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繰延税金の.割引現在価値測定

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Academic year: 2022

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(1)繰延税金の割引現在価値測定. 繰延税 金の.割引現在価 値測 定. 菅野. 目. 次. 1は. じめに. 2現. 在 価 値 測 定 の フ レー ム ワ ー ク. 3繰. 延 税金 の割 引の 論点. 4米. 国 に お け る繰 延 税 金 の 割 引 を 巡 る動 向. 5英. 国 にお ける繰延 税金 の 割引 の基準化. 6お. わ りに. 1は. 浩勢. じめ に. 近 年 、 外 部 報 告 目 的 の 会 計 測 定 に お け る 測 定 属 性 と して 「将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの 現 在 (ま た は 割 引)価 値1」(以 下 、単 に 「現 在 価値 」 と呼 ぶ)の 利 用 が拡 大 して い る。 今 日で は 、 た と えば 、 リー ス会 計 、 退 職 給 付 会 計 、 及 び有 形 固 定 資 産 に係 る減 損 会 計 な ど に お い て 、現 在 価 値 に よ る会 計 測 定 が 国際 的 に確 立 され て い る。 現 在 価 値 の利 用 は そ れ らに と ど ま らず 、 税 効 果 会 計 に よ っ て 計 上 され る繰 延 税 金 に対 して も適 用 し う る との 見解 が古 くか ら存 在 して い た 。 わ が 国 で は1998年. にiF業 会 計 審 議 会 か ら 『税 効 果 会 計 に 係 る 会 計 基 準 』(日 本 基 準). が 公 表 され て い る が 、 そ こで は繰 延 税 金 の 割 引 に関 す る規 定 自体 が存 在 しな い た め 、 暗 黙 に 禁 止 され て い る と解 され る。 それ に対 して 、 米 国 で は繰 延 税.金の 割 引 は禁 止 され て い る とは い え 、 こ の 問 題 に関 す る公 式 見 解 が権 威 あ る会 計 公 表 物 の な か で 繰 り返 し表 明 され て き た 。 さ ら に 、英 国 で は 、繰 延 税 金 の 割 引 が 、 強 制 で は な く許 容 とい う形 で で は あ るが 、既 に基 準 化 され て い る。 そ こで 、 本 稿 で は 、 米 国 及 び 英 国 の会 計 基 準 設 定 主体 が繰 延 税 金 の割 引 の 問 題 に どの よ う に取 り組 ん で きた か を分 析 す る こ とで 、.今後 わ が国 の 基 準 設 定 主体 が この 問 題 を検 討 す る際 の 議 論 の 基礎 を提 供 した い。 特 に 、.2000年 に公 表 され た英 国 の 財 務 報 告 基 準 第19号 金 』(r‑xsis)に. 『繰 延 税. お け る割 引 に 関す る規 定 につ い て は詳 細 に検 討 して い る 。 そ の際 の第 一 の 分. 析 の 視 点 は 、近 年 、 米 国 及 び 英 国 に お い て 開 発 され た 、 割 引 ま た は現 在 価 値 測 定 に関 す る概. 101.一.

(2) 繰延税 金の割 引現在価値測定. 念 フ レ ー ム ワ ー クzと の整 合 性 で あ る 。FRS19の. 規 定 は この よ うな概 念 フ レー ム ワ ー ク に 基 づ. い て 設 定 され て は い る.が、 そ.れら を詳 細 に検 討 して い くと 、 い くつ か の不 整 合 性 が あ る こ と が 明 ら か と な る 。 ま た 、繰 延 税 金 の 割 引 は 、税 効 果 会 計 の そ の他 の側 面 と も密 接 に 関 連 して い る ため 、割 引 の 問 題 の み を独 立 して 検 討 す る こ と は不 可 能 で あ る 。 そ こ で 、 第 二 の 分 析 の 視 点.は、 「 税 効 果 会 計 の 方 法 」 と 「税 効 果 の 認 識 範 囲 」 とい う二 つ の論 点 との 関 連 性 で あ る. こ う した税 効 果 会 計 の その 他 の側 面 こそ が 、繰 延税 金 の 割 引 の是 非 を規 定 して い るの で あ る 。 本 稿 の 構 成 は以 下 の よ うに な っ て い.る。 まず 、 第2節 で は 、 以 降 の.議論 の理 解 の た め 、米 国 及 び英 国 の 割 引 ま た は現 在fdti値 測 定 に 関 す る概 念 フ レ ー ム ワ ー ク につ い て 説 明 した 後 、 そ れ らを繰 延 税 金 に適 用 す る際 の 問 題 につ い て 述 べ る。 第3節 で は、 繰 延 税 金 の割 引 の 主要 な 二 つ の論 点 で あ る 「税 効 果 会 計 の 方 法 」 と 「税 効 果 の 認 識 範 囲」 の 問題 が 、繰 延 税 金 の 割 引 の 問 題 と どの よ うに 関 連 して い る の か につ い て検 討 す る。 第4節 及 び 第5節 で は 、 米 国 .及び 英 国 の 会 計 基 準 設 定 主 体 の 公 表 物 に お け る.繰延 税 金 の割 引 に 関 す る見 解 の変 遷 を 、 第2節 及 び 第3節 で の議 論 に照 ら しつ つ 、 そ れ ぞ れ 跡 付 け る。 特 に 、第5節 で は 、繰 延 税 金 の割 引 を許 容 して い る英 国 のFRS19に. お け る 割 引 に 関 す る規 定 を 、 第2節 で 提 示 され た割 引 に 関 す る 概 念. フ レ ー ム ワ ー クに 基 づ い て 検 討 す る 。 第6節 で は 、 本 稿 に お け る主 要 な 結 論 を要 約 す る と と もに 、 わ が 国 に お いて繰 延税 金 の割 引 の導.入を検 討 す る際 の課 題 につ いて 述 べ る。. 2現. 2‑1会. 在 価値 測 定 の フ レー ム ワ ー ク. 計 測 定 に お け る割 引 また は現 在 価 値 測 定 の 意 義. 本 稿 は 、繰 延 税 金 を割 り引 くべ.きか 、.言い 換 えれ ば 、 現 在 価 値 で 測 定 す べ き か3に つ い て 議 論 す る もの で あ る が 、 そ もそ も資 産 ま た は 負 債 を割 引 後 の現 在 描 値 で 測 定 す る こ との意 義 は 何 で あ ろ うか 。 zooa年 ト第7号. に 米 国 の 財 務 会 計 基 準 審 議 会(FASB)か. ら 公 表 さ.れた 財 務 会 計 概 念 ス テ ー ト メ ン. 『会 計 測 定 に お け る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 情 報 及 び 現 在 緬 値 の 使 用 』(SFAC7)に. よれ ば 、. 現 在 価 健 を 計 算 す る こ と の 唯 一 の 目 的 は 、 そ れ が 原 初 測 定 及 び フ レ ッ シ ュ ・ス タ ー ト測 定 に お い て 用 い られ る場 合 に は 、公 正 価 値 を見 積 も る こ とで あ り、現 在 価 値 の 計 算 は 、 公 正 価 値 を 形 成 す る諸 要 素 を捉 え る よ う に す べ き で あ る と され る(par.25)。2004年 され た 公 開 草 案. 『公 正 価 値 測 定 垂(ED)に. にFASBか. ら公表. よ れ ば 、 公 正 価 値 と は 「十 分 な 知 識 と 、 取 引 の 意. 思 を 持 っ た 第 三 者 間 の 現 在 の 取 引 に お い て 、 資 産 ま た は 負 債 が 交 換 さ れ う る 価 格4」(par.4) で あ る.と定 義 さ れ る 。 そ し て 、 現 在 価 値 の 計 算 に よ っ て 捉 え ら れ る べ き 、 公 正 価 値 を 形 成 す る 諸 要 素 と は 、 資 産 の 場 合 に は(a)将 ー の金 額 及 び 発 生 時 点 に 関 す る リ. 来 の 見 積 キ ャ ッ シ ュ フ ロ.一、(b)将. .スク 、(c)貨. 幣 の 時 間 価 値 、(d)リ. 10z一... 来 の キ ャ ッ シュ フ ロ. ス ク ・プ レ ミ ア ム 、 並 び.

