム実施後の平成 30 年 3 月に行っ た。2 年目である 4 年生時のプログラムは、平 成 30 年 10 月から平成 30 年 11 月の期間に全 4 回行われた。また、質問紙調査はプログラム実 施前の平成 30 年 10 月と実施後の平成 30 年 11 月に行った。 3.実施方法 予防教育 TOP SELF(鳴門教育大学予防教 育ンセンタ―)について、開発者の指導助言を 受けて教材を作成し、実施校に合わせたプログ ラムを作成した。プログラムは、全 8 回のレッ スン(1 回 45 分)の短縮版(4 回)を、A 校 B 教諭(生きる力加配教員)が 3 年生時に 4 回、 4 年生時に 4 回の 2 年に亘って実施した。筆者 はプログラム中の児童たちの様子の観察による フィールドリサーチを行った。また、質問紙調 査はプログラム実施前と実施後に各クラスに分 かれ、B 教諭と筆者が実施した。 4.プログラム内容 グループ活動が主で、1 グループは固定した 5 ∼ 6 人で構成され、全レッスン固定されたリーダーと 記録係の役割が分担された。操作目標は以下であ る。 ・ 第 1 回 正(楽しい、嬉しいなど)の出来事 を想起し、正感情を高めることができる。 ・ 第 2 回 自己の長所を探すことができる。 ・ 第 3 回 他者の長所を探すことができ、他 者の価値を肯定することができる。 ・ 第 4 回 自己の心理的欲求を満たすことの 重要性を理解することができる。自己と同 様に、他者の心理的要求を尊重することの 重要性を理解することができる。自己の心 理的要求を抽出することができる。抽出し た心理的要求を満たすことの是非を考え ることができる。 5.効果評価尺度

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日本版 DSRS-C パールソン児童用抑うつ性尺 度)をプログラムの実施前と実施後に実施し、 プログラムの効果を検証した。なお、DSRS-C は Birleson(1981)によって作成され、村田ら (1996)によって邦訳された子どもの抑うつ状態 のスクリーニングのための自己記入式評価尺度 である。質問は 18 項目からなり、「いつもそう だ」∼「そんなことはない」の 3 段階で評定す る。フルスコアは 36 点、カットオフ値は 16 点 である。検証は、総得点及びバールソン児童用 抑うつ性尺度使用手引き増補版(2016 三京房) に記載されている村田の DSRS-C 日本版につい ての追記説明で取り上げられた因子(「楽しみ の減退」因子、「抑うつ・悲哀感」因子)ごとに 対応のあるt検定を行い、分析には IBM SPSS Statistics のバージョン 25 を用いて検討した。 なお、分析については 3 年生時のプログラ ム実施前をベースラインとし、3 年生のプログ ラム実施直後、4 年生プログラム実施前後にお けるベースラインとの比較によってプログラム の効果を検証した。なお、t検定を行う際に、 ベースラインと効果検証テストの両方に参加し ていない対象はその都度分析から除外した。し たがって、3 年生時の介入後検定では 58 名(男 児 29 名、女児 29 名)、4 年生時の介入前検定で は 57 名(男児 29 名、女児 28 名)、4 年生時介 入後検定では 55 名(男児 28 名、女児 27 名)を 対象とした。 Ⅲ.結果 1.抑うつ度ベースラインの分析 ベースラインの有効回答である 60 名の分析 の結果、抑うつ得点の平均は 11.8 ± 5.9 であっ た。性別では男児 11.9 ± 6.2、女児 11.8 ± 5.6 で あり、t検定により性差を調べたところ、有意 差は見られなかった。カットオフ値の 16 点を超 える児童の数は 20 名(33.3%)であり、性別の 内訳は男児 12 名(40.0%)、女児 8 名(26.7%) であった。 