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音楽にみられるフラクタル性についての研究

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Academic year: 2021

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(1)平成9年度 学位論文. 音楽にみられるフラクタル性についての研究.  兵庫教育大学 大学院学校教育研究科 教科・領域教育専攻 芸術系コース(音楽).    M96660G 増田功.

(2) 目次 凡例. 一3. はじめに. S. 一・. 第1章. フラクタルと音楽一一一一一一一・一.   1.1. フラクタルと旋律 一一一・一一一一・一.   1,2. U. .………・一…・一…一………一一一一一一一・一一一一…一一一一一一…一一一一・一一一一一一一一.…一……一…・. 一…一一一.一…一一一一一…一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一…一一…・. U. 旋律定量化の試み 一一…一一一. …一一一一…一一・一一一一…一一.一一一一.一一一一・一一一一・…一.一…一一一一一一…一一一一一一一一…. X.   1,3. 音符の定量的評価の方法. 一一一一一一一…一一一一一・一一…一一一一一一…一一一一一一一…一一一一一一一一一一一……一一一…. P5.   1.4. 解析対象曲の設定 一一一一一一一. 一一一一一一…一一…一一…一一.一…一一・…一.一…・一一一一一一一一一一一一一. P8. 第2章. フラクタルについて 一一一一一一一…一一一一一一一一一一………一.一一…一・一一一…….一一一一一一・一一一一一一一……一一一一……一一…20.   2.1. フラクタルの特徴一一一一一一……・一一一一一一一一一一……一一一一・一一一一一一一一一一一一一…・一一一一一一一…一一一一一一一・一一一一・一一一一一一一一・一一一一・一一20. 2.1.1 コッホ曲線 …一.一一一一.一一……一・…一・一一一一一一一__一一一一一一一一一_一一.一一_一一一.一_一一一一_一_.__一.一一一__.一一一一20. 2.1.2 自己相似性 一一一一・一一…一一一一一一一一一一.一一一一一一一一一一一一一・一.一一一一…一一一一一…一一一一一一一一…一一一一一一一…一一一一一“’…’”22. 2.1.3 特徴的な長さ 一一一一・一一一一一…一・…一一一一・一一一一・一一一一一一一一一一一一…一…一一一一一一一一一・一一一…・一一一一一一一一一一一一一23. 2.1.4 フラクタル次元 一・・一一一・一一一一・一一一一・一…一一一一一一一…・一一一一一一一一一一一一.一…一一一一一一…一一一一一一…一一一一一一……24. 2.2. フラクタルの応用 ………一…・一一一一一一一一一一……一一一一一一一一一一一…一一一一…一一.一一一一一一・一一一一一一.一一一一一一・一一一一一一一一一一一26. 一一一一一一……一…一一一一・…. R0. 一一一一一…一一一一…・…・・一一. R0. 一…一一一一一…一一一一…一一一一. R5. 第3章. フラクタル解析の概略.   3.1. 旋律グラフの粗視化一一一一一一一.   3.2. 時系列フラクタル解析. 第4章. 旋律の具体的評価 一一一一…一一.一一…一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一…・一一一一…一一一一・一……一一一・一….39.   4.1. プレリュードー一一・一一一一一一一・一一…一一一一一一一一一一…一…一…・一一一一…一一・一一一一・一一…一一…一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一…一一39. 4.1.1旋律グラフの粗視化比較 ・一一一一・一一一……一一一一一一一一一…一一一一一一一・一・一一・一一一一・…一・一一一一・一一…一一一一一39. 4.1.2 時系列フラクタル解析 一一…一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一…一.…一一一一一……一一一一…一一一一一一一一一一・一一一……45. 1.

(3)     4.1.3 音楽的内容との対応 一一   4.2 メヌエット. …50 一一.     4.2.1旋律グラフの回視化比較     4.2.2 時系列フラクタル解析     4.2.3 音楽的内容との対応 一一一一一.   4.3ペトルーシュカ     4.3.1旋律グラフの粗視化比較     4.3.2 時系列フラクタル解析 一.     4.3.3音楽的内容との対応   4.4作品問の比較…一一一……一一一一一・一一一一一一一一. 第5章 結論と今後の課題 一…一一一一一…. おわりに. …52 一一・. T7. 一一.. U2. 一一. U4. 一一・. U4. 一一一. U9. 一一. V4. …75. 一一. 一一. 謝辞. T2. W1. W4. …86. 引用参考文献. 巻末資料. 2. ・一一. W7. 一一一. X0.

(4) 凡例 1.人名の敬称は、全て省略する。 2.直接引用、論文名、及び重要な単語には「」を付す。 3.書名、雑誌名及び直接引用中の「」には『』を付す。 4.訳書名には、 “”を付し、著者及び書名を原語で示す。. 5.直接引用については、斜体で示す。 6.引用は、その出典を脚注の形で示す。 7.引用文に誤字・当て字などがあってもそのまま引用した。 8.音名の表記は、米語表記を用いる。 9.移調楽器については、その音高を実音で示す。. 3.

(5) はじめに.  芸術活動である音楽は、その大部分を人間の感性によって支えられている。音 楽は、それに関する学習経験が乏しく、その構造や理論に対する知識を持たなく. ても共感することができ、理解せずとも楽しむことができる。逆説的に考えるな らば、和声や楽式といった音楽独自の理論は、体系的に整理されたものではある. が、その根拠を遡れば情動や感情といった不確定なものに依存している。言い換 えれば、音楽表現は曖昧とも言える概念を頼りに行われている様に思われる。.  ところで、人間が美的に快いと感じるものとして一般的に知られている事象に 「黄金分割」がある。これは、数学的に   ズ線分沼を内、点Pによク、‘比の端項と平均項になるように、”つまク   超/41)=月P、脇Pとなるように分・割すること。一/注1. とされており、絵画や建築構造の基礎に多く見受けられるものである。音楽にお いては、バルトーク(Bart6k,B.)がその作品の幾つかに形式原理として用いたこ とが知られている。注2また、モーツァルト(Mozart,W.A.)の弦楽四重奏曲にお. いて、傑作とされる後期の10作品の持つモノフォニーとポリフォニーの割合が、. ほぼ黄金分割であることを示している研究もある。注3バルトークは、この構造 を意図的に用いたとされているが、モーツァルトの場合、おそらく無意識に作曲 を進めた結果、黄金分割が潜在的構造として構築されたのであろう。にも関わら. ず、作品がこのような構造を持ち合わせているのは、人間が本能的に持っている. 何かがそうさせているのではないかと推測される。ここにあげた黄金分割の例 は、人間の感性を定量的に表現できる可能性を示しているのではないだろうか。.  このような思いの中で筆者が出会ったのがフラクタルである。フラクタルは黄 金分割と同様に数学的に定義されたものであるが、その適用範囲は多岐にわたっ ている。フラクタルの応用によって再現された山や雲のコンピュータグラフィッ 注し. 注2. w数学事典』:1993:朝倉書店,p.36 kendvai,E.:1972:“B61a Bart6k−An Analysis of his Music一” @(谷本一之訳:『バルトーク. の作曲技法』,音楽之友社,pp.25−41) 注3. リ下効治:1997:「モーツァルトの弦楽四重奏曲におけるポリフォニーとモノフォニー」,兵. 庫教育大学学位論文,pp.79−84 4.

