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日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証 : 中国における代理商制度の実態

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Academic year: 2021

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(1)日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証 ──中国における代理商制度の実態── 杉 野 仁 司. Ⅰ はじめに. ある.中国における流通小売業にとってのバイ ヤー・サプライヤー間取引は,中国独自の社会. 近代における流通小売業発展の歴史を辿って. 政策を背景とし,段階的な開放政策の下,中国. みると, 国によって政策上の差異はあるものの,. 固有の流通システムとして形成され現在に至っ. 各国固有の歴史的な社会構造を背景に独自の流. ている.しかしながら法規制,会計制度におけ. 通システムの形成がなされてきた.近年では消. る地方格差も依然として存在する中,地域間取. 費の多様化,成熟化に伴い,コンビニエンスス. 引から段階的に拡大してきた中国国内のバイ. トアやスペシャリティストア,ディスカウント. ヤー・サプライヤー間取引については,未だそ. ストア等新たな小売業態の発達が進み,流通小. の実態が明らかにされていない.また中国の流. 売システムも多機能化, 高度化が進展している.. 通小売業に関する研究については,外資系大規. 我が国の近代流通小売業は,バイヤーである小. 模小売業の参入形態や発展経緯等の視点から捉. 売業とサプライヤーである卸売業との関係が早. えたものに多くの研究事例を見ることができる. い段階から発達し,中間業者である卸売業は,. が,流通システムとしてバイヤー・サプライ. 生産者と消費を結ぶ主要な媒体として,生産者. ヤー間取引を検証したものはあまり例を見な. にとっての販路拡大,小売業者による商品調達. い.本稿ではこれらの点をふまえ,中国の流通. を担うべく双方の発展に大いなる貢献を果たし. 小売業におけるバイヤー・サプライヤー間取引. てきた. 最近では情報システムの高度化に伴い,. を流通システムの観点から解明することを目的. 流通経路の短縮化,効率化を目指した大規模小. とする.尚本稿では,バイヤー・サプライヤー. 売業とメーカーとの直接取引や垂直統合等の動. 間取引を全体流通システムからの視点と,小売. きが進み,卸売機能それ自体の存在意義に議論. 企業による商品調達取引としての視点から捉え. が及ぶこともあるが,現在も尚,我が国の商流. ていることから,敢えて「流通小売」という表. 取引の根幹を成している点に大きな変わりはな. 現を用いて展開を進めていく.. い. 中国 の 流通小売業界 は,2001 年 の WTO へ の加盟を契機に急速な規制緩和が進み,近年世. Ⅱ バイヤー・サプライヤー間取引に関する先 行研究. 界の市場へとめざましい発展を遂げている.堅. バイヤー・サプライヤー間取引に関しては,. 調な経済成長に伴う地方都市の活性化と富裕層. 以前より多くの研究者によって様々な観点から. の拡大は,各都市における消費購買力向上の源. の研究が進められてきた.取引費用理論からの. 泉となり,最近では海外からの大規模小売資本. アプローチでは Coase(1937)によって内部化. の参入 に よ り 企業間競争も益々激化の傾向に. 市場における取引費用モデルが提唱され,その.

(2) 82. (252). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 後,Williamson(1975)は,取引における情報. 製品,サービスの創出に向けた長期的な適応性,. の偏在,不確実性,機会主義的行動の克服を内. という 4 つの項目を満たす必要があると論じて. 部組織の有効性に求めた.また Kought(1988). いる.. は,パート ナー企業 に よ る 機会主義的行動 が. 他方関係性マーケティングの観点からは,バ. 取引コストを発生させる要因であるとし,さ. イヤー・サプライヤー組織間における長期取引. ら に Dyer and Singh(1998)も,機会主義的. に基づいた信頼関係や協力関係の構築が事業価. 行動の抑制については,緊密なパートナー関係. 値を高めるという基本的な論点の下,Dwyer. を構築することの有効性を述べている.また. and Oh( 1987)は,Macneil の 関 係 契 約 理 論. Wuyts & Geykens(2005)は,新 た な 売買取. に基づき,バイヤー・サプライヤー間取引を「離. 引を行う際に企業が「詳細な契約の策定」また. 散的取引」と「継続的取引」に分類し,その構. は「緊密な関係にある企業」のどちらを選択す. 造的特性を明らかにした上,新たな取引関係. ることが機会主義的行動の抑制に有効かという. のフレーム構築を試みている.Heide and John. 点に関する実証研究を行い,企業にとって緊密. (1990)は,企業間に存在する特殊資産は,垂. なパートナーを選択することは,事業における. 直的管理の下では良好な関係構築にあまり有用. 柔軟性が増し, 不確実性を軽減できる反面, 却っ. な効果がない点を実証研究によって説明した.. てその緊密性がパートナーによる新たな不確実. また多くのサプライヤーにとっては,仕入れ価. 性や取引費用を引き起こすこととなると述べて. 格の低減化に向けた長期的視野に基づく企業間. いる. また市場の不確実性が高い状況の中では,. の協力関係を構築することによって,1 社では. 内部サプライヤーを選択したほうがコスト減に. 実現不可能な特殊な価値を創造すると共にその. つながり,事業に対する貢献度が高いとの研究. 事業価値を最大化し,それを両社で配分するこ. もある(Hoetker 2005) .. とで友好な協力関係が保たれているという主張. 戦略論 か ら の 観点 で は,Porter(1985)が,. もある(Corsten & Kumar 2005).さらには流. 企業戦略活動 に お け る 競争優位 の 分析手法 と. 通と生産・製造との機能的な一体化が進むと流. して企業価値連鎖にその有用性を求めている.. 通業者とメーカーは,その情報力の飛躍的拡大. Porter は,価値連鎖 に 影響 す る 競争分野 に お. を背景としつつ,安定的な販路確定のため長期. いて,①セグメントの範囲,②統合の範囲,③. 的関係を構築し,そこから統合メリットを得よ. 地理的範囲,④業界の範囲,という 4 つの次元. うとするとの主張もある(石原・石井 1996).. の幅が競争優位に強い影響を与えるとし,流通. 一般的にこれらバイヤー・サプライヤー関係に. チャネルにおけるバイヤー企業及びサプライ. 関する研究については,長期取引に基づいた信. ヤー企業 の 価値連鎖 の 適合度 が 競争優位確保. 頼関係や内部市場の構築が市場の不確実性と取. の決め手となる点を主張した.また Harrigan. 引コストを削減し,事業価値への増大につなが. (1988)は,競争的地位を確保するためには内. るという理論展開であり,また様々な実証検証. 部化市場よりも,対外的な合弁やアライアンス. が試みられているものの,その多くは製造業を. 等によってその優位性を高めるべきであると説. 中心としたものである.それはサービス業自体. いており,ここに取引費用理論が唱える内部市. その事業構造上,製造業のように自ら製品を製. 場の形成とは相反する理論展開を行っている.. 造することがなく,技術・特許等の関連特殊資. さらに Anderson(1997)は,戦略的なチャネ. 産を基本的に有していないこと.また生産過程. ルデザインプロセスにおいては,顧客価値の最. における技術補完的な関係取引となるケースも. 大化に対し,①顧客の要求に対する効果,②要. あまりないことから取引費用論における,機会. 求に対する適用範囲,③費用対効果,④新たな. 主義的行動の抑制や,取引費用の削減等を目的.