(3) 繰延税金の割引現在価値測定. 動 性 及 び市 場 の 不 完 全 性 の よ う な その 他 の 状 況 に 特 有 の 要 因 の こ と で あ り 、負 債 の. 場 合 に は こ れ らに 加 え て(n企. 業 の 信 用 力 も 含 ま れ る と さ れ る5(par.A2)。. 現 在価 値 測 定 に よ. って 、上 記 の 諸 要 素 に起 因す る経 済 的相 違 を資 産 及 び 負 債 の測 定 値 に 反 映 させ る こ とが で き れ ば 、(た と え ば 、 割 引 前 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 基 づ い て 測 定 す る 場 合 と 比 べ て)会. 計情報 の. 質 的 特 徴 の 一 つ で あ る 比 較 可 能 性 を 向 上 さ.せ、 投 資 家 に 対 し て よ り 有 用 な 情 報 を 提 供 す る こ と が で き る と 考 え られ る6。 こ の こ と こ そ が 、 会 計 測 定 に お け る 割 引 ま た は 現 在 価 値 測 定 の 意 義 で あ.ると い え よ う 。 他 方 で 、1997年. に 英 国 の 会 計 基 準 審 議 会(ASB)か. 務 報 告 に お け る 割 引 』(WP)に. ら 公 表 さ れ た ワ ー キ ン グ ペ ー パ ー 『財. お い て は 、 「将 来 キ ャ.ッシ ュ フ ロ ー は 、 多 く の 様 々 な 会 計 測 定. 値 を計 算 す るた め に利 用 す る こ と が で きる 。 資 産 につ い て は 、 将 来 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー は 、 一 般 に 、 使 用 価 値 を 計 算 す る た め 、 ま た は 公 正 価 値 を 見 積 も る た め に 用 い られ る 」(par3.1)と 述 べ られ て い る よ う に 、FASBと. は 異 な り 、ASBは. 値 の 見 積 も り に 限 定 し て い な い 。SFAC7に. 現 在 価 値 を計 算 す る こ との 目的 を公 正 価. よ れ ば 、 「企 業 固 有 の 価 値(引. 用 者 注 一 使 用 価 値). の 特 徴 と して 、 そ れ は 企 業 の 見 積 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー につ い て 同 一 の 情 報 及 び それ を生 み 出 す 同 一 の 能 力 を有 す る 独 立 の 第 三 者 で あ れ ば 、 そ の 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 見 積 も り を 現 在 の 価 額 と 交 換 す る 取 引 に 応 じ る よ う な 価 額 で あ る と い え る 」(footnote4,referredtoinpar.24 (b))。 繰 延 税 金 資 産 及 び 負 債 に つ い て は 、 の れ ん が 生 じ な い こ と に 加 え 、 公 正 価 値 を 見 積 も る と して も企 業 自体 が 見 積 も る し か な い の で あ る か ら 、 こ れ ら の 公 正 価 値 と 使 用 価 値 は 一・ 致 す る と い え よ う 。 従 っ て 、 少 な く と も 繰 延 税 金 資 産 及 び 負 債 に つ い て は 、FASBとASBと. の. 間 で 、 現 在 価 値 測 定 の 目 的 の 相 違 は ほ と ん ど 存 在 し な い と 考 え られ る 。 た だ し、ASBのWPで. は 、 「企 業 の 財 務 諸 表 に 企 業 自 体 の 信 用 リ ス ク の 変 化 の 影 響 を 反 映 す. る こ と が 常 に 望 ま しい か は 疑 問 で あ る 」(par.4.3)と 信 用 力Jを. 2‑2現. し、 負 債 の現 在 価 値 測 定 に. 反 映 す べ き で は な い と して い る 点 で 、FASBと. 「(n企 業 の. は 異 な る。. 在 価 値 の 計 算 方 法. そ れ で は.、現 在 価 値 の 計 算 方 法 は 、 具 体 的 に は ど の よ う な も の で あ る べ き だ ろ う か 。 現 在 価 値 の 計 算 方 法 に つ い て 、FASBのEDで nique)」. は 、 「割 引 率 修 正 法(discountrateadjustmenttech‑. と 「期 待 現 在 価 値 法(expectedpresentvatuetechnique)」. が7、ASSのWPで. の 二 つ が 提示 され て い る. は 、 期 待 現 在 価 値 法 に 相 当 す る方 法 の み が 示 され て お り(par.2.3;)、. 割 引. 率修 正 法 に相 当 す る方 法 に 関す る記 述 は な い 。. (s)割 EDに. 引率修正法 よ れ ば 、 割 引 率 修 正 法 と は 、 一 組 の キ ャ ッ シ ュ フu一. 固 有 の リ ス ク に 対 応 し た 率(リ. ス ク 修iF.割 引 率)で. 一tO3一. 流 列 を 当該 キ ャ ッシ ュ フ ロー に. 割 り引 い て 戻 在 価 値 を計 算 す る方 法 で あ. . レレ . ﹁ ..ー . .. に(e)流.

(4) 繰 延 税 金 の 割 引現4r:価値 測 定. る 』 こ の と き の キ ャ ッ シ ュ フnに. は 、 契 約 上 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ー や 最 も発 生 の 可 能 性 の 高. い 単 一 の 金 額(最. 用 い られ る(par.A9>。. の 契 約 上 の(ま 引 率r剛. 善 の 見 積 も り)が. た は 最 も 発 生 の 可 能 性 の 高 い)キ. 具 体 的 に は 、現 在 価 値PVは. ャ.ッシ ュ フ ロ ーCF,及. 、t期. びt期 の り.スク修 正 割. を イ ン プ ッ トと して 用 い る以 下 の 式 に よ っ て 計 算 さ れ る 。. ・・一馨(1銑. SFAC7に. .y よ れ ば 、 こ こ で の リ ス ク 修 正 割 引 率r。4A、 は 、 測 定 対 象 の 資 産 また は負 債 と同 様 の. 不 確 実 性 を 伴 う そ の 他 の 資 産 ま た は 負 債 の 観 察 可 能 な 利 子 率 か ら推 定 され な け れ ば な ら な い と され る(par.44)。. (2)期. よ れ ば 、 期 待 現 在 価 値 法 と は 、 発 生 の 可 能 性 の あ る 全 て の キ ャ ッ シsフ. ロ ー を確 率 で. 加 重 平 均 して計 算 され る期 待 キ ャ ッシ ュ フ ロ ーの 流 列 か ら出 発 し、 当該 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー に 固 有 の リ ス ク に 対 し て 市 場 が 要 求 す る リ ス ク ・プ レ ミ ア ム を 、 以 下 の 二 つ の 方 法 の う ち 一 つ .を用 い て 反 映 させ る 方 法 で あ る( 第1法. par.A12)。 で は 、 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー は リ ス ク に つ い て 明 示 的 に.修正(減. 額)さ. れ(リ.ス. ク. 修 正 期 待 キ.ヤ ッ シ ュ フ ロ ー)、 資 産 の 確 実 性 等 価 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 同 様 に 、 無 リ ス ク利 子 率 で 割 り 引 か れ る(parA12)。. 具 体 的 に は 、 現 在 価 値PVは. 、 醐 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーcF,、t期. の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 固 有 の リ ス ク に 対 し て.市場 が 要 求 す る リ ス ク ・プ レ ミ ア ムRP,及 の 無 リ ス ク 利 子 率rf,を. びt期. イ ン プ ッ トと し て 用 い る 以 下 の 式 に よ っ て 計 算 さ れ る 。 た だ し、. El}[']は 現 時 点 で の 情 報 を 所 与 と し た 場 合 の 期 待 値 オ ペ レ ー タ で あ る 。. 錐 欝響 号]ヂ こ こ で 、 リス ク 修 正 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー は. 「 確 実 性 等 価 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 」 と も呼 ば れ 、. あ る 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 市 場 に お い て 無 差 別 に 交 換.され う る 、 あ る 確 実 な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 意 味 して い る(footnote17,referredtoinpar.A13)。 第2法 率(リ.ス. で は 、 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー は 、 当 該 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー に 固 有 の リス ク に対 応 した ク 修 正 割 引 率)で. ャ ッ シ ュ フ ロ ーCF,及. 割 り引 か れ る(par,A12)。:具. 体 的 に は 、 現 在 価 値PV.は. 、t期 の キ. びt期 の リ ス ク 修 正 割 引 率rnnt、 を イ ン プ ッ ト と し て 用 い る 以 下 の 式 に. よ って 計 算 され る。. … 馨諜 齢 一104一. ︑じ ... EDに. 待現在価値法.

(5) 繰 延税金 の割引現在価値測定 ﹂駄臨円... こ こ で 用 い ら れ る リ ス ク 修 正 割 引 率race (cnPrvr)の. 、 、の 見 積 も り に は 、 資 本 資 産 価 格 形 成 モ デ ル. よ うな 、 リス ク資産 の価 格 形 成 に用 い られ るモ デ ル を用 い る こ と もで きる と され. る(footnote18,referredtoinpar.Al.2)。 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー で 、 第2法. この よ う に 、 期 待 現 在 価f直法 で は 、 第1法. で は期 待. で は 割 引 率 で 、 そ れ ぞ れ リス ク調 整 を行 っ て い る と い う形 式 的. な違 い が あ る だけ で 、 計算 結 果 は當 に 同 じに な る。. .(3)・..代.替 的 な 計 算 方 法 の 評 価........... 割 引 率 修 正 法 も 期 待 現 在 価 値 法 も 同 じ 公 正 価 値 の 見 積 も り を 目 的 と し て い る の で あ る か ら.、 同 じ計算 結 果 とな らな け れ ば な らな い はず で あ る 。 しか し、 そ の こ とは 理 論 的 に保 証 され て い る わ け で は な い 。EDに 価 値 法 第2法. よ れ ば 、 割 引 率 修 正 法 に お け る リ ス ク修 正 割 引 率r崎 、と 、 期 待 現 在. に お け る リ ス ク 修 正 割 引 率r湾pノ.,は 、 そ れ ぞ れ の 評 価 式 に お け る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー の 値 が 異 な る 場 合 に は 、 異 な る値 と な る と.され る(par.A13)。. そ の た め 、 上 掲 の各 評 価 式. に お い て は 、 二 つ の リ ス ク 修 正 割 引 率 の 記 法 を 区 別 し た 。.しか し 、 測 定 方 法 に よ っ て 同 一 の 資 産 また は 負 債 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ーに 固 有 の リス ク に 対応 した 率 が 異 な る と い うの は 明 ら か に お か しい 。 リ ス ク 修 正 割 引 率 の こ う し た 区 別 は 、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 値 が 異 な る 場 合 に 、 割 引 率修 正 法 と期 待 現 在 価 値 法 とで 公 正 価 値 の見 積 も りが 異 な って し ま うと い う矛 盾 を紛 ら わ す た め の 辻 褄 合 わ せ と し か 考 え ら れ な い 。 実 際 、EDの. 数埴 例 に おい て も 、割 引 率 修 正法 に. お け る リ ス ク 修 正 割 引 率raei、は 、 期 待 現 在 価 値 法 に よ っ て 見 積 も ら れ た 公 正 価 値 か ら 逆 算 す る こ と に よ っ て しか 決 定 で き な い こ と が 示 さ れ て い る(par.AIS)。 こ う し た 割 引 率 修 正 法 の 理 論 的 な 欠 陥 をFASBは SFAC7で. は 、 最 も 可 能 性 の 高 い キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー よ り も期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の ほ う が 公 正. 価 値 測 定 と 整 合 的 で あ る(par.53)こ ー チ(引. と を 根 拠 と して 、 「&ASBは. 多 く の 場 合 にf云統 的 ア プ ロ. 用 者 注 一 割 引 率 修 正 法 〉 よ り も 、 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー ・ア プ ロ ー チ(引. 期 待 現 在 価 値 法)の. ほ う が 有 効 な 測 定.手段 を 提 供 す る と 判 断 し た 」(par.45>と. し か し、 そ の 後 、EDに な)n様. 多 少 な り と も 自覚 して い た よ うで 、. おいて. 用者注一. 述 べ て い る。. 「(引用 者 注 一..一 リス ク に対 応 す る利 子 率 を 決 定 す る た め に必 要. の 不 確 実 性 を 伴 う 嗣 様 の 資 産(ま. た は 負 債)の. 価 格 が市 場 で観 察 可 能 な場 合 に は 、. 割 引 率 修 正 法 の ほ う が 有 用 で あ る か も しれ な い 」(par.A8)と な ら ば 、 既 述 の よ う に 、 同 二 の 資 産(ま. た は 負 債)に. した こ と に は 問題 が あ る 。 な ぜ. つ いては、そのキ ャッシュフローに置. 有 の リス ク に 対 応 し た 率 も 周 ・.・ ・ で あ る か ら 、 同 様 の 不 確 実 性 を 伴 う 同 様 の 資 産(ま. た は 負 債). の 価 格 に 基 づ く 直 近 の 実 際 収 益 率 は 、 割 引 率 修 正 法 だ け で な く期 待 現 在 価 値 法 に と っ て も 、 り.スク修 正 割 引 率 の 適 切 な 推 定1と 資 産(ま. た は 負 債)の. な る は ず で あ る。 従 っ て 、 同様 の 不 確 実 性 を伴 う同様 の. 価 格 が市 場 で 観 察 可能 だ か ら と い っ て 、 割 引 率 修 正 法 を用 い な け れ ば. な ら な い 道 理 は な い は ず で あ る 。 さ ら に い え ば 、 期 待 現 在 価 値 法 第2法. で はCAYMの. ル を 用 い て リ ス ク 修 正 割 引 率 を 算 定 す る こ と が 想 定 さ れ て お り 、 こ の よ う な 場 合 にCAPMを. モ デ. 105一.