因子別に分析したところ、楽しみの減退因子 の平均は 6.9 ± 3.7、性別では男児 7.2 ± 4.0、女 児 6.5 ± 3.4 であった。抑うつ・悲哀因子の平均 は 5.0 ± 3.0、性別では男児 4.6 ± 3.0、女児 5.3 ± 3.1 であり、t検定により性差を調べたとこ ろ、各因子ともに有意差はなかった。 次に、カットオフ値の 16 点を超える児童の数 を調べたところ 20 名(33.3%)であり、性別の 内訳は男児 12 名(40.0%)、女児 8 名(26.7%) であった。 2.抑うつに対するプログラム効果の検討 ①平均値による効果の検証 ベースラインと平均値での比較をするため、 3 年生時のプログラム実施後を「介入 1 実施後」、 4 年生時のプログラム実施前を「介入 2 実施前」、 4 年生時のプログラム実施後を「介入 2 実施後」 とした。 分析の結果、抑うつ得点では全対象におい てベースラインと介入 1 実施後(10.4 ± 5.9;t (57)=2.1,p<.05)、ベースラインと介入 2 実施 前(10.2 ± 6.8;t(56)=2.2,p<.05)、ベースラ インと介入 2 実施後(9.9 ± 7.2;t(54)=1.9, p<.05)の全ての測定値に有意な変化が見られ、 得点が減少していた。また、男女別に検定して みたところ、女児においてはベースラインと介 入 1 実施後(9.2 ± 5.3)において測定値に有意 な変化が見られ、得点が減少していた(t(28) =2.9,p<.01)。一方、男児においては有意な変 化が認められず、特に女児に効果が高いことが 分かった(図 1)。 因子別には、全対象の抑うつ・悲哀因子にお いてベースラインと介入 1 実施後(3.8 ± 2.6; t(57)=3.6,p<.01)、ベースラインと介入 2 実 施後(3.4 ± 3.4;t(54)=3.4,p<.01)で測定値 に有意な変化が見られ、得点が減少していた。 性別で見ると、男児では抑うつ・悲哀得点にお いてベースラインと介入 2 実施前(3.6 ± 3.0;t (28)=2.5,p<.05)、ベースラインと介入 2 実施 後(2.8 ± 2.8;t(26)=3.7,p<.01)で測定値に 有意な変化が見られ、得点が減少していた。女 児では、抑うつ・悲哀得点においてベースライ ンと介入 1 実施後(3.4 ± 2.3)で測定値に有意 な変化が見られ、得点が減少していた(t(28) =4.2,p<.01)(図 2)。一方、「楽しみの減退因 子」には有意な変化が見られなかった。

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図 1 全対象と性別の抑うつ得点の変化 図 2 全対象と性別の抑うつ・悲哀因子の変化 ②カットオフ値以上の人数比較による効果検証 カットオフ値の 16 点を超える児童は、介入 1 実施後で 58 名中 10 名(17.2%)であり、介 入 2 実施前で 57 名中 13 名(22.8%)、介入 2 実 施後で 55 名中 9 名(16.4%)であった。性別で は介入 1 実施後で男児 7 名(24.1%)、女児 3 名 (10.3%)、介入 2 実施前で男児 8 名(27.6%)、 女 児 5 名(17.9%)、 介 入 2 実 施 後 で 男 児 5 名 (17.9%)、女児 4 名(14.8%)であった。 それぞれの人数比率を図 3 に示したところ、 プログラムの介入後に人数比率が下がっている 様子がうかがえた。 また、抑うつ得点がカットオフ値を超えた対 象を「抑うつ群」、カットオフ値以下の対象を「非 抑うつ群」として、X2 検定で男女の偏りをそれ ぞれの効果検証テストごとに調べたところ、い ずれにおいても有意な偏りは見られなかった。 次に、ベースラインからの抑うつ群と非抑う つ群の人数比率の変化を X2 検定にて検証した。 