(3) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (253). 83. とした内部市場形成の必要性も製造業等に比し. は,消費地卸が存在しうる基本的な論拠は,消. て少ない点にその要因を見ることができる.. 費地卸が所有する特定地域の消費者情報にある. Ⅲ 日本におけるバイヤー・サプライヤー関係. とし,製造地よりも消費者に関する多くの情報 を有する消費地がその情報を利益に転換するた. 1.国内における流通取引の特徴. めに,「製造卸(産地卸)」との間に介在し,そ. 日本の小売業は,卸売業である問屋を中間流. の結果として「多段階性」が見られるとしてい. 通の担い手とし,我国固有の保護政策と産地間. る.但し近年では,流通経路における効率性を. 取引における独特の流通構造を形成しながら発. 向上し,直接的な市場動向の取得と生産との連. 展を遂げてきた.中でも①多段階性と② 返品. 動性を高めるために,大手卸売業者が主導する. 制は,日本における代表的な特性であり,以前. 形で広域的なネットワークの形成や機能強化へ. より欧米諸国からも “日本の商慣行問題が,日. の取組みを開始している事例もある(原田・渡. 本市場へのアクセスと自由な価格形成を阻害す. 辺 2006).しかしながら日本の小売流通システ. る” との指摘を受けている.これらの点に対し. ムにおける,卸売業を中間媒体とする段階的な. ては通産省(当時)の公正取引委員会によるガ. 取引構造は,未だ国内における商流システムの. イドラインの策定等の対策が採られたものの,. 根幹を成している.. 現在も我国の流通システムの特性として根強く. 2)返品制度. 残っている状況にある.. バイヤーである小売業とサプライヤーである. 1)多段階性. 卸売業もしくはメーカーとの間では,業界毎に. 古くから日本には一次,二次,三次流通の担. 様々な商慣習の存在があり,1987 年から実施さ. い手としての卸売業の存在があった.例えば衣. れ て い る 通産省(当時)中小企業庁取引流通課. 料品等は繊維産地から直接卸売業を通じ,小売. の調査においても,商慣習の問題として,以下. 業者へ商品が納品されるのが一般的であり,そ. の項目が挙げられている.. の流れは現在も基本的に大きな変化はない.田. ・返品に関わる項目. 村(1986)は多段階性について,日本の経済発. ・多頻度小口配送に関わる項目. 展度の低さからくるものとし,①零細企業と大. ・協賛金等の負担要請に関わる項目. 企業という構図の中で多くの零細企業とその生. ・情報化に関わる項目. 産分業体制が商品を市場に流通させるまでに多. ・取引関係の明確化に関わる項目. くの産業卸が発生する結果となったこと②以前. ・低価格化要請に関わる項目. からの商習慣の一環として殆どの生産者は商品. ・臨時的な人員要請に関わる項目. の流通を中間卸業に委ね自ら流通活動を行わな. 中でも各業態に共通し,日本的商慣習として. い等の点を多段階性発生の要因として述べてい. 旧来から存在する代表的なものに,返品制度が. る.この点に関する国内の代表的な事例として. ある.これは我が国では以前より半ば一般的に. 三輪・西村(1991) ,三村(1992)が 繊維業界. 行われてきた商慣習のひとつであり,その問題. を挙げている.三村(1992)は,繊維産地型の. 点に関しては,1989 年以降における日米構造. 生産分野における流通体型を卸売り(サプライ. 協議でも重要な検討項目として取り上げられて. ヤー)主導流通の典型例とした上,生産者の小. いる(三輪 1991).一般的に在庫リスクについ. 規模性と多段階の工程分業,及び生産地と消費. ては,再販売等を通じ消化していくことも可能. 地間との地理的分離による産地卸,集散地卸,. であるが,販売期間を過ぎた在庫を保有するこ. 消費地卸,といった卸売業の多段階分業構造を. とは,在庫管理・保有コスト,現金化できない. その要因としている.また三輪・西村(1991). 為のキャッシュフローへの圧迫,新規商品が投.

(4) 84. 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). (254).  ৻⥸໡ຠ ෈ᄁᬺ⠪ ࠨࡊ࡜ࠗࡗ࡯. ⵾ㅧᬺ⠪. ዊᄁᬺ⠪ ࡃࠗࡗ࡯.  ਥߦࠕࡄ࡟࡞࡮⴩ᢱຠ㑐ㅪ໡ຠ ⵾ㅧㇱ㐷. ෈ᄁㇱ㐷. ዊᄁᬺ⠪ ࡃࠗࡗ࡯. ࠨࡊ࡜ࠗࡗ࡯.  ࡔ࡯ࠞ࡯⋥ធ઀౉ࠇ ዊᄁᬺ⠪ ࡃࠗࡗ࡯. ⵾ㅧᬺ⠪ ࠨࡊ࡜ࠗࡗ࡯ 図1 百貨店における主要商品取引の流れ. 入できないことによる商品陳腐化等,収益及び. いう調査結果もある(通商産業省中小企業庁取. 商品展開面からも小売業にとってのリスクは大. 引流通課 1999).しかし返品制度そのものは,. きい.また同様にサプライヤー側にとってもこ. 現在 も 我 が 国独自 の 商慣習 と し て 化粧品,雑. れらの返品リスクを予め収益計画の中に読み込. 誌・書籍,アパレル衣料,日用雑貨,スポーツ. む必要があることから返品に伴う作業コストや. 用品等多岐に渡り存在しているのである.. 在庫コストは,通常無駄なコストとして認識さ れている.但し返品制度に対する問題点を述べ. 2.大規模小売業におけるバイヤー・サプライ. る以前に,先ずは消費者利益をも考慮した各業. ヤー間取引━百貨店の取引事例から━. 界における返品自体についての経済的合理性に. 日本の流通小売業の近代化は 1960 年代から. ついても検討を加える必要があるとの指摘もあ. 70 年代にかけて行われた貿易・資本の自由化. る.この議論に関して三輪(1991) は,返品の. の段階と,主に 1990 年以降に行われた大店法. 発生原因及び返品メカニズムに対する理解が適. の見直し等を含めた規制緩和の二つの段階を経. 切になされるのであれば,返品を規制し,禁止. て大きく進展してきた(謝 2000).本節では国. することが社会的に妥当であるとする反面,実. 内におけるバイヤー ・ サプライヤー間取引の代. 際には返品に関する国内の政策論議がこの点に. 表的な事例として百貨店取引を参考に主要取引. 十分な関心を払っていない点を挙げている.ま. 形態の実態を検証する.国内百貨店における一. た① 返品行為に関わる無駄なコストへの意識. 般的な取引の流れは,主に図1のように表され. が 小売業,卸売業相互 で は た ら い た こ と,②. る.. 小売業における情報の進展により在庫管理制度. 1)買取仕入(完全買取). が高まったこと,等を理由に最近では返品を商. 一般的にサプライヤーからの商品について. 慣行として問題視する傾向は弱まりつつあると. 100% 買取 る こ と を 前提 と し た 仕入形態 で あ.