(6) 繰延税金の割引現在価値測定. 溺 い る た め に 嫁 、 同 様 の 不 確 実 性 を 伴 う同 様 の 資 産(ま. た は 負 債)の. 率 の デ ー タ が 必 要 で あ る がN、 上 述 し たr<.rの 論 理(par.AS>に. 価 格 に 基 づ く実 際 収 益. よれ ば 、 そ の よ うな デ ー タが. 得 られ る 場 合 に は 割 引 率 修 正 法 の ほ う が 有 用 と さ れ る の だ か ら 、 期 待 現 在 価 値 法 を 用 い る べ き 状 況 は 存 在 しな い こ と に な っ て し ま う 。 こ の よ う に 、EDに. お け る 二 つ の 方 法 を 使 い 分 け る た め の 指 針 は 矛 盾 して お り 、 よ り適 切 な. 指 針 に改 め られ る べ きで あ る。 フ ァイ ナ ンス理 論 と の整 合 性 の 観 点 か ら は、 期 待 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー を 用 い る 期 待 現 在 価 値 法 の ほ う が 妥 当 で あ る こ と は 間 違 いfdい.。.し か し.も. し も 割 引.. 率 修 正 法 の ほ う が 有 効 な 場 合 が.あ る.とす れ ば 、 そ れ は 期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 算 定 す る こ と が 困 難 で あ る 場 合 に 、 実 務 上 の 簡 便 法 と して 単.一..・ の 見 積 も り を 用 い ざ る を得 な い 場 合 で あ ろ う 。 そ し て 、 実 際 に は 、 む し ろ そ の よ う な 場 合 の ほ う多 い か も しれ な い 。. 2・3繰. 延 税 金 の現 在 価 値 計 算 に お け る問題. 上 記 の 二 つ の方 法 の う ちい ず れ を用 い る と して も、繰 延 税 金 の 現 在 価 値 を計 算 す るた め に は 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 発 生 時 点 と金 額 を 決 定 し な け れ ば な ら な い 。 こ れ ら は 、 ス ケ ジ ュ ー リン グ を行 うこ と. 、 す な わ ち 当期 末 に存 在 す る 一 時 差 異 が将 来 の どの 時 点 に どれ だ け の金. 額 だ け解消 す る か を 見 積 も る こ と に よ っ て決 定 され る。 わ が 国 の税 効 果 会 計 の 実 務 に お け る ス ケ ジ ュ ー リン グ は割 引 を 目的 と した もの で は な く、繰 延 税 金 資 産 の 同 収 可 能 性 の 判 断 を 目 的 と し て 行 わ れ て い る が 、 繰 延 税 金 を 割 り引 く場 合 に は.ス. ケ ジ ュ ー リング に 基 づ い て 将 来. の 各 時 点 に お い て 回 収 ま た は決 済 され る キ ャ ッシ ュ フ ロ ー を見 積 も り、 そ れ ら を適 切 な 割 引 率 を用 い て 現 時 点 に まで 割 り引 く こ とに な る 。 ス ケ ジ ュ ー リ ン グ を 行 う 際 の 問 題 と し て4#、 第.一 に 、 解 消 す'る時 点 と 金 額 が 不 確 実 で あ る た め.スケ ジ ュ ー リ ン グ が 困 難 ま た は 不 可 能 で あ る よ う な 差 異 が 存 在 し う る と い う 問 題 が あ る 。 この こ と は、 繰 延 税 金 資産 の 瞬 収 可 能 性 の 判 断 に お い て も生 じ る問 題 で あ る 。 第二 に 、繰 延 税 金 の 割 引 に 特 有 の 問 題 と して 、 複 数 期 間 に わ た り 発 生 し 、 か つ 複 数 期 間 に わ た り解 消 す る 差 異 に つ い て 、 当 該 差 異 の 発生 と解 消 の パ ター ンに 関 す る仮 定 が 必 要 と な る と い う問題 が あ る 。 齋 藤[1999.PP.1̀13‑128]は.こ. の よ う な 仮 定 と し て 考 え.られ る も の と して 、 先 人 先 出 法 、. 後 入 後 出 法 、 加 重 平 均 法 、 及 び 単 一 取 引 法3を 挙 げ て お り 、 設 例 を 用 い て そ れ ぞ れ の 仮 定 に 基 づ く測 定 疸 を 比 較 して い る 。 そ れ に よ る と 、 差 異 の 発 生 と 解 消 の パ タ ー ン に 関 す る 仮 定 の 選 択 の 影 響 は 差 異 発 生 期 間 の 計 算 に 限 ら れ る と い う 。 た だ し 、 齋 藤[1999]は う ち ど れ が 望 ま し い か に つ い て は 述 べ て い な い 。RayUuml1987,p.45]は. 、 これ らの方 法 の 、 この うち先 入 先 出. 法 が 最 も.妥当 な 方 法 で あ り、 そ の 他 の い か な る 方 法 も 、 偶 然 の 一 致 の 場 合 を 除 い て 、 納 税 の 延 期 の 現 実 の 経 済 的 影 響 を 近 似 し な い と述 べ て い る が 、 そ の 根 拠 は 明 確 で な い 。 従 っ て 、 こ の 問題 につ い て は さ らな る検 討 が必 要 で あ ろ う。. 一ins一.

(7) 繰延税金の割引現在価値測定. 3繰 3‑1税. 延税金の割 引の論点. 効 果 会 計 の 方 法 と繰 延 税 金 の 割 引. 繰 延 税 金 の 割 引 の適 否 は 、税 効 果 会.計の 方 法 と して 、繰 延 法 と資 産 負 債 法 の いず れ を採 用 す る か に依 存 して い る。 まず は 、各 方 法 の概 要 につ い て 確 認 し、 そ れ ぞれ の 割 引 との 整 合 性 を検 討 す る。. (1)繰 延 法 と割 引 繰 延 法 は、 法 人 税 等 を 発 生 主 義 に基 づ い て 計上 す る こ と に よ り、 税 引 前 利 益 と法 人 税 等 の 合 理 的 対 応 を達 成 す る こ と を 目的 と した方 法 で あ り、 収 益 費 用 ア プ ロ ーチ に基 づ く方 法 で あ る と い え る 。 この 繰 延 法 を適 用 した場 合 、 借 方 繰 延 税 金 と して 繰 延 税 金 費 用(defercedtax charge)が. 、貸 方 繰 延 税 金 と して繰 延 税 金 収 益(deferredtaxcredit)が. 計 上 され る こ とに な. る。 繰 延 税 金 費 用 は 、 期 間 差 異 に係 る法 人 税 等 の 計 上 を、 当該 差 異 の 解 消 が納 税 額 を減 少 さ せ る将 来 期 間 まで 繰 り延 べ る た めの 計 算 上 の擬 制 項 目で あ り、繰 延 税 金 収 益 は 、期 間差 異 に 係 る法 人 税 等 減 少 益 の 計 上 を 、 当該 差 異 の解 消 が納 税額 を増 加 させ る将 来 期 間 ま で繰 り延 べ るた め の 計 算.上の 擬 制 項aだ. か らで あ る。従 って 、繰 延 税 金 費 用(収 益 〉 は 、将 来 の キ ャ ッ. シ ュ フ ロ ーで は な く、 過 去 の キ ャ ッ シュ フ.ロー を将 来 の 費 用(収. 益)と. して 繰 り延 べ た もの. で あ るた め 、割 り引 くこ とは で きな い と.考え られ る10。. (2)資 産 負 債 法 と割 引 そ れ に 対 して 、 資 産 負 債 法 は 、 当期 末 に存 在 す る.会計...tと 税 務 上 の 差 異 に起 因 して 、 そ の 差 異 が 将 来 の 期 間 に お い て 解 消 され る と きに生 じ る と見 積 も られ る税 金 の 増 加 ま た は減 少 を 貸 借 誘 照 表 に計 上 す る こ と を 目的 と した方 法 で あ る。 この 資産 負 債 法 を適 用 した場 合 、 借 方 繰 延 税 金 と して 繰 延 税 金 資 産(deferredtaxasset>が. 、.貸方 繰 延 税 金 と して繰 延 税 金 負 債. (deferredtag]iabiliry)が 計 上 され る こ とに な る。繰 延税 金 資産 は 、 将 来 減 算 一 時 差 異 が 解 消 す る期 間 に 生 じ る 「 納 税 額 の 減 少 一1とい う税 効 果 を表 現 し、繰 延 税 金 負 債 は 、将 来 加 算..・ ・ 時 差 異 が 解 消 す る期 間 に生 じる 「納 税 額 の 増 加 」 とい う税 効 果 を 表 現 す る もの で あ る。 こ う し. た税 効 果 は 将 来 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ーで あ るか ら、 それ ら を割 り引 く こ と に よ り、貸 借 対 照 表 日現 在 の価 値 で 測 定 され るべ きで あ る と考 え られ る。. (3)現. 在 価値 法 の 適 用 形 態. こ の よ う に 、 繰 延 税 金 資 産 及 び 負 債 は 理 論 的 に は 割 り引 か れ な け れ ば な ら な い の で あ る が 、 Stepp[1985,p,/06]は. 、 繰 延 税 金 資 産 及 び 負 債 を 割 り 引 く 際 に 、 「各 貸 借 対 照 表Hに. 一107一. おいて、.