(6) クスは、まるで自然に存在しているかの様に違和感なく受け入れられるものであ. る。注〃また、生体構造の多くにフラクタル構造が存在することが分かってき た。品川らの、.   rフラクタル概念は、医学や生物学においては’、」血管や気道、神経紐胞の樹   ±突起の分岐パターンや、紐歯集落パターン、自然の樹木の幾何構;造あるい.   は、脳のしわのパターンや癌の形態、サンゴの空嚴分布パターン、高分子の凝.   集パターン、脳波、筋収縮運動、さらに動物の行動パターンや体のサイズの.   分布にいたるまで、様々な研究対象に対しての研究手段としで使われてい   ,る。ノ注5. という言及は、我々とフラクタルが密接な関係にあることを示しているように思 われる。.  このように、自然界の様々な事象がフラクタルとして捉えられていることか ら、人間の感性にもフラクタルが何らかの影響を及ぼしていることが予想され る。これが事実だとするならば、フラクタルの視点から音楽を捉え、定量化する. ことにより、芸術活動の不確定な要素の本質に一歩でも迫ることができるのでは ないか、というのが筆者の意見である。さらに言うならば、感性に依存する音楽 の普遍性を見出すことが可能となる、というのが本小論の仮定である。.  しかし、前世紀に比べ飛躍的な進歩を遂げた自然科学の力をもってしても、解 明できない謎が多数存在している。音楽における感性もそのひとつであると思わ れる。音楽の全てを定量化することは、芸術性の放棄にも繋がりかねず、非常に 危険である。よって本小論は、音楽を定量化することが可能と思われる範囲を模 索することを目的とした。.  具体的には、幾つかの作品について時系列フラクタル解析を行い、その粗視熱 構造とフラクタル次元について分析し、音楽の定量化にフラクタルを用いること の妥当性について考察していきたい。. 注4. oeitogen,H, et a1.:1988:“The Science Qf Flactal Images” (山口昌哉監訳:『フラクタル・イ. メージ 一理論とプログラミングー』,シュプリンガー・フェアラーク東京,PP.138−148) 注5. i川嘉也他:1992:『医学・生物学のフラクタルー生物に潜む自己相似性を探る一』,東京書. 籍,P.16. 5.

(7) 第1章 フラクタルと音楽 1.1 フラクタルと旋律. 図1.1脳細胞の樹状突起注6.  図1.1は、人間の脳細胞の樹状突起である。脳は様々な情報を処理するために、. 各細胞間でおびただしい数のネットワークを複雑に張り巡らせている様相が見受. けられる。この樹状突起はフラクタル構造を持っている。「はじめに」におい て、生体構造の多くがフラクタル構造を持つことが分かってきたと述べたが、上 図のように我々の体内にもフラクタル構造が存在しているのである。.  フラクタルは、1970年代に幾何学の一領域として提唱された比較的新しい理論 である。その創始者マンデルブロ(Mandelbr。t,B.)は、1960年代の始め頃、経済. の問題に関心を持ち、株価変動の統計的な法則である「マンデルブロの法則」を 注6. ariggs,」.1ユ992:“Fractals−The Patterns of Chaos一”(松下貢他訳:『フラクタルな世界.  一科学と芸術にみる新しい美学一』,丸善,p.102) 6.

(8) 発見している。そして、この法則にフラクタルのもとになる考えを見出し、幾何 学的な事象と結びつけて行くことにより、フラクタルの概念に達したという。注7.  フラクタルという言葉は、マンデルブロによって1975年につくられた造語であ り、その著書『フラクタル幾何学』の中で以下のように述べられている。    π私はラテン語の形容詞flac亡USからフラクタルζfrac亡a1♪という用語をつ.   ぐつた。flac加sに対応するラテン語の動詞frangereはグこ:われるノ、すなわ.   ち不規則な断片ができるという意味である。それゆえ、このフラクタルとい.   う言説は妥当であり、またその百的にぴったりの用語であると自負してい   る。ノ注8. マンデルブロは、これまでの科学では証明が難しかった一見不規則に見える株価 の変動や、自然界の複雑な造形の中に幾何学的な規則性を見いだそうとしたこと が窺える。          ・  従来の幾何学は、自然界の複雑な形状を定量的に評価するために、我々にとっ て難解な数式や微分といった非常に煩雑な手続きを必要とした。また、幾何学の 論理によって構成された図形が、細部に関して微分不能であるという矛盾した例 も今世紀初頭に示されていた。注9次章で解説するコッホ曲線などの図形は「病 気関数」と呼ばれ、フラクタルの提唱まであまり注目されることは無かった。.  上記のような微分不能である図形に着目し、理論を拡張したものがフラクタル である。フラクタルは単純な規則によってこれらの形状を簡潔に定量化すること. を可能にした。このことは、フラクタルの最大の有用性であり、フラクタルが 様々な分野に解析法として利用される要因になっていると思われる。注10この定 量化の指標は「フラクタル次元」と呼ばれ、非整数で示される数値である。フラ クタルの数理的な定義や詳細については、第2章で述べる。.  フラクタルは、様々な事象を定量化し、その特徴を捉えることに用いられてい 注7. 注8. hタ秀樹他:1988:『フラクタルって何だろう』,ダイヤモンド社,pp.85−89 landelbrotB.:1977:“The Fractal Geometry of Nature” (広中平祐訳:『フラクタル幾何. 学』,日経サイエンス,p.4) 注9. hタ秀樹他:1988:前掲,pp.34−36. 注し。 Voss,R.:1988:「自然界のフラクタル」“The Science of Flactal Images”(山口昌哉監訳:. 『フラクタル・イメージ 一理論とプログラミングー』,シュプリンガー・フェアラーク東京, pp.22−23). 7.

(9) るが、その中に時系列データ、つまり時間とともに変化していく事象の示す挙動 をフラクタル次元として定量化する考えが示されている。注11 そこで、音楽を時. 間とともに変化する時系列データとして捉え定量化することによって、今までの 楽曲分析では伺い知ることができなかった特徴を見出すことができないかと考え た。よって、本小論では時系列フラクタル解析によって音楽を定量的に表現する ことを試みる。定量化に際しては、音楽の中心的役割を果たすと思われる旋律を 対象とした。旋律とは、辞書的定義によると、.    π音楽的な表現意図のもとに形つぐられた高低の音の動きである。これを一.   連の楽音の債の(継続的な、あるいは線的な♪つながりとたとえることがで.   き、縦のθ司蒔的な♪つながり、すなわち和声とともに音楽を構成する主要   な要素とされる。ノ注12 とされている。また、エリクソン(Erickson,R.)は、.    r旋律はすべで二つの基本特催、借高♪と《持続♪をそなえていますつま   ク、空局を±、下行しながら進行するわけです。一/注13. と述べており、旋律を時系列データとして捉えることは妥当であると考える。以 下、旋律を定量化する方法については次節以降で論じる。. また、時系列フラクタル解析の具体的な概要については、第3章で述べる。. 注しL. 注12. 口知之:1989:「時系列のフラクタル解析」 『統計数理』,第37巻 第2号, pp.209−233 u音楽大事典』:1983:平凡社,P.1346. 注し3 Erickson,R.:1955:“The Structure of Music” P.9). 8. (坂田洌隆訳:『音楽の構造』,芸術現代社,.