(5) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (255). 85. り,毀損商品以外の返品・交換は原則認められ. て解消されることとなる.バイヤー企業にとっ. ない.欧米では一般的な取引であるが,国内大. ては返品した時点で当該未消化在庫はサプライ. 手小売業の場合,一部プライベートブランドを. ヤー企業に対する売掛金または買掛金の相殺と. 除き,その構成比率はまだまだ低い.これは早. して計上され,最終的にサプライヤー企業に対. まる商品サイクルと消費者志向の変化に伴う少. する商品仕入代金としては,「当初の仕入代金」. 量多品種の高まりにより,小売企業としての在. -「返品代金」が最終仕入価格として計上され. 庫負担リスクが著しく増すためであり,また企. る仕組みになっている.但し一旦「仕入」とい. 画から製品,販売に至るまでの一連の流れが確. う手続きを経ることから小売業者からサプライ. 立されていないことが大きな要因である.買取. ヤー企業に対する商品上の制約等が為される場. 仕入は,小売業にとっての在庫リスクは増すも. 合が多く,仕入商品に対する商品選定等のイニ. のの,仕入れコストの軽減によって高マージン. シアチブはバイヤー企業である小売業者にある. の獲得が可能であり,適切な販売高確保と商品. のが一般的である.前述の多段階性や返品制度. 在庫の消化がある程度見込めるのであれば収益. は,買取委託取引に多く見られる特性である.. 向上に果たす役割は大きい.また本稿で述べる. 3)委託仕入(消化仕入). バイヤー・サプライヤー間取引には直接該当し. 委託仕入制度とは,小売業者が小売業者の店. ないものの,在庫を有するという点においてみ. 舗の一部をサプライヤー企業に提供することに. ると,ファーストリテイリングのように製造販. よってサプライヤー企業自らが提供されたス. 売一体型の企業は,製造から販売までの垂直統. ペースを利用して販売を行い,小売企業がサプ. 合による独自の流通チャネルを確立しており,. ライヤー企業から売上高に対し予め契約に則り. 最終的に高い収益率を確保できている事例もあ. 確認したマージンを受け取る形態である.小売. る.またバイヤー・サプライヤー間取引では製. 業者にとって在庫の負担は一切なく,また基本. 販統合システム等により中間物流を除いた直接. 的に商品企画やマーチャンダイジング施策,物. 取引の形態も進展している.但し完全買取に関. 流手配,販売員手配等もサプライヤー側で行わ. しては, 「在庫リスク」に見合うだけの製品消. れるため小売業者としての負担は上記 2 つの取. 化と仕入マージンの確保が大前提となる.. 引に比べて極端に少ないのが特徴である.サプ. 2)買取委託. ライヤー企業にとってはその場所で果たして売. これは上記仕入形態に加え,返品を前提とし. 上げが確保できるかというリスクは伴うもの. た取引であり,以前より百貨店等の大規模小売. の,現在では都心の高効率店と地方の低効率店. 企業では常態化している取引である.バイヤー. 等のデータ分析がなされ,一定の小売店情報が. である小売業者は予め予定していた商品量をサ. サプライヤー企業に把握されている場合も多. プライヤーに対し発注し,商品を納品する.商. い.またサプライヤー企業にとっては仕入れと. 品は納品した段階でバイヤーの在庫として計上. いう決済手続きを経ることなしに商品を低効率. され,サプライヤーに対する買掛金が確定す. 店から高効率店へ速やかに移動できるというメ. る.但しその後の販売期間を経て当初の商品消. リットもあり,サプライヤー側の商品消化の向. 化がなされず未消化在庫が生じた場合に(これ. 上にも効果がある.但しバイヤー側にとって商. が一般的であるが)小売業者は未消化在庫をサ. 品のイニシアチブを取れる可能性は低く,結果. プライヤーに対し返品することとなる.サプラ. として消費者から見た場合の小売側企業の同列. イヤーは予め返品部分を生産過剰ロスとしてあ. 化が生じることとなり,商品政策面での競合他. る程度読み込む必要があり,そのロス相当部分. 社との差別化は極めて図り難い結果となってし. は結果小売価格への転嫁がなされることによっ. まう.また衣料品等に関して言えば,サプライ.

(6) 86. (256). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). ヤー企業側 に とって は,一部欧米 ブ ラ ン ド 等. の加盟以前と加盟後で見ると,流通小売外資に. の 例外 は あ る も の の 店舗施工費用,販売員費. 対する大きな政策の変化が見て取れる.中国に. 用,販促費用等の供出が小売店舗への出店条件. おける近代流通政策は,1978 年 12 月に行われ. となっているところが多く,イニシャルコスト. た中国共産党代 11 期における経済改革・対外. の負担が当初収益を圧迫する.但し一定の制約. 開放政策にその端を発し,これ以降市場経済へ. 条件を満たせば,企業独自のブランド戦略を都. の移行が中央政府により進められてきた.その. 心の小売店舗を通じて拡大することも可能とな. 後経済特区の設置,外資法の制定,部分的外資. る.. 導入の開始等,段階的開放政策が採られてきた. 以上国内百貨店の事例を参照にバイヤー・サ. が,流通小売開放政策としては 1992 年に公表. プライヤー間取引の実態を検証した.Macneil. された「第三次産業の発展を加速することに関. (1978)による関係的契約理論(Relational Contract. する決定」によってサービス産業発展の奨励・. Laws)からバイヤー ・ サプライヤー間取引を述べ. 外資導入等の開放政策が打ち出されることとな. た場合,一般的には主に 1 回限りの取引である. る.そ の 主 な 内容 と し て は,北京,上海,天. 「離散的取引(Discrete Transaction) 」と 反復. 津,広州,大連,青島の 6 つの沿岸解放都市及. 的な取引である「関係的取引または反復的取引. び深圳,珠海,汕頭,廈門,海南の 5 つの経済. (Relational Transaction) 」と い う 二 つ の 取引. 特区において合弁または合作小売業の設立を許. 概念に大別されている.しかし国内百貨店を含. 可(但し 100% 外資出資の小売企業の設立の認. む大規模小売業に関して言うと,ひとつのサプ. 可は認められない)するというものであり,こ. ライヤーとの取引関係が数十年にわたることに. れによって限定的ではあるが,外資による中国. より,結果として当該取引が「関係的取引」と. 流通業への進出が認められることになった.但. 見做される場合はあるものの,取引システムそ. し外資規制や輸出入業務,卸売業務等に関する. のものは,基本的には双方の条件さえ整えば取. 本格的な開放には未だ限定的であり,全体を通. 引が成立するというオープンな取引が大前提と. じ中国政府の慎重な姿勢は変わっていない.ま. なっている.中には一部プライベートブランド. た 1992 年の中央政府による国務院規定の認可. やライセンス商品に関して一特定サプライヤー. 条件は,極めて厳しく,且つ手続きが煩雑であっ. との独占的な長期取引も存在するが,ナショナ. たことから,実際には地方政府が独自に外資系. ルブランドを扱う場合の取引に関しては,オー. 小売企業を認可する動きが各地で見られること. プン且ついつでも代替可能な取引がその前提を. となる.事実日系 、 欧米系の大規模外資系企業. 成している.さらには契約に関しても,基本. の多くは地方認可で営業が行われており,中央. 的には半年若しくは 1 年毎の更新であることか. 政府と地方政府間での制度的差異が存在する状. ら,国内大規模小売業におけるバイヤー ・ サプ. 況 に あった.中国小売市場 の 対外開放政策 は,. ライヤー間取引に関しては,これらの取引全体. 中国小売企業の生存と発展に対する厳しい挑戦. を 敢 え て「離散的取引」 「反復的取引」と 区別. であり,大規模外資との国際競争の中,いかに. して整理する必要性はないと思われる点をここ. 競争力を高めるのかは,中国小売企業が直面し. に付け加えておく.. ていく厳しい課題となる(松江 2006).但し段. Ⅳ 中国におけるバイヤー・サプライヤー関係. 階的な規制緩和の結果生じたこれら外資系企業 の参入は,近代的な経営管理手法導入のきっか. 1.中国における流通小売業の近代化過程. けとなり,そのこと自体中国企業にとって脅威. 1)WTO 加盟以前の流通小売業界. となる反面,近代化への大きな誘引ともなった. 中国 に お け る 流通近代化 の 流 れ を WTO へ. のである..