その結果、全対象においてベースラインと介 入 1 実施後(X2 =4.0,df=1,p<.05)、ベースライ ンと介入 2 実施前(X2 =3.8,df=1,p<.05)、ベー スラインと介入 2 実施後(X2 =4.4,df=1,p<.05) の全てにおいて有意であり、抑うつ群の人数が 減ったことが分かった。 ③抑うつ群・非抑うつ群による比較 ベースラインでの抑うつ得点がカットオフ 値を超えた対象を「抑うつ群」、カットオフ値以 下の対象を「非抑うつ群」とした。 全対象で分析した結果、抑うつ得点では抑う つ群においてベースライン(18.5 ± 2.2)よりも 介入 1 実施後(14.5 ± 5.3;t(19)=3.4,p<.01)、 介入 2 実施前(15.3 ± 6.6;t(19)=2.4,p<.05)、 介入 2 実施後(14.5 ± 7.7;t(17)=2.4,p<.05) の全ての測定値に有意な変化が見られ、得点が 減少していた。また男女別に見たところ、抑う つ群女児においてはベースライン(19.1 ± 2.4) よりも介入 1 実施後(13.6 ± 6.4;t(7)=2.9, p<.05)、介入 2 実施後(14.6 ± 8.5;t(7)=2.9, p<.05)において測定値に有意な変化が見られ、 得点が減少していた(図 3)。一方で、非抑うつ 群や男児には有意な変化が見られなかった。こ のことから、抑うつ群においてプログラム実施 による抑うつ低減効果があり、特に女児におい てその効果が大きいことが分かった。 因子別には、抑うつ群の抑うつ・悲哀因子に おいてベースライン(7.5 ± 2.2)よりも介入 1 実施後(5.4 ± 2.7;t(19)=3.4,p<.01)、介入 2 実 施 前(5.5 ± 3.8;t(19)=2.7,p<.05)、 介 入 2 実施後(4.9 ± 3.6;t(17)=3.9,p<.01)の 全てで測定値に有意な変化が見られ、得点が減 少していた。性別で見ると、抑うつ・悲哀因子 において抑うつ群男児ではベースライン(7.1 ± 2.3)よりも介入 2 実施後(4.1 ± 3.5;t(9) =3.7,p<.01)で測定値に有意な変化が見られ、 女児では、抑うつ群女児のベースライン(8.1 ± 2.1)よりも介入 1 実施後(4.4 ± 2.2;t(7) =4.8,p<.01)、非抑うつ群女児のベースライン (4.3 ± 2.8)よりも介入 1 実施後(3.0 ± 2.2;t (20)=2.5,p<.05)で測定値に有意な変化が見 られ、得点が減少していた(図 4)。

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④健康群における効果の検証 プログラムがユニバーサル予防教育であり、 健康な児童にも効果があることを検証するため に、ベースライン時から全効果検証テストにお いて継続して非抑うつ群であった対象を「健康 群」とした(男児 15 名、女児 17 名)。 分析の結果、抑うつ得点では全対象において 女児においてはベースライン(8.4 ± 3.7)よりも 介入 2 実施前(5.6 ± 3.6;t(16)=2.4,p<.05) の測定値に有意な変化が見られ、得点が減少し ていた(図 5)。一方で、全対象と男児に有意な 変化が見られなかった。 因子別には、全対象では抑うつ・悲哀因子に おいてベースライン(3.1 ± 2.0)よりも介入 1 実施後(2.4 ± 1.8;t(31)=2.2,p<.05)、介入 2 実施前(2.1 ± 1.9;t(31)=2.9,p<.01)、介入 2 実施後(1.9 ± 1.8;t(31)=2.9,p<.01)の全 てで測定値に有意な変化が見られ、得点が減少 していた。性別で見ると、女児の抑うつ・悲哀 因子においてベースライン(3.5 ± 2.3)よりも 介入 1 実施後(2.3 ± 1.9;t(16)=2.4,p<.05)、 介入 2 実施前(2.0 ± 2.0;t(16)=3.0,p<.01)、 介入 2 実施後(2.1 ± 1.8;t(16)=2.5,p<.01) の全てで測定値に有意な変化が見られ、得点が 減少していた(図 6)。以上のことから、因子 別でみると全対象と女児において有意な変化が 図 3 抑うつ群の全体と性別の抑うつ得点の変化 図 4 抑うつ群・非抑うつ群の全体と性別の抑うつ・悲哀因子の変化