(8) 繰 延 税 金 の 割 引d/r.価 値 測 定. そ の 日 の 条 件 に よ っ て 決 定 さ れ る 割 引 率 を 用 い た 包 括 的 再 計 算 を 行 うべ き か 、 あ る い は 、 各 発 生 期 間 に つ い て 繰 延 税 金 の 割 引 額 を 別 々 に 設 定 し 、 当 該 発 生 期 間 に 付 され た 割 引 率 を 用 い て 割 り 増 して い く べ き か 」 と い う 問 題 を 提 起 して い る 。 本 稿 で は 前 者 の 方 法 を 「 継 続 的再評 価Jと. 呼 ぶ 。 ま た 、 後 者 の 方 法 は 、SFAC7に. お いて. 「 利 息 法 」 と呼 ば れ て い る もの で あ る 。. こ の 問 題 を 検 討 す る 前 に 、 以 下 で は こ れ ら二 つ の 現 在 樋 値 法 の 概 要 を説 明 す る。 ま ず 、 継 続 的 再 評 価 と は 、 毎 期 末 に 包 括 的 再 計 算 、 す な わ ち フ レ ッ シ ュ ・ス タ ー ト測 定 を 行 う会 計 処 理 で あ る と い え る 。.SFAC7に. よ.れ.ば.フ. レ ッ シ ュ ・ス タ ー ト測 定 と は 、 「以 前 の. 価 額 及 び 会 計 慣 行 と は 無 関 係 な新 た な簿 価 を設 定 す る 、 原 初 認 識 以 降 の 期 間 に お け る測 定 」 (GlossaryofTerms,T松. ・広 瀬 訳[2002,p.421];と. され る。 その 際 、繰 延税 金 資 産 及 び 負 債. に つ い て は 活 発 な 市 場 に お い て 同....・ また は類 似 の 資産 また は 負 債 につ い て観 察 可 能 な価 格 が 存 在 し な い か ら 、EDが. 提 案 して い る 割 引 率 修 正 法 や 期 待 現 在 価 値 法 の よ う な 評 価 技 法 を 用 い. て 計 算 され た現 在 価 値 で測 定 され る こ とに な る。 ま た 、継 続 的 再 評 価 は、 貸 借 対 照 表 項 目の 価 値 評 価 を 重 視 して い る こ と か ら 、 利 益 観 と して 明 ら か に 資 産 負 債 ア ブ ロ ー チ に 基 づ い て い る と い え よ う。 そ れ に 対 して 、 利 息 法 と は 、SFAC7に. よ れ ば 、 「フ レ ッ シ ュ ・ス タ ー ト測 定 を 行 わ な い 場. 合 に 、 資 産 ま た は負 債 の 簿 価 の 期 間 変 動 を計 算 す る た め に現 在 価 値 法 を用 い る報 告 慣 行 」 (GlossaryofTerms,平. 松 ・広 瀬 訳[zooz,P4ax//と. され る 。 現 行 の 会 計....ヒ の 公 式 .見解 で は 、. 「ほ と ん ど の 場 合 、 利 息 法 は 契 約...r.のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 基 づ い て お り 、 ま た 、 そ の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 全 期 間 に わ た っ て 一 定 の 実 効 利 子 率 を 前 提 と し て い る 。 す な わ ち 、 利 息 法 は(期 待 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー で は な く)約. 定 され た キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 用 い て お り、 割 引 率 は 、 約 定. さ れ た キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 をJr‑該 資 産 ま た は 負 債 の 原 初 価 格 と等 し く す る 単.一 の 率 に 基 づ い て い る 」(par.95,平. 松 ・広 瀬 訳[2002,p466])。. 従 っ て 、繰 延 税 金 資 産(ま. た は 負 債). に 利 息 法 を適 用 す る 場 合 、 原 初 認 識 時 に は 、 フ レ ッ シ ュ ・ス タ ー ト測 定 時 と 同 様 に 、EDが. 提. 案 す る よ う な 評 価 技 法 を 屠 い て 算 定 され た 現 在 価 値 で 測 定11し 、 そ こ で 計 算 さ れ た 割 引 額 を 、 以 降 の 期 間 に お い て 一 定 の 実 効 利 子 率 で 割.り増 し て い く こ と に な る 。 こ こ で 、 利 子 率 の 変 化 は価 格 変 動 とr,一 種 類 の 事.象 で あ る か ら 、 市 場 利 子 率 の 変 化 に よ っ て 当 初 の 実 効 利 子 率 を変 化 さ せ な い 利 息 法12は 歴 史 的 原 価 の 考 え 方 に 基 づ い て い る(par.96) こ と に 注 目す べ き で あ る 。 す な わ ち 、 利 息 法 は 、 利 益 観 と し て 収 益 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ い て い る 。 一 般 に 、 税 効 果 会 計 の 方 法 と し て の 資 産 負 債 法 は 、 利 益 観 と して 資 産 負 債 ア プ ロ ー チ との み 結 び つ くと考 え られ て い た が 、現 在 価 値 法 と して利 息 法 を適 用 す る場 合 に は収 益 費 用 ア ブ ロ ーチ と結 び つ い て い るの で あ る。 以 上 の 議 論 よ り、 前 提 とす る利 益 観 と税 効 果 会 計 の 方 法 の 組 み 合 わ せ と 、 そ れ ら に 適 用 す べ き 現 在 価 値 法 は.ド表 の よ う に 要 約 で き る 。. 一108一.

(9) 繰 延税金の割引現在価値測定. 俵 】 「利 益 観 」 と 「税 効果 会 計 の.方法 」 の 組 み 合 わせ と そ れ らに適 用 ず べ き現 在 価値 法. 収 益 費 用.アプ ロ ー・ チand資. 慕 産負 債 法. 利 息法. 資 産 負 債 ア プ ロ ー チand資. 産 負.債法. 継 続 的再評 価. 収 益 費 用 ア プ ロ ー チand. .そ.れで.は、 資 産 負 債 法 を 前提 とす る.A:..繰. X. 延 税 金 資 産 及.び負債 の測 定 に適 用 す べ き現 在. 価 値 法 と して 、継 続 的 再 評 価 と利 息 法 の いず れ が 妥 当 で あ ろ うか 。Stepp[1985,p.106]は. 、. 利 息 法 の よ う に割 引 後 の 繰 延 税.金を発 生 年度 別 に 追 跡 す る こ と は恐 ら く実 務 に耐 え な い だ ろ う し、繰 延 税 金 の 金 額 が利 子 率 の 変 化 を反.映す る継 続 的再 評 価 の ほ う が資 産 負 債 法 とpoi的 で あ る と主 張 して い る 。 こ の こ とか ら、理 論 的 妥 当性 の観 点 か ら は、 前 提 とす る利 益 観 に 依 存 す る と しか い え な い が 、少 な く と も実務 上 の 簡 便 性 の観 点 か ら は 、継 続 的 再 評 価 の ほ うが 利 息 法 よ りも優 れ て い る とい え る 。. 3‑2税. 効 果 の 認 識 範 囲 と繰 延 税 金 の 割 引. 割 引 を行 うか 否 か は測 定 に 関 す る 問題 で あ るた め 、部 分 的 認 識 法 と包 括 的認 識 法 の い ず れ を採 用 す る か と い う認 識 に関 す る 問題 とは 、 基 本 的 に 無 関 係 で あ る13。 しか し、 会計 基 準 設 定 に お け る繰 延 税 金 の 割 引 の是 非 に 関 す る判 断 は 、税 効 果 の 認 識 範 囲 に よ っ て大 き く影 響 を 受 け る と考 え られ る。 なぜ な らば 、税 効 果 の 認 識 範 囲 の 決 定 方 法 と して 、包 括 的認 識 法 と部 分 的 認 識 法 の い ず れ を採 用 す る か に よ っ て 、貸 借 対 照 表 上 で の 繰 延 税 金 の金 額 に非 常 に 大 き な 相 違 が 生 じるか らで あ る。 部分的認識法で は、「 発 生 の可 能 性 の 高 い 将 来 の 取 引 の税 効 果 を考 慮 した後 で 、実 際 に 税 金 が 支 払 われ る 、 ま た は 、税 金 が軽 減 され る可 能 性 が高 い 範 囲 につ い て の み 、 当 該 期 間 に 認 識 され た 全 て の 利 得 及 び 損 失 の 全 て の 潜在 的 な税 務 上 の 帰 結 に つ い て 、 毎 期 、(引 用.者注一 繰 延 税 金 が)計 上 され るJ(ASB[1995],par.},].1)。. この 方 法 に よ る場 合 、納 税(ま. た は税 金 の 軽. 減)の 繰 り延 べ が 実 質 的 に永 続 す る と見込 まれ る部 分 の 期 間 差 異 につ い て は 、繰 延税.金を認 識 しな い こ と にな る。 一 方 で 、 包 括 的 認 識 法 で は 、 「貸 借 対 照 表 日 まで に認 識 され た全 て の利 得 及 び損 失 の 潜 在 的 な 税 務 上 の 帰 結 に つ い て 、 そ れ ら.の利 得 及 び 損 失 が 税 務.といつ 認 識 され る か とは 無 関 係 に 、 毎 期 、(引 用 者 注一 繰 延税 金 が)計 一.ヒ され るJ(ASB[1995,par、4.1.1])。. この 方 法 に よ る場AFI.. 「あ る種 の 税 制 の 下 で は 、 決 して実 質 的.に減 少 し な い 多 額 の 繰 延 税 金 を累 積 させ うる」(ASB [1995,par.4.7.9】 〉 こ と が指 摘 され て い る。 そ の た め 、 一般 に 、部 分 的認 識 法 を採 用 す る場 合 に は 、 包 括 的認 識 法 を採 用 す る場 合 よ り も、 貸 借 対 照 表 に計 上 され る繰 延税.金の金 額 は 小 さ くな る。 す な わ ち 、 割 引 率 が正 で あ る限. 一109一.