(10) 1.2 旋律定量化の試み.  本節では、旋律の本質を失わせること無く定量化が可能と思われる要素を模索 し、限定する。.  音楽は、その背景に様々な要素が存在し、それらと複雑に関連をもって成立し ている。国や地域、民族によって旋法や音階の種類も様々であり、保存や伝達の 方法も文字や楽譜による方法だけではなく、人々の記憶の中に保存され、口から 口へと代々伝えられてゆく口頭伝承によるものもあるが、注14本小論では旋律の 定量化に際し、現在広く用いられている近代五線記譜法により創作された作品を 対象とする。理由は、この記譜法が用いられはじめてから長い年月を経た現在で も使用に耐えうるほど体系的に整理されたものであり、新たな記譜法が定着しな いことは、この記譜法による楽譜の合理性と幅広い表現力を示していると思われ るからである。.  以上に基づいて楽譜に焦点を絞り、その機能について整理し、考察する。西洋 の理論体系に則った音楽にとって、楽譜とは表現のためのよりどころであり、根 底を成す重要なものである。ここで述べる表現とは、作曲と演奏双方の行為を指 す。保科は、楽譜の持つ機能を説明するために、次のようなモデルを考案してい る。. 作曲家の創意一≒〉デジタル変換一レ楽譜一一レアナログ変換一→レ演奏表現 (アナログ的思考)         (デジタル的記述)       (アナログ的表現).             図1.2楽譜の持つ機能注15. 図1.2は、楽譜が作曲と演奏の間に位置し、両者の媒介となり、情報伝達の手段と. なっていることを示している。また楽譜は作曲という行為を、和声や形式といっ た音楽の語法によって表現し、演奏という行為に受け渡している。.  ここで重要なのは、演奏表現は必ずしも一様ではないということである。演奏 者は、楽譜から作曲者の意図を類推し、具体的に音として再構成する。その再構 注’4. 注15. J本一之=1987=「音楽と記録」『民族音楽』,日本放送出版協会,p.126 ロ科洋:1996:指揮法理論 講義録より,兵庫教育大学講義 9.

(11) 成の段階で、演奏者自身の音楽経験や主観によってアゴーギグや音色等の表現を 選択していくのである。これは、演奏の持つ再現芸術としての特質であり、演奏 者に許された自由度と考えることができる。また、この自由度が音楽の持つ魅力 のひとつであろう。しかし、この自由度があるが故に、演奏そのものを分析した 場合、その表現内容によって結果が異なることが予想される。これは、作品の持 つ本質を定量化し、示すには不都合である。.  楽譜を分析の対象とすることは、演奏について先に触れた自由度を排除するこ とを意味する。この自由度の排除は、演奏の魅力を否定しているように思われる かも知れない。しかし、楽譜は演奏にとって表現の根拠となる大部分であって、. そこから実際の音として現象化されていることを考えると、作品の持つ本質は楽 譜に集約されていると言える。.  以上の理由により、旋律を定量化するに際して、楽譜から読みとれる情報を分 析の対象とする。.  次に、楽譜によって伝え得る情報について整理する。現在一般的に用いられる 近代五線記譜法は、15世紀頃フランスとイタリアにおいて鍵盤楽器のための記譜 法として端を発し,現在使用されている形態が定着したのは17∼18世紀頃とされ ている。注16. 楽譜の持つ要素は、以下の様になっている。注17   ω音符   ζ2謄表:  ピ3培超記号 ‘4ノ調子記号 倒拍子記号.   ζ6〃・鰍  ‘7協蒔記号ζ8樋度記号 倒その勉 その中でも、音符の定義は、.   rそれぞれの形によつで音の持続の長さを表し、さらに譜表、音部記号、そ   の他の記号との組み合わせによって個々の音の高さも表示しうる。ノ注18 とされている。.  音符は楽譜の中心を成す最も重要な要素であると言える。純粋に音符だけで表. すことができるのは音の長さのみである。これを譜表上に配列することによっ て、音の長さとある程度の高さが表すことができる。ある程度と述べたのは、長 注L6 注し7. 注18. ^篠将編:1956:「音楽史』,全音楽譜出版, P.15 w音楽大事典』:1983:平凡社, p.687. ッ上,p.687. 10.

(12) 音程と短音程の区別が未分化であるためである。これに音部記号を追加すること により、基準となる音の高さが譜表上に示されるため、長短音程が明確になる。 これは極端な例だが、上記で示された(1)∼(3)の要素だけでも、旋律を表現するこ. とが可能であり、残りの要素は、より詳細に音楽を伝えるための補助的な役割を 果たすものである。.  また、保科は音符の持つ機能を3つに分類し、次のように定義している。注19   ω音の長短ζ音響♪  /2/音の高低(音高♪  /3/音の彙積ぐ音積ク. この中でも、旋律を表現するために用いられる機能は、(1)と(2)である。以下、本. 小論ではこの定義に従い、音符をもとに得られる音の長短を「音長」、音の高さ を「円高」とする。.  無数に考えられる旋律の持つ要素を、楽譜、そして音符へと視点を絞ってきた が、このことは音符とその付随要素だけで旋律の本質は曲げられずに伝えられる ことを表している。. 挙例1.1. 交響曲第五番第1楽章 より.      P.Tschaikowsky. ・. 9. ・. ・. ・.  譜例1.1は、チャイコフスキー(Tschaikowsky,P.)の「交響曲第五番」第1楽. 章冒頭のクラリネット独奏部である。これは、スコアから強弱記号やアーティ キュレーション、速度記号を削除したものであるが、この旋律の持つ調性や使用 音域、リズム等の特徴は、きちんと表現されていると言える。.  では、さらに要素を絞り、音長兄は音高どちらか一方の要素を対象とした場合 を考えたい。 譜例1、2. 注19. ロ科洋:1996:前掲 11.

(13) 譜例1.2は、前記の譜例L1から音響を表すことが可能な要素のみを抽出し、示し たものである。この譜例からだけでは、この旋律がどのような調性や音域で構成 されているのかを知ることはできない。また、この譜例は単なるリズム奏としか 受け取ることができず、音高と持続を備えていないことから、もはや旋律ではな い、といっても過言ではない。. 譜例1.3.                 7 丁丁1.3は音高を表すことが可能な要素のみを抽出し、示したものである。この譜. 例からは調性や音域を読みとることはできるが、音長をどの程度持続させる必要 があるのかを知ることはできず、元の旋律の持つ特徴を推察することは難しい。  これらの譜例1.2や1.3を譜例1.1と比較すると一目瞭然だが、もとの旋律の持つ. 特徴は、すでに失われてしまっている。これは、音長と音高を別の要素として捉. えることは、音楽的に余り意味を成さないことを意味している。以上のことか ら、ひとつの音符に対する町長と音高は、常に同時に扱わなければならない要素 であり、不可分であると考えられる。これらの内容を根拠とし、旋律を定量的に 分析をする上で音符、さらに言及するならば音長と音高を対象とすることは妥当 である。.  では、あるひとつの音符が持つ音長と音高の相関について論じる。これを考え る上で、糸口となる考えが示されている。.   π音楽の流れは、旋律に限らずリズムもノ、一モニーる、みなエネルギー運動   とみ,ることカごでき.る。.    グズム運動というものぱ、アクセントへ向かっで集中作用ぐ緊張♪がはた   らき、アクセントを週ぎると解放作:用ζ弛緩♪がはたらぐ。.    ノ、一モニーの流れは、解決を欲するための緊張と、その後の弛緩の作用が   ある。.    旋律においても1司禄iに緊張や集中、および弛緩や解放がある。つまクエネ. 12.