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あったのは抑うつ・悲哀因子であり、プログラム 効果が介入直後から効果が見られ、効果は持続 し、2 回目のプログラム介入後でも効果が見ら れたが、男児は効果が見られないことが分かっ た。 図 5 健康群における全体と性別の抑うつ得点の変化 図 6 健康群における全対象と性別の抑うつ・悲哀因子の変化 3.事例検討 プログラムに参加する様子に最も変化が見 られた特別支援学級に通う男児 A に注目し、本 プログラム効果を検証した。男児 A は、活発 で同学年の男児と体を動かして遊ぶ姿をよく目 にするが、授業中の立ち歩きが目立ち、教師の 指示中であっても気になったことがあればすぐ に注意がそれ、多動と不注意の問題を抱えてい た。 3 年生時の初回のレッスンにおいて「身の回 りの良かったこと」が想起できず、学年で唯一指 定された付箋紙に書くことができなかった。そ の後、一度教室から出ていこうとするなど立ち 歩きが目立ったが、レッスンを重ねるごとに、 時間をかけながらも課題に取り組む姿が見受け られ、グループの児童の書いたものや実施者や 担任教師からの助言を参考にしながら、自力で 書くことができるようになっていった。4 年生 時では、昨年書けずにいた「身の回りの良かっ たこと」を嬉しそうに書くことができ、担任教 師に見せながら内容を説明する姿が見受けられ た。また、発表の時間では発表者の方を見て拍 手する姿があり、楽しいだけの時間ではなくよ り深い学びになっていると感じた。 プログラムを通じて、自分の思いや願いを想 起し考える力や、それを表現する力が男児 A についてきた様子が観察された。また、楽しん でいる様子は 3 年生時よりも 4 年生時の方が多 く見受けられ、その楽しみ方は一人で楽しんで いる様子から、グループの児童や学級の児童と 一緒に楽しんでいる様子に変わっていった。こ のことから肯定的な自己像を見つけ、男児の中 で自己信頼心が育ってきているとともに、小学 3、4 年生共通の自己信頼心の基礎である中位目 標Ⅰの「自己と他者の価値を認めることができ る」の自己の部分を小学 3 年生で、他者の部分 を小学 4 年生で、より大きく成長させたと考え られる。 また、男児 A のベースラインの抑うつ得点は 18 点であり、カットオフ値を越えていた。介入 1 実施後では抑うつ得点が 16 点と、まだカット オフ値を越えていたが、その後介入 2 実施前で 13 点とカットオフ値を下回り、介入 2 実施後で は 5 点と大いに減少した。 以上の質的変化、抑うつ得点の量的変化よ り、男児 A にプログラムの肯定的な心理行動面 での変化、抑うつ低下の効果があったことが示 唆された。 Ⅳ.考察 1 ベースラインの抑うつ得点について 近年、子どものうつ病が注目をされるように なってから、抑うつ得点を測る研究が多くなっ ている。中でも傳田ら(2004)の調査は、我が 国において実施された調査としてこれまでにな

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い大規模なサンプルから得られたものであり、 我が国の一般児童における抑うつ症状の実態を 知るうえで極めて貴重なものであるとされてお り、多くの研究で比較検討されている。 今回、筆者が行った本研究において抑うつ得 点の平均 11.8 ± 5.9 は、傳田ら(2004)の小学 3 年生を対象とした報告の抑うつ得点の平均 7.9 ± 4.9 を上回り、抑うつ得点がカットオフ以上で あった児童(33.3%)も傳田らの報告した 6.6% の 5 倍以上と大きく上回る結果となった。