(7) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (257). 87. 2)WTO 加盟以降の流通小売業界. という 「卸売業」 と「販売業」という二つの役. 中国の流通小売業が経済発展に伴い市場拡大. 割を有するものである.百貨店をはじめとする. に向かう中,従来より日米欧の間では,流通. 中国 の 大規模小売業者 は,一般的 に サ プ ラ イ. 分野での市場開放の閉鎖性が問題視されてき. ヤーである代理商からの商品供給と販売活動と. た.これは中国という巨大マーケットの潜在力. によって日々の店舗運営を行っており,日系含. の大きさに世界が本格的に注目し始めたという. めた中国の百貨店取引の大部分はこの代理商を. ことの表れであり,また早い段階での市場参入. 通じた取引によって構成されているものと思わ. への期待であった.これに伴いアメリカを中心. れる.残りの取引は,メーカー企業との直接取. に中国に対し,非関税障壁の削減・撤廃,外資. 引か欧米ライセンス商品の契約に基づく買取仕. 参入規制の緩和等に関するモノ・サービス分野. 入であるが,全体に占める構成比率としては代. の開放措置が強く求められ,その結果,中国は. 理商経由での取引が圧倒的比率を占めている.. 2001 年 11 月に正式に WTO に加盟することが. 2)小売企業(バイヤー)と代理商(サプライ. 承認された.これにより関税率の引下げや外資. ヤー)間における取引━小売業視点━. 開放政策が行われ,中国市場における外国企業. 中国における大規模小売業との取引形態につ. の存在感は大きく増すこととなる.また加盟後. いて,例えば百貨店取引を例にとると,原則「買. 3 年を経た 2004 年に至ってはフランチャイズ. 取委託」方式を除き,その多くは代理商を経由. 経営の認可,小売企業の出店数,出店地域,出. した「委託仕入」の形態による取引である.代. 資比率等の制限が全て撤廃され,外資 100% の. 理商を通じた取引では,原則小売側に在庫リス. 小売業の設立が認められることとなった.こ. クはなく,サプライヤー企業である代理商は,. のことを受け日系大規模商業資本やウォルマー. 小売業者のスペースの一部を使用し,そこで代. ト,カルフール等は,沿岸部のみならず内陸部. 理商が扱う商品を自ら販売する.一般に百貨店. への出店を加速している.また最近では中国資. 等の小売業者と代理業者との取引が成立するた. 本間でのM&Aや業務提携も活発化の傾向にあ. めの諸条件としては,以下のような項目があ. るなど,中国における流通小売市場は,国内経. る.. 済の高成長と富裕層の拡大に伴い,中央から地. ①年間売上高の設定(最低売上保証金額の設定). 方都市まで今後その成長拡大の影響が急速に波. ②値入率(小売側マージン)の設定. 及しつつある.. ③販売場所及び面積の確認 ④管理費用の確認(共益費,従業員管理費他). 2.中国における代理商取引. ⑤その他費用(販促タイアップ他). 1)代理商の概要. ⑥販売員の人数と一定販売レベルの確保. 現在中国の流通小売システムにおける商品の. また販売スペースのための店舗内内装費及び. 仕入取引の基本は,各国同様,商品供給側であ. 販売員人件費も代理商側の負担となり,代理商. るサプライヤー企業と小売業であるバイヤー企. は在庫負担に加え,決められたマージンの中で. 業との関係が前提となって成立している.但し. 販売員人件費をはじめとするオペレーション費. 中国では特徴的な取引形態として以前より「代. 用を担うこととなる.一般的な商品における原. 理商制度」 という独自の取引制度の存在がある.. 価構造は以下のように表され,ブランド力が. これは中間物流の担い手であるサプライヤーと. 強いと卸値も高く,代理商及び小売業側のマー. して,契約に基づき本国ブランドまたは総代理. ジンが低くなる.小売業マージンもブランド力. 商の商品を仕入れる傍ら,仕入れた商品を小売. や代理商との力関係,または取扱商品によって. 業者の店舗内スペースを使用し自ら販売を行う. 様々であるが,通常小売業のマージン率は,販.

(8) 88. (258). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). ዊᄁଔᩰ. ዊᄁଔᩰ. ዊᄁᬺ㩙㨺㩆㩨㩧‫ޓ‬. ዊᄁᬺ㩙㨺㩆㩨㩧‫ޓ‬ ઍℂ໡㩙㨺㩆㩨㩧‫ޓ‬. ઍℂ໡㩙㨺㩆㩨㩧‫ޓ‬ ઀౉ේଔ‫ޓ‬. ࡮⽼ᄁຬੱઙ⾌ ࡮౒⋉⾌ ࡮ᓥᬺຬ▤ℂ⾌ ࡮㈩ㅍ⾌ ࡮੐ോᚲ⚻⾌ઁ. ઀౉ේଔ‫ޓ‬. ࡉ࡜ࡦ࠼ജ㧦ᒙ. ࡉ࡜ࡦ࠼ജ㧦ᒝ. ࿑䋲䇭䇭ዊᄁଔᩰ䉕㪈㪇㪇䈫䈚䈢႐ว䈱໡ຠේଔ᭴ㅧ䈱৻଀ 図 2 小売価格を 100 とした場合の商品原価構造の一例. 売価格の 15% から 30% の範囲内で設定されて. を拡販する立場の現地代理商がメーカーや総代. いる場合が多い.. 理に対して強い立場にあるのに対し,世界的な. 3)代理商間における取引━卸売業視点━. 知名度のある有名スポーツブランドなどでは,. 代理商制度の一番の特徴は,末端代理商が全. ブランド力が強いことから現地代理商に対する. ての在庫リスクと販売責任を負担する点である.. 立場も強い.これら有力ブランドの総代理に対. したがって末端代理商はメーカーやエリア総代. しては,当該ブランドを扱いたいという現地代. 理等にとっての商品の納入先であるとともにク. 理商からのオファーも多く,総代理商は現地代. ライアントとなる.その仕入要件としては,原. 理商に対して好条件を提示でき,その結果地方. 則完全買取条件の下,年間仕入額を決定し,末. によっては同一ブランドを扱う現地代理商が複. 端代理商側マージンの決定を行う.マージンは. 数存在する場合も生じている.一例を挙げると. 年間仕入額によって定められ,仕入額による差. スポーツメーカーのナイキは天津市に 3 つの現. は業種及びブランド等によっても異なるが,同. 地代理商を有しているが,ブランド自体が世界. ブランドの場合における代理商のマージン格差. 的な知名度を誇っており,また一定額の売上げ. は,概ね 3% 程度の範囲である.代理商が扱う. も見込めることから総代理の立場が極めて強い.. 商品は,原則総代理またはメーカーからの「完. 現地代理商は,総代理から商品を購入する金額. 全買取」である為,商品消化率が代理商の収益. によってランクが異なり,それは納入条件の差. に及ぼす影響は極めて大きく,末端代理商には. となって如実に表される.Aランクになると特. 代金回収までのキャッシュフローに耐えられる. 定商品の扱いが許可される等の優遇措置もある. だけの規模と財務内容が求められる.また各代. ことから現地代理商は購入ロットの拡大に余念. 理商間の関係もそのブランドの知名度,販売力. がなく,好条件を仕入元であるメーカーや総代. 等によって取引条件も大きく異なる.例えば知. 理から引き出そうとする.このように総代理商. 名度の低いブランドの場合には,そのブランド. と現地代理商間の力関係は,企業及びブランド.