(10) 繰 延税 金 のill現 在 価 値 測 定. り、割 引 が繰 延 税 金 の金 額 を小 さ くす るの と同様 の 影 響 が あ る。 そ の た め 、 資 産 負 債 法 を前 提 とす る場 合 、負.債比 率 等 の 財 務 比 率 に基 づ く契 約 へ の 経 済 的 帰 結 を考 慮 す るな らば 、繰 延 税 金 が 貸 方 残 高 と な る企 業 が ほ とん どで あ る よ うな 国 で は、繰 延 税 金 負 債 を可 能 な 限 り小 さ く計..ヒ す るた め に 、部 分 的 認 識 法 と割 引 が.選好 され る と考 え られ る。 た だ し、 部 分 的 認 識 法 も割 引 も非 常 に複 雑 で 実 務 上 の負 担 が大 きい こ と か ら、 コス トとベ ネ フ ィ ッ トを考 慮 して 、 ど ち らか 一 一方 の み の 採 用 に留 ま る こ と も考 え られ る 。 た と えば 、部 分 的認 識 法 を要 求 す る場 合.に.は.ぐ....そ れ だ けで 繰 延税 金 負.債の 金 額 は 十分 に小 さ くな るの だ か ら、 さ ら に追 加 的 な コ.ストを課 して まで 割 引 を 要.求し よ う とす る.誘因 は ほ とん どな く な る (Stepp[1985,p.99]、ChaneyandJeter[1989,u、Id】)。. ま た 、同 じく資 産 負 債 法 を前 提 とす る. 場 合 、割 引 を要 求 しな い こ と に よ っ て 、 特 定 の 項 目の 測 定 が 繰 延 税 金 の 公 正価 値 か ら著 し く 乖 離 す る とみ な され る場 合 に は 、 そ う した特 定 の 項 目に つ い て の み 部 分 的 認 識 法 を要 求 す る とい う選 択 が な され る こ と も あ る。 ま た 、逆 に 、 部 分 的 認 識 法 を要 求 しな い こ と に よ っ て 失 わ れ る情 報 を、 割 引 が提 供 す る情 報 に よ っ て代 替 す る とい う選 択 が な され る場 合 も あ る 。 こ う した 選択 が行 わ れ た具 体例 につ いて は 、第4及 び5節 に おい て提 示 され て い る。. 4米. 国 に お け る繰 延 税 金 の割 引 を巡 る動 向. 本 節 以 降 で は 、米 国(第4節)、. 英 国(第5節)の. 順 に 、各 会 計 基 準 設 定 .十.体 が繰 延税 金 の. 割 引 の 問題 に対 して ど の よ う に対 処 して きた か を跡 付 け る。 本 節 に お い て は 、国 際 的 な 会 計 基 準 設 定 の局 面 に おい て 最 も大 きな影 響 力 を行 使 して きた 米 国 に お け る動 向 に つ い て述 べ る。. a‑i繰. 延 法 と割 引 の不 整 含性. 米 国 の 権 威 あ る 会 計 公 表 物 に お い て 初 め て繰 延 税 金 の 割 引 に 関 す る記 述 が 登 場 した の は 、 会.計 原 則 審 議 会(APB)が1966年. に 公 表.し たAPB意. 見 書 第10号. 『オ ム ニ バ ス 意 見 書 』. (AAI'i3()1C)に お い て で あ る 。 そ こ で は 、 繰 延 税.金 を 割 り 引 く べ き で は な い と 結 論 づ け ら れ て い る が 、 そ の 理 由 は 、 財 務 会 計 全 般 に お け る 割 引 に 関 す る検 討 が 十 分 で な か っ た た め で あ る と され る(par.6)。. し か し 、Pel'Sの 母 体 で あ る 米n公. 表 され た.会計 研 究 叢 書 第9号. 認 会 計 士 協 会(AICPA)か. 「法 入 所 得 税 の 期 間 配 分 』(AR59,Black[1966])は. ら同 年 に公 、税金負債. の 過 大 評 価 と期 間 純 利 益 の 誤 表 示 を 回 避 す る た め に は 、 利 息 要 素 が 重 要 で あ る と き に は 必 ず 、 長 期 の 税 金 負 債 の 割 引 が 要 求 さ れ な け れ ば な ら ず 、 そ の 際 の 適 切 なX111率 率 で あ る(p.115)と. 結 論 し て い る 。ARS9は. は企 業の 内 部 利 益. 、借 方 繰 延 税 金 に は繰 延 法 を 、貸 方繰 延 税 金 に. は 負 債 法 を そ れ ぞ れ 適 用 す べ き と し て い る14た め 、 上 記 の 議 論 は 、 負 債 法 に よ っ て 計 ..r.され る 繰 延 税 金 負 債 を 割 り引 くべ き と 主 張 し て い る こ と に な る 。 一 方 で 、 繰 延 法 に よ っ て 計 上 さ. 一‑‑6一.

(11) 繰延税金の割引現在価値測定. れ る繰 延 税 金 費 用 を 割 り引 くべ き か 否 か に つ い て は 述 べ られ て い な い 。 従 っ て 、 こ の こ と は 、 本 稿3‑1に. おける 「 繰 延税 金 資産 及 び負 債 は 割 り引 くべ きで あ るが 、繰 延 税 金 費 用 及 び 収 益 は. 割 り 引 くべ き で な いJと. い う議 論 と矛 盾 は して い な い 。 た だ し 、 本 稿2‑2で. 検 討 した よ うに 、. 繰 延 税 金 負 債 に 対 す る 割 引 率 と し て は 、 当 該 負 債 に 固 有 の リ ス ク に 対 応 し た リ ス ク修 正 割 引 率 を用 い るべ き で あ り 、内 部利 益率 を 用 い る こ とは 妥 当 で な い 。 そ の 翌 年 の1967年 (.APBO11)が. に は 、 こ のARS9の. 成 果 に 基 づ い てAPB意. 公 表 され た が 、 繰 延 税 金 の.割引 に つ.いて はARSS.の. 見 書 第11号. 「法 人 税 等 の 会 計 』. 結 論 は採 用.さ れ ず 、APBO10. の.と き.と同 じ く割 引 全 般 に 関 す る 検 討 が 未 だ 不 十 分 で あ る と し て 禁 止 さ れ て い る(par.3)。 ま た 、1971年. に 公 表 さ れ たAPB意. 見 書.第21号. 「.未 収 金 及 び 未 払 金 に 係 る 利 息 』(APBO21). は 、 長 期 の 未 収 金 及 び 未 払 金 を 割 り 引 く よ う に 規 定 し た が 、APBO10に. お け る繰 延 税 金 を割. り引 くべ きで な い とい う結 論 は 、 この 意 見 書 に よ っ て 修 正 され る もの で は な い と し て い る (footnote3,referredtoinpar.4) と こ ろ で 、APBO11は 進 展 に よ り 、1973年 議 会(FASB)は. 税 効 果 会 計 の 方 法 と し て.繰延 法 を 採 用 し て い た が 、 そ の 後 の 議 論 の か らAPBに. 、APBO11に. 代 わ って 権 威 あ る 会 計基 準 設 定 主体 とな っ た財 務 会 計 基 準 審 お い て 繰 延 税 金 の 割 引 を.要求 し な か っ た こ と の 妥 当 性 を 事 後 的. に 知 る こ と に な る 。APBO11で. は 、繰 延 法 に よ っ て 計 上 され る繰 延 税 金 費 用 ま た は収 益 に つ. い て 、r通 常 の 意 味 に お け る 未 収 金 ま た は 未 払 金 を 意 昧 す る も の で は な い 」(par.57)と る だ け で 、 そ の 性 格 は 必 ず し も 明 確 に され.な か っ た 。 し か し 、1980年 た 財 務 会 計 概 念 ス テ ー ト メ ン ト第3号 「APBO11に. にFASBか. に 公 表 され た 討 議 資 料. ら 公表 され. 『営 利 企 業 の 財 務 諸 表 の 構 成 要 素 』(SFAC3)で. お け る 繰 延 税 金 収 益 は 負 債 で も 資 産 の 減 少 で も な い 」(par.ユ64)と. し て 、1983年. 述 べ. は、. され た15。 そ. 『法 人 税 等 の 会 計 に 関 す る 諸 問 題 の 分 析 』(DM)は. 、. 「も し も繰 延 法 に よ っ て 生 じ る 貸 借 対 照 表 価 額 が 、 資 産 も し く は 負 債 、 ま た は 、 そ の 他 の 資 産 及 び 負 債 の 増 加 も し く は 減 少 で な い な らば 、 割 弓iは繰 延 法 と 整 合 し な い 」(par.109,b)と. 述. べ て い た 。 こ の こ と を 前 述 し たSFAC3で. 繰. の 結 論 と 考 え 合 わ せ れ ば 、DMに. お い てFASBは. 延 法 に よ っ て 計.上 さ れ る.繰延 税 金 費 用 及 び 収 益 を 割 り 引 く こ と は や は り妥 当 で な か っ た と.判 断 して い た こ と が 分 か る 。 そ の 理 由 は 、 本 稿3‑1で 議 論 し た 通 り 、 繰 延 税 金 費 嗣 及 び 収 益 が 資 産 も し くは 負 債 で は な く、 単 な る計 算 上 の擬 制 項 目に 過 ぎな い か らで あ る。. 4‑2資. 産 負 債 法 と割 引 の 整 合 牲. ま た 、DMは (par.‑‑0>と.し. 「割 引 は 、 期.間 差 異 に 係 る 税 効 果 の 負 債 法 に よ る 会 計 処 理 と 整 合 す る 」 て い る 。 そ れ は 「負 債 法 の 下 で の 割 引 は 、 将 来 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ニ の 現 在 価. 値 を 測 定 し よ う と す る 」(par.110)か に 財 務 会 計 基 準 書 第96号. ら で あ る,,そ の 後 、DMに. 『法 人 税 等 の 会 計 墨(SFAS96)が. 公 表 され た が 、 そ こで は税 効 果 会. 計 の 方 法 と し て 資 産 負 債 法 を 採 用 し て い る 。 そ の た め 、DMの. ‑‑1. 基 づ く審 議 の 結 果 、1987年. 記 述 に 従 う な ら ば 、SFAS96に.