また、 小関ら(2008)は、抑うつ得点の平均が 8.2 ± 4.6、曽賀ら(2017)は、抑うつ得点の平均が 9.3 ± 5.7 と報告しており、本研究の結果も踏まえ ると、子どもの抑うつ度は年々上昇し深刻さを 増している可能性があることが本研究により示 唆された。 2  TOP SELF「自己信頼心(自信)」の育成プロ グラムによる効果について (1)プログラム介入直後の効果について 本研究では、介入直後においてプログラムの 効果による抑うつ得点、抑うつ・悲哀因子の低 減が認められた。 まず、全対象においてプログラム実施後に抑 うつ得点の低減が見られた。このことから、自 己信頼心を育む予防教育プログラムが、抑うつ 予防にもユニバーサルに効果があったことが示 唆される。 また因子別にみると、効果が見られたのは 「抑うつ・悲哀因子」のみで、「楽しみの減退因 子」に低下が見られなかった。傳田ら(2004) において、「楽しみの減退」は特に、健常な小中 学生の中にもある程度普遍的に存在する因子で あり、「抑うつ・悲哀感」の程度が強くなると抑 うつ傾向が高くなることが報告されている。本 研究において、抑うつ度の高さと関連が強い抑 うつ・悲哀因子においてよりプログラムの効果 が見られたことから、本プログラムは抑うつ予 防に効果があることが示唆された。 男女別に検証したところ、女児のみ抑うつ群 の抑うつ得点と健康群の抑うつ・悲哀因子得点 において低減が見られた。このことから、本プ ログラムは特に女児において効果が高く、問題 が顕在化していない対象に対する一次的予防教 育と、問題が顕在化している対象に対する 2 次 的、3 次的な予防教育の多重的な効果が示唆さ れた。女性のほうが年齢が低いうちに抑うつ得 点が上がり、その得点の上昇が大きいとことが 報告されており(傳田ら,2004)、より低年齢で 抑うつ対策の必要性が高いと考えられる。本プ ログラムが抑うつ対策の必要性の高い女児にお いてより即効的な効果があり、抑うつ群と健康 群の両方で効果が見られたことから、本プログ ラムを小学校で行うことの意義は大きいと考え る。 (2)プログラムの持続性について 本研究では介入 1 のプログラム終了時と介 入 2 実施前の効果検証テストの間が約 7 か月で あった。抑うつ得点や抑うつ・悲哀因子におい て、全対象と女児の抑うつ群と健康群の対照的 な両群でプログラム効果の持続性が確認された ことから、本プログラムはユニバーサル抑うつ 予防プログラムとしての効果とターゲット抑う つ予防プログラムとしての持続的有効性をもつ ことが確認されたと考える。また、介入 1 実施 後には効果がなかった男児の抑うつ・悲哀因子 にこの時点で変化が見られたことから、男児に は抑うつ低減に時間的経過が必要であることが 示唆される。 また、介入直後には女児に効果が見られてい たが、プログラムの効果の持続は見られなかっ た。傳田(2004)は女性のほうが年齢による得 点の上昇が大きいと報告していることから、女 児には特にプログラムの定期的な継続が求めら れるのではないかと考えられた。 (3) 2 年連続でプログラムを実施したときの効 果について 本研究では同じ対象に 2 年連続でプログラム を実施した。このようにプログラムを複数年度 にわたって実施し、抑うつへの効果検証をした 研究はこれまでになく、本研究において継続実 施による抑うつへの効果について新たな知見を 加えることができた。 2 年連続で行うことで、新たに抑うつ群男児 の抑うつ・悲哀因子に有意な減少が見られ、プ ログラムの効果があったことが分かった。介入