(9) 本国 ブランド. ③. 上海 or 北京. 小売企業. 現地 代理商. エリア 総代理. 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (259). 89. 図5 代理商取引関係図 バイヤー・サプライヤー間取引 -小売業視点-. バイヤー・サプライヤー間取引 -卸売業視点-. 中国本社 or 総代理 上海 or 北京. 商品購入. ・商品展開 ・販売 ・マージン支払. 商品購入 現地 代理商①. エリア 総代理 商品代金支払. 商品代金支払. 商品購入. 現地 小売企業. 販売代金回 販売代金回収 現地 代理商②. 本稿における視点. 図 3 代理商取引関係図. 図6 商品原価構造. の力関係に負う部分が極めて大きいものとなり,. 流れを,その管理形態毎に検証する.. さらにブランドによっては,地元代理商がエリ. 1)欧米ブランド商品の場合━主に化粧品,高. ア代理商よりも規模が大きい場合や,食料品の. 級衣料・雑貨━. 専門商社が衣料品の代理商である場合もある.. 先ず化粧品や衣料品等の高級ブランドに代表さ. 要はマーケティング的観点からブランド戦略と. れ る 欧米 ブ ラ ン ド(日本含 む)の 場合 で あ る. いう概念でビジネスを捉えるのではなく,そこ. が,ヨーロッパやアメリカ本国から指示の下,. に売れる商材があれば,誰でもその商材の代理. その殆どが香港,シンガポール,上海,北京の. 商となり得るというのが中国の代理商制度にお. 4 都市を東南アジア統括拠点として定めている.. ける特徴である.以上のことを踏まえ中国にお. ①アジア HQ による直接取引. ける代理商取引について図 3 に参照する.. これは化粧品等の例に見られるが,上海,又 は北京をアジア・中国統括として定め,そこが. 3.中国における取引システム. 中国全域を直接コントロールしているパターン. 本節では中国の代理商を経由した一般的な取. である.本国のHQが直接管理することにより,. 引の流れについて考察する. 中国の商流形態は,. ブランドコントロールが本国からの指示の下な. 実に多種多様であり一概にその形態を述べるこ. されており,エリア戦略,ブランド戦略,販売. とは困難なことであるが,概ねサプライヤー側. 戦略等がしっかり確立されている.. によるブランドまたは取り扱い商品の管理形態. ②香港又はシンガポールHQを経て中国総代理. によって,ある一定の流通小売システムの流れ. または中国支社を経由した取引. が確立されている.本節では化粧品や衣料品等. 中国以外の都市にアジア HQ を構えるブラン. における中国国内の主要な流通小売システムの. ドについては,主に上海又は北京に中国総代理.

(10) 90. 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). (260). ᧄ࿖ ࡉ࡜ࡦ࠼. ԙ Ԛ. ࠪࡦࠟࡐ࡯࡞ 㚅᷼ ‫ࠕࠫࠕޣ‬㧴㧽‫ޤ‬. ໡ຠߩᵹࠇ. Ԙ. ਄ᶏ ർ੩. ਄ᶏ ർ੩ 䇼. ⃻࿾ ዊᄁડᬺ. ⃻࿾ ઍℂ໡. ਛ࿖✚ઍℂ 䇽 QTਛ࿖ᡰ␠. 図 4 欧米ブランドを主体とした取引関係図. 又は支社を置き,そこを通じて各店舗への商品. ②エリア総代理を経由した取引. 供給を行う.これも上記①同様に本国ブランド. 中国はそのエリアが広大になることから,企. からの直接的な管理を前提としていることか. 業によってはその管理エリアを分け,そこに更. ら,エリア戦略,ブランド戦略が確定している. にエリア総代理を置くというパターンがある.. サプライヤーが多い.. 中国では一般的に華北,華中,華東,華南,及. ③現地代理商を経由した取引. び西南とったエリア分類パターン等もあるが,. 上海,又は北京のアジア HQ 又は中国総代理. 企業によっては沿岸部を中心にしているところ. が直接管理の及ばない地域に対し,現地の代理. もあれば,特定エリアへの集中戦略をとってい. 商と呼ばれるサプライヤー企業を通じて現地小. る企業もあり,その管理エリアは,企業やブラ. 売企業への商品流通を行うものである.現地代. ンドの独自戦略によって様々である.. 理商は中国総代理と代理商契約を行い,本国を. ③現地代理商を経由した取引. 通じた仕入条件の下,仕入れた商品を小売業者. 上海,又は北京の本社や中国総代理,あるい. に納入,販売することとなる.. はエリア総代理の意向によって,更に各出店都. 2)一般商品 の 場合━衣料品,雑貨,ス ポーツ. 市に現地代理商を設けそこを経由して小売業者. 他━. との取引を行う形態である.このような代理商. 衣料品 を は じ めとする一般商品の流通形態. 経由の商品取引は,在中国百貨店の場合,おも. は,上海または北京の中国総代理が流通管理の. ちゃや子供用品,スポーツ用品等に多く見られ. 中枢となり,そこが中国国内全体の流通政策を. るが,衣料品や雑貨等他の業界にも見られる一. 担っている.日本や欧米のブランドもあること. 般的な取引形態である.地域によってはエリア. から図 5 には流通経路のスタートとして本国ブ. 総代理を通じ同じブランドを扱う現地代理商が. ランドを記載したが,中国発のブランドも多数. 複数社存在する場合もあるが,上海の総代理と. 存在する.. エリア総代理,地元総代理間において資本関係. ①中国本社若しくは総代理による取引. やアライアンス,系列化等による特定の関係構. 欧米ブランドと同様,中国における総代理. 築の必要はない.また代理商になるための制約. または本社が国全域を直接コントロールして. も特になく,エリア総代理や地元代理商企業の. いる.但しその管理エリアは企業,ブランドに. 規模や業種も様々である.日本のアパレル企業. よって多種多様である.. のような同じブランドや系列を基本としたブラ.

(11) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). ਛ࿖ᧄ␠ QT✚ઍℂ ᧄ࿖ ࡉ࡜ࡦ࠼. ਄ᶏ QT ർ੩. Ԙ. (261). 91. ໡ຠߩᵹࠇ. ԙ Ԛ. ⃻࿾ ዊᄁડᬺ. ⃻࿾ ઍℂ໡. ࠛ࡝ࠕ ✚ઍℂ. 図 5 一般または中国ブランドを主体とした取引関係図. 䋭ขᒁෳ⠨଀䋭 䌁Ꮢ䈮䈍䈔䉎ห৻䊑䊤䊮䊄 䈱ઍℂ໡೎ขᒁవዊᄁᬺ 㽲䃂㬍໡੐䋺࿾ర⊖⽻ᐫ 㽳䂦䂓⾏ᤃ䋺ᣣ♽⊖⽻ᐫ 㽴䃨䃩‛↥䋺࿾ర㪞㪤㪪. ٨㧦⃻࿾ઍℂ໡ 㪓ઍℂ໡ᄾ⚂㪕. ‫ڎ‬㧦ࠛ࡝ࠕ✚ઍℂ. ‫ޓޓ‬㧦ਛ࿖✚ઍℂ. 図 6 一般的な代理商関係図. ンド管理とは異なり,他の企業グループのブラ. 気店であり,そこが実際にはいくつかのブラン. ンドを扱う場合もしばし見受けられる.従って. ドを取扱いながら現地代理商ビジネスを行って. 代理商間契約に基づくのであれば,衣料品とは. いる.. 全く関係のない企業が衣料品ブランドの代理商. 以上のように中国における代理商制度は,独. となることも可能である.例えばイタリアを本. 自の流通小売システムを有しながら個々の取引. 国拠点に持つ家庭用品の北京総代理の本業は電. を形成している.代理商が中間業者となり生産.