(12) 繰延税金の割引現在価値測定. お い て 計 .上さ れ る 繰 延 税 金 は 割 り.引か れ な け れ ば な ら な い こ と に な る 。 し か し 、SFAS96は 「割 引 に つ い て は 扱 わ な い 」(par.6(u))と と して は 、DMに. 、. して 、 繰 延 税 金 の 割 引 を 禁 止 し て い る 。 そ の 理 由. 対 す る 回 答 者 の ほ と ん ど が 繰 延 税 金 の 割 引.に 反 対 で あ っ た こ と に 加 え て 、. 繰 延 税 金 の 割 引 の 概 念 的 妥 当 性 に 関 す る6PJ題 や 割 引 の 実 施 上 の 問 題 は 数 多 く あ り複 雑 で あ る こ と 、 割 引 に よ っ て 法 人 税 等 の 会 計 処 理 が 複 雑 に な る こ と 、 及 びaYSOio及. びAPBO11と. 同. 様 に 、 割 引 は 法 人 税 等 の 会 計 処 理 の み に 止 ま ら ず 、 よ り広 範 な 文 脈 で 扱 う べ き と い う理 由 が ...挙 げ ら れ て い る(pars 一方で. .171‑172).δ....己...................・...........・........一. 、 多 く の 理 由 か ら 割 引 に.賛成 す る 理 事 も い た 。SFAS96に. DavidMossoは. 反 対 し た 理 事 の 一・ 人で ある. 、 繰 延 税 金 を 割 り 引 か な け れ ば 、 財 務 諸 表 は 、 税 金 の 繰 り延 べ ま た は 前 払 い. が 発 生 し た 時 点 に お い て 、 そ の 便 益 ま た は 負 握 を 表 示 せ ず 、 現 実 が あ た か も税 金 の 支 払 わ れ る 時 点 に つ い て 無 差 別 で あ る か の よ う に表 示 さ れ る 。 そ の た め 、 財 務 諸 表 の 企 業 間 及 び 期 間 の 比 較 可 能 性 が 損 な わ れ る こ と を 懸 念 し た 。 ま た 、 繰 延 税 金 を 割 り 引 か な い 場 合 、APB意 書 第23号. 「法 人 税 等 の 会 計 一 特 殊 領 域 』(APBO23>が. 見. 対 象 とす る差 異 に係 る繰 延 税 金 を認 識. す る と 、繰 延 税 金 負 債 の 金 額 を著 し く過大 評 価 す る こ と に な る。 そ して 、 そ れ を 回避 す るた め に 、SFAS96で. はAPBO23の. 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 を 認 識 し な い と い う 「包 括 的 認 識 法 に 対 す. .る例 外 規 定 」 を 存 続 さ せ な け れ ば な ら な く な. っ た16こ と を 指 摘 し て い る(SFAS96,p.22)。. こ. れ は 、 本 稿3‑2で 述 べ た と こ ろ の 、 割 引 を 要 求 しな い こ と に よ っ て 特 定 の 項 目 の 測 定 が 繰 延 税 金 の 公 正 価 値 か ら 著 し く乖 離 す る と み な さ れ る場 合 に 、 そ う し た 特 定 の 項 目 に つ い て の み 部 分 的 認 識 法 を 要 求 す る と い う 選 択 が な され た 具 体 例 で あ る 。. 4‑3SFAS109の. 公 表 と 割 引 に 関 す る.概念 フ レ ー ム ワ ー ク の 整 備. そ の 後 、SFAS96は. 一 度 も強 制 適 用 さ れ る こ と な く 、 ユ992年 に 財 務 会 計 基 準 書 第109号. 人 税 等 の.会計g(SFAS109)に. よ っ て 改.訂 さ れ た 。 し か し 、 こ のSFAS109もSFAS96と. 割 引 に つ い て は 扱 わ な い(par.5(b))と し て もSFAS96と. 同 様 、UAAに. 「法. 同様 に 、. 述 べ 、繰 延 税 金 の 割 引 を禁 止 して い る 。 そ の理 由 と. 対 す るn!^nH̀者の ほ と ん ど が 繰 延 税 金 の 割 引 に 反 対 で あ っ た こ と. に 加 えて 、繰 延 税 金 の 割 引 の 概 念 的 妥 当性 に 関 す る問 題 や 割 引 の 実 施 上 の 問題 は 数 多 く あ り 複 雑 で あ る こ と が 挙 げ ら れ た(pars.198‑199)。. さ ら に 、 「も し も繰 延 税 金 が 割 り 引 か れ る な. ら ば 、.....一 時 差 異 の 将 来 の 解 消 に つ い て の 詳 細 な 分 析 が 定 期 的 に 必 要 と な る だ ろ う し 、StA'AS96 に 対 す る 批 判 の 多 く は.ス ケ ジ ュ ー リ ン グ の 必 要 性 に 関 す る も の で あ っ た 」 と 述 べ て い る (par.199>。 ュ̲qン. そ も そ も 、SFAS96は. 繰 延 税 金 の 認 識 の た め に 一 時 差 異 等 の 解 消 に 関.:する ス ケ ジ. グ を要 求 して い た が 、 その 作 業 が非 常 に複 雑 で 面 倒 で あ る と い う強 い 批 判 を浴 び た. こ と が 改 訂 の 大 き な 原 因 で あ っ た と い う(par、73)。. そ う い う.わけ でSFAS109で. は繰 延 税 金 の. 認 識 の た め に ス ケ ジ ュ ー リング を要 求 しな い こ とに した に もか か わ らず 、 今 度 は 割 引 の た め に ス ケ ジ ュ ー リ ング を要 求 したの で は改 訂 の 意 瞭 が な く な って しま う とい うこ とで あ る。. …312一.

(13) 繰 延税 金の割引現在価値測定. 一 方 で 、繰 延 税 金 の 割 引 の 概 念 的 妥 当性 や 割 引 の 実 施 上 の 問題 を 解 決 す る た めの 枠 組 み に つ い て は 、 近 年 、 大 き な 展 開 が 晃 ら れ る 。FASBは1988年10月 ジ ェ ク トを 審 議 議 題 に 追 加 し 、SFAS109公. 表 前 の1990年. に現 在 価 値 に 関 す る研 究 プ ロ に は既 に討 議 資 料. 『 現 在価 値 に よ る. 会 計 測 定 』 を 公 表 し て い た 。 そ れ 以 降 、 い くつ か の 文 献 を 公 表 し た.後、2000年 定 に お け る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 情 報 及 び 現 在 価 値 の 使 用 』(SFAC7>を s月 に 公 表 さ れ た 公 開 草 案 針.を 充 実.させ て い る6こ. 『公 正 価 値 測 定 』(ED)は. 、SFAC7に. に は 『会 計 測. 公 表 し17、 さ ら に2004年 お け る現 在 価 値 法 の 適 用 指. う して 今 や 、.米.国.c.お.いて.は 、.繰延 税 金 の 割 引 の.問題 を 検 討 す る た. め の 準 備 は 十 分 に 整 っ て い る と い え よ うIN。. 5英. 国にお ける繰延税金 の割 引の基準化. 本 節 で は 、英 国 の 会 計 公 表 物 か ら、繰 延税 金 の 割 引.の基 準 化 に至 っ た 経 緯 を確 認 す る。 さ ら にFRS19が. 繰 延 税 金 の 割 引 の実 施 上 の 問 題 に ど の よ う.に対 応 した の か につ い て詳 述 す る と. と も に 、割 引 に 関 す る フ レー ム ワー ク に照 ら した と きの 、FRS19の. 規 定 の 問 題 点 を い くつ か. 指 摘 す る。. 5‑1繰. 延 税 金 残 高 の 包 括 的 認 識 に よ る増 加 と割 引 に よ る減 少. 英 国 で は、1978年 に会 計 基 準 委 員会(ASC)か 税 金 の 会 計 』(SSAP15)以. ら公 表 され た 会 計 実 務 基 準 書 第15号. 来 、税 効 果 の 認 識 範 弼 の 決 定 方 法 と して 部 分 的 認 識 法 を 採 用 し て. い た 。 しか し、1995年 に会 計 基 準 審 議 会(ASB)か 『税 金 の.会計 』(DP)に. 『繰 延. ら公表 され た デ ィ.スカ ッ シ ョンペ ーパ ニ. お い て 、英 国 の税 制 及 び 経 済条 件 の 変化 へ の 対 処 や 会 計 基 準 の 国 際 的. 調 和 な ど様 々 な 観 点19か ら、 「審 議 会 は 、英 国 は包 括 的認 識 法 を採 用 す べ きで あ る と暫 定 的 に 結 論 した 」(par.4.7.1)。 そ して 、 後 で説 明す る よ うに 、 この こ とは 、DPが 繰 延 税 金 の 割 引 を 提 案 す る契機 とな っ た 。 本 稿3‑2で 述 べ た よ う に 、包 蜥 的 認 識 法 へ の 転 換 に よ って 、 繰 延 税 金0)金 額 ぱ 部分 的 認 識 法 を採 屠 して い た 場合 よ.りも著 し く大 き くな るzo。 これ は 、包 括 的 認 識 法 で は 、仮 に繰 延 税 金 の 一 部 が 実 質 的 に 永 続 す る と見 込 まれ て も永 続 しな い 部 分 とnに. 認 識 す る とい う よ うに 、. 繰 延 税 金 の 回 収 ま た は 決 済 の 時 点 に よ っ て 認 識 の差 別 化 を全 く しな い た め で あ る。 そ して 、 繰 延 税 金 負 債 の 残 高.が減 少 す る時 点 の.wも. りが 、経 営 者 が 管 理 す る将 来 の 投 資 計 画 に依 存. して い る こ と を考 え る と、 繰 延 税 金 が増 減 す る時 点 に よ っ て 認 識 の 差 別 化 を しない 包 括 的 認 識 法 は 、 多 くの 財 務 諸 表.利用者 が 重 要 と考 え る経 営 者 の 機 能 一 「納 税 の 金 額 と時 期 の 管 理 」 に 関 す る情 報 を提 供 しな い こ と に な る21。 この.情報 は 、繰 延税 金 負 債 が 決 済 され る時 点 と そ の 金 額 に関 す る もの で あ るか ら、 繰 延 税 金 負 債 の現 在 価 値 の 見 積 も りに お い て 決 定 的 に重 要. 一113一.