(14)   ルギー:運動がいつる作用していると想われる。ノ注20. 熊田は、ここで「エネルギー」という言葉を用いている。これは、楽曲が進行し ていく上で推進力となる和声のドミナントからトニカへの解決や、教会旋法にお. ける終止音へ向かっての進行といった、音楽の及ぼす心理的な変化についての言 及である。観念的ではあるが音楽においては支配的な考え方であろう。.  しかし、管楽器奏者や声楽家は、演奏を通じて必要になる負荷を実際に体感し ている。音高については、高くなるにつれて息のスピードや腹筋の支えが必要と なってくる。音長については、延長されると上記の息のスピードや腹筋の支えを. 持続させる必要があり、また、その行為によって沢山の息を消費する。音高と音 長の両方の値が増加すると、必要とされる息のスピードと腹筋の支え、その継続 時間の双方が増加する。このことを踏まえると、ある音符を演奏するために必要 とされる負荷は、音長と音高の積と捉えることができるのではないだろうか。.         図1.3a音及びb音の音高と弓長から予測される負荷           斜線部分は、音長と音高の積(負荷)を表す。.  つまり、音符によって示されたある音高を演奏するのに必要な息のスピードや 腹筋の支えを、音長の示す時間持続させたものと仮定するのである。例えば、図 1.3に示したa音は、b音よりも高い音高を持っているため、演奏に際してはb音 よりも速い息のスピードや強い腹筋の支えが必要となる。音長はb音よりも短い. ので、息のスピードや腹筋の支えの継続時間はb音よりも短くなる。これに対 し、b音はa音よりも長い音引を持っているので、演奏に際してはa音よりも長 注2。. F田為宏:1974:『演奏のための楽曲分析法』,音楽之友社,pp.19−20. !3.

(15) 時間息や腹筋を支える必要があるが、音高はa音よりも低いので、息のスピード や付近の支えばa音よりも緩やかになる。.  これは、管楽器奏者と声楽家の例を述べたものである。ピアニストや弦楽器奏 者、打楽器奏者はどの音高を選択するかという点において、必要とされる負荷の 差異を感じることは少ないと思うが、音長の変化については、息の量と同様の負 荷の強弱を体感できる。音長を延長するために、ピアノならば強く打鍵をする必 要、弦楽器ならば、ボーイングの持続時間を長くする必要、打楽器ならば強く叩 く必要があるからである。.  このように、実際に音として現象化される音高と音長の関係から、音符情報に 遡って上記の考えを当てはめることは、間違いではないように思われる。よって 音長と音高のもつ相関を両者の積とし、これをもって音符を定量的に評価するも のとしたい。. 14.

(16) 1.3 音符の定量的評価の方法  本節では、音符の定量的評価に当たって、音長と音高の測度を設定し、その方 法について示す。.  まず、音長について考える。本小論では、前節において速度記号を評価の対象 外としているので、解析曲の持つ拍子の単位となる音符の種類を1とする。つま り、4/4拍子の:場合、4分音符は1、8分音符はO.5、2分音符は2となる。これ により、旋律の中での相対的な音長を評価することができる。.  次に、引高について考える。音高については、音符間の相対的な高さを示すも のとして度数があるが、これは長短音程を区別を表すことによって非常に煩雑に なってしまい、適切ではないと思われる。近代五線記譜法が鍵盤楽器のための記 譜法として発展してきた経緯から、12平均律を用い、半音を1とする。その際、 MIDI注21 規格内のノートナンバーを用いることで、効率的に評価することができ る。. (冴一1 D“幽雫  F齢・1G¢・1へ俘・1  C絆O D雌O   F”0(碧OAρO   C桝 Dρで   F餌 G夢1A謬1   C鋸∼D”2  . F御2G擬2 A齢2.                 F7  G7  A7     C8     E8  FO  G8 A8  88  Cg  Dg  Eg     G9.           図1.4 ノートナンバーと鍵盤との対応注22. 図1.4は、ノートナンバーと鍵盤との対応を示した図である。88鍵のピアノの最低 勘MIDIとは、 Music Insturu血ents Digital Interfaceの略。電子楽器の情報管理をする汎用フォ ーマット。 注22. qona, J.:1987:“MIDI book”(藤井美保訳:『MIDIブック』,リットーミュージック,. P.63). 15.

(17) 音A。は21、最高音C、は108、大譜表の中央に位置するC、は60で表されている。しか. し、これは基準となる音を示すための便法である。例えばCは60ではなく、0と                           4 仮定したとしても「半音を1とする」明確な基準があるので、不都合は生じな い。.  では、これを基準に具体的な音高の評価方法について考える。本小論は多角的 な検証を試みるため、2種類の音高を設定した。.  第一は、先行音と後続音の音高の変化量を音符のもつ音高とした方法である。. これは、前後するふたつの音符がどのような音程関係で結ばれているかを示す面 高であるので、聴取の立場の至高と考えることができるように思われる。実際の 数値は、後続音から先行音のノート・ナンバーを引くことによって求めた。よっ. て上行音型の場合は正、下行音信の場合は負の値を取る。また、終止音の鼻高 は、音高の変動が無くなる音であるので、0を与えた。以下、これを「1型」と する。.  第二は、対象となる音の数値から終止音の数値を引く方法である。旋律には無 調のものもあるが、多くの場合、旋律は調性に支配されている。よって本小論で は調性の存在が認められる作品を対象とし、終止音からの音高を用いることで調 性を数値として評価した。また、この音高は調性という旋律の意図的な情報を評. 価したものであるので、前者の1型に対して、作曲者の創作意図に基づいた鼻高 と考えることができるように思われる。以下、これを「H型」とする。.  これ以外にも、音高の評価方法は考えられる。例えば、旋律の開始音の音高を 基準にする方法である。この場合、旋律の開始音は特に規定がある訳ではないの で、基準を定めるに当たっての意味を持たない数値となる。よって、調性を持っ た旋律の評価法としては不適当である。.  他に、旋律内のフレーズによって基準とする音高を変化させる方法があげられ る。つまり、転調した場合には、終止音を調性に合わせ変化させるものである。. しかし、この場合、完全な転調と捉えるか和音の借用と考えるかによって、終止 音の選択は大きく変化し、その決定は個人の判断によって異なるものとなってし まう。すなわち、主観的な要素がデータに反映される危険性を内包した方法であ ると言える。旋律の定量化に際しては、少しでも主観的な要素が混在する余地が 16.

(18) あるものは不適切と考え、上記1・H型に限定することとした。これらの値を用 い、旋律を定量的に評価し、分析を進めていく。. 17.