(12) 92. 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). (262). 表1 大規模小売業におけるバイヤー(小売業)・サプライヤー(卸売業・代理商)間取引条件比較 日 本. 中 国. 完全買取. 買取委託. 委託仕入. 完全買取. 代理商経由. 店舗施工費. バイヤー. 交渉. サプライヤー. バイヤー. サプライヤー あり(交渉可能). 最低売上保障. なし. 原則なし. 交渉. なし. 小売業マージン率. 高. 中. 中. 高. 低. 販売責任. バイヤー. 交渉. サプライヤー. バイヤー. サプライヤー. 在庫責任. バイヤー. サプライヤー. サプライヤー. バイヤー. サプライヤー. 価格管理. 主にバイヤー. サプライヤー. サプライヤー. 主にバイヤー. サプライヤー. ブランド管理. バイヤー・サプライヤー. サプライヤー. サプライヤー. バイヤー・サプライヤー. サプライヤー. * 本表においては,バイヤー=小売業,サプライヤー=卸売業又は代理商 と定義する * 中国における大規模小売業取引においては,「買取委託」という形態は殆どないことから中国の事例においては参照していない * 上記内容は一般的な事例であり,全ての取引において適用されるものではない * 中国における小売業マージン率は,日本の委託仕入に比して一般的に「低い」という概念. 地と小売業とをつなぐという構造は,先に述べ. 準でマネジメントすること自体容易ではない.. た日本の流通小売システムにおける多段階性と. このことから総代理と遠く離れた地域における. 基本的に同じであり,これら代理商を媒体とす. 現地代理商との関係は日本におけるブランドマ. る中国国内の流通小売システムの構造について. ネジメントに比して希薄化する傾向にあり,ま. 図 6 に示してみる.中国においては,そのマー. た現地代理商は上海や北京総代理と資本関係や. ケットが広大であることから,各代理商には,. 提携関係である必要性もないことから,最終小. 商品移送距離 や 地方都市毎 の 制度. 1). を踏まえ. 売業者に至る各段階取引は,商品を媒体としつ. た物流,商品,ブランド管理等が求められるこ. つもそれぞれが独立した取引という色合いが強. ととなる.. い.よってこれらの段階を経て代理商が小売業 の中に自社ブランド商品を納品する場合には,. 4.日中における流通システムの比較. 代理商によってはブランドに対する姿勢が異な. 以上中国における代理商の実態とその取引事. る場合もあり,この点は,消費者段階まで本社. 例を参照したが,本節では日本の流通システム. 管理を原則とする日本の委託仕入とは大きく異. と中国のシステムとの差異について触れてみた. なる点である.例えば日本の場合プロパー販売. い.代理商を介在とする中国の流通システムに. 期間及びマークダウン時期等は小売業とブラン. 関しては,小売業が原則在庫負担と販売負担を. ド本社であるサプライヤー企業との取り決めに. 負わないという点について,日本の「委託仕. 従い値下げ時期,マークダウン後の販売価格等. 入」に類似した特徴を持つが,ブランド本体か. に大きな差異が生じることは基本的にない.し. らの管理は欧米や日本ほど徹底されていはいな. かし中国における現地代理商の場合は,売れ行. い状況が散見される.これは中国特有の市場構. きが悪いと直ちにキャッシュフローに影響を及. 造上にその原因を見ることが出来る.そもそも. ぼすことから,代理商が独自にマークダウン時. 中国においては,その広大な国土ゆえ,地域が. 期や値下げ価格を決定して販売する場合もあ. 異なれば民族,商習慣,各地域特有の法規制等. る.よって同一ブランドで複数の代理商が同一. の地域差が存在し,これを日本のように同一基. 地域内にある場合には,時期によって価格が異.

(13) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (263). 93. なるという現象が生じる場合が存在することが. 事業の拠点としている.コーセーはそのブラン. ある.これら日中双方の特徴について一般的な. ドカテゴリーをハイプレステージブランド,プ. 大規模小売業における取引を参考に,小売業(バ. レステージブランド,セルフセレクションブ. イヤー) からみた日本と中国の比較を参照する2).. ランドの 3 段階に分け,独自のブランド戦略を 展開してきた. 特に中国国内市場向け独自ブ. 5.実際の取引事例━日系化粧品の場合━. ランド開発に関しては,2000 年に新ブランド. 本節では中国国内における流通システムの実. 「レシピオ」を発売し製品力の強化を図ると共. 態 に つ い て,日系化粧品 メーカーで あ る コー. に,また明確な独自のブランドマーケティング. セーの現地取引事例より,その事業構造を検証. の下,いち早く中国の百貨店市場におけるマー. する.コーセーは比較的早い段階から中国市場. ケット拡大に目をつけ,中国国内百貨店専用の. に対する取組みを始めており,現地の日系及び. ハイプレステージブランドとして「アヴェニー. 中国ローカルの百貨店に至るまで幅広く現地市. ル」シリーズの開発にも着手している.さらに. 場の拡大を行っている.中国特化型のブランド. 近年では高まる消費の拡大化に対し,高級百貨. をはじめとする独自の展開戦略に基づき,現在. 店向 け ブ ラ ン ド の「雪肌精」「ボーテ ド コー. も積極的に中国市場展開を進めており,今後も. セー」の取引店舗の拡大を図るなど,百貨店か. その動向が注目される.今回調査の対象とした. らハイパーマート,スーパーマーケット,化粧. のは,日本からの総代理ではなく,中国遼寧省. 品店など幅広いチャネルで販売を手がけてき. における現地代理商のケースである.. た.ブランドの管理形態としては,基本的には. 1)コーセーの中国進出. 高絲化粧品鎖售(中国)有限公司が日本からの. 日本 の 主要化粧品 メーカーは,1980 年 か ら. 輸入元兼中国総代理として現在約 120 の百貨店. 1990 年初頭にかけ本格的な中国進出をスター. 店舗に対し商品供給を行っている.但し中国国. ト し た.コーセーは,1982 年 に 浙江省杭州市. 内向けブランドである「レシピオ」に関しては. に 出資比率 50%:50% の 日中合弁 で 春絲麗有. 代理商経由で商品供給を行うなど,商品カテゴ. 限公司を設立し,中国における化粧品製造輸出. リーによってその流通形態を区別しながらブラ. 事業を開始した.当初はシャンプーや石鹸から. ンド管理を行っている.. スタートしたが 1992 年に中国オリジナルブラ. 2)現地代理商における取引事例. ンドとしての「KOSE」ブランドを立ち上げ化. 本節 で は,中国遼寧省瀋陽市 に お い て コー. 粧品事業をスタートしている.現在のコーセー. セーの中国国内向けブランドである「レシピオ. グループ全体における事業のセグメント内訳. RECIPEO」の現地代理商に対するヒアリング. は 化粧品事業 で 約 75%,コ ス メ ティック 事業. 調査を行った.レシピオは中国国内向けブラン. で約 23%,その他事業約 2% の構成となってお. ドであり,日本での販売はない.当該代理商は,. り,中国事業は化粧品事業の一角を構成してい. 上海の高絲化粧品鎖售(中国)有限公司の現地. る(株式会社コーセー第 65 期有価証券報告書) .. 分公司(現地支社)からの商品供給を受け,百. 中国事業に関しては,2003 年に春絲麗有限公司. 貨店とスーパーを対象としてレシピオブランド. を高絲麗有限公司(KOSE COSMETEICS CO.,. の卸し及び販売業務に携わっている.以下中国. LTD)に 変更 し,コーセー側出資比率 を 90%. における化粧品ビジネスを例に挙げ,現地代理. にまで引き上げている.また販売事業では本社. 商における収益構造の検証を行う.. からの全額出資で香港に香港高絲化粧品有限公. ①ブランドレベルによる原価構造. 司と上海に高絲化粧品鎖售(中国)有限公司を. 代理商どうし,また代理商と小売企業間の関. 設立し,現地における本社からの製品輸入販売. 係においては,ブランド力や企業規模が大きな.