(14) 繰延税金 の割引現 在価値測 定. で あ る と 考 え られ る 。 そ の た め 、DPで. は 、包 括 的 認 識 法 へ の転 換 に よ って この よ うな 情 報 が. 提 供 され な くな る弊 害 は 、割 引 を実 施 す る こ と に よ っ て 、 取 り除 かれ る か 、少 な くと も緩 和 さ れ る と 考 え ら れ た(par,6.1.2‑3)。. す な わ ち 、 経 営 者.に よ る. 「 納 税 の 金 額 と時 期 の 管 理 」 に. 関 す る 情 報 は 、 部 分 的 認 識 法 に よ っ て 認 識 の 側 面 か ら も.提供 さ れ う る が 、 割 引 に よ っ て 測 定 の 側 面 か ら も 提 供 さ れ う る こ と か ら 、DPは. 割 引 に よ っ て 部 分.的認 識 法 に 代 替 させ よ う と し た. の で あ る 。 こ の こ と は 、 本 稿3‑2.に お い て 述 べ た と こ ろ の 、 部 分 的 認 識 法 を 要 求 し な い こ と に .よ.って 失 わ れ る 情 報 を 、 割 引 が 提 供 す.る精 報 に.よ.って 代 替 す る.とい.う選 択 が な さ れ た 具 体 例 である。. 5‑2繰. 延 税 金 の割 引 の基 準 化 への 道. 1997年. に は ワ ー キ ン グ ペ ー パ ー 『財 務 報 告 に お け る 割 引 』(WP>がASBか. こ のWPは. 、 割 引 を 伴 う あ ら ゆ る 将 来 のFRSが. ら公 表 さ れ た 。. 首 尾 一 貫 し た基 盤 の 上 に作 成 され る よ う に 、. 割 引 が い か に 適 用 さ れ る べ き か に 係 る 原 則 を.確立 し.よう と し て い た 。 こ こ で い う 「将 来 の FRS」. に は 、 当 然 の こ と な が ら 、 繰 延 税 金 に 係 る会 計 基 準 も含 ま れ て い る(Prefaceandinvi‑. tafiontocomment)o そ し て 、DP及 (FRED19>が. びWPの. 成 果 に 基 づ い て 、1999年. に は 財 務 報 告 公 開 草 案 第19.号. 公 表 さ れ た 。 そ こ で は 、 「も し も(a)そ. の 発 生 原 因 と な る期 間 差 異 が割 引 前 キ ャ. ッ シ ュ フ ロ 」 を 参 照 し て 測 定 され て お り 、 か つ(b)割. 引 の 影 響 が重 要 で あ る な らば 、繰 延 税. 金 資 産 及 び 負 債 は 割 り 引 か れ るべ きで あ る 」(par.36)と ASBの. 「 繰延 税金 』. 結 論 づ け られ た 。. 理 事 の 多 数 は 、 割 引 が 重 要 な 役 割 を 果 た し う る と 信 じて い た が 、..一.・ 方 で割 引 が 繰 延. 税 金 の 金 額 の 計 算 を よ り 困 難 に し.、そ の 金 額 を よ り 主.観 的 な 数 値.に す る こ と も 認 め て い た 。 し か し 、 割 引 率 や ス ケ ジ ュ ー リ ン グ の 仮 定 を 限 定 す る こ と に よ り、 主 観 性 の 程 度 は 減 少 す る と考 え た 。 こ の た め 、ASBは. 、FRSが. 割 引 を 要 求 す べ き か 否 か と い う結 論 を 出 す 前 に 、 回 答. 者 の 見 解 を聴 取 す る こ と に した(p蹴s.86‑87)。. 5‑3繰. 延 税金 の割 引 の基 準 化. FI2ED19に. 基 づ い て 、2000年. が 、 そ の な か で 示 され たFRED19に. に は 財 務 報 告 基P. .9号. 「繰 延 税 金 』(FRS19)が. 公 表 され た. 対 す る 回 答 が 強 く示 唆 して い た の は 、 「ほ とん ど の 産 業 に. お い て 、 割 引 の 便 益 は そ の 費 用 を 上 回 る と は 認 知 さ れ.てい な い 」 と い う こ と で あ り 、 割 引 を 支 持 し て い た の は 、 割 引 の 影 響 が 特 に 重 大 と な る と 思 わ れ る 企 業 の み で あ っ た(pars.95,98>。 ま た 、 理 事 の 中 に は 、.割引 に概 念 的 妥 当 性 が な い こ と に 加 え 、 割 引 が 国 際 的 調 和 を 妨 げ る こ と に な る と.の理 由 で 反 対 す る 者 も い た 、 し か し 、 残 り の 理 事 は 、 割 引 が 資 産 負 債 法 と 整 合 的 で あ り 、 利 用 者 に 対 し て よ り有 用 な 情 報 を 提 供 す る 手 段 と な る と して 、 原 則 と し て 割 引 を 支 持 し た(pars」.0〔}一101)。. こ の よ う な 様 々 な 見 解 を 総 合 し た 結 果 と して 、FRS19で. …ua一. は. 「 報 告企.

(15) 繰延税金の割引現在価値測 定. 業 は 、 貨 幣 の 時 間 価 値 を 反 映 す る た め に 、 繰 延 税 金 資 産 及 び 負 債 を 割 り引 く こ と が で き る が 、 要 求.は され な い 」(par.42)と. され た 。 す な わ ち 、 繰 延 税 金 の 割 引 は 、 全 て の 企 業 に 強 制 適 用. され るの で は な く、 企 業 が継 続 適 用 を条 件 に 選択 で き る 会 計 方 針 の 一 つ と され た の で あ る 。 割 引 を 要 求 し な か っ た 理 由.は 、 繰 延 税 金 の 割 引 の 方 法 論 に つ い て は 国 際.的な コ ン セ ン サ ス が 得 ら れ て お らず 、 そ の た め 理 論 的 に も.実務 的 に も確 立 し て い な い と い う 状 況 に お い て 英 国 に 導 入 され る こ と な ど か ら 、 多 くの 状 況 に お.いて 費 用 が 便 益 をii回 る と い う 認 識 が 一 般 的 だ か ら で あ る 。 そ し て 、 割 引 を 会 計 方 針 と し て 許 容 し た.のは.、割 引 が 毎 期 継 続 し て 適 用 さ れ 、 割 引 の 影 響 が 財 務 諸 表 に 明 示 され る こ と を 所 与 と す れ ば 、 全 て の 企 業 が 繰 延 税 金 を 割 り 引 く こ とに は な らな い と して も、 比 較 可 能 性 の 喪失 は深 刻 な もの と は な らな い だ ろ う とい う認 識 か ら で あ る(par.101(a)一(c))。 そ し て 、 「も し も 報 告 企 業 が 割 り 引 く と い う 方 針 を 採 用 す る な ら ば 、 割 引 前 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー で 測 定 され て お り 、 か つ 割 引 の 影 響 が 重 要 で あ る 、 全 て の 繰 延 税 金(及 法 人 税)の. 残 高 は 割 り引 か れ な け れ ば な ら な い 」(par.44).と. び 回 収 可 能 な前 払. され た 。 具 体 的 に割 引 に適 格 で. あ る 期 間 差 異 の 例 と し て は 、 加 速 度 償 却 引 当 金 、 再 評 価 損 益 、 及.び税 務 上 の 繰 越 欠 損 金 な ど を 挙 げ ら れ て い る(par.46)。. 一 方 で 、年 金 費 用 に係 る引 当 金 及 び その 他 の 長期 負 債 、並 び に. レ ッサ ー に よ る フ ァ イナ ン ス リー スへ の投 資 に つ い て 生 じる よ うな あ る種 の 期 間差 異 は 、既 に 割 引 後 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー で 測 定 さ れ る の.で、 そ れ ら に 係 る 繰 延 税 金 も 既 に 割 り引 か れ て い る 。 従 っ て 、 そ れ ら を さ ら に 割 り 引 く と二 重 計 算 に な る の で 、 割 引 に 適 格 で は な い と さ れ る(par.45)。 た だ し 、DPが 割 引率は. 指 摘 す る よ う に 、 こ う し た 年 金 債 務 や リー.ス資 産 の 計 算 に お い て 利 用 さ れ る. 「税 引 き前 」 の 値 で あ る た め 、 こ れ ら の 期:間差 異 に 係 る繰 延 税 金 に つ い て さ ら な る. 割 引 を 行 わ な い 場 合 に は 、 実 質 的 に 、 割 引 に 適 格 な 期 問 差 異(た 等)に. と えば 、加 速 度 償 却 引 当 金. 係 る 繰 延 税 金 を 税 引 き前 割 引 率 で 割 り 引 い た 場 合 と 同 様 の 結 果 と な る(pars.Cr一 ひ4,s)。. しか し、 次 項 で 述 べ る よ う に 、FRS19で. は 、割 引 に 適 格 な期 間差 異 に 係 る繰 延 税 金 を税 引 き. 後 割 引 率 で 割 り 引 く よ う 規 定 さ れ て い る 。 従 っ て 、FRS19で. は 、 期 間 差 異 の 種 類 に よ って 、. 繰 延 税 金 の 離 引 に 異 な る 割 引 率 が 適 網 され る こ と に な る と い う 問 題 が あ る 。DPは. 、 この よ う. な 問 題 を 回 避 す る た め に は 、 年 金 等 に 係 る 繰 延 税 金 を 割 引 前 の 値 に 計 算 し直 し て 、 そ れ を 改 め て 税 引 き 後 割 引 率 で 割 り 引 か な け れ ば な ら な い が 、 そ の よ う な 方 法 を 行 う こ と の コ ス トは 、 ほ と ん ど 確 実 に そ の べ ネ フ ィ ッ!・を 上 回 る と 考 え られ る た め 、FRS19の 実 務 的 な 方 法 で あ る と し て い る(pars.6.5.6‑7)。. し か し 、FRS19.の. よ うな 方法 が 唯 一 の. 方 法 で は 、繰 延 税 金 資 産 の. 同収 可 能 性 の 判 断 に お け る ス ケ ジ ュ ー リ ング と、 繰 延 税 金 の 割 引 に お け る ス ケ ジー 一 リ ン グ との 間 で 、 年 金 等 の割 引 に不 適 格 な期 間差 異 の 取 扱 い が不 整 合 と な る 可能 性 が あ る と考 え ら れ る た め 、DPに. お い て 検 討 さ れ た よ う な 、 割 引 前 の 値 に 計 算 し直 す 方 法 も検 討 に 値 す る と 思. われる。. 一Y15.