(19) 1.4 解析対象曲の設定. 本小論においてフラクタル解析を行った作品は、以下の通りである。. (1)バッハ(Bach, J。S.):無伴奏チェロ組曲第一番BWV1007より.   プレリュード 1∼19小節1拍目 (2)同:.   メヌエットH 1∼24小節 (3)ストラヴィンスキー(Stravinsky,1):バレエ音楽「ペトルーシュカ」より.   第3場 ムーア人の部屋 60∼83小節 トランペット独奏部.  次に、分析曲を選択する上での根拠を以下に述べる。.  第一に、単旋律(モノフォニー)のみで構成されている、または旋律がそれ以 外の要素の影響を受けない作品を選択した。近代五線記譜法によって創作された 作品は、複旋律(ポリフォニー)もしくは和声を伴う旋律(ホモフォニー)で構 成されたものが多い。注23 しかし、様々な要素が含まれる作品から旋律だけを取. り出して分析しても、作曲者の音楽的意図や演奏表現につながる内容を正しく探 ることはできない。従って、単旋律として創作された作品を取り上げることとし た。.  第二に、歌詞のない作品を選択した。これは、歌詞のもつ意味やイントネー ションは直接旋律の構成と関わっており、作曲の際には必ず考慮されているた め、両者を無関係に分析することは無意味なためである。.  第三に、休符を含まない作品を選択した。本小論では、実際に音の存在を示す 音符を分析の対象としたため、休符を定量的に評価する手段を設定していない。. また、休符は音楽的に重要な意味を持っているため、休符を含むフレーズにおい てそれを無視して解析を進めることは、妥当ではないと考えたためである。 注23. w音楽大事典』:1983:平凡社,p.1346. 18.

(20)  第四は、音符が100個以上連続している作品を選択した。時系列解析を行うため. には、最低でも100∼200以上のデータ数が必要であるため、この条件を満たす作 品を選択した。.  以上、解析対象曲とその根拠について述べた。以下、解析及び具体的評価は、 4章で述飛る。. 19.

(21) 第2章 フラクタルについて 2.1 フラクタルの特徴. 2.1.1 コッホ曲線.  フラクタルの理論は、幾何学にとどまらず様々な分野に応用されている。これ. は、フラクタルの出発点が経済の問題だったことを考えると、自然なことであ る。そして用途が広がることにより、その定義は対象に合わせて拡張され、様々 な考え方が示されてきた。故に、フラクタルを簡潔に説明することは非常に難し い。そこで、単純な事象である古典的なフラクタル図形「コッホ曲線」を例に、 フラクタルの持つ特徴を遡る。.  コッホ曲線とは、マンデルブロによってフラクタルという言葉が創造される以 前、1890年にコッホ(Koch, H.)によってつくられた図形である。注24. 図2.1 コッホ曲線. 図2.1のコッホ曲線は、今ではフラクタルであることが広く知られている。作成の 手順を以下に述べる。. まず、長さが1の線分を3等分する。. 1 〆’’’”. \. 叉∼⊥ン又_⊥_ノ又_⊥_ノ    3          3          3          図2.1a 翻山口昌哉:1986:『カオスとフラクタル 非線形の不思議』,講談社,p.148. 20.

(22) 図2.1aにおいて、3等分した線分の中央を取り除き、取り除いた線分と同じ長さ の線分を2本用いて、左右に残った線分の一端から頂点を作るように配置する。. /7ミ\ ⊥. ⊥. 6 3. 3. 又._よ_ノ.    可.    3 図2.1b. この時図2.1bは、長さ1の線分を1/3に縮小したものを4本用いて作成された図形 であるので、曲線全体の長さは、.               ÷×4一÷. となる。. 上記の作業により与えられた線分4本に対し、次々とこの操作を繰り返してゆ く。. rC、 図2.1c. 図2.1cにおいては、1/3の線分をさらに1/3に縮小しているので、 cの長さは1/9と なり、曲線全体の長さは、.               ÷×4×4一誓. となる。これらの手続きを続けてゆくのだが、その結果得られる曲線は、ひとつ 前の曲線を1/3に縮小し、4個つなぎ合わせたものになっている。この作業を無限 回繰り返したものが、コッホ曲線である(図2.1d参照)。 21.

(23) ⊥ 3. ⊥ 3. 図2.1d. 2.1.2 自己相似性.  フラクタルの持つ非常に重要な特徴に自己相似性をもつということが挙 げられる。自己相似性の概念をより明確にするために、自己相似ではない 事象について考える。. 図2.2 円の一部を拡大する注25 注25. hタ秀樹他:1988:『フラクタルって何だろう』       ,ダイヤモンド社,P。68. 22.

(24)  図2。2は、四角で囲んだ円周の一部を、左図から右図へ向かって徐々に拡大した. ものである。出発点は円であるのに、一番右の図では弧の部分がほとんど直線に. 見えてしまい、もとの図形が円だったのか直線だったのか判別することは難し い。拡大してみることで、円という図形の持つ特徴を失ってしまったのである。 これは、円が自己相似の構造を持っていないからである。.  では、コッホ曲線はどうであろう。コッホ曲線は、図2.1bで示した単純な構造. の曲線を縮小し、その縮小部分を無限につなぎ合わせてゆくことで得られたもの である。逆説的に言えば、どの部分をいくら拡大しても、全体と同じような構造 がみられるということである。この様な部分と全体の関係は自己相似性と呼ばれ ている。.  自己相似図形では、部分と全体がある秩序によって相関を持っている。その中 でも、コッホ曲線はどこをとっても全体と部分が一致する完全な自己相似を持っ た図形である。ここでは図形を例にとって論じているが、あらゆるフラクタルに おいて部分と全体の相関は、重要な特徴である。. 2.1.3 特徴的な長さ.  コッホ曲線について述べる中で、図2.1aで最初に与えた線分の長さを1とした が、長さ!/3の線分4本の組み合わせによってつくられた図2.1b全体の長さは、               ≦二= 1.333….                3 それを1/3に縮小した長さ4/9の線分4本の組み合わせによってつくられた図2.1c全 体の長さは、.               ユ至=1.777….                9 といった具合に徐々に延長されていることが分かる。これらの作業を無限手繰り 返したものがコッホ曲線であるので、結果としてコッホ曲線は次々と延長され、. 無限の長さを持っていることになる。故に、コッホ曲線の長さを言い表すことは. 23.

(25) 不可能である。これは、最初に与えた長さを10としても100としても、無限に繰り 返した結果、曲線の長さは無限になってしまう。.  この様に、コッホ曲線は長さを言い表すことができない。つまり特徴的な長さ を持っていないのである。これは、自己相似図形の示す特徴であり、フラクタル 性を持つための重要な要素である。. 2.L4 フラクタル次元  通常、長さは図形を定量的に表現するための手段と成り得る。しかし、前述の ようにコッホ曲線は、特徴的な長さを持っていない。そこで、この様な図形を定 量化するためには、他の視点が必要となってくる。.  フラクタルの特徴を示す数値として、フラクタル次元がある。一言でフラクタ ル次元といっても、分析の対象によって様々な定義や算出方法がある。ここでは コッホ曲線に対して適用が可能で、フラクタルと密接な関係にある相似性次元に ついて論じ、フラクタル次元の特徴を示す。.  普段我々が考える次元とは、ユークリッド次元と言い、整数値で表される。空. 間は「縦」「横」「高さ」という3つの尺度を持っており、3次元である。飛行 機の位置を表すためには、経度、緯度、高度の3つの値が必要である。平面は、 「縦」 「横」2つの尺度を持っており、2次元である。将棋盤上の駒の位置を表. すには、縦横それぞれの升目の番号ふたつを示せばよい。線は、端点からの距離 によってその長さを表すことができるので、1次元である。糸に作った結び目の 位置は、どちらか一方の端からの長さを言えばよい。これらの例からユークリッ ド次元とは、ある1点を言い表すために必要な情報数を示していると言える。.  ここで、コッホ曲線上に存在する点について考える。端点からの距離で表そう. と思うと、無限の長さを持っているので、点は無限の位置に存在することにな る。縦横ふたつの値で示すこともできるが、コッホ曲線は平面を網羅している訳. ではないので、これも不適当である。これらのことから、コッホ曲線はユーク リッド次元で考えると、1次元とも2次元とも考えづらい。この曲線の持つ複雑 さから、我々が経験的に把握している整数次元という枠に収めて表現することは 24.