(14) 94. 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). (264). 表 2 ブランドレベル毎の事業構造 1st ブランド. 2nd ブランド. 主要販売先. 百貨店. 百貨店・スーパー. 3rd ブランド スーパー. 年間販売額. 100 百万円. 30─50 百万円. 10 百万円以下. 小売業マージン. 20.0%. 24.0%. 26.0%. 代理商マージン. 10.0%. 16.0%. 24.0%. 商品代金. 70.0%. 60.0%. 50.0%. 販管費. 5.0%. 7.0%. 12.0%. 人件費. 2.0%. 4.0%. 7.0%. 販促費. 0.0%. 0.0%. 1.0%. 物流経費. 0.5%. 0.5%. 1.0%. 事務所経費他. 2.5%. 2.5%. 3.0%. 最終利益. 5.0%. 9.0%. 12.0%. * 上記内容は一般的な事例であり,全ての取引において適用されるものではない 出所:中国遼寧省における現地代理商ヒアリング(2008 年 1─2 月実施). 影響を及ぼす点については前にも触れたが,先. ②販売先における事業構造. ずは一般的な化粧品の例を参考に,そのブラン. 現地代理商は,全ての在庫を買取った上,自. ド力と代理商側の収益構造の一例を表 2 に提示. ら販売員を用意し小売店舗内での販売を行うこ. する.1st ブランドとはインターナショナルレ. とを事業の基本としている.但しレシピオ自体. ベルのブランドであり,主に主要百貨店等をメ. プレステージブランドでの位置付けではないた. インの販売先としている.またその知名度及び. め,ブランド自体の競争力はさほど強くはなく,. ブランド力により小売企業に対しても強い立場. 対小売業者とのマージン率も納入先の店舗や企. にあることから仕入原価である商品代金も相対. 業規模によって多少の開きが生じている.よっ. 的に高く設定されている.また販促費に関して. て代理商としては黒字の店舗,赤字の店舗双方. も基本的には本国又は中国総代理の下行われる. を抱える場合もあり,全ての相殺として決算時. ので,原則現地代理商の負担はない.但し 3rd. に利益が確保できているか否かが事業上の鍵と. ブランドともなるとブランド力が弱いため,仕. なる.表 3 は実際の1ヶ月の事業構造の内訳を. 入原価率も低く設定される反面売上高拡大にむ. 例示した店舗別の事例であるが,小売業マージ. けた販促費用を自ら負担する等,ブランド力の. ンから見ても代理商と小売企業では立場の差が. 差が事業構造に直接影響を及ぼしている.最終. 表れている.販売員人件費は,規模にもよるが. 利益率だけを見ると,1st ブランドの 5.0% が. 概ね百貨店の場合は 3─4 名,スーパーの場合は. 最も低いが,利益額では 3rd ブランドの 2 倍以. 2 名が基本となる.販売員一人あたりの基本人. 上を確保しており,代理商としては,1st ブラ. 件費 は 平均 1,000 元/月程度 で あ り,こ れ に 小. ンドの代理権を得るほうが効率のよいビジネス. 売店舗側の管理費が加算される.特に化粧品の. が可能となる.但し先にも述べたように売上に. 場合,商品説明の必要性から販売員の接客水準. 見合うだけの商品在庫を抱える必要があること. が売上に大きな影響を及ぼすため,販売レベル. から,代理商となるには一定規模の財務基盤が. の維持は重要な項目となる.一部スーパー等で. 必要となる.. は販売員を置かなくても良い場合もあるが,人.

(15) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). (265). 95. 表 3 代理商における 1ヶ月間の事業構造事例. 売上高 小売業マージン (マージン率) 代理商マージン① (マージン率) 商品代金 ② 代理商販管費 ③ 人件費 販促費 物流費他 事務所家賃他 最終利益 ①─③. A 80,000 24,000 30.0% 8,000 10.0% 48,000 60.0% 5,700 4,400 800 500 0 2,300. 百貨店. B 100,000 30,000 30.0% 10,000 10.0% 60,000 60.0% 6,100 4,500 1,000 600 0 3,900. C 50,000 14,000 28.0% 6,000 12.0% 30,000 60.0% 5,050 4,250 600 200 0 950. D 30,000 7,500 25.0% 4,500 15.0% 18,000 60.0% 4,650 4,150 300 200 0 -150. E 25,000 5,000 20.0% 5,000 20.0% 15,000 60.0% 2,725 2,125 400 200 0 2,275. スーパー. F 10,000 2,000 20.0% 2,000 20.0% 6,000 60.0% 1,800 1,550 150 100 0 200. G 7,000 1,400 20.0% 1,400 20.0% 4,200 60.0% 1,735 1,535 100 100 0 -335. (単位:人民元 @16.0) H 6,000 1,200 20.0% 1,200 20.0% 3,600 60.0% 1,730 1,530 100 100 0 -530. TOTAL 308,000 85,100 27.6% 38,100 12.4% 184,800 60.0% 37,190 24,040 3,450 2,000 7,700 910. * 事務所家賃は事業全体の負担となるため TOTAL に計上 * 上記数値はある特定月の事例であり,季節によって各項目の変動あり 出所:中国遼寧省における現地代理商ヒアリング(2008 年 1─2 月実施). 件費が抑制される反面,売上減少という形で影. 貨店等の大規模小売業は厳密には,バイヤー企. 響が出てしまい,更には,商品の品減りに繋が. 業とは成りえず,単なる販売場所提供企業とい. るため,費用対効果の見極めが重要となる.ま. う位置付けとなる.但し商品販売を通じ,サプ. た販売に先駆けての店舗内装費用であるが,い. ライヤー企業である代理商と信頼関係や安定的. ずれにせよ小売業側による店舗施工の負担は原. な取引関係の構築が事業上重要である点に代わ. 則ない.今回の事例では中国総代理側が負担す. りはない.今回の検証を通じ代理商ビジネスの. るので現地代理商自体の負担はないが,扱い商. メリットとデメリットを要約してみると,その. 品によっては現地代理商が全額負担する場合も. メリットとしては,①現地での在庫を保有して. ある.表から見る限り,売上の 60% を商品代. いるため,商品の補充が早い,②クレーム等の. 金が占めており,残り 40% の中から小売企業. 対応が早い,③エリアへの拡販が早い,という. と代理商が利益をシェアできる事業構造の確立. 販売面に関する点が挙げられる.その反面デメ. が大前提であるが,実際には赤字店舗もあり,. リットとして挙げられるのが,①本国→中国総. 最終利益の確保は容易ではない.但し今回の事. 代理→エリア総代理→現地代理商という流れの. 例はあくまでも一つの参考例として認識いただ. 中でなかなか本国ブランドの経営方針,ブラン. きたい.. ド戦略が徹底できない,②代理商のレベルが統 Ⅴ まとめ. 一されていない,③総代理と代理商間取引が強 調される結果代理商の在庫が増加傾向にある,. 本稿では,中国における代理商制度について. ④小売業側における商品の差別化ができない,. の実態取引の検証を行うことによってその事. といった問題点がある.代理商は保有在庫を早. 業構造 を 明 ら か にした.取引関係論の観点か. く消化し,現金化する必要があることから,在. ら小売業と代理商をバイヤー・サプライヤー関. 庫負担が大きい代理商は,いち早くマークダウ. 係から論ずると,商品の仕入責任を有しない百. ンを行うことによって在庫の消化を図らなけれ.