(16) 繰 延 税 金 の 割 引 現 在 価iii測定. 5‑A繰. 延 税 金 の 割 引 の 実 施 上 の.問 題 へ の 対 応. FRS19は. 、 そ れ ま で 米 国 のAPBやFASBが. 検 討 を先 送 りに して きた 、繰 延 税 金 の 割 引 の 実. 施..Lの 様 々 な 問 題 に つ い て 、 ….・ つ の 結 論 を 与.え て い る 。 そ う し た 結 論 は 、 前 述 のASBワ ン グ ペ ーパ ー (par.113>。. 「財 務 報 告 に お け る 割 引 」(WP)で. 示 され た結 論 と整合 的 で あ る と い う. 割 引 の 実 施 上 の 主 な 問 題 と し て は 、 割 引 率 の 決 定.と期 間 差.異の 解 消 の ス ケ ジ ュ 」. リ ン グ が あ っ た の で 、 以..下で は そ れ ら に 関 す るFRS19の. (i)割. ーキ. 結 論 を 検 討 して い く 。. 引率 の 決 定. まず 、割 引 率 の 決 定 につ い て で あ るが 、利 用 され る割 引 率 は 、繰 延 税 金 の もの と同 様 の 満 期 口 と 通 貨 の 政 府 債 に 関 す る 、 貸 借 対 照 表 日 に 入 手 す る こ と が で き る 税 引 き後 満 期 利 回 り で あ る べ き で あ る と し たzz(par.52>。 こ と か ら 、FRS19は. こ の よ うに 、貸 借 対 照 表 日 ご と に割 引 率 を 見 直 して い る. 現 在 価 値 法 と して継 続 的 再 評 価 を要 求 して い る と考 え られ る 。 こ こで 、. 政 府 債 の 満 期 利 回 りは 、 公 表 情 報 源 か ら入 手 す る こ とが で き る と され る。 ま た 、税 引 き後 利 回 り は 、 施 行 さ れ て い る か ま た は 実 質 的 に 施 行 され て い る税 率 及 び 税 法 に 基 づ い て 、 当 該 債 券 を 保 有 す る 企 業 に 適 用 さ れ る と 見.込 ま れ る 税 率 で 税 額 を控 除 す る こ と に よ り見 積 も ら れ る こ と に な る(par.53)。. す な わ ち 、t期 後 に 満 期 と な る 政 府 債 の 税 引 き前 利 回 り を'、と し 、 税 率. を τと す れ ば 、 割 引 率 と し て 用 い る べ き税 引 き後 利nり. は 、r,4(1一. τ)と訂 算 さ れ る 。 こ れ. は 、 期 間 差 異 の 解 消 に よ っ て 生 じ る 税 金 費 用 が 損 金 に 算 人 され な い た め で あ る(par.119)。 こ の よ う に 、 負 債 の 割 引 率 も 資 産 の 割 引 率 も 同 様 に 政 府 債 の 税 引 き後 利 測 り が 用 い ら れ る が 、FRS19は. 、 負 債 と資 産 の 割 引 率 の 決 定 の 根 拠 を 別 々 に 論 じて い る 。. ま ず 、 負 債 の 割 引 率 は 、 当 該 負 債 の 特 徴 の み を反 映 す べ き で あ る とWPが. 結 論 し た こ とか. ら 、 負 債 を 測 定 す る た め に 用 い ら れ る 割 引 率 は 、 当 該 企 業 の 資 本 コ.ス トに 基 づ く べ き で は な い と した 、 負 債 の 測 定 は 当該 負 債 の 決 済 の た め の最 低 費 用 を測 定 す る こ と を 目的 とす べ きで あ り 、 そ れ は 以 下 の い ず れ か で あ る と さ れ る(par.114>。 (a)第. 三 者 が 当 該 負 債 を 引 き 継 ぐ た め に 支 払 わ れ な け れ ば な ら な い 金 額(す. 受 価 格;debtassumpfionprice)、 (b)支. な わ ち 、債 務 引. または、. 払 期 日に 当該 負 債 を 決 済 で き る よ うに 、 債 務 金 額 に 見合 う よ うに 成 長 す る と見 込 ま れ る 資 産(す. な わ ち 、 見 合 資 産;matchingasset;〉. に投 資 され な け れ ば な らな い と見 込 ま れ. る金 額(す. な わ ち 、 実 質 的 決 済 価 額;ef〔ec廿veset飴mentamount)。. た だ し、実 務 上 は 、繰 延 税 金 負 債 を引 き継 ぐ意 思 が あ る第 三者 が存 在 す る可 能 性 は低 い た め 、 実 質 的 決 済 価 額 を 決 定 す る 必 要 が あ る と した(par.115)。 ス で(す. な わ ち 、包 括 的 認9HWf4と 整 合 的 に>GJ/引. 繰 延税金負債 が全額解消 ベ ー. かれ る と きに は 、 当 該 負 債 が 表 す 将 来 キ. ャ ッ シ ュ フ ロ ー は相 対 的 に 確 実 で あ り 、 ほ と ん ど の 場 合 、 そ う し た キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー は 、 期 間 差 異 に 当 該 企 業 の 実 効 税 率 を 乗 じ た.金額 で 一 定 で あ る 。 従 っ て 、 最 も 適 切 な. ‑‑6. 「兄 合 資 産 」.

(17) 繰 延税金 の割引現在価値測定. は 、 当 該 企 業 の 実 効 税 率 と 同 率 で 課 税 さ れ る.一定 の 収 益 を 生 じ る も の で あ る 。 そ し て 、 そ の よ う な 見 合 資 産 は 、 繰 延 税 金 負 債 と 同 様 の 満 期 日 及 び 通 貨 の 政 府 債 券 で あ る.可能 性 が 最 も 高 い と 考 え ら れ た(par,116)。. こ の た め 、 そ の 税 引 き 後 利 回 り が 、 繰 延 税 金 負f責の 割 引 率 と し. て選 択 され た の で あ る。 次 に 、 資 産 の 割iで. あ る 。WPは. 、 資産 の 割 引 率 は 同 等 の リス ク を有 す る投 資 に対 して. 市 場 が 期 待 す る収 益 率 で あ る こ と を示 唆.し た が 、 そ う し た リ ス ク の 一 部 が 見 積 将 来 キ ャ ッ シ ュ.フQ一. を 減 少 させ る こ と に よ っ.て考 慮.さ.れて い る 場 合.に.b#..そ の 分 だ け 割 引 率 は 低 く な る 。. FRS19で. は 、 割 引 前 の 繰 延 税 金 資 産 がPaさ. れ る金 額 を決 定 す る際 に 、 当該 繰 延 税 金 資 産 の. 回 収 可 能 性 に 関 す る 不 確 実 性 を 考 慮 す る こ と を 要 求 し て い る23の で 、 こ う し た 不 確 実 性 は 割 引 率 に 反 映 され るべ き で は な い と さ れ た 。 そ の 他 の 面 で は 、 繰 延 税 金 資 産 に 係 る将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー は 相 対 的 に 確 実 で あ る た め 、 市 場 に よ る 期 待 収 益 率(従 引 率)は. 、 政 府 債 券 の 実 質(す. こ の よ う に 、FRS19は. な わ ち 、 税 引 き 後)利. っ て 、繰 延 税 金 資 産 の 割. 回 り に 近 似 的 に 等 し い(par.117)。. 、 繰 延 税 金 資産 及 び 負 債 の い ず れ も が 、 当該 繰 延 税 金 と同 様 の 満 期. 日 及 び 通 貨 の 政 府 債 券 に 係 る実 質 利 回 り で 割 り 引 か れ る こ と を 要 求 し て い る 。 こ れ ら の 割 引 率 は 、WPの. 結 論 と 整 合 的 で あ る の み で な く 、 そ の 他 の 代 替 的 な 割 引 率 よ り も単 純 に 決 定 で. き 、 主 観 性 が 低 い と い う利 点 を 有 し て い.る(par.11S)、 た だ し、 い くつ か 検 討 す べ き点 も 指 摘 し う る 。 第 一..一 に 、 第2節. で 述 べ た よ う に 、WPで. は負. 債 の測 定 に お い て 債 務 を負 っ て い る企 業 の 信 用 リス ク を反 映 す べ きで な い と され て い る ため 、 WPに. 基 づ くFRS19の. 規 定 で は 、繰 延 税 金 資産 と繰 延 税 金 負 債 とで 測 定 が非 対称 と な る こ と. で あ る 。 こ の こ と は 、FRS19に. 固有 の 問 題 とい う よ りは 会計 の枠 組 み 全 体 に 関 わ る こ と で あ. り 、 本 稿 が 扱 うべ き範 囲 を 超 え て い る の で.、今 後 の 検 討 課 題 と す る 。 第 二 に 、ASBのWPで par.2.3>し. は 、FASBの. 露Dに お け る 「期 待 現 在 価 値 法 」 に 相 当 す る 方 法(WP,. か 提 示 さ れ て い な い に も か か わ ら ず 、FRS19.で. 相 当 す る 方 法 が 適 用 さ れ て い る と い う 意 味 で.、FRS19とWPと. はF,Dに.お. け る 「割 引 率 修 正 法 」 に. は不 整 合 性 で あ る と い え る 。. た と え ば 、期 待現 在 価 値 法 で は 、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と して 期 待 値 を屠 い な けれ ば な らな い に も か か わ ら ず 、FRS19で. は ス ケ ジ ュ ー リ ン グ に 基 づ く単...・ の 見 積 も り が 用 い られ て い る 。 ま. た 、 リ ス ク修 正 割 引 率 を 決 定 す る た め に 、 同 様 の 不 確 実 性 を 伴 う 同 様 の 資 産(ま. た は 負 債)、. す な わ ち 、 当 該 繰 延 税 金 の も の と 同 様 の 満 期 日 と 通 貨 の 政 府 債 の 税 引 き後 利 回 り を 利 用 し て い る 。 こ の よ う に 、FRS19の. 規 定 は 、FASBのEDに. あ る 。 た だ し 、 期 待 キ ャ ッ シ ュ フn一. お け る割 引 率修 正 法 とほ とん ど整 合 的 で. を 計 算 す る こ と や 、CAI'Mを. 用 い て リ ス ク修 正 割 引. 率 を決 定 す る こ と が ほ と ん ど実 務 に定 着 して い な い 現 状 を考 え る と 、伝 統 的 ア プ ロー チ で あ る 割 引 率 修 正 法 を 要 求 す るFRS19の. 規 定 は む し ろ 現 実 的 な もの と い え る か も しれ な い 。. 第 三 に 、 繰 延 税 金.資産 の 測 定 に お い て リ ス ク が 適 切 に 考 慮 され な い か も し れ な い こ と で あ る 。 既 述 の よ う に 、 繰 延 税 金 資 産 を 実 質 的 に 無 リ ス ク で あ る 政 府 債 券 の 税 引 き 後 満 期 利nり. 一一‑‑7一.

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