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1 やその後の効果検証テストにおいて、効果の 見られなかった抑うつ度の高い男児に 2 回目の 介入で効果が出現したことより、本プログラム の複数年度にわたる連続実施の有効性が示唆さ れた。 このことは、事例で取り上げた男児 A の得 点や様子からも考察することができる。ベース ラインでカットオフ値以上であった男児 A の 抑うつ得点は、介入 2 実施前にカットオフ値で ある 16 点を下回り、介入 2 実施後には抑うつ 得点が 5 点、抑うつ・悲哀因子が 1 点と大いに 低下した。また介入 1 と介入 2 のプログラムの 様子から、アニメストーリーを見る様子やゲー ムに参加する様子だけでなく、課題に取り組む 姿勢にも変化が見られた。指示が通りにくい児 童においては特に、継続的に実施することで内 容が定着しやすくなり、プログラムの効果も高 まったのではないかと考えられる。多動と不注 意の問題があり、特別支援の対象となっている A に抑うつ低減の大きな効果が見られたことか らも、本プログラムが発達的問題を抱える子ど もたちに対する 3 次的予防としても、大きな効 果があることが示唆されたと考える。 また、女児は介入 1 実施後に即効的に効果が 表れたのに対し、男児は効果が表れるまでに時 間がかかったことも興味深い結果であった。効 果の表れ方には様々な性差が観察されたため、 今後検証を重ねる必要がある。 3  今後の抑うつ予防教育における本プログラム の可能性 本研究で、既存の研究よりもかなり高い割合 で抑うつ度の高い児童の存在が明らかとなり、 経年的変化で年々増加傾向にあることが示唆さ れた。蓑崎・佐々木(2007)は、児童期の抑う つは適切に対処されないままでいると、その時 点での学校適応や社会適応に影響があることに 加え、その後の適応にも影響を及ぼすと報告し ており、石川ら(2006)は、成人してから後の うつ病性障害の発症率や再発率を上昇させると 報告している。そんな中、抑うつの問題が本格 的に顕在化する前の前思春期の児童を対象とし て TOP SELF の「自己信頼心(自信)」の育成 プログラムを行うことで、抑うつ度が改善され ることが本研究で明らかとなった。種々の問題 を抱える今の学校現場において教材が標準化さ れ教員にも取り組みやすい本プログラムは、非 常に有効性の高いプログラムであると考えられ る。 Ⅴ.今後の課題 本研究で見られたプログラムの効果の性差 について、さらに対象や学年を変えて、今後継 続して検証を重ねる必要がある。今回の実施は 2 年間であったが、本プログラムは中学 1 年生 まで標準化されており、抑うつが本格的に問題 となる高学年、中学生まで連続して実施するこ とによる効果検証も必要であろう。また本研究 においては統制群を設定することができなかっ た。統制群を設定し介入群との比較検証するこ とで、より TOP SELF の「自己信頼心(自信)」 の育成プログラムによる抑うつへの効果のエビ デンスを立証することは、今後の課題である。 TOP SELF の望ましい実施者、実施形態につい ても検討を重ねることが望ましい。 学校現場において子どもたちの抑うつに関 するが認識が広まり、子どもたちの心の健康に 効果をもたらす抑うつ予防プログラムがさらに 普及していくことが望まれる。 謝辞 本研究を進めるにあたり、ご指導ご佃撻頂い た渡部雅之教授に深謝いたします。研究につい て直接ご指導ご佃撻を頂き、論文の内容につい て多大な助言を賜りました 谷道子教授に心よ り御礼申し上げます。またプログラム実施に際 し、ご指導とご助言を頂きました鳴門教育大学 大学院、鳴門教育大学予防教育センターの山崎 勝之教授、内田香奈子准教授と関係者の皆様に 厚く御礼申し上げます。 また本研究にあたり、プログラムを実施して くださった B 教諭をはじめ、実施にご協力くだ さいました小学校関係者の皆様、教員、児童の 皆さんに心より御礼申し上げます。