(16) 96. (266). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). ばならない.またその際の値下げ幅も代理商に. ぞれの役割と統合の優位性を明らかにする必要. よって異なり,また同一地域内で同じ商品が複. がある.中国国内の流通システムは,中国固有. 数価格で販売されている場合も存在するなど,. の商習慣や社会制度,地理的背景をベースとし. 本国やメーカーサイドのブランド管理面での問. つつも今後更なる事業の効率化,収益性の向上. 題が残される.. を目指すことが将来に向けた国際競争力の強化. 現在中国の流通小売システムにおいて代理商. へと繋がることとなる.そのような中,巨大な. は中間物流を担う重要な位置付けを有してお. 流通システムを担う代理商制度が,中間商業者. り,実際に大手小売企業は何らかの形で代理商. として果たす役割は極めて大きく,現代中国の. との取引契約の下,最終消費者への商品提供を. 流通システムにおける代理商の重要性は,今後. 行っている.上海における衣料品取引における. ますます高まるものと思われる.本稿の内容は. 一般的なマージン率は,小売企業が 23%~27%. 中国における代理商システムの実態を検証する. 程度,代理商 が 10%~15% 程度 で あ る が,こ. ところまでに留まっているが,今後は代理商側. れが地方都市となると,同じ商材でありながら. からみた事業戦略の方向性などに関し,更なる. 小売業マージン率は 20% 前後にまで低下する. 探究を続けていきたいと考える.. という実態もあり,この点に今後の中国におけ る事業システムとしての流通取引の課題を見る ことができる.また一般的に日本と比して経費 比率 の 低 い 中国市場においては,比較的低い マージン率でも小売企業と代理商制度の並存が 可能であると考えるが,今後流通小売業の近代 化が進み,小売業マージンが日本並みに増大し てくると,中間コスト排除の観点から流通シス テムにおける代理商のマージン率はさらに低く 抑えられる必要が生じ,代理商制度の存続基盤 そのものに影響が及ぶことも予想される.また 地方においてはブランド管理面や価格管理面に おいての問題もあることから,日系アパレル企 業の一部では,現地代理商を経由せず直接管理 によって販路を拡大し,中国現地法人が自らの 在庫リスクを負いながらも,独自のブランド管 理を行って収益向上に努めている例もある.ま た今後は,バイヤー・サプライヤー間における 小売企業と代理商との関係においても,日本と 同様に製販統合や垂直統合等,従来取引の枠を 超えた新たな事業システムの構築が進展するこ とが予想される.但し,統合の必要性は,価値 連鎖の配置問題とそれら拠点間の相互依存性に 大きく影響を受けるものと考えられる(茂垣 2001)ことから国際子会社間における事業統合 の視点と同様に,バイヤー・サプライヤーそれ. 参考文献 Anderson, E.(1997)“Strategic Channel Design” Sloan Management Review pp. 59─69 Coase, R. H.(1937)The Nature of the Firm, Economica, (宮沢健一,後藤 晃,藤垣 芳 文訳(1992) 『企業・市場・法』 ,東洋経済新 聞社) Corsten, D. & Kumar, N.(2005)“Do Suppliers Benefit from Collaborative Relationships with Large Retailers? An Empirical Investigation of Efficient Consumer Response Adoption ” Journal of Marketing 69 pp. 80─94 Dyer, J. H. and Singh, H.(1998)“The Relational View: Cooperative Strategy and Sources of Interorganizational Competitive Advantage” Academy of Management Review 23 pp. 660─679 Dwyer, F. and Oh, S.(1987)“Developing BuyerSeller Relationships” Journal of Marketing 51 pp. 11─27 Heide, J. B. and Jhon, G.(1992)“Do Norms Matter in Marketing Relationships?” Journal of Marketing 56 pp. 32─44 Hoetker, G.(2005)“How much you know versus how well I know you: Selecting a Supplier for a Technically Innovate Component” Strategic Management Journal, 2005, 26 pp. 75─96 Harrigan, K. R.(1988)“Joint Ventures and Competitive Strategy ” Strategic Management Journal, 12 pp. 141─158 Kought, B.(1988)“Joint Ventures: Theoretical and Empirical Perspectives” Strategic.

(17) 日中におけるバイヤー・サプライヤー間取引の検証(杉野). Management Journal, 9 pp. 340─356 Macneil, I. R.(1978)“Contracts: Adjustment of Long-Term Economic Relations under Classical, Neoclassical and Relational Contract Law ” Northwestern University Law Review, 72 pp. 854─902 Porter, M. E.(1985)Competitive Advantage, Free Press, New York,(土岐坤,中辻萬治,小野 寺武夫訳(1985)『競争優位の戦略』,ダイヤ モンド社) Williamson, O. E.(1975)Markets and Hierarchies, Free Press,(浅沼萬里,岩崎晃訳(1980) 『市 場と企業組織』 ,日本評論社) Wuyts, S. and Geyskens, Inge.(2005),“The Formation of Buyer-Supplier Relationships: Detailed Contract Drafting and Close Partner Selection ” Journal of Marketing 69 pp. 103─117 石原武政・石井淳蔵(1996),『製販統合』日本経 済新聞社 謝 憲文(2000),『流通構造と流通政策』同文館 田中道雄(2005),『現代中国の流通と社会』ミネ ルヴァ書房 田村正紀(1986),『日本型流通システム』千倉書 房 通商産業省中小企業庁取引流通課(1993, 1997), 『卸売業の現状と課題』同文館 原 田 英 生・向 山 雅 夫・渡 辺 達 朗(2006),『ベー. (267). 97. シック流通と商業』有斐閣アルマ 松江宏(2006) , 『現代中国の流通』同文館出版 三村優美子(1992) , 『現代日本の流通システム』 有斐閣 三輪芳朗(1991) , 『日本の取引慣行』有斐閣 三輪芳朗・西村清彦(1991) , 『日本の流通』東京 大学出版会 茂垣広志(2001) , 『グローバル戦略経営』学文社 株式会社 コーセー有価証券報告書(2000 年─2007 年). 注 1)中国では地方都市ごとに物流面,交通規制面 において独自の条例が施行されている場合が多 く,市街地へのトラック規制等に関しても,都 市間によっては大きく異なる.よって地方都市 へ商品を届ける場合には,途中の地点から地元 の運送業者に依頼する場合もよく見受けられ る. 2)中国における代理商取引には,日本のような 買取委託という形態は殆ど存在しない.よって 表1における中国側の取引に関しては, 「買取 委託」を削除して表現している. [す ぎ の ひ と し 横浜国立大学大学院国際社会 科学研究科博士課程後期].

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