(26) 不可能である。そこで、この様な図形の次元を表現するためには、従来の次元の 定義を拡張する必要がある。  相似性次元は、.   ズ厳密な自己相似催を持つるのに対して定義される次元ゴ泌 となっており、非整数で表すことができる。その定義は、.   πある図形が、全体を珍に縮小した相似図形ノ個によつで構成されている   とき、この指数Dが次元の意味を持つノ注27 とされている。ここでノ=わとして、両辺の対数を取ると、.                logαD=109とP.                DIo9α=lo9∂.                   109わ.                D=1・9・  「   (2.1) となる。この定義を正方形に当てはめてみる。正方形は、周囲の長さを1/2に縮 小した相似図形4個によって構成されているので、(2.1)より.               lo94   21092             D=               1・92=1・92=2 となり、ユークリッド次元と一致する。次に、この定義をコッホ曲線に当てはめ. て考えると、全体の長さを1/3に縮小した図形4個で構成されているので、 (2.1)より.              lo94     0.60206.           D=1・93ニ047712≒1・26 となり、コッホ曲線の相似性次元としては1.26が得られる。これで、特徴的な長. さを持たず、1次元でも2次元でもない複雑なコッホ曲線を、定量的に表現する こどができた。.  このようにフラクタル次元は、対象となる図形がもつ特徴を示す指標となり得 るので、実例への適応の可能性について自然界の実例を交えながら、次節でさら に詳しく述べることにする。 注26 注27. hタ秀樹:1986:『フラクタル』,朝倉書店,P.161 ッ上,p.10. 25.

(27) 2.2 フラクタルの応用.  フラクタルは、マンデルブロがそのアイディアを思いついた経済学から幾何 学、そして現在では様々な事象へとその適用範囲を広げ、応用されている。その 中で、生体構造や自然の造形の多くにフラクタル構造が存在することが分かって きた。.  前章で紹介した脳細胞の樹状突起の他にも、人体では肺胞の表面積や血管等の 循環器系にフラクタル構造が見受けられることが分かっている。何れも、生体の 限られた容積の中に、効率よく複雑な構造を持たせるために、フラクタル構造を 持っていると思われる。注28.  自然の造形の多くも、フラクタル構造を持っていることが明らかにされてい る。雲のかたちや河川の分岐、雪の結晶など枚挙にいとまが無い。その中でも、 海岸線の形状について述べる。.  海岸線は、定規を用いて書き表すことができないような複雑な形状を持ってい る。海岸線を見るに当たって衛星写真、地図、山の上から眺めるといった具合に 徐々に視野を狭め、部分を拡大していっても同じように複雑である。これは、海 岸線がコッホ曲線の様に完全ではないが自己相似性を持っているためであり、フ ラクタル性を持っていることが直感的に理解できる。.  高安は、海岸線のように、完全な自己相似ではないが全体と部分の構造が酷似 しているものを   ズ統計的に自己相似であるノ注29. とし、この様な性質をもつものを   乃統計的なフラクタル、あるいは一単にフラクタルと呼は『れてい,る。一/注30. と述べている。以下、本小論は「フラクタル」の定義をこれに倣うものとする。.  この様にフラクタルの定義を拡大することにより、様々な事象をフラクタルと して捉え、フラクタル次元を求めることができる。前節で、フラクタル次元は測 注28. i川嘉也他:1992:『医学・生物学のフラクタル 一生物に潜む自己相似性を探る一』,東京. 書籍,pp.14−79 注29 注30. hタ秀樹他:1988:前掲,p.65 ッ上,p.67. 26.

(28) 定の対象により、多種の求め方があることを述べが、海岸線のように不規則な曲 線と考えることができる事象は、ある長さの線分で近似し、そρ長さと個数の関 係によってフラクタル次元を求める方法がある。.  この方法は、次の通りである。曲線を端から半径アの円で被覆し、海岸線との交 点を中心とした新たな円を次々に作成する。つまり、長さγの線分で海岸線を近似 していくのである。アを大きくすると7の総数N(りは減少し、γを小さくすればN(り は増加する。そして、γとN(りが、.                 N(・)俵・一D      (2.2) のような関係を満たすとき、Dをフラクタル次元とするものである。。・は、比例 を示す記号である。. 図2.3海岸線を折れ線で近似する激. 曲線を折れ線で近似することは、おおまかに曲線の長さを求めるということであ り、この作業は「粗視化」と呼ばれる。図2.3の場合、「曲線を長さアで粗視化し た」ことになる。.  次ページの図2.4は、コンピュータが書いたランダムなフラクタル曲線である。 フラクタル次元Dが1.10のaは、挙動が穏やかで、フラクタル次元が1.25、1.50、. 1.80と徐々に増加し、2に近づくにつれて複雑になっていくことが分かる。フラ クタル次元は、曲線のもつ複雑さの度合いを定量的に表現しているのである。 注31. hタ秀樹:1988:前掲,p.67. 27.

(29) alD=1.10. b=D=1.25. c=D=1.50. d=D=1.80.            図2.4 ランダムなフラクタル曲線注32              Dはフラクタル次元を示す。. フラクタル次元が1∼2の間で表現される理由は、線はユークリッド次元で捉ネ ると1次元であり、それが徐々に複雑な様相を示し、平面上の何れの点をも通過 する可能性を持ち、2次元に近づいていくからである。フラクタル次元が1なら ば線分になり、2ならば平面を覆っていくのである。.  海岸線のフラクタル次元は、その複雑さを平面を埋める曲線と捉えることに よって求めようとしたものであるので、フラクタル次元は1∼2となる。では、 2∼3となるのは、どういつだ例なのかを考える。図2.2で円の一部を拡大してい くと、直線に近づいていく例をあげたが、これに対応して球の表面を拡大してい くと平面に近づくことは、想像に難くない。この場合、球のフラクタル次元Dは 2となる。山の表面のかたちも、拡大していくと平面と捉えることができる。し かし、その表面は細かい起伏を持っており、拡大していっても球のように完全に. 滑らかにはならない。このことから、山の表面のかたちは2次元と3次元の中間 注32. hタ秀樹他:1988:前掲,P.67. 28.

(30) にあると考えることができる。この様に、フラクタル次元はフラクタルと捉えよ うとする対象によって、その範囲が決まるのである。. 29.