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Ⅵ.文献 傳田健三・賀古勇輝・佐々木幸哉・伊藤耕一・北川信 樹・小山司(2004) 小・中学生の抑うつ状態に 関する調査 − Birleson 自己記入式抑うつ評価 尺度(DSRS-C)を用いて−児童青年精神医学と その近接領域,45,424-436 石川信一・戸ヶ崎泰子・佐藤正二・佐藤容子(2006)  児童青年に対する抑うつ予防プログラム―現状 と課題― 教育心理学研究,54,572-584 岸田広平・武部匡也・石川信一(2016) 児童青年期 の怒りに対する認知行動療法の展望 心理臨床 科学 6(1)3-16 小関俊祐・高橋史・嶋田洋徳・佐々木和義・藤田継道 (2008) 小学 3 年生を対象とした認知的心理教 育の授業効果―抑うつ症状と自動思考に及ぼす 影響― 発達心理臨床研究,14,9-16 厚 生 労 働 省(2015)  平 成 27 年 度 版 自 殺 対 策 白 書  (最終閲覧日:2018 年 2 月 5 日) h t t p : / / w w w . m h l w . g o . j p / w p / h a k u s y o / jisatsu/16/index.html 松原智子・岩元澄子(2011) 子どもの抑うつの特徴 および関連する心理社会的要因についての研究  久留米大学心理学研究,10 : 62-71 蓑崎浩史・佐々木和義(2007) 児童の抑うつ症状お よび不安症状に影響を及ぼす要因の検討 発達 心理臨床研究,13,39-47 文部科学省 子供の自殺等の実態分析(2014)(最終 閲覧日:2018 年 2 月 5 日) w w w . m e x t . g o . j p / c o m p o n e n t / b _ menu/.../1351886_05.pdf 佐々木恵・山崎勝之(2012) 学校において自己信頼 心(自信)を育成するユニバーサル予防教育― 教育目標の構成とそのエビデンス― 鳴門教育 大学研究紀要,27,141-153 曽賀愛未・境泉洋・戸ヶ崎泰子(2017) 小学 3 年生を 対象とした抑うつ予防プログラムの効果―ポジ ティブな自己陳述の表出促進に焦点をあてて― 徳島大学総合科学部,人間科学研究,25,23-35 堤亜美・下山晴彦(2016) 中学生を対象とした抑うつ 予防心理教育プログラムの試行―チームティー チング実践と心理士単独実践の比較を通して―  臨床心理学,16(6),713-722 山崎勝之(2017) 自尊感情革命 どうして学校や社 会は「自尊感情」がそんなに好きなのか? 福 村出版 山崎勝之・佐々木恵・内田香奈子・勝間理沙・松本有 貴(2011) 予防教育科学におけるベース総合教 育とオプショナル教育―鳴門教育大学研究紀要 26.1-19 山崎勝之・戸田有一・渡辺弥生(2013) 世界の学校 予防教育―心身の健康と適応を守る各国の取り 組み 金子書房 山崎勝之・内田香奈子(2010) 学校における予防教 育科学の展開―鳴門教育大学研究紀要 25.13-30 山崎勝之・内田香奈子(2014) 学校予防教育の普及 への方途と過程―鳴門教育大学学校教育研究紀 要 28.47-53 横嶋敬行・村上祐介・内田香奈子・山崎勝之(2016)  ユニバーサル学校予防教育「自己信頼心(自信) の育成」プログラムの効果―小学校 3 年生を対 象にし、教育目標達成後の波及効果を考慮して ―兵庫教育大学教育実践学論集 17.11-23

図 1 全対象と性別の抑うつ得点の変化 図 2 全対象と性別の抑うつ・悲哀因子の変化 ②カットオフ値以上の人数比較による効果検証 カットオフ値の 16 点を超える児童は、介入 1 実施後で 58 名中 10 名(17.2%)であり、介 入 2 実施前で 57 名中 13 名(22.8%)、介入 2 実 施後で 55 名中 9 名(16.4%)であった。性別で は介入 1 実施後で男児 7 名(24.1%)、女児 3 名 (10.3%)、介入 2 実施前で男児 8 名(27.6%)、 女 児 5 名(17.9

参照

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