(31) 第3章 フラクタル解析の概略  本章では、旋律を定量的に評価するための旋律グラフの回視化、及び時系列フ ラクタル解析の方法について述べる。なお、旋律グラフの粗視化とフラクタル解 析に関しては、BASICによりコーディングを行い、それぞれの数値を算出した。注33.  ここで、第1章と重複することになるが、音符の定量化の方法についてもう一 度整理する。.     音長:拍子の単位となる音符の種類を“1”とする。.     音高:1型        (後続音のノートナンバー)一(先行音(対象音)のノートナンバー).        H型        (対象音のノートナンバー)一(終止音のノートナンバー). 対象音の値X:音高×音長 これらの値を用い、解析を行った。. 3.1旋律グラフの粗視化  まず、旋律がフラクタル性を持つものであるかどうかを、自己相似性の概念を. 用いて解析する。具体的には、旋律を2次元空間を埋める曲線と捉え、前項で整 理した情報からグラフを作成する。楽譜とは、横軸に音長と時間進行、縦軸に音 高を表したグラフと見ることができるため、これをそのままグラフに置き換える 考えは自然である。しかし、本小論では音長と音高の積を解析の対象としている ので、横軸たは音符の順番f、縦軸には音高と音長の積Xを取ったグラフを作成す る必要がある。以下、このグラフを「旋律グラフ」と呼ぶことにする。  以降、簡単な例を示し、それを用いながら説明を進める。 注33. 蜩㊧齦F他:1985=『BASICによる情報処理 一プログラミング入門から実用まで一』,朝倉. 書店,PP.19−67.                  30.

(32) ハノンピアノ教本より 40番. 譜第3.1.       C,L.Hanon 1. 20. 10. 30. ・8 一一・・幽…一……一…一 繹鼈齦 C幽…一一一一一一一一ど・レレ. 譜例3.1は、『ハノンピアノ教本』内の40番、「半音階」1∼9小節目の右手部分 である。.  まず、この楽譜から与えられる一高と音長の積の時系列データをX(f)(f=1、2,…. N)とする。この譜例の:場合、N=97となり、97個のデータを持った系列が与えられ. る。これは、3/4拍子であるので、単位となる4分音符を1とすると、終止音のC、. 以外の音長はO.25となる。また心高は常に半音階で変化しているので、1ずつ変 化している。これを1・H型双方の山高を用いてグラフ化したものが、図3.1であ る(p.33参照)。前半4小節は上行音読であることに対応し、1型では              X(f)=O.25×1=0.25           (f=1∼48). という値を取り続け、グラフは横軸に沿った直線を示す。後半は反対に           X(f)= (一〇.25)×1=一〇.25        (f=49∼96) となる。.  H型は、音差が終止音からの相対的な高さであるので、例えばf=1∼3におけ るX(f)はそれぞれ、.        X(1)=0.25× (C3−C,)=0.25× (48−48)=O        X(2)=O.25× (D、一C3)=0.25× (50−48)=2.        X(3)=0.25×《E、一C,)=0.25× (52−48)=4. となり、前半4小節間は増加、後半4小節間は減少を示すグラフになる。  次に、このグラフを時間粗視化したグラフを作成し、元のグラフと比較する。. 前章で、海岸線をある長さの線分で近似することを「粗視化」と述べたが、この. 31.

(33) グラフでは、粗面化の対象は線分ではなく、順序時間ということになる。具体的 には、Xの値を時間的に間引いた時系列データによってグラフが構成される。こ のグラフに用いるデータセットは、次式により与えられる。.        {X配}㈹;X伽)捌,X(解・2た),…嗣¥]・ゆ (3、)                        (駕二1,2,… ,k). ここで、たは難視化時間単位、吻は粗視化を始めたデータの番号、 []はガウス記. 号を表す。ガウス記号とは、□内の数値が小数を持った場合、その整数部分だ けを取り出すものである。例えば、[4.52]=4となる。kで粗視化するということ. は、もとのデータを綱飛ばしに取っていく、ということである。ハノン40番の場 合、作2とするならば、           {X1}(2);X(1), X(3), X(5),…ノX(95), X(97).           {X2}(2);X(2). X(4), X(6)ノ…ノX(96). というように2個の時系列セット{凡}(2)伽判,2)ができる。これは、次のような意 味である。. 譜例3.2.  1  ↓   ↓  ↓   ↓   ↓   ↓.     倉  1}  倉   1}   1}  曾.  ㌍2の場合、譜例3.2の音符上に示した黒矢印と、下に示した白矢印が指すそれ. ぞれの音符の値を並べたデータセットが2通りできるのである。これは、予め用. 意された97個のXから取り出したものであり、この音符から新たに求める値では ないことを述べておく。.  こうして得られたグラフに評価されている時系列データセットは、元のグラフ と目盛を同じにした場合、1/kのデータ数を持っている。つまり、た=1ならばも との旋律グラフと同じであり、た=2ならば1/2、k=3では1/3となる。このグラ フの示す挙動が元の旋律グラフと似通った挙動を示す時、解析対象の時系列は、 自己相似性を持っているということができる(P.34、図3.2参照)。. 32.

(34)  実作品の解析では、まずた=1∼4について旋律グラフの粗二化比較を行い、そ れ以降については、詳しい検証が必要と思われる際の手段としてこの方法を用い る。. ハノン1型 0.5.  0.25 突 ) 1哩. 肩皿 0 蕗 羽皿一〇.25. 一〇.5. 0. 20. 40       60. 80. 100. 80. 100. 順序時間(t). ハノンli型. 12. 10. 突 ). 8. {嘔 羽ロ. 6. ポ. 略 判皿. 4 2. 0. 0. 20. 40       60. 順序時間(t) 図3.1ハノン40番 旋律グラフ. 33.

(35) 0.5. 0.25. 0. ’. ◎ や. ’.  ■. ’. ’. ら. 一〇.25. ア. ■. ’. ’. 阜 脅. ’. や. 一〇.5. 一. φ 1。. ■. 20. 30. 40. 70. 60. 50. 亀‘ ●. ’. 令 ’. ◎ 吻. 1↓. ’. ’. ● ■. ◎. ρ. や ’. ◎ り. ’. ■ 脅. O.5イ・……一・一…….・....一・…・・・…一……….・....・一・・. ◎. 命 ■ ◎. @ =. 脅. o. @ イ・       ・.一・『・… 0.25. ●. ◎ 脅. @  二   ’ ◎ 命 ■. ◎.   0一. 黷p・25. 一〇.5. 0   10  20  30. 40. 50.    図3.2旋律グラフの粗視化. この場合、k=2で粗視化している。. 34. 90. 100.

(36) 3.2 時系列フラクタル解析.  次に、時系列フラクタル解析の概要を示す。本小論では、樋ロによって示され ている方法を用いる。湘  この方法について、樋口は、.   塒系列を、海岸線のように2次元空揚ζ平副を埋めるパターンと捉え、   時系列の示すパターンの複雑さをフラクタル次元で定量化することを試みる   訳である。フラクタル次元計算には、海岸線の長さγの線分の曲玉で近似し   て、全周を覆うのに必要な長さNωを計算する方法を採用する。ゴ注35. と述べている。つまり、前章で紹介した海岸線のフラクタル次元を求める方法の. 応用で、旋律のフラクタル次元を求めることができるのである。また1章でも述 べたが、旋律は一連の楽音の横の繋がりと例えることができるので、時系列デー タとして解析することは妥当であると考える。.  では、時系列フラクタル解析の一連の流れを述べる。海岸線の場合の線分の定 義をそのまま用いると、隣り合う時刻のデータ(Xl.、, X)間の線分の長さは、              砿(ム舌)=(X・・一X・)2+(ムf)2    (3.2). で表される。このとき、線分の長さと曲線の形状は、△まの値の取り方に大きく影. 響を受けることになる。すなわち、撹を大きく取れば、曲線はいくらでも滑らか になってしまう。.  このように、海岸線のフラクタル次元測定の方法を、そのまま旋律グラフの分 析に用いることはできない。海岸線は、平面の縦横がどちらも長さという尺度を 示しているため、粗視化の尺度も長さを用いればよいが、旋律グラフの場合、縦 軸は面高と音長の積、横軸には順序時間と異なった性質の量が表現されているか らである。これらの理由により、線分の長さは、痘に影響されないよう、.              ムLμf)=1()集ゴX∂1     (3.3) と定義しなければならない。これにより、時系列データの全長は、 磁樋ロ知之:1989:「時系列のフラクタル解析」 『統計数理』第37巻第2号,pp.209−216 注35. ッ上,p.210. 35.

(37) エ ロユ. ΣIXI.1−XJ L(ムf)=. 壼=1. ∠1±. (3.4). となる。ムfで割るのは、長さ窟を基準とした値にするためである。.  次に、このデータをム猷とし、たで粗壁化した時系列のセットを綱用意する。 これは、旋律グラフの粗粉化比較で用いた(3.1)によって与えられるものであ る。.  次に、構成された綱の瓦㈹の長さL。㈹を、次式により求める。.    蝋騨IX(麟X(醐)・た)1)[章】.、γた                               (3.5) ここで、.                 ムほ                 [準】・・. の項は、データが有限であるために生じる数値の差を補正するものである。ハノ ン40番を例に考えるとN=97なので、炉2の場合{X2(1)}は49個のデータを持ってい. る。しかし、{X、(2)}は48個で前記のデータセットより1個少ない。このことに よって短くなってしまうL、(た)の長さを、上項によって求められる数値を掛けるこ とにより平均化しているのである。この値は、{X2(1)}で1、{X、(2)}では1.12127と. なり、短い分を補正していることが分かる。  最後に、たで粗視化したK個の時系列の長さL.(めの平均を、.                  た                  ΣL。㈹            〈L(た)〉=    「π=1.                   た           (3.6) によって求める。〈〉:は、平均を表す記号である。.  このようにして得られた数値を、横軸にlogた、縦軸にlog〈L㈹〉を取った両対数. グラフに置いてゆき、これが直線上に並ぶならば、Xのはフラクタルである、と いうことができる。この時のたとくL㈹〉の関係は                 〈L(た)>ocた一D                        (3.7). となり、このDがフラクタル次元である。この際注意すべきことは、最小2乗法 による相関係数が高精度を持つように直線を当てはめなければならない。ここで 36.

(38) 一般に、 (κ〃)二変量間の相関係数は、次式によって与えられる。注36 属(κ一κ置)(y、う) ア=. £(x一κ 1)2重(γ、一ン)2.     ε=1 多冨1. (3.8). データ全体では、上記の値を満たさないような場合、部分データごとに1本の直 線ではなく、複数の直線を当てはめるようにすべきである。.  本小論では、相関係数が可能な限り高精度の範囲で直線を当てはめ、複数の直. 線に対して得られるフラクタル次元を「部分的スケールフラクタル次元」とし た。また、炉1∼20としたが、kの値を大きくしていくとデータの個数が少ないこ とから、〈L㈹〉は微少なXの値に大きく影響を受け、厳密なフラクタル次元Dは求 められない。この様な理由から、なるべくたの値が小さい部分について直線を当て はめるようにした。.  以上の手順によって与えられたハノン40番の対数グラフを、次ページの図3.3に. 示す。この曲が単調な変動を持ったものであることは、楽譜と旋律グラフ双方か. ら見受けられる。この場合、フラクタル次元Dは、1型・H型の双方においてほ とんど1といっても良い値を示している。つまり、フラクタル次元によって単調 な音楽であることを定量的に表現することができたのである。.  以上がフラクタル解析の概要である。次章では実作品の解析を行い、旋律にフ ラクタル性が見受けられるかどうかを検証する。. 注36. w数学事典』:1993:朝倉書店,p.248. 37.

(39) 100. ハノン1型. D=1.02.    r=0.9946. A. ( 邑10−1 」. V. 1び. 102. 100           1σ. k.  100. ハノンll型.      D躍1.05 `ミ≦1σ1. @    r=0.9996. 。 1σ. 100         10‡         10z @           k 図3.3ハノン40番 フラクタル解析. 38.

(40) 第4章 旋律の具体的評価 4.1 プレリュード. 4.1.1旋律グラフの粗視化比較.  この作品は、全体を通じて16分音符で変化を続けている。そのため、上長は全 ての音符に対し0.25という値が与えられている。つまり、算出された玉手と音高 の積Xの挙動は、音高の変化量に比例し、変化することになる。  図4.1の旋律グラフ(p.42参照)によって示されたXの挙動の複雑さから、1・. H型共におおよそ次の5区間に区切ることができる。.    ①←1∼64(1∼4小節目) ②卜65∼112(5∼7小節目)    ③仁113∼128(8小節目)   ④同29∼240(9∼15小節目)    ⑤f=241∼289(16∼19小節目). 上記のうち、①③⑤の区間は、それぞれ譜例4.1に対応している。. 譜例4.1 20. 10.   1. 30. ①                                         む                   ヨ . 120. 8 ●. ③. 250. 260.    ⑤ ● 18. 289. 280. 39. 270.

(41) つまり、分散和音の最低音から最高音までが長6度以上で進行する部分につい て、その示す挙動が大きくなっていたことが分かる。このことから、旋律グラフ の挙動は、順序時間fに対して.            ①大→②小→③大→④小→⑤大 となっていた。.  この旋律グラフを1型について時間間鰍=2∼4で粗視化したものが図4.2である (p、43参照)。、た;2,3の全てにおいて、た=1の示す挙動と酷似していた。これは、. 元のグラフの示す挙動と、粗視化グラフが示す挙動が自己相似の関係にあること を示している。.  これに対し、作4においては異なった挙動が見受けられた。まず、作4,吻=1は た=1に比べ複雑な挙動を示している。このことは、た=4,吻=1の回視化グラフの挙動. が、譜例4.2に示した音符から得られるXによるためである。 王土4.2. [. [  [. [.  [で示した部分は、工型に与えた音高が完全5度上行(G、→D,)、長6度下行 (B,→D,)を交互に繰り返すことを示している。つまり、隣り合ったXは常に大き く変動している。.  また、た=4,規=2においては、ん=1に比べ平均化された挙動を示していた。これ. は、この部分の粗視化グラフの挙動が、譜例4.3に示した音符から得られるXによ るためである。 早寒4.3. 口. [. [. [.  [で示した部分は、1型に与えた音高が常に長6度上行(D,→B、)であることを. 示している。つまり、2拍単位の分散和音から得られる隣り合ったXが、同じ値 40.

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